説明

取付位置調整方法、及び位置検出装置

【課題】磁力発生体の位置検出素子に対する配置位置を正確に調整する。
【解決手段】第1ヨークYAの正面YA1に対向する位置に撮像板基板を設ける。撮像板基板には、位置検出素子を設ける。正面YA1の位置検出素子に対向する位置それぞれに、磁力発生体MXA、MYA、MYBを設ける。各磁力発生体には、第1及び第2切り欠き52A、52Bを設ける。第1ヨークYAに、第1及び第2切り欠き52A、52Bと重なるように第1及び第2ガイド孔53A、53Bを設ける。第1及び第2ガイド孔53A、53B及び第1及び第2切り欠き52A、52Bには棒状部が挿通されて、その棒状部によって各磁力発生体が移動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材の固定部材に対する相対位置を、磁力発生体及び位置検出素子を用いて検出する位置検出装置、並びにその位置検出装置における磁力発生体の取付位置を調整する取付位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラなどの撮像装置において、撮影中に生じた手ぶれ量に応じて、像ぶれ補正レンズ、又は撮像素子を光軸と垂直な平面上を移動させることにより、結像面での像ぶれを制御する像ぶれ補正装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、撮像素子を含む可動部材を、磁石とコイルによって移動させ、その移動前後の位置検出をホール素子と磁石によって行う装置が開示されている。この装置では、可動部材にホール素子が設けられていると共に、可動部材を移動可能に支持する固定部材に、磁石が設けられている。
【0004】
ホール素子は、可動部材の移動によって生じる磁界変化を検知し、可動部材の移動位置を検出している。そして、ホール素子は、検出分解能を最大にするためには、可動部材が基準位置にあるとき磁石の中心位置に対向するように配置されることが好ましい。
【特許文献1】特開2005−275379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、像ぶれ補正装置において、可動部材が固定部材に対して移動自在となるように組み立てられるのは、可動部材にホール素子を取り付け、かつ固定部材に磁石を取り付けた後行われることが一般的である。しかし、可動部材と固定部材を組み立てるときに、ホール素子と磁石との位置関係を正確に調整することは困難である。特に、可動部材には通常2以上のホール素子が設けられるので、全てのホール素子を正確な位置に配置されるように可動部材と固定部材とを組み立てることは困難である。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、ホール素子に対する磁石の配置位置を正確かつ容易に調整することが可能な調整方法、及び配置位置が正確に調整された位置検出装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る位置検出装置は、可動部材と、可動部材を移動自在に支持する固定部材と、可動部材及び固定部材のいずれか一方の部材の一方の面に固定される磁力発生体と、可動部材及び固定部材の他方の部材に取り付けられるとともに、磁力発生体から発生する磁界の変化を検出し、可動部材の固定部材に対する相対位置を検知する位置検出素子とを備える位置検出装置において、一方の部材には、一方の面の反対側の面から一方の面まで貫通し、磁力発生体を一方の面に沿って移動させるための棒状部を挿通可能なガイド孔が設けられ、磁力発生体には、ガイド孔に対応する位置に配置され、棒状部が係合可能な係合部が設けられ、磁力発生体は、棒状部がガイド孔に挿通した上で係合部に係合する状態で、棒状部の移動に伴い一方の面に沿って移動させられて、配置位置が調整された後、一方の面に固定されていることを特徴とする。
【0008】
位置検出素子は、一方の面に平行な第1の方向における上記相対位置を検知すると共に、磁力発生体に対向して設けられる場合、磁力発生体の位置検出素子に対向する対向面には、N極と、S極が第1の方向に沿って並ぶように配置され、かつ磁力発生体は棒状部によって第1の方向に沿って移動させられたことが好ましい。
【0009】
ガイド孔は、第1の方向に長く延びる長孔であることが好ましい。また、係合部は切り欠きであることが好ましく、このような場合、磁力発生体は長孔の一部に切り欠きが重ねられるように配置される。
【0010】
可動部材が基準位置にあるとき、位置検出素子が、対向面に並べられたN極とS極の境界位置、またはその境界位置近傍に対向して配置されるように、磁力発生体が一方の部材に固定されていることが好ましい。
【0011】
磁力発生体は、対向面にN極が配置された第1の磁石と、対向面にS極が配置された第2磁石とを、非磁性体で構成されるスペーサを介して接合されて形成されると共に、第1及び第2磁石が第1の方向に沿って並ぶように配置されていても良い。この場合、一方の面に平行でかつ第1の方向に垂直な第2方向における、スペーサの両端は、第1及び第2磁石の両端より凹んで切り欠きとして形成され、この切り欠きが係合部であることが好ましい。
【0012】
磁力発生体の位置検出素子に対する相対位置が、位置検出素子によって検知され、その検知結果に基づき、磁力発生体の配置位置の調整が行われたことが好ましい。また、一方の部材はヨークであって、磁力発生体は一方の面に磁力により吸着しつつ、棒状部によって移動させられ、配置位置が調整されたことが好ましい。
【0013】
磁力発生体は第1及び第2係合部を有すると共に、一方の部材は、第1及び第2ガイド孔を有すると共に、第1及び第2ガイド孔それぞれに対応する位置に第1及び第2係合部が配置されることが好ましい。そして、磁力発生体が移動させられたとき、第1及び第2ガイド孔にはそれぞれ棒状部が挿通され、これら棒状部は例えば一体に移動させられる。
【0014】
例えば、一方の部材の磁力発生体が重ねられた部分に、反対側の面から一方の面まで貫通する注入孔が設けられ、注入孔を介して接着剤が注入され、磁力発生体がその注入された接着剤によって一方の部材に固定されている。また、例えば可動部材には撮像素子又は像ぶれ補正レンズが取り付けられており、可動部材は像ぶれを補正するために移動させられる。
【0015】
本発明に係る取付位置調整方法は、可動部材及び可動部材を移動自在に支持する固定部材のいずれか一方の部材に、磁力発生体を取り付けるとともに、他方の部材に磁力発生体から発生する磁界の変化を検出し、可動部材の固定部材に対する相対位置を検知する位置検出素子を取り付けた後、位置検出素子に対する磁力発生体の取り付け位置を調整する位置調整方法において、磁力発生体は係合部を有すると共に、一方の部材は一方の面から他方の面に貫通するガイド孔を有し、ガイド孔に対応する位置に係合部が配置するように、磁力発生体を一方の面に取り付けた後、ガイド孔に棒状部を挿通すると共に、その挿通した棒状部に係合部を係合させた状態で、棒状部を移動させることによって磁力発生体を一方の面に沿って移動させ、磁力発生体の位置検出素子に対する位置を調整することを特徴する。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、棒状部を用いて磁力発生体を移動させることにより、磁力発生体の位置検出素子に対する配置位置を正確に調整することができ、位置検出素子の検出分解能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。カメラ本体はデジタルカメラであるとして説明する。図1は、カメラ本体を説明するための模式的な斜視図である。図2、3は、カメラ本体内部に設けられた防振ユニットの分解斜視図である。
【0018】
カメラ本体1は、レンズ鏡筒2、及び防振ユニット10を有する。なお、以下、カメラ本体1において、レンズ鏡筒2内に収容されている撮影レンズ(不図示)の光軸Oと直交する水平方向をx方向、光軸Oと直交する鉛直方向をy方向、光軸Oと平行な水平方向をz方向として説明する。
【0019】
被写体像は、CCDなどの撮像素子ISによって撮影レンズを介した光学像として撮像され、A/D変換後、画像処理され、撮像された画像が表示される。また、撮像により得られた画像信号は、メモリーカードなどの記憶部により記録される。
【0020】
防振ユニット10は、移動ユニット15aと固定ユニット15bとから構成される。防振ユニット10は、手ブレ量に対応して、撮像素子ISを含む移動ユニット15aを光軸Oに垂直な平面上(以下、xy平面上とする)を移動させることによって、手ブレによって生じた被写体像の結像面における光軸Oのずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保つことで、像ブレを補正する装置である。また、防振ユニット10は、後述する位置検出素子及び磁力発生体を用いて、固定ユニット15bに対する移動ユニット15aの相対的な位置を検出する位置検出装置の役割も果たす。
【0021】
移動ユニット15aは、複数のボールを介して、カメラ本体1に固定された固定ユニット15b(第1、第2ヨークYA、YB)の間にはさまれて支持され、xy平面上に移動可能である。移動ユニット15aは、ローパスフィルタLF、撮像素子IS、撮像板基板45、第1及び第2水平駆動用コイルCXA、CXB、第1及び第2鉛直駆動用コイルCYA、CYB、水平位置検出素子40A、及び鉛直位置検出素子41A、41Bを有する。
【0022】
固定ユニット15bは、第1、第2ヨークYA、YB、第1〜第5支柱31A〜31E(図4参照)、複数のボール受け及びボール、第1及び第2水平駆動用磁力発生体MXA、MXB、並びに第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBを有する。
【0023】
第1、第2ヨークYA、YBは、板状の磁性金属部材で、z方向に垂直に並べられる。したがって、第1、第2ヨークYA、YBそれぞれの正面YA1、YB1、背面YA2、YB2はx方向、y方向に平行な面である。第1〜第5支柱31A〜31Eは、z方向に平行で、第1、第2ヨークYA、YBの間に取り付けられる。
【0024】
第1〜第5支柱31A〜31Eの一端は、第1ヨークYAの第1〜第5取付部33A1〜33E1に取り付けられ、他端は、第2ヨークYBの第6〜第10取付部33A2〜33E2に取り付けられる。第1〜第5支柱31A〜31Eによって、第1ヨークYAと第2ヨークYBとの間は一定距離に保たれる。
【0025】
第1〜第3支柱31A〜31Cは、撮像板基板45に設けられた第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34Cを通る。第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34Cは、移動ユニット15aが、像ブレ補正のための移動ユニット15aの移動範囲内にある時に、第1〜第3支柱31A〜31Cが撮像板基板45(第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34Cのいずれかの端部)と接触しない大きさと位置関係に設定される空間である。カメラ本体1が振られたりする時など、移動ユニット15aが、像ブレ補正のための移動ユニット15aの移動範囲を超えて移動した時に、第1〜第3支柱31A〜31Cの少なくとも1つが撮像板基板45(第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34Cのいずれかの端部)に接触し、移動ユニット15aの移動が規制される。
【0026】
カメラ本体1がオフ状態にされた場合は、第1鉛直駆動用コイルCYAなどによる移動ユニット15aをxy平面上の特定の場所への移動や固定動作が行われず、移動ユニット15aは重力に従ってxy平面上に移動せしめられ、第1〜第3支柱31A〜31Cの少なくとも1つが撮像板基板45に接触した状態で保持される。
【0027】
第4、第5支柱31D、31E(図4参照)は、撮像板基板45に設けられた第4、第5移動ユニット規制切り欠き34D、34Eを通る。第4、第5移動ユニット規制切り欠き34D、34Eは、移動ユニット15aがxy平面上を移動する際に、第4、第5支柱31D、31Eが接触しない大きさと位置関係に設定される。
【0028】
第1ヨークYAの撮像板基板45に対向する正面YA1には、第1〜第3ボール受け32A1〜32C1が設けられ、第1〜第3ボール受け32A1〜32C1には回転自在に第1〜第3ボール32A3〜32C3が設けられる。
【0029】
第2ヨークYBの撮像板基板45に対向する正面YB1には第4〜第6ボール受け32A5〜32C5が設けられる。第4〜第6ボール受け32A5〜32C5は、それぞれ第1〜第3ボール受け32A1〜32C1と共に、z方向に延びる同一線上に設けられる。第4〜第6ボール受け32A5〜32C5には、それぞれ回転自在に第4〜第6ボール32A4〜32C4が設けられる。
【0030】
第1〜第3ボール受け32A1〜32C1の内周面には、螺合して取り付けられた不図示の第1〜第3予圧プローブが設けられる。第1〜第3予圧プローブは、第1ヨークYAから撮像板基板45に向けて荷重を加え、これにより、撮像板基板45は、ボール32A3〜32C3、32A4〜32C4を介して、第1及び第2ヨークYA、YBに挟持されて支持される。
【0031】
撮像素子ISは、撮像板基板45の第1ヨークYAに対向する対向面45Aに配置される。撮像素子ISの第1ヨーク側にはローパスフィルタLFが設けられる。撮像板基板45は、移動ユニット15aが移動を開始する前の初期状態において、光軸Oが撮像素子ISの有効撮像領域の中心を通り、有効撮像領域の矩形を構成する各辺それぞれがx方向及びy方向に平行である位置関係(移動中心位置)に配置される。撮像基板45が、移動中心位置に配置された状態を、本明細書では移動ユニット15aが基準位置にある状態という。
【0032】
第1ヨークYAは、第2ヨークYBに対して、レンズ鏡筒2側に近い側に配置される。第1ヨークYAは、撮像素子ISの有効撮像領域に入射する光を遮らないように、撮像素子ISと対向する部分がくりぬかれた穴35を有する。穴35は、移動ユニット15aが移動した際に撮像素子ISやローパスフィルタLFなどが第1ヨークYAの穴35がある部分に接触しない程度の大きさと位置関係を有する。具体的には、カメラ本体1が振られた時などであっても、第1〜第3支柱31A〜31Cの少なくとも1つが、第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34Cに接触して移動ユニット15aの移動が規制され、その時に移動ユニット15aが第1ヨークYAの穴35がある部分に接触しない程度の大きさと位置関係である。
【0033】
第1ヨークYAの撮像板基板45に対向する正面YA1には、x方向において穴35を挟み込むように、第1及び第2水平駆動用磁力発生体MXA、MXBが固定されている。また、正面YA1には、穴35の下側に、x方向に沿って並べられた第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBが固定されている。
【0034】
撮像板基板45の第1ヨークYAに対向する対向面45Aには、x方向において撮像素子ISを挟み込むように第1、第2水平駆動用コイルCXA、CXBが固定されている。また、対向面45Aには、撮像素子ISの下側に、x方向に沿って並べられた第1、第2鉛直駆動用コイルCYA、CYBが固定される。
【0035】
第1水平駆動用コイルCXAのコイル中心位置には、水平位置検出素子40Aが設けられる一方、第2水平駆動用コイルCXBのコイル中心位置には、位置検出素子が設けられない。第1及び第2鉛直駆動用コイルCYA、CYBのコイル中心位置には、第1及び第2鉛直位置検出素子41A、41Bが設けられる。
【0036】
第1水平駆動用コイルCXA及び水平位置検出素子40Aは、第1水平駆動用磁力発生体MXAとz方向において対向する位置関係にある。第2水平駆動用コイルCXBは、第2水平駆動用磁力発生体MXBとz方向において対向する位置関係にある。
【0037】
第1鉛直駆動用コイルCYA及び第1鉛直位置検出素子41Aは、第1鉛直駆動用磁力発生体MYAとz方向において対向する位置関係にある。第2鉛直駆動用コイルCYB及び第2鉛直位置検出素子41Bは、第2鉛直駆動用磁力発生体MYBとz方向において対向する位置関係にある。
【0038】
第1水平駆動用コイルCXAのコイルパターンは、自身に流れる電流と、第1水平駆動用磁力発生体MXAの磁界から生ずる電磁力により、第1水平駆動用コイルCXAを含む移動ユニット15aをx方向に移動させる駆動力を発生すべく、y方向に平行な線分を有する。第2水平駆動用コイルCXBのコイルパターンは、自身に流れる電流と、第2水平駆動用磁力発生体MXBの磁界から生ずる電磁力により、第2水平駆動用コイルCXBを含む移動ユニット15aをx方向に移動させる駆動力を発生すべく、y方向に平行な線分を有する。
【0039】
第1鉛直駆動用コイルCYAのコイルパターンは、自身に流れる電流と、第1鉛直駆動用磁力発生体MYAの磁界から生ずる電磁力により、第1鉛直駆動用コイルCYAを含む移動ユニット15aをy方向に移動させる駆動力を発生すべく、x方向に平行な線分を有する。第2鉛直駆動用コイルCYBのコイルパターンは、自身に流れる電流と、第2鉛直駆動用磁力発生体MYBの磁界から生ずる電磁力により、第2鉛直駆動用コイルCYBを含む移動ユニット15aをy方向に移動させる駆動力を発生すべく、x方向に平行な線分を有する。
【0040】
第1、第2ヨークYA、YBは、第1、第2水平駆動用磁力発生体MXA、MXB、及び第1、第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBの磁界が周囲に漏れにくくして、第1水平駆動用コイルCXAと、第1水平駆動用磁力発生体MXAとの間の磁束密度、第2水平駆動用コイルCXBと、第2水平駆動用磁力発生体MXBとの間の磁束密度、第1鉛直駆動用コイルCYAと、第1鉛直駆動用磁力発生体MYAとの間の磁束密度、及び第2鉛直駆動用コイルCYBと、第2鉛直駆動用磁力発生体MYBとの間の磁束密度を高める役割を果たす。
【0041】
本実施形態に係る像ぶれ補正装置では、不図示の角速度センサによってカメラ本体のぶれ量が検知され、不図示のCPUにおいて一定時間に、撮像素子ISで生じた像ぶれ量が演算され、その像ぶれ量に応じた撮像素子ISの変位すべき目標位置が算出される。目標位置が算出されると、各コイルに電流が入力され、目標位置に撮像素子ISを変位させるべく、電磁力によって移動ユニット15aがxy平面上に移動させられる。
【0042】
水平位置検出素子40Aは、第1水平駆動用磁力発生体MXAから発生する磁界の変化からx方向における固定ユニット15bに対する移動ユニット15aの相対的な変位量を検出する。第1及び第2鉛直位置検出素子41A、41Bは、それぞれ第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBが発生する磁界の変化からy方向における固定ユニット15bに対する移動ユニット15aの相対的な変位量を検出する。CPUは、これら変位量を参照しつつ、コイルに入力される電流を調整し、撮像素子ISを目標位置に変位させ、これにより像ぶれ補正が行われる。
【0043】
図4、5は第1ヨークYAの正面図、背面図である。第1ヨークYAには、第1水平駆動用磁力発生体MXAが設けられた位置に対応して、y方向に沿って並べられる一対の第1及び第2ガイド孔53A、53Bが設けられる。第1及び第2ガイド孔53A、53Bは、正面YA1の反対側の面である背面YA2から正面YA1まで貫通し、x方向に長く延びる長孔である。
【0044】
第1水平駆動用磁力発生体MXAは、y方向に延びる第1及び第2磁石50A、50Bを、非磁性体で構成されるスペーサ51を介して接合されて形成され、第1及び第2磁石50A、50Bはx方向に沿って並ぶように配置される。スペーサ51のy方向の長さは、第1及び第2磁石50A、50Bのy方向の長さよりも短く、スペーサ51のy方向における両端は、第1及び第2磁石50A、50Bのy方向における両端より凹んでおり、これらの凹部は第1及び第2切り欠き52A、52Bとして形成される。
【0045】
第1磁石50Aは、図4において紙面手前側(移動ユニット15a側)がS極、紙面奥側(レンズ鏡筒2側)がN極となる。第2磁石50Bは、手前側(移動ユニット15a側)がN極、奥側(レンズ鏡筒2側)がS極となり、N極、S極が第1磁石50Aと反対に配置される。したがって、第1水平駆動用磁力発生体MXAの第1鉛直位置検出素子40A(図2参照)に対向する対向面には、N極と、S極がx方向に沿って並ぶように配置される。
【0046】
第1及び第2切り欠き52A、52Bは、それぞれ第1及び第2ガイド孔53A、53Bに重ねられて配置される。したがって、第1及び第2ガイド孔53A、53Bは第1水平駆動用磁力発生体MXAのy方向における中心位置Cを挟むように配置される。また、切り欠き52A、52Bのx方向における幅は、ガイド孔53A、53Bの長さよりも短い。したがって、ガイド孔53A,53Bはx方向における両端がそれぞれ第1及び第2磁石50A、50Bに覆われていると共に、その中央部は切り欠き52A、52Bに重ねられて配置されている。
【0047】
第1ヨークYAにおいて、第1水平駆動用磁力発生体MXAが重ねられた位置には、さらに略円形の第1〜第4注入孔54A〜54Dが設けられる。第1及び第2注入孔54A、54Bの上には、第1磁石50Aが重ねられ、かつ第1及び第2注入孔54A、54Bは第1水平駆動用磁力発生体MXAのy方向における中心位置Cを挟むように設けられる。第1及び第2注入孔54A、54Bは、それぞれ第1及び第2ガイド孔53A、53Bの近傍であって、これらより中心位置Cに近い位置に配置される。
【0048】
第3及び第4注入孔54C、54Dの上には、第2磁石50Bが重ねられ、かつ第3及び第4注入孔54C、54Dは中心位置Cを挟むように設けられる。第1及び第2注入孔54A、54Bは、それぞれ第1及び第2ガイド孔53A、53Bの近傍であって、これらより中心位置Cに近い位置に配置される。
【0049】
なお、第2水平駆動用磁力発生体MXBは、第1水平駆動用磁力発生体MXAと同様の構成を有するので、その説明は省略する。なお、第1ヨークYAの第2水平駆動用磁力発生体MXBに対応した位置には、同様にガイド孔53A、53B、注入孔54A〜54Dが設けられる。
【0050】
また、第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA,MYBは、第1水平駆動用磁力発生体MXAが90°反転した形状を呈している以外、磁力発生体MXAと同様の構成を有するのでその説明は省略する。また、第1ヨークYAの磁力発生体MYA,MYBに対応した位置には、同様にガイド孔53A、53B、注入孔54A〜54Dが設けられるが、これらも90°反転した形状を呈する。なお、複数の注入孔のうち一部の注入孔は、他の注入孔より大きく形成されるが、他の注入孔と同一の大きさであっても良い。
【0051】
次に、本実施形態に係る防振ユニットの組み立て方法を説明する。本実施形態においては、まず、撮像板基板45上に、ローパスフィルタLF、撮像素子IS、コイルCXA、CXB、CYA、CYB、及び位置検出素子40A、41A、41Bが取り付けられると共に、第1ヨークYA上に磁力発生体MXA、MXB、MYA、MYB、ボール受け、及びボール等が取り付けられる。また、第2ヨークYBも同様にボール受け、ボール等が取り付けられる。
【0052】
第1ヨークYAは、磁性体で構成されており、磁力発生体MXA、MXB、MYA、MYBは磁力によって第1ヨークYAに吸着して取り付けられている。各磁力発生体MXA、MXB、MYA、MYBは、第1ヨークYAに取り付けられるとき、各切り欠き52A、52Bが、第1及び第2ガイド孔53A、53Bそれぞれに重ねられるように配置される。
【0053】
次いで、第1及び第2ヨークYA、YBは、撮像板基板45を挟み込むように、配置され、第1〜第5支柱31A〜31Eによって、移動ユニット15aと可動部材15bが組み立てられる。すなわち、各第1〜第5支柱31A〜31Eの一端が、第1ヨークYAの第1〜第5取付部33A1〜33E1に取り付けられると共に、他端が、第2ヨークYBの第6〜第10取付部33A2〜33E2に螺子等によって取り付けられる。このとき、各第1支柱〜第3支柱31A〜31Cは、それぞれ第2ヨークYBの第1〜第3移動ユニット規制部34A〜34C内部に挿通されると共に、第4及び第5支柱31D、31Eはそれぞれ、第4、第5移動ユニット規制切り欠き34D、34E内を通される。
【0054】
このように、像ぶれ補正装置が組み立てられると、第1ヨークYAの正面YA1は、撮像板基板45の位置検出素子40A、41A,41Bが設けられた対向面45Aに対向する。したがって、第1水平駆動用磁力発生体MXA、第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBは、それぞれ水平位置検出素子40A、及び鉛直位置検出素子41A、41Bに対向することとなる。なお、第2水平駆動用コイルCXBのコイル中心位置には、位置検出素子が設けられないので、第2水平駆動用磁力発生体MXBは位置検出素子には対向しない。
【0055】
ここで、水平位置検出素子40Aは、その分解能を最大にするためには、移動ユニット15aが基準位置に配置されるとき、第1水平駆動用磁力発生体MXAのx方向における中心位置D(すなわち、水平位置検出素子40Aに対向する磁力発生体MXAの対向面に設けられたN極とS極の境界位置)に対向しなければならない。しかし、位置検出素子や磁力発生体は、第1ヨークYAや撮像板基板45に取り付けられるとき等に、取り付け誤差が生じ、例えば水平位置検出素子40Aは、磁力発生体MXAの中心位置Dに対向するように、必ず配置されているわけではない。
【0056】
したがって、本実施形態では、移動ユニット15aと可動部材15bが組み立てられた後、移動ユニット15aを基準位置に配置させ、水平位置検出素子40Aからのホールセンサ出力信号に基づき、第1水平駆動用磁力発生体MXAの水平位置検出素子40Aに対する相対的な位置を検知する。そして、この検知結果に基づき、水平位置検出素子40Aが磁力発生体MXAのx方向における中心位置D又は中心位置D近傍に対向するように、磁力発生体MXAが移動させられ、これにより磁力発生体MXAの取付位置が調整される。
【0057】
図6は、磁力発生体の取付位置調整方法を示すための斜視図である。本方法において、磁力発生体が移動させるために、調整具70が使用される。調整具70は、一対の平行に延びる棒状部71と、棒状部71を連設する1本の連設部72とによって、一体に形成される。連設部72の長さは、各磁力発生体それぞれに重ねられて設けられた一対の第1及び第2ガイド孔53A、53Bの離間距離に一致する。
【0058】
一対の棒状部71のうち一方の棒状部71は、重ねられて設けられた第1ガイド孔53A及び第1切り欠き52A内部に挿通させられると共に、他方の棒状部71は、重ねられて設けられた第2ガイド孔53B及び第2切り欠き52B内部に挿通させられる。このような状態で、調整具70は、x方向に移動させられ、一対の棒状部71はそれぞれガイド孔53A、53Bの長手方向(x方向)に沿って移動させられる。この移動により、一対の棒状部71はそれぞれ第1及び第2切り欠き52A,52Bに係合すると共に、第1水平駆動用磁力発生体MXAをx方向に押すこととなる。
【0059】
ここで、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、磁力によって第1ヨークYAに吸着している。したがって、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、一対の棒状部71によって押されると、第1ヨークYAと吸着しつつ、正面YA1上をx方向に沿って移動する。
【0060】
例えば、調整具70が図6に示す矢印方向に移動させられると、各棒状部71は第1磁石50Aの側壁に係合すると共に、その側壁を押すこととなり、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、矢印方向に移動する。一対の棒状部71が矢印方向と逆方向に押された場合も同様に、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、矢印方向の逆方向に移動する。このように、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、x方向に沿って移動され、配置位置が調整可能である。
【0061】
第1水平駆動用磁力発生体MXAの配置位置が調整され、水平位置検出素子40Aが磁力発生体MXAのx方向における中心位置D又は中心位置D近傍に対向するよう配置されると、次に第1〜第4注入孔54A〜54D(図5参照)から接着剤が注入される。接着剤は第1ヨークYAと第1水平駆動用磁力発生体MXAの間に入り込んだ後硬化されて、これにより第1水平駆動用磁力発生体MXAは第1ヨークYAの上に固定される。第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBも同様に配置位置が調整された後、接着剤によって第1ヨークYA上に固着される。
【0062】
但し、第2水平駆動用磁力発生体MXBの対向する位置には、位置検出素子が設けられないので、第2水平駆動用磁力発生体MXBは配置位置が調整されずに接着剤によって第1ヨークYAに固着される。なお、接着剤としては、好ましくは光硬化性樹脂が使用される。
【0063】
図7は、水平位置検出素子40Aの制御回路の構成図である。水平位置検出素子40Aは、CPU80によって制御されている。第1水平駆動用磁力発生体MXAの配置位置が調整されるとき、CPU80の端子DAから所定のアナログ信号が出力され、電圧/電流変換器81に入力される。電圧/電流変換器81では、アナログ信号が所定の電流に変換され、水平位置検出素子40Aに基準電流値Iの電流が流される。
【0064】
水平位置検出素子40Aでは、基準電流値Iの入力と、水平位置検出素子40Aにおける磁束密度に応じて、ホール出力信号をアナログ信号として出力する。ホール出力信号はホールセンサ信号処理回路82で信号処理された後、CPU80に入力される。CPU80に入力されたホール出力信号は、端子ADでデジタル信号に変換される。CPU80は変換されたデジタル信号の出力値Pnを基に、第1水平駆動用磁力発生体MXAの水平位置検出素子40Aに対する相対位置を検出する。
【0065】
次いで、図8、9を用いて水平位置検出素子40Aの磁力発生体MXAに対する相対的な位置と、水平位置検出素子40Aによって発生されるホールセンサ出力信号との関係について説明する。図8は、第1水平駆動用磁力発生体MXAに対する水平位置検出素子40Aの相対位置(図8(a))、水平位置検出素子40Aにおける磁束密度(図8(b))、及びホールセンサ出力信号の出力値Pn(図8(c))の関係を示す。なお、以下の説明においては、水平位置検出素子40Aが、第1水平駆動用磁力発生体MXAのx方向における端部から端部までの位置に対向する場合の磁束密度、出力値Pnについて説明する。
【0066】
水平位置検出素子40Aが磁力発生体MXAの中心位置Dに対向して位置する場合、図8(b)に示すように、水平位置検出素子40Aにおける磁束密度は0になる。一方、水平位置検出素子40Aがその中心位置Dに対向する位置からx方向に第2磁石50B側にずれると、磁束密度は中心位置Dから離れるに従って比例的に大きくなる。また、水平位置検出素子40Aが中心位置Dに対向する位置からx方向に第1磁石50A側にずれると、磁束密度は中心位置Dから離れるに従って比例的に小さくなる。
【0067】
このように水平位置検出素子40Aにおける磁束密度が変化すると、ホールセンサ出力信号の出力値Pnも、図8(c)に示すように、磁束密度の変化に従って比例的に変化する。すなわち、ホールセンサ出力信号の出力値Pnは水平位置検出素子40Aの磁力発生体MXAに対する相対的な位置に応じて変化する。
【0068】
例えば、図9(b)に示すように、水平位置検出素子40Aが中心位置Dに対向して設けられると、出力値Pnは基準値(0)となる。一方、図9(a)に示すように、水平位置検出素子40Aが中心位置Dよりも第1磁石50A側にずれた位置に対向している場合、出力値Pnは負の値となり、その値はずれ量Tに比例して小さくなる。また、図9(c)に示すように、水平位置検出素子40Aが中心位置Dよりも第2磁石50B側にずれた位置に対向している場合、出力値Pnは正の値となり、その値はずれ量Tに比例して大きくなる。したがって、水平位置検出素子40Aが中心位置D又は中心位置D近傍に対向して配置されている場合、出力値Pnの絶対値は0、又は0に近い値(閾値S以下の値)となる。
【0069】
次いで、図10のフローチャートを用いて、本実施形態における磁石位置調整ルーチンについて詳細に説明する。磁石位置調整ルーチンは、移動ユニット15aと固定ユニット15bとが組み立てられ、さらに移動ユニット15aが基準位置にある状態に調整された後実施される。また、ルーチンが始められる前に、調整具70が用意され、一方の棒状部71が第1ガイド孔53A、及び第1切り欠き52A内部に挿通され、他方の棒状部71が第2ガイド孔53B、及び第2切り欠き52Bに挿通されている。なお、本ルーチンが始まる前、第1水平駆動用磁力発生体MXAは接着剤によって、第1ヨークYAに固着されておらず、調整具70によって移動可能である。
【0070】
本ルーチンが開始されると、まずステップS105で水平位置検出素子40Aに入力される電流値が、基準電流値Iに設定され、水平位置検出素子40Aへの電流入力が開始される。
【0071】
ステップS110では、水平位置検出素子40Aからのホール出力信号を読み取り、ホール出力信号の出力値Pnが検出される。ステップS120では、出力値Pnの絶対値が算出され、その絶対値と予め設定された閾値Sとが比較される。ここで、絶対値が閾値S以下ならば、出力値Pnは0、又は0に近い値となっているので、水平位置検出素子40Aが中心位置D又は中心位置D近傍に対向して配置されていると判定され、本ルーチンは終了する。
【0072】
ステップS120において、絶対値が閾値Sより大きいと判定されたとき、水平位置検出素子40Aは中心位置D又は中心位置D近傍からずれて配置されている。したがって、ステップS130に進み、磁石の配置位置が調整される。
【0073】
磁石の配置位置の調整は、図11に示すサブルーチンで行われる。本サブルーチンでは、まずステップS200において出力値Pnが0より大きいか否かが判定される。出力値Pnが0より大きい場合、水平位置検出素子40Aは中心位置Dより第2磁石50B側にずれていることとなる。したがって、ステップS210において、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、調整具70によって、x方向に沿って第2磁石50B側に、所定量移動させられる。
【0074】
一方、出力値Pnが0より小さい場合、水平位置検出素子40Aは中心位置Dより第1磁石50B側にずれていることとなる。したがって、ステップS220において、第1水平駆動用磁力発生体MXAは、調整具70によって、x方向に沿って第1磁石50B側に、所定量移動させられる。
【0075】
第1水平駆動用磁力発生体MXAの移動が終了すると、再度ステップS110に戻り、ホール出力信号が再度読み取られ、出力値Pnと閾値が比較される。そして、ステップS120で水平位置検出素子40Aが中心位置D又は中心位置D近傍に対向して配置されているか否かが判定される。そして、中心位置D又は中心位置D近傍に対向して配置されていると判定されると、本ルーチンは終了する。対向して配置していない場合、さらに第1水平駆動用磁力発生体MXAの位置調整が行われる。
【0076】
本ルーチンが終了すると、一対の棒状部71が第1及び第2ガイド孔53A、53B、第1及び第2切り欠き52A、52Bから取り外される。そして、第1〜第4注入孔54A〜54Dから接着剤が流入され、第1水平駆動用磁力発生体MXAが、第1ヨークYA上に固定される。
【0077】
なお、以上の説明においては、第1水平駆動用磁力発生体MXAの配置位置の調整方法について説明したが、第1及び第2鉛直駆動用磁力発生体MYA、MYBについても同様の方法で配置位置が調整される。
【0078】
以上のように本実施形態では、移動ユニット15aが基準位置にある状態で、位置検出素子によって、位置検出素子が磁力発生体の中心位置Dに配置されていないと判定された場合、調整具70を用いて、磁力発生体の配置位置が調整される。したがって、磁力発生体の配置位置が正確な位置に調整されるので、位置検出素子の分解能を高めることができる。
【0079】
また、各磁力発生体は、所定の方向に延びるガイド孔に沿って移動する2本の棒状部によって押されて移動するが、2本の棒状部は一体的に形成され、かつ例えば連設部が支持機構に支持されて直線的に、同距離移動させられる。したがって、2本の棒状部の移動量及び磁力発生体を押す力は同一となり、磁力発生体は所定の方向(例えばx方向)に対して傾くことなく、直線的に移動させることができる。また、2本の棒状部は、連設部によって一体的に形成されていなくても良いが、この場合も、2本の棒状部は支持機構に支持されて、直線的に同距離移動させられれば、磁力発生体は所定の方向(例えばx方向)に対して傾くことなく、直線的に移動させることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、撮像素子ISを含む撮像板基板45が移動ユニット15aに配置されてxy平面上を移動する形態を説明したが、撮像素子ISは固定され、像ブレ補正レンズ(不図示)が移動ユニット15aに配置されて移動する形態でも同様の効果が得られる。
【0081】
また、本実施形態においては、棒状部が係合される係合部は切り欠きであったが、棒状部が係合して磁力発生体を移動させることができるものであれば、他の形状を呈していても良い。例えば、係合部は磁力発生体に設けられた凸部でも良い。また、例えば係合部は磁力発生体に設けられた中空部であっても良い。
【0082】
さらに本実施形態では、可動ユニット15aが位置検出素子を有し、固定ユニット15bが磁力発生体を有していたが、可動ユニット15aが磁力発生体を有し、固定ユニット15bが位置検出素子を有していても良い。
【0083】
なお、本実施形態では、“ガイド孔”は周囲が全て閉ざされた“孔”であるが、周囲の一部が開口された“溝”であっても良い。但し、本発明では、“ガイド孔”は周囲が全て閉ざされた“孔”であったほうが良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態におけるカメラ本体の外観を示す斜視図である。
【図2】防振ユニットを第1ヨーク側から見た分解斜視図である。
【図3】防振ユニットを第2ヨーク側から見た分解斜視図である。
【図4】第1ヨークの正面図である。
【図5】第1ヨークの背面図である。
【図6】磁力発生体を移動させるときの様子を示す模式的な斜視図である。
【図7】水平位置検出素子の制御回路の構成図である。
【図8】位置検出素子における位置と、磁束密度及びホール出力信号との関係を示すグラフである。
【図9】位置検出素子の位置に応じたホール出力信号の出力値を示すための図である。
【図10】磁石位置調整ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】磁石位置調整ルーチンのサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 カメラ本体
2 レンズ鏡筒
10 防振ユニット
15a 移動ユニット
15b 固定ユニット
40A 水平位置検出素子
41A、41B 第1、第2鉛直位置検出素子
45 撮像板基板(可動部材)
50A、50B 第1、第2磁石
52A、52B 第1、第2切り欠き(係合部)
53A、53B 第1、第2ガイド孔
54A〜54D 第1〜第4注入孔
70 調整具
71 棒状部
CXA、CXB 第1、第2水平駆動用コイル
CYA、CYB 第1、第2鉛直駆動用コイル
IS 撮像素子
MXA、MXB 第1、第2水平駆動用磁力発生体
MYA、MYB 第1、第2鉛直駆動用磁力発生体
O 光軸
YA 第1ヨーク(固定部材)
YB 第2ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と、
前記可動部材を移動自在に支持する固定部材と、
前記可動部材及び固定部材のいずれか一方の部材の一方の面に固定される磁力発生体と、
前記可動部材及び固定部材の他方の部材に取り付けられるとともに、前記磁力発生体から発生する磁界の変化を検出し、前記可動部材の前記固定部材に対する相対位置を検知する位置検出素子とを備える位置検出装置において、
前記一方の部材には、前記一方の面の反対側の面から前記一方の面まで貫通し、前記磁力発生体を前記一方の面に沿って移動させるための棒状部を挿通可能なガイド孔が設けられ、
前記磁力発生体には、前記ガイド孔に対応する位置に配置され、前記棒状部が係合可能な係合部が設けられ、
前記磁力発生体は、前記棒状部が前記ガイド孔に挿通した上で前記係合部に係合する状態で、前記棒状部の移動に伴い前記一方の面に沿って移動させられて、配置位置が調整された後、前記一方の面に固定されることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記位置検出素子は、前記一方の面に平行な第1の方向における前記相対位置を検知すると共に、前記磁力発生体に対向して設けられ、
前記磁力発生体の前記位置検出素子に対向する対向面には、N極と、S極が前記第1の方向に沿って並ぶように配置され、かつ前記磁力発生体は前記棒状部によって前記第1の方向に沿って移動させられたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記ガイド孔は、第1の方向に長く延びる長孔であると共に、前記係合部は切り欠きであり、
前記長孔の一部に前記切り欠きが重ねられるように、前記磁力発生体が取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記可動部材が基準位置にあるとき、前記位置検出素子が、前記対向面に並べられたN極とS極の境界位置、またはその境界位置近傍に対向して配置されるように、前記磁力発生体が前記一方の部材に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記磁力発生体は、前記対向面にN極が配置された第1の磁石と、前記対向面にS極が配置された第2磁石とを、非磁性体で構成されるスペーサを介して接合されて形成されると共に、前記第1及び第2磁石が第1の方向に沿って並ぶように配置され、
前記一方の面に平行でかつ前記第1の方向に垂直な第2方向における、前記スペーサの両端は、前記第1及び第2磁石の両端より凹んで切り欠きとして形成され、この切り欠きが前記係合部であることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記磁力発生体の位置検出素子に対する相対位置が、前記位置検出素子によって検知され、その検知結果に基づき、前記磁力発生体の配置位置の調整が行われることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記一方の部材はヨークであって、前記磁力発生体は前記一方の面に磁力により吸着しつつ、前記棒状部によって移動させられ、配置位置が調整されたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記磁力発生体は第1及び第2係合部を有すると共に、前記一方の部材は、第1及び第2ガイド孔を有すると共に、
前記第1及び第2ガイド孔それぞれに対応する位置に前記第1及び第2係合部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記磁力発生体が移動させられたとき、前記第1及び第2ガイド孔にはそれぞれ棒状部が挿通され、これら棒状部は一体に移動させられることを特徴とする請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記一方の部材の前記磁力発生体が重ねられた部分に、前記反対側の面から前記一方の面まで貫通する注入孔が設けられ、前記注入孔を介して接着剤が注入され、前記磁力発生体がその注入された接着剤によって前記一方の部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記可動部材には撮像素子又は像ぶれ補正レンズが取り付けられており、前記可動部材は像ぶれを補正するために移動させられることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項12】
可動部材及び前記可動部材を移動自在に支持する固定部材のいずれか一方の部材に、磁力発生体を取り付けるとともに、他方の部材に前記磁力発生体から発生する磁界の変化を検出し、前記可動部材の前記固定部材に対する相対位置を検知する位置検出素子を取り付けた後、前記位置検出素子に対する前記磁力発生体の取り付け位置を調整する位置調整方法において、
前記磁力発生体は係合部を有すると共に、前記一方の部材は一方の面から他方の面に貫通するガイド孔を有し、
前記ガイド孔に対応する位置に前記係合部が配置するように、前記磁力発生体を前記一方の面に取り付けた後、前記ガイド孔に棒状部を挿通すると共に、その挿通した棒状部に前記係合部を係合させた状態で、前記棒状部を移動させることによって前記磁力発生体を前記一方の面に沿って移動させ、前記磁力発生体の前記位置検出素子に対する位置を調整することを特徴する取付位置調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−20704(P2008−20704A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192722(P2006−192722)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】