説明

取付金具を有するアンテナカプラ

【課題】モバイル送信機及び/又は受信機の搭載面(3)、並びに少なくとも1つのアンテナ素子(5)を有することを特徴とする、モバイル送信機及び/又は受信機、特に携帯電話(2)テスト用のアンテナカプラ(1)である。
【解決手段】取付金具(9)が搭載面(3)に配置されることを特徴とするモバイル送信機及び/又は受信機、特に携帯電話(2)テスト用のアンテナカプラ(1)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機及び/又は受信機、特にブルートゥース規格に準拠して動作する携帯電話又はモバイル機器をテストするためのアンテナカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話テスト用アンテナカプラは、特許文献1で開示され、既に公知である。この従来のアンテナカプラを用いて、携帯電話用搭載素子がプリント回路基板に取り付けられている。ロッドアンテナは、特にダイポールアンテナとして動作し、ストリップライン技術によってプリント回路基板に形成されている。アンテナカプラの実質的な特性の1つとして、全放射電力に対する受容電力の比を特定するカップリング係数が挙げられる。従来の装置は、携帯電話のアンテナ位置の変化に対して非常に感度良く反応するため、搭載素子に取り付けられた携帯電話の種類毎にカップリング係数は異なる。
【0003】
さらに、モバイル送信機及び/又は受信機、特に携帯電話テスト用のアンテナカプラが、特許文献2に開示されている。このアンテナカプラは、モバイル送信機及び/又は受信機用の搭載素子及び/又は搭載面と、少なくとも1つのアンテナ素子を備えている。ここでは、アンテナ素子は、ループとして形成され、空間的に少なくとも実質的に閉じたループである。
【0004】
上記アンテナカプラの欠点は、特に、異なる構造形状の携帯電話を該アンテナカプラに対して確実にカップリングするように各搭載素子に配置出来ないことである。結果として、高水準のカップリング減衰が起こり、携帯電話テストが妨害されるか、完全に阻止される。
【0005】
【特許文献1】独国特許第197 32 639C1号明細書
【特許文献2】独国特許公開第101 29 408A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、所望の送信機及び/又は受信機、例えば、異なる構造設計の携帯電話を、最適な方法で収容してテストするように設計されたアンテナカプラを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の特徴を有するアンテナカプラによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いかなる形状の携帯電話でも、斜め配置によるカップリング減衰を起こさずに再現可能な位置に簡単に取り付けることができる取付金具が、搭載面に有利に配置されている。
【0009】
さらに、本発明の有利な進展は従属項に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を図面を参照して詳細に説明する。
本発明の測定を説明するために、先行技術の一実施形態に係わるアンテナカプラ1の平面図を図1に示す。アンテナカプラ1を使用して携帯電話2をテストする。この目的のため、搭載面3に取り付けられたアンテナカプラ1の搭載素子4により、携帯電話2をアンテナ素子5の上方に置く。ここで、アンテナ素子5は、空間的に少なくとも実質的に閉じたループとして設計されていることが好ましいが、例えば、ストリップラインロッド・アンテナ、又はスロット・アンテナとしても設計可能である。搭載素子4は、測定中の携帯電話2の所望位置の特定、及び位置ずれを防ぐことを目的とする。特に、この目的のために、搭載素子4は、携帯電話2を固定するための固定素子6を数個備えている。
【0011】
携帯電話2の内部に破線で示す携帯電話2のアンテナ7は、前記搭載により、アンテナ素子5の上方に配置される。アンテナ7の正確な位置は外側から容易に判断できないため、アンテナ素子5上方でアンテナを正確に中心に配置するのは困難、即ち、面倒なキャリブレーションによってのみ可能である。アンテナ7が携帯電話の筐体8の中に完全に収容されている場合は、携帯電話2のテストがより困難な状況になる。異なる携帯電話2に対して正確な空間的位置調整を行う必要がある場合、これもまた難しくなる。
【0012】
更に問題なのは、搭載素子4が、固定素子6間の所定の幅を超えないサイズの携帯電話2だけにしかに適していないことである。しかしながら、近頃、多くの携帯電話2は、カメラ付きなどの幅広い付加機能を考慮して、折りたたみ、または回転するような形状に非常に様々に設計されており、そのような携帯電話は、辛うじて搭載素子4に取り付けできるか、又は全く取り付けることができない。その結果、カップリング値が劇的に低下するため、テストできない場合がある。
【0013】
本発明は、アンテナカプラ1を提案することで上記の問題を解決する。アンテナカプラ1によれば、任意の携帯電話2が確実にテスト可能になる。本発明により設計されるアンテナカプラ1の一実施形態の部品を図2(a)及び(b)に概略図として示す。
【0014】
本発明によれば、図2(b)の斜視図及び下面図に示すように、取付金具9が提供される。これは、図2(a)に示すように、ピン10によりアンテナカプラ1の搭載面3に取り付け可能である。ここでは、取付金具9は、略直交する、長さが異なってもよいアーム13を2つ備えており、テスト対象である携帯電話2の搭載台となる。ピン10は、取付金具9の搭載面3に面する側に配置され、アンテナカプラ1の搭載面3における開口部11に挿入可能である。これらの開口部11は、搭載面3上に矩形ラスタ12状に配置される。開口部11間の間隔距離は、両方の空間方向に略同一である。符号5’及び5”は、搭載面3の上面のマーキングを示し、搭載面3下方のループ状アンテナ素子5の位置に対応する。
【0015】
取付金具9はラスタ12上で調節可能であるため、任意の形状の携帯電話2をアンテナカプラ1上に置くことが可能であり、マーキングを適切に選択することで個々のモデルに対して位置を再現できる。これを達成するため、例えば、水平軸(x軸)を文字でマーキングし、垂直軸(y軸)を数字でマーキングして、所定の位置を簡単に位置決めできる。このため、取付金具9の角17で固定されるピン10を基準点として使用するのが好ましい。基準マーキングを図2(a)に一例として示すが、見やすくするために他の図面ではこれを省略する。
【0016】
搭載面3上に取付金具9で異なる形状の携帯電話を位置決めする例を、図3〜図5に一例として概略的に示す。取付金具9のピン10の位置は、差込位置を示すためにそれぞれ破線で示す。
【0017】
図3及び図4に示す携帯電話は、それぞれ従来の携帯電話2とは異り、幅広い形状である。目に見えるアンテナ7を有していないため、従来のアンテナカプラ1ではテストに困難を伴うか、又は全くテストできない。しかしながら、本発明により設計されたアンテナカプラ1では簡単、且つ確実に位置決めできる。位置が望ましくない場合、例えば図4のように、より良くカップリングさせるために、ピンを再度位置決めすることで取付金具9の位置を簡単に変えることが出来る。ここでは、開口部11にピン10を差し込んだ状態の取付金具9を抜いて、例えば、更に左側の位置に再び挿入する。開口部11間の間隔距離を適切にし、且つ取付金具9のピン10間の間隔距離を適切に一致させることにより、十分なカップリングが得られる位置を携帯電話2の種類ごとに常に確実に見つけることができる。
【0018】
図5は、折りたたみ式携帯電話2を示し、これもまた、本発明により設計したアンテナカプラ1及び取付金具9を使用して簡単な方法でテストできる。しかしながら、横向きに配置した携帯電話2の安定性を向上するために、また、携帯電話2が、バネ式であることが多いヒンジ16を介して折り曲って閉じてしまうのを防ぐために、携帯電話2は、折り曲げて開いた状態でも搭載面3に配置可能であり、折曲がりにより閉状態になるのを適切な手段で防ぐことができる。
【0019】
この目的のため、1つ以上の保持素子14を設けることができる。適切な保持素子14の一例を図2(c)に示す。保持素子14もまた、ピン10を備えるため、搭載面3に差込可能であり、また、搭載面3に対して携帯電話2を押しつけるための傾斜アーム15を備える。
【0020】
したがって、図6に示すように、携帯電話2は、測定プロセス中に閉状態に折りたたまれないように、折り曲げて開いた状態で取付金具9に取り付け、1つ又は2つの保持素子14で固定可能である。ピン10を用いて、保持素子14もまた、任意の所望の位置に移動可能であり、携帯電話2を最善の方法で搭載面3に対して押しつけることができる。
【0021】
本発明に係わるアンテナカプラ1の設計の更なる態様は、取付金具9が回転可能な設計である。この目的のため、取付金具9には、基準点として使用するピン10だけが設けられ、取付金具9の角17に配置される。その結果、ピン10は、開口部11の1つに差し込み可能であり、そして、取付金具9は、このピン10を軸に好適な位置に回転可能である。これによりまた、様々な形状の携帯電話2に対する位置決めが更に最適化され、カップリングが改善される。取付金具9の角度位置を読み取る目盛りを搭載面3に設けることが出来る。
【0022】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。特に、前記アンテナカプラは、所望の送信機及び/又は受信機、又は各送信装置及び/又は受信装置のテストに適切であり、好適には携帯電話2のテストに使用される。上記に示す、又は上記を特徴とする本発明の全ての特徴は、必要に応じて互いに併用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来のアンテナカプラの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、本発明により設計したアンテナカプラの一実施形態の部品の概略図を示す。
【図3】図3は、本発明により設計したアンテナカプラ上の第1携帯電話の図を示す。
【図4】図4は、本発明により設計したアンテナカプラ上の第2携帯電話の図を示す。
【図5】図5は、本発明により設計したアンテナカプラ上の第3携帯電話の図を示す。
【図6】図6は、本発明により設計したアンテナカプラ上の第3携帯電話の第2の位置の図を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 アンテナカプラ
2 携帯電話
3 搭載面
4 搭載素子
5 アンテナ素子
6 固定素子
7 アンテナ
8 筐体
9 取付金具
10 ピン
11 開口部
12 ラスタ
13、15 アーム
14 保持素子
16 ヒンジ
17 角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル送信機及び/又は受信機、特に携帯電話(2)テスト用のアンテナカプラ(1)であって、
前記モバイル送信機及び/又は受信機の搭載面(3)と、少なくとも1つのアンテナ素子(5)とを有し、取付金具(9)が前記搭載面(3)上に配置されることを特徴とするアンテナカプラ(1)。
【請求項2】
前記取付金具(9)が、同じ又は異なる長さの直交する2つのアーム(13)を備える請求項1に記載のアンテナカプラ。
【請求項3】
前記取付金具(9)が、ラスタ(12)に沿って2方向の空間に移動可能なように配置される請求項1又は2に記載のアンテナカプラ。
【請求項4】
前記取付金具(9)が、前記搭載面(3)に面する側に1つ以上のピン(10)を備える請求項1から3のいずれかに記載のアンテナカプラ。
【請求項5】
前記ピン(10)が、前記搭載面(3)の開口部(11)に差し込み可能である請求項4に記載のアンテナカプラ。
【請求項6】
前記開口部(11)が、前記搭載面(3)に形成されたラスタ(12)の交差点に配置される請求項5に記載のアンテナカプラ。
【請求項7】
前記ラスタ(12)が、矩形状に形成される請求項6に記載のアンテナカプラ。
【請求項8】
前記ラスタ(12)における前記開口部(11)の間隔距離が一定である請求項5から7のいずれかに記載のアンテナカプラ。
【請求項9】
前記ラスタ(12)における前記開口部(11)の前記間隔距離が、両方の空間方向に略同一である請求項8に記載のアンテナカプラ。
【請求項10】
少なくとも1つの保持素子(14)を備える請求項1から9のいずれかに記載のアンテナカプラ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの保持素子(14)が、前記ピン(10)を備える請求項10に記載のアンテナカプラ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの保持素子(14)が、前記ピン(10)により前記搭載面(3)の前記開口部(11)に差し込み可能である請求項11に記載のアンテナカプラ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの保持素子(14)が、アーム(15)を備える請求項10から12のいずれかに記載のアンテナカプラ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの保持素子(14)が、前記アーム(15)による前記モバイル送信機及び/又は受信機、特に前記携帯電話(2)の前記搭載面(3)への押し付けに適している請求項13に記載のアンテナカプラ。
【請求項15】
前記取付金具(9)に単一のピン(10)だけが形成される請求項4に記載のアンテナカプラ。
【請求項16】
前記単一のピン(10)が、前記取付金具(9)の角(17)に形成される請求項15に記載のアンテナカプラ。
【請求項17】
前記取付金具(9)が、前記単一ピン(10)を軸に所望の角度位置に回転可能である請求項15又は16に記載のアンテナカプラ。
【請求項18】
少なくとも2つのピン(10)が前記取付金具(9)に形成されることで、前記取付金具(9)が前記搭載面(3)に回転可能に強固に固定される請求項4に記載のアンテナカプラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−533769(P2008−533769A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553532(P2007−553532)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000876
【国際公開番号】WO2006/082039
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(505369837)ローデ ウント シュバルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト (8)
【Fターム(参考)】