説明

取外し可能なカートリッジを備える壁取付け可能なプリンタ

【課題】優れたインクジェットプリンタユニットを提供する。
【解決手段】プリンタユニット(100)は、印刷媒体(132)上に印刷するための、取外し可能なページ幅印刷ヘッド(164)を組み込む印刷エンジン(130)と、印刷エンジンを収容し、プリンタユニットを懸架するようにほぼ垂直な平面に取付け可能となるように構成された、本体(102)と、を備える。そのような壁取付け可能なプリンタは、たとえば毎分30ページを超える高速、かつ、たとえば毎インチ約1200ドット以上の画像など高品質の印刷能力をもたらし、使用を簡易化すると共に、家庭、またはオフィス環境内の作業空間の設計に融合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁取付け可能な高速プリンタに関し、より詳細には、高品質で1分間に30ページ以上印刷することができると同時に、家庭またはオフィス環境の設計に調和させることができる、プリンタに関する。
【0002】
[同時係属出願]
以下の出願は、本出願と同時に本出願人によって出願された。
【表1】


これらの同時係属出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。上記出願は、その出願整理番号によって識別されており、この出願整理番号は譲渡後に、対応する出願番号で置き換えられる。
【0003】
[関連出願の相互参照]
本発明の出願人または譲受人によって出願される以下の特許または特許出願は、相互参照により本明細書に組み込まれる。
【表2】


【表3】


いくつかの出願は、整理番号によって列挙した。これらは、出願番号が知られたときに置き換えられる。
【背景技術】
【0004】
家庭またはオフィスの装飾内に電子機器を組み込むこと、およびオフィス環境内により小さくよりコンパクトな作業端末を提供するという最近の傾向に伴い、そのような機器を、利用可能な作業空間を最大にしながら、そのような装飾に合うように設計することが必要となってきた。プリンタなど、従来のオフィス機器によって占められる空間の大きさを減少させるという観点から、壁取付け可能なプリンタが提案されてきた。そのような提案は、プリンタを机の上から取り除くことによって、利用可能な空間の大きさの確保に成功しているが、これによって通常、印刷能力が低減され、美的な魅力が乏しく、使用者への複雑性が増した、プリンタユニットがもたらされてきた。
【0005】
すなわち、家庭または作業空間の設計に調和させることができると同時に、たとえば毎分30ページ(ppm)を超える高速、およびたとえば1インチ当たり約1200ドット(dpi)以上の高品質の印刷能力、ならびに使用の簡易化をもたらす、家庭およびオフィス環境の両方における使用に適した壁取付け可能なプリンタを提供することが必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、第1の態様において、印刷媒体上に印刷するための印刷エンジンと、印刷エンジンを収容し、ほぼ垂直な平面に懸架された状態で取り付けられるようになされる本体とを備える、プリンタユニットを提供し、印刷エンジンは、印刷媒体上に印刷するための取外し可能なページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0007】
印刷エンジンは任意で、本体に取外し可能に取り付けられた受け台ユニットと、印刷ヘッドを組み込み受け台ユニット内で取外し可能に受けられる、カートリッジユニットとを備える。
【0008】
カートリッジユニットは任意で、印刷媒体内への印刷のために印刷ヘッドがインクをそこからくみ出す、少なくとも1つのインク操作および保管リザーバをさらに組み込む。
【0009】
受け台ユニットは任意で、印刷ヘッドによって実行される印刷を制御するための、駆動電子部品を組み込む。
【0010】
本体は任意で、ほぼ垂直な平面に取付け可能に構成された裏面と、印刷エンジンを収容するように構成された内部区間とを備える。
【0011】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面に取り付けるための取付けボスを用いて構成される。
【0012】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面の頂面上に取り付けるためのフックと共に構成される。
【0013】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は、壁である。
【0014】
任意で、ほぼ垂直な平面は、オフィス端末のプライバシースクリーンである。
【0015】
任意で、本体の内部区間がさらに、ページ幅印刷ヘッドに印刷媒体を供給するための印刷媒体供給部に取り付けるように構成され、本体の前記裏面がさらに、ページ幅印刷ヘッドによってその上に印刷された印刷媒体を収集するための、拡張可能な印刷媒体コレクタを取り付けるように構成される、プリンタユニットが設けられる。
【0016】
本体は任意で、装飾を受けるようになされた前面を有する。
【0017】
本体は任意で、印刷開始時に、印刷された媒体を収集するために本体から自動的に拡張可能な、印刷媒体コレクタを収容するように構成される。
【0018】
ページ幅印刷ヘッドは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも20000個の印刷ノズルの2次元アレイとして構成される。
【0019】
ページ幅印刷ヘッドは任意で、毎秒少なくとも50000000液滴の速度で前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出することによって前記印刷媒体上に印刷するように構成された、インク吐出ノズルのアレイを組み込む。
【0020】
本発明は、第2の態様において、印刷媒体上に印刷するための印刷エンジンと、印刷エンジンを収容し、ほぼ垂直な平面に懸架された状態で取り付けられるようになされる本体とを備えるプリンタユニットを提供し、本体は、装飾を受けるようになされた前面を有する。
【0021】
前記装飾は任意で、絵、写真、印刷物、証明書、および絵画からなる群から選択されるもののうちの1つまたは複数である。
【0022】
前面は任意で、前記装飾を掲示するために、透明の窓およびその周りに構成された額縁を有する。
【0023】
額縁は任意で、本体の前面のサイズとほぼ同じサイズを有する。
【0024】
額縁は任意で、本体の前面から取外し可能となるように構成される。
【0025】
本体は任意で、ほぼ垂直な平面に取付け可能に構成された裏面と、印刷エンジンを収容するように構成された内部区間とをさらに有する。
【0026】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面に取り付けるための取付けボスを用いて構成される。
【0027】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面の頂面上に取り付けるためのフックを用いて構成される。
【0028】
印刷エンジンは任意で、本体の内部区間から取外し可能である。
【0029】
さらなる態様では、本体の内部区間がさらに、印刷媒体を印刷エンジンに供給するための印刷媒体供給部を取り付けるように構成され、本体の裏面がさらに、印刷エンジンによってその上に印刷された印刷媒体を収集するための、拡張可能な印刷媒体コレクタを取り付けるように構成される、プリンタユニットが提供される。
【0030】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は壁である。
【0031】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は、オフィス端末のプライバシースクリーンである。
【0032】
印刷エンジンは任意で、前記印刷媒体上に印刷するための取外し可能なページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0033】
本体は任意で、印刷が開始時に、印刷された媒体を収集するために本体から自動的に拡張可能な、印刷媒体コレクタを収容するように構成される。
【0034】
印刷エンジンは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも20000個の印刷ノズルの2次元アレイとして構成される、ページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0035】
印刷エンジンは任意で、毎秒少なくとも50000000液滴の速度で前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出することによって、前記印刷媒体上に印刷するように構成されたページ幅印刷ヘッドとして構成される、インク吐出ノズルのアレイを組み込む。
【0036】
本発明は第3の態様において、印刷媒体上に印刷するための印刷エンジンと、印刷エンジンを収容し、ほぼ垂直な平面に懸架された状態で取り付けられるようになされる本体とを備えるプリンタユニットを提供し、本体はさらに、印刷開始時に、印刷された媒体を収集するために本体から自動的に拡張可能な、印刷媒体コレクタを収容するように構成される。
【0037】
本体は任意で、ほぼ垂直な平面に取付け可能に構成された裏面と、印刷エンジンを収容するように構成された内部区間とを有する。
【0038】
印刷媒体コレクタは任意で、本体から実質的に突出しないように、本体の内部区間内へと収縮可能である。
【0039】
任意で、本体の内部区間はさらに、印刷媒体コレクタを本体内へと収縮させ本体外へと拡張させるように、印刷媒体コレクタの頂面に取り付けられたワイヤを2方向で巻き取るための、巻取り構成を用いて構成される。
【0040】
巻取り構成は任意で、ワイヤがその周りに巻き取られかつ巻き出される巻上げ機と、ワイヤを巻き取りかつ巻き出すように巻上げ機を動作させるためのモータとを備える。
【0041】
巻取り構成のモータは任意で、印刷エンジンによって実行される印刷を制御する、印刷エンジンの駆動電子部品によって、前記印刷媒体上に印刷する印刷エンジンに関連づけてワイヤを巻き取りかつ巻き出すように制御される。
【0042】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面に取り付けるための取付けボスを用いて構成される。
【0043】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面の頂面上に取り付けるためのフックを用いて構成される。
【0044】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は壁である。
【0045】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は、オフィス端末のプライバシースクリーンである。
【0046】
印刷エンジンは任意で、本体の内部区間から取外し可能である。
【0047】
任意で、本体の内部区間はさらに、印刷媒体を印刷エンジンに供給するための印刷媒体供給部を取り付けるように構成される。
【0048】
印刷エンジンは任意で、前記印刷媒体上に印刷するための取外し可能なページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0049】
本体は任意で、装飾を受けるようになされた前面を有する。
【0050】
印刷エンジンは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも20000個の印刷ノズルの2次元アレイとして構成された、ページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0051】
印刷エンジンは任意で、毎秒少なくとも50000000液滴の速度で前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出することによって、前記印刷媒体上に印刷するように構成されたページ幅印刷ヘッドとして構成される、インク吐出ノズルのアレイを組み込む。
【0052】
本発明は、第4の態様において、印刷媒体上に印刷するための印刷エンジンと、印刷エンジンを収容し、ほぼ垂直な平面に懸架された状態で取り付けられるようになされる本体とを備えるプリンタユニットを提供し、印刷エンジンは、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも20000個の印刷ノズルの2次元アレイとして構成されたページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0053】
ページ幅印刷ヘッドは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも30000個の印刷ノズルの2次元のアレイとして構成される。
【0054】
ページ幅印刷ヘッドは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも40000個の印刷ノズルの2次元のアレイとして構成される。
【0055】
ページ幅印刷ヘッドは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも50000個の印刷ノズルの2次元のアレイとして構成される。
【0056】
本体は任意で、ほぼ垂直な平面に取付け可能に構成された裏面と、印刷エンジンを収容するように構成された内部区間とを有する。
【0057】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面に取り付けるための取付けボスを用いて構成される。
【0058】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面の頂面上に取り付けるためのフックを用いて構成される。
【0059】
印刷エンジンは任意で、本体の内部区間から取外し可能である。
【0060】
さらなる態様では、本体の内部区間がさらに、ページ幅印刷ヘッドに印刷媒体を供給するための印刷媒体供給部を取り付けるようになされ、本体の裏面がさらに、ページ幅印刷ヘッドによってその上に印刷された印刷媒体を収集するための拡張可能な印刷媒体コレクタを取り付けるようになされる、プリンタユニットが提供される。
【0061】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は壁である。
【0062】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は、オフィス端末のプライバシースクリーンである。
【0063】
印刷エンジンは任意で、印刷媒体上に印刷するための、取外し可能なページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0064】
本体は任意で、装飾を受けるようになされた前面を有する。
【0065】
本体は任意で、印刷開始時に、印刷された媒体を収集するために本体から自動的に拡張可能な、印刷媒体コレクタを収容するように構成される。
【0066】
印刷ノズルは任意で、毎秒少なくとも50000000液滴の速度で前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出することによって、前記印刷媒体上に印刷するように構成される。
【0067】
本発明は第5の態様において、印刷媒体上に印刷するための印刷エンジンと、印刷エンジンを収容し、ほぼ垂直な平面に懸架された状態で取り付けられるようになされる本体とを備えるプリンタユニットを提供し、印刷エンジンは、毎秒少なくとも50000000液滴の速度で前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出することによって、前記印刷媒体上に印刷するように構成される、ページ幅印刷ヘッドとして構成されたインク吐出ノズルのアレイを組み込む。
【0068】
インク吐出ノズルのアレイは任意で、少なくとも毎秒100000000液滴の速度で、前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出するように構成される。
【0069】
インク吐出ノズルのアレイは任意で、少なくとも毎秒300000000液滴の速度で、前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出するように構成される。
【0070】
インク吐出ノズルのアレイは任意で、少なくとも毎秒1000000000液滴の速度で、前記印刷媒体の幅全体にわたりインク液滴を吐出するように構成される。
【0071】
本体は任意で、ほぼ垂直な平面に取付け可能に構成された裏面と、印刷エンジンを収容するように構成された内部区間とを有する。
【0072】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面に取り付けるための取付けボスを用いて構成される。
【0073】
本体の裏面は任意で、プリンタユニットをほぼ垂直な平面の頂面上に取り付けるためのフックを用いて構成される。
【0074】
印刷エンジンは任意で、本体の内部区間から取外し可能である。
【0075】
さらなる態様では、本体の内部区間がさらに、ページ幅印刷ヘッドに印刷媒体を供給するための印刷媒体供給部を取り付けるように構成され、本体の裏面がさらに、ページ幅印刷ヘッドによってその上に印刷される印刷媒体を収集するための、拡張可能な印刷媒体コレクタを取り付けるように構成される、プリンタユニットが提供される。
【0076】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は壁である。
【0077】
任意で、前記ほぼ垂直な平面は、オフィス端末のプライバシースクリーンである。
【0078】
印刷エンジンは任意で、前記印刷媒体上に印刷するための取外し可能なページ幅印刷ヘッドを組み込む。
【0079】
本体は任意で、装飾を受けるようになされた前面を有する。
【0080】
本体は任意で、印刷開始時に、印刷された媒体を収集するために本体から自動的に拡張可能な、印刷媒体コレクタを収容するように構成される。
【0081】
インク吐出ノズルのアレイは任意で、前記印刷媒体の幅全体にわたり印刷するための、少なくとも20000個のインク吐出ノズルの2次元アレイとして構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
図1および図2に、本発明の一実施形態によるプリンタ100の前面図を示す。プリンタ100は、本体102と、プリンタ100によって印刷されるべき印刷媒体を保管するための、本体102に蝶番で取り付けられた印刷媒体供給源トレイアセンブリ104と、供給源トレイアセンブリ104の外部前面に蝶番で取り付けられた面板106と、本体102からの供給源トレイアセンブリ104の蝶番動作を助けるために、供給源トレイアセンブリ104の上部外面上に設けられたハンドル108と、印刷された媒体を収集するために、本体102の底面から拡張することができる印刷媒体コレクタ110とを備える。供給源トレイアセンブリ104、面板106、およびコレクタ110は、組み合わさってプリンタ100の本体102の一部を形成することができる。
【0083】
図3に示すように、面板106は、面板106が供給源トレイアセンブリ104の外面に直に接触して嵌るように、面板106の裏面内に埋め込まれた蝶番112を用いて供給源トレイアセンブリ104に蝶番式に取り付けられる。面板106は、プリンタ100の使用者インターフェース114およびデータコネクタ116、または供給源トレイアセンブリ104の外面上に設けることができるその他何らかの構成要素へのアクセスがもたらされるように、供給源トレイアセンブリ104に蝶番式に取り付けられる。エンベロープ部分118をその上に有する、面板106の内面へのアクセスも、この方法でもたらされる。エンベロープ部分118は、面板106の外面上に設けられた透明部分または窓120(図1参照)を通して展示するための、絵、写真、印刷、証明書、絵画、および同様の装飾品のハウジングを、プリンタ100の前方に設ける。プリンタ100のこの態様は、以下でより詳細に説明する。
【0084】
図4を参照すると、印刷媒体コレクタ110が、本体102の底面からの(および底面内への)コレクタ110の拡張(および収縮)を駆動するために設けられた、巻取り構成122および結合されたモータ124と同様に、本体102の裏面内に収容されている。図5に示すように、コレクタ110は、その収縮位置で本体102内にほぼ収容されるが、コレクタ110の保持部分126は、本体102の底面の外側に設けられる。とはいえ、印刷された媒体を収集するために使用されないとき、コレクタ110は、取り付けられたプリンタ100の前方からわずかに分かるように本体102内に収容される。というのも、コレクタ110は、プリンタ100が取り付けられる壁またはその他のほぼ垂直な表面に対面する本体102自体によって、コレクタ110が本体102の裏面上にある状態で、実質的に隠されるからである。プリンタ100を壁などに取り付けるために、以下でより詳細に説明する、取付けボス128を設けることができる(図4参照)。
【0085】
図6、図7、および図8の、底面図、上面図、および側面図からそれぞれ分かるように、上述の構成要素を備えるプリンタ100は、比較的小型である。したがって、壁などに取り付けられると、プリンタ100はそこから最短距離だけ突出し、それによって、プリンタ100が占める空間の大きさが最小限に抑えられる。この小型であることは、印刷が実行されているときにプリンタ100から拡張され、使用されていないときに本体102内に収縮する、収縮可能/拡張可能コレクタ110によって、さらに助長される。さらに、印刷物などを受容することができる面板106を、トレイアセンブリ104の前面上に設けることによって、実際のプリンタ100自体は、以下の説明から当業者には明らかになるように、印刷していないときに視界から実質的に隠蔽または偽装することができる。
【0086】
図9に、その様々な構成要素を示す、プリンタ100の分解図を提供する。図から分かるように、プリンタ100は基本的に、本体102、供給源トレイアセンブリ104、面板106、およびコレクタ110のアセンブリとして構築され、図10にさらに示すように両方とも本体102内に収容される、供給源トレイアセンブリ104から供給される印刷媒体132上に印刷するための印刷エンジンアセンブリ130、ならびに、プリントエンジンアセンブリ130およびプリンタ100のその他の電子部品に電力を供給するための電源ユニット(PSU)134など、関連構成要素を備える。
【0087】
図10を参照すると、供給源トレイアセンブリ104は、その紙トレイ部分136内に、印刷用の印刷媒体132を保管することができるように構成される。プリント媒体132は、それぞれ約250枚、および最高500枚すなわち一連の、最高300gsmの紙を含む、様々なサイズの印刷媒体スタックの形で提供することができる。たとえば、図10では、供給源トレイアセンブリ104によってA4の紙が保持される。ただし、たとえば4インチ×6インチ紙などの写真印刷媒体、およびその他の媒体を保持することができる。以下の説明では、プリンタ100において使用するための印刷媒体を紙と呼ぶが、その他の形の印刷媒体も適用可能である。
【0088】
このように構築されるプリンタ100は、少なくとも1インチ当たり1200ドット(dpi)、好ましくは1600dpiの、いわゆる写真品質印刷をもたらす印刷解像度で、少なくとも毎分30ページ(ppm)、好ましくは少なくとも60ppmの速度にて情報を紙上に印刷することができる、プリンタとしての使用が意図されている。壁に取り付けられたままでこれらの能力を提供するために、プリンタ100が動作するやり方について議論する。
【0089】
図9および図10を再び参照すると、供給源トレイアセンブリ104内に、その外面を形成するように「パチンと嵌る」、カバー部分138が設けられる。カバー部分138は、それぞれ使用者インターフェース114およびデータコネクタ116を受け入れるための、切取り部分114aおよび116aを備える。供給源トレイアセンブリ104は、枢動部(図示せず)の周りで蝶番構成140によって本体102に蝶番式に取り付けられる。
【0090】
紙のスタック132は、供給源トレイアセンブリ104が本体102に取り付けられるときに本体102に面する、トレイ部分136の表面(トレイ)142上で受容および保持される。すなわち、スタック132は、トレイ142上に配置されることによって供給源トレイアセンブリ104上に装填され、トレイ142の停止プレート144およびフェンスプレート146を用いて、トレイ142上の所望の位置に保持される。
【0091】
これを行うために、複数の穴142aがマトリックスとしてトレイ142内に設けられ、停止プレート144およびフェンスプレート146のための様々な位置を提供する。停止プレート144は、トレイ142の複数の穴142aのうちのいくつかと係合するように構成された、タブ144aを有し、同様にフェンスプレート146は、トレイ142の穴142aのうちのいくつかと係合するための、タブ146aを有する。さらに、フェンスプレート146は、それがトレイ142を横切って横方向に摺動可能となるように、トレイ142上に設けられるロッド(図示せず)と係合するクリップ要素146bを有することができる。トレイ部分136、およびしたがって供給源トレイアセンブリ104は、プリンタ100と共に使用される最大サイズの紙を受け入れるのに十分なサイズに製作される。図示の実施形態では、この方法で受け入れることができる最大紙サイズは、A4紙である。ただし、プリンタ100は、異なる最大印刷媒体サイズを受け入れるように構成することができる。異なるサイズの紙は、図9および図10に示すように、停止プレート144およびフェンスプレート146を異なる位置へと穴142aを通して動かすことによって、供給源トレイアセンブリ104内に受け入れられる。様々なサイズの紙のスタックを、供給源トレイアセンブリ104内に受け入れるための上記構成は、単なる例に過ぎず、代替構造および機構を、本発明に従ってそのような紙のスタックを確実に保持するために使用することができることを、当業者は理解するであろう。
【0092】
供給源トレイアセンブリ104はまた、ピッカーアセンブリ148を収容し、ピッカーアセンブリ148は、スタック132から紙の個々のシートを、プリントエンジン130へと進めるように抜き取りかつ分離するために使用される。ピッカーアセンブリ148は、図11のプリンタ100の断面図において最も明確に示され、モータ152によって駆動される、少なくとも1つの「Dタイプ」駆動ローラ150を備えることができる。複数の駆動ローラ150を、図9に示すように、スタック132のシートを横切って延びるように設けることができるが、これに到達する長さを有する単一の駆動ローラ150も、本発明の範囲に包含される。
【0093】
図11に示す構成では、駆動ローラ150は、ピッカーアセンブリ148に対して露出されたスタック132から、最底部にあるシート132aを、(1つまたは複数の)ローラ150(図9も参照)の部分に対応する、トレイ142内に設けられた1つまたは複数の間隙153を通して抜き取るように、モータ152によって時計回りに回転される。駆動ローラ150の動作および速さは、プリンタ100の制御回路(図示せず)によって制御される。駆動ローラ150は、スタック132内の紙のシートを把持する、ゴムなどの表面を有する。本発明に従って、別のタイプのピッカー機構を使用することができることが理解されるであろう。
【0094】
図11から分かるように、トレイ142は、スタック132の最底部にあるシート132aを、印刷のために印刷エンジンアセンブリ130へと進めるために、ピッカーアセンブリ148の駆動ローラ150によって容易に抜き取ることができるよう位置決めするために、水平から約80°から85°(すなわち垂直から5°から10°)傾けられている。印刷プロセス中に、紙のシートが消費されるにつれて、スタック132のサイズは変化する。すなわち、スタック132は、本体102の内部区間内に設けられスタック132に対抗して作用するばね機構154によって、その底縁部を図11に示す位置へと押し進めるように、ピッカーアセンブリ148に向かってばね装荷される。
【0095】
この抜き出しプロセスでは、スタック132が消耗状態に近づくと、たとえば2枚など少数のシートだけが残るという状況になる。この状況では、これらのシートすべてがまとめて引き抜かれて多重給紙を生じる、すなわち、複数のシートがピッカーアセンブリ148を通してプリントエンジンアセンブリ130へと一度に供給される可能性があるが、これは印刷物の詰まりおよび/またはゆがみもたらす可能性があるので、望ましくない。この状況は、シート間の摩擦が、スタック132の最底部にあるシート132aと駆動ローラ150との間の摩擦よりも大きくなることがあるため、生じる可能性がある。したがって、スタック132の最後のシートとばね機構154の間に、スタック132の最後のシートと最後から2番目のシートの間よりも摩擦力の高い表面がもたらされるように、パッド156がばね機構154上に設けられる。パッド156は、ゴム、フェルト、コルクなどの材料で形成することができる。
【0096】
図9および図10から分かるように、本体102の内部区間は、スタック132内のシート用の保持部材として作用する、フォイル158を備える。フォイル158は、本体102の内部区間の表面から突出するように、本体102の内部区間の幅の少なくとも一部を横切って延びる。フォイル158は、プラスチックなど、可撓性材料から製作されるが、小さい力に対しては弾性を有する用に固定される。フォイル158の目的は、以下の通りである。
【0097】
トレイ142が傾斜しているので、スタック132の紙において「たるみ」が生じることがあり、それによって、引抜きプロセスでのエラーが生じ、または個々のシートがスタック132から離れ、詰まりを生じる可能性がある。したがって、フォイル158は、スタック132内のシートに対して保持力を加えるように設けられ、この保持力によってシートは、そのようなたるみを実質的に妨げるように、スタック132に向かって押し戻される。フォイル158の弾性的な性質によって、シートを定位置に維持するための適当な保持力が提供される。2つのフォイル158を示したが、フォイルが連続的であるのではなくそれらの長さに沿って凹部を有することに関して、より多いまたは少ない数のフォイルも、その構成がスタック132内のシートの固定をもたらす限り、本発明の範囲に含まれる。
【0098】
ピッカーアセンブリ148による抜き出しが成功すると、最底部シート132aが、印刷のために印刷エンジンアセンブリ130に進む。印刷エンジンアセンブリ130は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、本出願人の米国特許出願整理番号RRA01USからRRA33USに記載されているタイプのものとすることができる。これらの出願は、それらの出願整理番号によって識別されているが、それらは譲渡後に対応する出願番号で置き換えられる。したがって、印刷エンジンアセンブリ130は、一般に、図9から図11に様々に示す2つの部品、すなわち受け台ユニット160およびカートリッジユニット162を備える。
【0099】
カートリッジユニット162は、そこを1枚の紙通過するときその上に印刷するための印刷ヘッド164と、インクをインクヘッド164に供給するための、少なくとも1つのインク操作および保管リザーバとを備える。印刷ヘッド164は、ページ幅の印刷ヘッドであり、これは、シートを横断する印刷ヘッド164の走査が必要ないことを意味する。これによって、高速印刷を実行することが可能になる。ただし、本発明は、別のタイプの印刷ヘッドを用いるプリンタにも適用可能であることを、当業者であれば理解するであろう。さらに、図11に示すように、カートリッジユニット162は、単一の印刷ヘッドを備える。ただし、2つのページ幅印刷ヘッドを有するカートリッジユニットを用いる、両面プリンタを使用することができ、印刷ヘッドは、その印刷面が互いに対向し、紙のシートを受け入れるための間隙をその間に有するように、位置合せされる。
【0100】
受け台ユニット160は、シート132aを印刷エンジン130内へと案内するための案内プレート168と、印刷ヘッド164をシート132aが通過するとき、それを前進させその軌道および速さを制御するための、ローラアセンブリ170および関連モータ172と、印刷ヘッド164によって実行される印刷を制御するための駆動電子部品174と、印刷が行われないときに印刷ヘッド164を覆うためのキャップユニット176とを備える。
【0101】
受け台ユニット160は、本体102内に取外し可能に取り付けられ、カートリッジユニット162は、受け台ユニット160内に取外し可能に受けられており、これによって、印刷ヘッド164およびインク保管リザーバ166ならびに関連構成要素を、必要に応じて容易に交換することが可能になる。この取外しを制御するために、使用者が容易に操作することができる解放ラッチ178が設けられる。この方法で、プリンタ100の複雑さが最低限に抑えられ、使用が容易になる。
【0102】
カートリッジユニット162内に、複数のインク操作および保管リザーバ166を設けることによって、様々な色のインク、および印刷されたインクの定着を助けるための定着剤など関連する印刷流体を、保管することができる。印刷ヘッド164は、シート上に印刷するために、これらのリザーバ166からインクをくみ出す。カートリッジユニット162内に、補充ポート180が組み込まれており、印刷によって消耗している可能性がある特定のタイプのインクがリザーバ166に充填されるように、充填ポートに対して充填カートリッジ(図示せず)を取り付けることができる。この充填プロセスを容易にするために、LEDなど指示器ライト184を、受け台ユニット160上に設けることができ、これは、本出願人の上述の出願に記載されるようなやり方で、充填が必要とされているときおよび/または充填が完了したときそれを使用者に指示するように制御することができる。充填の必要はまた、以下で説明するように、使用者インターフェース114によって、またはプリンタ100に接続された使用者のパーソナルコンピューター(PC)上にロードされたプリントマネージャソフトウェアによって、使用者に指示することができる。
【0103】
受け台ユニット160の取付け位置は、ピッカーアセンブリ148の駆動ローラ150から供給され、案内プレート168によって案内されるシート132aの前縁が、受け台ユニット160のローラアセンブリ170に入り、ローラアセンブリ170(およびある程度駆動ローラ150)の作用を受けて、印刷されるように印刷ヘッド164を通過して進めるようなものである。シート132aの前縁は、受け台ユニット160を通って進み、印刷後に、出口スロット186を通って本体102を出る(図5、図6,および図11参照)。
【0104】
印刷プロセス中に、シート132aの後縁は、Dタイプ駆動ローラ150がピッカーアセンブリ148において使用されるため、駆動ローラ150による駆動から、印刷エンジンアセンブリ130のローラアセンブリ170のみによる駆動へと移行する。印刷されると、後縁は、出口スロット186を通り本体102から出て、印刷されたシート132aは、拡張されたコレクタ110によって収集される。
【0105】
拡張されたコレクタ110を、図12から図15に様々に示す。図から分かるように、コレクタ110は、2つの区間を備える連接収集トレイであり、上部区間188および下部区間190が、蝶番192を用いて蝶番関係で互いに取り付けられる。蝶番192は、適当な力がそれに加えられるときに、下部区間190を上部区間188から取り外すことができるように構成することができる。上部区間188および下部区間190によってもたらされる長さ全体は、印刷されたシートを使用者が容易に回収するために、収集された紙と本体102の底部との間に十分な間隙を設けながら、最大サイズの紙を収集することができるものである。
【0106】
下部区間190は、ほぼL字形であり、収集されたシート132aのための停止面として作用するL字形の足部190aを有し、足部は、それに取り付けられたコレクタ110の保持部分126を有する。保持部分126は、収集されたシートの保持を助けるために使用され、足部190aは、印刷されたシート132aが整然と収集されるよう、連続的に放出されたシート132aを「四角にし」または「縁部をそろえる」ように設けられる。足部分190aの深さは、たとえば、供給源トレイアセンブリ104によって保持されるスタック132内に提供されるシート数など、複数のシートを保持するのに十分となる。
【0107】
収集トレイ110が拡張されるとき、下部区間190は、その長さに沿って本体102とほぼ平行な上部区間188に対して傾けられる。収集トレイ110をこの方法で構成することによって、印刷エンジンアセンブリ130から本体102の出口スロット186を通って放出されるシート132aは、図14および図15に示すやり方で、上部区間188および下部区間190上に確実に収集および保持される。すなわち、各シート132aが本体102を出るとき、その前縁が、下部区間190の表面またはそこで保持される以前に収集されたシートと接触し、下部区間190の足部190aによって止められるまで前進する。というのもこれは、収集トレイ110の上部区間188が、プリンタ100の取付け方向(図5および図6参照)に対してスロット186の後方に配置され、そのため下部区間190が、シート132aの出口通路内にくるように前方に反るからである。この方法で、シート132aは、垂直からある角度(すなわち、ほぼ下部区間190の角度)で収集および保持され、これは保持部材126と共に、シート132aが収集トレイ110から前方に倒れることを防ぐ。
【0108】
所要の角度、たとえば垂直から約5°が、上部区間188の下方縁部上に配置されたばね194によってもたらされ、ばね194は、下部区間190がヒンジ192の周りで上部区間188の平面から離れて押されるように、下部区間190の裏面に係合する。収集トレイ110の収縮位置で、下部区間190は、図4に示すように、本体102の裏面との接触によって、上部区間188の平面内にくるように押される。この方法で、収縮されたトレイ110は、コンパクトなやり方で本体102内に置かれる。横方向の湾曲をシートに与えるために収集トレイの表面上で使用される案内リブなど、印刷された紙のシートを確実に収集するための別の機構が本発明の範囲に包含されることを、当業者は理解するであろう。
【0109】
図12および図14に示すように、収集トレイ110をその収縮位置へとまたその拡張位置から操作するために、巻取り構成122が設けられ、巻取り構成122は、上部区間188と本体102の上面内に配置された巻上げ機198との間に連結されたワイヤ196、ならびに、巻上げ機198の周りでワイヤ196を巻き取ることによってワイヤ196の長さを変化させるように、巻上げ機198を動作させるモータ124を備える。
【0110】
上部区間188は、その各長手側部の頂部に設けられたタブ188aを有し、このタブ188aは、本体102内に設けられたランニングスロット200内に係合する。したがって、動作に際しては、巻取り構成122によってワイヤ196の長さが変化するにつれて、上部区間188、および結果的に下部区間190が、ランニングスロット200に沿って摺動するタブ188aによって、下降または上昇させられる。この巻き上げは、使用者インターフェース114を通じて、またはプリンタ100に接続された使用者PC上にロードされたプリントマネージャソフトウェアを通じて拡張/縮小の命令を受け取る、制御回路または印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174によって制御することができる。あるいは、動作は、プリンタ100によって行われる印刷と関連して、および/または、収集トレイ110の足部190a内に設けられた(1つまたは複数の)圧力センサ(図示せず)が、収集された印刷物が収集トレイ110から取り除かれたことを感知した結果として、自動的に実行することができる。
【0111】
印刷物を収集する手段として作用することに加えて、コレクタ110は、プリンタ100および/またはそれによって実行される印刷の状態の指示を使用者に提供する手段として、上部区間188(および必要に応じて下部区間190)上にライトパイプ202を備えることができる。そのようなライトパイプ202は、本体102内に配置された光源204(またはさらなるライトパイプ)から、光をその長さに沿って透過させるためのチャネルとして設けられる、プラスチックなど中空の透明材料で構成することができる(図9および図11参照)。これは、中空材料の内面が、その表面にいくつかの角度で衝突する光を高度に反射し、別の角度で衝突する光を透過する、ライニングを組み込むことによって実現される。チャネルは、図13に示すように、収集トレイ110の上部区間188および下部区間190の表面上に設けられる、リブなどの形状に成形される。
【0112】
光源204は、それぞれLEDとすることができる、赤、緑、および青の光源な3つの異なる色の光源を含むことができる。これらの異なる色の光源を使用することによって、光源を個別にまたは組み合わせて選択的に動作させるときに、幅広いスペクトルの色をライトパイプ202から発光させることが可能になる。あるいは、光源204は、3色LEDなど、多色発光を可能にすることができる。したがって、プリンタ100の制御回路および/または印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174を用いて光源204の発光を制御することによって、プリンタ100および/またはそれによって行われる印刷の様々な状態を指示するために、様々な色の光を使用することができる。
【0113】
たとえば、コレクタ110のリブとして使用される、ライトパイプ202によって発光される青色光は、プリンタ100が待機状態にあることを指示することができ、緑色光は、プリンタ100が印刷状態にあることを指示することができ、赤色光は、紙詰まりが存在し、またはさらなる紙もしくはインクが必要であるなど、プリンタ100が誤動作していることを指示することができる。あるいは、点灯、ストロボ発光、フラッシュ発光などの別の組合せを、そのような目的で使用することができる。たとえば、待機状態を色のスペクトル全体にわたるサイクルを用いて示すことによって、プリンタ100の美観を高めることができる。紙詰まりの発生など、プリンタ100の動作状態は、当業者には理解されるように、従来のやり方でプリンタ100が決定することができる。
【0114】
この構成では、プリンタ100の機能に伴う問題が生じた場合、ライトパイプ202を使用して、問題が発生したことを指示することができ、そのとき使用者は、使用者インターフェース114または使用者のPC上にロードされたプリントマネージャソフトウェアを参照して、どのような問題がどこで生じたかを決定することができる。プリンタ100の別の部品は、光源204自体などこの目的のためのライトパイプ202を用いて構成することができ、あるいは、プリンタ100の面板106を、図15に示すような印刷物などを保持するものではなく図16に示すような定型化された面板として設けることによって構成することもでき、この定型化された面板106は、図示のように構成されたライトパイプ202ならびに使用者インターフェース114も備える。この方法で、図16の壁取付け可能なプリンタは、図15の壁取付け可能なプリンタよりもプリンタらしい外観を有するが、依然、従来のプリンタよりも高い美観をもたらす。この構成では、供給源トレイアセンブリ104のカバー部分138は、省略することができ、あるいは、面板106を供給源トレイアセンブリ104内にパチンと嵌めた状態で、面板106によって置き換えることができる。
【0115】
使用者インターフェース114は、本発明のプリンタ100の何らかの形態において、図3および図16に示すように、プリンタ100の状態などについての情報を表示するために使用される液晶表示装置など表示画面とすることができ、好ましくは、使用者がそれによってプリンタ100を動作させることができる接触画面である。これは、プリンタ100上に機械的なボタンなどを設ける必要がないことを意味し、これによって、プリンタ100の小型設計が容易になる。ただし、必用に応じて、そのようなボタンを、単純な表示画面と共に設けることができる。
【0116】
したがって、使用者インターフェース114を、単独またはライトパイプ202と共に使用して、プリントエンジンアセンブリ130のインク保管リザーバ166内に残っているインク容量、移送システム内の紙詰まりの発生など、プリンタ100の状態についての情報、ならびにプリンタ100の動作のための命令および情報メニューを表示することができる。これを実現するために、使用者インターフェース114は、そのようなメニュー用のソフトウェアを記憶し、接触画面の領域に使用者が接触することによって入力された命令を処理するために、メモリおよび処理装置(図示せず)をさらに備えることができる。あるいは、そのような構成要素は、本体102内に使用者インターフェース114と駆動電子部品174と間の適当な接続が提供された状態で、印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174によって設けることができる。
【0117】
使用者インターフェース114によって表示される命令および情報メニューはまた、プリンタ100によって実行されている、または実行されるべき印刷ジョブについての情報を表示するために使用することもできる。印刷ジョブを受け取るために、プリンタ100を、PCなど使用者端末(図示せず)に直接接続し、または、ネットワークを通じて複数のそのような端末へと接続することができ、その(それらの)端末は、印刷ジョブを、処理および印刷ヘッド164による印刷のために印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174へと伝送する。そのようなメニューはまた、様々な言語による表示などに容易に適合させることができ、これによって、プリンタ100を様々な国で使用するために設けることが容易になる。この方法によって、使用者インターフェース114は、プリンタ100の動作に関する情報を使用者に表示することができ、これは、従来のプリンタで典型的な例である、プリンタに接続されたPC上のプリントマネージャレベルにて通常提供されるものよりも有用である。
【0118】
外部データ装置/端末およびネットワークとの接続は、図3に示すような、供給源トレイアセンブリ104のパチンと嵌るカバー部分138内に配置されたデータコネクタ116を通じて、および/または、図5および図6に示すような、本体102の底部に設けられたUSBコネクタ206とイーサネットコネクタ208を通じて、そのようなコネクタと、使用者インターフェース114および本体102内に収容された駆動電子部品174との間を適当な配線によって、有線で提供することができる。あるいはデータ接続は、図9および図11に示すような、本体102の内部区間内でフォイル158の後方に配置される、WIFIカード210および/またはブルートゥース(登録商標)カード212を使用することによって、無線で提供することができる。あるいは、またはさらに、プリンタ100は、フォトカードなどに保存された画像を、直接印刷するためにプリンタ100または駆動電子部品174のメモリへとダウンロードすることができる、フォトカードなどを受け入れるためのフォトカードスロットなど(図示せず)を組み込むことによって、印刷ジョブのための画像データを直接受け取るための手段を組み込むことができる。
【0119】
使用者インターフェース114、印刷エンジンアセンブリ130(特にローラアセンブリ170用のモータ172、印刷ヘッド164、駆動電子部品174およびキャップユニット176のため)、ピッカーアセンブリ148(特に駆動ローラ150のモータ152のため)、巻取り構成122(巻取りモータ124のため)、ライトパイプ202および光源204、ならびにプリンタ100の別の電子構成要素のための電力は、図5および図6に示すように、本体102の底面内に設けられた電源コネクタ214によってそれに接続される外部電源(図示せず)によって電力供給される、PSU132によって供給される。あるいは、バッテリによる電力(図示せず)を、PSU132に供給することができ、PSU132は、上記の無線データ通信と結合され、プリンタ100へのいかなるケーブル接続も不必要とする。PSU132から様々な電子構成要素への対応する接続部は、本体102内に収容される適当な配線によって提供することができる。
【0120】
有線形式のプリンタ100では、データおよび電力接続部は、プリンタ100の取付け方向(図5参照)に関して出口スロット186の後方で、プリンタ100の本体102の底面上に設けられ、これは、使用者のPCなど外部装置からのいかなるケーブルも、コレクタ110を妨害せずにプリンタ100へと容易に接続することができることを意味する。一方、そのような接続部を、本体102の裏面上に設け、プリンタ100がそこへと取り付けられる壁空間を通してそのようなケーブルを提供するための手段と、結合させることができる。
【0121】
上記のような、プリンタ100の壁などへの取付けに関して、図4に示すように、取付けボス128を、本体102の裏面上に設けることができる。この方法で、プリンタ100が壁などから懸架されるように、たとえばねじなどの固定手段を、壁面を通して取付けボス128と係合させることができる。プリンタ100とその中に提供される紙のスタック132との組み合わされた重量を支持するのに十分である限り、取付けのいかなるやり方も適用可能となる。本体102、供給源トレイアセンブリ104、面板106、およびそれらの様々な構成要素を含めた、プリンタ100の構成要素は、使用される取付け構成のタイプに最大限の柔軟性がもたらされるように、ほとんどをプラスチックなど軽量の材料から成形することができることに留意されたい。
【0122】
取り付けられると、その非動作状態、すなわちコレクタ110が本体102内に収縮された状態にあるプリンタ100は、写真(または絵)216が面板106内に設けられた、図17Aのような外観とすることができる。上記のように、写真216を面板106内に配置するために、面板106が、プリンタ100の本体102に取り付けられた供給源トレイアセンブリ104から蝶番式に開かれ、写真216が、面板106の外面上に設けられた透明窓120を通して掲示されるように、スロット118a(図3参照)を通してエンベロープ部分118内へと差し込まれる。写真216の取り出しを容易にするために、切取り部分118bを、エンベロープ部分118内に設けることもできる。
【0123】
図17Aから最も明確に分かるように、面板106は、その前面上で透明窓120の周りに、額縁部分218をさらに備える。この方法によって、プリンタ100が非動作状態にあるとき、プリンタ100の外観は、壁などに掛かっている額縁の付いた絵の外観となる。というのもこれは、額縁部分218は、面板106およびプリンタ100の本体102の前面のサイズとほぼ同一サイズであるからである。そのような構成は、プリンタ100を部屋またはオフィスの装飾に融合することを可能にする手段をもたらす。すなわち、プリンタ100の存在は、動作が必要とされるまで隠蔽することができる。動作に、コレクタ110は、上記のようにプリンタ100の本体102から拡張され、印刷物132aが、図17Bに示すように、使用者220によって取り出されるようにその上に収集される。印刷物132aが収集されると、コレクタ110は、プリンタ100の本体102内に収縮して戻され、再び図17Aに示す状態となる。
【0124】
プリンタ100は、別のほぼ垂直な表面に取り付けられるように適合させることができる。たとえば、プリンタ100を、作業端末の仕切り壁またはプライバシースクリーンなど、オフィス内の環境に取り付けることが望ましいことがある。そのような構成では、本体102の裏面を、図18に示すようにカバー222と嵌め合わせることができる。図から分かるように、カバー222はその表面内に、プリンタ100を仕切り壁上に取り付けるための取付けブラケットまたはフック226に係合するように構成された、複数のスロット224を備えることができる。すなわち、ブラケット226の係合部分226aは、一度にスロット224のうちのいずれか1つと係合するように構成され、本体102の裏面から突出するブラケット226のフック部分226bは、突出部分226aがスロット224のうちの1つと係合するときに、仕切り壁の頂面を越えて係合するように構成される。このようにして、複数のスロット224によって、ブラケット226の多数の再構成可能な位置がもたらされ、これによって、プリンタ100のための多数の異なる取付け高さがもたらされる。このように様々なプリンタ高さが可能であることによって、拡張されたコレクタ110に必要とされる空間を十分に受け入れるように、プリンタ100の取付けに柔軟性がもたらされる。
【0125】
拡張されたコレクタ110に適したプリンタ100の懸架高さを有するこの取付け構成224/226によって、作業端末230の仕切り壁228に取り付けられたプリンタ100を、図19Aおよび図19Bに示す。図から分かるように、プリンタ100はこの構成において、上記で説明したように、使用者のPCなどのための十分な空間が机上に残され、プリンタ100へのPC232の整然とした接続がケーブル234によってもたらされるように、作業端末230内に邪魔にならないやり方で設けられる。
【0126】
ブラケット226は、特定のサイズの仕切り壁228上に嵌るように特定的に構成することができ、または「万能サイズ」構成として設けることができる。いずれにせよ、スロット224内のブラケット226の構成、および本体102に対するカバー222の取付けは、プリンタ100と、その中に供給された紙のスタック132とを組み合わせた重量を十分に支持するようなものでなければならない。したがって、カバー222は、十分に強いクリッピング構成によって本体102上にパチンと嵌め、またはその他何らかの適当な手段によって本体102へと取り付け、あるいは、本体自体の一部として設けることができる。
【0127】
プリンタ100をそこにおいて壁などに取り付けることができる、様々な場所を考慮すると、プリンタ100のための様々な面板様式が望ましいことがある。すなわち、プリンタ100は、単一のプリンタユニット100が様々な面板106受け入れることができるように、適合させることができる。たとえば、額縁部分218は、図17Aおよび図19Aに示す様々な様式の額縁部分218など、様々な様式の額縁を容易に提供および変更することができるように、面板106上に「パチンと嵌める」部分として設けることができる。あるいは、面板106の蝶番112を供給源トレイアセンブリ104から取外し可能とすることによって、面板106自体を取り外すことができ、そのため図17Aおよび図19Aに示す額縁面板106は、様々な額縁または図16の定型化された面板、あるいはプリンタ100が取り付けられる場所に応じてプリンタ100に美観および/または機能性をもたらす、その他何らかの適当な面板と交換されるよう、取り外すことができる。
【0128】
本発明の壁取付け可能なプリンタの例示的な構造および動作を、次に説明する。
【0129】
A4紙を最大サイズの紙として印刷するように構成されたプリンタ100では、印刷エンジンアセンブリ130のページ幅印刷ヘッド164は、224mmまたは8.8インチの、印刷ヘッド幅を有する。この印刷幅を形成するために、印刷ヘッド164は、本出願人の上記で参照した出願RRA01USからRRA33USに記載されるものなど、印刷またはインク吐出ノズルをその中に組み込む複数の印刷ヘッド集積回路(IC)を備える。
【0130】
本発明によれば、所望の品質、すなわち少なくとも1600dpiの印刷を、少なくとも毎分30ページの高速、好ましくは少なくとも毎分60ページにて提供するために、少なくとも5000個のノズルを組み込むことができる。ただし、必要とされる印刷品質および速度に応じて、印刷ヘッドは、高速および高品質応用例で、少なくとも10000個のノズル、好ましくは20000個のノズル、およびより好ましくは少なくとも50000個のノズルを備えることができる。
【0131】
これらのノズルは、通過する印刷媒体の表面上に画像を印刷するために、通過する印刷媒体の表面上に、インクおよび定着剤など別の印刷流体を吐出するように、印刷ヘッドの幅を横断する2次元アレイとして構成される。各ノズルは、印刷媒体上の印刷された点に対応し、したがって、ノズルの数が多いほど、かつ印刷ヘッド内でのその実装密度が大きいほど、印刷されるドット同士が接近し、したがって印刷解像度が高くなる。駆動電位部品174は、データコネクタ116、206、および208のうちの1つまたは複数、あるいはデータ装置210および212を通じて外部データソースから画像データを受け取り、処理し、印刷ヘッドのノズルを、処理された画像データに従って駆動する(以下でより詳細に説明する)。
【0132】
印刷ヘッド164に適用可能なノズル方式のタイプに関しては、印刷ヘッドIC上に統合することができる、いかなるタイプのインクジェットノズルアレイも適当である。すなわち、コンティニュアスインク方式、静電方式、ならびに、サーマル方式およびピエゾ電気方式を含めたドロップオンデマンド方式を使用することができる。
【0133】
サーマルドロップオンデマンド方式に関しては、様々な知られたタイプがあり、通常、ノズルに隣接するインクリザーバ、およびそれに熱接触するヒータを備える。ヒータ要素は、インクを加熱し、それによってインク内に気泡を生み出す。気泡は、インク内に圧力を発生し、それによって液滴が、ノズルを通じて印刷媒体上へと吐出される。各ノズルによって印刷媒体上に吐出されるインクの量、およびいつこれが生じるかは、駆動電子部品によって制御される。ただしそのようなサーマル方式では、インクは耐熱性でなければならないため、使用することができるインクのタイプが限定され、かつ、冷却プロセスも必要とされ、それにより最適印刷速度が低減される可能性がある。
【0134】
ピエゾ電気ドロップオンデマンド方式に関してもまた、様々なタイプが知られており、それらは通常、インクリザーバに隣接して構成された、電流がそこを通って流れるときに撓められる圧電性結晶を使用する。この撓みによって、インクの液滴が、上記サーマル方式と同様のやり方でノズルから吐出される。そのようなピエゾ電気方式では、サーマル方式よりも高度な、インク液滴の形状およびサイズの制御が可能になり、サイクル間にインクを加熱および冷却する必要がなく、多種多様なタイプのインクが使用可能になる。
【0135】
さらに、ノズルにインク液滴を吐出させるサーモアクチュエータを含む、ノズルの微小電子機械システム(MEMS)を使用することができる。そのようなノズルシステムは、出願人の以下の同時係属中および認可されている出願である、米国特許第6,188,415号、同第6,209,989号、同第6,213,588号、6,213,589号、同第6,217,153号、同第6,220,694号、同第6,227,652号、同第6,227,653号、同第6,227,654号、同第6,231,163号、同第6,234,609号、同第6,234,610号、同第6,234,611号、同第6,238,040号、同第6,338,547号、同第6,239,821号、同第6,241,342号、同第6,243,113号、同第6,244,691号、同第6,247,790号、同第6,247,791号、同第6,247,792号、同第6,247,793号、同第6,247,794号、同第6,247,795号、同第6,247,796号、同第6,254,220号、同第6,257,704号、同第6,257,705号、同第6,260,953号、同第6,264,306号、同第6,264,307号、同第6,267,469号、同第6,283,581号、同第6,283,582号、同第6,293,653号、同第6,302,528号、同第6,312,107号、同第6,336,710号、同第6,362,843号、同第6,390,603号、同第6,394,581号、同第6,416,167号、同第6,416,168号、同第6,557,977号、同第6,273,544号、同第6,299,289号、同第6,299,290号、同第6,309,048号、同第6,378,989号、同第6,420,196号、同第6,425,654号、同第6,439,689号、同第6,443,558号、および同第6,634,735号、米国特許出願第09/425,420号、米国特許第6,623,101号、同第6,406,129号、同第6,457,809号、同第6,457,812号、同第6,505,916号、同第6,550,895号、同第6,428,133号、同第6,305,788号、同第6,315,399号、同第6,322,194号、同第6,322,195号、同第6,328,425号、同第6,328,431号、同第6,338,548号、同第6,364,453号、同第6,383,833号、同第6,390,591号、同第6,390,605号、同第6,417,757号、同第6,425,971号、同第6,426,014号、同第6,428,139号、同第6,428,142号、同第6,439,693号、同第6,439,908号、同第6,457,795号、同第6,502,306号、同第6,565,193号、同第6,588,885号、同第6,595,624号、同第6,460,778号、同第6,464,332号、同第6,478,406号、同第6,480,089号、同第6,540,319号、同第6,575,549号、同第6,609,786号、同第6,609,787号、同第6,612,110号、同第6,623,106号、同第6,629,745号、同第6,652,071号、同第6,659,590号、米国特許出願第09/575,127号、同第09/575,152号、同第09/575,176号、同第09/575,177号、同第09/608,780号、同第09/693,079号、同第09/693,154号、同第09/693,735号、同第10/129,433号、同第10/129,437号、同第10/129,503号、同第10/407,207号、および同第10/407,212号、出願管理番号JUM003およびJUM004、米国特許出願第10/302,274号、同第10/302,297号、同第10/302,577号、同第10/302,617号、同第10/302,618号、同第10/302,644号、同第10/302,668号、同第10/302,669号、同第10/303,312号、同第10/303,348号、同第10/303,352号、および同第10/303,433号、および出願整理番号MTB01からMTB14に記載されており、それらの開示はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。上記出願のいくつかは、それらの整理番号で識別されているが、それらは譲渡後に、対応する出願番号で置換される。
【0136】
図20から図33を参照しながら、印刷ヘッド164に適用可能な例示的なMEMSノズルシステム、ならびに、駆動電子部品が画像データを処理しそのようなノズルシステムを駆動する例示的なやり方を、以下で説明する。
【0137】
図20は、ノズル構成300のアレイを示す。図示の各ノズル構成300は同一であるが、異なる色のインクおよび定着剤が供給される、異なるノズル構成を使用することもできる。好ましくは、印刷ヘッド164は、5色すなわちシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(CMYK)、および赤外線(IR)のうちの1色を印刷するための各1列、ならびに定着剤(F)を印刷するための1列を有する、列になったノズル構成300を備えるように構成される。CMYは、通常のカラー印刷用に設けられ、Kは黒いテキスト、線図形処理、およびグレースケール印刷用に設けられ、IRは、「不可視」印刷を必要とする応用例のために設けられ、Fは、高速での印刷出力のスマッジングを防ぐことを助けるために設けられる。
【0138】
ただし印刷ヘッド164は、いかなる所望の色数を使用する印刷に適合させることもでき、実装に応じて、モノリシックの印刷ヘッドICを備え、または多数の基板を必要とする可能性がある。さらに、ノズル構成300の列は、互いに対してずらされ、印刷時に、単一列のノズルで可能となるよりも近いインクドット間隔を可能にする。多数の列によってまた、(必要に応じて)冗長化が可能になり、それによってノズル1つ当たりの所定の故障率が可能になる。
【0139】
印刷ヘッド164の印刷ヘッドICは、集積回路の製作技術を用いて製造され、上記で示したように微小電子機械システム(MEMS)を実施する。単一ノズルを示す図21を参照すると、各印刷ヘッドICは、その上に形成された、シリコンウェハ基板301およびCMOS超小型演算回路を備える。これは、基板301上に二酸化ケイ素層302を誘電体層として堆積させ、二酸化ケイ素層302上にアルミニウム電極接触層303を堆積させることによって行われる。基板301および層302の両方がエッチングされて、インクチャネル304が画成され、アルミニウム拡散障壁305がインクチャネル304の周りに配置される。
【0140】
アルミニウム接触層303および層302上に、窒化ケイ素の不活性層306が堆積される。接触層303を覆って配置される不活性層306の一部は、接触層303へのアクセスをもたらすための開口307をその中に有する。
【0141】
各ノズルは、ノズル壁309、ノズル屋根310、および径方向内側のノズルリム311によって画成される、ノズルチャンバ308を備える。インクチャネル304は、チャンバ308と流体連通する。
【0142】
ノズル壁309の下端部に、可動封止リップ313を備える可動リム312が配置される。包囲壁314が、ノズルを取り囲み、固定封止リップ315を設ける。この固定封止リップは、図21に示すようにノズルが休止しているとき、可動リム312に隣接する。固定封止リップ315と可動封止リップ313の間に閉じ込められたインクの表面張力により、流体封止316が形成される。これによって、チャンバ308からのインク漏れが防止されると同時に、包囲壁314とノズル壁309の間に低抵抗結合がもたらされる。
【0143】
ノズル壁309は、キャリヤ317に取り付けられたレバー構成の一部を形成し、キャリヤ317は、ほぼU字形のプロファイルを有し、層306に取り付けられた基部318を有する。レバー構成はまた、ノズル壁309から延び横方向の強化ビーム320を組み込む、レバーアーム319を備える。レバーアーム319は、1対の不活性ビーム321に取り付けられ、不活性ビーム321は、窒化チタンから形成され、ノズルの各側部に配置される(図24および図25に最もよく見られる)。不活性ビーム321の他端部は、キャリヤ317に取り付けられる。
【0144】
レバーアーム319はまた、TiNから形成されるアクチュエータビーム322にも取り付けられる。アクチュエータビームへのこの取付けは、不活性ビーム321への取付部よりも、わずかであるが決定的に高い距離にある点で行われる。
【0145】
図24および図25から最もよく分かるように、アクチュエータビーム322は、平面でほぼU字形であり、電極323と対向電極324との間に電流路を画成する。各電極323および324は、接触層303内のそれぞれの点にて電気的に接続される。
【0146】
アクチュエータビーム322はまた、アンカ325に機械的に固定され、アンカ325は、ノズル構成300が作動されるとき、図21から図23の左方向へのアンカビーム322の運動を抑制するように構成される。アクチュエータビーム322は、導電性であり、TiNで構成されるが、電極323と324の間を電流が通過するときに自己加熱を生み出すために、十分に高い電気抵抗を有する。電流は不活性ビーム321を通って流れないので、不活性ビーム321は熱膨張しない。
【0147】
動作に際しては、ノズルにインク326が充填され、インク326は、表面張力の影響を受けてメニスカス327を画成する。このインク326は、メニスカス327によってチャンバ308内に保持され、一般に、その他何らかの物理的影響がなければ漏出しない。
【0148】
インクをノズルから発射するために、接点323と324の間に、アクチュエータビーム322を通して電流を流す。ビーム322の自己加熱によって、ビーム322は、それが図21から図23に関して主に水平方向に膨張するように寸法および形状決めされた状態で、膨張する。膨張は、左方向でアンカ325によって抑制されるので、レバーアーム319に隣接するアクチュエータビーム322の端部は、右へと押し進められる。
【0149】
不活性ビーム321は、相対的に水平方向に不撓性であることにより、それらがレバーアーム319を大きく水平運動させることが防止される。ただし、不活性ビーム321およびアクチュエータビーム322の、レバーアーム319へのそれぞれの取付け点の相対移動によってねじり運動が生じ、それによって、レバーアーム319が枢動または蝶番運動を伴いほぼ下向きに動かされる。ただし、真の枢動点がないことは、不活性ビーム321の屈曲によって画成される枢動領域の周りで回転が生じることを意味する。
【0150】
レバーアーム319の下降運動(およびわずかな回転)は、不活性ビーム321からのノズル壁309の距離によって増幅される。ノズル壁309および屋根310の下降運動によって、チャンバ308内に圧力上昇が生じ、図22に示すようにメニスカス327を膨出させる。インクの表面張力により、流体封止部316がこの運動によって伸長されるが、インクは漏出しない。
【0151】
図23に示すように、適切な時間に駆動電流が停止され、アクチュエータビーム322が、急速に冷却され、収縮する。この収縮によって、レバーアーム319が静止位置へと戻り始め、それによってチャンバ308内の圧力低下が生じる。膨出するインクの運動量とその固有の表面張力の間の相互作用、およびノズルチャンバ308の上昇運動によって生じる負圧によって、膨出するメニスカス327が薄くなり、最終的にプツッと切れてインク液滴328が画成され、インク液滴は、通過する印刷媒体に接触するまで上昇し続ける。
【0152】
液滴328が離れた直後に、メニスカス327は、図23に示す凹形を形成する。チャンバ308内の圧力は、インクが入口またはインクチャネル304を通って上方向に吸引され、それによってノズル構成およびインクを図21に示す静止状態へと戻されるまで、表面張力によって比較的低いままとなる。
【0153】
各ノズルからの液滴の送達を制御するために、印刷エンジンアセンブリ130は、駆動電子部品174を使用する。上記のように、駆動電子部品174は、プリンタ100によって印刷される印刷ジョブの画像データを受け取る。図26を参照すると、この画像データは、コンピュータシステムまたは使用者のPC232など、外部データソースから受け取ることができる。PC232は、画像データ(すなわちドキュメント)の印刷に伴う様々なステップを実施するようにプログラムされ、このステップは、ドキュメントを受け取ること(ステップ400)、ドキュメントをバッファリングおよびラスタ化してページ記述を提供すること(ステップ401および402)、これを、プリンタ100の印刷エンジンアセンブリ130への送信に適したページ画像を提供するために圧縮すること(ステップ403)を含む。
【0154】
プリンタ100内に設けられた印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174にて、圧縮された多層ページ画像が、バッファリングされ(ステップ404)、次いでそのページ画像の別々のレイヤに分離するように伸長される(ステップ405)。伸長された連続階調レイヤは、ディザリングされ(ステップ406)、次いでブラックレイヤが、ディザリングされた連続階調レイヤ上に合成される(ステップ407)。符号化されたデータをレンダリングして(ステップ408)、たとえば実質的に人間の目で見ることができない赤外線インクを用いて印刷される、追加レイヤを形成することもできる。ブラックレイヤ、ディザリングされた連続階調レイヤ、および赤外線レイヤは、結合されて(ステップ409)ページを形成し、そのページは印刷のために、上述のように好ましくは5色で印刷するように構成された、印刷ヘッド164へと供給される(ステップ410)。
【0155】
さらにドキュメントデータは、好ましくは、テキストおよび線画用の高解像度の2値(bi−level)マスクレイヤと、画像および背景色用の中解像度の連続階調カラー画像レイヤとに分割される。任意で、画像または均一な色から取り出された色データを用いてテキストおよび線画のテクスチャを出すための、中から高解像度の連続階調テクスチャレイヤを追加することによって、カラーテキストをサポートすることができる。連続階調レイヤは、画像データまたは均一な色データを参照することができる、抽象的な「画像」および「テクスチャ」レイヤで連続階調レイヤを表現することによって一般化される。この、コンテンツに基づいてデータをレイヤへと分割することは、当業者に知られるベースモードのミクストラスタコンテント(MRC)モデルに従っている。MRCベースモードと同様、いくつかの例で、印刷されるデータがオーバーラップするときに補正が生じる。たとえば、すべてのオーバーラップは、補正を明示的に実施するプロセスにおいて3層表現に置き換えられる(衝突解決)。
【0156】
主なデータ構造は、ページ要素500と呼ばれる、一般化された3層表現であり、図27の単純化されたUML図内に示される。ページ要素500は、レンダリングエンジンから現れる単一のレンダリングされた要素から、印刷ジョブバンド全体に及ぶ、ユニットを表現するために使用することができる。概念的には、2値シンボル領域は、図27および図28を参照しながら以下でより詳細に説明するように、2つのカラーソースの間で選択を行う。図26に示すステップ400から410を実行する、図28に示すデバイス構成要素は、通常、それらがデータを、さらに下流のソフトウェアまたはハードウェア構成要素によって必要とされる形に処理するという点で、デバイス依存であることが理解されるであろう。
【0157】
図28では、印刷されるべきファイルをレンダリングし、レンダリングされた要素をパイプラインのデータ受容部412へと送達する(ステップ400)ために、レンダラー411が、図28に示す、より一般的なプリントシステムパイプラインの外部に設けられており、レンダラー411は、その目的のために、データ受容部412によって露出されたアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を用いる。レンダリングされた要素は、当業者によく知られたペインタアルゴリズムに従って、順に送達される。APIを通じて渡されるデータは、データ受容部412によって、後のステージにおける処理のための、ディクショナリリストおよびページ要素へと変換される。
【0158】
データは次いで、以下のようにラスタ化される(図26のステップ402)。衝突解決器413は、データ受容部412によって(ステップ401のバッファリングにより)作り出された単純なページ要素を受容し、背景および既に存在している何らかの要素と、新しい要素との各共通部分のための、「解決された」十分に不透明なページ要素を作り出す。根本的に、衝突解決器413は、ページ全体が不透明な要素でタイリングされることを保証する。ストリッパ414は、データバンドを、水平にオーバーラップするピースへと分割する。これが実行されるのは、プリンタ100が比較的高速であり、したがって複数の並列デバイスを使用して所要の出力ドット速度を実現するからである。そのような場合、水平にオーバーラップする各ピースが、下流の対応するデバイス内へと供給される。そのようなデータ分割が必要でない場合、ストリッパ414を省略することができる。
【0159】
様々な印刷構成が、下流のハードウェアへの送達のために、レイヤの様々な構成を必要とする。レイヤ再編成器415は、特定の構成のために、3層ページ要素を、適当な2層または3層の形に変換する。ここでも同様に、この機能が必要とされない場合が存在することがあり、その場合、レイヤ編成装置415は省略することができる。連続階調結合器416は、ストリップ内のすべてのページ要素の画像およびテクスチャレイヤを、下流のハードウェアによって要求されるように、単一の画像へと結合しクリッピングする。
【0160】
色変換器417は、すべてのページ要素の連続階調平面を、入力色空間から、デバイス特定の色空間(通常CMYK)へと変換する。マスク結合器418は、連続階調結合器416が連続階調レイヤ上で実行するのと同じ動作を、マスクレイヤ上で実行する。すべての要素が、ストリップ境界へとクリッピングされ、単一のマスクバッファ内に描画される。
【0161】
濃度計419が、現在のページの濃度を、可能な全濃度のパーセントとして測定する。この動作は、プリンタ100の電源が、完全な濃度のページを十分な速度で処理することができない場合に必要となる。連続階調圧縮器420が、下流のメモリおよび/または伝送帯域幅の要件を低減するために、すべてのページ要素の連続階調レイヤを圧縮する。マスクフォーマッタ421は、配置されるシンボルの参照領域として表現することができるページ要素のマスクレイヤを、下流のマスク伸長器によって期待される形へと変換する。
【0162】
サイズリミッタ422は、バンドをより小さいバンドへと分割し、あるいはデータを再圧縮し、それを制約条件が満足されるまで繰り返すことによって、バンドおよびページ全体のすべてのサイズ制限が順守されることを保証する。データが、パイプラインステージ間でプリンタ100へと送信される場合、データ構造の直列化された形式が(シリアライザ423内で)生み出され、伝送され、次いで(デシリアライザ424内で)非直列化される。
【0163】
プリンタ100に組み込まれた印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174内で、ディストリビュータ425が、データを、プロプラエタリな表現からハードウェア特定の表現へと変換し、それらのデバイスへのデータ送信上の何らかの制約または要件を観察しながら、各ストリップのためのデータが正しいハードウェアデバイスへと送られることを保証する。ディストリビュータ425は、変換されたデータを、複数のパイプライン426のうちの適当な1つへと分配する。パイプライン426は、互いに同一であり、基本的には、印刷ヘッド164のノズルのための1組の印刷可能なドット出力を作成するために、伸長機能、スケーリング機能、およびドット合成機能を提供する。
【0164】
各パイプライン426は、PC232からページ画像データを受け取る(図26のステップ404)ための、バッファ427を備える。連続階調伸長器428は、カラー連続階調平面を伸長し、マスク伸長器429は、モノトーン(テキスト)レイヤを伸長する(図26のステップ405)。さらに、連続階調スケーラ430およびマスクスケーラ431は、処理されたページが印刷ヘッド164によってその上に印刷される印刷媒体のサイズを考慮して、伸長された連続階調およびマスク平面をそれぞれスケーリングする。
【0165】
スケーリングされた連続階調平面は次いで、ディザリング装置432によって、確率論的ドット分散ディザリングを用いてディザリングされる(図26のステップ406)。ドット集中または振幅変調ディザリング装置は、使用されない。というのも、ドット分散または周波数変調ディザリング装置は、高い空間周波数(すなわち画像詳細)を、ドット解像度のほぼ限界まで再現すると同時に、より低い空間周波数を、目によって空間的に統合されるときに、それらの最大限の色深度まで再現するからである。確率論的ディザリングマトリックスは、画像全体にわたりタイリングされるときに好ましくない低周波数パターンを比較的もたないように、慎重に設計される。したがって、そのサイズは通常、特定の数値の輝度レベルをサポートするために必要とされる最小サイズ(たとえば、輝度レベル257の場合の16×16×8ビット)を超える。
【0166】
ディザリングされた平面は次いで、印刷に適したドットデータを提供するために、ドット合成器433内においてドット単位で合成される(図26のステップ407および409)。このデータは、データ分配および駆動回路434へと送られ、この回路434は、データを印刷ヘッド164の正しいノズルアクチュエータ322へと分配し、アクチュエータ322は、インクを、正しいノズルから正しい時間に吐出させる(図26のステップ410)。
【0167】
上記システムでは、シリアライザ423より前に、主にソフトウェアベースであるPC部分232が設けられ、PC232から離隔されたプリンタ100内に配置される主にハードウェアベースである印刷エンジンアセンブリ部分130が、デシリアライザ424より先のすべてを含んで設けられる。ただし、指示されたコンピュータシステムとプリンタとの区分は、いくらか任意であり、動作を全体として実質的に変えずに、様々な構成要素を異なる側の区分に配置することができることが理解されるであろう。いくつかのデバイス構成要素は、コンピュータシステムおよびプリンタから離隔された、ハードウェアまたはソフトウェア内で処理することができることも理解されるであろう。たとえば、PCの汎用プロセッサに依拠するのではなく、専用ハードウェアを用いて、アーキテクチャ内のいくつかの構成要素を高速化することができる。
【0168】
好ましくは、ハードウェアパイプライン426は、印刷エンジンアセンブリ130の制御装置内で実施され、この制御装置はまた、印刷パイプラインに関する上記機能の一部またはすべてを実行するように構成された、好ましくは1つまたは複数のシステムオンチップ(SoC)構成要素ならびに印刷エンジンアセンブリパイプライン制御アプリケーションに特有のロジックを含む。
【0169】
図29を最も高次の視点から参照すると、印刷エンジンアセンブリ130の制御装置は、3つの明確なサブシステム、すなわち中央処理装置(CPU)サブシステム435、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)サブシステム436、および印刷エンジンアセンブリパイプライン(PEP)サブシステム437からなる。これらのサブシステム435から437の様々な構成要素を、表1から表3において以下で提供されるそれらの様々な機能を含む、これらの構成要素のより詳細な説明と共に、以下で説明する。
【0170】
CPUサブシステム435は、その他のサブシステムのすべてのアスペクトを制御および構成するCPU438を備え、かつ、プリンタ100の様々な構成要素と印刷エンジンアセンブリ130とのインターフェースを取りそれらを同期させるための、一般的なサポートを提供する。これはまた、品質保証(QA)デバイス(以下でより詳細に説明する)への低速通信を制御する。CPUサブシステム435はまた、モータ制御などを含む汎用入出力(「GPIO」)、割込み制御器ユニット(「ICU」)、低速シリアル(「LSS」)マスタ、および汎用タイマ(「TIM」)など、CPU438を支援するための様々な周辺装置を備える。
【0171】
DRAMサブシステム436は、CPU438、CPUサブシステム435上のシリアル通信ブロック(「SCB」)、ならびにPEPサブシステム437内のブロックからの要求を受け取り、SCBは、ホストとのフルスピードUSB1.1インターフェース、ならびに印刷エンジンアセンブリ130の別の制御装置とのインターフェース(「INT」)を提供する。DRAMサブシステム436、およびその特定のDRAMインターフェースユニット(「DIU」)は、様々な要求を調停し、そこに組み込まれたDRAMへのアクセスをどの要求が獲得するべきかを決定する。DIUは、すべての要求者がDRAMへと十分にアクセスすることが可能になるように、構成されたパラメータに基づいて調停を行う。DIUはまた、ページサイズ、バンクの数、および再生率など、DRAMの実装仕様を隠す。
【0172】
PEPサブシステム437は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、それらを、印刷ヘッド164の印刷ヘッドICと直接通信する印刷ヘッドインターフェース(「PHI」)行きの所与の印刷ラインのための、2値ドットへとレンダリングする。ページ伸長パイプラインの第1のステージは、連続階調デコーダユニット(「CDU」)、可逆2値デコーダ(「LBD」)、およびタグエンコーダ(「TE」)を備える。CDUは、JPEG形式で圧縮された連続階調(通常CMYK)レイヤを伸長し、LBDは、圧縮された2値レイヤ(通常K)を伸長し、TEは、赤外線タグを後のレンダリングのために(通常IRまたはKインクに)エンコードする。第1のステージからの出力は、1組のバッファ、すなわち連続階調FIFOユニット(「CFU」)、スポットFIFOユニット(「SFU」)およびタグFIFOユニット(「TFU」)である。CFUおよびSFUバッファは、ダイナミックランダムアクセスメモリ内で実装される。
【0173】
第2のステージは、ハーフトーン合成器ユニット(「HCU」)を備え、HCUは、連続階調レイヤをディザリングし、位置タグおよび2値スポットレイヤを、結果的に得られる2値のディザリングされたレイヤ上で合成する。制御装置と共に使用される印刷ヘッド164に応じて、多数の合成オプションを実装することができる。2値データの最高6つのチャネルが、このステージで作り出されるが、印刷ヘッド164上にすべてのチャネルが存在しなくてもよい。たとえば、印刷ヘッド164をCMYのみとし、KをCMYチャネル内に押し込み、IRを無視することができる。あるいは、IRインクが利用可能でない場合(またはテスト目的で)、エンコードされたタグをKで印刷することができる。
【0174】
第3のステージで、不作動ノズル補償器(「DNC」)が、色の冗長化、および周囲のドット内への不作動ノズルのデータの誤差拡散によって、印刷ヘッド164内の不作動ノズルを補償する。結果的に得られる2値の6チャネルドットデータ(通常CMYK、IR、および定着剤)が、バッファされ、ドットラインライタユニット(DWU)を通じて、DRAM内に記憶される1組のラインバッファへと書き込まれる。最後に、ドットデータが、DRAMからロードし直され、ドットFIFO(図示せず)を通じてPHIへと渡される。ドットFIFOは、ラインローダユニット(「LLU」)からデータをシステムクロック速度で受け取るが、PHIは、データをドットFIFOから取り出し、それをシステムクロック速度の3分の2の速度で印刷ヘッド164へと送る。
【0175】
サブシステム435から437の上記で説明した構成要素、および図29に示すが上記で説明していない構成要素の、詳細および機能を、CPUサブシステム435、DRAMサブシステム436、およびPEPサブシステム437のそれぞれについて、以下の表1から表3内に提供する。
【表4】


【表5】


【表6】


好ましくは、DRAMサブシステム436のDRAMは、サイズが2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトが、圧縮ページ記憶データにとって使用可能である。圧縮されたページは、メモリ内に記憶された多くのバンドを用いて、2つ以上のバンドとして受け取られる。ページのバンドが、印刷のためにPEPサブシステム437によって消費されるとき、新しいバンドをダウンロードすることができる。新しいバンドは、現在のページまたは次のページ用とすることができる。バンディングを使用すると、圧縮されたページが完全にダウンロードされる前にページの印刷を開始することができるが、データが常に印刷用に常に利用可能であることが保証されるよう注意しなければならない。さもなければバッファアンダーランが生じることがある。
【0176】
内蔵USB1.1デバイスは、PC232(図26)からの圧縮されたページデータおよび制御コマンドを受け入れ、DRAM、または多制御装置印刷エンジンアセンブリ内の別の制御装置への、データ伝送を容易にする。多制御装置印刷エンジンアセンブリ130は、特定の実装に応じて、様々な機能を実行するために使用することができる。たとえばいくつかの例では、別の制御装置が上記様々な圧縮解除およびフォーマット機能を行う一方で、1つの制御装置を、単にその搭載DRAMのために使用することができる。これによって、印刷ヘッド164が、ページのためのすべてのデータが受け取られる前にそのページの印刷を開始し、残りのデータが時間内に受け取られない場合に起こりうる、バッファアンダーランの可能性を低減することができる。追加の制御装置を、そのメモリバッファリング能力のために追加することによって、追加制御装置のその他の能力が使用されないとしても、バッファリングすることができるデータの量が2倍になる。
【0177】
各制御装置は、いくつかのQAデバイスを有することができ、QAデバイスは、プリンタ100の機構の品質を保証し、印刷ヘッド164のノズルが印刷時に損傷を受けないようにインク供給部の品質を保証し、印刷ヘッド164およびプリンタ100の機構が損傷を受けないことを保証するためにソフトウェアの品質を保証するよう、互いに協働するように設計される。
【0178】
通常、印刷エンジンアセンブリ130の各制御装置は、最高印刷速度などプリンタ100の属性についての情報を記憶する、結合されたQAデバイス(図示せず)を有する。印刷エンジンアセンブリ130のカートリッジユニット162もまた、インク保管および操作リザーバ166内に残っているインクの量など、カートリッジユニット162についての情報を記憶する、インクQAデバイス(図示せず)を備える。印刷ヘッド164もまた、不作動ノズルのマッピングおよび印刷ヘッド164の特徴など、印刷ヘッド特定の情報を記憶するROMとして(EEPROMとして有効に)作動するように構成された、QAデバイス(図示せず)を有する。制御装置のCPUサブシステム435内のCPU438はまた、論理(ソフトウェア)QAデバイス(図示せず)を作動させ、任意で、シリアルEEPROMとして有効に作動するQAデバイスからプログラムコードをロードし、それを実行する。一般に、すべてのQAデバイスは、物理的に同一であり、フラッシュメモリのコンテンツのみがそれらを互いに差別化する。
【0179】
各制御装置は、システム認証およびインク使用アカウンティングのためにQAデバイスと通信することができる、2つのLSSシステムバスを有する。1つのバスにつき、多数のQAデバイスを使用することができ、それらのシステム内での位置は、印刷ヘッドQAデバイスとインクQAデバイスが、別々のLSSシステムバスをLSSバス上にあるべきであることを除き、制約されない。
【0180】
使用に際しては、論理QAデバイスは、インクの残量を決定するために、インクQAデバイスと通信する。インクQAからの応答は、印刷ヘッドQAデバイスを参照して認証される。印刷ヘッドQAデバイスからの検証はそれ自体、論理QAデバイスによって認証され、それにより、インクQAデバイスからの応答に、追加的な認証レベルが間接的に加えられる。
【0181】
印刷ヘッドQAデバイス以外のQAデバイス間で送られるデータは、デジタル署名によって認証される。たとえば、HMAC−SHA1認証をデータ用に使用することができ、RSAをプログラムコード用に使用することができるが、別のスキームを代わりに使用することができる。
【0182】
単一の制御装置は、印刷ヘッド164の複数の印刷ヘッドIC、および最高6つの印刷流体チャネル(たとえばCMYK、IRおよびF)を制御することができる。ただし、制御装置は、好ましくは色空間を認識しない(agnostic)。したがって、制御装置は連続階調データをCMYXまたはRGBXとして受け取り、ここでXは任意の第4チャネルであるが、これは連続階調データをいかなる印刷色空間内で受け取ることもできる。さらに、制御装置は、インク最適化のためにドットを組み合わせること、何らかの数の別のチャネルに基づくチャネルの生成を含めて、入力チャネルを出力チャネルへと任意にマッピングするための機構を提供する。ただし、入力は通常、連続階調入力のためのCMYK、および2値入力のためのKであり、任意のIRタグドットは通常、赤外線レイヤへとレンダリングされ、定着剤チャネルは、高速印刷能力により生成される。
【0183】
さらに、制御装置はまた、好ましくは解像度も認識せず、そのためそれは、スケール因子によって入力解像度と出力解像度の間のマッピングを提供するに過ぎず、印刷ヘッド164の物理的な解像度の知識をもたない。さらに、制御装置は、好ましくは、ページ長も認識せず、そのため連続的なページは通常、バンドへと分割され、各バンドの情報が消費されるにつれてページ記憶域にダウンロードされる。
【0184】
ここで図30から図33に移り、印刷ヘッド164の印刷ヘッドICをさらに説明する。わかりやすくするために、1つの印刷ヘッドIC439のみを図30に示すが、対応する構成が、その他の印刷ヘッドICのために実装されることが理解されるであろう。
【0185】
図30は、印刷ヘッドIC、ならびに、印刷ヘッドICと印刷エンジンアセンブリ130の駆動電子部品174の制御装置との接続の概観を示す。印刷ヘッドIC439は、印刷ヘッドIC439内に設けられた各ノズルを発射させるための反復ロジックを含むノズルコアアレイ440と、高速リンク442を通じて制御装置から受け取ったデータに従って、ノズルを発射させるためのタイミング信号を発生するためのノズル制御ロジック441とを備える。ノズル制御ロジック441は、シリアルデータを、印刷のためにリンク443を通じてノズルコアアレイ440へと送るように構成される。ノズルコアアレイ440についての状態およびその他の動作情報は、別のリンク444を通じてノズル制御ロジック441へと送り戻される。
【0186】
ノズルコアアレイ440を、図31および図32に詳細に示す。図31に示すように、ノズルコアアレイ440は、ノズル列のアレイ445と、発射/選択シフトレジスタ446と、それぞれ対応するドットシフトレジスタ447によって表される、最高6つのチャネルとを備える。
【0187】
図32に示すように、発射/選択シフトレジスタ446は、順方向経路発射シフトレジスタ448、逆方向経路発射シフトレジスタ449、および選択シフトレジスタ450を備え、各ドットシフトレジスタ447は、奇数ドットシフトレジスタ451および偶数ドットシフトレジスタ452を備える。奇数シフトレジスタ451と偶数シフトレジスタ452は、データが奇数シフトレジスタ451を通じて一方向でクロック制御され、次いで偶数シフトレジスタ452を通じて逆方向でクロック制御されるように、一端部にて接続される。最終以外のすべての偶数ドットシフトレジスタ452の出力は、複数のマルチプレクサ453の1つの入力へと供給される。マルチプレクサ453のこの入力は、製造後のテスト中に、信号(CoreScan)によって選択される。正常な動作では、CoreScan信号は、各マルチプレクサ453のその他の入力に供給される、ドットデータ入力Dot[x]を選択する。これによって、各色のためのDot[x]が、それぞれのドットシフトレジスタ447へと供給される。
【0188】
図32はまた、ノズル列のアレイ445の単一列Nを示す。図示の実施形態では、列Nは、6つのドットシフトレジスタ447それぞれのための奇数データ値454および偶数データ値455を含む、12個のデータ値を備える。列Nはまた、順方向発射シフトレジスタ448からの奇数発射値456、および逆方向発射シフトレジスタ449からの偶数発射値457を備え、それらはマルチプレクサ458への入力として供給される。マルチプレクサ458の出力は、選択シフトレジスタ450内の選択値459によって制御される。選択値459が0である場合、奇数発射値456が出力され、選択値459が1である場合、偶数発射値457が出力される。
【0189】
奇数データ値454および偶数データ値455は、それぞれ奇数ドットラッチ460および偶数ドットラッチ461に対応する入力として提供される。各ドットラッチ460および461、ならびにその関連データ値454および455は、奇数ラッチ460および奇数データ値454のための、図32に示すユニットセル462など、ユニットセルを形成する。奇数ドットシフトレジスタ451のこの状況を、図33に示す。これはまた、偶数ドットシフトレジスタ452の状況にも適用可能である。
【0190】
図33を参照すると、奇数ドットラッチ460は、奇数データ値454の出力を受け取るDタイプフリップフロップであり、奇数データ値454の出力は、奇数ドットシフトレジスタ451の要素を形成するユニットセル(Dタイプフリップフロップ)462によって保持される。フリップフロップ462へのデータ入力は、(考慮される要素が、その入力がDot[x]値となる、シフトレジスタ447内の第1の要素でなければ)奇数シフトレジスタ451内の以前の要素の出力から提供される。データは、ラインLsyncL上に供給される負のパルスを受け取ると、フリップフロップ462の出力から、奇数ドットラッチ460内へとクロック制御される。
【0191】
奇数ドットラッチ460の出力は、3入力ANDゲート463の入力のうちの1つとして提供される。ANDゲート463への別の入力は、(マルチプレクサ458の出力からの)発射イネーブル(Fr)信号、およびパルスプロファイル(Pr)信号である。ノズルの発射時間は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、プリンタ100の電源がたとえば、本体102内に取り付けられるバッテリ要素(図示せず)として提供される状況で、たとえば、バッテリ電力低下により生じる低電圧状態を考慮して延長することができる。これは、比較的一定の量のインクが、各ノズルが発射されるときそこから有効に吐出されることを保証するためのものである。プロファイル信号Prは、各ドットシフトレジスタ260で同一とすることができ、それによって、複雑性、コスト、および性能の間のバランスをもたらす。ただし、Pr信号は、全体的に印加することができ(すなわちすべてのノズルに対して同一となる)、あるいは、各ユニットセルまたさらには各ノズルに対して個別に調整することができる。
【0192】
データが奇数ドットラッチ460内にロードされると、FrおよびPr信号が、ANDゲート463に印加され、結合されて、ロジック1を含む各奇数ドットラッチ460ごとにインクのドットを吐出するようノズルをトリガする。
【0193】
図32および図33に示すような、各ノズルチャネルのための信号を、以下の表4で概 説する。
【表7】


図33に示すように、Fr信号は、現在の列内の1つの色、後続の列内の次の色などの発射をイネーブルするために、対角線上に送られる。これは、電流需要を、時間遅延させたやり方で6つの列上に分散させることによって平均化する。
【0194】
ドットラッチおよび様々なシフトレジスタを形成するラッチは、十分に静的であり、CMOSベースである。ラッチの設計および構造は、当業者によく知られているので、本明細書では詳細に説明しない。
【0195】
上述したように、プリンタ100を用いて印刷することができる印刷メディアの、最大サイズのページの幅を横断する印刷表面または領域を有する印刷ヘッド164は、このページ幅を横断するプリンタ100の高速印刷にて所要の印刷品質を提供するために、少なくとも5000個のノズル、またさらには50000個を超えるノズルを組み込むことができる。たとえば、結合された印刷ヘッドIC252は、カラーインクおよび定着剤チャネルを含めて、1つのチャネルにつき13824個のノズルを有する印刷ヘッドを画成することができる。
【0196】
ノズル速度は、毎分約60ページ、またはより高速でそれより多く印刷することができるプリンタ100で、20kHz程とすることができる。この範囲のノズル速度では、印刷ヘッド164全体から吐出することができるインクの量は、毎秒少なくとも約50000000滴である。ただし、より高速およびより高品質の印刷を提供するためにノズルの数が増加されるとき、少なくとも毎秒100000000滴、好ましくは少なくとも毎秒300000000滴、およびより好ましくは少なくとも毎秒1000000000滴を、送達することができる。
【0197】
結果的に、これらの速度での印刷に対応するために、駆動電子部品174、および特にその(1つまたは複数の)制御装置は、ノズルがインク液滴を、少なくとも毎秒50000000ドット、また印刷速度に応じて毎秒少なくとも100000000ドット、好ましくは少なくとも毎秒300000000、より好ましくはより高速かつ高品質の印刷応用例のための少なくとも毎秒1000000000ドットの速度の、いずれで吐出するべきかを計算しなければならない。
【0198】
A4紙の最大幅で印刷するカラープリンタ100では、上記範囲の数のノズルおよび印刷速度は、少なくとも毎秒50cm、また印刷速度に応じて少なくとも毎秒100cm、好ましくは少なくとも毎秒200cm、およびより好ましくはより高速で少なくとも毎秒500cmの、面積印刷速度をもたらす。
【0199】
本発明を、その例示的な実施形態を参照しながら図示および説明してきたが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正が当業者には明らかとなり、当業者はそれらを容易に製作することができる。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲は、本明細書で説明したような説明に限定されず、特許請求の範囲が広く解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】本発明の一態様によるプリンタを示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタを示す前面図である。
【図3】図1のプリンタの面板の開位置を示す図である。
【図4】図1のプリンタを示す背面図である。
【図5】図1のプリンタの下側を示す斜視図である。
【図6】図1のプリンタを示す底面図である。
【図7】図1のプリンタを示す上面図である。
【図8】図1のプリンタを示す側面図である。
【図9】図1のプリンタの、様々な構成要素を示す分解図である。
【図10】A4印刷媒体が装填された、図9に示すようなプリンタの印刷媒体供給源トレイアセンブリの開位置を示す図である。
【図11】図2の線A−Aに沿った、プリンタを示す断面図である。
【図12】図1のプリンタの、印刷媒体コレクタを示す後部斜視図である。
【図13】図12の印刷媒体コレクタを示す前部斜視図である。
【図14】印刷媒体がその上に収集された状態の、図12に示す印刷媒体コレクタおよびプリンタを示す図である。
【図15】印刷媒体がその上に収集された状態の、図13に示す印刷媒体コレクタおよびプリンタを示す図である。
【図16】本発明による代替面板を有する、図15に示すような印刷媒体コレクタを示す図である。
【図17A】図4に示すプリンタの応用例を示す図である。
【図17B】図4に示すプリンタの応用例を示す図である。
【図18】本発明によるプリンタの代替取付け構成を有する、図14に示すような印刷媒体コレクタを示す図である。
【図19A】図18に示すようなプリンタの、一応用例を示す図である。
【図19B】図18に示すようなプリンタの、一応用例を示す図である。
【図20】図1のプリンタの印刷ヘッド内に組み込まれる、印刷ヘッド集積回路のノズルシステムの一部を示す斜視図(部分的に断面図)である。
【図21】静止状態にある、(図20に示すノズルシステムの)単一のノズルを示す垂直断面図である。
【図22】初期作動状態にある、図21のノズルを示す垂直断面図である。
【図23】後期作動状態にある、図22のノズルを示す垂直断面図である。
【図24】図22に示す初期作動状態にあるノズルの垂直部分断面を示す斜視図である。
【図25】図23に示す後期作動状態にあるノズルの垂直部分断面を示す斜視図である。
【図26】図1のプリンタのドキュメントデータの流れを示す概略図である。
【図27】図26で使用されるページ要素のデータ表現を示す図である。
【図28】図26で使用されるアーキテクチャを示す、より詳細な概略図である。
【図29】図1のプリンタの印刷エンジンアセンブリを組み込む制御装置を示す概略図である。
【図30】図26で使用するためのCMOSドライブおよび制御ブロックを示す概略図である。
【図31】図30のCMOSブロックにおける、ノズル列とドットシフトレジスタの間の関係を示す概略図である。
【図32】ユニットセル、および図31のノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示すより詳細な概略図である。
【図33】図26の単一のノズルのためのロジックを示す回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
前記媒体上に画像を印刷するための印刷エンジンと、
印刷された媒体を収集するための媒体出力アセンブリであって、前記印刷された媒体を収集するための表面を備える画像読取りユニットを有する媒体出力アセンブリと、を具備し、
前記印刷エンジンは、使用時に前記媒体出力アセンブリが支持表面上に平坦に載り、前記媒体入力アセンブリが前記印刷エンジンから上向きに延びるように、前記媒体入力アセンブリと前記媒体出力アセンブリの間となる、インクジェットプリンタユニット。
【請求項2】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取り器上に取り付けられ、前記画像読取り器が、前記プリンタユニットを作業表面上で支持するように構成される、請求項1に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項3】
前記画像読取り器が、前記印刷エンジンから外向きに延び、前記印刷された媒体が、前記画像読取り器の上面上に収集される、請求項2に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項4】
前記印刷エンジンが、前記印刷された媒体を印刷後に前記印刷エンジンから放出するための媒体出口機構を備える、請求項3に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項5】
前記画像読取り器の前記上面が、前記放出された印刷された媒体を捕捉し、前記印刷された媒体を収集のために送るように構成される、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項6】
前記画像読取り器の前記上面が、前記放出された媒体を収集のために前記画像読取り器の前記上面上で捕捉するための、前記放出された媒体の前縁に接触する停止部材を備える、請求項5に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項7】
前記印刷エンジンは、前記媒体が前記印刷ヘッドを通過して移送されるとき前記媒体の表面上にインクを吐出するための、複数のインク吐出ノズルがその上に配置されたページ幅印刷ヘッドを備える、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項8】
前記印刷ヘッドが、カートリッジ上に設けられ、前記カートリッジが、前記印刷エンジンから取外し可能である、請求項7に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項9】
前記カートリッジが、前記印刷ヘッドによる印刷のためにインクを保管するための、少なくとも1つのインク保管リザーバを備える、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項10】
前記印刷エンジンが、受け台を備え、前記受け台が、前記カートリッジを受けるように構成される、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項11】
前記受け台が、前記媒体を印刷のために、前記媒体入力アセンブリから前記印刷ヘッドを通過して移送するための媒体移送機構を備える、請求項10に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項12】
前記受け台は、前記媒体上への前記画像の印刷を容易にするように、前記印刷ヘッドおよび前記移送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項11に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項13】
前記制御システムがまた、前記画像読取りユニットの動作を制御する、請求項12に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項14】
印刷用の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
前記媒体上に画像を印刷するための印刷エンジンと、
印刷された媒体を収集するための媒体出力アセンブリであって、前記印刷された媒体を収集するための表面を有する画像読取りユニットを備える、媒体出力アセンブリとを具備し、
前記印刷エンジンが、ページ幅印刷ヘッドを備える、インクジェットプリンタユニット。
【請求項15】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取り器上に取り付けられ、前記画像読取り器が、前記プリンタユニットを作業表面上で支持するように構成される、請求項14に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項16】
前記画像読取り器が、前記印刷エンジンから外向きに延び、前記印刷された媒体が、前記画像読取り器の上面上で収集される、請求項15に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項17】
前記印刷エンジンが、前記印刷された媒体を印刷後に前記印刷エンジンから放出するための媒体出口機構を備える、請求項16に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項18】
前記画像読取り器の前記上面が、放出された印刷された媒体を捕捉し、前記印刷された媒体を収集のために送るように構成される、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項19】
前記画像読取り器の前記上面が、前記放出された媒体を収集のために前記画像読取り器の前記上面で捕捉するための、前記放出された媒体の前縁に接触する停止部材を備える、請求項18に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項20】
前記印刷エンジンは、前記媒体が前記印刷ヘッドを通過して移送されるとき前記媒体の表面上にインクを吐出するための、複数のインク吐出ノズルがその上に配置されたページ幅印刷ヘッドを備える、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項21】
前記印刷ヘッドが、カートリッジ上に設けられ、前記カートリッジが、前記印刷エンジンから取外し可能である、請求項20に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項22】
前記カートリッジが、前記印刷ヘッドによる印刷のためにインクを保管するための、少なくとも1つのインク保管リザーバを備える、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項23】
前記印刷エンジンが、受け台を備え、前記受け台が、前記カートリッジを受けるように構成される、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項24】
前記受け台が、前記媒体を印刷のために、前記媒体入力アセンブリから前記印刷ヘッドを通過して移送するための媒体移送機構を備える、請求項23に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項25】
前記受け台は、前記媒体上への前記画像の印刷を容易にするための、前記印刷ヘッドおよび前記移送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項24に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項26】
前記制御システムがまた、前記画像読取りユニットの動作を制御する、請求項25に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項27】
画像読取り器と共に使用するためのインクジェットプリンタユニットであって、
印刷されるべき媒体を支持するための媒体入力アセンブリ、および前記画像読取り器上の相補的な固定手段と解放可能に係合するための固定手段を有する、本体と、
ページ幅印刷ヘッド、および前記印刷ヘッドの動作を制御するための制御システムを有する、印刷エンジンとを備え、
前記本体は、前記固定手段が前記相補的な固定手段と解放可能に係合するよう位置決めされるように、前記画像読取り器ユニットと共に入れ子式となるよう形状付けされる、プリンタユニット。
【請求項28】
前記本体が、前記画像読取りユニット内に設けられた座部内で受けられるように形状づけられた基部を有する、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項29】
前記本体の前記基部は、前記本体を前記画像読取りユニットに取外し可能に固定するために、前記画像読取りユニットの前記座部上に設けられた複数の配置部材を受けるようになされた複数の凹部を備える、請求項28に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項30】
前記本体の前記基部は、前記画像読取りユニットの前記座部上に設けられた電気コネクタを受けるための電気的入口を備え、そのため、前記本体が前記画像読取りユニットに固定されるとき、前記本体と前記画像読取りユニットとの間に電気経路が形成されて、それらの間のデータおよび電力の伝達を可能にする、請求項29に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項31】
前記印刷エンジンの前記制御システムが、前記画像読取りユニットの動作を制御し、データが、前記制御システムと前記画像読取りユニットとの間で前記電気経路を通じて伝達される、請求項30に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項32】
前記本体が、前記電気経路を通じて動作電力を前記画像読取りユニットへと供給する電源を備える、請求項31に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項33】
前記印刷ヘッドが、カートリッジ上に設けられ、前記カートリッジが、前記印刷エンジンから取外し可能である、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項34】
前記カートリッジが、前記印刷ヘッドによる印刷のためにインクを保管するための、少なくとも1つのインク保管リザーバを備える、請求項33に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項35】
前記印刷エンジンが、受け台を備え、前記受け台が、前記カートリッジを受けるように構成される、請求項34に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項36】
前記受け台が、前記媒体を印刷のために、前記媒体入力アセンブリから前記印刷ヘッドを通過して移送するための媒体移送機構を備える、請求項35に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項37】
インクジェットプリンタユニットと共に使用するための画像読取り器ユニットであって、
印刷された媒体を前記プリンタユニットから受け取り、前記印刷された媒体を読取りのために送るための媒体読取り表面と、
前記プリンタユニット上の固定手段と解放可能に係合するための相補的な固定手段とを備え、
前記相補的な固定手段が、前記固定手段と解放可能に係合するよう位置決めされるように、前記画像読取り器が、前記プリンタユニットと入れ子式になるよう形状付けされる、画像読取り器ユニット。
【請求項38】
画像を媒体表面上に印刷するための、また媒体表面上の画像に関連する画像情報を読み取りかつ記録するための画像処理装置であって、
印刷されるべき媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有する、インクジェットプリンタユニットと、
ページ幅印刷ヘッド、および前記印刷ヘッドの動作を制御するための制御システムを有する、印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印刷された媒体を受け取り、前記印刷された媒体を読取りのために送るための媒体読取り表面を有する、画像読取りユニットとを備え、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取り器ユニットと入れ子式に係合し、それに対して解放可能に固定される、画像処理装置。
【請求項39】
画像を媒体表面上に印刷するための、また媒体表面上の画像に関連する画像情報を読み取りかつ記録するための画像処理装置であって、
印刷されるべき媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有する、インクジェットプリンタユニットと、
ページ幅印刷ヘッド、および前記印刷ヘッドの動作を制御するための制御システムを有する、印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印刷された媒体を受け取り、前記印刷された媒体を読取りのために送るための媒体読取り表面を有する、画像読取りユニットとを備え、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取り器ユニットと入れ子式に係合し、それに対して解放可能に固定される、画像処理装置。
【請求項40】
画像を媒体表面上に印刷するための、また媒体表面上の画像に関連する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、
印刷されるべき媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有する、インクジェットプリンタユニットと、
画像読取り器、および、印刷された媒体を受け、前記画像情報を読み取るために前記画像読取り器に印刷された媒体を送るための媒体読取り表面を有する、画像読取りユニットと、
個々のインク液滴を印刷されるべき前記媒体上へと吐出するための複数のインク吐出ノズルを有するページ幅印刷ヘッド、および前記印刷ヘッドの動作を制御するための制御システムを有する、印刷エンジンとを備え、
前記制御システムは、前記ノズルが、毎秒少なくとも50000000測定量の速度でインク液滴を吐出するかどうかを決定する、画像処理装置。
【請求項41】
前記本体が、座部を備え、前記座部が、前記インクジェットプリンタユニットをその中に受けるように形状付けされる、請求項40に記載の画像読取りユニット。
【請求項42】
前記固定手段が、座部上に設けられており、前記座部から延びる少なくとも1つの配置部材を備え、前記インクジェットプリンタユニット内に設けられた対応する受取り部材と係合するようになされる、請求項41に記載の画像読取りユニット。
【請求項43】
前記受取り部材が、凹部であり、前記配置部材が、前記凹部内で受けられるように形状付けされる、請求項42に記載の画像読取りユニット。
【請求項44】
電気コネクタが、前記インクジェットプリンタユニット上に設けられた対応する電気コネクタと接触するように、座部上に設けられ、そのため、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部内で受けられるとき、電気経路が、前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取り器との間に形成されてデータおよび電力をそれらの間に伝達することを可能にする、請求項41に記載の画像読取りユニット。
【請求項45】
前記画像読取り器が、ヘッドを備え、前記ヘッドは、前記媒体の前記表面上に形成された前記画像に関連する前記画像情報を収集するために、前記媒体の前記表面に沿って移動するように構成される、請求項44に記載の画像読取りユニット。
【請求項46】
前記画像読取り器によって収集された前記画像情報が、前記画像読取り器と共に設けられた制御装置内に記憶される、請求項45に記載の画像読取りユニット。
【請求項47】
前記制御装置内に記憶された前記画像情報が、処理のために前記電気経路を通じて前記インクジェットプリンタユニットに送信される、請求項46に記載の画像読取りユニット。
【請求項48】
前記制御装置が、前記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御コマンドに従って、前記画像読取りユニットの動作を調整する、請求項46に記載の画像読取りユニット。
【請求項49】
画像を媒体表面上に印刷するための、かつ媒体表面上の画像に関連する画像情報を読み取るための、画像処理装置であって、
印刷されるべき媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有する、インクジェットプリンタユニットと、
画像読取り器、および印刷された媒体を受け取り、前記画像情報を読み取るために前記印刷された媒体を前記画像読取り器に送るための媒体読取り表面を有する、画像読取りユニットと、
ページ幅印刷ヘッド、および前記印刷ヘッドの動作を制御するための制御システムを有する、印刷エンジンとを備え、
前記印刷ヘッドは、前記媒体上へとインクの個々の液滴を吐出するための、少なくとも5000個のインク吐出ノズルを有する、画像処理装置。
【請求項50】
前記本体が、座部を備え、前記座部は、前記インクジェットプリンタユニットをその中に受けるように形状付けされる、請求項49に記載の画像読取りユニット。
【請求項51】
前記固定手段が、座部上に設けられており、前記座部から延び、前記インクジェットプリンタユニット上に設けられた対応する受取り部材と係合するようになされた、少なくとも1つの配置部材を備える、請求項50に記載の画像読取りユニット。
【請求項52】
前記受取り部材が凹部であり、前記配置部材が、前記凹部内で受けられるように形状付けされる、請求項51に記載の画像読取りユニット。
【請求項53】
電気コネクタが、前記インクジェットプリンタユニット上に設けられた対応する電気コネクタと接触するように座部上に設けられ、そのため、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部内で受けられるとき、電気経路が前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取り器との間に形成されて、それらの間でデータおよび電力を伝達することを可能にする、請求項50に記載の画像読取りユニット。
【請求項54】
前記画像読取り器が、ヘッドを備え、前記ヘッドは、前記媒体の前記表面上に形成された前記画像に関連する前記画像情報を収集するために、前記媒体の前記表面に沿って移動するように構成される、請求項53に記載の画像読取りユニット。
【請求項55】
前記画像読取り器によって収集された前記画像情報が、前記画像読取り器を備える制御装置内に記憶される、請求項54に記載の画像読取りユニット。
【請求項56】
前記制御装置内に記憶された前記画像情報が、処理のために前記電気経路を通じて前記インクジェットプリンタユニットへと送信される、請求項55に記載の画像読取りユニット。
【請求項57】
前記制御装置が、前記インクジェットプリンタユニットからの制御コマンドに従って、前記画像読取りユニットの動作を調整する、請求項55に記載の画像読取りユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2008−525209(P2008−525209A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547077(P2007−547077)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001787
【国際公開番号】WO2006/066302
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】