説明

受付システム、及び、方法

【課題】利用者を長時間待たせることを回避することができる受付システムを提供する。
【解決手段】接続部22は、利用者からの電話と、受付台13との接続を行う。待ち時間算出部23は、受付台13に空きがないときは、受付台13での対応時間の実績値を記録した保留時間統計テーブルを参照して、予想待合せ時間を算出する。算出された予想待合せ時間が所定時間以上であれば、通知部24により、予想待合せ時間を通知した上で、発信者識別番号を抽出し、登録部25により、呼び返し管理テーブルに登録する。呼び返し部26は、呼び返し管理テーブルを参照して、登録された利用者の呼び返しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受付システム、及び、方法に関し、更に詳しくは、複数の受付台にて利用者からの電話を受け付ける電話受付システム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者からの電話を、受付台に接続する受付システムがある。このような受付システムの利用分野としては、例えば、通信販売における電話窓口、チケット予約に代表されるコールセンター、お客様相談室、カード会社の受付窓口などが考えられる。受付システムは、受付台に空きがある状況では、利用者からの電話を、空き受付台に繋ぐ。利用者からの電話が、受付台の数よりも多く、空き受付台がない状況では、利用者に、空き受付台が発生するまでの間、「しばらくお待ちください」や、「後でおかけ直しください」などのメッセージを流し、空き受付台が発生すると、その空き受付台に、利用者からの電話を順次に繋いでいく。
【0003】
例えば、チケット予約などを例に考えると、予約販売開始時などに利用者からの電話が殺到し、利用者は、予約受付番号に電話をかけても、いつまでたっても受付台に接続されず、長い間待たされることが多い。その際、利用者は、電話接続状態で待たされることになるのでは、通話料が通話先負担でない場合には、待たされている間、通話料金が加算されることになる。また、後で掛け直そうと思っても、電話を掛け忘れることが多い。しばらく待って掛け直しても、「空き次第お繋ぎします」などのメッセージが流れるだけで状況は変わらず、電話を掛けるのをあきらめてしまうことも多い。
【0004】
電話がつながらないことは、利用者にとっては、時間の無駄であり、電話がつながらないことに対する苛立ちなどの問題を引き起こす。また、利用者は、いつまでたってもオペレータに接続されないことで、場合によっては、申し込みを断念せざるを得ないこともある。このことは、コールセンターから見ると、ビジネス期間の損失であり、顧客満足度の低下にもつながる。また、電話がつながらないことで、電話の掛け直しが多数発生し、コール数が雪だるま的に増加して、電話の輻輳といった事態を引き起こすこともある。
【0005】
上記問題に対して、特許文献1には、受付センター側で利用者の電話番号を記録し、受付センターから利用者にコールバックを行う技術が記載されている。特許文献1では、受付台(オペレータ)に空きがないときには、利用者に対して混みあっている旨を通知し、その後、折り返し電話することを希望するか否かを問い合わせるメッセージを送信する。利用者が、折り返し電話を希望する時間帯を入力すると、受付システムは、それを記憶する。そして、指定された時間帯に、オペレータ側から利用者の電話番号に発信して、コールバックを行う。
【0006】
顧客等の電話によるリアルタイムな注文、問い合わせに対応するコンピュータを用いたコミュニケーションシステムの一例が、特許文献2に記載されている。特許文献2では、顧客等からの電話が着信してから、待ち時間の心理的限界と思われる20秒以内に、コンピュータシステムから自動メッセージを送信する。次に、新規着信電話に対する想定待ち時間をコンピュータシステムが自動的に算出し、自動メッセージに、算出した想定待ち時間を含める。その後、自動メッセージに含まれる顧客等の選択肢の中に、「今すぐ電話を切り、後ほど顧客等が指定する電話番号にコールセンター等のオペレータが電話を掛け直す」旨の選択肢を含め、顧客等がこの選択肢を選択したときには、顧客等に、指定電話番号を尋ねる自動メッセージを送信する。
【特許文献1】特開2005−167757号公報
【特許文献2】特開2002−101209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、利用者に、折り返し電話を希望するか否かを問い合わせ、利用者が折り返し電話を希望するときには、折り返し電話を希望する時間を入力させ、それを記憶する旨の記載がある。しかし、特許文献1では、推定待ち時間の算出及び利用者に対する通知を行わないため、利用者は、どのくらい待てばオペレータに接続されるのかが予測できず、折り返し電話をもらうことが得策であるか、そのまま待ち続けることが得策であるかを判断できない。また、特許文献2には、想定待ち時間を計算する旨の記載はあるが、「オペレータの人員数、通話待ちコール数、通話待ち延べ時間」によって通話待ち状態の程度を判断する旨の記載があるのみで、実際に、どのようなアルゴリズムで想定待ち時間を計算するかまでは記載されていない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、利用者の利便性を向上し、利用者を長時間待たせることを回避できる受付システム、及び、方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の受付システムは、複数の受付台と利用者との接続を制御する受付システムにおいて、利用者からの接続を受け付ける受付部と、前記受付台への接続開始時刻から受付台での通話終了時刻までの間の時間を示す保留時間を記録した保留時間統計テーブルに基づいて、予想待合せ時間を計算する待ち時間算出部と、前記算出された予想待合せ時間を利用者に通知する通知部と、前記算出された予想待合せ時間が所定時間以上であると判断すると、前記利用者の発信者番号を取得し、該取得した発信者番号を呼び返し管理テーブルに記憶する登録部と、前記呼び返し管理テーブルを参照して、前記利用者を呼び出す呼び返し部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の受付システムは、電話交換機を用い、複数の受付台と利用者との接続を制御する受付システムにおける受付方法において、前記電話交換機を制御する制御装置が、前記利用者からの電話を受け付けると、前記受付台への接続開始時刻から受付台での通話終了時刻までの間の時間を示す保留時間を記録した保留時間統計テーブルに基づいて、予想待合せ時間を計算するステップと、前記制御装置が、前記算出された予想待合せ時間を利用者に通知するステップと、前記制御装置が、前記算出された予想待合せ時間が所定時間以上であると判断すると、前記利用者の発信者番号を取得し、該取得した発信者番号を呼び返し管理テーブルに記憶するステップと、前記制御装置が、前記呼び返し管理テーブルを参照して、前記利用者を呼び出すステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の受付システム及び方法では、受付台での保留時間(利用者対応時間)を保留時間統計テーブルに記憶しておき、利用者からの電話を受け付けた際に、保留時間統計テーブルを参照して、予想待合せ時間を算出する。予想待合せ時間を、保留時間の実績値に基づいて求めることで、実際の待合せ時間に近い予想待合せ時間を得ることができ、これを利用者に通知することで、利用者は、どの程度待つ必要があるかを知ることができる。また、本発明では、算出された予想待合せ時間が所定時間以上であるときには、利用者の発信者番号を取得して呼び返し管理テーブルに記憶し、呼び返し管理テーブルに記憶された利用者を呼び返す。予想待合せ時間が長いときには、呼び返し管理テーブルに利用者を登録し、センター側から呼び返しを行うことで、利用者を長時間待たせることを回避できる。また、利用者に予想待合せ時間を通知した上で、空き受付台が発生するまで待つか、或いは、折り返し電話を希望するかを選択させる場合には、利用者は、予想待合せ時間に応じてどちらが得策であるかを判断することができ、利用者の利便性を向上できる。
【0012】
本発明の受付システム及び方法では、前記待ち時間の算出では、前記保留時間統計テーブルを参照して、前記保留時間の平均値を計算し、該保留時間の平均値を前記受付台の台数で割った値を、前記予想待合せ時間として算出する構成を採用できる。受付台での保留時間の平均を、受付台の台数で割った値は、次に受付台が空くまでの時間に相当するので、この値を予想待合せ時間とすればよい。なお、受付台での保留時間の平均を求める際には、極端に短い値と、極端に長い値とを除いて、平均を算出することが好ましい。
【0013】
本発明の受付システム及び方法では、前記呼び返し管理テーブルの登録では、前記利用者によって入力された呼び返し希望時間帯を示す情報を前記呼び返し管理テーブルに登録する構成を採用できる。本発明の受付システム及び方法では、前記呼び返し部は、前記呼び返し管理テーブルを参照して、現在時刻が、前記利用者に呼び返し希望時間帯に合致する利用者を検索し、該検索した利用者を呼び出す構成を採用できる。この場合、呼び返し部にて、呼び返し管理テーブルに登録された呼び返し希望時間に利用者を呼び返すことで、利用者は、自身の都合のよい時間に呼び返しを受けることができる。なお、呼び返し希望時間の指定がない場合には、呼び返し部は、空き受付台が発生しだい、利用者を呼び返せばよい。
【0014】
本発明の受付システム及び方法では、前記呼び返し管理テーブルの登録では、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、前記呼び返し管理テーブルに、利用者が会員である旨の情報を登録する構成を採用できる。この場合、前記呼び返し部は、会員である旨の情報を有する利用者を優先的に呼び出す構成を採用できる。呼び返し管理テーブルに、会員と非会員との2人の利用者が登録されているときには、会員である利用者の呼び出しを先に行うことで、会員に対する呼び返しを優先することができる。
【0015】
本発明の受付システム及び方法では、前記呼び返し管理テーブルが、会員用の呼び返し管理テーブルと、非会員用の呼び返し管理テーブルとを含み、前記呼び返し管理テーブルの登録では、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、利用者が会員であるときには、前記会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録し、利用者が非会員であるときには、前記非会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録する構成を採用できる。この場合、前記呼び返し部は、会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断し、いないと判断すると、非会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断することで、会員を優先的に呼び出す構成を採用できる。このようにすることで、会員用の呼び返し管理テーブルと、非会員用の呼び返し管理テーブルとに、それぞれ呼び出すべき利用者がいるときに、会員用の呼び返し管理テーブルに登録された利用者を先に呼び出すことができ、会員に対する呼び返しを優先することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の受付システム及び方法では、受付台での保留時間を保留時間統計テーブルに記憶しておき、利用者からの電話を受け付けた際に、保留時間統計テーブルを参照して、予想待合せ時間を算出する。予想待合せ時間を、保留時間の実績値に基づいて求めることで、実際の待合せ時間に近い予想待合せ時間を得ることができ、これを利用者に通知することで、利用者は、どの程度待つ必要があるかを知ることができる。また、算出された予想待合せ時間が所定時間以上であるときには、利用者の発信者番号を取得して呼び返し管理テーブルに記憶し、呼び返し管理テーブルに記憶された利用者を呼び返す。予想待合せ時間が長いときには、呼び返し管理テーブルに利用者を登録し、センター側から呼び返しを行うことで、利用者を長時間待たせることを回避できる。更に、利用者に予想待合せ時間を通知した上で、空き受付台が発生するまで待つか、或いは、折り返し電話を希望するかを選択させる場合には、利用者は、予想待合せ時間に応じてどちらが得策であるかを判断することができ、利用者の利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の受付システムの構成を示している。受付システム10は、公衆網と複数の受付台13との間の接続を制御する制御装置11を有する。制御装置11は、PBX交換機12を制御して、公衆網と受付台13との間の接続を制御する。一般的なPBX交換機12に、制御装置11の機能を付加することで、本発明の受付システムによる呼び返しの動作が実現できる。制御装置11、PBX交換機12、及び、受付台13は、コールセンターなどのセンターに設置される。制御装置11の機能は、ソフトウェア的又はハードウェア的に実現される。
【0018】
制御装置11は、受付部21、接続部22、待ち時間算出部23、通知部24、登録部25、及び、呼び返し部26を有する。受付部21は、利用者からの電話を受け付ける。接続部22は、受付部21が受け付けた利用者からの電話を、受付台13に接続する。待ち時間算出部23は、受付台13での利用者との通話時間に基づいて、予想される利用者の待ち時間を算出する。通知部24は、利用者に各種ガイダンスを通知する。通知部24が行うガイダンスには、空き受付台がないときに行う待合せガイダンスや、利用者がセンター側からの呼び返しを希望するときに、呼び返し希望時間帯の入力を促すガイダンスなどがある。
【0019】
登録部25は、利用者が呼び返しを希望すると、図示しない記憶装置内に記憶された呼び返しを管理するための管理テーブルに、利用者の電話番号を登録する。登録部25は、利用者が呼び返し希望時間帯を指定したときには、その情報も、呼び返し管理テーブルに登録する。呼び返し部26は、周期的に呼び返し管理テーブルをサーチし、呼び返し対象者がいるときには、呼び返し管理テーブルから電話番号を読み出し、利用者の呼び出しを行う。呼び返し部26は、利用者によって呼び返し時間帯が指定されているときには、その指定時間帯に、呼び返しを実行する。
【0020】
図2に、呼び返しすべき対象者を管理する管理テーブルを示す。呼び返し管理テーブル27には、呼び返しの対象者ごとに、電話番号、呼び返し希望時間帯、未応答回数、会員表示を記録する。登録部25は、利用者の電話番号を、受付部21が電話を受け付けた際の発信者番号から抽出し、呼び返し管理テーブル27に記録する。呼び返し希望時間帯は、利用者に、トーンなどを用いて入力させ、これを記録する。未応答回数は、呼び返し部26が呼び返しを行った際に、利用者の応答がなければ、値をインクリメントする。会員表示は、利用者が、図示しない会員データベースに登録された会員であるか否かを示す情報である。会員データベースに登録された会員であるか否かは、例えば、電話番号により判断する。
【0021】
書込みポインター28は、呼び返し管理テーブル27に情報を書き込む際に用いられるポインターであり、読出しポインター29は、呼び返し管理テーブル27から情報を読み出す際に用いられるポインターである。書込みポインター28は、呼び返し管理テーブル27の空きエントリの先頭を指しており、登録部25は、新規に情報を記録する際には、書込みポインター28が指し示すエントリに、各情報を記録する。読出しポインター29は、まだ呼び返しを行っていない利用者の先頭エントリを指しており、呼び返し部26は、読出しポインター29が指し示すエントリから順次に呼び返しを行うべき利用者を検索し、呼び返しを行う。
【0022】
図3は、受付システム10における電話受付の際の動作手順を示している。受付部21は、利用者からの着信があると、その着信を受け付ける(ステップA1)。接続部22は、通話中の受付台13の台数を監視し、空き受付台13があるときには、動作モードフラグを受付モード(0)に設定し、空き受付台がないときには、動作モードフラグを呼び返しモード(1)に設定している。接続部22は、動作モードフラグを参照し、複数の受付台13の中に通話中でない受付台13が存在するか否か、すなわち、ステップA1で受け付けた着信を接続可能な受付台13が存在するか否かを判断する(ステップA2)。
【0023】
空き受付台13があるときには、通常の受付処理を行う。接続部22は、利用者からの着信と、空き受付台13とを接続する(ステップA3)。その際、待ち時間算出部23は、接続部22による接続開始時刻を記録する(ステップA4)。接続部22は、利用者が回線を切断するなどして通話が終了すると(ステップA5)、受付台13を開放する。待ち時間算出部23は、受付台13が開放された時刻を記録し(ステップA6)、接続開始時刻と受付台開放時刻とから、受付台13による対応時間(保留時間)を算出する(ステップA7)。
【0024】
待ち時間算出部23は、算出した保留時間を、保留時間統計テーブルに登録する。保留時間統計テーブルの具体例を図4に示す。書込みポインター31は、保留時間統計テーブル30の空きエントリの先頭を指しており、待ち時間算出部23は、書込みポインター31が指し示すエントリに、算出した保留時間を記録していく。ステップA7の受付台13の保留時間の計算を、利用者からの通話ごとに行うことで、保留時間統計テーブル30に、受付台13における保留時間の実績値を蓄積していく。
【0025】
図3に戻り、ステップA2にて、空き受付台がないと判断されたときには、待ち時間算出部23は、保留時間統計テーブル30に記録された保留時間に基づいて、平均待合せ時間を算出する(ステップA8)。平均待合せ時間の算出では、まず、保留時間統計テーブル30に記録された保留時間をサンプル値として用い、平均保留時間を算出する。この平均保留時間の算出では、例えば平均的な保留時間として想定される5分〜7分に対して、極端に長い保留時間、及び、極端に短い保留時間をサンプル値から除外して、平均値を算出する。或いは、サンプル値が正規分布に従うと想定したときに、確率80%に入らない範囲のサンプル点を除外するなどの方法でもよい。
【0026】
また、平均保留時間の算出では、保留時間統計テーブル30に記録された全ての保留時間をサンプルとして用いて平均保留時間を算出することができ、或いは、現在時刻よりも所定時間前からの保留時間をサンプルとして用いて平均保留時間を算出してもよい。平均保留時間の算出後、「予想待ち時間=平均保留時間(秒)÷稼動受付台数」により、予想待ち時間を算出する。平均保留時間を、受付台13の稼働台数で割った値は、次に受付台13が空くまでの時間に相当し、この値から、待ち時間を予測できる。
【0027】
接続部22は、ステップA8で算出された予想待ち時間が所定時間、例えば20秒以上であるか否かを判断する(ステップA9)。20秒よりも短いときには、通知部24により、待ち合わせガイダンスを流す(ステップA10)。ステップA10で流す待合せガイダンスでは、例えば、「このままお待ちください、すぐにおつなぎします」などのメッセージを利用者に通知する。接続部22は、待合せガイダンスを流している間に空き受付台13が発生したときは、利用者と受付台13とを接続する(ステップA11)。その後、ステップA4へ移行して、受付台13の保留時間を計測する。
【0028】
接続部22は、算出された予想待ち時間が所定時間以上であると判断すると、利用者の発信者番号を抽出する(ステップA12)。発信者番号の抽出には、既存機能であるCLI(Calling line Identify)を用いる。発信者番号の抽出ができないときには、ステップA10に移行する。接続部22は、発信者番号の抽出後、通知部24により、ステップA8にて算出された予想待ち時間を利用者に通知した上で、呼び返しを行う旨のガイダンスを流し、利用者に対して、呼び返し希望時間の入力を促す(ステップA13)。ステップA12にて発信者番号の抽出ができないときには、ステップA10への移行に代えて、ステップA13で、利用者に呼び返しの際の電話番号を入力するように促してもよい。
【0029】
登録部25は、ステップA12で抽出された発信者番号と、ステップA13のガイダンスに従って入力された呼び返し希望時間とを、呼び返し管理テーブル27(図2)に登録する(ステップA14)。呼び返し管理テーブル27への登録では、書込みポインター28が指し示すエントリに、発信者番号及び呼び返し希望時間を登録する。登録部25は、ステップA12で抽出された発信者番号を検索キーとして、図示しない顧客管理データベースを検索し、一致する電話番号が登録されていたときには、呼び返し管理テーブル27における「会員表示」の項目を「1」とする。登録部25は、呼び返し管理テーブル27への登録後、書込みポインター28をインクリメントして、次の登録に備える。
【0030】
呼び返し管理テーブル27への登録後、接続部22は、利用者によって呼び出し希望時間が指定されているか否かを判断する(ステップA15)。時間が指定されているときには、通知部24により、利用者によって指定された時間にセンター側から電話する旨のガイダンスを流し(ステップA16)、回線を切断して、処理を終了する。時間が指定されていないときには、ステップA8で算出された予想待合せ時間後にセンター側から電話する旨のガイダンスを流し(ステップA17)、回線を切断して、処理を終了する。
【0031】
図5は、呼び返しの際の動作手順を示している。呼び返し部26は、空き受付台13があるか否かを判断する(ステップB1)。呼び返し部26は、周期的に、例えば10秒間隔で呼び返し用のプログラムを起動し、空き受付台13の判断を行う。或いは、空き受付台13の発生を契機として、以下のステップを実行してもよい。空き受付台13がないときには、処理を終了する。空き受付台13があるときには、呼び返し管理テーブル27を参照して、呼び返すべき利用者が登録されているか否かを判断する(ステップB2)。呼び返し対象者がいないときには、処理を終了する。
【0032】
呼び返し対象者がいる場合は、接続部22にて、空き受付台13を確保した上で、呼び返し管理テーブル27から、利用者の電話番号を読み出す(ステップB3)。ステップB3では、読出しポインター29が指し示すエントリから、利用者の検索を行う。この検索では、読出しポインター29が指し示すエントリの呼び返し希望時間帯と、現在時刻とを比較し、現在時刻が、利用者が指定した呼び出し時間帯に合致するか否かを判断する。呼び返し希望時間帯が指定されていないときには、合致すると判断する。読出しポインター29が指し示すエントリの呼び返し希望時間が現在時刻に合致しないときには、呼び返し部26は、読出しポインター29をインクリメントして、次のエントリにおける呼び返し希望時間を調べる。
【0033】
呼び返し部26は、接続部22により、ステップB3で読み出した電話番号に電話を掛け、利用者を呼び出す(ステップB4)。呼び返し部26は、利用者の応答があったか否かを判断し(ステップB5)、応答があったときには、受付台13と接続する(ステップB6)。応答がないときには、呼び返し管理テーブル27の未応答回数の項目の値をインクリメントし、呼び返し管理テーブル27を更新する(ステップB7)。
【0034】
呼び返し管理テーブル27の更新後、未応答回数が、所定の規定値以上であるか否かを判断する(ステップB8)。未応答回数が規定値よりも少ないときには、処理を終了する。規定値以上の場合は、利用者の応答が得られないものとして、呼び返し管理テーブル27から、該当する利用者のエントリを削除し、未応答の利用者を管理するための未応答記録管理テーブルに、該当する利用者の電話番号を記録する(ステップB9)。未応答記録管理テーブルの例を、図6に示す。ここでは、未応答記録管理テーブル32として、呼び返し回数が規定値を超えた利用者の電話番号を記録しているが、未応答記録管理テーブル32に、呼び返し管理テーブル27のエントリをそのまま記録してもよい。
【0035】
本実施形態では、待ち時間算出部23により、受付台13での保留時間に基づいて、予想待合せ時間を算出し、これを利用者に通知する。これにより、利用者は、待ち時間を予測することができる。また、受付台13に空きがでないときには、登録部25によって、呼び返し管理テーブルに、利用者の電話番号を記録しておき、呼び返し部26により、受付台13に空きがでたときに、呼び返しを行う。このようにすることで、利用者にとっては、時間が無駄にならず、また、掛け直し忘れを防ぐことができる。呼び返しは、センター側から行われるため無駄な料金が掛からないというメリットもある。
【0036】
センター側から見ると、オペレータの効率化が期待できると共に、トラフィックの平準化が期待できる。これにより、雪だるま的な輻輳を防止できるという効果もある。また、利用者があきらめることによる機会損失を防ぐことができる。同時に、顧客満足度の向上も期待できる。呼び返しの際に、呼び返し管理テーブル27のエントリのうちで、登録された時期が古いものから順に呼び返しを行うことで、ファーストIN、ファーストOUTが実現できる。呼び返しを行っても応答がなかった利用者については、未応答記録管理テーブル32にその情報を記録しておくことで、後の利用者からの問い合わせや苦情に対応することができる。
【0037】
なお、図3では、ステップA13で、呼び返し希望の時間帯の入力を促したが、その際、利用者に流すガイダンスに中に「呼び返し不要」という選択肢を用意し、利用者が呼び返し不要を選択したときには、呼び返し管理テーブル27への登録を行わないようにすることもできる。その場合は、空き受付台13が発生するまで、ステップA10の待ち合わせガイダンスを繰り返し流して、空きが発生しだい、受付台13に接続するようにすればよい。または、利用者の心変わりに対応するために、ステップA13のガイダンスを繰り返し流して、呼び返し希望時間の入力、又は、呼び返し不要の選択とを再度行わせるようにしてもよい。
【0038】
呼び返し管理テーブル27に登録した電話番号については、これを、センターに電話を掛けたことがある利用者の電話番号を記録するためのデータベースに登録することもできる。この場合には、利用者の電話番号を、後日のセールスやアンケート、サービス案内などのビジネスに利用することができる。また、呼び返し管理テーブル27に、利用者の電話番号に加えて、最初に電話を受け付けた時刻を登録するようにすることもできる。この場合、呼び返しの際に、呼び返し部26から受付台13に、最初に電話を受けて時刻に関する情報を送信して、受付台13に、最初に電話を受けて時刻を表示するようにすることで、オペレータによる対応を容易にすることができる。また、会員である利用者については、呼び返し部26は、会員データベースから、会員名などの会員情報を取得し、これを受付台13に送信してもよい。この場合、オペレータによる顧客対応を容易にすることができる。
【0039】
上記実施形態では、登録部25にて会員判定を行い、呼び返し管理テーブル27に会員である旨の情報を記録したが、会員判定を、接続部22にて行う構成でもよい。この場合、接続部22は、受付台13への接続待ちの利用者の中から、会員を優先して、受付台13に接続するようにしてもよい。また、上記実施形態では、呼び返し管理テーブル27に会員である旨の情報を記録して、会員と非会員とを区別したが、会員用の呼び返し管理テーブルと、非会員用の呼び返し管理テーブルとの2つのテーブルを用意して、それぞれに利用者の電話番号を登録してもよい。この場合、呼び返しの際には、まず、会員用の呼び返し管理テーブルを検索して呼び返すべき利用者が存在するか否かを調べ、存在しないときには、非会員用の呼び返し管理テーブルを検索して呼び返すべき利用者が存在するか否かを調べることで、会員を優先的に呼び返す構成とすることができる。
【0040】
上記実施形態では、空き受付台13があるときに動作モードフラグを「0」に設定し、空き受付台13がないときに動作モードフラグを「1」に設定したが、これには限定されない。例えば、ステップA8にて算出される予想待合せ時間が、所定の時間よりも短く、さほど待ち時間を要しない場合に、空き受付台13がない場合でも動作モードフラグを「0」にしてもよい。この場合、動作モードフラグが「0」のときには、ステップA10にて待ち合わせガイダンスを流し、受付台13に空きができしだい、接続部22により、利用者と空き受付台13とを接続すればよい。
【0041】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の受付システム、及び、方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態の受付システムの構成を示すブロック図。
【図2】呼び返し管理テーブルを示す図。
【図3】電話受付の際の動作手順を示すフローチャート。
【図4】保留時間統計テーブルを示す図。
【図5】呼び返しの際の動作手順を示すフローチャート。
【図6】未応答記録管理テーブルを示す図。
【符号の説明】
【0043】
10:受付システム
11:制御装置
12:PBX交換機
13:受付台
21:受付部
22:接続部
23:待ち時間算出部
24:通知部
25:登録部
26:呼び返し部
27:呼び返し管理テーブル
28、31:書込みポインター
29:読出しポインター
30:保留時間統計テーブル
32:未応答記録管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受付台と利用者との接続を制御する受付システムにおいて、
利用者からの接続を受け付ける受付部と、
前記受付台への接続開始時刻から受付台での通話終了時刻までの間の時間を示す保留時間を記録した保留時間統計テーブルに基づいて、予想待合せ時間を計算する待ち時間算出部と、
前記算出された予想待合せ時間を利用者に通知する通知部と、
前記算出された予想待合せ時間が所定時間以上であると判断すると、前記利用者の発信者番号を取得し、該取得した発信者番号を呼び返し管理テーブルに記憶する登録部と、
前記呼び返し管理テーブルを参照して、前記利用者を呼び出す呼び返し部とを備えることを特徴とする受付システム。
【請求項2】
前記待ち時間算出部は、前記保留時間統計テーブルを参照して、前記保留時間の平均値を計算し、該保留時間の平均値を前記受付台の台数で割った値を、前記予想待合せ時間として算出する、請求項1に記載の受付システム。
【請求項3】
前記登録部は、前記利用者によって入力された呼び返し希望時間帯を示す情報を前記呼び返し管理テーブルに登録する、請求項1又は2に記載の受付システム。
【請求項4】
前記呼び返し部は、前記呼び返し管理テーブルを参照して、現在時刻が、前記利用者に呼び返し希望時間帯に合致する利用者を検索し、該検索した利用者を呼び出す、請求項3に記載の受付システム。
【請求項5】
前記登録部は、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、前記呼び返し管理テーブルに、利用者が会員である旨の情報を登録する、請求項1〜4の何れか一に記載の受付システム。
【請求項6】
前記呼び返し部は、会員である旨の情報を有する利用者を優先的に呼び出す、請求項5に記載の受付システム。
【請求項7】
前記呼び返し管理テーブルが、会員用の呼び返し管理テーブルと、非会員用の呼び返し管理テーブルとを含み、前記登録部は、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、利用者が会員であるときには、前記会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録し、利用者が非会員であるときには、前記非会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録する、請求項1〜4の何れか一に記載の受付システム。
【請求項8】
前記呼び返し部は、会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断し、いないと判断すると、非会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断することで、会員を優先的に呼び出す、請求項7に記載の受付システム。
【請求項9】
電話交換機を用い、複数の受付台と利用者との接続を制御する受付システムにおける受付方法において、
前記電話交換機を制御する制御装置が、前記利用者からの電話を受け付けると、前記受付台への接続開始時刻から受付台での通話終了時刻までの間の時間を示す保留時間を記録した保留時間統計テーブルに基づいて、予想待合せ時間を計算するステップと、
前記制御装置が、前記算出された予想待合せ時間を利用者に通知するステップと、
前記制御装置が、前記算出された予想待合せ時間が所定時間以上であると判断すると、前記利用者の発信者番号を取得し、該取得した発信者番号を呼び返し管理テーブルに登録するステップと、
前記制御装置が、前記呼び返し管理テーブルを参照して、前記利用者を呼び出すステップとを有することを特徴とする受付方法。
【請求項10】
前記予想待合せ時間を算出するステップでは、前記制御装置は、前記保留時間統計テーブルを参照して、前記保留時間の平均値を計算し、該保留時間の平均値を前記受付台の台数で割った値を、前記予想待合せ時間として算出する、請求項9に記載の受付方法。
【請求項11】
前記登録するステップでは、前記制御装置は、前記利用者によって入力された呼び返し希望時間帯を示す情報を前記呼び返し管理テーブルに登録する、請求項9又は10に記載の受付方法。
【請求項12】
前記呼び出すステップでは、前記制御装置は、前記呼び返し管理テーブルを参照して、現在時刻が、前記利用者に呼び返し希望時間帯に合致する利用者を検索し、該検索した利用者を呼び出す、請求項11に記載の受付方法。
【請求項13】
前記登録するステップでは、前記制御装置は、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、前記呼び返し管理テーブルに、利用者が会員である旨の情報を登録する、請求項9〜12の何れか一に記載の受付方法。
【請求項14】
前記呼び出すステップでは、前記制御装置は、会員である旨の情報を有する利用者を優先的に呼び出す、請求項13に記載の受付方法。
【請求項15】
前記呼び返し管理テーブルが、会員用の呼び返し管理テーブルと、非会員用の呼び返し管理テーブルとを含み、前記登録するステップでは、前記制御装置は、電話番号を含む会員情報を記憶する会員データベースを参照し、前記利用者の発信番号に基づいて、前記利用者が会員登録された会員であるか否かを判断し、利用者が会員であるときには、前記会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録し、利用者が非会員であるときには、前記非会員用の呼び返し管理テーブルに前記電話番号を登録する、請求項9〜12の何れか一に記載の受付方法。
【請求項16】
前記呼び出すステップでは、前記制御装置は、会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断し、いないと判断すると、非会員用の呼び返し管理テーブルを参照して呼び返すべき利用者がいるか否かを判断することで、会員を優先的に呼び出す、請求項15に記載の受付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−219764(P2008−219764A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57343(P2007−57343)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】