説明

受付処理方法及び装置

【課題】 顧客の優先度に応じて顧客の受付順序を決定する方法及び受付処理装置を提供する。
【解決手段】 顧客に、識別カードを受付端末機に挿入するか、又は「識別カードなし」を受付端末機に入力することを指示し、識別カードの識別データから顧客の優先度を判断し、優先度が高いと判断した顧客には、優先受付番号カードを発行し、優先度が低い顧客、及び前記「識別カードなし」の顧客には、前記優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付された受付番号カードを発行し、顧客の受付番号及び優先度をテラー端末機に表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金融業又は証券業若しくは郵便局などのように顧客と店舗の窓口にて接し処理する業務において、来店した顧客の受付順番を処理し、顧客に受付番号カードを発行して顧客を窓口へ適切に誘導する受付処理方法及び装置の技術分野に属し、特に、顧客の優先度に応じて顧客の受付順序を決定する方法及び受付処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】店舗の窓口にて顧客と接して即時処理する業務においては、来店した顧客を窓口に並ばさないで顧客の依頼を順序よく処理するために、顧客に受付番号を発行する受付処理装置が従来から使用されている。
【0003】例えば、特公昭61−22339号公報に記載された受付処理装置は、受付番号カードを順次一連の番号で印刷して発行する受付端末機と、その受付番号と受付窓口との関係を表示する表示器(表示部)と、各窓口に配置されたテラー端末機と、これら受付端末機、表示部及びテラー端末機を制御する制御手段とを具えている。この受付処理装置は、テラー端末機のキー操作に応じて、次に呼び出す顧客の受付番号を表示部に表示すると共に、警報音を鳴らす。
【0004】また、特公昭63−41105号公報及び特公平7−117970号公報に記載された受付処理装置は、異なる複数の業務を複数の窓口の各々で夫々行う場合に、受付番号を単一の受付端末機で発行するため、顧客の望む業務内容に応じて、各業務の窓口に受付番号を割り当てている。これら従来の受付処理装置では、受付端末機を操作した順番に一連の受付番号を顧客に発行していた。
【0005】最近の金融緩和施策により、金融業及び証券業などでは競争が激化している。競争の激化に伴い、顧客に対して一律のサービスを行う方式では物足りず、優良顧客を一般顧客よりも優遇する方式の必要も生じてきた。そこで窓口業務における顧客の受付処理においても、上述した従来の受付処理装置のように、受付端末機を操作した順番に一連の受付番号を顧客に発行するのではなく、優良顧客を優遇して(順番をジャンプアップさせて)窓口に誘導できる受付処理装置が望まれるところとなり、優良顧客を優遇する受付処理装置が、特開平10−187853号公報に記載されている。
【0006】この新しい受付処理装置は、受付端末機と、この受付端末機と結合されたサーバー(コンピュータ)とを具えている。受付端末機では、顧客のキャッシュ・カードなどの「識別カード」を読取り、サーバーでは、「識別カード」からの情報に基づいて顧客情報をデータベースから抽出し、顧客情報に応じて顧客の優先度を判定している。この優先度と、受付端末機を操作した順番とに基づいて、窓口が処理する顧客の順列をサーバーが自動的に決定し、優先度の高い優良顧客は優良顧客専用窓口へ誘導する。優先度の低い顧客、及び一般顧客は一般顧客専用窓口へ誘導する。また、優良顧客専用窓口と一般顧客専用窓口とを分離しないで共通にする場合には、サーバーが優先度に応じて自動的に決定した順序で、優先度の高い顧客は一般顧客よりも順番をジャンプアップして先に共通の窓口へ誘導する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平10−187853号公報に記載された受付処理装置は、窓口へ誘導する顧客の順番をサーバーが自動的に決定する。従って、優良顧客に対するキャンペーン、優良顧客からの事前連絡、その時の窓口の処理能力など、その時々の状況に応じて、優先度の高い顧客の順序を臨機応変に変更することができない不便さがある。
【0008】また、一般的に優良顧客は顔見知りの場合が多いので、優良顧客のイライラ状態などを窓口から見て判断できるが、しかし、このような状況を見ても優先度の高い顧客の順序を臨機応変にジャンプアップ(又はスキップ)させることもできない。さらに、優良顧客専用窓口と一般顧客専用窓口とが分かれている場合に、たとえ優良顧客専用窓口が混雑し、一般顧客専用窓口がすいていても、臨機応変に対応処理できない不便さがある。
【0009】また、特開平10−187853号公報に記載された受付処理装置では、顧客を窓口へ誘導する際、一般顧客は受付番号で呼ばれ、優先度の高い顧客は固有名詞で呼ばれるため、優先度に関わらず窓口が共通の場合に、一般の顧客に不信感を抱かせる懸念がある。優先度の高い顧客を固有名詞で指定するため、現在受付けられている顧客を表示する表示部は、単なる番号だけでなく、固有名詞も表示できなければならず、表示部が複雑且つ高価になる。更に、固有名詞で顧客を誘導することは、特に金融機関においては、顧客のプライバシーが犯される可能性があって実行が難しい。
【0010】そこで本発明の目的は、優良顧客を優遇しながら、上述した従来技術の欠点を改善した受付処理方法及び装置を提供することである。
【0011】本発明の重要な目的は、キャッシュカードなどの「識別カード」に基く識別データに応じて顧客の優先度を判断し、窓口のテラー(顧客担当者)が操作するテラー(顧客担当者用)端末機に、顧客の受付番号及び優先度を表示し、テラーがその表示を参考にして受付順序を臨機応変に(自主的に)変更できる受付処理方法及び装置を提供することである。
【0012】本発明の別の目的は、優先度が高い顧客に対しては優先受付番号カードを発行し、その他の一般顧客や識別カードがない顧客に対しては、前記優先受付番号の番号系列とは異なる系列の受付番号が付された受付番号カードを発行する受付処理方法及び装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る受付処理方法は、顧客に、識別カードを受付端末機に挿入するか、又は「識別カードなし」を受付端末機に入力することを指示し、識別カードの識別データから顧客の優先度を判断し、優先度が高いと判断した顧客には、優先受付番号カードを発行し、優先度が低い顧客、及び前記「識別カードなし」の顧客には、前記優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付された受付番号カードを発行し、顧客の受付番号及び優先度をテラー端末機に表示することを特徴とする。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1に記載した受付処理方法において、識別データに応じて当該顧客のランク情報をデータベースから抽出し、テラー端末機に、当該顧客の優先度として同顧客ランク情報を表示することを特徴とする。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した受付処理方法において、識別データに応じて顧客の個人情報を当該データベースから抽出し、テラー端末機に、当該顧客の個人情報も表示することを特徴とする。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項1に記載した受付処理方法において、顧客の優先度及び受付番号に応じた順序で、顧客の受付順序をテラー端末機に表示することを特徴とする。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1に記載した受付処理方法において、識別カードの識別データから知得された氏名を、来店目的の業種に必要な伝票に記入し、その伝票に受付番号を付したものを受付番号カードとして発行することを特徴とする。
【0018】請求項6に記載した発明に係る受付処理装置は、識別カード読取り器、及び「識別カードなし」を入力する入力装置、並びに受付番号発行機を有する受付端末機と、表示部を有するテラー端末機と、前記受付端末機及びテラー端末機と結合され、制御手段及び顧客情報蓄積手段を有するサーバーとを具え、前記受付端末機は、顧客に、識別カードを上記識別カード読取り器に挿入すること、又は「識別カードなし」を上記入力装置で入力することを指示し、前記サーバーは、前記制御手段により、前記受付端末機からの前記識別カードの識別データから前記顧客情報蓄積手段に蓄積されたデータベースを検索して当該顧客の優先度を判断し、優先度が高い顧客には優先受付番号カードを発行するように前記受付端末機の前記受付番号発行機に指示し、優先度が低い顧客、及び前記「識別カードなし」の顧客には前記優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付された受付番号カードを発行するように前記受付端末機の受付番号発行機に指示し、前記テラー端末機は、前記サーバーからの情報に応じて、前記表示部に顧客の受付番号及び優先度を表示することを特徴とする。
【0019】請求項7記載の発明は、請求項6に記載した受付処理装置において、受付番号発行機は、識別カードの識別データから知得された氏名を、来店目的の業種に必要な伝票を選択して記入し、その伝票に受付番号を付したものを受付番号カードとして発行することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1と図2を参照して、先ず請求項6、7に記載した発明に係る受付処理装置の実施形態を説明する。図1は本発明の受付処理装置全体の構成図で、図2は同受付処理装置のブロック図である。
【0021】図2のブロック図において、受付処理装置全体を制御するコンピュータ装置たるサーバー50は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)用の接続線(バス)52及び53を介して、受付端末機54と、複数個(例えばN個)のテラー端末機56A〜56N、及び役席端末機58に結合している。
【0022】サーバー50は、制御手段(制御部)60と、種々の顧客情報のデータベースを蓄積した蓄積装置62、受付情報を蓄積する蓄積装置64、及び接続線52とのインタフェースを行うインタフェース部66、並びに接続線53に接続された呼出番号表示(音声出力制御部)68とを具えている。制御部60は、中央処理装置(CPU)であり、予めプログラムされたソフトウェアに応じて、種々の処理、例えば業種別受付番号採番処理、VIP顧客(高優先度顧客)受付番号採番処理、端末機制御処理、受付情報管理処理、顧客情報管理処理などを行う。蓄積装置62及び64は、光ディスクやハードディスクなどの大容量蓄積装置であり、顧客情報及び受付情報を蓄積すると共に、制御部50との間でこれら情報の授受を行う。インタフェース部66は、制御部60及び接続線52の間でのデータ規格の変換やタイミング制御を行う。呼出番号表示(音声出力制御部)68は、制御部60で処理された次の顧客誘導のために、呼出番号の表示及び音声を出力するための回路である。
【0023】受付端末機54は、制御部70と、この制御部70に接続された表示部72、操作部74、カードリーダ76、プリンタ78及びインタフェース部82とを具えている。制御部70はマイクロコンピュータなどで構成され、顧客受付処理を行う。表示部72は、制御部70の制御の下に、顧客に受付端末機の操作法や現在の受付待ち人数状況などを表示する液晶表示装置やブラウン管表示装置である。操作部74は、「識別カードなし」などを入力する入力装置であり、表示部72と一体になったタッチスイッチや押しボタン・スイッチで構成されている。カードリーダ76は、キャシュ・カードのような「識別カード」の識別情報を読取り、この情報を制御部54へ送る識別カード読取り器であり、「識別カード」の形式に応じて、磁気カード読取り器、IC(集積回路)カード読取り器、又はバーコード読取り器などで構成される。プリンタ78は、制御部54の制御に応じて受付番号を紙に印刷し、顧客に出力する受付番号発行機である。インタフェース部82は、サーバー50との通信のため、制御部70及び接続線52の間でのデータ規格の変換やタイミング制御を行う。
【0024】テラー端末機(顧客担当者端末機)56A〜56Nは夫々同じ構成であり、制御部80と、この制御部80に接続されたインタフェース部84、表示部(表示手段)88及び操作部90と、呼出番号表示(音声出力部)86とを具えている。制御部80は、マイクロコンピュータなどで構成されており、顧客呼出指示処理を行う。インタフェース部84は、前述のサーバー50との通信のため、制御部80及び接続線52の間でのデータ規格の変換やタイミング制御を行う。表示部88は、制御部80の制御の下に、受付番号、優先度、顧客ランク情報、顧客情報などを表示する液晶表示装置やブラウン管表示装置である。操作部90は、キーボードなどの入力装置であり、受付順序の変更や顧客呼出指示などを行う。呼出番号表示(音声出力部)86は、テラー端末機56A〜56Nの一部になっているが、顧客に見える位置に配置され、現在接客中の顧客の受付番号を表示すると共に、その音声出力を発生する。なお、テラー端末機は各窓口に配置されるが、各窓口は特定の業務又は複数の業務に対応してよい。
【0025】役席端末機58は、テラー端末機とほぼ同様な構成であるが、呼出番号表示(音声出力部)86の代わりにプリンタ87を具えており、制御部83は、窓口稼働状況表示処理、システム設定処理、帳票出力処理などを行う。
【0026】次に、図1、図2の上記構成を前提とし、図3及び図4の流れ図を参照して、請求項1〜5に記載した発明に係る受付処理方法の実施形態を説明する。なお、以下の各動作は、上記図1のサーバー50、受付端末機54およびテラー端末機56A〜56Nに蓄積されたプログラムに応じて実行される。
【0027】図3のステップ10により顧客受付処理が開始する。ステップ12において、受付端末機54は制御部70の顧客受付処理により、表示部72に、「識別カード」としてのキャッシュ・カードの入力操作方法ガイダンスを表示する。従って、来店した顧客は、受付端末機54の表示部72を見て、キャッシュ・カード等を所持していないときは、「カードなし」のタッチ・スイッチ74を押し、キャッシュ・カード等を所持しているときは、キャッシュ・カードをカード・リーダ76へ挿入することを知る。
【0028】ステップ14にて、制御部70は、タッチ・スイッチ74の「カードなし」のボタンが押されたか否かを判断する。このボタンが押されていないとき、即ち、ノー(NO)のときはステップ16に進み、顧客がカード・リーダ76に挿入したキャッシュ・カードの識別データを読取る。この識別データは、制御部70、インタフェース部82、接続線52を介して、サーバー50に供給される。サーバー50では、ステップ18において、制御部60が、受信した識別データから顧客情報用蓄積装置62内のデータベースを検索して、その識別データに対応する個人データを取得する。この個人データには、顧客の氏名、性別、年齢、家族構成、職種、取引内容、預金残高、貸付残高、前回の来店日などがある。その後、ステップ20に進む。また、ステップ14で「カードなし」のボタンが押されたとき、即ち、イエス(YES)のときもステップ20に進む。
【0029】ステップ20では、受付端末機54の表示部72に、業種入力操作ガイダンスを表示する。業種には、新規口座開設、定期預金、積立預金、当座預金、払戻、振込、公共料金支払い、貸付・融資などがある。
【0030】図5は、表示部72の表示の一例を示す。この場合、複数の業種毎の待ち人数や係員呼出のタッチ・スイッチ位置を示している。なお、業種の表示位置が、タッチ・スイッチ74のボタン位置となる。ステップ22において、制御器54は、タッチ・スイッチ74が押されたボタンの業種コードを受ける。この業種コードは、識別コードと同様に、受付端末機54から接続線52を介してサーバー50に送信される。
【0031】ステップ24において、サーバー50内の制御部60は、受付端末機を操作した顧客の個人データがあるか否かを判断する。一般的には、「カードなし」ボタンを押した顧客や、他の金融機関のキャッシュ・カードを挿入した顧客の個人データは、顧客情報用蓄積装置62に蓄積されていない。よって、個人データがない場合(ノーの場合)、ステップ26に進む。
【0032】ステップ26では、サーバー50において、制御部60が、ステップ22で入力された業種に応じた業種別受付番号を連番で採番する。なお、今までの各業種毎に採番した番号は、受付情報蓄積装置64に蓄積されている。
【0033】その後、ステップ28において、制御部60が、新たに付された受付番号を、一般の「低優先度」受付番号(受付情報)として受付情報用蓄積装置64に蓄積する。
【0034】ステップ30において、前記した「低優先度」受付番号の情報は、サーバー50から接続線52を介して受付端末機54に送信される。受付端末機54内の制御部70は、受付番号発行機であるプリンタ78に、この「低優先度」受付番号を印刷させる。
【0035】一方、ステップ24にて、顧客データがあった場合(イエスの場合)は、ステップ32に進む。このステップ32では、サーバー50内の制御部60は、蓄積装置62のデータベースから得た顧客の個人データから、即ち、取引額、預金残高などの情報から、優先度の高い優良顧客、即ち、VIP待遇の顧客か否かを判断する。VIP待遇の顧客の場合(イエスの場合)は、ステップ34に進み、サーバー50内の制御部60が、優先(高優先度)受付番号であるVIP受付番号を連番で採番する。この際、受付情報用蓄積装置64に蓄積されている今までの優先受付番号を参照すれば、連番での採番が容易にできる。
【0036】また、ステップ32でVIP待遇の顧客でない場合(ノーの場合)、即ち、優先度が低い場合はステップ38に進み、制御部60が、ステップ26と同様に、ステップ22で入力された業種に応じた業種別受付番号である一般の「低優先度」受付番号を連番で採番する。なお、ステップ34にて、優先受付番号を採番する際には、ステップ26及び38と同様に、ステップ22で入力された業種別の優先受付番号を用いてもよい。
【0037】ステップ34及び38での採番が終わった後、ステップ36へと進み、制御部60が、新たに付された受付番号を受付情報として受付情報用蓄積装置64に蓄積すると共に、来店データを、顧客情報用蓄積装置62内のデータベースに更新(書き込み)もする。その後ステップ30に進み、ステップ34を通過した場合は優先受付番号を、ステップ38を通過した場合は一般の受付番号を受付端末機54へそれぞれ送信し、プリンタ78がこの受付番号を印刷する。
【0038】なお、ステップ24において顧客データがあり、スッテプ32へ進んだケースでは、ステップ30の番号カード発行に際し、その顧客が来店した用向きの業種伝票、例えば振込伝票、入金伝票などへ顧客の氏名と共に受付番号を記入したものを発行するようにして、顧客のVIP意識を高め、一方では待ち時間中に伝票記入を促して事務の能率化を図ることも好適な実施形態である。
【0039】次のステップ40では、受付端末機54にて、プリンタ76が印刷した番号カードを取り出す操作ガイダンスを表示部72に表示する。ステップ42では、受付番号カードをプリンタ78から顧客に出力する。その後ステップ12に戻り、上述の動作を繰り返す。
【0040】ところで、ステップ26及び38で採番する一般の「低優先度」受付番号の番号系列は、ステップ34で採番する優先(高優先度)受付番号の番号系列とは異なる。例えば優先受付番号は、0番から始まり、200番まで1番ずつ順次増分し、その後再び0番から増分する番号系列である。一方、一般の「低優先度」受付番号は、400番から始まり、500番まで1番ずつ順次増分し、その後再び400番から増分する番号系列である。なお、番号系列の幅は、1度に順番待ちになる顧客の人数を、店舗規模や過去の経験から決める。このように、「低優先度」受付番号の番号系列が優先受付番号の番号系列と異なっていても、同じ数字を用いているため、優良顧客を優遇しても、他の顧客に不信感を与えにくい。また、一般の「低優先度」受付番号の番号系列が優先受付番号の番号系列とかけ離れているため、「低優先度」受付番号の顧客が、高優先度受付番号の顧客に順番を飛ばされたという意識を持ちにくい。さらに、優先顧客を固有名詞を用いずに、番号を用いて呼出すので、優良顧客のプライバシーの保護もできる。
【0041】次に、図4を参照して、テラー(顧客担当者)端末機56A〜56Nの動作を説明する。ステップ43にて、顧客呼出処理が開始する。ステップ44にて、図3のステップ26、34、38で割り当てられた受付番号や、顧客データ、即ち、受付情報が、図2のサーバー50から接続線52を介して、各テラー端末機に送信される。テラー端末機では、インタフェース部84を介して、制御部80が前記の受付情報を受ける。ステップ45にて、制御部80が受付情報を表示部88に表示する。この表示の一例を図6に示す。
【0042】図6の表示において、下半分の表示が受付情報に対応する。この表示部分では、受付番号、業種、顧客氏名、口座開設日、顧客が受付端末機54を操作してからの「待ち時間」、個人情報に基づいた「ランク情報」が表示されている。受付番号の百の位により、優先受付番号の顧客か、一般の「低優先度」受付番号の顧客かを判断できる。また、「ランク情報」は、個人情報に基づき、高優先度及び低優先度の顧客をランク付けしている。ランクは、「×」、「△」、「○」及び「VIP」の表示でそのランクが一目瞭然になる。また、表示部88の上方部分の表示は、各業種別の待ち人数、そのテラー端末機のある窓口がオープンしているかクローズしているか、現在の呼出番号、処理時間、平均処理時間である。また、操作部90は、表示部88と一体になったタッチ・スイッチのキーボードのため、表示部88には、操作部90のための入力キーを示す表示もある。
【0043】表示部88の受付情報の表示では、サーバー50で、顧客情報に基づく優先度情報に応じた所定のアルゴリズムにより予め処理された処理順序に受付番号が表示されている。しかし、優良顧客に対するキャンペーン、優良顧客からの事前連絡、その時の窓口の処理能力など、その時々の状況に応じて、高優先度の顧客の順序を臨機応変に変更した方が良い場合もある。窓口担当者は、現在の処理が終わり、次の顧客を呼び出す際、単にサーバー50で決められた順序で機械的に顧客を呼び出すのではなく、表示部88の個人情報を参照したり、顧客の状態を観察するなどして、適宜総合的に自主判断して、次に呼び出す顧客を選択できる。
【0044】ステップ46にて、テラー端末機56の呼出ボタン(操作部90)が押されたか否かを制御部80が判断する。押されていない場合(ノーの場合)はステップ44に戻どる。すなわち、呼出ボタンが押されるまで、ステップ44、45及び46を循環する。ステップ46で、呼出ボタンが押されたと判断された場合(イエスの場合)はステップ47に進み、顧客呼出を行う。
【0045】このステップ47では、呼出ボタンが押されたことが、制御部80から、インタフェース部84及び接続線52を介してサーバー50に送信される。すると、サーバー50内の制御部60は、呼出ボタンを押したテラー端末機が呼び出した受付番号データを呼出番号表示(音声出力制御部)68に供給する。また、サーバー50内では、その呼出番号を呼び出した旨のデータが受付情報を更新し、接続線52を介して、各テラー端末機の表示部88の表示を変更する。
【0046】呼出番号表示(音声出力制御部)68は、接続線53を介して、呼出ボタンを押したテラー端末機の呼出番号表示(音声出力部)86に新たな呼出番号のデータを送る。呼出番号データを受けた呼出番号表示(音声出力部)86は、その新たな呼出番号を表示すると共に、その呼出番号の音声出力を発生する。その後、ステップ44に戻る。
【0047】なお、複数のテラー端末機56A〜56Nのある窓口は、各業種を専業にしてもよいし、複数の業種の混在にしてもよい。また、優良顧客専用の窓口を設けてもよい。いずれの場合も、窓口の担当者は、テラー端末機を用いて、臨機応変に(又は自主的に)その時々に最適な顧客呼出を行える。また、役席端末機58では、テラー端末機の同様な情報を受けて表示できるため、各テラー端末機の状況を監視でき、適宜、適切な指示を各担当者に行える。
【0048】以上は、本発明の好適な実施例について説明したが、当業者には、本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能なことが理解できよう。例えば、小規模なシステムの場合、複数のテラー端末機の中の1台とサーバーとを兼用してもよい。この場合、サーバー50及びテラー端末機56の総ての構成要素を具える必要があるが、これは一般的なパーソナル・コンピュータで実施してもよい。また、複数のテラー端末機が、単一の呼出番号表示(音声出力部)86を兼用してもよい。さらに、配線の手間を省くために、無線LANを用いて接続線52及び53をなくしてもよい。
【0049】
【本発明が奏する効果】請求項1〜7に記載した発明に係る受付処理方法及び装置によれば、優良顧客を優遇しながら、上述した従来技術の欠点を改善できる。すなわち、識別カードの識別データに応じて顧客の優先度を判断し、窓口のテラー(顧客担当者)が操作するテラー(顧客担当者用)端末機に、顧客の受付番号及び優先度を表示し、テラー(顧客担当者)がこれら表示を参考にして受付順序を臨機応変に「自主的に」判断して順列を変更できる。
【0050】また、優先度が高い顧客に対しては優先受付番号カードを発行し、一般の優先度が低い顧客、識別カードがない顧客に対しては前記優先受付番号の番号系列と異なる系列の順次番号が付された「低優先度」受付番号カードを発行できるので、優良顧客を優遇しても、他の顧客に不信感を与えにくい。
【0051】さらに、一般の「低優先度」受付番号の番号系列が優先受付番号の番号系列とかけ離れているため、低優先度受付番号の顧客が、高優先度受付番号の顧客に順列を飛ばされたという意識を持ちにくいし、高優先度の顧客を固有名詞を用いずに、番号を用いるので、優良顧客のプライバシーの保護もできる。
【0052】優先受付番号の顧客には、来店目的の業種に必要な伝票類に記名して受付番号を付し、もってVIP待遇を意識付けると共に、その一方では待ち時間を利用して必要事項の記入を促し、事務能率の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】受付処理装置の全体構成図である。
【図2】受付処理装置の実施例のブロック図である。
【図3】受付処理方法の実施例の一部分の流れ図である。
【図4】受付処理方法の実施例の他の部分の流れ図である。
【図5】受付端末機の表示部の表示例である。
【図6】テラー端末機の表示部の表示例である。
【符号の説明】
50 サーバー
54 受付端末機
56A〜56N テラー(顧客担当者用)端末機
60 制御部(制御手段)
62 顧客情報蓄積装置(蓄積手段)
64 受付情報用蓄積装置
66、80、84 インタフェース部
68 呼出番号表示(音声出力制御部)
72、88 表示部
74 操作部(入力装置)
76 カード・リーダ(識別カード読取り器)
78 プリンタ(受付番号発行機)
82、83 制御部
86 呼出番号表示(音声出力部)
90 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】顧客に、識別カードを受付端末機に挿入するか、又は「識別カードなし」を受付端末機に入力することを指示し、識別カードの識別データから顧客の優先度を判断し、優先度が高いと判断した顧客には、優先受付番号カードを発行し、優先度が低い顧客、及び前記「識別カードなし」の顧客には、前記優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付された受付番号カードを発行し、顧客の受付番号及び優先度をテラー端末機に表示することを特徴とする、受付処理方法。
【請求項2】識別データに応じて当該顧客のランク情報をデータベースから抽出し、テラー端末機に、当該顧客の優先度として同顧客ランク情報を表示することを特徴とする、請求項1に記載した受付処理方法。
【請求項3】識別データに応じて顧客の個人情報を当該データベースから抽出し、テラー端末機に、当該顧客の個人情報も表示することを特徴とする、請求項1又は2に記載した受付処理方法。
【請求項4】顧客の優先度及び受付番号に応じた順序で、顧客の受付順序をテラー端末機に表示することを特徴とする、請求項1に記載した受付処理方法。
【請求項5】識別カードの識別データから知得された氏名を、来店目的の業種に必要な伝票に記入し、その伝票に受付番号を付したものを受付番号カードとして発行することを特徴とする、請求項1に記載した受付処理方法。
【請求項6】識別カード読取り器、及び「識別カードなし」を入力する入力装置、並びに受付番号発行機を有する受付端末機と、表示部を有するテラー端末機と、前記受付端末機及びテラー端末機と結合され、制御手段及び顧客情報蓄積手段を有するサーバーとを具え、前記受付端末機は、顧客に、識別カードを上記識別カード読取り器に挿入すること、又は「識別カードなし」を上記入力装置で入力することを指示し、前記サーバーは、前記制御手段により、前記受付端末機からの前記識別カードの識別データから前記顧客情報蓄積手段に蓄積されたデータベースを検索して当該顧客の優先度を判断し、優先度が高い顧客には優先受付番号カードを発行するように前記受付端末機の前記受付番号発行機に指示し、優先度が低い顧客、及び前記「識別カードなし」の顧客には前記優先受付番号とは異なる番号系列の受付番号が付された受付番号カードを発行するように前記受付端末機の受付番号発行機に指示し、前記テラー端末機は、前記サーバーからの情報に応じて、前記表示部に顧客の受付番号及び優先度を表示することを特徴とする、受付処理装置。
【請求項7】受付番号発行機は、識別カードの識別データから知得された氏名を、来店目的の業種に必要な伝票を選択して記入し、その伝票に受付番号を付したものを受付番号カードとして発行することを特徴とする、請求項6に記載した受付処理装置。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−259746(P2000−259746A)
【公開日】平成12年9月22日(2000.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−59477
【出願日】平成11年3月5日(1999.3.5)
【出願人】(390028484)ビルコン株式会社 (10)
【出願人】(591270914)グローリー商事株式会社 (2)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】