説明

受信装置、送信装置、受信方法、送信方法、通信システム

【課題】送信装置と受信装置が非同期のクロックを用いた音声データの通信において、音声データの内容等に応じて受信装置側で好ましい受信処理を行うことができるようにする。
【解決手段】受信装置では、受信した伝送信号について送信側の第1のクロックと非同期でかつ同一周波数の第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する。このモード選択は送信装置からの指示情報に基づいたり、受信した音声データの種別に応じたものとしたり、AGC処理に連動するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信装置、送信装置、受信方法、送信方法、通信システムに関し、特に受信装置と送信装置で非同期のクロックを用いる場合の技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2010−288087号公報
【背景技術】
【0003】
音声再生の分野においては、従来のCD(Compact Disc)のような2チャンネル(ステレオ)から、DVD(Digital Versatile Disc),BD(Blu-ray Disc(登録商標))に見られる5.1チャンネル,7.1チャンネルのようなマルチチャンネル化が進んでいる。
それに伴い、再生システムにおけるスピーカの設置本数や、AVアンプなどによる音場設定、再生ストリーム自体のチャンネル数などに応じて、さまざまなチャンネル数での音声再生が行われている。
【0004】
また、機器間の配線の煩わしさから、音声データの送受信の無線化も進んでいる。例えば、ホームシアターシステムにおいては、音声データを送信する送信装置と音声データを受信するスピーカなどの受信装置とをワイヤレスで接続することにより、スピーカなどのレイアウトの自由度を高めようとする試みがなされている。
【0005】
このように音声データを複数の装置間で伝送して処理する場合、受信側で音声データの処理に用いるクロックを送信側のサンプリング周波数に合わせるための手法として、主に同期モード又は非同期モードのいずれかの手法が用いられる。
このうち、同期モードとは、送信装置が音声データにサンプリング周波数に対応するクロック成分を含めて送信し、受信装置は受信したそのクロック成分に従って音声データを処理するという手法である。
また、非同期モードとは、送信装置から伝送されるクロック成分を使用することなく、送信装置におけるサンプリング周波数と同等の周波数を有するクロックを受信装置において生成して音声データを処理する手法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同期モードにおいては、受信信号からクロック成分を抽出するPLL回路(Phase Locked Loop:位相同期回路)の性能や受信信号に含まれるノイズの影響により、受信側のクロックが不安定となり、再生される音声の品質が低下する場合がある。
また、非同期モードにおいては、送信側のクロックと受信側のクロックにずれ(偏差)が生じることにより、非同期雑音が生じる場合がある。
【0007】
そこで上記特許文献1では、送信側と受信側で非同期のクロックを使用する場合に、受信側で受信した音声データをオーバーサンプリングし、受信側のクロックでリサンプリングする手法が提案されている。
【0008】
但し、このようにリサンプリングを行う場合、受信装置側のSRC(Sampling Rate Convertor)の特性によっては音質(周波数特性)の変化がみられるという問題が残されており、常に最適な音声再生ができるとは限らない。
【0009】
そこで本開示では、音声データを複数の装置間で非同期で伝送する際に、受信側でのユーザの使用状況に鑑みて適切な音声出力ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の受信装置は、送信装置からの第1のクロックでサンプリングされた音声データについての伝送信号を受信する受信部と、上記受信部で受信した伝送信号について上記第1のクロックと非同期でかつ同一周波数の第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、上記受信部で受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する受信データ処理部と、上記受信データ処理部において上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する制御部とを備える。
この場合、例えば上記制御部による上記受信データ処理部への上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理の切換制御は、送信装置からの指示情報に基づいたり、受信した音声データの種別を判定に基づいたり、受信した音声データに対するAGC処理に連動させるなどの手法を採る。
【0011】
本開示の送信装置は、第1のクロックとして、受信装置側の第2のクロックと非同期でかつ同一周波数のクロックでサンプリングされた音声データについて変調処理を行い伝送信号を生成するとともに、上記受信装置側への指示情報として、上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理との切換指示となる指示情報を伝送信号に含ませる送信データ処理部と、上記送信データ処理部で得られた伝送信号を受信装置に対して送信する送信部とを備える。
この場合送信装置は、例えば送信する音声データの種別を判定し、判定結果に応じて、上記伝送信号内に、上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを指示する指示情報を含ませる。又は切換指示となる指示情報として、上記受信装置側でのAGC処理のオン/オフを指示する指示情報を伝送信号に含ませる。
【0012】
本開示の受信方法は、送信装置からの第1のクロックでサンプリングされた音声データについての伝送信号を、上記第1のクロックと非同期でかつ同一周波数の第2のクロックを用いて受信する受信装置の受信方法として、受信した伝送信号について上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する。
本開示の送信方法は、第1のクロックとして、受信装置側の第2のクロックと非同期でかつ同一周波数のクロックでサンプリングされた音声データを上記受信装置に送信する送信装置の送信方法として、上記第1のクロックでサンプリングされた音声データについて変調処理を行い伝送信号を生成するとともに、上記受信装置側への指示情報として、上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理との切換指示となる指示情報を伝送信号に含ませた伝送信号を生成し、伝送信号を受信装置に対して送信する。
【0013】
以上のような本開示では、受信装置側で、受信した音声データに関する処理として非同期モード処理と、SRC(サンプリングレートコンバータ)を用いたリサンプリングモード処理とを選択的に実行できるようにする。そしてその切換は送信装置からの指示、或いは受信装置内での音声データの種別判定、或いはAGC処理との連動等で行う。
このようにすることで、状況に応じて音声データに対して適切な受信処理を実行させることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の技術により、受信装置側の受信音声データに関する処理を適宜非同期モード処理とリサンプリングモード処理とで切り換えることで、状況に応じた適切な受信処理が実行できるようになる。例えば非同期ノイズが顕著となる状況ではリサンプリングモード処理とし、音質変化が好ましくない状況では非同期モード処理とするなどとして、適切な受信処理が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の通信システムの説明図である。
【図2】非同期通信の説明図である。
【図3】非同期の機器間でPLL同期を採る場合及びリサンプリングを行う場合の説明図である。
【図4】実施の形態の送信装置のブロック図である。
【図5】実施の形態の送信装置の外部機器通信部のブロック図である。
【図6】実施の形態の受信装置のブロック図である。
【図7】実施の形態の受信装置の外部機器通信部のブロック図である。
【図8】実施の形態のモード切換制御例Iのフローチャートである。
【図9】実施の形態のモード切換制御例IIのフローチャートである。
【図10】実施の形態のモード切換制御例IIIのフローチャートである。
【図11】実施の形態のモード切換制御例IVのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.実施の形態の通信システム>
<2.関連技術の説明>
<3.実施の形態の送信装置>
<4.実施の形態の受信装置>
<5.モード切換制御例I>
<6.モード切換制御例II>
<7.モード切換制御例III>
<8.モード切換制御例IV>
【0017】
<1.実施の形態の通信システム>

実施の形態の通信システムの構成例を図1に示す。実施の形態の通信システムは、少なくとも1つの送信装置と、少なくとも1つの受信装置を有する。
この図1では送信装置1(親機)と、複数の受信装置2(2a〜2d:子機)を有する例を挙げている。
例えば送信装置1は、音楽等の音声データをCD、DVD、BDなどの記録媒体から読み出し、又は他の通信装置から受信した後、当該音声データを所定の通信方式に従って送信する装置である。
送信装置1としては、具体的にはディスクプレーヤ機器、各種音楽プレーヤ、ゲーム機器、PC(Personal Computer)、電話端末、テレビジョン受像器、チューナ機器など、音声データをデジタルデータとして扱う各種の装置が想定される。或いは送信装置1は、これらの機器に接続される送信ユニットとしての形態も想定される。
また、送信装置1と受信装置2(2a〜2d)との間の接続方式は、有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0018】
受信装置2は、送信装置1から送信されてくる音声データを受信する機器である。図1では、サラウンドリアアンプ2a、サラウンドリアバックアンプ2b、サブウーファーアンプ2c、他の部屋(セカンドルーム)のオーディオ機器2dを例示している。
サラウンドリアアンプ2aは、送信装置1から送信されてくる音声データを受信し、増幅して、サラウンドリアスピーカ3a,3bから音声として出力させる。
サラウンドリアバックアンプ2bは、送信装置1から送信されてくる音声データを受信し、増幅して、サラウンドリアバックスピーカ3c,3dから音声として出力させる。
サブウーファーアンプ2cは、送信装置1から送信されてくる音声データを受信し、増幅して、内蔵するサブウーファースピーカから音声として出力させる。
オーディオ機器2dは、送信装置1から送信されてくる音声データを受信し、増幅して、接続されたスピーカから音声として出力させる。
これらの例のように、受信装置2としては、送信されてくる音声データを受信処理する機器であり、上記のようにアンプ機器、スピーカ内蔵アンプ機器、オーディオプレーヤ機器や、さらにヘッドホン(イヤホン)機器、レコーダ機器、PC、モニタ機器、電話端末など、多様な機器が想定される。
本明細書では、これら送信装置1から音声データを受信する機器を受信装置2と総称する。
【0019】
ここで、送信装置1から受信装置2へ送信される音声データは、送信装置1側で所定の周波数のクロックに従ってサンプリングされたデータである。
例えば一例として、送信装置1は48KHzでサンプリングした音声データを送信する。
一方、受信装置2でも、同じく48KHzのクロックで受信した音声データを処理する。但し、本例では送信装置1と受信装置2は非同期である。つまり同一周波数のクロックを用いているが、それらは同期していない。そのため、このような音声データの送受信を行うシステムにおいては、送信装置1と受信装置2との間でのクロックずれに対して、どのように音声データを処理するかが問題となる。
なお、上記のように送信装置1と受信装置2で用いるクロックの周波数を48KHzとするのは一例である。例えば44.1KHz、32kHzなどであってもよい。
【0020】
<2.関連技術の説明>

ここで、非同期の送信装置と受信装置との間で考えられる通信処理方式の例を説明しておく。
図2(a)は非同期の送信装置100と受信装置200が、非同期で送受信データ処理を行う場合のモデルを模式的に示している。
【0021】
図2(a)に示した送信装置100では、クロック発生部102で例えば48KHzのクロックCLK1を生成する。そしてA/D変換器103で、音声信号ASをクロックCLK1でサンプリングする。このA/D変換器103からの音声データを送信系101で送信する。
一方、受信装置200でも、クロック発生部202で48KHzのクロックCLK2を生成する。但し、送信装置100とのクロックCLK1とは非同期である。そして受信系201では受信した信号からクロックCLK2を用いて音声データを復調し、さらにD/A変換器203でクロックCLK2を用いてデジタル−アナログ変換処理を行ってアナログ音声信号を出力する。この音声信号はスピーカ210から音声として出力される。
【0022】
このような非同期処理のモデルにおいて、受信側の処理に使用されるクロックCLK2は、クロック発生部202において、例えば誤差が比較的小さいと言われる水晶発振器を用いて生成される。しかし、その場合にも、受信側のクロックCLK2の周波数と送信側のサンプリング周波数(クロックCLK1)との間には、例えば発振器の個体差などに応じたある程度のずれ、即ち偏差が存在し得る。こうした非同期モードにおける送信側と受信側との間のクロックの偏差は、最終的に再生される音声における非同期雑音としてユーザに感知され得る。
図2(b)は、このようなクロックの微小なズレにより数秒(例えば5.5秒)に1回程度で発生する非同期ノイズを示している。
このような非同期ノイズは、ユーザにとっては、音楽等の再生時には殆ど聴感上感知できないが、例えばSIN波の音声データにより単一音を出力するような場合は、比較的目立つノイズとなる。
但し、このような非同期処理の場合、音質(周波数特性)の変化は殆ど無く、送信された音声信号の忠実な再生という点では適している。
【0023】
次に図3(a)にPLL同期処理を行うモデルを示す。
送信装置100側は図2(a)と同様であり、例えば48KHzのクロックCLK1でサンプリングした音声データを送信する。
受信装置200では、受信系201で受信した無線信号を増幅し、ベースバンド信号に変換する。PLL回路204は、ベースバンド信号に含まれるクロック成分を抽出してクロックCLK2aを生成し、生成したクロックCLK2aを受信系201及びD/A変換器203に供給する。
受信系201では、クロックCLK2aに従ってベースバンド信号を復調及び伸張し、音声データを出力する。そして、D/A変換器203でクロックCLK2aに従って音声データをデジタル信号からアナログ信号に変換し、スピーカ210へ出力する。
このような受信側の処理に使用されるクロックCLK2aは、送信側でサンプリングされた音声データに含まれるクロック成分に応じてPLL回路204において生成される。よって、クロックCLK2aは、PLL回路204の性能及び受信信号に含まれるノイズの影響等に依存して不安定となる場合がある。そのため、同期モードにより処理された後に再生される音声において、ジッタなどの品質の低下が感知される場合がある。
また、D/A変換器203でのクロックが受信データに同期して揺らぐことからも、音質的に不利になるという問題点がある。
【0024】
次に図3(b)にリサンプリング処理を行うモデルを示す。
送信装置100側は図2(a)と同様であり、例えば48KHzのクロックCLK1でサンプリングした音声データを送信する。
受信装置200では、受信系201が受信した無線信号を増幅し、音声データを復調する。復調された音声データはSRC(サンプリングレートコンバータ)205でリサンプリングされる。即ち例えば48KHzより十分高い周波数((48×n)KHz)でオーバーサンプリングを行い、そのオーバーサンプリングデータを、今度はクロック発生部202で発生された48KHzのクロックCLK2でサンプリングする。
このようにSRC205でリサンプリングされた音声データは、クロックCLK2に従いD/A変換器203でアナログ音声信号に変換され、スピーカ210から出力される。
この手法の場合、図2(b)に示したような非同期ノイズを解決するのに有効である。しかし音声データをリサンプリングするために、実装されているSRCの特性によっては音質(周波数特性)の変化がみられるという点が指摘される。
【0025】
以上のように、非同期の送信装置100と受信装置200の間の処理モデルを例示したが、これらのように、それぞれ長短がある。
以下に詳しく述べる本実施の形態の受信装置2では、非同期処理とSRCによるリサンプリングを行う処理を選択的に実行することで、状況に応じた好適な受信処理を実現するものである。
【0026】
<3.実施の形態の送信装置>

例えば図1に示したような通信システムを構築できる実施の形態の送信装置1の構成例を図4に示す。
【0027】
送信装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)14とを備える。また送信装置1は、入力インターフェース(I/F)15と、表示インターフェース(I/F)16と、外部機器通信部20とを更に備える。
また、外部機器通信部20には、DSP(Digital Signal Processor)21が接続される。
【0028】
CPU11は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM12、RAM13、EEPROM14等に記録された各種プログラムに従って、送信装置1内の動作全般またはその一部を制御する。
ROM12およびEEPROM14は、CPU11が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。
RAM13は、CPU11の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。
これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバスおよびPCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスから構成されるシステムバス19により、相互に接続されている。
【0029】
入力インターフェース15は、キー操作部17を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU11に出力する入力制御回路などから構成されているインターフェースである。送信装置1のユーザは、キー操作部17を操作することにより、送信装置1に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0030】
キー操作部17は、送信装置1に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする操作部である。キー操作部17は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、キー操作部17は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、コンテンツ送信装置1の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部装置であってもよい。
【0031】
表示インターフェース16は、CPU11から出力された表示出力信号を、表示部18へと伝送するためのインターフェースである。表示部18は例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、およびランプなどの表示装置など、各種情報をユーザに対して視覚的に通知することが可能な装置で構成される。
【0032】
外部機器通信部20は、例えば受信装置2等の子機と通信するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。
送信装置1は、この外部機器通信部20、アンテナ20aを介して、受信装置2に対して音声ストリームデータや各種制御データ等を無線送信するとともに、受信装置2と双方向データ通信を行う。
【0033】
DSP21は、音声データや画像データに対する各種処理に特化したCPUである。このDSP21には、送信に用いられる音声データを含むコンテンツが入力されるコンテンツ入力部22が接続される。
【0034】
コンテンツ入力部22は、送信装置1が送信に用いる音声データを含むコンテンツが入力される処理部である。
コンテンツ入力部22は、例えば、CD/DVD/BDプレーヤ部24や、外部のプレーヤ機器等のデジタル機器が接続されるデジタル入力部25や、チューナー26や、カセットテープやレコード等のアナログ機器が接続されるアナログ入力部27等から構成される。
また、チューナー26およびアナログ入力部27から入力された音声データは、AD変換部28によりアナログ信号からデジタル信号へと変換される。
かかるコンテンツ入力部22より入力されたコンテンツの音声データが、DSP21および外部機器通信部20を介して受信装置2(子機)へと送信される。
【0035】
また、本実施形態に係る送信装置1は、上記構成の他に、例えば、ストレージ装置や、ドライブや、コンテンツ出力部等を備えていてもよい。
【0036】
ストレージ装置は、本実施形態にかかる送信装置1の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。このストレージ装置は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。
このストレージ装置は、CPU11が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した音声データなどを格納することが可能である。
【0037】
ドライブは、記録媒体用リーダライタであり、送信装置1に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブは、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM13に出力する。また、ドライブは、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体は、例えば、DVD、BD等である。また、リムーバブル記録媒体は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、メモリースティック、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0038】
コンテンツ出力部は、コンテンツ入力部22から入力された音声データを含むコンテンツを、送信装置1の外部に出力する処理部である。コンテンツ出力部は、例えば、デジタル信号である音声データをアナログ信号へと変換するDA変換部と、アナログ信号に変換された音声データを増幅する増幅部と、増幅された音声データが出力されるスピーカー等から構成されるようにすればよい。
【0039】
図5に、外部機器通信部20における送信系の構成例を示す。
外部機器通信部20は、送信データ処理部70と送信部74を有する。送信データ処理部70は、送信音声データ生成部71、クロック生成部72、変調部73を、ハードウエア構成もしくはソフトウエア機能として備える。
【0040】
クロック生成部72は、発振回路を用いて所定のサンプリング周波数を有するクロックCLK1を生成する。クロックCLK1の周波数(即ちサンプリング周波数)は、一例として48KHzである。もちろん44.1KHz、32KHzなど他の周波数とされる例もある。このクロック生成部72で用いる発振回路は、水晶発振器(XO:X'tal Oscillator)又は電圧制御水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled X'tal Oscillator)などであってよい。なお、クロックCLK1の周波数が固定値である場合には、発振回路として水晶発振器を用いるのが好適である。
そして、クロック生成部72は、生成したクロックCLK1を送信音声データ処理部71及び変調部73へ供給する。
【0041】
送信音声データ生成部71は、クロック生成部72から供給されるクロックCLK1に従ってサンプリングされた音声データとして、受信装置2に伝送する音声データを生成する。なお、DSP21から供給される音声データDTが、既にクロックCLK1でサンプリングされた音声データである場合、送信音声データ生成部71でさらにサンプリングする必要はない。DSP21から供給される音声データDTが、他のサンプリング周波数でサンプリングされた音声データの場合、送信音声データ生成部71は、サンプリングレート変換処理を行うことで受信装置2へ送信すべき音声データを生成してもよい。
【0042】
送信音声データ生成部71で生成された送信音声データとしての通信パケットデータは変調部73へ供給される。
変調部73は、例えば48KHzのクロックCLK1に従い、音声データについて通信フォーマットに応じたエンコード処理を行う。例えばパケットエンコード等を行う。また、このとき変調部73によりエンコードされたパケットデータには、音声そのもののデータに加えて、当該音声の処理に使用すべき周波数を有するクロック成分が含められる。
そして、変調部73は、変調した音声データを含む伝送信号(通信フォーマットに応じてエンコードされた信号)を送信部74へ出力する。
【0043】
なお、後述するモード切換制御例I、IIIの場合、送信装置1は受信装置2に対してモード切換のための指示信号を送信する。この場合、モード切換制御例Iの場合はDSP21が送信する音声データの種別を判定する。変調部73は、DSP21からの判定信号SSを受け取り、これに応じた指示情報を、通信パケットデータに挿入することとなる。
またモード切換制御例IIIの場合は、この図5では図示していないが、例えばCPU11が受信装置2に対してAGC制御の指示を発生させる。その場合、変調部73は、CPU11からのAGC指示を受け取り、これに応じた指示情報を、通信パケットデータに挿入する。
【0044】
送信部74は、RF(Radio Frequency)回路を用いて、変調部73から入力されるエンコードデータを周波数変換及び増幅し、アンテナ20aを介して無線信号として送信する。ここで送信された音声データは、次に説明する受信装置2により受信される。
【0045】
以上説明した構成により、送信装置1は、多様な音声データ出力源から音声データを含むコンテンツ取得し、外部機器通信部20を介して、受信装置2に対して音声データを送信することが可能になる。また、送信装置1は、以上説明した構成により、受信装置2と双方向データ通信を行うことができる。
【0046】
ここまでは、送信装置1の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
また図5の送信データ処理部70の構成は一例であり、例えば送信音声データ生成部71や変調部73の構成は必ずしも異なるブロックとして明確に分離されるものでもなく、またその一部の処理をDSP21で行うことなども想定される。即ち音声データの送信処理について、例えばクロックCLK1でサンプリングされた音声データを受信装置2に対して送信できる構成であればよい。
【0047】
また、本実施の形態の送信装置1は、親機として子機の受信装置2に対して音声データの送信を行うことのできる機器であればよく、必ずしも上記の図4,図5の構成の全てを備える必要はない。
【0048】
<4.実施の形態の受信装置>

続いて、図6を参照しながら、本実施の形態に係る受信装置2の構成について説明する。
図6に示したように、受信装置2は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、EEPROM34と、入力インターフェース(I/F)35と、表示インターフェース(I/F)36と、外部機器通信部40と、DSP45を備える。
また、外部機器通信部40には、受信した音声データを出力する音声データ出力部41が接続される。
【0049】
CPU31は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM32、RAM33、EEPROM34等に記録された各種プログラムに従って、受信装置2内の動作全般またはその一部を制御する。
またCPU31は、送信装置1から送信されてきた指示情報に応じた制御処理も行う。
ROM32およびEEPROM34は、CPU31が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。
RAM33は、CPU31の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。
これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバスおよびPCIバスなどの外部バスから構成されるシステムバス39により、相互に接続されている。
【0050】
入力インターフェース35は、キー操作部37を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU31に出力する入力制御回路などから構成されているインターフェースである。受信装置2のユーザは、キー操作部37を操作することにより、受信装置2に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0051】
キー操作部37は、受信装置2に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする操作部である。
キー操作部37は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、キー操作部37は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、受信装置2の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部装置であってもよい。
【0052】
表示インターフェース36は、CPU31から出力された出力信号を、表示部38へと伝送するためのインターフェースである。
表示部38は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置など、各種情報をユーザに対して視覚的に通知することが可能な装置で構成される。
【0053】
外部機器通信部40は、例えば、アンテナ40aを介して送信装置1等の親機と通信するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。
受信装置2は、この外部機器通信部40を介して、送信装置1から音声データや指示情報等を受信するとともに、送信装置1と双方向データ通信を行う。
なお、外部機器通信部40には、通信機能とともに、受信した音声データのデコード機能やバッファリング機能としての構成も設けられている。もちろんデコード部やバッファリング部が外部機器通信部40の外部に設けられていても良い。
この外部機器通信部40では、音声データの受信処理として非同期モード処理と、SRCを用いたリサンプリングモード処理が選択的に実行される。
【0054】
音声データ出力部41は、送信装置1から送信された音声データを出力する処理部である。
音声データ出力部41は、例えば、DA変換部42と、増幅部43と、スピーカ44と、から構成される。
【0055】
DA変換部42は、受信した音声データをデジタル信号からアナログ信号へと変換する。アナログ信号に変換された音声データは、増幅部43により増幅され、スピーカ44から出力される。
【0056】
DSP45は、この例では、受信した音声データの種別を判定する処理部として機能する。例えば受信した音声データが単一周波数のSin波であるか通常の音楽等の音声データであるかの判定を行う。このようなDSP45による処理は、後述するモード切換制御例IIの場合に必要となるものである。
【0057】
また受信装置2は、送信装置1が備えるDSPやコンテンツ入力部を備えていてもよい。
更に、受信装置2は、上記構成の他に、例えば、ストレージ装置や、ドライブ等を備えていてもよい。
【0058】
ストレージ装置は、本実施形態にかかる受信装置2の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。このストレージ装置は、例えば、HDD等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置は、CPU31が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した音声データなどを格納することが可能である。
【0059】
ドライブは、記録媒体用リーダライタであり、受信装置2に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブは、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM33に出力する。また、ドライブは、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体は、例えば、DVD、BD等である。また、リムーバブル記録媒体は、コンパクトフラッシュ、メモリースティック、または、SDメモリカード等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカードまたは電子機器等であってもよい。
【0060】
図7に外部機器通信部40における受信系の構成例を示す。
受信装置2の外部機器通信部40は、受信部50と受信データ処理部51が設けられる。そして受信データ処理部51は、復調部52、AGC(Automatic Gain Control)回路60、SRC53、PLL回路54、逓倍部55、クロック生成部56、スイッチ57,58,59を、ハードウエア構成もしくはソフトウエア機能として備える。
【0061】
受信部50は、送信装置1から無線信号として送信された音声データ、即ちクロックCLK1に従ってサンプリングされた音声データを含む電波信号を、アンテナ40aを介して受信する。そして受信部50は、受信した電波信号をRF回路処理で処理した受信信号を復調部52に供給する。
【0062】
PLL回路54は、受信部50から復調部52に入力される受信信号に含まれるクロック成分を抽出し、受信信号に同期したクロックCLKpを生成する。即ち、クロックCLKpは、送信装置1のクロック生成部72により生成されたクロックCLK1と同期したクロックとなる。そしてPLL回路54は、生成したクロックCLKpを、逓倍部55に供給し、またスイッチ57を介して復調部52に供給する。
【0063】
一方、クロック生成部56は、発振回路を用いて、送信装置1のクロック生成部72により生成されるクロックCLK1と略同等の周波数を有するクロックCLK2を生成する。例えば、クロックCLK1の周波数が48KHzである場合には、クロック生成部56もまた48KHzの周波数を有するクロックCLK2を生成する。
このクロック生成部56で用いる発振回路は、水晶発振器(XO)又は電圧制御水晶発振器(VCXO)などが好適である。
但し、クロックCLK2はクロックCLK1と非同期であり、発振回路の個体差などにより、クロックCLK1とクロックCLK2との間には偏差が生じ得る。
そしてクロック生成部56は、生成したクロックCLK2をSRC53,D/A変換器42、及びスイッチ57を介して復調部52に供給する。
【0064】
スイッチ57は、復調部52が用いるクロックを選択するスイッチであり、DSP45又はCPU31からの制御信号CTによって切り換えられる。
非同期モード処理の場合、スイッチ57のt1端子を介してクロックCLK2が復調部52に供給される。
リサンプリングモード処理の場合、スイッチ57のt2端子を介してクロックCLKpが復調部52に供給される。
【0065】
復調部52は、スイッチ57で選択されたクロックCKL2かクロックCLKpのいずれかに従い、受信部50から入力される受信信号を復調する。即ちベースバンド復調、2値化、通信フォーカスに応じたパケットデータのデコード等を行い、音声データを復調する。また送信装置1から指示情報が送信されてきた場合は、その指示情報も復調する。
そして復調部52は、復調されたデジタル信号としての音声データを、AGC回路60に出力する。また指示情報等の通信情報を復調したときは、その指示情報等をCPU31に出力する。
【0066】
AGC回路60は、復調された音声データにつきAGC処理を行う。AGC回路60におけるAGC処理はDSP45又はCPU31からの制御信号CTによってオン/オフされる。
AGC回路60はAGC処理を施した(もしくはAGC処理を行わずに)音声データを出力する。
AGC回路60から出力される音声データはスイッチ58,59により処理が選択される。
スイッチ58,59はDSP45又はCPU31からの制御信号CTによって切り換えられる。
非同期モード処理の場合、スイッチ58,59はt1端子が選択され、SRC53の処理は行われない。リサンプリングモード処理の場合、スイッチ58,59はt2端子が選択され、SRC53の処理が行われる。
なお、このスイッチ58,59は物理的なスイッチではなく、受信データ処理部51内の処理アルゴリズム上の選択処理でもよいことはいうまでもない。
【0067】
非同期モード処理の場合、AGC回路60から出力される音声データはスイッチ58、59を介してD/A変換器42に供給される。そしてその後、図6で説明したように、スピーカ44から音声として出力されることとなる。
このような非同期モードにおける音声出力では、上述した非同期ノイズが生ずる。しかし音質(周波数特性)の変化は殆ど無く、送信された音声信号の忠実な再生という点では適している。
【0068】
リサンプリングモード処理の場合、AGC回路60から出力される音声データはスイッチ58を介してSRC53に供給される。
SRC53は、オーバーサンプリング部53aと出力部53bを有する。
オーバーサンプリング部53aは、クロックCLKpの周波数よりも高いサンプリング周波数を用いて、復調部52により復調された音声データをオーバーサンプリングする。より具体的には、例えば、オーバーサンプリング部53aは、逓倍部55を用いてPLL回路54から供給されるクロックCLKpを逓倍することにより、クロックCLKpの周波数をn倍(nは1より大きい整数)したサンプリング周波数を有するクロックを得る。そして、オーバーサンプリング部53aは、クロックCLKpの周波数のn倍のサンプリング周波数により音声データをオーバーサンプリングする。例えば、クロックCLKpの周波数(≒クロックCLK1の周波数)が48KHzであった場合には、当該周波数をn=256〜1024の範囲内で逓倍した12〜48MHzのいずれかの周波数を用いて、音声データをオーバーサンプリングしてもよい。
オーバーサンプリングに使用する周波数が高いほど、最終的に良好な音声が得られる可能性は高まる一方、処理に必要な回路規模は大きくなる。そのため、上記nの値は、音声の品質と回路のコストのバランスを考慮して決定されるのが好適である。オーバーサンプリング部53aは、このようにオーバーサンプリングした音声データを、例えば出力部53b内部に設けられるバッファに順次書き込む。
【0069】
出力部53bは、オーバーサンプリング部53aによりオーバーサンプリングされた音声データを、クロック生成部56から供給されるクロックCLK2に従って取得し、スイッチ59を介してD/A変換器42へ出力する。より具体的には、出力部53bは、例えばオーバーサンプリング部53aにより書き込まれた音声データを内部のバッファに一時的に保持し、クロックCLK2に従って各音声データを順次読み出せばよい。
【0070】
以上により、SRC53では、受信信号に同期したクロックCLKpで復調した音声データを、同一の48KHzではあるが、受信装置2側のローカルなクロックCLK2に基づく音声データに変換する処理を行うこととなる。
このようにリサンプリングされた音声データは、D/A変換器42に供給され、その後、図6で説明したように、スピーカ44から音声として出力されることとなる。
このリサンプリングモードでの音声出力については、非同期ノイズは解消される。しかしSRC53におけるリサンプリングによって音質(周波数特性)の変化が生ずる場合がある。
【0071】
以上説明した構成により、受信装置2は、外部機器通信部40を介して、送信装置1から音声ストリームデータを受信し、再生出力することが可能になるとともに、送信装置1と双方向データ通信を行うことができる。
【0072】
ここでは本実施の形態に係る受信装置2の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施の形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
また図7の受信データ処理部51の構成は一例であり、例えば復調部52やSRC53等の処理を、DSP45で行うことなども想定される。
そして本実施の形態の受信装置2は、あくまでも親機からの音声データを受信した際に非同期モード処理とリサンプリングモード処理が選択的に実行できる構成であればよく、必ずしも図6、図7に示した構成の全てを備える必要はない。
例えば図1のサブウーファーアンプ2cの場合、表示部38、表示インターフェース36は不要である。またサラウンドリアアンプ2a、サラウンドリアバックアンプ2bの場合は、別体のスピーカを用いるためスピーカ44は不要である。
【0073】
<5.モード切換制御例I>

以上の構成の送信装置1、受信装置2で音声データの通信が行われる際の、受信装置2側での非同期モード処理とリサンプリングモード処理の切換制御例を、以下説明していく。なお、図8〜図11の各処理例は音声データの通信を開始する際、或いは音声データの通信実行中に、送信装置1、受信装置2で実行されるモード切換制御処理のみを示しており、音声データの通信のシーケンスについては省略している。
【0074】
まずモード切換制御例Iとして、送信装置側1が受信装置2にモード切換を指示する例を説明する。
図8は、送信装置1のDSP21の処理と、受信装置2のCPU31の処理例を示している。
【0075】
送信装置1では、ステップF101としてDSP21が送信する音声データの種別を監視している。種別の監視処理は具体的には周波数解析処理(例えばFFT処理)などが挙げられる。
そして音声データの種別に変化があるか否かを判定する。例えばこれから受信装置2に対して音声データ送信を開始する際には、新たにある種の音声データ送信を行うためステップF102で変化ありとする。また、音声データ送信中に、非同期モード処理とすべき種別の音声データとリサンプリングモード処理とすべき種別の音声データの切り替わりが生じたときにも、ステップF102で変化ありとする。
【0076】
そしてDSP21は、ステップF101,F102で、これから非同期モード処理とすべき種別の音声データを送信すると判定した場合は、ステップF103からF104に進み、外部機器通信部20に非同期モードとすべき種別の音声データであることの判定信号SSを供給する。この場合、図5で説明したように、変調部73は通信パケットデータに非同期モード処理を指示する指示情報を挿入することになり、結果として、非同期モード処理の指示情報が受信装置2に送信される。
【0077】
またDSP21は、ステップF101,F102で、これからリサンプリングモード処理とすべき種別の音声データを送信すると判定した場合は、ステップF103からF105に進み、外部機器通信部20にリサンプリングモードとすべき種別の音声データであることの判定信号SSを供給する。この場合、変調部73は通信パケットデータにリサンプリングモード処理を指示する指示情報を挿入することになり、結果として、リサンプリングモード処理の指示情報が受信装置2に送信される。
【0078】
受信装置2側ではCPU31がステップF201としてモード指示情報の受信を監視している。
そしてモード指示情報の受信があったら、CPU31はステップF202でその指示情報の内容を確認する。
非同期モード処理の指示情報であったら、CPU31はステップF203で非同期モード設定を行う。即ち制御信号CTにより外部機器通信部40における図7に示したスイッチ57,58,59をt1端子に接続させる。これによって復調部52ではクロックCLK2に基づく復調が行われ、それにより復調された音声データがD/A変換器42以降に供給される非同期モード処理が実行される状態となる。
【0079】
また、受信した指示情報がリサンプリングモード処理の指示情報であったら、CPU31はステップF204でリサンプリングモード設定を行う。即ち制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt2端子に接続させる。これによって復調部52ではクロックCLKpに基づく同期復調が行われ、それにより復調された音声データがSRC53でリサンプリングされて、クロックCLK2による音声データがD/A変換器42以降に供給されるリサンプリングモード処理が実行される状態となる。
【0080】
以上のように、受信装置2での非同期モード処理とリサンプリングモード処理の切換制御が送信装置1側の音声データ判定に応じて実行される。
即ち送信装置1側では、伝送信号として送信する音声データの種別を判定する判定部としてDSP21を備える。そして送信データ処理部70は、DSP21での判定結果に応じて、伝送信号内に、非同期モード処理とリサンプリングモード処理のいずれかを指示する指示情報を含ませる。
受信装置2側では、制御部としてのCPU31は、送信装置1からの指示情報の受信に応じて、受信データ処理部51に非同期モード処理とリサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する。
【0081】
ここで、送信装置1が、どのような音声データのときに非同期モード処理、リサンプリングモード処理を指示とするかの具体例としては、次のような例が考えられる。
例えば、DSP21が、送信する音声データの種別を単一周波数データ、例えばSin波データと判定したときは、リサンプリングモード処理を指示する。一方、DSP21が送信する音声データの種別を通常音声データ(音楽、音声等、複合周波数のデータ)と判定したときは、非同期モード処理を指示する。
このようにすれば、Sin波で単一トーンの音声をスピーカ出力する場合は、非同期ノイズが聴感上目立つが、リサンプリングモード処理とすることで非同期ノイズのない単一トーン音をスピーカ出力できる。一方で、音楽等の場合は、非同期ノイズが聴感上あまり感知できないため、リサンプリングを行う場合より周波数特性変化の少ない非同期モードとすることで、元の音質に忠実な音楽再生をユーザに提供できる。
【0082】
また次のような例も考えられる。
DSP21が送信する音声データの種別を通常音声データ(音楽等)と判定したときは、リサンプリングモード処理を指示する。一方、DSP21が送信する音声データの種別を周波数特性測定用音声データ(例えば周波数を徐々に変化させるスイープ信号等)と判定したときは非同期モード処理を指示する。
音楽等の通常音声データの場合は、顕著ではないが非同期ノイズが生ずることから、リサンプリングモード処理を選択するという考え方もできる。
一方で、リサンプリングモード処理を行うと周波数特性変動が起こる場合がある。これは測定音声データを送信し、スピーカ44の出力音声(或いは受信装置2となるアンプ機器のスピーカ接続端子の出力信号等)に対して計測機を用いて周波数特性測定を行う場合は好ましくない。そこで、周波数特性測定のためになどにスイープ信号等の音声データを送信する場合は、非同期モードとして、適切な測定を実行できるようにする。
【0083】
これ以外にも、どのような音声データの場合にどちらのモードを選択するようにするかは、多様に考えられる。通常音声データ以外のものとしては、各種測定用の音声データとしてホワイトノイズ信号、ピンクノイズ信号、電子音信号などがあるが、DSP21は周波数解析処理などを行って、いずれのモードが適切かを判定すればよい。
【0084】
また、ユーザが送信装置1のキー操作部17から、非同期モードとリサンプリングモード処理を選択できるようにしてもよい。その場合、送信装置1のCPU11は、ユーザの操作に応じて、外部機器通信部20に非同期モード又はリサンプリングモードの指示を送信させる。
また、上記の例で述べたように音楽、音声等の通常音声データの出力の場合、非同期モード処理とするか、リサンプリングモード処理とするかは、ユーザ個々の考え方の違いもある。
そこで、通常音声データの場合にどちらのモードとするかをユーザが選択できるようにしてもよい。例えばユーザが通常音声データでは非同期モードとすることを選択した場合、DSP21は、通常音声データやスイープ信号のときは非同期モード指示とし、単一周波数信号のときはリサンプリングモード指示とする。逆にユーザが通常音声データではリサンプリングモードとすることを選択した場合、DSP21は、スイープ信号のときは非同期モード指示とし、単一周波数信号や通常音声データのときはリサンプリングモード指示とする。
【0085】
<6.モード切換制御例II>

モード切換制御例IIとして、受信装置2が受信した音声データの種別を判断してモード切換を行う例を説明する。
図9は受信装置2のDSP45の処理例を示している。
【0086】
受信装置2のDSP45は、ステップF251として外部機器通信部40で受信される音声データの種別を監視している。種別の監視処理は具体的には周波数解析処理(例えばFFT処理)などが挙げられる。
そして音声データの種別に変化があるか否かを判定する。例えば通信開始時に最初に音声データ受信が行われた際には、新たにある種の音声データ受信を行うためステップF252で変化ありとする。また、音声データ受信中に、非同期モード処理とすべき種別の音声データとリサンプリングモード処理とすべき種別の音声データの切り替わりが生じたときにも、ステップF252で変化ありとする。
【0087】
そしてDSP45は、ステップF251,F252で、非同期モード処理とすべき種別の音声データを受信したと判定した場合は、ステップF254に進み、外部機器通信部40の非同期モード設定を行う。即ちDSP45は制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt1端子に接続させる。これによって復調部52ではクロックCLK2に基づく復調が行われ、それにより復調された音声データがD/A変換器42以降に供給される非同期モード処理が実行される状態となる。
【0088】
またDSP21は、ステップF251,F252で、リサンプリングモード処理とすべき種別の音声データを受信したと判定した場合は、ステップF255に進み、外部機器通信部40のリサンプリングモード設定を行う。即ちDSP45は制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt2端子に接続させる。これによって復調部52ではクロックCLKpに基づく同期復調が行われ、それにより復調された音声データがSRC53でリサンプリングされて、クロックCLK2による音声データがD/A変換器42以降に供給されるリサンプリングモード処理が実行される状態となる。
【0089】
以上のように、受信装置2での非同期モード処理とリサンプリングモード処理の切換制御が受信した音声データ判定に応じて実行される。
即ち受信装置2は制御部(DSP45)が、受信部50で受信した伝送信号から得られる音声データの種別を判定し、判定結果に応じて、受信データ処理部51に非同期モード処理と上記ンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する。
【0090】
ここで、DSP45が、どのような音声データのときに非同期モード処理、リサンプリングモード処理を指示とするかの具体例としては、上記モード切換制御例Iで述べたものと同様の例が考えられる。
例えば、DSP45が、受信した音声データの種別を単一周波数データ、例えばSin波データと判定したときは、リサンプリングモード処理を指示する。一方、DSP45が受信した音声データの種別を通常音声データ(音楽、音声等、複合周波数のデータ)と判定したときは、非同期モード処理を指示する。
このようにすれば、Sin波で単一トーンの音声をスピーカ出力する場合は、非同期ノイズが聴感上目立つが、リサンプリングモード処理とすることで非同期ノイズのない単一トーン音をスピーカ出力できる。一方で、音楽等の場合は、非同期ノイズが聴感上あまり感知できないため、リサンプリングを行う場合より周波数特性変化の少ない非同期モードとすることで、元の音質に忠実な音楽再生をユーザに提供できる。
【0091】
また次のような例も考えられる。
DSP45が受信した音声データの種別を通常音声データ(音楽等)と判定したときは、リサンプリングモード処理を指示する。一方、DSP45が受信した音声データの種別を周波数特性測定用音声データ(例えばスイープ信号等)と判定したときは非同期モード処理を指示する。
音楽等の通常音声データの場合は、顕著ではないが非同期ノイズが生ずることから、リサンプリングモード処理を選択する。
一方で、リサンプリングモード処理での周波数特性変動を避けるため、周波数特性測定のためになどにスイープ信号等の音声データを送信する場合は、非同期モードとして、適切な測定を実行できるようにする。
【0092】
これ以外にも、どのような音声データの場合にどちらのモードを選択するようにするかは、多様に考えられることはモード切換制御例Iの場合と同様である。
またユーザがキー操作部37から、非同期モードとリサンプリングモード処理を選択できるようにしてもよい。
さらに、音楽、音声等の通常音声データの出力の場合に、非同期モード処理とするか、リサンプリングモード処理とするかを、ユーザが指定できるようにしてもよい。例えばユーザが通常音声データでは非同期モードとすることを選択した場合、DSP45は、通常音声データやスイープ信号のときは非同期モード制御を行い、単一周波数信号のときはリサンプリングモード制御を行う。逆にユーザが通常音声データではリサンプリングモードとすることを選択した場合、DSP45は、スイープ信号のときは非同期モード制御を行い、単一周波数信号や通常音声データのときはリサンプリングモード制御を行う。
【0093】
<7.モード切換制御例III>

モード切換制御例IIIとして、送信装置側1が受信装置2にAGC処理を指示し、それに連動して受信装置2が非同期モード処理とリサンプリングモード処理を切り換える例を説明する。
図10は、送信装置1のCPU11の処理と、受信装置2のCPU31の処理例を示している。
【0094】
この例では一例として、初期状態で受信装置2側でAGC処理を実行させるものとする。このため送信装置1では、通信開始時等に、まずステップF301としてAGCオンの指示を行う。具体的にはCPU11は、例えばこれから受信装置2に対して音声データ送信を開始する際には、ステップF301で外部機器通信部20にAGCオン指示の送信を指示する。この場合、外部機器通信部20の変調部73は通信パケットデータにAGCオンの指示情報を挿入することになり、結果として、AGCオンの指示情報が受信装置2に送信される。
【0095】
またCPU11は、AGCオフのトリガが発生した場合は、ステップF302からF303に進み、AGCオフの指示を行う。具体的にはCPU11は、ステップF303で外部機器通信部20にAGCオフ指示の送信を指示する。この場合、外部機器通信部20の変調部73は通信パケットデータにAGCオフの指示情報を挿入することになり、結果として、AGCオフの指示情報が受信装置2に送信される。
AGCオフのトリガとは、例えばAGCオフのユーザ操作や、或いは特定の種別の音声データの送信開始などとする。具体例は後述する。
【0096】
またCPU11は、AGCオンのトリガが発生した場合は、ステップF304からF301に進み、外部機器通信部20にAGCオン指示の送信を指示する。この場合もAGCオンの指示情報が受信装置2に送信される。
AGCオンのトリガとは、例えばAGCオンのユーザ操作や、或いは特定の種別の音声データの送信開始などとする。
【0097】
受信装置2側ではCPU31がステップF401としてAGCオン/オフの指示情報の受信を監視している。
そしてAGC指示情報の受信があったら、CPU31はステップF402でその指示情報の内容を確認する。
AGCオンの指示情報であったら、CPU31はステップF403でAGCオン設定及びリサンプリングモード処理の設定を行う。即ちCPU31は制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt2端子に接続させる。またAGC回路60に対してAGC動作のオン制御を行う。
これによって復調部52ではクロックCLKpに基づく同期復調が行われ、それにより復調された音声データがAGC処理され、さらにSRC53でリサンプリングされて、クロックCLK2による音声データがD/A変換器42以降に供給されるリサンプリングモード処理が実行される状態となる。
【0098】
また、受信した指示情報がAGCオフの指示情報であったら、CPU31はステップF404でAGCオフ設定及び非同期モード設定を行う。即ち制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt1端子に接続させる。またAGC回路60に対してAGC動作のオフ制御を行う。
これによって復調部52ではクロックCLK2に基づく復調が行われ、それにより復調された音声データがAGC処理されずにそのままD/A変換器42以降に供給される非同期モード処理が実行される状態となる。
【0099】
以上のように、受信装置2での非同期モード処理とリサンプリングモード処理の切換制御が送信装置1からのAGC処理の指示(受信装置2でのAGC動作のオン/オフ)に連動して実行される。
即ち送信装置1側では、送信データ処理部70はモード切換指示となる指示情報として、受信装置2側でのAGC処理のオン/オフを指示する指示情報を伝送信号に含ませる。
受信装置2側では、制御部としてのCPU31は、送信装置からの指示情報の受信に応じて、非同期モード処理とリサンプリングモード処理を選択する。即ち伝送信号から得られる音声データについてのAGC処理をオンとする指示のときは、受信データ処理部51にAGC処理とリサンプリングモード処理を実行させ、AGC処理をオフとする指示のときは、受信データ処理部51に非同期モード処理を実行させるAGC処理をオフさせる。
【0100】
ここで、送信装置1が、AGCオンとするトリガの判断、オフとするトリガの判断として次のような例が考えられる。
通常、出力音声について各種測定を行う場合は、AGC処理をオフとする。そこで、送信装置1(CPU11)は、周波数特性測定、ドルビー測定等の各種の測定を目的とした測定用音声データを送信するときは、AGC処理オフトリガ発生と判断して、ステップF303でAGCオフの指示信号を送信制御する。
また測定後等に、音楽等の通常音声データを送信開始するときは、AGCオントリガ発生と判断して、ステップF301でAGCオンの指示信号を送信制御する。
【0101】
このようにすることで、通常音楽再生時には、AGC処理が行われ、かつリサンプリングモード処理で非同期ノイズがない状態でユーザに音楽等を提供できる。
また測定時には、AGC処理がオフとされ、本来の特性測定が実行され、さらに非同期モードとされることで、リサンプリングモード処理による音質変化がない状態で測定等が実行できることとなる。
【0102】
またユーザのAGC操作をAGCオン又はAGCオフのトリガとしてもよい。
AGC処理は、過大なレベルの再生音声出力が生じないようにする意味で、受信装置2側のスピーカ等の保護の機能がある。一方で、必ずしも元々の音量レベルに忠実な再生音とはならないということもある。
このためユーザは、通常使用時にはAGCオンを選択し、元の音に忠実な再生音質を求める場合はAGCオフを選択するということがある。
本例の場合、AGCオンの場合はリサンプリングモードとなり、これは上述のように音質変化が生ずることがある。
そこで通常使用時はAGCオン、リサンプリングモードとしてAGC処理による利点を享受すると共に、リサンプリングモードで非同期ノイズが生じないという利点を享受できるようにする。一方、ユーザが忠実な音声再生を求めるためにAGCオフを指示した場合は、AGCオフとともに非同期モードとしてリサンプリングによる音質変化が生じないようにし、原音に忠実な音声出力が実行されるようにする。
【0103】
なお図10の処理例では、送信装置1はAGC処理の指示情報を送信し、受信装置2では、これをAGC処理と受信処理モード選択(非同期モード/リサンプリングモード選択)の両方の指示として処理するようにした。これ以外に、送信装置1が、AGC処理の指示情報を送信する際に、受信処理モード選択の指示情報をさらに送信するようにしてもよい。
【0104】
またAGC処理以外のユーザ操作等に応じて、非同期モード/リサンプリングモードを連動させて切換制御することも考えられる。
例えば受信装置2にイコライジング調整部(音質調整部)やリバーブ処理部が設けられる場合に、ユーザが、送信装置1側で各種イコライジング設定、リバーブ設定等を選択できるようにすることが考えられる。その場合に送信装置1はイコライジングモードやリバーブモードを受信装置2に指示するが、受信装置2ではイコライジングモードやリバーブモード等のそれぞれに非同期モード/リサンプリングモードを対応づけておき、指示されたモードに連動して非同期モード/リサンプリングモードを切り換えられるようにすることも考えられる。
なお、上記例では初期状態でAGCオンを指示するとしたが、AGCオフを初期状態で指示しても良い。また、初期状態は特にAGC指示を行わず、AGCオン/オフは受信装置2側でのユーザ操作によるものとしてもよい。
【0105】
<8.モード切換制御例IV>

モード切換制御例IVとして、受信装置2がAGCオン/オフ制御を行うときに、それに連動して非同期モード処理とリサンプリングモード処理を切り換える例を説明する。
図11は、受信装置2のCPU31の処理例を示している。
【0106】
この例では一例として、初期状態で受信装置2はAGC処理を実行するものとする。このためCPU31は、まずステップF451としてAGCオン及びリサンプリングモードの制御を行う。具体的にはCPU31は、例えば音声データ受信を開始する状態となったときや電源オンのときなどには、ステップF451で外部機器通信部40のAGC回路60に制御信号CTによりAGCオンを指示する。さらに、CPU31は外部機器通信部40のリサンプリングモード設定を行う。即ちCPU31は制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt2端子に接続させる。
これによって復調部52ではクロックCLKpに基づく同期復調が行われ、それにより復調された音声データがAGC処理され、さらにSRC53でリサンプリングされて、クロックCLK2による音声データがD/A変換器42以降に供給されるリサンプリングモード処理が実行される状態となる。
【0107】
またCPU31は、AGCオフのトリガが発生した場合は、ステップF452からF453に進み、AGCオフ及び非同期モードの指示を行う。AGCオフのトリガとは、例えばAGCオフのユーザ操作や、或いは特定の種別の音声データの受信開始などとする。
具体的にはCPU31は、ステップF453で外部機器通信部40のAGC回路60に制御信号CTによりAGCオフを指示する。さらに、CPU31は制御信号CTにより外部機器通信部40におけるスイッチ57,58,59をt2端子に接続させリサンプリングモード設定を行う。
これによって復調部52ではクロックCLK2に基づく復調が行われ、それにより復調された音声データがAGC処理されずにそのままD/A変換器42以降に供給される非同期モード処理が実行される状態となる。
【0108】
またCPU31は、AGCオンのトリガが発生した場合は、ステップF454からF451に進み、外部機器通信部40にAGCオン指示及びリサンプリングモード指示を行う。
AGCオンのトリガとは、例えばAGCオンのユーザ操作や、或いは特定の種別の音声データの受信開始などとする。
【0109】
以上のように、受信装置2での非同期モード処理とリサンプリングモード処理の切換制御がAGC制御に連動して実行される。
即ち制御部としてのCPU31は、受信した音声データについてのAGC処理をオンとするときは、受信データ処理部51にリサンプリングモード処理を実行させ、AGC処理をオフとするときは、受信データ処理部51に非同期モード処理を実行させるように制御する。
【0110】
ここで、CPU31が、AGCオンとするトリガの判断、オフとするトリガの判断として次のような例が考えられる。
通常、出力音声について各種測定を行う場合は、AGC処理をオフとする。そこで、例えばDSP45(又はCPU31)が受信した音声データの種別を周波数解析処理などで判定し、周波数特性測定、ドルビー測定等の各種の測定を目的とした測定用音声データを受信したときは、AGC処理オフトリガ発生と判断する。この場合にステップF453でAGCオフ及び非同期モードとする制御を行う。
また測定後等に、音楽等の通常音声データの受信状態となったときは、AGCオントリガ発生と判断して、ステップF451でAGCオン及びリサンプリングモードとする制御を行う。
【0111】
このようにすることで、通常音楽再生時には、AGC処理が行われ、かつリサンプリングモード処理で非同期ノイズがない状態でユーザに音楽等を提供できる。
また測定時には、AGC処理がオフとされ、本来の特性測定が実行され、さらに非同期モードとされることで、リサンプリングモード処理による音質変化がない状態で測定等が実行できることとなる。
【0112】
またユーザのAGC操作をAGCオン又はAGCオフのトリガとしてもよい。
上述のように、ユーザは、通常使用時にはAGCオンを選択し、元の音に忠実な再生音質を求める場合はAGCオフを選択するということがある。
そこで通常使用時はAGCオン、リサンプリングモードとしてAGC処理による利点を享受すると共に、リサンプリングモードで非同期ノイズが生じないという利点を享受できるようにする。一方、ユーザが忠実な音声再生を求めるためにAGCオフをキー操作部37から指示した場合は、AGCオフ及び非同期モードとしてリサンプリングによる音質変化が生じないようにし、原音に忠実な音声出力が実行されるようにする。
【0113】
またAGC処理以外のユーザ操作等に応じて、非同期モード/リサンプリングモードを連動させて切換制御することも考えられる。
例えば受信装置2にイコライジング調整部(音質調整部)やリバーブ処理部が設けられる場合に、ユーザが、キー操作部37から各種イコライジング設定、リバーブ設定等を選択できるようにすることが考えられる。その場合にCPU31はイコライジングモードやリバーブモードをイコライジング調整部やリバーブ処理部に指示するが、イコライジングモードやリバーブモード等のそれぞれに非同期モード/リサンプリングモードを対応づけておく。そして指示されたモードに連動して非同期モード/リサンプリングモードを切り換えるようにすることも考えられる。
また、上記例では初期状態でAGCオンとしたが、AGCオフを初期状態としても良い。また、初期状態はユーザ操作に応じたものとしてもよい。
【0114】
以上、送信装置1、受信装置2の構成やモード切換制御例I〜IVの処理例を説明してきたが、これらの技術により、受信装置2側の受信音声データに関する処理を適宜非同期モード処理とリサンプリングモード処理とで切り換えることで、状況に応じた適切な受信処理が実行できる。例えば非同期ノイズが顕著となる状況ではリサンプリングモード処理とし、音質変化が好ましくない状況では非同期モード処理とするなどとして、適切な受信処理が実行できる。
【符号の説明】
【0115】
1 送信装置、2 受信装置、11,31 CPU、20,40 外部機器通信部、21,45 DSP、50 受信部、51 受信データ処理部、52 復調部、53 SRC、56,72 クロック生成部、70 送信データ処理部、71 送信音声データ生成部、73 変調部、74 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置からの第1のクロックでサンプリングされた音声データについての伝送信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信した伝送信号について上記第1のクロックと非同期でかつ同一周波数の第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、上記受信部で受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する受信データ処理部と、
上記受信データ処理部において上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する制御部と、
を備えた受信装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記送信装置からの指示情報の受信に応じて、上記受信データ処理部に上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記受信部で受信した伝送信号から得られる音声データの種別を判定し、判定結果に応じて、上記受信データ処理部に上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
上記制御部は、音声データの種別が単一周波数データであると判定したときは、上記受信データ処理部に上記リサンプリングモード処理を実行させ、通常音声データであると判定したときは、上記受信データ処理部に上記非同期モード処理を実行させるように制御する請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
上記制御部は、音声データの種別が通常音声データであると判定したときは、上記受信データ処理部に上記リサンプリングモード処理を実行させ、周波数特性測定用音声データであると判定したときは、上記受信データ処理部に上記非同期モード処理を実行させるように制御する請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記伝送信号から得られる音声データについてのAGC処理をオンとするときは、上記受信データ処理部に上記リサンプリングモード処理を実行させ、上記AGC処理をオフとするときは、上記受信データ処理部に上記非同期モード処理を実行させるように制御する請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
第1のクロックとして、受信装置側の第2のクロックと非同期でかつ同一周波数のクロックでサンプリングされた音声データについて変調処理を行い伝送信号を生成するとともに、上記受信装置側への指示情報として、上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理との切換指示となる指示情報を伝送信号に含ませる送信データ処理部と、
上記送信データ処理部で得られた伝送信号を受信装置に対して送信する送信部と、
を備えた送信装置。
【請求項8】
上記伝送信号として送信する音声データの種別を判定する判定部を備え、
上記送信データ処理部は、判定結果に応じて、上記伝送信号内に、上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを指示する指示情報を含ませる請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
上記判定部が音声データの種別を単一周波数データと判定したときは、上記送信データ処理部は、上記リサンプリングモード処理を指示する指示情報を上記伝送信号内に含ませ、上記判定部が音声データの種別を通常音声データと判定したときは、上記送信データ処理部は、上記非同期モード処理を指示する指示情報を上記伝送信号内に含ませる請求項8に記載の送信装置。
【請求項10】
上記判定部が音声データの種別を通常音声データと判定したときは、上記送信データ処理部は、上記リサンプリングモード処理を指示する指示情報を上記伝送信号内に含ませ、上記判定部が音声データの種別を周波数特性測定用音声データと判定したときは、上記送信データ処理部は、上記非同期モード処理を指示する指示情報を上記伝送信号内に含ませる請求項8に記載の送信装置。
【請求項11】
上記送信データ処理部は、上記切換指示となる指示情報として、上記受信装置側でのAGC処理のオン/オフを指示する指示情報を伝送信号に含ませる請求項7に記載の送信装置。
【請求項12】
送信装置からの第1のクロックでサンプリングされた音声データについての伝送信号を、上記第1のクロックと非同期でかつ同一周波数の第2のクロックを用いて受信する受信装置の受信方法として、
受信した伝送信号について上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する受信方法。
【請求項13】
第1のクロックとして、受信装置側の第2のクロックと非同期でかつ同一周波数のクロックでサンプリングされた音声データを上記受信装置に送信する送信装置の送信方法として、
上記第1のクロックでサンプリングされた音声データについて変調処理を行い伝送信号を生成するとともに、上記受信装置側への指示情報として、上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理との切換指示となる指示情報を伝送信号に含ませた伝送信号を生成し、伝送信号を受信装置に対して送信する送信方法。
【請求項14】
送信装置と受信装置を有する通信システムとして、
上記送信装置は、
第1のクロックとして、上記受信装置側の第2のクロックと非同期でかつ同一周波数のクロックでサンプリングされた音声データについて変調処理を行い伝送信号を生成するとともに、上記受信装置側への指示情報として、上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理との切換指示となる指示情報を伝送信号に含ませる送信データ処理部と、
上記送信データ処理部で得られた伝送信号を受信装置に対して送信する送信部と、
を備え、
上記受信装置は、
上記送信装置からの第1のクロックでサンプリングされた音声データについての伝送信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信した伝送信号について上記第2のクロックで音声データの復調を行って出力する非同期モード処理と、上記受信部で受信した伝送信号から得られる音声データについてリサンプリングを行い上記第2のクロックでサンプリングされた音声データを出力するリサンプリングモード処理とを、選択的に実行する受信データ処理部と、
上記受信部で受信した伝送信号に含まれる上記指示情報に応じて、上記受信データ処理部において上記非同期モード処理と上記リサンプリングモード処理のいずれかを実行させるように制御する制御部と、
を備えている通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−182697(P2012−182697A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44667(P2011−44667)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】