説明

受信装置および受信システム

【課題】1台のアンテナで受信不可能な状況が発生した場合にも、他のアンテナで継続して受信し、素材信号を破綻させることなく運用する受信装置および受信システム。
【解決手段】複数の旋回可能な回転受信アンテナと、複数の第1の受信部と、複数の第1の受信部から出力された信号のいずれかを選択して出力する素材切替部と、回転受信アンテナの旋回角度を検出し、旋回角度に応じて素材切替部が出力する信号を切り替え制御する制御部とを備えた受信装置であって、素材切替部が現在出力している素材の電波を受信している回転受信アンテナの旋回角度が、受信可能角度範囲外となる前の所定の角度となった場合には、他の回転受信アンテナが受信している素材の電波の出力に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体と固定局間で無線伝送する受信装置および受信システムに関わり、特に、固定局の受信アンテナの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伝送システムの一例を図1によって説明する。図1は、従来の伝送システムの一例のマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図である。図1のマイクロ受信基地局システムは、FPU(Field Pick-up Unit)を用いた基地局間の固定無線伝送を含む。11は移動送信体Aの移動に伴って移動する送信点A、12は基地局、13は本社、14は移動送信体Bの移動に伴って移動する送信点B、15はネットワークである。また、送信点A11の移動送信体Aにおいて、11−1は送信部、11−2はアンテナである。同様に送信点B14の移動送信体Bにおいて、14−1は送信部、14−2はアンテナである。また、基地局12において、12−1は回転受信アンテナ、12−2は受信部、12−3は送信部、12−4は被制御端局、12−5は変復調部、12−6は固定アンテナである。さらに、本社13において、13−1は固定アンテナ、13−2は受信部、13−3は回転受信アンテナ、13−4は受信部、13−5は復号部、13−6は情報生成部、13−7は情報編集部、13−8は変復調部、13−9は制御端末、13−10は操作端末、13−11はARCNET(Attached Resource Computer NETwork)等のネットワークである。なお、移動送信体は、例えば、ヘリコプターや中継車等である。また、ネットワーク15は、例えば、専用回線またはVPN(Virtual Private Network)である。なお、基地局12において、被制御端局12−4は、基地局12の他の機器と図示しない伝送線にて接続されている。
【0003】
図1において、送信点A11の位置にある移動送信体A、および送信点B14の位置にある移動送信体Bから本社13へ素材(データ)を伝送する場合について説明する。なお、伝送される素材は、例えば、放送に使用する映像等の素材である。
送信点A11から本社13までは、素材を直接通信できない遠距離にある。従って、送信点A11の移動送信体Aから伝送される素材は、基地局12が中継して本社13へ無線伝送される。
まず送信点A11の移動送信体Aの送信部11−1は、素材を無線伝送可能なマイクロ波信号に変換し、アンテナ11−2からの電波として送信する。ここで送信部11−1は、SDI(Serial Digital Interface)信号を、FPUの伝送に用いられる固定長のパケット形式のフレームフォーマットであるTS(Transport Stream)信号に符号化し、それを中間周波信号に変調後、マイクロ波帯の信号に周波数変換して、アンテナ11−2に出力する機能を有する。
【0004】
基地局12の回転受信アンテナ12−1は、アンテナ11−2から送信された電波を受信し、受信部12−2に出力する。ここで受信部12−2は、マイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、SDI信号へ復号し、送信部12−3に出力する機能を有する。ただし、基地局12内の受信部12−2では、最低限、信号劣化のないTS信号に変換する機能があれば良い。
送信部12−3は、入力されたTS信号を固定アンテナ12−6から電波として送信する。受信部12−2と同様、基地局12内の送信部12−3は、最低限TS信号をマイクロ波帯に変換する機能があれば良い。
【0005】
本社13の固定アンテナ13−1は、基地局12から送信された電波を受信し、受信部13−2に出力する。
受信部13−2に入力された信号は、その後、受信部13−2と復号部13−5によってSDI信号へ復号され、本線に出力される。
また、本社13から近距離にある送信点B14の移動送信体Bの送信部14−2は、素材を無線伝送可能なマイクロ波信号に変換し、アンテナ14−2から電波として送信する。送信された素材の電波は、直接本社13の回転受信アンテナ13−3で受信され、受信部13−4、復号部13−5によって復号され、本線へ送られる。
【0006】
図1の伝送システムを用いた無線伝送では、基地局12において送信点A11からの電波を効率よく受信することが重要となる。つまり、送信点A11の位置によって、基地局12内の回転受信アンテナ12−1の方向を変える必要がある。そのため、マイクロ波を受信する基地局12では、回転受信アンテナ12−1は、本社13からの遠隔制御により回転(追尾)が可能な回転架台を備えている。
【0007】
以下、従来の回転送信アンテナの方向を変えるための遠隔制御について説明する。
本社13の受信部13−2は、入力されたマイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、復号部13−5および情報生成部13−6に出力する。情報生成部13−6は、入力された中間周波数帯の信号からTS信号と支援データを分離し、分離した支援データを情報編集部13−7に出力する。なお、支援データには、受信アンテナの方向調整を行うための情報も含まれている。情報編集部13−7は、入力された支援データを編集し、ネットワーク13−11を介して操作端末13−10に送信する。操作端末13−10は、入力された支援データを表示部に表示する。
また、操作端末13−10は、入力された支援データから、回転受信アンテナ12−1の回転架台を回転させてアンテナ方向を制御するための制御パケットを、ネットワーク13−11を介して制御端局13−9に送信する。
制御端局13−9は、受信した制御パケットをシリアル信号に変換し、変復調部13−8に出力する。ここで、ネットワーク13−11に複数の操作端末、複数の制御端局をつなげ、それぞれの機器IDによって送信相手や受信相手を特定し送受信が可能であることはもちろんである。
変復調部13−8は、シリアル信号をさらに変調し(例えば、アナログ信号に変調し)、ネットワーク15を介して基地局12の変復調部12−5に送信する。
【0008】
基地局12の変復調部12−5は、本社13の変復調部13−8からネットワーク15を介して送信されたアナログ信号を、シリアル信号に復調後、被制御端局12−4に出力する。被制御端局12−4は、その制御信号(制御パケット)を解読し、図示しない制御線を介して回転受信アンテナ12−1の制御を行う。
なお、回転受信アンテナ12−1の角度等の情報は、回転受信アンテナの監視信号として、図示しない制御線を介して被制御端局12−4に出力されている。被制御端局12−4は、その情報(回転受信アンテナの監視信号)をシリアル信号として変復調部12−5に出力し、変復調部12−5は、例えばアナログ信号に変調し、ネットワーク15を介して、本社13に送信する。
本社13内の変復調部13−8は、受信した監視信号をシリアル信号へ復調し、制御端局13−9に出力する。制御端局13−9は、入力されたシリアル信号を解読し、監視パケットをネットワーク13−11を介して操作端末13−10に送信する。
操作端末13−10は、ネットワーク13−11を介して監視パケットを受信し、操作端末13−10のディスプレイ上に情報として表示する。
以上のようにして、基地局12内の回転受信アンテナ12−1の方向を制御監視することができる。
【0009】
さらに、上述の伝送システム(マイクロ受信基地局システム)では、基地局12に設置された受信部12−2や送信部12−3における受信レベル若しくは送信レベル、送受信チャンネル(周波数帯)、変調方式、送信出力、復号方式、また例えば、信号切替器の接点選択、信号多重/分離装置の信号入力/出力選択などは、上述の回転受信アンテナ装置12−1の制御監視と同様であり、操作端末13−10、制御端局13−9、および被制御端局12−5と、制御装置(受信部12−2や送信部12−3)間の一連の信号伝達によって制御監視することができる。
【0010】
また、送信点B14からの素材伝送のように、基地局12を通さず、本社13に直接送信する場合には、操作端末13−10、制御端局13−9、制御装置間の信号伝達経路を用いて、本社13に存在する回転受信アンテナ装置13−3や受信部13−4などの装置に対し制御監視を行う。
【0011】
また当該システムでは、回転受信アンテナの方向調整を行うための、より詳細な情報の提供として、回転受信アンテナ12−1の後段の受信部12−2、および回転受信アンテナ13−3の後段の受信部13−4における受信周波数や変調方式などの伝送パラメータを含むTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報、受信電界レベル(BL値)、余裕度(Margin Degree)、BER(Bit Error Rate)、MER(Modulation Error Ratio)、遅延プロファイル、コンスタレーションなどの支援データをTS信号に重畳させて本社へ伝送し、情報生成部13−6によってTS信号と分離し、情報編集部13−7によって編集し、操作端末13−10のディスプレイ上に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−077025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これら従来のシステムにおいて、旋回可能な受信アンテナ(回転受信アンテナ)を用いて、回転受信アンテナの方向を調整して、移動送信体に回転受信アンテナを向ける受信方式を追尾方式と称する。この追尾方式には、例えばアンテナの異なる位置に具備された複数の受信部の受信電界の差分から、当該移動送信体の方向を導出し追尾する電界追尾方式や、移動送信体に具備されたGPS(Global Positioning System)受信部からのGPS位置情報を取得し追尾するGPS追尾方式等がある。
【0014】
従来は、単独のアンテナを用いて追尾する方法を採用していた。その理由は、当該アンテナの設置場所が、例えば山頂や、ビルの屋上等、周辺から見通しの良い場所になっており、水平方向に360°回転可能なので、アンテナを回転させ目的の方向に向けることで、周囲360°のいずれの方向からも受信可能であった。
しかし近年、超高層建造物等の建造物では、建造物の中段付近にアンテナが設置されるようになってきた。このため、少なくとも一方向を当該建造物により電波が遮蔽されてしまうような形で設置されるケースが多くなってきている。その一例を、図2によって説明する。図2は、回転受信アンテナの受信角度が限定される一例を示す模式図である。図2は、回転受信アンテナが設置された高さでの水平断面図を示す。
図2において、建造物21の四辺にそれぞれ1台の回転受信アンテナ22−1〜22−4が設置されている。回転受信アンテナ22−1が電波を受信できる角度範囲は、受信可能角度範囲23に示すように、建造物21によって制限されている。他の回転受信アンテナ22−2〜22−4も同様である。従って、それぞれの回転受信アンテナ22−1〜22−4は、障害物がなければ、360°回転可能であるとしても、建造物21に邪魔されて、全周360°のすべての角度範囲の電波を受信できない。
【0015】
この場合、1台のアンテナだけでは、受信可能角度範囲が限定されてしまう。例えば、移動送信体が当該建造物の周りを1回転するような場合には、1台のアンテナだけでは、受信不可能となる状況が発生する。現状では、当該建造物に別設置された別のアンテナにユーザが切り替える措置をとっているが、当然切り替える操作の間は素材信号が停止(破綻)している。さらに、近年の建造物の高層化傾向を考えると、今後このような状況は増加すると考えられる。
【0016】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、1台のアンテナにおいて電波の受信が不可能な状況が発生した場合にも、他のアンテナを用いて継続して受信し、素材信号を破綻させることなく運用可能な伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の受信装置は、移動送信体から送信される素材の電波を追尾して受信するための複数の旋回可能な回転受信アンテナと、当該回転受信アンテナそれぞれの受信した電波を所定の周波数帯の信号に変換する複数の第1の受信部と、当該複数の第1の受信部から出力された信号のいずれかを選択して出力する素材切替部と、前記回転受信アンテナの旋回角度を検出し、旋回角度に応じて前記素材切替部が出力する信号を切り替え制御する制御部とを備えた受信装置であって、
前記制御部は、前記素材切替部が現在出力している素材の電波を受信している回転受信アンテナの旋回角度が、受信可能角度範囲外となる前の所定の角度となった場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している前記素材の電波の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御するものである。
【0018】
また上記目的を達成するために、本発明の受信システムは、移動送信体から送信される素材の電波を追尾して受信するための複数の旋回可能な回転受信アンテナと、当該回転受信アンテナそれぞれの受信した電波を所定の周波数帯の信号に変換する複数の第1の受信部と、当該複数の第1の受信部から出力された信号のいずれかを選択して出力する素材切替部と、当該素材切替部が出力した信号を無線伝送可能な形式に変換する送信部と、当該送信部が変換した信号を送信する第1の固定アンテナと、前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを検出し、検出した旋回角度および受信レベルに応じて前記素材切替部が出力する信号を切り替え制御する制御部とを有する受信装置、および、前記第1の固定アンテナから送信された電波を受信する第2の固定アンテナと、当該第2の固定アンテナが受信した信号をTS信号に変換して出力する第2の受信部と、当該TS信号を本線信号として出力する復号部とを有する固定局を備え、前記受信装置の前記制御部は、検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを当該TS信号に重畳するTS重畳部、並びに前記検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルをネットワークに送信する第1変復調部を具備し、少なくとも、前記検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを当該TS信号を介して前記固定局に送信するか、または前記ネットワークを介して前記固定局に送信とするか、の一方を行う受信システムであって、前記受信装置の前記制御部は、前記素材切替部が現在出力している素材の電波を受信している回転受信アンテナの旋回角度が、受信可能角度範囲外となる前の所定の角度となった場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している素材の電波の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御するものである。
【0019】
また、上記本発明の受信システムにおいて、前記固定局は、さらに、前記第2の受信部が出力するTS信号から支援データを分離する情報生成部と、当該支援データを編集する情報編集部と、該編集された支援データから受信レベルを監視し、所定のレベル以下に低下した場合には制御信号を出力する制御端末と、該制御信号を変調して前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する第2変復調部とを具備し、前記受信装置の前記第1変復調部は、さらに、前記ネットワークから送信された前記制御信号を受信し、前記受信装置の前記制御部は、前記制御信号に基づいて、前記素材切替部が現在出力している素材の電波の受信状態評価値が所定のレベル以下に低下した場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している前記素材の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1台のアンテナにおいて電波の受信が不可能な状況が発生した場合にも、他のアンテナを用いて継続して受信し、素材信号を破綻させることなく運用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の伝送システムの一例のマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図である。
【図2】回転受信アンテナの受信角度が限定される一例を示す模式図である。
【図3】本発明の受信システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の受信システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の受信システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の受信システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の受信システムの回転受信アンテナの一実施例を説明するための図である。
【図8】本発明の受信システムの回転受信アンテナの動作の一実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。また、各図の説明において、従来の技術を説明した図1と図2を含め、同一の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、重複を避けるため、できるだけ説明を省略する。
【実施例1】
【0023】
本発明の一実施例を図3と図8によって説明する。図3は、本発明の受信システムの一実施例で、FPU(Field Pick-up Unit)を用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図である。図3の実施例は、本発明に係る複数架台による基地局内シームレス信号切り替えシステムの一実施例である。従来例で説明した図1の基地局12に、回転受信アンテナ12−1と同様に遠隔制御により回転が可能な回転架台を備えた回転受信アンテナ32−1、および当該アンテナ32−1に接続する受信部32−2を増設し、受信部12−2および32−2双方より伝送される素材信号をシームレスに切り替え可能な素材切替部32−9を設けた。また、回転受信アンテナ12−1と32−1、受信部12−2と32−2、および素材切替部32−9は、それぞれ被制御端局12−4と接続している(図示しない)。
図3および後述する図4〜図6等の本発明の受信システムでは、図1の従来例で説明した伝送システムの受信システムと同様に、電界追尾方式やGPS追尾方式等による追尾が行われている。また、少なくとも2つ以上の回転受信アンテナが連動して同一の移動送信体を自動追尾する。ただし、図3では、2組の回転受信アンテナ12−1および32−1、並びに受信部12−2および32−2以外の回転受信アンテナと受信部を省略している。また、基地局32において、被制御端局12−4は、基地局32の他の機器と図示しない伝送線にて接続されている。
なお、移動送信体は、例えば、ヘリコプターや中継車等である。また、図1と同様に、本社内の通信は、ARCNET等のネットワーク13−11で行い、屋外通信のためのネットワーク15は、例えば、専用回線またはVPNである。
【0024】
基地局32の回転受信アンテナ12−1は、移動送信体(図8の移動送信体81)から送信された素材の電波を受信し、受信部12−2に出力する。受信部12−2は、マイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、SDI信号へ復号し、素材切替器32−9に出力する。また同様に、基地局32の回転受信アンテナ32−1は、当該移動送信体(図8の移動送信体81)から送信された素材の電波を受信し、受信部32−2に出力する。受信部32−2は、マイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、SDI信号へ復号し、素材切替器32−9に出力する。ただし、基地局32内の受信部12−2および32−2では、最低限信号劣化のないTS信号に変換する機能があれば良い。
【0025】
素材切替器32−9は、被制御端局12−4の制御に基づいて制御され、今、受信部12−2から入力された回転受信アンテナ12−1が受信した信号による素材のTS信号を、送信部12−3に出力している。
送信部12−3は、入力されたTS信号を固定アンテナ12−6から電波として送信する。受信部12−2と同様、基地局12内の送信部12−3は、最低限TS信号をマイクロ波帯に変換する機能があれば良い。
本社13の固定アンテナ13−1は、基地局32から送信された電波を受信し、受信部13−2に出力する。
受信部13−2は、入力されたマイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、復号部13−5および情報生成部13−6に出力する。復号部13−5は、入力された信号をSDI信号に復号し、本線に送信する。
【0026】
情報生成部13−6は、入力された中間周波数帯の信号からTS信号と支援データを分離し、分離した支援データを情報編集部13−7に出力する。支援データには、受信アンテナの方向調整を行うための情報も含まれている。情報編集部13−7は、入力された支援データを編集し、ネットワーク13−11を介して操作端末13−10に送信する。操作端末13−10は、入力された支援データを表示部に表示する。
また、操作端末13−10は、入力された支援データから、回転受信アンテナ12−1の回転架台を回転させてアンテナ方向を制御するための制御パケットを、ネットワーク13−11を介して制御端局13−9に送信する。この時、回転受信アンテナ12−1および32−1それぞれの方向調整の他に、初期設定(動作開始時)としてどちらの回転受信アンテナからの受信信号を素材切替部32−9が選択して出力するかを、支援データに基づいて決定して制御パケットに含める。
制御端局13−9は、受信した制御パケットをシリアル信号に変換し、変復調部13−8に出力する。
変復調部13−8は、シリアル信号をさらに変調し(例えば、アナログ信号に変調し)、ネットワーク15を介して基地局12の変復調部12−5に送信する。
【0027】
基地局12の変復調部12−5は、ネットワーク15を介して受信したアナログ信号をシリアル信号に復調して、被制御端局12−4に出力する。被制御端局12−4は、変復調部12−5から入力された制御信号(制御パケット)を解読し、回転受信アンテナ12−1および32−1の回転制御を行う。また被制御端局12−4は素材切替部32−9を制御し、素材切替部32−9が初期設定時または動作開始時にどちらの回転受信アンテナからの受信信号を選択して出力させる。
なお、回転(旋回)制御は、水平方向のパン角の角度情報について説明するが、チルト角方向にも実行されている。
【0028】
なお、回転受信アンテナ12−1の水平方向の向き(旋回角度)を示す角度θ等の情報は、回転受信アンテナの監視信号として、被制御端局12−4に出力されている。同様に、基地局12を監視制御している被制御端局12−4には、受信部12−2および32−2から監視信号が送られ、被制御端局12−4は、監視信号から、例えば受信電界強度(受信レベル)等を検出している。被制御端局12−4は、その情報(回転受信アンテナの監視信号)をシリアル信号として変復調部12−5に出力し、変復調部12−5は、例えばアナログ信号に変調し、ネットワーク15を介して、本社13に送信する。
本社13内の変復調部13−8は、受信した監視信号をシリアル信号へ復調し、制御端局13−9に出力する。制御端局13−9は、入力されたシリアル信号を解読し、監視パケットをネットワーク13−11を介して操作端末13−10に送信する。
操作端末13−10は、ネットワーク13−11を介して監視パケットを受信し、操作端末13−10のディスプレイ上に情報として表示する。
以上のようにして、初期設定後または動作開始後には、基地局12内の回転受信アンテナ12−1および32−1の制御監視(追尾または方向調整)、および素材切替部32−9での受信信号の切り替えが可能である。
【0029】
この受信システム(マイクロ受信基地局システム)では、基地局12に設置された受信部12−2や送信部12−3における受信レベルや送信レベル、送受信チャンネル(周波数帯)、変調方式、送信出力、復号方式、また例えば、信号切替器の接点選択、信号多重/分離装置の信号入力/出力選択などは、上述の回転受信アンテナ装置12−1の制御監視と同様に制御でき、操作端末13−10、制御端局13−9、および被制御端局12−5と、制御装置(受信部12−2、32−2、素材切替部32−9、送信部12−3)間の一連の信号伝達によって制御監視することができる。
【0030】
この時、移動送信体との距離に対して、各回転受信アンテナ12−1の設置位置と32−1の設置位置間の距離が十分に小さければ、各回転受信アンテナ12−1および32−1からみた移動送信体への角度(アンテナ方向)は、ほぼ等しいと考えることができる。つまり、移動送信体が、一方の回転受信アンテナに照準を合わせて送信している場合にも、他方の回転受信アンテナでも、間に障害物がなければ、十分に電波を受信可能である。
また、例えば、各回転受信アンテナが全く異なる位置に設置されている場合においては、移動送信体が各々のアンテナにそれぞれ照準を合わせ(例えば周波数を別の周波数にするなどして)同時に送信することによって、それぞれの回転受信アンテナで同時に受信することが可能となる。これら、複数のアンテナが同時に同一の信号(電波)を受信している場合において、図3の実施例では、一方の回転受信アンテナ12−1が旋回不可能または電波の受信が不可能のどちらか一方となり受信映像信号が破綻し正常受信不可能となる状況を考える。この時、他方の回転受信アンテナ32−1では、その後想定される移動送信体の移動方向に十分旋回可能でかつ電波の受信が可能であり受信映像信号が破綻を起こさず正常受信が可能とする。
【0031】
当該システムでは、回転受信アンテナ12−1がまだ旋回可能な範囲では、受信部12−2および受信部32−2は、どちらも、回転受信アンテナが受信した信号を受信し、素材切替部32−9に出力している。つまり、素材切替部32−9は、入力信号レベルは異なるが、全く同一の信号が2素材伝送されてきていることが分かる。
この状況において、もし素材切替部32−9が、後に旋回不可能または電波の受信が不可能となる回転受信アンテナに接続する受信部の信号を出力としていた場合には、旋回が不可能な状態若しくは電波の受信が不可能な状態の少なくともどちらか一方の状態となった瞬間に受信映像信号が破綻する。
【0032】
本発明の一実施例では、このような状況(破綻)を回避するため、例えば図3において、予め認識している各回転受信アンテナの旋回可能範囲の角度限界θoutに到達する前の(一定の角度余裕を考慮した)所定の角度θthを被制御端局12−4に予め登録し、アンテナ角度を被制御端局12−4により周知の技術で監視し、当該回転受信アンテナが登録された角度に到達した時に、システム内の被制御端局12−4によって、連動するもう一方の回転受信アンテナに接続する受信部の信号に自動的に切り替える。または、当該回転受信アンテナが登録された角度に到達した時に、素材切替部が現在出力している素材の電波と他の回転受信アンテナが受信している素材の電波との合成ダイバーシチ受信の信号に自動的に切り替える。
合成ダイバーシチは、誤り訂正符号と受信電波の最大比合成ダイバーシチ受信を有機的に結合した符号合成ダイバーシチ受信が好ましいが、受信電波の選択合成、等利得合成、最大比合成等、他の合成ダイバーシチでも効果を発揮する。このように、合成ダイバーシチを行う回転受信アンテナを自動的に切り替えても良い。
このとき、切り替えに伴うショック(映像破綻)が懸念されるが、シームレスな切り替え機能を具備する素材切替部として、当該素材切替部が、多少の期間内をFS機能(フレーム同期)および信号のバッファリング機能により破綻無しに処理することでシームレスな切り替えを実現する。
【0033】
図8は、本発明の受信システムの回転受信アンテナの動作の一実施例を説明するための図である。21は建造物、12−1、12−2、22−3および22−4は基地局12の回転受信アンテナ、23−1は回転受信アンテナ12−1の旋回可能範囲(受信可能範囲)、23−2は回転受信アンテナ12−2の旋回可能範囲、24は複数の回転受信アンテナで受信可能な共通受信可能角度範囲、81は時刻t0での移動送信体の位置、82は時刻t1での移動送信体の位置、83は時刻t2での移動送信体の位置、88は時刻t0から時刻t1までの間に移動送信体が位置81から位置82まで移動した軌跡、89は時刻t1から時刻t2までの間に移動送信体が位置82から位置83までが移動した軌跡、81−1と82−1は回転受信アンテナ12−1の向き(旋回角度)を示す矢印、81−2と82−2は回転受信アンテナ32−1の向き(旋回角度)を示す矢印、81−3と82−3は回転受信アンテナ22−3の向き(旋回角度)を示す矢印、81−4と82−4は回転受信アンテナ22−4の向き(旋回角度)を示す矢印である。説明の都合上、回転受信アンテナ12−1の向き(旋回角度)を示す矢印81−1は、回転受信アンテナ12−1の初期化時の向き(旋回角度)と同じ(角度θ=0[°])としている。また、85は回転受信アンテナ12−1の旋回可能範囲の角度限界までの角度θout、84は矢印81−1と矢印82−1間の角度で、角度限界θoutに到達する前の(一定の角度余裕を考慮した)予め登録された所定の角度θthである。
【0034】
図8において、建造物21の四辺には、図2と同様に、回転受信アンテナ12−1、32−1、22−3、および22−4が設けられ、それぞれの回転受信アンテナは、時刻t0には、移動送信体の位置81の方向(矢印81−1、81−2、81−3、および81−4)を向いている。この位置81にある移動送信体が送信する素材は、時刻t0現在、回転受信アンテナ12−1が受信している素材の電波が基地局12から本社13に送信され、本線信号となっている(図3参照。)。そして、時刻t1には、移動送信体は、位置82に移動している。さらに移動送信体は、時刻t3には、位置83に移動し、さらにその延長軌道上を移動すると旋回可能範囲23−1から外れ、回転受信アンテナ12−1では受信できない。
そこで、図3と図8の実施例では、予め認識している各回転受信アンテナの旋回可能範囲の角度限界θoutに到達する前の(一定の角度余裕を考慮した)所定の角度θthを予め登録し、アンテナ角度を被制御端局12−4により周知の技術で監視し、当該回転受信アンテナが登録された角度に到達した時に、システム内の被制御端局12−4によって、自動的にもう一方の回転受信アンテナに接続する受信部の信号に自動的に切り替える。
【実施例2】
【0035】
なお、図3と図8の実施例に加え、片方の回転受信アンテナ12−1に接続する受信部12−2の受信状態が、例えば、フェージング等によって悪化してしまう状況を考える。ここでの受信状態とは、例えば受信電界レベル、マージンレベル、BER、MER、遅延プロファイルの算出評価値、コンスタレーションの評価値等、種種の評価手法を適用する。この時、もう一方の回転受信アンテナ32−1に接続する受信部32−2の受信状態は、良好であるとする。当該システムにおいて、受信部12−2が所定の受信レベルを維持している場合には、回転受信アンテナ12−1および32−1を介して、受信部12−2および受信部32−2は、両者共、信号(素材)を受信している。そして、素材切替部32−9には、受信部12−2と受信部32−2の両者から同じ信号が入力されてきている。
この状況において、もし素材切替部32−9の出力が、後刻、状態悪化する受信部12−2の信号であった場合には、受信信号が一定レベルLf以上悪化した(一定レベルLf以下に低下した)瞬間に信号が破綻して、素材の再生ができなくなってしまう。
【0036】
本発明では、この状況を回避するため、例えば図3において、予め認識している各受信部12−2および32−2の受信設定に応じた当該受信状態評価指標における所定の(破綻レベルより多少余裕のレベルLmを考慮した)レベルを被制御端局12−4に予め登録しておく。即ち、予め、受信部12−2および32−2に入力される受信信号が所定のレベルLt(ただし、Lt=Lf+Lmである)を被制御端局12−4に予め登録する。
そして、被制御端局12−4は、素材切替部32−9の出力となっている受信部12−2(アンテナは、回転受信アンテナ12−1)が予め登録されたレベルLt以下に低下した時には、素材切替部32−9を制御して、自動的にもう一方の受信部32−2の信号にシームレスに切り替える。なお、切り替え可能な回転受信アンテナおよび受信部の組み合わせが2式以上ある場合には、信号レベルの高い回転受信アンテナおよび受信部の方に切り替える。
【0037】
この結果、破綻が発生する前に、被制御端局12−4が素材切替部32−9を制御して、破綻の発生する恐れのない信号レベルの高い回転受信アンテナおよび受信部にシームレスに切り替えることができる。
【実施例3】
【0038】
本発明の別の実施例を、図4によって説明する。図4は、本発明の受信システムの一実施例で、FPUを用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図であって、本発明に係る複数架台による本社側シームレス信号切り替えシステム例である。
基地局42は、回転受信アンテナ12−1、受信部12−2、送信部12−3、および送信用の固定アンテナ12−6と、回転受信アンテナ32−1、受信部32−2、送信部42−3、および送信用の固定アンテナ42−6と、被制御端局12−4と、変復調部12−5とを備える。また、本社43は、受信用の固定アンテナ13−1および受信部13−2と、受信用の固定アンテナ43−1および受信部43−2と、素材切替部43−4および復号部13−5とを備える。なお、図4の実施例において、本社43では、情報生成部13−6、情報編集部13−7、変復調部13−8、制御端局13−9、操作端末13−10、ネットワーク13−11を省略し、図示していない。
【0039】
図4に示すように、移動送信体から伝送される素材を、回転受信アンテナ12−1と42−1は、それぞれ受信し、それぞれ、受信部12−2と32−2に出力する。
受信部12−2と32−2は、それぞれ、マイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、さらにSDI信号へ復号し、送信部12−3、42−3に出力する。ただし、基地局42内の受信部12−2、32−2では、最低限信号劣化のないTS信号へ変換する機能があれば良い。
送信部12−3と42−3は、それぞれ、入力されたTS信号を固定アンテナ12−6または42−6から電波として送信する。受信部12−2および32−2と同様、基地局12内の送信部12−3および32−3は、最低限TS信号をマイクロ波帯へ変換する機能があれば良い。
本社43の固定アンテナ13−1および43−1は、それぞれ、基地局42から送信された電波を受信し、受信部13−2、43−2に出力する。受信部13−2、43−2は、入力されたマイクロ波帯の信号をそれぞれ、中間周波数帯の信号に周波数変換し、素材切替部43−4に出力する。
素材切替部43−4は、図示しない制御端局13−9の制御により、自動的にもう一方の受信部13−2または43−2のいずれかの信号にシームレスに切り替える。なお、切り替え可能な基地局42の回転受信アンテナ−受信部−送信部−固定アンテナ、および本社43の固定アンテナ−受信部、の組み合わせが2式以上ある場合には、信号レベルの高い回転受信アンテナの方に切り替える。素材切替部43−4から出力された信号は、復号部13−5に入力され、SDI信号へ復号され、本線へ送られる。
【0040】
図4の実施例のように、基地局42側に送信部42−3と送信固定アンテナ42−6、本社43側に受信固定アンテナ43−1と受信部43−2を備えることにより、素材切替部43−4を本社43側に移行させるようにしても良い。
即ち、実施例1と同様に、図4において、予め認識している各回転受信アンテナの旋回可能範囲の角度限界θoutに到達する前の(一定の角度余裕を考慮した)所定の角度θthを被制御端局12−4に予め登録し、アンテナ角度を被制御端局12−4により周知の技術で監視し、当該回転受信アンテナが登録された角度に到達した時に、システム内の被制御端局12−4によって、自動的にもう一方の回転受信アンテナに接続する受信部の信号に自動的に切り替える。
なお、素材切替部43−4の制御は、例えば、被制御端局12−4が、切り替え前の送信部12−3のTSストリームに付加する支援データに、出力信号に切り替え終了コマンドの添付させ、次に切り替える送信部42−3のTSストリームに付加する支援データに、出力信号に切り替え開始コマンドの添付させる。本社43では、素材切替部43−4がそのコマンドを受信して、シームレスにその出力を切り替える。
【実施例4】
【0041】
図4において、さらに、実施例3に加え、実施例2を実施することで、受信状態が、フェージング等によって悪化してしまう状況についても対処できる。
【実施例5】
【0042】
本発明の別の実施例を、図5によって説明する。図5は、本発明の受信システムの一実施例で、FPUを用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図であって、本発明に係るSDI信号でのシームレス切り替えシステム例である。
図4の実施例において、素材切替部43−4が、本社43の受信部13−2の出力と43−2の出力と復号部13−5の間に設けられていたのに対し、図5の実施例は、回転受信アンテナの角度情報によって、切り替える素材切替部53−4が、本社43の復号部13−5および53−5の後段に設けられているものである。また、回転受信アンテナの角度情報に加え、実施例2を実施することで、受信状態が、フェージング等によって悪化してしまう状況についても対処できる。
図5の実施例のように、シームレスな切り替え信号については、前述した図3〜図4の実施例のように、TS信号の時点で行う以外にも、図5に示すように、復号部12−5または53−5の出力後のSDI信号の状態で行うことも可能である。
【実施例6】
【0043】
本発明の別の実施例を、図6によって説明する。図6は、本発明の受信システムの一実施例で、FPUを用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムの構成を示すブロック図であって、本発明に係るIP及び光回線を用いたシステム例である。
図6の基地局62において、回転受信アンテナ12−1および32−1、受信部32−1および32−2、被制御端局12−4、並びに変復調部12−5の動作は、図3乃至図5と同様である。また、図6の本社63において、復号部13−5および53−5から後段の動作は、図5と同様である。図6は、図5の実施例と異なり、基地局から本社に送信するデータを光通信で行うものである。
例えば、受信部12−2は、回転受信アンテナ12−1の素材の信号をマイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、SDI信号へ復号し、IP変換部62−31に出力する。IP変換部62−31は、入力された信号をIP変換して、光変換部62−6に出力する。また、受信部32−2は、回転受信アンテナ32−1の素材の信号をマイクロ波帯の信号を中間周波数帯の信号に周波数変換し、TS信号に復調し、SDI信号へ復号し、IP変換部62−32に出力する。IP変換部62−32は、入力されたTS信号をIP変換して、光変換部62−6に出力する。
【0044】
光変換部62−6は、入力された信号を光変換して、光ケーブルを介して本社63の光変換部63−1に送信する。光変換部63−1は、受信した光データを電気信号に変換して、該当するIP変換部63−21または63−22に出力する。IP変換部63−21は、入力された信号をTS進法に変換して復号部13−5に出力する。復号部13−5は、入力された信号をSDI信号に変換して素材切替部53−4に出力する。同様に、IP変換部63−22は、入力された信号をTS進法に変換して復号部53−5に出力する。復号部53−5は、入力された信号をSDI信号に変換して素材切替部53−4に出力する。
素材切替部53−4の動作は、図5の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0045】
図6に示したように、基地局と本社間の信号伝送形態は、IP変換部及び、光変換部を通じてTS信号、または基地局内でデコードしたSDI信号を伝送する形式等様々な形態に適応できる。勿論、IP網を通じた形態、またはTS,SDI信号を直接光に変換するような形態でも構わない。
【実施例7】
【0046】
図7は、本発明の受信システムの回転受信アンテナの一実施例を説明するための図である。図4や図8では、建造物21の四辺に回転受信アンテナを設けた例を示したが、図7の実施例のように、建造物21のコーナー部に回転受信アンテナ22−1および22−4を配置した。このよう配置したことにより、1つの回転受信アンテナの受信可能角度範囲が広がり、設置する回転受信アンテナの数を減らすことができる。その上、制御も容易になる。
【0047】
また、図4および図8の本発明の実施例では、建造物の断面が四角形であった。しかし、四角形である必要はなく、5角形以上の多角形でも良い。また円形や3角形でも良い。またさらに、回転受信アンテナを各辺に設ける必要もなく、コーナに設ける必要もない。本発明の回転受信アンテナの配置の条件は、少なくとも2台以上の回転受信アンテナで1つの移動送信体からの素材の電波を受信できるように、配置することである。例えば、円形の水平断面を有する建造物の4箇所に回転受信アンテナを設置しても良い。また例えば、3角形の水平断面を有する建造物の3箇所に回転受信アンテナを設置しても良い。
【0048】
さらに、図3〜図8の実施例では、本発明の素材切替部は、回転受信アンテナの受信する素材の電波を、いずれか1台の回転受信アンテナが受信する素材の電波に切り替えている。しかし、共通受信可能範囲が、3台以上の回転受信アンテナに渡っている場合には、本発明の素材切替部を合成ダイバーシチ動作に切り替えるようにしても良い。
【0049】
またさらに、回転受信アンテナが3台以上設置されている受信システムの場合には、別の移動送信体から送信された素材の電波を受信している手動設定の非連動の回転受信アンテナを切り替え対象から除いて、連動の回転受信アンテナの入力を切り替えるようにしても良い。
【0050】
上記実施例1〜実施例7によれば、旋回が限定的なアンテナを複数用いることにより、移動体受信においても周囲一帯からの送信電波をシームレスに受信することが可能となる。総じて、本システムの機能性を大幅に拡張させる格別の効果を奏する。
【符号の説明】
【0051】
11:送信点A、 11−1:送信部、 11−2:アンテナ、 12:基地局、 12−1:回転受信アンテナ、 12−2:受信部、 12−3:送信部、 12−4:被制御端局、 12−5:変復調部、 12−6:固定アンテナ、 13:本社、 13−1:固定アンテナ、 13−2:受信部、 13−3:回転受信アンテナ、 13−4:受信部、 13−5:復号部、 13−6:情報生成部、 13−7:情報編集部、 13−8:変復調部、 13−9:制御端末、 13−10:操作端末、 13−11:ネットワーク、 14:送信点B、 14−1:送信部、 14−2:アンテナ、 15:ネットワーク、 21:建造物、 22−1〜22−4:回転受信アンテナ、 23:受信可能角度範囲、 24:共通受信可能角度範囲、 32:基地局、 32−1:回転受信アンテナ、 32−2:受信部、 32−9:素材切替部、 42:基地局、 42−3:送信部、 42−6:固定アンテナ、 43:本社、 43−1:固定アンテナ、 43−2:受信部、 43−4:素材切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動送信体から送信される素材の電波を追尾して受信するための複数の旋回可能な回転受信アンテナと、当該回転受信アンテナそれぞれの受信した電波を所定の周波数帯の信号に変換する複数の第1の受信部と、当該複数の第1の受信部から出力された信号のいずれかを選択して出力する素材切替部と、前記回転受信アンテナの旋回角度を検出し、旋回角度に応じて前記素材切替部が出力する信号を切り替え制御する制御部とを備えた受信装置であって、
前記制御部は、前記素材切替部が現在出力している素材の電波を受信している回転受信アンテナの旋回角度が、受信可能角度範囲外となる前の所定の角度となった場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している前記素材の電波の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
移動送信体から送信される素材の電波を追尾して受信するための複数の旋回可能な回転受信アンテナと、当該回転受信アンテナそれぞれの受信した電波を所定の周波数帯の信号に変換する複数の第1の受信部と、当該複数の第1の受信部から出力された信号のいずれかを選択して出力する素材切替部と、当該素材切替部が出力した信号を無線伝送可能な形式に変換する送信部と、当該送信部が変換した信号を送信する第1の固定アンテナと、前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを検出し、検出した旋回角度および受信レベルに応じて前記素材切替部が出力する信号を切り替え制御する制御部とを有する受信装置、および、前記第1の固定アンテナから送信された電波を受信する第2の固定アンテナと、当該第2の固定アンテナが受信した信号をTS信号に変換して出力する第2の受信部と、当該TS信号を本線信号として出力する復号部とを有する固定局を備え、
前記受信装置の前記制御部は、検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを当該TS信号に重畳するTS重畳部、並びに前記検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルをネットワークに送信する第1変復調部を具備し、少なくとも、前記検出した前記回転受信アンテナの旋回角度および受信レベルを当該TS信号を介して前記固定局に送信するか、または前記ネットワークを介して前記固定局に送信とするか、の一方を行う受信システムであって、
前記受信装置の前記制御部は、前記素材切替部が現在出力している素材の電波を受信している回転受信アンテナの旋回角度が、受信可能角度範囲外となる前の所定の角度となった場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している前記素材の電波の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御することを特徴とする受信システム。
【請求項3】
請求項2記載の受信システムにおいて、
前記固定局は、さらに、前記第2の受信部が出力するTS信号から支援データを分離する情報生成部と、当該支援データを編集する情報編集部と、該編集された支援データから受信レベルを監視し、所定のレベル以下に低下した場合には制御信号を出力する制御端末と、該制御信号を変調して前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する第2変復調部とを具備し、
前記受信装置の前記第1変復調部は、さらに、前記ネットワークから送信された前記制御信号を受信し、
前記受信装置の前記制御部は、前記制御信号に基づいて、前記素材切替部が現在出力している素材の電波の受信状態評価値が所定のレベル以下に低下した場合には、他の回転受信アンテナが受信している前記素材の電波の出力に切り替えるか、または前記素材切替部が現在出力している前記素材の受信と他の回転受信アンテナが受信している前記素材の受信との合成ダイバーシチ受信に切り替えるように前記素材切替部を制御することを特徴とする受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−9253(P2013−9253A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141866(P2011−141866)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】