説明

受信装置および受信方法

【課題】送受信できる帯域幅が限られた通信相手に対しても、直流成分におけるオフセットの影響を与えずに無線送信を行なう。
【解決手段】受信装置の使用可能帯域幅に基づき送信装置が決定する1つ又は連続する複数の周波数チャネルに配置された複数のサブキャリアを用いて送信装置から送信される、受信装置へのデータを含むデータ信号部を有するOFDM信号であって、データ信号部の送信に用いる複数のサブキャリアには、受信装置の使用可能帯域幅に基づき送信装置が決定する、データを割当られない第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアが含まれるOFDM信号を受信するように構成される受信回路と、受信回路が受信したOFDM信号のデータ信号部からデータを復調する際に、第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いないように構成される信号処理部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信スロットを用いてマルチキャリア伝送方式で無線送信を行なう通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、10Mbpsから100Mbpsの伝送レートをターゲットにしたブロードバンドワイアレスインターネットアクセスを実現するための標準化が進められており、様々な技術が提案されている。高速な伝送レートの無線通信を実現するために必要となる要件は、周波数利用効率を高めることである。伝送レートと使用する帯域幅とは比例関係にあるので、伝送レートを上げるには、利用する周波数帯域幅を広げることが単純な解決策である。しかしながら利用できる周波数帯域は逼迫しており、新たな無線通信システムが構築される上で十分な帯域幅が割り当てられることは考えにくい。従って、周波数利用効率を高めることが必要となる。また、別の要求としては、携帯電話のようなセルで構成される通信エリアにおけるサービスを実現しつつ、無線LANのようなプライベートエリア(孤立セル)でのサービスもシームレスに提供することである。
【0003】
これらの要求を満たす可能性を持った技術に1セル繰り返しOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)という技術がある。これは、セルで構成される通信エリアおいて、すべてのセルにおいて同じ周波数帯を用いて通信を行ない、通信する際の変調方式がOFDMである。もちろん、孤立セルでは、セルエリアと共通の無線インターフェースを持ちながら、より高速なデータ通信が実現できる通信方式である。
【0004】
以下、OFDMAの要素技術であるOFDMについて説明する。OFDMは、5GHz帯の無線システムであるIEEE802.11aや、地上ディジタル放送で用いられている方式である。OFDMは数十から数千のキャリアを、理論上干渉の起こらない最小となる周波数間隔に並べ同時に通信する方式である。通常、OFDMにおいて、このキャリアをサブキャリアと呼び、各サブキャリアがPSK(位相変調)、QAM(振幅変調)等のディジタル方式で変調されて通信が行なわれる。さらに、OFDMは、誤り訂正方式と組み合わせることにより、周波数選択性フェージングに強い変調方式と言われている。
【0005】
変復調の回路構成について、図を用いて説明する。ここで、OFDMに使用されるサブキャリア数は768波として説明を具体化している。
【0006】
図6は、OFDMの変調回路の概略構成を示すブロック図である。図6に示す変調回路は、誤り訂正符号部501、シリアル/パラレル変換部(S/P変換部)502、マッピング部503、IFFT部504、パラレル/シリアル(P/S変換部)505、ガードインターバル挿入部506、ディジタル/アナログ変換部(D/A変換部)507、無線送信部508、アンテナ509から構成されている。送信される情報データは、誤り訂正符号部501において、誤り訂正符号化が施される。各キャリアの変調方式がQPSK(4相位相変調)の場合、1OFDMシンボルを生成するために、2x768=1536ビットが誤り訂正符号化回路から出力される。その後、S/P変換部502において、2ビットずつ、768系統のデータとしてマッピング部503に入力され、マッピング部503において各キャリアに変調が施される。その後、IFFT部504においてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)が施される。768波のOFDM信号を生成する場合、通常使用されるIFFTのポイント数は1024である。
【0007】
IFFT部504では、マッピング部でf(n)(ただしn=0〜1023の整数)にデータが割り振られ、t(n)というデータが出力されることになる。1024ポイントのIFFT入力に対して、本例では768しかデータが入力されないので、その他のデータについては、0(実部、虚部とも)が入力される。通常f(0)、f(385)〜f(639)が、0入力に相当する。その後、P/S変換部505において、シリアルデータに変換された後、ガードインターバル挿入部506において、ガードインターバルが挿入される。ガードインターバルはOFDM信号を受信する際、シンボル間干渉を低減させるために挿入される。ガードインターバルを使用しない場合、IFFT出力のt(n)をt(0)、t(1)、…、t(1023)の順番で出力され、これらがOFDMのシンボルを形成する。ガードインターバルを使用する場合は、IFFTの出力の後半部を、ガードインターバル長に応じて、出力することになる。ガードインターバル長が通常のOFDMシンボルの1/8とした場合、t(896)、t(897)、…、t(1023)、t(0)、t(1)、…、t(1023)の順番で出力されることになる。その後、データはD/A変換部507でアナログ信号に変換された後、無線送信部508において、送信するべき周波数に変換された後、アンテナ509よりデータが送信される。
【0008】
図7に、D/A変換後のOFDM信号の、スペクトルの模式図とD/A変換後の時間波形の模式図、および、スペクトルを送信帯域に周波数変換したものを示す。図中のf(n)とt(n)は各々、先の説明で示したものと同じである。
【0009】
通常OFDM信号を送受信する場合、ベースバンド処理において、全帯域の中心をDCとして扱うと、最もA/D変換器、D/A変換器のサンプリング周波数が小さくてすみ、効率的であることは知られている。しかし、OFDMの場合、先にも示したようにDC成分、即ち、f(0)に相当するキャリアにはデータを割り当てないのが通常である。このため図7においても、DC成分の電力は0として、描かれている。DC成分に変調を行なうことは、理論上はもちろん可能であるが、DC成分は送受信機におけるノイズ(回路のDC成分におけるオフセットの影響)を受けやすいため、特性が他のサブキャリアと比べて劣化が激しい。このためDC成分のサブキャリアには変調を施さないシステムが殆どである。
【0010】
例えば、特開平10−276165や特開平11−154925にこのDCオフセットの影響について、および、DCオフセットの除去方法が記載されている。
【0011】
図8は、OFDMの復調回路の概略構成を示すブロック図である。基本的に受信部では送信部と逆の操作が行なわれる。図8に示す復調回路は、誤り訂正復号部701、パラレル/シリアル変換部(S/P変換部)702、伝搬路推定デマッピング部703、FFT部704、シリアル/パラレル(P/S変換部)705、ガードインターバル(GI)除去部706、OFDMシンボル同期部707、アナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)708、無線受信部709、アンテナ710から構成されている。アンテナ部710で受信された電波は、無線受信部709でA/D変換が可能な周波数帯域まで周波数が変換される。
【0012】
A/D変換部708でディジタル信号に変換されたデータは、OFDMシンボル同期部707において、OFDMのシンボル同期が取られる。シンボル同期とは連続してくるデータからOFDMシンボルの境界を判定することである。シンボル同期が取られたデータをt’(n)であらわす。通信にマルチパスやノイズが全くない場合はt’(n)=t(n)となる。ガードインターバル除去部706においてガードインターバルが除去される。従ってガードインターバル除去後はt’(m)(ただしm=0〜1023の整数)が抽出されていることになる。その後、S/P変換部705において、1024のデータにパラレル変換される。その後FFT部704において、1024ポイントのFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)が行なわれ、f’(m)が伝搬路推定デマッピング部703に出力される。ただし、送信時にm=0およびm=385〜639には変調が施されていないため、それらに対応するf’(m)はデマッピング部には入力されない。伝搬路推定デマッピング部703において、768波の伝搬路推定を含めたサブキャリアの復調が行なわれる。データがP/S変換部702においてシリアル化され、誤り訂正復号部701において、誤り訂正が行なわれ、送信データが復調される。
【0013】
次に、OFDMAについて上述のOFDMに基づいて説明する。OFDMAとは、周波数軸、時間軸で2次元のチャネルを形成し、フレーム中に通信するためのスロットを2次元に配置し、移動局が基地局に対してそのスロットを利用してアクセスする方式である。図9は、OFDMAの2次元のフレーム構成を示す図である。本図において縦軸が周波数、横軸が時間である。四角の1つがデータ伝送に用いるスロットであり、斜線の入った四角が、基地局が全移動局に対して報知情報を送信する制御スロットである。この図の場合、1フレーム中には、時間方向に9スロット、周波数方向に12スロットあることを意味しており、計108スロット(内12スロットは制御スロット)が存在していることを意味している。形式上、スロットを(Ta、Fb)で表し、時間軸方向のスロットTa(aは1から9の自然数)、周波数軸方向のスロットをFb(bは1から12の自然数)としている。例えば図9における網掛けのスロットは(T4、F7)となる。
【0014】
なお、明細書では、周波数方向に構成される12スロットを時間チャネルと呼び、時間方向に構成される9スロットを周波数チャネルまたはサブチャネルと呼称する。
【0015】
周波数チャネルに対しては、OFDMのサブキャリアを分割して割り振ることになる。OFDMのサブキャリアを768と仮定しているため、12スロットに等分割すると、1チャネルあたり、64のサブキャリアが割り振られることになる。ここでは、実際に通信する帯域でのスペクトルの小さいほうから便宜上サブキャリアを割り当てることとし、F1にサブキャリアf640〜f703、F2にサブキャリアf704〜f767、…、F6にサブキャリアf960〜f1023、F7にサブキャリアf1〜f64、F8にサブキャリアf65〜f128、…、F12にサブキャリアf321〜f384が割り振られることとする。
【0016】
基地局(AP)から移動局(MT)に対する通信を考える。APがMTにデータを15スロット割り当てる場合、いろいろな場合が考えられるが、図9の縦線で示されるスロットにデータを割り当てるとする。即ち(T2〜T4、F1)、(T5〜T8、F4)、(T2〜T9、F11)にMTが受信すべきデータを割り当てることになる。また、APがMTにデータを割り当てたことを示すため、使用する周波数の制御スロットに割り当てたことを示すデータを埋め込む必要がある。この例の場合(T1、F1)、(T1、F4)、(T1、F11)がこの制御スロットに相当する。
【0017】
OFDMA方式は、上述したことを基本に、複数の移動局が周波数と時間を変えて基地局とデータの送受信するシステムである。図9においては便宜上、スロットとスロットの間に隙間があるように表現したが、隙間の有無については大きな意味はない。
【0018】
図10は、OFDMAに用いる無線送信機の概略構成を示すブロック図であり、図11は、OFDMAに用いる受信回路の概略構成を示すブロック図である。図10に示す送信回路は、データマルチプレックス部901を有しており、誤り訂正符号部902と、S/P変換部903と、マッピング部904とは、チャネル数分(1〜12)に分割されている。IFFT部905、P/S変換部906、GI挿入部907、D/A変換部908、無線送信部909、そしてアンテナ910は、それぞれ、図6に示したIFFT部504、パラレル/シリアル(P/S変換部)505、ガードインターバル挿入部506、ディジタル/アナログ変換部(D/A変換部)507、無線送信部508、アンテナ509と同様の機能を果たす。
【0019】
図10において、データマルチプレックス部901は、情報データを送信するパケット単位で12の系列に分離する。即ちこのマルチプレクサ901において、ここには図示にないCPU等のモジュールにより指定されるOFDMAのスロットを物理的に指定していることになる。その後、チャネル数分の誤り訂正符号部902で誤り訂正符号を施し、チャネル数分のS/P変換部903で64系統に分離され、チャネル数分のマッピング部904で各キャリアに変調が施され、IFFT部905にてIFFT処理が行われる。その後の操作は図6で説明した操作と同じである。
【0020】
図11に示す受信回路は、データデマルチプレックス部101を有しており、誤り訂正復号部102、パラレル/シリアル変換部(P/S変換部)103、伝搬路推定デマッピング部104がそれぞれチャネル数分(1〜12)に分割されている。FFT部106、GI除去部107、同期部108、A/D変換部109、無線受信部110、そしてアンテナ部111は、それぞれ、図8に示すFFT部704、シリアル/パラレル(P/S変換部)705、ガードインターバル(GI)除去部706、OFDMシンボル同期部707、アナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)708、無線受信部709、アンテナ710と同様の機能を果たす。図8に示した受信回路と同様に、受信された電波はFFT処理されて、12系統データ毎に伝搬路推定、デマッピング、誤り復号処理が行われ、データデマルチプレックス部101に入力される。データデマルチプレックス部101において、情報データに処理され、出力される。
【0021】
なお、ここで示した変復調処理はあくまでも一例である。特に、ブロック数等、チャネル数分、即ち12個ずつ示しているが、これに限るものではない。また、特開平11−346203には、OFDMA伝送装置について、その基本構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平10−276165号公報
【特許文献2】特開平11−154925号公報
【特許文献3】特開平11−346203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
OFDMAにより通信を行なう場合、移動局は様々な能力を持つ端末が接続されると考えられる。その一つが低消費電力対応の端末である。このような端末は、多少の送受信の能力は犠牲にしても、消費電力を削減し、より携帯に適するように構成される。OFDMAの端末の低消費電力化として考えられる方法は、送受信できる帯域幅を狭め、アクセスできる周波数チャネルを限定する方法が考えられる。アクセスできる周波数チャネルを限定することは、伝送レートが下がり、また、伝搬路状態が良いチャネルを選択できないといったデメリットがある反面、処理速度、例えばA/D変換器のサンプリング周波数やロジックの処理速度が軽減できるメリットがあり、その結果、低消費電力化を図ることが可能となる。
【0024】
上述したように、従来のOFDMAの送受信装置は、受信端末がすべての帯域を受信し処理することを前提としている。従って、送信装置においては全帯域の中心となるDC成分(f(0))のサブキャリアを使用しない方式を採っている。この状態で、1つの帯域しか受信できない端末がアクセスした場合を検討する。このような端末は、アナログフィルタ等で、受信したい帯域をフィルタリングする。例えば、図9におけるF2(サブキャリア番号としてはf(65)からf(128))のスロットのみを受信する場合、F2をフィルタリングにより抜き出し、この帯域の中心であるf(96)あるいはf(97)を中心周波数として扱うことになる。なお、ここで示したf(96)およびf(97)の選択については、特に意味はない。
【0025】
送信装置においては、従来それらのサブキャリアにも他のサブキャリアと同様に変調を加えているので、特性が悪いにも関わらす、受信端末はそのサブキャリアを復調しなくてはならない。従って、特性の劣化がおこり、受信スロットに誤りが発生し、再送が起こるなどシステム全体のスループットの低下につながるといった問題があった。このような問題は、上記のように、1つの帯域しか受信できない端末のみならず、更に2つの帯域しか受信できない端末等、様々な端末に関わる問題である。
【0026】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、送受信できる帯域幅が限られた通信相手に対しても、直流成分におけるオフセットの影響を与えずに無線送信を行なうことができる無線送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る通信方法は、OFDM信号を使用して複数の異なる端末が同一の時間に通信を行なう通信方法において、送信端末は、アクセス単位の周波数帯域である通信スロット内で、送信端末および受信端末相互間で既知の特定のサブキャリアに対して、最小の送信電力を割り当てて送信し、受信端末は、受信信号に対し前記特定のサブキャリアの周波数が直流電位に相当するとして周波数変換を行ない、アナログ/ディジタル変換器によりディジタル信号に変換し、データを復調することを特徴としている。
【0028】
このように、アクセス単位の周波数帯域である通信スロット内で、送信端末および受信端末相互間で既知の特定のサブキャリアに対して、最小の送信電力を割り当てて送信するので、通信相手がどのような帯域幅を使用していても直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0029】
(2)また、本発明に係る通信方法は、OFDM信号を使用して複数の異なる端末が同一の時間に通信を行なう通信方法において、受信端末は、受信した信号を周波数変換し、アナログ/ディジタル変換器へ入力する際、直流電位に相当するサブキャリアの周波数がデータ通信に使用できるかどうかに関する情報を、送信端末に通知し、前記送信端末は、前記通知された情報が直流電位に相当するサブキャリアの周波数がデータ通信に使用できないことを示す場合に、前記サブキャリアに対して最小の送信電力を割り当てて送信することを特徴としている。
【0030】
このように、送信端末は、受信端末から通知された情報が直流電位に相当するサブキャリアの周波数がデータ通信に使用できないことを示す場合に、そのサブキャリアに対して最小の送信電力を割り当てて送信するので、受信端末において直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0031】
(3)また、本発明に係る通信方法は、OFDM信号を使用して複数の異なる端末が同一の時間に通信を行なう通信方法において、受信端末は、受信した信号を周波数変換し、アナログ/ディジタル変換器へ入力する際、直流電位に相当するサブキャリアの周波数に関する情報を、送信端末に通知し、前記送信端末は、前記通知された周波数のサブキャリアに対し、前記周波数帯域のサブキャリアに対して最小の送信電力を割り当てて送信することを特徴としている。
【0032】
このように、送信端末は、受信端末から通知された周波数のサブキャリアに対して最小の送信電力を割り当てて送信するので、受信端末において直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0033】
(4)また、本発明に係る通信方法において、前記最小の送信電力は、0であることを特徴としている。
【0034】
このように、最小の送信電力は、0であるので、直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0035】
(5)また、本発明に係る通信方法において、前記送信端末および受信端末相互間で既知の特定のサブキャリアは、前記通信スロットの中心周波数であることを特徴としている。
【0036】
このように、既知の特定のサブキャリアは、通信スロットの中心周波数であるので、受信端末が通信スロットの中心周波数を受信処理における直流成分に割り当てることによって、直流成分によるオフセットの影響を回避することが可能となる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0037】
(6)また、本発明の通信方法において、前記送信端末および受信端末相互間で既知の特定のサブキャリアは、前記通信スロットの最大周波数または最小周波数のいずれか一方であることを特徴としている。
【0038】
このように、既知の特定のサブキャリアは、通信スロットの最大周波数または最小周波数のいずれか一方であるので、受信端末が使用する帯域幅において、直流成分となり得るサブキャリア、または中心周波数に該当するサブキャリアを容易に特定することが可能となる。すなわち、通信スロット内に偶数のサブキャリアが含まれている場合は、最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを除外する(変調データの割り当てを行なわない)ことによって、サブキャリア数を奇数とし、中心周波数に該当するサブキャリアを特定することができる。また、最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを除外する(変調データの割り当てを行なわない)ことによって、複数の周波数チャネルを使用する場合でも、直流成分となるサブキャリアまたは中心周波数に該当するサブキャリアには変調データの割り当てが行なわないようにすることができるので、通信相手がどのような帯域幅を使用していても直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0039】
(7)また、本発明に係る通信方法において、前記送信端末は、最小の送信電力を割り当てるサブキャリアに対しては情報データの割り当てを行なわないことを特徴としている。
【0040】
このように、最小の送信電力を割り当てるサブキャリアに対しては情報データの割り当てを行なわないので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0041】
(8)また、本発明に係る無線送信機は、OFDM信号を使用して複数の異なる端末が同一時間に通信を行なうOFDMA通信システムに適用される無線送信機であって、サブキャリア毎に送信電力を割り当てると共に、前記割り当てる送信電力のうち、最低の電力を割り当てるサブキャリアを選定し、通信スロット単位で送信データを変調して変調データを出力するマッピング部と、前記各サブキャリアを用いて前記変調データを含む無線信号の送信を行なう送信部と、を備えることを特徴としている。
【0042】
このように、割り当てる送信電力のうち、最低の電力を割り当てるサブキャリアを選定するので、送信端末および受信端末間で既知の特定のサブキャリアを選定したり、データ通信には使用することができないサブキャリアを選定したり、受信端末から通知されたサブキャリアを選定することが可能となる。その結果、通信相手がどのような帯域幅を使用していても直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0043】
(9)また、本発明に係る無線送信機は、前記マッピング部は、前記選定したサブキャリアに対し、送信電力として0を割り当てることを特徴としている。
【0044】
このように、選定したサブキャリアに対し、送信電力として0を割り当てるので、直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0045】
(10)また、本発明に係る無線送信機において、前記マッピング部は、通信スロットの中心に相当するサブキャリアを選定することを特徴としている。
【0046】
このように、通信スロットの中心に相当するサブキャリアを選定するので、受信端末が通信スロットの中心周波数を受信処理における直流成分に割り当てることによって、直流成分によるオフセットの影響を回避することが可能となる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0047】
(11)また、本発明に係る無線送信機において、前記マッピング部は、通信スロットの最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを選定することを特徴としている。
【0048】
このように、通信スロットの最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを選定するので、受信端末が使用する帯域幅において、直流成分となり得るサブキャリア、または中心周波数に該当するサブキャリアを容易に特定することが可能となる。すなわち、通信スロット内に偶数のサブキャリアが含まれている場合は、最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを除外する(変調データの割り当てを行なわない)ことによって、サブキャリア数を奇数とし、中心周波数に該当するサブキャリアを特定することができる。また、最大周波数または最小周波数に該当するサブキャリアを除外する(変調データの割り当てを行なわない)ことによって、複数の周波数チャネルを使用する場合でも、直流成分となるサブキャリアまたは中心周波数に該当するサブキャリアには変調データの割り当てが行なわないようにすることができるので、通信相手がどのような帯域幅を使用していても直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0049】
(12)また、本発明に係る無線送信機において、前記マッピング部は、通信相手から通知されたサブキャリア使用可否情報が、直流電位に相当するサブキャリアの周波数がデータ通信に使用できないことを示す場合に限り、その周波数を選定することを特徴としている。
【0050】
このように、通信相手から通知されたサブキャリア使用可否情報が、直流電位に相当するサブキャリアの周波数がデータ通信に使用できないことを示す場合に限り、そのサブキャリアを選定するので、通信相手において直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0051】
(13)また、本発明に係る無線送信機において、前記マッピング部は、通信相手から通知された周波数を選定することを特徴としている。
【0052】
このように、通信相手から通知された周波数のサブキャリアを選定するので、通信相手において直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【0053】
(14)また、本発明に係る無線送信機において、前記マッピング部は、通信スロットを使用して通信を行なう通信相手が変わる毎に、選定するサブキャリア周波数を更新することを特徴としている。
【0054】
このように、通信を行なう通信相手が変わる毎に、選定するサブキャリア周波数を更新するので、通信相手に応じた処理を行なうことができる。これにより、通信相手がどのような帯域幅を使用していても直流成分によるオフセットの影響を生じさせること無く無線送信を行なうことができる。これにより、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施形態に係る送信回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】あるフレームでの通信スロットの割り当てを示した図である。
【図3】各時間スロットにおいて、使用しないサブキャリア番号を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る送信回路の概略構成を示すブロック図である。
【図5】不使用サブキャリア演算部11の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来のOFDMの変調回路の概略構成を示すブロック図である。
【図7】D/A変換後のOFDM信号の、スペクトルの模式図とD/A変換後の時間波形の模式図、および、スペクトルを送信帯域に周波数変換したものを示す図である。
【図8】従来のOFDMの復調回路の概略構成を示すブロック図である。
【図9】従来のOFDMAの2次元のフレーム構成を示す図である。
【図10】従来のOFDMAに用いる送信回路の概略構成を示すブロック図である。
【図11】従来のOFDMAに用いる受信回路の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本実施の形態に係る無線通信システムについて説明する。本実施の形態では、上述したOFDMAによる通信方式を前提とする。
【0058】
本実施の形態は、回路構成、および、制御方法の一例を示すものであり、その目的は、無線送信機において、送信回路におけるDC成分のノイズの影響を受けないように、DCに該当するサブキャリアには変調を施さないこと、また、受信回路においてDCに相当するサブキャリアについても同様に復調を施さないように制御することである。従って、実現にあたってはさまざまな方法が存在する。
【0059】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、無線送信機において、どのような帯域幅を処理できる端末が接続されても、その端末が中心周波数として選択したサブキャリアには変調データを与えない方式を示す。従来技術では、サブチャネルとサブキャリアの関係をF1にサブキャリアf(640)〜f(703)、F2にサブキャリアf(704)〜f(767)、…、F6にサブキャリアf(960)〜f(1023)、F7にサブキャリアf(1)〜f(64)、F8にサブキャリアf(65)〜f(128)、…、F12にサブキャリアf(321)〜f(384)としたが、ここではサブキャリア番号が512を超えるサブキャリアについては1024を減算して表現する。従って、F1にサブキャリアf(−384)〜f(−321)、F2にサブキャリアf(−320)〜f(−257)、…、F6にサブキャリアf(−64)〜f(−1)、F7にサブキャリアf(1)〜f(64)、F8にサブキャリアf(65)〜f(128)、…、F12にサブキャリアf(321)〜f(384)に変えて表現するものとする。
【0060】
図1は、第1の実施形態に係る送信回路の概略構成を示すブロック図である。図1に示す送信回路は、データマルチプレックス部1を有しており、誤り訂正符号部2と、S/P変換部3と、マッピング部とは、チャネル数分(1〜12)に分割されている。IFFT部5、P/S変換部6、GI挿入部7、D/A変換部8、無線送信部9、そしてアンテナ部10は、それぞれ、図6に示したIFFT部504、パラレル/シリアル(P/S変換部)505、ガードインターバル挿入部506、ディジタル/アナログ変換部(D/A変換部)507、無線送信部508、アンテナ509と同様の機能を果たす。
【0061】
マッピング部4は、サブキャリア毎に送信電力を割り当てると共に、割り当てる送信電力のうち、最低の電力(例えば、0)を割り当てるサブキャリアを選定する。そして、通信スロット単位で送信データを変調して変調データを出力する。このようなマッピング部4では、それぞれに対応するサブチャネル番号を追記し、f(m)の標記をm=−512〜511に変更している。従来技術では、0、385〜511、および、−385から−512のサブキャリア番号に相当するサブキャリアに対しては変調を行なっていない。第1の実施形態では、それに加えて、32×p(pは−12から12までの整数)のサブキャリア番号に相当するサブキャリアに対しては変調を行なっていない。これをスロット割り当てから見ると、各サブチャネルの使用するサブキャリア数は62になり、各サブチャネルの中心、およびサブチャネル間のサブキャリアが変調されていないことになる。
【0062】
1つのサブチャネルしか受信できない端末は、1つのサブチャネルをフィルタリングし、受信処理を施すことになる。この場合、各サブチャネルの中心になるサブキャリアに変調が施されていないため、従来のOFDM受信機と同様に中心を無視して、復調すれば、特性の劣化なく、データを復調することができる。同様に、この仮定では、x個(xは12以下の奇数)のサブチャネルにしかアクセスできない端末の中心周波数はサブチャネルの中心になり、そのサブキャリアは変調に使用されていないので、従来のOFDM受信機と同様に中心を無視して復調すれば、特性の劣化なくデータを復調することができる。
【0063】
y個(yは12以下の偶数)のサブチャネルにしかアクセスできない端末の中心は、サブチャネルの間になる。これもまた、変調には使用していないサブキャリアとしているので、従来のOFDM受信機と同様に中心を無視して復調すれば、特性の劣化なくデータを復調することができる。
【0064】
このように、第1の実施形態においては、さまざまな帯域に対応した受信機を特性の劣化なく、接続することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態では、使用しないサブキャリアをあらかじめ選定し、様々な端末に対応する方法を示した。しかしながら、すべての帯域を送受信に使用できるような、能力の高い端末にとっては、従来の方法と比べて、伝送速度が下がる場合がある。従来方式であれば、768波をすべて使用可能であったことに対し、第1の実施形態では、使用できないサブキャリアを設定したため、使用可能なサブキャリアの数は744波となり、すべてのサブキャリアに同じ変調方式をかけたとすると、その速度は744/768に落ちることになる。
【0066】
そこで、第2の実施形態では、適応的に使用しないサブキャリアを設定する方法について説明する。
【0067】
図2は、あるフレームでの通信スロットの割り当てを示した図である。従来技術と同様に、斜線のスロットはすべての端末が受信する報知スロットであり、A〜Fまでの端末がそれぞれ示されているスロットで通信を行なうことを意味している。以下の説明においては、中心のサブキャリア位置を求める際、処理がわかりやすくなるように使用するサブキャリア数を奇数としてから処理を行なっている。ただし、必然性があるわけではなく、偶数で処理する場合は、サブキャリアが存在しない周波数が中心となるため、そのどちらかを中心として扱うことを予め送受信装置間で決めておけば問題は生じない。
【0068】
図2において、制御スロットはすべての端末が受信する必要があるので、第1の実施例と同様に、変調に用いないサブキャリアを配置する。具体的には、変調に用いないサブキャリア番号は0、385〜511、および、−385から−512と32×p(pは−12から12までの整数)である。
【0069】
次に、Aに着目すると、使用するスロットは(T2〜T6、F12)の5スロットであり、周波数チャネルはF12のみである。F12は、f(321)〜f(384)であるが、最大番号のサブキャリアf(384)とそれを除くサブキャリアの中心に位置するサブキャリアf(352)を使用しないサブキャリアとする。
【0070】
Bに着目すると(T2、F7〜F9)と(T5〜T6、F7〜F9)の9スロットである。F7からF9の場合、使用するサブキャリアはf(1)〜f(192)であり、最大番号のf(192)とそれを除くサブキャリアの中心に位置するサブキャリアf(96)を使用しないサブキャリアとする。
【0071】
Cは、(T3、F1〜F10)の10スロットを使用する。使用するサブキャリアはf(−384)からf(256)である。アクセスするサブチャネルがf(0)を挟んでいる場合は、最大番号のサブキャリアを使用しないという処理は行わない。従って中心に位置するf(−64)のみが、使用しないサブキャリアとなる。もちろんf(0)は使用しない。
【0072】
Dは、(T2、F1〜F6)、(T4〜T5、F1〜F6)の18スロットを使用する。使用するサブキャリアはf(−384)からf(−1)である。従って最大番号のf(−1)と、中心に位置するf(−193)が使用しないサブキャリアとなる。
【0073】
Eは、(T4〜T5、F10〜F11)の4スロットを使用する。使用するサブキャリアはf(193)からf(320)である。従って最大番号のf(320)と、中心に位置するf(256)が使用しないサブキャリアとなる。
【0074】
Fは、(T7〜T9、F1〜F12)の36スロットを使用する。使用するサブキャリアはf(−384)からf(384)である。中心に位置するf(0)のみが使用しないサブキャリアとなる。
【0075】
以上を時間スロット単位で、使用しないサブキャリアをまとめて図3に示す。図3からも明らかであるが、第1の実施形態より、使用しないサブキャリア数は減っており、また、全帯域アクセスできる端末は、従来と全く同じ数のサブキャリアを使用することが可能となっている。また、図2においては、連続する帯域で割り当てをおこなっているが、間に使用しないスロットが挟まった場合でも、その帯域を使用しているとみなして処理を行なえば、問題ない。
【0076】
図4は、第2の実施形態に係る送信回路の概略構成を示すブロック図である。図1に示した第1の実施形態に係る送信回路に対して、不使用サブキャリア演算部11が追加されている。この不使用サブキャリア演算部11は、上述したような使用しないサブキャリアを演算する機能を発揮する。また、不使用サブキャリア演算部11には、各時間チャネル単位で、スロット番号、スロットを使用する端末IDと使用するサブチャネル番号の最大値、最小値が入力される。
【0077】
図5は、不使用サブキャリア演算部11の動作を示すフローチャートである。図5において用いているパラメータは、上述したパラメータと同一である。ただしfdcは、使用するチャネルがDC成分を含んでいるかいないかを示す指標値であり、TSは、スロット番号の変数値であり、m_max、m_minは、それぞれ、不使用サブキャリア演算部11に入力される使用するサブチャネルの最大値と最小値である。また、不使用サブキャリアはf(m)=0として表している。
【0078】
フレームを構成開始するにあたり、S101において、f(0)、f(−385〜−512)およびf(−385〜−512)は常に0に設定される。また、fdc=0、TS=0が設定される。S102ではTSが1ずつインクリメントされる。S103では現在のスロットが報知スロットであるかどうかを判断する。本実施例ではT1スロットで報知情報を送信することになっているので、TS=1ならば、報知スロットと判断する。報知スロットの場合、S104で、送信しないサブキャリア、m=32×p(pは−12から12の整数)となるf(m)を0に設定する。
【0079】
TSが2以上になるとS105に進む。ここでは、該当するTS中にスロットを割り当てる端末がある否かを判定し、ある場合はS106に進み、ない場合は、S110に進む。S106ではfdcを演算する。fdcはサブキャリア番号による演算である。S107ではfdcの値により、f(0)を挟んでサブチャネルの割り当てがあるがどうかが判定される。fdcが負の値の場合、f(0)を挟んで割り当てがあることになり、S109に進む。正の場合はS108に進む。S108では、f(0)を挟んでいない場合の不使用サブキャリアの決定処理であり、その使用するサブキャリアの最大値即ちf(m_max)と、それを除く帯域の中心となるサブキャリアf(m_max+m_min−1)がそれぞれ0に設定される。
【0080】
S109では、f(0)を挟んだ場合の不使用サブキャリアの決定処理であり、帯域の中心となるサブキャリアf(m_max+m_min)が0に設定される。S110ではフレームの最後まで割り振りが終わったか否かを判定する。第2の実施形態では、時間スロットは9までとしているので、TS=9についての判定を行なうことになる。TS=9になると処理を終了し、初期状態に戻ることになる。
【0081】
以上のような方法で、フレーム毎に不使用サブキャリアを決定することで、効率的でかつ特性劣化のない通信を行なうことが可能になる。
【0082】
なお、第1および第2の実施形態においては、受信装置のDCノイズの影響が常に多いと仮定して、未使用サブチャネルを決定していたが、非常に特性がいい端末が存在することも考えられる。従って、端末からの要求があった時、受信装置におけるDCノイズの影響をなくすための不使用サブキャリアを決定するという機能を導入することも考えられる。
【0083】
すなわち、端末から、割り当てられた通信スロットのすべての周波数チャネル内で直流成分となるサブキャリアを使用できないとの通知を受けた場合に、そのサブキャリアに対しては変調データの割り当てを行なわないので、直流成分となるサブキャリアの通信特性が劣化している通信相手においては、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。一方、直流成分となるサブキャリアの通信特性が劣化していない通信相手に対しては、直流成分となるサブキャリアにも変調データの割り当てを行なって、周波数の利用効率を高めることが可能となる。
【0084】
第1および第2の実施形態とも、基本となるサブチャネルのサブキャリア数をすべてのサブチャネルにおいて同一の例を示したが、もちろん、これは基本的な例を示したのみであるので、サブキャリア数が異なる場合でも、簡単に応用が可能である。
【0085】
なお、本実施の形態に係る送信回路によって、基地局装置を構成することができる。このような基地局装置によって、低消費電力化を図るために、使用する帯域幅が限定された端末と通信を行なった場合でも、送受信処理において、直流成分の影響を受けることが無くなるので、通信特性の劣化や受信スロットの誤りの発生を防止し、スループットの低下を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1 データマルチプレックス部
2 誤り訂正符号部
3 S/P変換部
4 マッピング部
5 IFFT部
6 P/S変換部
7 ガードインターバル(GI)挿入部
8 D/A変換部
9 無線送信部
10 アンテナ部
11 不使用サブキャリア演算部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムの受信装置であって、
送信装置が使用する複数の周波数チャネルで構成される周波数帯域に含まれる、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は連続する複数の周波数チャネルに配置された複数のサブキャリアを用いて前記送信装置から送信される、前記受信装置へのデータを含むデータ信号部を有するOFDM信号であって、
前記データ信号部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する、前記データを割当られない第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアが含まれる前記OFDM信号を受信するように構成される受信回路と、
前記受信回路が受信した前記OFDM信号の前記データ信号部から前記データを復調する際に、前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いないように構成される信号処理部と、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報を前記送信装置に通知するための信号送信部とから構成されることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
無線通信システムの受信装置であって、
送信装置が使用する複数の周波数チャネルで構成される周波数帯域に含まれる、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は連続する複数の周波数チャネルに配置された複数のサブキャリアを用いて前記送信装置から送信される、前記受信装置へのデータを含むデータ信号部を有するOFDM信号であって、
前記データ信号部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する、前記データを割当られない第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアが含まれる前記OFDM信号を受信するように構成される受信回路と、
前記受信回路が受信した前記OFDM信号の前記データ信号部から前記データを復調する際に、前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いないように構成される信号処理部と、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報を前記送信装置に通知するための信号送信部とから構成され、
前記OFDM信号はさらに、制御情報を含む制御信号部を有することを特徴とし、
前記受信回路はさらに、前記制御情報部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記制御情報が割当られない第2の1つ又は複数の不使用サブキャリアを含む前記OFDM信号を受信するように構成され、
前記信号処理部はさらに、前記受信回路の受信した前記OFDM信号の前記制御信号部から前記制御情報を復調する際に、前記1つ又は連続する複数の周波数チャネルの各周波数チャネルの、それぞれの中心に位置する前記第2の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いないように構成されることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の受信装置であって、
前記制御情報は前記データ信号部に含まれる前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアの位置を間接的に示す情報を含み、前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアの位置は前記間接的に示す情報に関連して、前記送信装置と前記受信装置の間で相互の既知であることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3記載の受信装置であって、
前記間接的に示す情報は前記データ信号部の周波数帯域幅を示す情報を含むことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の受信装置であって、
前記受信回路は、前記OFDM信号の送信に使用された、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は複数の連続する周波数チャネルの中心周波数に基づいて、受信した無線信号をアナログ信号に変換し、更にアナログ信号をデジタル信号に変換することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の受信装置であって、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報は、前記受信装置の使用可能帯域幅を含むことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の受信装置であって、
各周波数チャネルは64個のサブキャリアから構成されることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の受信装置であって、
前記OFDM信号の前記データ信号部の不使用サブキャリアの決定は、フレーム毎に送信装置が行なうことを特徴とする受信装置。
【請求項9】
無線通信システムの受信装置の受信方法であって、
送信装置が使用する複数の周波数チャネルで構成される周波数帯域に含まれる、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は連続する複数の周波数チャネルに配置された複数のサブキャリアを用いて前記送信装置から送信される、前記受信装置へのデータを含むデータ信号部を有するOFDM信号であって、
前記データ信号部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する、前記データを割当られない第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアが含まれる前記OFDM信号を受信し、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いずに、前記受信した前記OFDM信号の前記データ信号部から前記データを復調し、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報を前記送信装置に通知することを特徴とする受信方法。
【請求項10】
無線通信システムの受信装置の受信方法であって、
送信装置が使用する複数の周波数チャネルで構成される周波数帯域に含まれる、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は連続する複数の周波数チャネルに配置された複数のサブキャリアを用いて前記送信装置から送信される、前記受信装置へのデータを含むデータ信号部を有するOFDM信号であって、
前記データ信号部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する、前記データを割当られない第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアが含まれる前記OFDM信号を受信し、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いずに、前記受信した前記OFDM信号の前記データ信号部から前記データを復調し、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報を前記送信装置に通知し、
前記OFDM信号はさらに、制御情報を含む制御信号部を有し、
前記制御情報部の送信に用いる前記複数のサブキャリアには、前記制御情報が割当られない第2の1つ又は複数の不使用サブキャリアを含む前記OFDM信号を受信し、
前記1つ又は連続する複数の周波数チャネルの各周波数チャネルの、それぞれの中心に位置する前記第2の1つ又は複数の不使用サブキャリアで受信されたOFDM信号を用いずに、前記受信した前記OFDM信号の前記制御信号部から前記制御情報を復調することを特徴とする受信方法。
【請求項11】
請求項10に記載の受信方法であって、
前記制御情報は前記データ信号部に含まれる前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアの位置を間接的に示す情報を含み、前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアの位置は前記間接的に示す情報に関連して、前記送信装置と前記受信装置の間で相互の既知であることを特徴とする受信方法。
【請求項12】
請求項11記載の受信方法であって、
前記間接的に示す情報は前記データ信号部の周波数帯域幅を示す情報を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれかに記載の受信方法であって、
前記OFDM信号の送信に使用された、前記受信装置の使用可能帯域幅に基づき前記送信装置が決定する1つ又は複数の連続する周波数チャネルの中心周波数に基づいて、受信した無線信号をアナログ信号に変換し、更にアナログ信号をデジタル信号に変換することを特徴とする受信方法。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれかに記載の受信方法であって、
前記第1の1つ又は複数の不使用サブキャリアを決定するための情報は、前記受信装置の使用可能帯域幅を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項15】
請求項9から請求項14のいずれかに記載の受信方法であって、
各周波数チャネルは64個のサブキャリアから構成されることを特徴とする受信方法。
【請求項16】
請求項9から請求項15のいずれかに記載の受信方法であって、
前記OFDM信号の前記データ信号部の不使用サブキャリアの決定は、フレーム毎に送信装置が行なうことを特徴とする受信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−213215(P2012−213215A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139719(P2012−139719)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2012−103546(P2012−103546)の分割
【原出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】