説明

受信装置

【課題】デジタル化された信号を受信する受信手段を備えた受信装置、特にGPS受信装置において、動作中の受信手段の消費電力低減を図ること。
【解決手段】受信装置は、デジタル化された信号を受信する受信手段と、受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定することで、受信手段に対して、消費電力の高い高消費電力モードと、該高消費電力モードよりも消費電力の低い第1低消費電力モードを設定する消費電力モード設定手段を備える。消費電力モード設定手段は、受信手段から入力される信号の強度が予め設定された閾値を下回ると、該受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定して高消費電力モードとし、受信手段から入力される信号の強度が閾値以上のときには、該受信手段に対して高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートを設定して第1低消費電力モードとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル化された信号を受信する受信手段を備えた受信装置に関し、特にGPS受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムの高機能化にともない、用いられる半導体集積回路(LSI)も大規模化してきており、これにより消費電力や発熱量も増大してきている。特にGPS(Global positioning System)受信装置は、カーナビゲーション用LSIに搭載されるデジタル回路のなかでサイズ的に大きな割合を占めており、消費電力に与える影響が大きいものとなっている。
【0003】
GPS受信装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信して位置を計測(測位)するために、複数の受信回路を有している。例えば特許文献1に示されるGPS受信装置(位置測位装置)では、制御手段により、受信可能な衛星の数、又は、必要な位置測位精度に基づいて、動作させる受信回路の数を決定し、動作させる必要がない受信回路への基準クロックの供給を停止させる、又は、電源電力の供給を停止させることで、測位中の消費電力を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−196896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、測位中に動作させる受信回路(受信手段)について特に消費電力の低減を図っていない。
【0006】
また、受信回路から出力された信号を処理する信号処理回路(信号処理手段)についても、特に消費電力の低減を図っていない。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、デジタル化された信号を受信する受信手段を備えた受信装置において、動作中の受信手段の消費電力低減を図ることを目的とする。さらには、受信手段だけでなく、受信手段から入力される信号に対して所定処理を実行する信号処理手段も含めて、受信装置の消費電力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の受信装置は、
デジタル化された信号を受信する受信手段と、
受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定することで、受信手段に対して、消費電力の高い高消費電力モードと、該高消費電力モードよりも消費電力の低い第1低消費電力モードを設定する消費電力モード設定手段と、を備え、
消費電力モード設定手段は、
受信手段から入力される信号の強度が予め設定された閾値を下回ると、該受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定して高消費電力モードとし、
受信手段から入力される信号の強度が閾値以上のときには、該受信手段に対して高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートを設定して第1低消費電力モードとすることを特徴とする。
【0009】
本発明では、受信手段から入力される信号の強度が閾値を下回ると、該受信手段に高消費電力モードとして、所定のサンプリングレートが設定される。高消費電力モードのサンプリングレートは、第1低消費電力モードのサンプリングレートよりも高いので、受信手段は、受信信号の強度が低いときでも、安定して受信することができる。
【0010】
一方、受信手段から入力される信号の強度が閾値以上となると、該受信手段に高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートが設定される。これにより、受信手段は、高消費電力モード時よりも低いレートで受信信号をサンプリングすることできるため、消費電力を低減することができる。
【0011】
このように、受信手段から入力される信号の強度に基づいて、サンプリングレートを変更することができるので、常に一定のサンプリングレートが設定される構成に較べて、動作中の受信手段、ひいては受信装置の消費電力低減を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載のように、
受信手段を複数含み、
消費電力モード設定手段は、複数の受信手段のうち、一部の受信手段が動作し、残りの受信手段が動作する必要のないときには、動作する必要のない受信手段へのクロックの供給を停止させることで、高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードとする構成を採用すると良い。
【0013】
これによれば、動作する必要のない受信手段にもクロックを供給する構成に較べて、消費電力の低減を図ることができる。すなわち、サンプリングレートの変更による効果とあわせて、さらに消費電力の低減を図ることができる。
【0014】
さらには、請求項3に記載のように、
受信手段から入力される信号に対して所定処理を実行する信号処理手段を備え、
消費電力モード設定手段は、受信手段及び信号処理手段のうちの一部が動作し、残りが動作する必要のないときに、動作する必要のない手段へのクロックの供給を停止させて第2低消費電力モードとする構成としても良い。
【0015】
これによれば、受信手段だけでなく、信号処理手段も含めて、動作する必要のない手段へのクロックの供給を停止することができる。このため、消費電力の低減をさらに図ることができる。
【0016】
請求項4に記載のように、信号処理手段は、一部の受信手段とともに第2低消費電力モードが設定される第1信号処理手段と、受信手段が第2低消費電力モードのときに高消費電力モードが設定される第2信号処理手段とを含む構成としても良い。
【0017】
これによれば、信号処理手段のうち、複数の受信手段の一部が動作不要となるときに合わせて動作不要となる第1信号処理手段については、受信手段とともに第2低消費電力モードが設定されてクロックの供給が停止される。これにより、消費電力の低減を図ることができる。一方、信号処理手段のうち、複数の受信手段の一部が動作不要となるときに動作させる必要がある第2信号処理手段についてはクロックが供給されるため、所定処理を実行することができる。
【0018】
具体的には、請求項5に記載のように、
それぞれ異なるGPS衛星をトラッキングするための複数の受信手段を含み、
受信手段から入力される信号に基づいて、受信手段に対し、受信可能なGPS衛星を探すサーチモードと、サーチにより見つかったGPS衛星からの信号を継続受信できるようにトラッキングするトラッキングモードのいずれかを設定する動作モード設定手段と、
トラッキングモードが設定された受信手段の数をカウントとする計数手段と、を備え、
消費電力モード設定手段は、
全ての受信手段がサーチモードの間は、全ての受信手段を高消費電力モードとするとともに、信号処理手段のうち、第2信号処理手段へのクロックの供給を停止させて第2低消費電力モードとし、
計数手段の計数結果、少なくとも1つの受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信手段の数が測位に必要な数に未達のときは、第1信号処理手段及び第2信号処理手段に対してクロックが供給されるようにし、
計数手段の計数結果、トラッキングモードとされた受信手段の数が、測位に必要な数に達すると、トラッキングモードとされていない残りの受信手段と、信号処理手段のうちの第1信号処理手段へのクロックの供給を停止させて第2低消費電力モードとし、
トラッキングモードが設定された受信手段について、該受信手段からの入力信号が閾値以上のときに該受信手段を第1低消費電力モードとし、該受信手段からの入力信号が閾値を下回ると該受信手段を高消費電力モードとする構成を採用することが好ましい。
【0019】
サーチモードにおいては、GPS衛星を見つけるために、受信手段を高いサンプリングレートで動作させる必要がある。一方、トラッキングモードでは、見つけたGPS衛星からの信号の受信を安定して継続できれば良く、受信手段が受信する強度が強い場合には、受信手段を高いサンプリングレートで動作させなくとも良い。
【0020】
本発明では、トラッキングモードが設定された受信手段について、消費電力モード設定手段への入力信号の強度が閾値以上となると、該受信手段には、高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートが設定される。これにより、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0021】
また、全ての受信手段がサーチモードのときには、全ての受信手段を高消費電力モードとするため、上空に存在するGPS衛星を早く見つけることができる。一方、信号処理手段のうち、動作する必要のない第2信号処理手段については、クロックの供給を停止させて第2低消費電力モードとするため、これによっても、消費電力の低減を図ることができる。
【0022】
また、少なくとも1つの受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信手段の数が測位に必要な数に未達の間は、サーチモードとされた受信手段と、トラッキングモードとされた受信手段とが混在することとなる。本発明では、第1信号処理手段及び第2信号処理手段のいずれに対してもクロックを供給するため、第1信号処理手段及び第2信号処理手段がそれぞれ所定処理を実行することができる。
【0023】
また、測位に必要な数の受信手段がトラッキングモードとされると、トラッキングモードとされていない残りの受信手段と第1信号処理手段へのクロックの供給を停止させる。したがって、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0024】
また、請求項6に記載のように、
受信手段を複数含み、
消費電力モード設定手段は、複数の受信手段のうち、一部の受信手段が動作し、残りの受信手段が動作する必要のないときには、動作する必要のない受信手段への電力の供給を停止させることで、高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードとする構成を採用しても良い。
【0025】
これによれば、動作する必要のない受信手段にも電力を供給する構成に較べて、消費電力の低減を図ることができる。すなわち、サンプリングレートの変更による効果とあわせて、さらに消費電力の低減を図ることができる。また、クロックの供給を停止させる請求項2に較べて、待機電力を無くせる分、より消費電力を低減させることができる。
【0026】
さらには、請求項7に記載のように、
受信手段から入力される信号に対して所定処理を実行する信号処理手段を備え、
消費電力モード設定手段は、受信手段及び信号処理手段のうちの一部が動作し、残りが動作する必要のないときに、動作する必要のない手段への電力の供給を停止させて第2低消費電力モードとする構成としても良い。
【0027】
これによれば、受信手段だけでなく、信号処理手段も含めて、動作する必要のない手段への電力の供給を停止することができる。このため、消費電力の低減をさらに図ることができる。
【0028】
請求項8に記載のように、信号処理手段は、一部の受信手段とともに第2低消費電力モードが設定される第1信号処理手段と、受信手段が第2低消費電力モードのときに高消費電力モードが設定される第2信号処理手段とを含む構成としても良い。
【0029】
これによれば、信号処理手段のうち、複数の受信手段の一部が動作不要となるときに合わせて動作不要となる第1信号処理手段については、受信手段とともに第2低消費電力モードが設定されて電力の供給が停止される。このため、消費電力の低減を図ることができる。一方、信号処理手段のうち、複数の受信手段の一部が動作不要となるときに動作させる必要がある第2信号処理手段については電力が供給されるため、所定処理を実行することができる。
【0030】
具体的には、請求項9に記載のように、
それぞれ異なるGPS衛星をトラッキングするための複数の受信手段を含み、
受信手段から入力される信号に基づいて、受信手段に対し、受信可能なGPS衛星を探すサーチモードと、サーチにより見つかったGPS衛星からの信号を継続受信できるようにトラッキングするトラッキングモードのいずれかを設定する動作モード設定手段と、
トラッキングモードが設定された受信手段の数をカウントとする計数手段と、を備え、
消費電力モード設定手段は、
全ての受信手段がサーチモードの間は、全ての受信手段を高消費電力モードとするとともに、信号処理手段のうち、第2信号処理手段への電力の供給を停止させて第2低消費電力モードとし、
計数手段の計数結果、少なくとも1つの受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信手段の数が測位に必要な数に未達のときは、第1信号処理手段及び第2信号処理手段に対して電力が供給されるようにし、
計数手段の計数結果、トラッキングモードとされた受信手段の数が、測位に必要な数に達すると、トラッキングモードとされていない残りの受信手段と、信号処理手段のうちの第1信号処理手段への電力の供給を停止させて第2低消費電力モードとし、
トラッキングモードが設定された受信手段について、該受信手段からの入力信号が閾値以上のときに該受信手段を第1低消費電力モードとし、該受信手段からの入力信号が閾値を下回ると該受信手段を高消費電力モードとする構成を採用することが好ましい。
【0031】
本発明では、トラッキングモードが設定された受信手段について、消費電力モード設定手段への入力信号の強度が閾値以上となると、該受信手段には、高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートが設定される。これにより、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0032】
また、全ての受信手段がサーチモードのときには、全ての受信手段を高消費電力モードとするため、上空に存在するGPS衛星を早く見つけることができる。一方、信号処理手段のうち、動作する必要のない第2信号処理手段については、電力の供給を停止させて第2低消費電力モードとするため、これによっても、消費電力の低減を図ることができる。
【0033】
また、少なくとも1つの受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信手段の数が測位に必要な数に未達の間は、サーチモードとされた受信手段と、トラッキングモードとされた受信手段とが混在することとなる。本発明では、第1信号処理手段及び第2信号処理手段のいずれに対しても電力を供給するため、第1信号処理手段及び第2信号処理手段がそれぞれ所定処理を実行することができる。
【0034】
また、測位に必要な数の受信手段がトラッキングモードとされると、トラッキングモードとされていない残りの受信手段と第1信号処理手段への電力の供給を停止させる。したがって、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る衛星受信装置の概略構成を示す図であり、複数の受信回路が全てサーチモードの状態を示している。
【図2】ステートマシン及び動作制御回路による受信回路の動作制御フローを示す図である。
【図3】ステートマシン及び動作制御回路による第2低消費電力モードの設定フローを示す図である。
【図4】複数の受信回路の一部がトラッキングモード(測位数には未達)の状態を示す図である。
【図5】複数の受信回路の一部が第2低消費電力モードとされた状態を示す図である。
【図6】複数の受信回路の一部が第1低消費電力モードとされた状態を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る衛星受信装置の概略構成を示す図であり、複数の受信回路の一部が第1低消費電力モードとされた状態を示す図である。
【図8】ステートマシン及び動作制御回路による第2低消費電力モードの設定フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、受信装置として、GPS受信装置の例を示す。また、各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
【0037】
(第1実施形態)
図1に示すGPS受信装置10は、コントローラ30を構成する動作制御回路35、特に、受信回路20から入力される信号の強度に基づいて、受信回路20のサンプリングレートを設定するためのイネーブル信号を、受信回路20に設定するサンプリングイネーブル生成回路36(以下、イネーブル生成回路36と示す)、を備える点を特徴とする。それ以外の構成については、基本的に周知のGPS受信装置と同じであるため、詳細な説明については割愛する。
【0038】
GPS衛星は、衛星毎に異なる拡散コード(例えばC/Aコード)で情報をスペクトラム拡散し、共通のキャリア周波数で変調して送信する。このため、GPS受信装置10は、各GPS衛星から送信された衛星信号が合成されたものを受信する。
【0039】
図1に示すように、GPS受信装置10は、デジタル化された衛星信号を受信する複数の受信回路20と、受信回路20から出力された信号に対して所定処理を実行するとともに、受信回路20の動作を制御する回路を備えたコントローラ30と、を有している。なお、受信回路20が、特許請求の範囲に記載の受信手段に相当し、コントローラ30が備える所定処理を実行する回路の一部が、特許請求の範囲に記載の信号処理手段に相当する。具体的には、後述するサーチ判定回路32が第1信号処理手段に相当し、トラッキング用ループフィルタ回路33(以下、フィルタ回路33と示す)及びNAVIデータデコード回路34(以下、デコード回路34と示す)が第2信号処理手段に相当する。
【0040】
受信回路20(チャンネルとも言う)は、図示しないアンテナ及びRF部(図示略)などを介してデジタル化された衛星信号を受信する回路である。受信回路20は、コントローラ30によって設定されたキャリア周波数、拡散コードに従い、入力された衛星信号の相関演算を行う。この相関演算は、デジタル化された衛星信号に、キャリア周波数をかけてベースバンドに変換し、拡散コードで畳み込み演算を行うことであり、その演算結果を相関値と呼ぶ。そして、得られた相関値を、コントローラ30のステートマシン31に出力する。この相関演算により、デジタル化された衛星信号のなかから、所定のGPS衛星の信号を分離する。
【0041】
1つの受信回路20は、1つの拡散コードが割り振られ、1つのGPS衛星からの衛星信号に対する相関演算を行う。GPS受信装置10で測位を行うためには最低4つのGPS衛星からの衛星信号の受信結果が必要であり、このため、GPS受信装置10は4つ以上の受信回路20を備えることとなる。本実施形態では、図1に示すように、8つの受信回路21〜28を備えている。
【0042】
受信回路20の具体的な構成例を、図1に受信回路21で代表して示す。図1では、複数の受信回路20のうち、受信回路21のみを示しているが、他の受信回路22〜28も同様の構成となっている。また、他の受信回路22〜28とステートマシン31及びフィルタ回路33を繋ぐ信号ラインについても、便宜上図示を省略する。なお、同様の構成を示す図4〜図6でも同じである。
【0043】
受信回路21は、図示しないフリップフロップなどを備えて構成されており、図1に示すように、キャリアミキサ21a、コード相関器21b、及び積分器21cを有している。受信回路21に入力された衛星信号は、キャリアミキサ21aにてキャリア周波数とミキシングされ、コード相関器21bに供給される。このキャリア周波数は、サーチモードにおいてステートマシン31により設定され、トラッキングモードにおいてフィルタ回路33により設定される。
【0044】
コード相関器21bでは、キャリアミキサ21aからの信号と拡散コードとの相関が取られる。コード相関が取られた信号は積分器21cで積分され、コントローラ30(ステートマシン31)へ出力される。
【0045】
コントローラ30は、ステートマシン31、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、デコード回路34、及び動作制御回路35を備えている。
【0046】
ステートマシン31は、受信回路20の動作モードを、サーチモード及びトラッキングモードのいずれかに設定する動作モード設定手段としての機能を有する。具体的には、GPS受信装置10に電力が供給されると、先ずサーチモードを設定する。このとき、受信回路20には、ステートマシン31により、初期値として、所定のキャリア周波数と、受信回路20ごとに異なるGPS衛星に対応する拡散コードが設定される。また、ステートマシン31から、動作制御回路35に対して該当する受信回路20がサーチモードである旨を通知する信号が出力される。
【0047】
なお、ステートマシン31は、サーチ判定回路32にて、入力される相関値のピーク(ピーク相関値)が予め設定された閾値以上となるまで、キャリア周波数と拡散コードの位相をずらして設定する機能も有する。換言すれば、対象となるGPS衛星をトラッキングするまで、キャリア周波数と拡散コードの位相をずらして設定する機能を有する。
【0048】
ステートマシン31は、サーチモードが設定された受信回路20から相関値が入力されると、この相関値をサーチ判定回路32へ供給し、サーチ判定回路32の判定結果に応じて該当する受信回路20にトラッキングモードを設定する。このとき、動作制御回路35に対してトラッキングモードである旨を通知する信号が出力される。
【0049】
また、トラッキングモードが設定された受信回路20から相関値が入力されると、ステートマシン31は、該相関値をもとに受信回路20がトラッキング状態にあるか否かを判定し、トラッキング状態にある場合には、フィルタ回路33、デコード回路34、及び動作制御回路35に相関値データが供給される。一方、トラッキングが外れた場合には、トラッキングが外れた受信回路20に対してサーチモードを再度設定する。
【0050】
また、ステートマシン31は、トラッキングモードが設定された受信回路20の数をカウントする計数手段としての機能も有する。そして、計数結果に応じて、受信回路20から入力される相関値を供給する回路対象を、コントローラ30を構成するサーチ判定回路32、フィルタ回路33、デコード回路34、及び動作制御回路35の中から選択する機能も有する。
【0051】
サーチ判定回路32には、ステートマシン31によりサーチモードが設定され、且つ、動作制御回路35により高消費電力モードが設定された受信回路20から、ステートマシン31を介して相関値が入力される。このサーチ判定回路32は、入力された相関値のピーク値(ピーク相関値)と予め設定された閾値とを比較し、ピーク相関値が閾値以上か閾値未満かを判定して、その判定結果をステートマシン31に返す機能を有する。
【0052】
フィルタ回路33には、トラッキングモードが設定された受信回路20から、ステートマシン31を介して相関値が入力される。GPS衛星とGPS受信装置10の位置関係は時々刻々変化するため、安定した受信が継続されるべく(トラッキング状態が維持されるべく)、フィルタ回路33は、トラッキングモードが設定された受信回路20の相関値に基づき、最適なキャリア周波数、拡散コード(位相)を算出し、周期的に当該受信回路20に再設定する。
【0053】
デコード回路34には、トラッキングモードが設定された受信回路20から、ステートマシン31を介して相関値が入力される。このデコード回路34は、入力された相関値をデコードし、位置や時刻などに関するナビデータを抽出する機能を有する。抽出されたナビデータは、図示しないナビゲーションECUに出力される。
【0054】
動作制御回路35には、ステートマシン31から、受信回路20(21〜28)の動作モード情報を示す信号、及び、トラッキングモードとされた受信回路20からの相関値が入力される。この動作制御回路35は、イネーブル生成回路36と、クロックゲーティング回路37と、を有する。これらイネーブル生成回路36及びクロックゲーティング回路37は、特許請求の範囲に記載の消費電力モード設定手段に相当する。
【0055】
イネーブル生成回路36は、間隔(周期)の異なる複数種類のイネーブル信号(サンプリングイネーブル信号)を生成(設定)する機能を有し、イネーブル信号に応じて、受信回路20に消費電力の高い高消費電力モードと、該高消費電力モードよりも消費電力の低い第1低消費電力モードを設定するものである。イネーブル生成回路36で生成されたイネーブル信号は、各受信回路20において、デジタル化された衛星信号とともに例えばAND回路に入力され、AND回路からの出力がフリップフロップのD端子に入力される。したがって、イネーブル信号の間隔(周期)により、各受信回路20のサンプリングレートが決定される。
【0056】
具体的には、GPS受信装置10に電力が供給され、ステートマシン31が全ての受信回路20に対してサーチモードを設定すると、ステートマシン31からの動作モード情報を示す信号により、イネーブル生成回路36は、対応するGPS衛星を高速のサンプリングレートで探索させるべく、間隔の狭いイネーブル信号を全ての受信回路20に対して出力する。
【0057】
また、トラッキングモードが設定された受信回路20から相関値が入力されると、この相関値の強度と予め設定された閾値とを比較する。そして、強度が閾値を下回る場合、すなわち受信強度が弱い場合には、サーチモード同様、間隔の狭いイネーブル信号を該当する受信回路20に対して出力する。これら間隔の狭いイネーブル信号を出力している状態が、受信回路20に対して高消費電力モードを設定している状態である。
【0058】
一方、トラッキングモードが設定された受信回路20からの相関値の強度が閾値以上の場合には、該当する受信回路20のサンプリングレートが、高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低くなるように、高消費電力モード時のイネーブル信号よりも間隔の広いイネーブル信号(例えば高消費電力モードの間隔の2倍)を該当する受信回路20に出力する。この間隔の広いイネーブル信号を出力している状態が、受信回路20に対して第1低消費電力モードを設定している状態である。
【0059】
このように、イネーブル生成回路36は、電力が投入された初期状態で全ての受信回路20に対して間隔の狭いイネーブル信号を出力する機能と、トラッキングモードとされた受信回路20からの相関値の強度と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、イネーブル信号を再設定する機能を有している。
【0060】
なお、トラッキングモードとされた受信回路20からの相関値のデータには、ノイズ成分が重畳している。したがって、実際には、イネーブル生成回路36において、入力された相関値データのうち、信号成分とノイズ成分から、信号対ノイズを表す信号強度を計算する。そして、この計算結果と予め設定された閾値とを比較し、計算結果が閾値以上か否かを判定して、判定結果に応じた、間隔を有するイネーブル信号を設定する。
【0061】
クロックゲーティング回路37は、GPS受信装置10の外部で生成されたクロックを、各受信回路20、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34へ分配する。例えば受信回路20の場合、クロックゲーティング回路37から出力されたクロック信号は、上記したフリップフロップのCLK端子に入力される。また、クロックゲーティング回路37は、ステートマシン31からの受信回路20(21〜28)の動作モード情報を示す信号に基づいて、各回路20,32,33,34へのクロックの供給・停止を制御する機能を有する。すなわち、動作する必要のない回路へのクロックの供給を停止することで、上記高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードを設定する。
【0062】
例えば全ての受信回路20がサーチモードであることが、ステートマシン31からの動作モード情報を示す信号によりクロックゲーティング回路37に通知されると、クロックゲーティング回路37は、トラッキングモードの受信回路20が生じたときに動作し、サーチモードでは動作する必要のない第2信号処理手段としてのフィルタ回路33及びデコード回路34へのクロックの供給を停止して、フィルタ回路33及びデコード回路34を第2低消費電力モードとする。
【0063】
また、ステートマシン31にて、トラッキングモードとされた受信回路20の数が計数され、トラッキングモードとされた受信回路20の数が測位に必要な数に達したことが、動作モード情報を示す信号によりクロックゲーティング回路37に通知されると、クロックゲーティング回路37は、トラッキングモードとされていない残りの受信回路20と、第1信号処理手段としてのサーチ判定回路32へのクロックの供給を停止して第2低消費電力モードとする。
【0064】
次に、上記したGPS受信装置10において、ステートマシン31及び動作制御回路35による、受信回路20の動作モード設定及び消費電力モード設定の制御動作について、図2を用いて説明する。以下に示す動作は、各受信回路21〜28についてそれぞれ実行される。
【0065】
例えば車両のイグニッションキーがオンされ、GPS受信装置10に電力が供給されると、受信可能なGPS衛星を探索すべく、図2に示すように、ステートマシン31は、全ての受信回路20(21〜28)に対してサーチモードを設定する(ステップ100)。これにより、ステートマシン31から、各受信回路20にキャリア周波数と拡散コードの初期値が設定される。
【0066】
また、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、全ての受信回路20がサーチモードである旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、イネーブル生成回路36は、各受信回路20のサンプリングレートを高速(高消費電力モード)とすべく、図1に示すように、間隔の狭い所定のイネーブル信号を全ての受信回路20に対してそれぞれ供給する。
【0067】
一方、クロックゲーティング回路37は、全ての受信回路20(21〜28)及びサーチ判定回路32に対してクロックを供給し、全ての受信回路20がサーチモードのときに動作する必要のないフィルタ回路33及びデコード回路34に対するクロックの供給が停止されるように制御する。すなわち、全ての受信回路20がサーチモードのときに、クロックゲーティング回路37は、フィルタ回路33及びデコード回路34に第2低消費電力モードを設定する。
【0068】
そして、クロックゲーティング回路37を介してクロックが供給され、ステートマシン31により初期のキャリア周波数と拡散コードが設定された受信回路20は、デジタル化された衛星信号を受けると、上記した相関演算を実行し、相関値を出力する。そして、ステートマシン31は、サーチモードとされた受信回路20の相関値を取得する(ステップ110)。
【0069】
ステートマシン31は取得した相関値をサーチ判定回路32へ供給し、サーチ判定回路32は、相関値のピーク(ピーク相関値)と予め設定された閾値とを比較して、ピーク相関値が閾値以上か閾値未満かを判定する(ステップ120)。そして、判定結果をステートマシン31に返す。
【0070】
サーチ判定回路32による判定の結果、ピーク相関値が閾値以上であると、ステートマシン31は、該当する受信回路20に対し、動作モードとして、サーチモードに代えてトラッキングモードを設定する(ステップ130)。
【0071】
一方、ピーク相関値が閾値未満であると、ステートマシン31は、該当する受信回路20に設定されたサーチモードを維持し、入力される相関値のピーク(ピーク相関値)が予め設定された閾値以上となるまで、すなわちトラッキングモードが設定されるまで、ステップ110,120を繰り返し実行する。このとき、ステートマシン31は、比較・判定がなされるごとに、キャリア周波数と拡散コードの位相をずらし、それまでのキャリア周波数やコード位相とは異なる値を該当する受信回路20に設定する。
【0072】
トラッキングモードとされた受信回路20(21)には、トラッキングモードの初期値として、ピーク相関値が閾値以上となったときのキャリア周波数及び拡散コードが設定される。
【0073】
ステートマシン31は、トラッキングモードとされた受信回路20の相関値を取得する(ステップ140)と、取得した相関値によりトラッキング状態が保持されているか否かを判定する(ステップ150)。そして、トラッキング状態が外れている場合には、該当する受信回路20に対して再度サーチモードを設定する。
【0074】
一方、トラッキング状態が保持されていると判定した場合、ステートマシン31は、該当する相関値データを動作制御回路35に出力する。これを受けて、動作制御回路35を構成するイネーブル生成回路36は、相関値の強度と予め設定された閾値とを比較し、相関値の強度が閾値以上か否かを判定する(ステップ160)。
【0075】
イネーブル生成回路36は、判定の結果、相関値の強度が閾値以上であると、受信回路20のサンプリングレートを低速(第1低消費電力モード)とすべく、トラッキングモードが設定された該当する受信回路20のイネーブル信号として、高消費電力モード時よりも間隔の広いイネーブル信号を設定する(ステップ170)。これにより、上記したように、該当する受信回路20のサンプリングレートが、高消費電力モード時よりも低速となる。
【0076】
一方、相関値の強度が閾値未満であると、イネーブル生成回路36は、該当する受信回路20に設定された第1低消費電力モードを維持する。すなわち、サーチモード時に設定された間隔の狭い所定のイネーブル信号が、該当する受信回路20に対して継続して設定される(ステップ180)。
【0077】
そして、トラッキング状態が外れるか、GPS受信装置1への電力の供給が停止(イグニッションキーがオフ)とされるまで、ステートマシン31及び動作制御回路35は、ステップ140〜160を繰り返し実行する。
【0078】
なお、トラッキング状態であることが判定された相関値は、信号を取得するごとに、動作制御回路35だけでなく、フィルタ回路33及びデコード回路34にも入力される。そして、フィルタ回路33では、安定した受信が継続されるべく(トラッキング状態が維持されるべく)、最適なキャリア周波数、拡散コード(位相)が算出され、これにより、周期的に該当する受信回路20に再設定される。また、デコード回路34では、入力された相関値から位置や時刻などに関するナビデータが抽出され、図示しないナビゲーションECUに出力される。
【0079】
次に、上記したGPS受信装置10において、ステートマシン31及び動作制御回路35による、第2低消費電力モードの設定動作について、図3を用いて説明する。以下に示す動作は、各受信回路21〜28、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34についてそれぞれ実行される。
【0080】
GPS受信装置10に電力が供給された状態で、ステートマシン31は、全ての受信回路20(21〜28)がサーチモードであるか否かを判定する(ステップ200)。
【0081】
そして、全ての受信回路20がサーチモードと判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、全ての受信回路20がサーチモードである旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、クロックゲーティング回路37は、フィルタ回路33及びデコード回路34へクロックが供給されないように制御し、受信回路20(21〜28)及びサーチ判定回路32にはクロックが供給されるように制御する(ステップ210)。
【0082】
ステップ200にて、トラッキングモードとされた受信回路20があると判定された場合、ステートマシン31は、さらにトラッキングモードにある受信回路20の数が、測位に必要な4つ以上あるか否かを判定する(ステップ220)。
【0083】
そして、トラッキングモードとされた受信回路20の数が4つ以上あると判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、その旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、クロックゲーティング回路37は、受信回路20のうち、トラッキングしていない残りの受信回路20及びサーチ判定回路32へクロックが供給されないように制御し、トラッキングしている受信回路20、フィルタ回路33、及びデコード回路34にはクロックが供給されるように制御する(ステップ230)。
【0084】
一方、トラッキングモードとされた受信回路20の数が4つ未満であると判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、その旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、クロックゲーティング回路37は、対象となる全ての回路、すなわち、全ての受信回路20(21〜28)、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34にクロックが供給されるように制御する(ステップ240)。
【0085】
なお、図1、図4〜図6では、上記した動作モードと消費電力モードの遷移を示している。図1、図4〜図6では、サンプリングレートを低速とするための間隔の広いイネーブル信号を低速レートと示している。また、図1、図4〜図6では、消費電力モード及び動作モードに応じて、対象となる回路に対し異なるハッチングを施している。
【0086】
図1では、全ての受信回路20(21〜28)がサーチモードとされた状態を示しており、全ての受信回路20にクロックが供給されるとともに、高速サンプリングレートとすべく間隔の狭いイネーブル信号が供給されている。また、第1信号手段としてのサーチ判定回路32にはクロックが供給され、第2信号手段としてのフィルタ回路33及びデコード回路34へのクロックが供給が停止されている。
【0087】
図1に対し、図4では、測位に必要な数には足らない数の受信回路20がトラッキングモードとされた状態(図4では、受信回路21のみがトラッキング状態)を示している。図4に示す例では、受信回路21の相関値の強度が閾値未満であるため、サーチモードとされた受信回路22〜28だけでなく、トラッキングモードとされた受信回路21にも、高速サンプリングレートとすべく間隔の狭いイネーブル信号が供給されている。また、サーチモードの受信回路22〜28とトラッキングモードの受信回路21が混在するため、信号処理手段としてのサーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34にクロックが供給されている。
【0088】
図4に対し、図5では、測位に必要な数の受信回路20がトラッキングモードとされた状態(図4では、4つの受信回路21〜24がトラッキング状態)を示している。図5に示す例では、受信回路21〜24の相関値の強度がそれぞれ閾値未満であるため、トラッキングモードとされた受信回路21〜24に、高速サンプリングレートとすべく間隔の狭いイネーブル信号が供給されている。また、トラッキングモードとされていない残りの受信回路25〜28へのクロックの供給が停止されている。また、第2信号手段としてのフィルタ回路33及びデコード回路34にはクロックが供給され、第1信号手段としてのサーチ判定回路32へのクロックが供給が停止されている。
【0089】
図5に対し、図6では、トラッキングモードとされた受信回路20(21〜24)のサンプリングレートを低速とすべく、間隔の広いイネーブル信号が供給されている。すなわち、トラッキングモードとされた受信回路20の消費電力モードが第1低消費電力モードとされている。
【0090】
なお、第1低消費電力モードについては、図4に示す状態の受信回路20(21)に対して設定することもできる。トラッキングモードとされた受信回路20のうち、相関値が閾値以上を示すものに対して設定することができる。例えば、図6に示す状態において、トラッキングモードが設定された4つの受信回路21〜24のうち、一部の受信回路のみを第1低消費電力モード、残りの受信回路を高消費電力モードとすることもできる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係るGPS受信装置10によれば動作制御回路35(イネーブル生成回路36)に入力される、トラッキングモードが設定された受信回路20の相関値の強度が閾値以上となると、高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低いサンプリングレートが設定されるように、イネーブル生成回路36が間隔の広いイネーブル信号を該当する受信回路20に設定する。これにより、受信回路20は、高消費電力モード時よりも低いサンプリングレートで衛星信号をサンプリングすることできるため、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、常に一定のサンプリングレートが設定される構成に較べて消費電力の低減を図ることができる。
【0092】
また、全ての受信回路20がサーチモードのときには、全ての受信回路20を高消費電力モードとするため、上空に存在するGPS衛星を早く見つけることができる。一方、動作する必要のないフィルタ回路33及びデコード回路34については、クロックの供給を停止させて第2低消費電力モードとするため、これによっても、消費電力の低減を図ることができる。
【0093】
また、少なくとも1つの受信回路20がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信回路20の数が測位に必要な数に未達の間は、サーチモードとされた受信回路20と、トラッキングモードとされた受信回路20とが混在することとなる。しかしながら、上記実施形態によれば、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34のいずれに対してもクロックを供給するため、それぞれ所定処理を実行することができる。
【0094】
また、測位に必要な数の受信回路20がトラッキングモードとされると、トラッキングモードとされていない残りの受信回路20とサーチ判定回路32へのクロックの供給を停止させる。したがって、これによっても、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0095】
(第2実施形態)
図7に示すように、本実施形態に係るGPS受信装置10は、基本的に第1実施形態に示したGPS受信回装置10と同じ構成となっている。異なる点は、第1実施形態に示したクロックゲーティング回路37に代えて、パワーゲーティング回路38を備える点である。換言すれば、第1実施形態では、クロックの供給停止により第2低消費電力モードを設定するのに対し、本実施形態では、電力の供給停止により第2低消費電力モードを設定する点である。以下においては、異なる点を中心に説明する。
【0096】
パワーゲーティング回路38は、イネーブル生成回路36とともに、特許請求の範囲に記載の消費電力モード設定手段に相当する。このパワーゲーティング回路38は、ステートマシン31からの受信回路20(21〜28)の動作モード情報を示す信号に基づいて、各受信回路20、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34への電力の供給(電源供給)・供給停止を制御する機能を有する。すなわち、動作する必要のない回路への電力の供給を停止することで、高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードを設定する。具体的には、パワーゲーティング回路38から出力された制御信号により、各受信回路20、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34にそれぞれ接続された電力遮断用のSW(図示略)のオン・オフが制御され、動作する必要のない回路への電力の供給が停止される。
【0097】
次に、上記したGPS受信装置10において、ステートマシン31及び動作制御回路35による、受信回路20の動作モード設定及び消費電力モード設定の制御動作について説明する。この制御動作は、第1実施形態(図2参照)と基本的に同じであり、クロックの供給・供給停止を、電力の供給・供給停止に置き換えた点が異なる。したがって、図示は省略する。なお、以下に示す動作は、各受信回路21〜28についてそれぞれ実行される。
【0098】
例えば車両のイグニッションキーがオンされ、ステートマシン31及び動作制御回路35に電力が供給されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、全ての受信回路20がサーチモードである旨の動作モード情報を示す信号を出力する。この動作モード情報を受け、パワーゲーティング回路38は、全ての受信回路20(21〜28)及びサーチ判定回路32に電力が供給されるようにし、全ての受信回路20がサーチモードのときに動作する必要のないフィルタ回路33及びデコード回路34には電力が供給されない(電力の供給が停止される)ように制御する。一方、イネーブル生成回路36は、各受信回路20のサンプリングレートを高速(高消費電力モード)とすべく、間隔の狭い所定のイネーブル信号を全ての受信回路20に対してそれぞれ供給する。また、ステートマシン31は、全ての受信回路20(21〜28)に対してサーチモードを設定する。
【0099】
そして、電力が供給され、ステートマシン31により初期のキャリア周波数と拡散コードが設定された受信回路20は、デジタル化された衛星信号を受けると、上記した相関演算を実行し、相関値を出力する。ステートマシン31は、サーチモードとされた受信回路20の相関値を取得し、取得した相関値をサーチ判定回路32へ供給する。サーチ判定回路32は、相関値のピーク(ピーク相関値)と予め設定された閾値とを比較して、ピーク相関値が閾値以上か閾値未満かを判定する。そして、判定結果をステートマシン31に返す。
【0100】
サーチ判定回路32による判定の結果、ピーク相関値が閾値以上であると、ステートマシン31は、該当する受信回路20に対し、動作モードとして、サーチモードに代えてトラッキングモードを設定する。一方、ピーク相関値が閾値未満であると、ステートマシン31は、該当する受信回路20に設定されたサーチモードを維持し、入力される相関値のピーク(ピーク相関値)が予め設定された閾値以上となるまで、すなわちトラッキングモードが設定されるまで、相関値の取得と、ピーク相関値の判定を繰り返し実行する(第1実施形態の図2、ステップ110,120参照)。このとき、ステートマシン31は、比較・判定がなされるごとに、キャリア周波数と拡散コードの位相をずらし、それまでのキャリア周波数やコード位相とは異なる値を該当する受信回路20に設定する。
【0101】
トラッキングモードとされた受信回路20には、トラッキングモードの初期値として、ピーク相関値が閾値以上となったときのキャリア周波数及び拡散コードが設定される。ステートマシン31は、トラッキングモードとされた受信回路20の相関値を取得すると、取得した相関値によりトラッキング状態が保持されているか否かを判定する。そして、トラッキング状態が外れている場合には、該当する受信回路20に対して再度サーチモードを設定する。
【0102】
一方、トラッキング状態が保持されていると判定した場合、ステートマシン31は、該当する相関値データを動作制御回路35に出力する。これを受けて、動作制御回路35を構成するイネーブル生成回路36は、相関値の強度と予め設定された閾値とを比較し、相関値の強度が閾値以上か否かを判定する。イネーブル生成回路36は、判定の結果、相関値の強度が閾値以上であると、受信回路20のサンプリングレートを低速(第1低消費電力モード)とすべく、トラッキングモードが設定された該当する受信回路20のイネーブル信号として、高消費電力モード時よりも間隔の広いイネーブル信号を設定する。これにより、該当する受信回路20のサンプリングレートが、高消費電力モード時よりも低速となる。図7では、8つの受信回路20(21〜28)のうち、受信回路21〜24が低速のサンプリングレートとなっている。
【0103】
一方、相関値の強度が閾値未満であると、イネーブル生成回路36は、該当する受信回路20に設定された第1低消費電力モードを維持する。すなわち、サーチモード時に設定された間隔の狭い所定のイネーブル信号が、該当する受信回路20に対して継続して設定される。
【0104】
そして、トラッキング状態が外れるか、イグニッションキーがオフされて、ステートマシン31及び動作制御回路35への電力の供給が停止されるまで、ステートマシン31及び動作制御回路35は、トラッキングモードとされた受信回路20の相関値取得、トラキング状態の保持判定、相関値の強度判定を繰り返し実行する(第1実施形態の図2、ステップ140〜160参照)。
【0105】
なお、トラッキング状態であることが判定された相関値は、信号を取得するごとに、動作制御回路35だけでなく、フィルタ回路33及びデコード回路34にも入力される。そして、フィルタ回路33では、安定した受信が継続されるべく(トラッキング状態が維持されるべく)、最適なキャリア周波数、拡散コード(位相)が算出され、これにより、周期的に該当する受信回路20に再設定される。また、デコード回路34では、入力された相関値から位置や時刻などに関するナビデータが抽出され、図示しないナビゲーションECUに出力される。
【0106】
次に、上記したGPS受信装置10において、ステートマシン31及び動作制御回路35による、第2低消費電力モードの設定動作について、図8を用いて説明する。以下に示す動作は、各受信回路21〜28、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34についてそれぞれ実行される。
【0107】
例えば車両のイグニッションキーがオンされ、電力が供給された状態で、ステートマシン31は、全ての受信回路20(21〜28)がサーチモードであるか否かを判定する(ステップ300)。
【0108】
そして、全ての受信回路20がサーチモードと判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、全ての受信回路20がサーチモードである旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、パワーゲーティング回路38は、フィルタ回路33及びデコード回路34への電力の供給が停止(遮断)されるように制御し、受信回路20(21〜28)及びサーチ判定回路32には電力が供給されるように制御する(ステップ310)。
【0109】
ステップ300にて、トラッキングモードとされた受信回路20があると判定された場合、ステートマシン31は、さらにトラッキングモードにある受信回路20の数が、測位に必要な4つ以上あるか否かを判定する(ステップ320)。
【0110】
そして、トラッキングモードとされた受信回路20の数が4つ以上あると判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、その旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、パワーゲーティング回路38は、受信回路20のうち、トラッキングしていない残りの受信回路20及びサーチ判定回路32への電力供給が停止されるように制御し、トラッキングしている受信回路20、フィルタ回路33、及びデコード回路34には電力が供給されるように制御する(ステップ330)。
【0111】
一方、トラッキングモードとされた受信回路20の数が4つ未満であると判定されると、ステートマシン31は、動作制御回路35に対して、その旨の動作モード情報を示す信号を出力する。これにより、パワーゲーティング回路38は、対象となる全ての回路、すなわち、全ての受信回路20(21〜28)、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34に電力が供給されるように制御する(ステップ340)。
【0112】
なお、図7では、上記した動作モードと消費電力モードの遷移状態の一例を示しており、第1実施形態に示した図1,図4〜図6同様、サンプリングレートを低速とするための間隔の広いイネーブル信号を低速レートと示している。また、消費電力モード及び動作モードに応じて、対象となる回路に対し異なるハッチングを施している。
【0113】
図7に示す状態は、第1実施形態の図6に示す状態に対応しており、測位に必要な数の受信回路20がトラッキングモードとされ、且つ、トラッキングモードとされた受信回路21〜24のサンプリングレートを低速とすべく、間隔の広いイネーブル信号が供給されている。すなわち、トラッキングモードとされた受信回路20(21〜24)の消費電力モードが第1低消費電力モードとされている。また、トラッキングモードとされていない残りの受信回路25〜28への電力の供給が停止されている。また、第2信号手段としてのフィルタ回路33及びデコード回路34には電力が供給され、第1信号手段としてのサーチ判定回路32への電力の供給が停止されている。
【0114】
以上説明したように、本実施形態においても、動作制御回路35(イネーブル生成回路36)に入力される、トラッキングモードが設定された受信回路20の相関値の強度が閾値以上となると、イネーブル生成回路36が間隔の広いイネーブル信号を該当する受信回路20に設定する。これにより、受信回路20は、高消費電力モード時よりも低いサンプリングレートで衛星信号をサンプリングすることできるため、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、常に一定のサンプリングレートが設定される構成に較べて消費電力の低減を図ることができる。
【0115】
また、全ての受信回路20がサーチモードのときには、全ての受信回路20を高消費電力モードとするため、上空に存在するGPS衛星を早く見つけることができる。一方、動作する必要のないフィルタ回路33及びデコード回路34については、電力の供給を停止(遮断)させて第2低消費電力モードとするため、これによっても、消費電力の低減を図ることができる。
【0116】
また、少なくとも1つの受信回路20がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた受信回路20の数が測位に必要な数に未達の間は、第1実施形態同様、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34のいずれに対しても電力を供給するため、それぞれ所定処理を実行することができる。
【0117】
また、測位に必要な数の受信回路20がトラッキングモードとされると、トラッキングモードとされていない残りの受信回路20とサーチ判定回路32への電力の供給を停止させる。したがって、これによっても、見つけたGPS衛星をトラッキングしつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0118】
このように本実施形態では、パワーゲーティング回路38により、動作させる必要のない回路に対しての電力の供給を停止(遮断)させることができる。したがって、第1実施形態に示したように、クロックゲーティング回路37により、クロックの供給を停止させる構成に較べて、待機電力を無くせる分、より消費電力を低減させることができる。
【0119】
しかしながら、電力供給停止前の状態を回路自体に保持することができないため、電力の供給停止状態から動作可能状態に復帰させるのに時間を要する。したがって、高速道路でのカーナビゲーションなど、ある程度車両位置や衛星状態の予測が可能な条件下で用いることが好ましい。また、電力遮断用のSWのオンにより生じるノイズ対策も必要となる。
【0120】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0121】
本実施形態では、受信装置として、複数の受信回路20(受信手段)を有するGPS受信装置10の例を示した。しかしながら、GPS受信装置10に限定されるものでもない。例えば、複数の受信回路20のうち、一部の受信回路20が動作し、残りの受信回路20が動作する必要のないときには、少なくとも動作する必要のない受信回路20へのクロックの供給を停止、又は、電力の供給を停止させることで、第2低消費電力モードを設定する構成を採用すると、消費電力の低減を図ることができる。
【0122】
また、受信回路20だけでなく、信号処理回路(本実施形態では、サーチ判定回路32、フィルタ回路33、及びデコード回路34)も含めて、動作する必要のない回路へのクロックの供給を停止、又は、電力の供給を停止させて第2低消費電力モードを設定する構成を採用すると、さらに消費電力の低減を図ることができる。
【0123】
また、受信装置が備える受信回路20の数も複数に限定されるものではない。例えば、1つの受信回路20を備える受信装置において、消費電力モード設定手段(本実施形態ではイネーブル生成回路36)は、受信回路20から入力される信号の強度が予め設定された閾値を下回ると、該受信回路20に対して所定のサンプリングレートとなるように該受信回路20に対して間隔の狭いイネーブル信号を設定して高消費電力モードとし、受信回路20から入力される信号の強度が閾値以上のときには、該受信回路20に対して高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートとなるように、間隔の広いイネーブル信号を設定して第1低消費電力モードとしても良い。
【0124】
これによれば、受信回路20から入力される信号の強度が閾値を下回ると、該受信回路20に高消費電力モードとして、所定のサンプリングレートが設定される。高消費電力モードのサンプリングレートは、第1低消費電力モードのサンプリングレートよりも高いので、受信回路20は、受信信号の強度が低いときでも、安定して受信することができる。
【0125】
一方、受信回路20から入力される信号の強度が閾値以上となると、該受信回路20に高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートが設定される。これにより、受信回路20は、高消費電力モード時よりも低いレートで受信信号をサンプリングすることできるため、消費電力を低減することができる。
【0126】
このように、受信回路20から入力される信号の強度に基づいて、サンプリングレートを変更することができるので、常に一定のサンプリングレートが設定される構成に較べて、動作中の受信回路20、ひいては受信装置の消費電力低減を図ることができる。
【0127】
本実施形態では、間隔の異なるイネーブル信号を設定することで、受信回路20に対して高速のサンプリングレートと低速のサンプリングレートをそれぞれ設定できる構成を示した。しかしながら、例えば分周回路などにより、クロックの間隔(周期)を変えることで、受信回路20に対して高速のサンプリングレートと低速のサンプリングレートをそれぞれ設定できる構成としても良い。
【0128】
本実施形態では、消費電力モード設定手段として、サンプリングイネーブル回路36とともに、クロックゲーティング回路37及びパワーゲーティング回路38のいずれかを備える例を示した。しかしながら、消費電力モード設定手段として、サンプリングイネーブル回路36とともに、クロックゲーティング回路37及びパワーゲーティング回路38の両方を備えても良い。上記したように、パワーゲーティング回路38による電力供給制御の場合、電力供給停止状態から動作可能状態への復帰に時間を要する。したがって、高速道路でのカーナビゲーションなど、ある程度車両位置や衛星状態の予測が可能な条件下でパワーゲーティング回路38による制御を用い、それ以外の条件下でクロックゲーティング回路37による制御を用いると、操作性と更なる低消費電力化を両立することができる。
【符号の説明】
【0129】
10・・・GPS受信装置(受信装置)
20、21〜28・・・受信回路(受信手段)
30・・・コントローラ
31・・・ステートマシン(動作モード設定手段、計数手段)
32・・・サーチ判定回路(第1信号処理手段)
33・・・トラッキング用ループフィルタ回路(第2信号処理手段)
34・・・NAVIデータデコード回路(第2信号処理手段)
35・・・動作制御回路(消費電力モード設定手段)
36・・・サンプリングイネーブル回路
37・・・クロックゲーティング回路
38・・・パワーゲーティング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル化された信号を受信する受信手段と、
前記受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定することで、前記受信手段に対して、消費電力の高い高消費電力モードと、該高消費電力モードよりも消費電力の低い第1低消費電力モードを設定する消費電力モード設定手段と、を備え、
前記消費電力モード設定手段は、
前記受信手段から入力される信号の強度が予め設定された閾値を下回ると、該受信手段に対して所定のサンプリングレートを設定して前記高消費電力モードとし、
前記受信手段から入力される信号の強度が前記閾値以上のときには、該受信手段に対して前記高消費電力モード時に設定されるサンプリングレートよりも低い所定のサンプリングレートを設定して前記第1低消費電力モードとすることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信手段を複数含み、
前記消費電力モード設定手段は、複数の前記受信手段のうち、一部の前記受信手段が動作し、残りの前記受信手段が動作する必要のないときには、前記動作する必要のない受信手段へのクロックの供給を停止させることで、前記高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードとすることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記受信手段から入力される信号に対して所定処理を実行する信号処理手段を備え、
前記消費電力モード設定手段は、前記受信手段及び前記信号処理手段のうちの一部が動作し、残りが動作する必要のないときに、前記動作する必要のない手段へのクロックの供給を停止させて前記第2低消費電力モードとすることを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、一部の前記受信手段とともに前記第2低消費電力モードが設定される第1信号処理手段と、前記受信手段が前記第2低消費電力モードのときに前記高消費電力モードが設定される第2信号処理手段とを含むことを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
それぞれ異なるGPS衛星をトラッキングするための複数の前記受信手段を含み、
前記受信手段から入力される信号に基づいて、前記受信手段に対し、受信可能な前記GPS衛星を探すサーチモードと、サーチにより見つかった前記GPS衛星からの信号を継続受信できるようにトラッキングするトラッキングモードのいずれかを設定する動作モード設定手段と、
前記トラッキングモードが設定された受信手段の数をカウントとする計数手段と、を備え、
前記消費電力モード設定手段は、
全ての前記受信手段が前記サーチモードの間は、全ての前記受信手段を前記高消費電力モードとするとともに、前記信号処理手段のうち、前記第2信号処理手段へのクロックの供給を停止させて前記第2低消費電力モードとし、
前記計数手段の計数結果、少なくとも1つの前記受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた前記受信手段の数が測位に必要な数に未達のときは、前記第1信号処理手段及び前記第2信号処理手段に対してクロックが供給されるようにし、
前記計数手段の計数結果、トラッキングモードとされた前記受信手段の数が、測位に必要な数に達すると、トラッキングモードとされていない残りの前記受信手段と、前記信号処理手段のうちの前記第1信号処理手段へのクロックの供給を停止させて前記第2低消費電力モードとし、
前記トラッキングモードが設定された受信手段について、該受信手段からの入力信号が前記閾値以上のときに該受信手段を前記第1低消費電力モードとし、該受信手段からの入力信号が前記閾値を下回ると該受信手段を前記高消費電力モードとすることを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記受信手段を複数含み、
前記消費電力モード設定手段は、複数の前記受信手段のうち、一部の前記受信手段が動作し、残りの前記受信手段が動作する必要のないときには、前記動作する必要のない受信手段への電力の供給を停止させることで、前記高消費電力モードよりも消費電力の低い第2低消費電力モードとすることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
前記受信手段から入力される信号に対して所定処理を実行する信号処理手段を備え、
前記消費電力モード設定手段は、前記受信手段及び前記信号処理手段のうちの一部が動作し、残りが動作する必要のないときに、前記動作する必要のない手段への電力の供給を停止させて前記第2低消費電力モードとすることを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、一部の前記受信手段とともに前記第2低消費電力モードが設定される第1信号処理手段と、前記受信手段が前記第2低消費電力モードのときに前記高消費電力モードが設定される第2信号処理手段とを含むことを特徴とする請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
それぞれ異なるGPS衛星をトラッキングするための複数の前記受信手段を含み、
前記受信手段から入力される信号に基づいて、前記受信手段に対し、受信可能な前記GPS衛星を探すサーチモードと、サーチにより見つかった前記GPS衛星からの信号を継続受信できるようにトラッキングするトラッキングモードのいずれかを設定する動作モード設定手段と、
前記トラッキングモードが設定された受信手段の数をカウントとする計数手段と、を備え、
前記消費電力モード設定手段は、
全ての前記受信手段が前記サーチモードの間は、全ての前記受信手段を前記高消費電力モードとするとともに、前記信号処理手段のうち、前記第2信号処理手段への電力の供給を停止させて前記第2低消費電力モードとし、
前記計数手段の計数結果、少なくとも1つの前記受信手段がトラッキングモードとされつつトラッキングモードとされた前記受信手段の数が測位に必要な数に未達のときは、前記第1信号処理手段及び前記第2信号処理手段に対して電力が供給されるようにし、
前記計数手段の計数結果、トラッキングモードとされた前記受信手段の数が、測位に必要な数に達すると、トラッキングモードとされていない残りの前記受信手段と、前記信号処理手段のうちの前記第1信号処理手段への電力の供給を停止させて前記第2低消費電力モードとし、
前記トラッキングモードが設定された受信手段について、該受信手段からの入力信号が前記閾値以上のときに該受信手段を前記第1低消費電力モードとし、該受信手段からの入力信号が前記閾値を下回ると該受信手段を前記高消費電力モードとすることを特徴とする請求項8に記載の受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−223548(P2011−223548A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239813(P2010−239813)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】