説明

受信装置

【課題】1枚のICカードで処理可能な番組数より多くの番組を視聴できる受信装置では、同時視聴/録画する放送の種類(地上デジタル放送またはBS/CSデジタル放送、有料放送または無料放送)および複数枚のICカードの契約形態が異なる場合、必ずしも適切なICカードへのアクセスができないという問題が発生する。このような、複数のICカードを使用する際の問題を改善し、3番組以上の同時視聴/録画を行う場合の使い勝手を向上させる。
【解決手段】受信装置は、複数のICカードへのアクセスを制御する手段を備え、複数のICカードの契約形態が異なる場合に、視聴および/または録画する番組の契約有無に応じてICカードのアクセス先を適宜変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、デジタル情報を受信する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、地上デジタル放送やBS(Broadcast Satellite)デジタル放送、CS(Communication Satellite)デジタル放送などのデジタル放送が現在行われている。デジタル放送にはMULTI2暗号によるスクランブルが施されており、その視聴には限定受信制御およびデスクランブル処理が必要となる。限定受信方式に関して、特許文献1に示す発明がある。
【0003】
特許文献1には、「自分あるいは他人の受信装置に関係なく受信装置があれば契約者による番組の視聴ができるようにした衛星放送受信システムを提供すること」ことを課題とし、その解決手段として、「契約者の所有する携帯可能電子機器を受信装置に接続することにより衛星放送の受信を可能にするシステムであって、前記携帯可能電子機器は、契約者の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、契約情報に基づいて前記受信装置に設けられているデスクランブル手段の動作を制御する動作制御手段とを有し、前記受信装置は、識別情報記憶手段から識別情報を読み取る読取手段と、読み取った識別情報と衛星放送に含まれる契約情報との比較に基づいてデスクランブル処理に必要な契約情報の動作制御手段への記憶を制御する・記憶制御手段とを有する」ことが記載されている。
【0004】
また、現行の各種デジタル放送においては、限定受信方式として、B−CAS(BS Conditional Access System)カードと呼ばれる着脱可能なICカードが使用されている。B−CASカードには、地上デジタル放送の受信を目的とした地上デジタル専用カードや、地上デジタル放送およびBSデジタル放送およびCSデジタル放送の三種類が受信可能な3波共用カードなど、視聴可能な放送形態に応じて複数の種類が存在する。
【0005】
また、デジタル放送では、特定の事業者との契約によりスクランブルを解除し視聴可能となる有料放送と、そのような契約が不要な無料放送とがある。現状では、BSデジタル放送やCSデジタル放送には有料放送の番組があり、地上デジタル放送は無料放送である。そして、有料番組の視聴に関するユーザと事業者との契約は、ICカード(B−CASカード)ごとに行われることもあり、この場合当該ICカード(B−CASカード)を用いた受信装置では有料放送のデスクランブルが可能となる。
【0006】
このように、視聴する放送の形態(地上デジタル放送またはBS/CSデジタル放送、有料放送または無料放送)によって、必要となるICカードおよびその契約形態が異なる。
【0007】
また、現在、ICカード(B−CASカード)1枚を用いて2番組の視聴および/または録画を実現する受信装置が製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−138735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、現在、ICカード(B−CASカード)1枚を用いて2番組までデスクランブルする受信装置が製品化されているが、3番組以上の番組を同時に視聴および/または録画する受信装置を実現する場合は、2枚以上ICカード(B−CASカード)を用いることが必要となる。言い換えると、ICカード(B−CASカード)1枚を用いてデスクランブルする番組の数よりも多くの番組をデスクランブルする場合、2枚以上ICカード(B−CASカード)を用いることが必要となる。
【0010】
例えば3番組を同時に視聴等する場合は2枚、6番組を同時に視聴等する場合は3枚のICカード(B−CASカード)を用いることができる構成にする必要がある。
【0011】
ここで、複数同時に視聴する放送が全て地上デジタル放送等の無料放送の場合は、同時に視聴等するのに必要な枚数のICカード(B−CASカード)を用いることができるように構成すればよいが、特定の事業者との契約によりスクランブルを解除し視聴可能となる有料放送を視聴できる受信装置を考えた場合、以下の問題点が考えられる。
【0012】
特定の事業者との契約による有料番組の視聴について、ICカード(B−CASカード)ごとに有料番組の視聴契約をする場合、仮に複数枚のICカード(B−CASカード)を用いる受信装置を持っているユーザと契約する場合であっても、有料番組の視聴契約を行うICカード(B−CASカード)は1枚であると考えられる。なぜならば、複数枚のICカード(B−CASカード)に対して1件分の契約を行うと、複数のICカード(B−CASカード)を用いて複数の受信装置で契約した有料番組の視聴が可能となり、場合によっては1件分の契約で複数の家庭で有料番組の視聴が可能となってしまうからである。
【0013】
そうすると、複数のICカード(B−CASカード)を用いる受信装置を持っているユーザが有料番組の視聴契約を1件行う場合、その有料番組をデスクランブルできる1枚のカードと、その有料番組をデスクランブルできない他のカードとが1つの受信装置に混在することになる。この場合、有料放送の視聴や録画を行おうとしても、必ずしも適切なICカード(B−CASカード)へのアクセスができないという問題が発生する。
【0014】
図1(a)を例に説明すると、2枚のICカード(B−CASカード)のうち、1枚のICカード(B−CASカード)は契約済みカード(有料放送視聴可、図1(a)のICカードA)、もう1枚のICカードは非契約カード(有料放送視聴不可、図1(a)のICカードB)であった場合、契約済みカード(ICカードA)へのアクセスが無料番組のデスクランブル処理で占有されているときに新規に有料番組の視聴を希望したとしても、非契約カード(ICカードB)では有料放送のデスクランブルはできないため、有料番組を視聴することはできない。
【0015】
より詳細な具体例を以下に示す。契約済みカード(ICカードA)1枚・非契約カード(ICカードB)1枚の計2枚のICカードを使用する構成において、1枚で処理可能な番組数が2番組であり、無料放送の視聴や録画を3番組以上同時に行う場合は、契約済みカード(ICカードA)および非契約カード(ICカードB)の両方を用いて無料放送のデスクランブル処理を行うことになる(図1では3つの番組を同時にデスクランブルしている例)。
【0016】
その後、非契約カード(ICカードB)を用いてデスクランブルしていた無料放送の視聴を停止し、契約済みカード(ICカードA)を用いた無料放送のデスクランブル処理を継続すると、契約済みカード(ICカードA)を用いて無料放送のデスクランブル処理を継続することとなる。このような状況下で、新規に有料放送を視聴しようとすると、契約済みカード(ICカードA)は無料放送のデスクランブルに占有されているため、新たに有料放送を視聴することができないという状況が発生し、ユーザにとっては著しく使い勝手が悪い。
【0017】
このような問題は、有料放送・無料放送といった契約有無に差異がある場合だけでなく、デスクランブルできる番組が異なる複数種類のICカード(B−CASカード)を用いる場合にも発生しうる。
【0018】
例えば、ICカードが処理可能な放送種別(BS放送/CS放送/地上デジタル放送)に差異がある場合である。図1(b)に示すように、2枚のICカード(B−CASカード)のうち、1枚のICカード(B−CASカード)はBS放送、CS放送、地上デジタル放送が視聴可能な3波共用カード(図1(b)のICカードA)、もう1枚のICカードは地上デジタル放送のみが視聴可能な地上デジタル専用カード(図1(b)のICカードB)であった場合、3波共用カード(ICカードA)へのアクセスが地上デジタル放送のデスクランブル処理で占有されているときに新規にBS放送の視聴を希望したとしても、非地上デジタル専用カード(ICカードB)ではBS放送のデスクランブルはできないため、BS放送を視聴することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の態様は、スクランブル処理が施されたデジタル放送を受信する受信部と、受信したデジタル放送のスクランブルを解除するデスクランブル部と、デスクランブル処理に使用する複数の限定受信制御部と、デスクランブル処理に使用する限定受信制御部を制御する制御部とを備え、制御部はデスクランブル部におけるデスクランブルに用いられる限定受信制御部を切替えるように構成する。
【発明の効果】
【0020】
上記手段によれば、複数の限定受信制御部(ICカード、B−CASカード等)を用いる受信装置の使い勝手を向上させることができる。例えば、デスクランブル処理できる放送が異なる複数の限定受信制御部が混在する受信装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】複数枚のICカードを使って3番組以上の同時視聴を行う場合の問題点の例を示す図
【図2】限定受信方式の概念の一例を示す図
【図3】送受信システムの構成の一例を示す図
【図4】送信装置の構成の一例を示す図
【図5】スクランブル制御部の構成の一例を示す図
【図6】受信装置の構成の一例を示す図
【図7】実施例1乃至3における受信装置の構成の一例を示す図
【図8】実施例1乃至2における限定受信制御の処理の一例を示す図
【図9】実施例1における限定受信制御部へのアクセス方法の一例を示す図
【図10】実施例1乃至3における受信装置の別の構成の一例を示す図
【図11】実施例2における限定受信制御部へのアクセス方法の一例を示す図
【図12】実施例1乃至3における制御部の機能ブロックの一例を示す図
【図13】実施例1における限定受信制御部へのアクセスを切り替える方法の一例を示す図
【図14】実施例2における限定受信制御部へのアクセスを切り替える方法の一例を示す図
【図15】実施例3における限定受信制御部へのアクセスを切り替える方法の一例を示す図
【図16】実施例1における限定受信制御部へのアクセスを切り替える方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に好適な実施形態の例(実施例)を説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されない。本実施例は、主には日本における放送方式および限定受信方式に関するものである。
【実施例1】
【0023】
放送の形態に応じたICカード種別の分類がある場合、例えば地上デジタル放送専用カードと3波共用カードなどの分類がある場合は、規格などで視聴可能な放送形態が制限されることがある。上記の例では、地上デジタル放送専用カードではBS/CSデジタル放送を視聴することはできない、などのように制限されることがある。
【0024】
また、1枚のICカードでデスクランブル可能な番組数は、規格などで制限されることがある。
【0025】
実施例では、放送信号は、画像圧縮技術としてMPEG(Moving Picture Experts Group)方式によって符号化され、MPEG2―TS(Transport Stream)方式で多重化された信号を例に挙げて説明する。
【0026】
図2に限定受信方式の概念図の例を示す。
【0027】
送信側において、スクランブル鍵Ksによって映像等を含むストリームにスクランブルを施す。スクランブル鍵Ksはワーク鍵Kwにより暗号化され、スクランブルされたストリームに多重化される。また、ワーク鍵Kwはマスター鍵Kmにより暗号化され、スクランブルされたストリームに多重化される。以上のようにして限定受信方式を用いたストリームは生成され、送信される。限定受信のために必要な情報は、すべての視聴者に共通な情報(ECM:Entitlement Control Message)、視聴者ごとに異なる情報(EMM:Entitlement Management Message)に分類され、スクランブル鍵KsはECMとして、ワーク鍵KwはEMMとしてストリームに多重化される。
【0028】
受信側において、受信したストリームよりECMおよびEMMなどの限定受信に必要な情報を分離する。特定の契約が必要な放送の場合は、EMMをマスター鍵Kmで復号することによりワーク鍵Kwおよび契約情報を得る。特定の契約が不要な放送であれば、限定受信制御を行うデバイスが持つKwを得る。ECMをワーク鍵Kwにより復号することでスクランブル鍵Ksを得る。契約情報に基づく視聴判定を行い、視聴可能であればスクランブル鍵Ksにより、受信したストリームをデスクランブルする。
<システム>
図3は、本実施例のシステムの構成例を示すブロック図である。この図は、放送で情報を送受信して表示および記録再生する場合を例示している。
【0029】
301は放送局などの情報提供局に設置される送信装置、302は中継局や放送用衛星などに設置される中継装置、303はユーザの宅内などに設置される受信装置、304は受信装置303に内蔵される限定受信システムである。限定受信システム304は、デジタル放送に施されるスクランブルを解除(デスクランブル処理)し、視聴および/または録画可能とする仕組みを備える。記録再生部305では、限定受信システムでデスクランブルした情報を記録し、再生することができる。出力部306は、受信装置303がディスプレイなどの出力装置を備える場合はその装置から、備えない場合は別の装置へ情報信号を出力することができる。
【0030】
送信装置301は、中継装置302を介して、変調された信号電波を伝送する。例えばケーブルによる伝送、電話線による伝送、地上波放送による伝送などを用いることもできる。受信装置303で受信されたこの信号電波は、後に述べるように、限定受信制御方式に基づきデスクランブル処理され、必要に応じ表示出力あるいは記録に適した信号に変換される。また、ユーザは、出力部306から出力される映像音声を視聴することができる。
【0031】
<送信装置>
図4は、図3のシステムのうち、送信装置301の構成例を示すブロック図である。401はソース発生部、402はMPEG方式等で圧縮を行うエンコード部、403はスクランブル部、404は変調部、405は送信アンテナ、406はスクランブル制御部である。カメラ、記録再生装置などからなるソース発生部401で発生した映像音声などの情報は、より少ない占有帯域で伝送できるよう、エンコード部402でデータ量の圧縮が施される。放送事業者の運用に従って、必要に応じてスクランブル部403で、特定の視聴者には視聴可能となるようにスクランブル処理される。変調部404で伝送するに適した信号となるよう変調された後、送信アンテナ405から、中継装置302に向けて電波として送信される。このとき、スクランブル制御部406では、スクランブル処理に必要な情報を多重化する。
【0032】
図5にスクランブル制御部406の動作例を示す。
スクランブル制御部406では、エンコード部で生成された映像信号、音声信号、および必要に応じて別途入力されるデータ信号に加え、限定受信制御に必要な情報であるECM、EMMをMPEG2規格で定められるTransport Stream(TS)として多重化する。この多重化された信号はスクランブル部403によりスクランブルされる。主にスクランブルは、MPEG2規格で定められるTSパケットのペイロード部分を対象として施される。なお、一つの電波には複数の情報が、時分割、スペクトル拡散などの方法で多重されることが多いが、その点については説明を割愛する。
<受信装置>
図6にデジタル受信装置の構成例を示し、各部の動作について説明する。図6の受信装置601において、602は放送波を受信するアンテナ、603は選局および復調を行うチューナ部、604は放送信号のスクランブルを解除するデスクランブラ、604は多重された信号から所望する信号を分離する分離部、606は映像・音声信号のデコードを行うデコード部、607はデコードされた映像・音声信号等を出力する出力部、608は受信制御を行う制御部、609は限定受信のための契約情報や鍵の管理および制御を行う限定受信制御部である。
【0033】
アンテナ602で受信した放送信号は、チューナ部603へ送られ、チューナ部603はベースバンド信号に復調すると共にエラー訂正等を施してデスクランブラ604へ出力する。デスクランブラ604は、限定受信制御部609より得られるスクランブル解除鍵によりスクランブルの解除を行う。
【0034】
例えば日本のデジタル放送では、映像・音声・データなどのコンテンツにスクランブルが施され、番組名などの番組付加情報にはスクランブルが施されておらず、また、限定受信のための限定受信制御信号には暗号化が施されており、前記スクランブルされたコンテンツがスクランブル解除の対象となる。
【0035】
スクランブル解除された信号は分離部605において所望する信号が分離され、映像・音声信号はデコード部606へ、番組付加情報や限定受信制御信号は制御部608を通して限定受信制御部609へ伝送される。映像・音声信号デコード部606でデコードされ、出力部607によりディスプレイやスピーカ等で表示される。
【0036】
制御部608は、上記のような受信制御を行い、分離部605より得た限定受信制御信号を限定受信制御部609へ渡し、前記スクランブル解除鍵を限定受信制御部609より得てデスクランブラ605に設定することで、スクランブルされた放送をスクランブル解除して視聴および/または録画可能とする。
【0037】
この例の日本におけるデジタル放送の場合、限定受信制御部609は着脱可能なICカードであり、限定受信制御信号にはEMMとECMを用いる。よって、受信装置601には、限定受信制御部609を接続するスロット(接続部ともいう)を有する。また、以下の実施例では限定受信制御部を複数用いる構成を説明するが、複数の限定受信制御を用いる場合は上記スロットも複数有することとなる。
【0038】
契約に関する情報であるEMMを取得し、限定受信制御部609に通知すると、限定受信制御部609が持つマスター鍵Kmで復号され、ワーク鍵Kwが設定される。スクランブルされた番組と共に放送されるスクランブルを解除する情報であるECMを取得し、限定受信制御部609に渡すと、限定受信制御部609に設定されたワーク鍵Kwで復号され、スクランブル鍵Ksが得られる。
【0039】
制御部608は、限定受信制御部609から前記スクランブル鍵Ksを得、デスクランブラ605へ設定する。以上のように、契約情報が限定受信制御部609内にあり、その契約情報によって契約している放送のスクランブルを解除するための鍵を得る。
【0040】
以降、地上デジタル放送などで提供される、特別な視聴契約を行うことなく視聴可能となるICカードを非契約カードと呼び、非契約カードによってデスクランブルすることのできる番組を無料番組と呼ぶ。また、一部のBSデジタル放送やCSデジタル放送などで提供される、放送波に特別なスクランブル処理を行い、特定の事業者との契約によりスクランブルを解除し視聴可能となるICカードを契約カードと呼び、契約カードによってのみデスクランブルすることのできる番組を有料番組と呼ぶ。
【0041】
各実施例では、ICカードの数は2枚であり、そのうち契約カードの数は1枚、非契約カードの数は1枚であるとし、また、1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数は2番組までであるとし、同時視聴および/または同時録画可能な番組数は3番組までであるとして説明するが、本発明はこれらのICカード等の数や1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数、同時視聴および/または同時録画可能な番組数の例に制限されない。
【0042】
以下、本実施例のより具体的な処理について説明する。
図7に、2系統の限定受信制御部を備え、同時に3番組の視聴および/または録画が可能な受信装置の構成例を示す。図7の受信装置701において、602はアンテナ、603および613はチューナ部AおよびB、604および614はスクランブルを解除するデスクランブラAおよびB、605および615は多重された信号から所望する信号を分離する分離部AおよびB(例えば、デマルチプレクサなど)、606はデコード部(例えば、MPEGデコーダなど)、607はデコードされた映像・音声信号等を出力する出力部(例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma DISPLAY Panel)などを利用した表示部、スピーカ等による音声出力部、または他の表示装置などにアナログあるいはデジタルの映像データ/音声データを出力するHDMI(High Definition Multimedia Interface)出力端子など)、608は受信制御を行う制御部、609および610は限定受信のための契約情報や鍵の管理及び制御を行う限定受信制御部AおよびB(例えば、ICカード・スマートカードなどと呼ばれる演算処理機能を有するカード類や半導体チップ(IC、システムLSI、ASIC、FPGAなど)、CPUなどの演算装置によりソフトウェアとして動作するプログラム、などが用いられる)、611は記録のためのデータ管理および制御を行う記録制御部、612は番組を記録するための記録媒体(例えばハードディスクドライブ(HDD)、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどのランダムアクセスが可能な媒体)、616は各放送データをデコード部606および/または記録制御部611のどちらへ出力するかを選択する経路選択部である。
【0043】
各部の動作に関しては前述の受信装置601と同様であるが、チューナおよびデスクランブラおよび分離部および限定受信制御部が2系統となっている点で異なる。また、この例では、チューナA603およびデスクランブラA604および分離部A605および限定受信制御部A609は1つのチャンネル(番組)を取り扱い、チューナB613およびデスクランブラB614および分離部B115および限定受信制御部B610は2つのチャンネル(番組)を同時に取り扱う。また、限定受信制御部A609は、地上デジタル放送およびBSデジタル放送およびCSデジタル放送の有料番組の視聴が可能となる契約情報を保持するものとし(以降、契約情報xとする)、一方で、限定受信制御部B610は、地上デジタル放送のみの視聴が可能となる契約情報を保持するものとする(以降、契約情報yとする)。制御部608は、複数の番組のデスクランブル処理を、限定受信制御部A609および限定受信制御部B610のどちらに処理させるか(アクセス先をどちらにするか)を切り替える機能を備える。また、制御部608は、限定受信制御部A609または限定受信制御部B610のうち、どちらに有料番組を視聴可能な契約情報(契約情報x)を保持しているかを判別することができる(制御部608の備える機能ブロックや契約情報などの判別方法の詳細は後述する)。
【0044】
有料番組の視聴および/または録画を含む場合のデスクランブル動作の一例を図8に示す。この例では、番組a、b、cは無料番組であり、番組dは有料番組であるとする。処理開始後、S801では限定受信制御部Bから得られる契約情報yに基づき番組aのデスクランブル処理を行い、S802では限定受信制御部Aから得られる契約情報xに基づき番組bのデスクランブル処理を行い、S803では同様に限定受信制御部Aから得られる契約情報xに基づき番組cのデスクランブル処理を行う。これらの処理は同時並行で繰り返し行われているものとする。
【0045】
このときの限定受信制御部のアクセス状況を図9(1)に示す。有料番組および無料番組の視聴が可能な限定受信制御部A(契約情報xを保持)では、2系統のデスクランブル情報を提供し、無料番組のみの視聴が可能な限定受信制御部B(契約情報yを保持)では、1系統のデスクランブル情報を提供しているものとする。
【0046】
このような視聴状態のとき、S804において、番組aを切り替えて番組dを視聴する場合、B−CASカードのアクセスは2系統までという制限により現在アクセス可能な限定受信制御部Bでは、有料番組の視聴が可能な契約情報xを保持していないため、番組dのデスクランブルが行えないこととなる(図9(2))。そこで本実施例では、S804において番組aを切り替えて番組dを視聴する場合、S805へ遷移し、番組cの契約情報取得先を限定受信制御部Bへ切り替える。番組cは無料番組であるので、限定受信制御部Aでなく限定受信制御部Bによってもデスクランブル可能であるためである。S805における切替処理の詳細については後述する。S805の後、S806へ遷移し限定受信制御部Bから得られる契約情報yに基づき番組bのデスクランブルを改めて開始する。この処理を経て、有料番組の視聴が可能な契約情報xを保持する限定受信制御部Aへのアクセスが可能となったので、S806からS807へ遷移し、限定受信制御部Aから得られる契約情報xに基づき番組dのデスクランブルを開始する(図9(3))。以上で処理を終了する。
【0047】
S805における切替処理の例について説明する。切替処理における制御部608の機能ブロック図の一例を図12に示す(図12は、図7の同符号の機能ブロックと同様のものである)。制御部608は、限定受信制御情報取得部1301、番組契約情報取得部1302、アクセス部A1303、アクセス部B1304、アクセス切替部1305、アクセス状況監視部1306、鍵情報設定部1307を備える。
【0048】
分離部A605およびB615は限定受信制御情報取得部1301に接続され、アクセス切替部1305からの4入出力は、限定受信制御部A609およびB610へ2つずつ接続され、鍵情報設定部1307はデスクランブラA604およびB614へ接続される。
【0049】
限定受信制御情報取得部1301は、分離部A605および/またはB615が取得した受信中の番組の限定受信制御情報(例えばECMなど)を取得する。番組契約情報取得部1302は、限定受信制御情報取得部1301が取得した限定受信制御情報から、受信中の番組が有料番組であるかどうかを判別する。または、チューナなどの選局情報を別の箇所から取得し、受信中の番組が有料番組であるかどうかを判別してもよい。
【0050】
アクセス部A1303は、チューナA・デスクランブラA・分離部Aの系統で受信した番組による限定受信制御部へのアクセスを行い、アクセス部B1304は、チューナB・デスクランブラB・分離部Bの系統で受信した番組による限定受信制御部へのアクセスを行うものとする。ここでのアクセスとは、例えば限定受信制御情報(ECMなど)を送信し、鍵情報を受信する処理のことを指す。
【0051】
アクセス切替部1305は、アクセス部A1303およびB1304がアクセスする限定受信制御部A609およびB610を切り替える動作を行う。アクセス状況監視部1306は、アクセス部A1303およびB1304がどちらにアクセスを行っているかを監視し、また、限定受信制御部A609およびB610がどの契約情報を備えているかの情報を保持しておき、番組契約情報取得部1302が取得した当該番組の契約情報と、アクセス部A1303およびB1304のアクセス状況を比較する処理を行う。この比較結果に基づきアクセス切替部1305は動作を行う。鍵情報設定部1307はアクセス部A1303およびB1304が取得した鍵情報を、デスクランブラA604および/またはB614のうち適切なブロックに対し設定する。
【0052】
アクセス状況監視部1306が、限定受信制御部A609およびB610がどの契約情報を備えているかの情報を保持するためには、例えば各限定受信制御部に相当する各カードスロットへ挿入されるカード種別や契約形態をあらかじめ定めておき、その設定に従う方法が挙げられる。
【0053】
すなわち、一方のカードスロットには3波共用カード(有料番組契約可能)、もう一方のカードスロットには地上デジタル放送専用カード(契約なし)を挿入するよう定めておくことで、アクセス状況監視部1306は契約情報を保持することができる。他には、起動時などに全チャンネルをスキャンし、限定受信制御部A609およびB610へのアクセスおよびレスポンスを確認することで、どの契約情報を備えているか(そのチャンネルをデスクランブル可能か)の情報を取得し、その情報をあらかじめ管理テーブルなどに記憶媒体612等に記録しておく方法がある。また、毎回の選局ごとに限定受信制御部A609およびB610へのアクセスおよびレスポンスを確認し都度管理テーブルを作成・更新する方法もある。これらはそれぞれ同時に行ってもよい。
【0054】
切替処理の例を図13に示す。上記で説明した図8のS804の処理の詳細を述べる。この例では、新たに選局する番組dは、アクセス部A1303により限定受信制御部へアクセスするものとし、この時点まで選局されていた番組c、d(ともに無料番組)は、アクセス部B1304により限定受信制御部へアクセスするものとする。
【0055】
S1401で新たに番組dへの選局操作が行われた場合、S1402へ遷移する。選局操作がない場合は処理を終了する。S1402では、限定受信制御情報取得部1301にて契約情報を取得し、番組契約情報取得部1302で番組dが契約の必要な番組(有料番組)であるかどうかを判別する。番組dが有料番組(契約要)である場合は、S1403へ遷移する。なお、本処理は有料番組を視聴する場合を例に挙げるため、無料番組である場合についてはここでは言及しない(契約カード・非契約カード問わずデスクランブル可能であるため、アクセス切替処理は不要である。
【0056】
図13のシーケンスではそのまま処理終了とする)。S1403では、アクセス状況監視部1306により、有料番組をデスクランブル可能な限定受信制御部A609(契約カード)へのアクセスが可能かを判別する。S1403において、限定受信制御部A609へのアクセスが可能である(他のデスクランブル処理で占有されていない)場合、S1404へ遷移し、アクセス切替部1305により、アクセス部A1303による番組dのデスクランブル先を限定受信制御部A609に設定し、S1409へ遷移する。
【0057】
S1403において、限定受信制御部A609へのアクセスが可能でない(他のデスクランブル処理で占有されている)場合、S1405へ遷移する。S1405では、アクセス部B1304による番組c(無料番組)のデスクランブルを停止し、S1406へ遷移する。S1406では、アクセス切替部1305により、番組cのデスクランブルを限定受信制御部B610へ変更し、S1407へ遷移する。S1407では、アクセス部B1304による番組cのデスクランブルを再開し、S1408へ遷移する。
【0058】
このようにすることで、無料番組による限定受信制御部A609が占有されている状況を回避する。ここまでで有料番組のデスクランブルが可能な限定受信制御部A609へのアクセスが可能となったので、S1408において、アクセス切替部1305により、アクセス部A1303による番組dのデスクランブル先を限定受信制御部A609に設定し、S1409へ遷移する。
【0059】
S1409では、アクセス部A1303による番組dのデスクランブルを開始し、処理を終了する。これらの処理は、限定受信制御を行う必要がある場合に繰り返し実行される。以上の処理により、制御部608は限定受信制御部A609および/またはB610へのアクセスを切り替える。
【0060】
アクセスの切替に伴うアクセス開始/停止は、全てのアクセスに対し同時に発生させるのでもよいし、いずれかのアクセスのみ発生させ、それを順次繰り返してもよい。
【0061】
また、図10に受信装置の別の構成を示す。受信装置1001は、入力部1002および出力部1003を備え、その他の符号は図7の受信装置701と同様である。入力部1002は、チューナからの放送波や、他機器からネットワーク経由で受信する信号などを入力信号として扱うことが可能なインターフェースでであり、出力部1003は、他機器へネットワーク経由でデスクランブル後の信号を送出することが可能なインターフェースである。入出力信号は、主にMPEG2−TSによるストリームが想定されるが、限定受信制御を行う必要があるストリームデータであればその他の形式でもよい。この受信装置1001においても、上記図8、図13に示すような処理を行うことが可能である。
【0062】
本実施例では、限定受信制御部へのアクセスを切り替える手段を設けることで、有料番組のデスクランブル時に有料番組の契約情報を保持する限定受信制御部が無料番組によるアクセスで占有されている場合でも、無料番組のみ視聴可能な契約情報を保持する限定受信制御部に無料番組のアクセス先を変更することで、有料番組のデスクランブルが可能になるという効果がある。
【0063】
また、以上の説明は、ICカードの数は2枚であり、そのうち契約カードの数は1枚、非契約カードの数は1枚であるとし、また、1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数は2番組までであるとし、同時視聴および/または同時録画可能な番組数は3番組までであるとして説明したが、これらの数を一般化し、ICカードの数をN枚(N≧2)、そのうち非契約カードの数をM枚(0<M<N)、契約カードの数をN−M枚とし、また、1枚のICカードで同時にデスクランブル可能な番組数はL番組までであるとし、同時視聴および/または同時録画可能な番組数はN×L番組までであるとしても同様の効果を得ることが出来る。この場合、図12に示すアクセス部はICカードの合計数と同じN+M個を備えるものとする。
【0064】
なお、上記では限定受信制御部が着脱可能なICカードである場合を説明したが、限定受信制御部は受信装置の内部に含まれるようにしてもよい。また、契約情報等を受信装置内部のメモリに記録しておき、限定受信制御部での処理を受信装置の制御部で行うようにしてもよい。また、限定受信制御部を複数有する構成においては、一部を受信装置内部に含むようにし(限定受信制御部での処理を受信装置の制御部で行うことも含む)、一部を受信装置に着脱可能となるように構成(例えば、限定受信制御部を接続するスロットを設ける)してもよい。
【0065】
また、ここまでの説明では有料番組/無料番組を例に挙げたが、有料無料に関わらず、契約が必要となる放送(例えば、無料であるが特定の事業者との契約が必要となる番組など)についても、契約の有無によってアクセス先を切り替える必要がある場合には上記説明と同様の効果がある。
【0066】
また、限定受信制御部が処理できる放送種別(BS/CS/地上デジタル、など)に差異がある場合も、図13で説明した例と同様のシーケンスにより、アクセス先を切り替えることが可能である。例として、限定受信制御部A609は、地上デジタル放送およびBSデジタル放送およびCSデジタル放送の視聴が可能な3波共用カードとし、一方で、限定受信制御部B610は、地上デジタル放送のみの視聴が可能な地上デジタル放送専用カードとする場合を考える。制御部608は、限定受信制御部A609または限定受信制御部B610のうち、どちらがBS/CS放送が視聴可能なICカードであるかの情報を判別することができる。
【0067】
切替処理の例を図16に示す。この例では、新たに選局する番組d(BS放送)は、アクセス部A1303により限定受信制御部へアクセスするものとし、この時点まで選局されていた番組c、d(ともに地上デジタル放送)は、アクセス部B1304により限定受信制御部へアクセスするものとする。
【0068】
S1401で新たに番組dへの選局操作が行われた場合、S1701へ遷移する。選局操作がない場合は処理を終了する。S1701では、限定受信制御情報取得部1301にて契約情報を取得し、番組契約情報取得部1302で番組dがBS放送であるかどうかを判別する。番組dがBS放送番組(3波共用カードが必要)である場合は、S1702へ遷移する。
【0069】
なお、本処理はBS放送やCS放送など3波共用カードを要する番組へ選局する場合を例に挙げるため、選局したチャンネルが地上デジタル放送である場合についてはここでは言及しない(地上デジタル放送は3波共用カード・地上デジタル専用カード問わずデスクランブル可能であるため、アクセス切替処理は不要である。図16のシーケンスではそのまま処理終了とする)。
【0070】
S1702では、アクセス状況監視部1306により、BS放送をデスクランブル可能な限定受信制御部A609(3波共用カード)へのアクセスが可能かを判別する。S1702において、限定受信制御部A609へのアクセスが可能である(他のデスクランブル処理で占有されていない)場合、S1404へ遷移し、アクセス切替部1305により、アクセス部A1303による番組dのデスクランブル先を限定受信制御部A609に設定し、S1409へ遷移する。
【0071】
S1702において、限定受信制御部A609へのアクセスが可能でない(他のデスクランブル処理で占有されている)場合、S1405へ遷移する。S1405では、アクセス部B1304による番組c(地上デジタル放送)のデスクランブルを停止し、S1406へ遷移する。
【0072】
S1406では、アクセス切替部1305により、番組cのデスクランブルを限定受信制御部B610へ変更し、S1407へ遷移する。S1407では、アクセス部B1304による番組cのデスクランブルを再開し、S1408へ遷移する。このようにすることで、地上デジタル放送番組のデスクランブルにより限定受信制御部A609が占有されている状況を回避する。
【0073】
ここまででBS放送番組のデスクランブルが可能な限定受信制御部A609へのアクセスが可能となったので、S1408において、アクセス切替部1305により、アクセス部A1303による番組dのデスクランブル先を限定受信制御部A609に設定し、S1409へ遷移する。S1409では、アクセス部A1303による番組dのデスクランブルを開始し、処理を終了する。これらの処理は、限定受信制御を行う必要がある場合に繰り返し実行される。以上の処理により、制御部608は限定受信制御部A609および/またはB610へのアクセスを切り替える。
【0074】
本実施例では、限定受信制御部へのアクセスを切り替える手段を設けることで、BS/CS放送のデスクランブル時にBS/CS放送のデスクランブルを可能とする限定受信制御部が地上デジタル放送によるアクセスで占有されている場合でも、地上デジタル放送のみ視聴可能な契約情報を保持する限定受信制御部に地上デジタル放送のアクセス先を変更することで、BS/CS放送のデスクランブルが可能になるという効果がある。
【0075】
なお、アクセス状況監視部1306が、限定受信制御部A609およびB610がどの契約情報を備えているかの情報を保持するために、限定受信制御部に相当する各カードスロットへ挿入されるカード種別や契約形態をあらかじめ定められている場合は、無料番組など、どのような契約情報でもデスクランブルできる放送番組を、可能な限り非契約カードでデスクランブルするようにアクセス切替部を制御することで、アクセス先切替の頻度を減少させることも可能である。地上デジタル放送番組の場合は、可能な限り地上デジタル放送専用カードに割り当てることで同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0076】
実施例1は、有料番組の契約情報を保持する限定受信制御部が無料番組によるデスクランブル処理のアクセスで占有されている場合でも、無料番組によるデスクランブル処理のアクセス先を、無料番組のみ視聴可能な契約情報を保持する限定受信制御部に変更することで、有料番組のデスクランブルが可能になるものであったが、本実施例では、無料番組のアクセス先変更の際に、ある期間だけ複数の限定受信制御部へのアクセスを行い、変更するアクセス先から正常な応答が得られた後に、変更を有効とする方法を説明する。
【0077】
本実施例における視聴時のデスクランブル動作の一例を、図8および図11にて説明する。本実施例では、S805において、番組cのデスクランブル処理を行うとき、従来アクセスしていた限定受信制御部Aに加え、限定受信制御部Bへも同時にアクセスを始める(図11(2)’)。その後S806へ遷移し、限定受信制御部Bより正常な応答が得られ次第、限定受信制御部Aへのアクセスを停止する(図11(3)’)。その後S807へ遷移し、番組dのデスクランブルのために限定受信制御部Aへのアクセスを開始する(図11(4))。
【0078】
このときの制御部608の動作例を図14に示す。S1401乃至S1404、S1409は図13(実施例1)と同様の処理のため説明を割愛する。S1501において、アクセス切替部1305により、アクセス部B1304による番組cのアクセス先を、これまでアクセスしていた限定受信制御部A609に加え限定受信制御部B610へもアクセスするよう変更し、S1502へ遷移する。
【0079】
S1502では、新たにアクセスする限定受信制御部B610からの正常応答を待つ。正常応答があればS1503へ遷移し、ない間はS1502で待機を繰り返す。なお本実施例では、ICカードの故障などの理由で正常応答が得られない場合については考慮しない。この待機期間中のデスクランブルは、これまでアクセスしていた限定受信制御部A609によってなされる。
【0080】
S1503では、限定受信制御部B610から正常応答が得られた(すなわち、以降限定受信制御部B610でデスクランブル可能となった)ため、アクセス部B1304による番組cの限定受信制御部A609へのアクセスを停止し、S1504へ遷移する。
【0081】
S1504では、限定受信制御部A609へのアクセスが可能となっているので、アクセス切替部1305により、アクセス部A1303による番組dのデスクランブル先を限定受信制御部A609に設定し、S1505へ遷移する。
【0082】
S1505では、アクセス部B1304による番組cのデスクランブルを再開し、S1409へ遷移する。なお、S1504、S1505はどちらが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。これらの処理は、限定受信制御を行う必要がある場合に繰り返し実行される。以上の処理により、アクセス切替の対象である番組のアクセスを、切替途中においては両方の限定受信制御部にアクセスし、切替先でデスクランブル可能となった後に切り替える、という動作を実現する。
【0083】
本実施例では、切替後の限定受信制御部を用いたデスクランブルが可能となってから切替前の限定受信制御部を用いたデスクランブルを終了させるため、アクセス先変更に伴い、限定受信制御部の切替え時に発生し得るデスクランブル不可の期間を可能な限り短縮することができる。すなわち、デスクランブル不可により生じる映像の途切れ、ブランク等をより少なくすることができるため、より安定に視聴および/または録画を継続でき、ユーザにとって使いやすい受信装置を提供することができる。
【0084】
また、本実施例においても、実施例1と同様、契約有無(有料/無料)による差異だけでなく、限定受信制御部が処理できる放送種別(BS/CS/地上デジタル、など)に差異がある場合も、アクセス先を切り替えることが可能である(図14のS1402、S1403が図16のS1701、S1702にそれぞれ置き換えることで同様のシーケンスとなる)。
【実施例3】
【0085】
実施例1および2は、選局している番組を切り替えた場合に、必要に応じてデスクランブル処理のアクセス先を変更するものであったが、現在選局中の放送の契約情報を監視し、連続する2つの番組で契約情報が異なる場合や、1番組の中で部分的に契約情報が変化する場合に、自動的にアクセス先を変更する方法がある。
【0086】
図7における制御部608は、視聴および/または録画する番組の契約情報の要否に従い、限定受信制御部A609および限定受信制御部B610のどちらでデスクランブル処理を行わせるかを切り替える。この契約情報の要否は、図12の限定受信制御情報取得部、番組契約情報取得部で判別する。
【0087】
本実施例における切替処理の例を図15に示す。処理を開始すると、S1601へ遷移し、契約情報を取得する。この後、S1602へ遷移し、契約情報の変化があったかどうかを判別する。契約情報に変化がなかった場合は処理を終了する(すなわち、この時点まで行っていた処理と同様の処理を繰り返す)。
【0088】
契約情報に変化があった場合は、S1603へ遷移し、そのデスクランブル処理を行うための契約要否を行う。この結果、契約が必要な番組(有料番組)であれば、S1403へ遷移する。なお、本処理は有料番組を視聴する場合を例に挙げるため、契約が不要な場合(無料番組)である場合についてはここでは言及しない(契約カード・非契約カード問わずデスクランブル可能であるため、アクセス切替処理は不要である。図15のシーケンスではそのまま処理終了とする)。
【0089】
S1403以降は図13(実施例1)と同様の処理によりアクセス先を切り替え、処理を終了する。これらの処理は、限定受信制御を行う必要がある場合、繰り返し実行される。以上の処理により、番組の契約情報の変化に対応して、制御部608は限定受信制御部A609および/またはB610へのアクセスを切り替える。
【0090】
本実施例では、同一の放送内で連続する2つの番組で契約情報が異なる場合や、1番組の中で部分的に契約情報が変化する場合であっても、ユーザ操作によらず自動的にアクセス先を切り替えることができ、ユーザにとって使い勝手の良い受信装置を提供できるという効果がある。アクセス先変更の方法は実施例2の方法を用いても良い。
【0091】
また、本実施例においても、実施例1と同様、契約有無(有料/無料)による差異だけでなく、限定受信制御部が処理できる放送種別(BS/CS/地上デジタル、など)に差異がある場合も、アクセス先を切り替えることが可能である(図15のS1603、S1403が図16のS1701、S1702にそれぞれ置き換えることで同様のシーケンスとなる)。
【符号の説明】
【0092】
301 放送装置
302 中継装置
303 受信装置
304 限定受信システム
305 記録再生部
306 出力部
401 ソース発生部
402 エンコード部
403 スクランブル部
404 変調部
405 送信アンテナ部
406 スクランブル制御部
601 受信装置
602 アンテナ
603 チューナ
604 デスクランブラ
605 分離部
606 デコード部
607 出力部
608 制御部
609 限定受信制御部
610 限定受信制御部B
611 記録制御部
612 記録媒体
613 チューナB
614 デスクランブラB
615 分離部B
701 受信装置
1001 受信装置
1002 入力部
1003 出力部
1301 限定受信制御情報取得部
1302 番組契約情報取得部
1303 アクセス部A
1304 アクセス部B
1305 アクセス切替部
1306 アクセス状況監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクランブル処理が施されたデジタル放送を受信する受信部と、
前記受信部で受信したデジタル放送のスクランブルを解除するデスクランブル部と、
デスクランブル処理に使用する複数の限定受信制御部と、
デスクランブル処理に使用する限定受信制御部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記デスクランブル部におけるデスクランブルに用いられる限定受信制御部を切替えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
スクランブル処理が施されたデジタル放送を受信する受信部と、
前記受信部で受信したデジタル放送のスクランブルを解除するデスクランブル部と、
デスクランブル処理に使用する複数の限定受信制御部と、
デスクランブル処理に使用する限定受信制御部を制御する制御部とを備え、
前記受信部で受信するデジタル放送は契約情報を必要とする契約番組と、契約情報を必要としない非契約番組とを含み、
前記複数の限定受信制御部は所定の数の契約番組と非契約番組とをデスクランブル可能な第1の限定受信制御部と所定の数の非契約番組をデスクランブル可能な第2の限定受信制御部とを含み、
前記制御部は、前記デスクランブル部におけるデスクランブルを、前記第1の限定受信制御部を用いたデスクランブルから前記第2の限定受信制御部を用いたデスクランブルに切替えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項2の受信装置であって、
前記第1の限定受信制御部が前記所定の数の番組のデスクランブルに用いられている場合に、新たに契約番組をデスクランブルする指示を受けると、前記第1の限定受信制御部を用いたデスクランブルから前記第2の限定受信制御部を用いたデスクランブルに切替えることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3の受信装置であって、
前記第1の限定受信制御部を用いたデスクランブルから前記第2の限定受信制御部を用いたデスクランブルへの切り替える際に、前記第1の限定受信制御部と前記第2の限定受信制御との双方にアクセスする状態を有することを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかの受信装置であって、
前記制御部は前記受信部で受信する番組の契約情報を取得する番組契約情報取得部を備え、
前記契約情報取得部により取得した契約情報が変化した場合に、前記第1の限定受信制御部を用いたデスクランブルから前記第2の限定受信制御部を用いたデスクランブルに切り替えることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
スクランブル処理が施されたデジタル放送を受信する受信部と、
前記受信部で受信したデジタル放送のスクランブルを解除するデスクランブル部と、
デスクランブル処理に使用する複数の限定受信制御部と、
前記複数の限定受信制御部へのアクセスを制御する制御部とを備え、
前記受信部で受信するデジタル放送は所定のデスクランブル処理を必要とする第1の放送と、所定のデスクランブル処理を必要としない第2の放送とがあり、
前記複数の限定受信制御部は所定の数の前記第1の放送と前記第2の放送とをデスクランブル可能な第1の限定受信制御部と所定の数の前記第2の放送をデスクランブル可能な第2の限定受信制御部とを含み、
前記制御部により、前記デスクランブル部におけるデスクランブルを、前記第1の限定受信制御部を用いたデスクランブルから前記第2の限定受信制御部を用いたデスクランブルに切り替えることを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項6の受信装置であって、
前記第1の放送はBS/CS放送であり、前記第2の放送は地上デジタル放送であることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−49918(P2011−49918A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197589(P2009−197589)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】