説明

受光素子の感度制御方法、強度変調光を用いた空間情報の検出装置

【課題】感光部とは別領域にスイッチ領域および記憶領域を設ける従来構成に比較して簡単な構造とし、従来構成よりも受光素子の開口率を大きくする。
【解決手段】不純物を添加した半導体層11の主表面に絶縁膜12を介して複数個の制御電極13が配置される。半導体層11に光が入射すると半導体層11に電荷が生成され、制御電極13に制御電圧を印加しておけば、制御電極13に対応して形成されるポテンシャル井戸14に電荷が集積される。制御電圧を変化させると、ポテンシャル井戸14が受光面に占める面積が変化する。ポテンシャル井戸14に集積された電荷は信号電荷として外部に取り出されるから、制御電圧を印加する制御電極13の個数を変化させることにより、受光素子1の感度を実質的に変化させたことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子の感度制御方法、強度変調光を用いた空間情報の検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、受光素子の感度を外部信号によって制御しようとする場合に、受光素子の前方に外部信号によって通過光量を調節することができる光学部材を配置する構成が広く採用されている。この技術は受光素子に入射する光量を制御するものであるが、その一方、受光素子で受光強度に対応して発生した電荷のうち実際に信号電荷として外部に取り出す割合を制御することによって、受光素子の感度を制御する技術も採用されている。
【0003】
受光素子の感度を制御する技術は、たとえば、強度変調した光を発光源から空間に放射し、この空間に存在する物体により反射された反射光を受光素子で受光し、発光源から放射した光と受光素子で受光した光との関係に基づいて空間に関する各種情報を検出する場合などに採用される。ここで、空間に関する情報とは、空間に存在する物体までの距離や空間に存在する物体での反射による受光量の変化などを意味する。物体までの距離を求める場合には、発光源から空間に放射する光を所定の変調周波数で強度変調しておき、光電素子では変調周波数の逆数である変調周期に同期させて受光強度を複数回検出する技術が考えられている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
すなわち、発光源から空間に放射する光の強度を変調し、変調時の特定の位相に対する光電素子での受光強度を検出するようにし、変調周期に同期して特定の位相の受光強度を3回以上求めると、求めた受光強度の関係によって発光源から放射した光と受光素子により受光した光との位相差を求めることができる。以下では受光強度を4回以上求めるものとして説明する。たとえば、発光源から空間に放射する光の強度を正弦波で変調している場合には、変調信号の位相が0度、90度、180度、270度である4点において受光強度を検出したときの各受光強度をそれぞれA0,A1,A2,A3とすれば、各位相における受光強度A0,A1,A2,A3を用いて位相差ψを表すと、次式のようになる。
ψ=tan−1{(A3−A1)/(A0−A2)}
上述のように変調周期に合わせて特定の位相の受光強度を求めようとすれば、受光素子の感度を制御することが必要であって、特許文献1に記載の技術では、受光素子で集積された電荷を記憶領域に移送する経路にスイッチ領域を設け、受光素子で集積された電荷のうち受光強度A0,A1,A2,A3を求めるのに必要な電荷を記憶領域に蓄積するようにスイッチ領域を制御する構成を採用している。
【特許文献1】特表平10−508736号公報(第7−9頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の技術では、感光性部分とは別にスイッチ領域および記憶領域を画像センサに設ける必要があるから構造が比較的複雑になるという問題があり、またスイッチ領域および記憶領域を遮光する必要があり、画像センサにおいて遮光を必要とする部分が占有する面積が比較的大きいから、開口率が小さくなり感度が低いという問題もある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、構造が比較的簡単であって、かつ開口率が比較的大きくS/Nに優れた受光素子の感度制御方法を提供し、この方法を利用した強度変調光を用いた空間情報の検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部と、感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部に形成され感光部で発生した電荷の少なくとも一部を集積する電荷集積部と、電荷集積部に集積した電荷を受光出力として外部に取り出す電荷取出部とを備える受光素子において受光感度を制御する方法であって、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が変化するように制御電極への制御電圧を変化させ、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、強度変調光を用いた空間情報の検出装置であって、所定の変調周波数の変調信号で強度変調された光が照射されている空間からの光を受光し受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部と、感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部に形成され感光部で発生した電荷の少なくとも一部を集積する電荷集積部と、電荷集積部に集積した電荷を受光出力として外部に取り出す電荷取出部と、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が時間経過に伴って変化するように時間経過に伴って変化する制御電圧を出力する制御回路部と、電荷取出部により取り出した電荷を用いて前記空間に関する情報を評価する評価部とを備え、制御回路部は、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記制御回路部は、前記変調信号の周期に同期するタイミングで前記制御電圧を変化させることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記制御回路部は、前記変調周波数とは異なる規定の局発周波数で前記制御電圧を変化させ、前記電荷取出部は、前記電荷集積部に集積した電荷を変調周波数と局発周波数との周波数差のビート信号の周期に同期させて取り出すことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明では、請求項2の発明において、前記感光部は複数個設けられ、前記制御回路部は、組になる複数個の感光部にそれぞれ設けた制御電極に前記変調信号の周期に同期するとともに互いに異なる位相の制御電圧を印加し、前記電荷取出部は、組になる複数個の感光部から得られた異なる位相に対応する信号電荷を一度に取り出すことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明では、請求項4の発明において、前記感光部は複数個設けられ、前記制御回路部は、組になる複数個の感光部にそれぞれ設けた制御電極に前記変調周波数とは異なる規定の局発周波数であって互いに異なる位相の制御電圧を印加し、前記電荷取出部は、組になる複数個の感光部から得られた異なる位相に対応する信号電荷を一度に取り出すことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明では、請求項2ないし請求項6の発明において、前記感光部は、不純物を添加した半導体層と、半導体層の主表面に配置された前記制御電極と、半導体層と制御電極との間に介装された絶縁膜とからなり、前記電荷集積部は、制御電極に制御電圧を印加することにより半導体層に形成されるポテンシャル井戸からなることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明では、請求項7の発明において、前記制御電極は前記半導体層の主表面に複数個配列され、制御電圧を印加する制御電極の個数を時間経過に伴って変化させることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明では、請求項8の発明において、複数個の制御電極を組にし、組にした制御電極について制御電圧を印加する制御電極の個数を複数段階に切り換え、組にした制御電極のうちで制御電圧を印加する制御電極の個数が最小となる保持期間に形成するポテンシャル井戸を電荷の保持に用いるとともに、当該ポテンシャル井戸が他の期間である生成期間に形成され電荷の生成に用いるポテンシャル井戸よりも浅くなるように制御電圧を設定することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明では、請求項11の発明において、前記生成期間においては、組にした複数個の前記制御電極のうち前記保持期間において制御電圧を印加する制御電極に対応する部位にもっとも深いポテンシャル井戸が形成されるように制御電圧を設定するとともに、当該制御電極に隣接する制御電極に対応する部位には浅いポテンシャル井戸が形成されるように制御電圧を設定することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明では、請求項9または請求項11の発明において、前記電荷集積部として用いる前記ポテンシャル井戸を形成する前記制御電極を遮光膜により覆うことを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明では、請求項2ないし請求項11の発明において、前記評価部は前記空間に発光源から照射された光と前記感光部で受光した光との位相差を求めることを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明では、請求項12の発明において、前記評価部は前記位相差を距離に換算する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部の一部分を電荷集積部として用いる受光素子について、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が変化するように制御電極への制御電圧を変化させるので、受光素子において受光光量に応じて電荷を生成する部位の面積が制御電圧に応じて変化し、感光部で生成された電荷のうち電荷集積部を通して信号電荷として外部に取り出される割合を制御電圧によって調節することができる。さらに、感光部に対応する電荷集積部を設け、電荷集積部の面積を感光部に設けた制御電極への制御電圧に応じて変化させ、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えるから、感光部の面内で感度の制御および電荷の集積が可能であって、感光部とは別領域にスイッチ領域および記憶領域を設ける従来構成に比較すると構造が簡単になるという利点があり、しかも、感度の制御および電荷の集積を行う機能を備えながらも遮光することなく使用可能であるから、受光面積を比較的大きくとることができて開口率が大きく、結果的に信号電荷を高いS/Nで取り出すことが可能になる。
【0021】
請求項2の発明は、受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部の一部分を電荷集積部として用いる受光素子について、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が変化するように制御電極への制御電圧を変化させるので、受光素子において受光光量に応じて電荷を生成する部位の面積が制御電圧に応じて変化し、感光部で生成された電荷のうち電荷集積部を通して信号電荷として外部に取り出される割合を制御電圧によって調節することができる。また、強度変調光が照射されている空間からの光を受光素子で受光するとともに受光素子の感度を調節することで空間に関する情報を含んだ信号電荷を取り出すことが可能になる。さらに、感光部に対応する電荷集積部を設け、電荷集積部の面積を感光部に設けた制御電極への制御電圧に応じて変化させ、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えるから、感光部の面内で感度の制御および電荷の集積が可能であって、感光部とは別領域にスイッチ領域および記憶領域を設ける従来構成に比較すると構造が簡単になるという利点があり、しかも、感度の制御および電荷の集積を行う機能を備えながらも遮光することなく使用可能であるから、受光面積を比較的大きくとることができて開口率が大きく、結果的に信号電荷を高いS/Nで取り出すことが可能になる。
【0022】
請求項3の発明は、変調信号の周期に同期するタイミングで制御電圧を変化させるから、既知の変調信号と受光素子で受光した光との関係によって種々の空間情報を得ることが可能になる。
【0023】
請求項4の発明は、変調周波数とは異なる規定の局発周波数で制御電圧を変化させることによって変調周波数と局発周波数との周波数差のビート信号を生成するから、変調周波数よりも低周波であるビート信号により空間情報を評価することができる。
【0024】
請求項5の発明は、変調信号に同期した異なる位相に対応する信号電荷を組になる複数個の感光部において個別に検出し、各感光部に対応した電荷集積部に各位相ごとの信号電荷を集積するから、複数の位相に対応した信号電荷を1個の感光部を共用して検出する場合のように各位相の信号電荷を得るたびに電荷集積部に信号電荷を取り出す必要がなく、必要な個数の信号電荷が得られた後に電荷集積部に一括して信号電荷を取り出すことができる。つまり、感光部から電荷集積部への信号電荷の取出頻度を低減することができる。
【0025】
請求項6の発明では、組になる複数個の感光部に対応して得られたビート信号の異なる位相に対応する信号電荷を一度に取り出すことができるから、ビート信号の複数の位相に対応した信号電荷を短時間で得ることができ、空間に関する情報を応答性よく検出することが可能になる。さらに、ビート信号に同期させて取り出した信号電荷を用いて空間に関する情報を評価するから、取り出した信号電荷は変調周波数の複数周期分の信号電荷を積算したものに相当し、発光源を駆動する信号波形の歪や空間への外光量の時間変化に伴う歪などによって感光部で受光した光の波形に歪みが生じたとしても、評価に用いる積分値にはほとんど影響がなく、空間情報の検出精度が波形形状に依存する構成に比較すると高い精度で空間情報を検出することが可能になるという効果がある。
【0026】
請求項7の発明は、MIS構造の受光素子であって半導体層を感光部と電荷集積部とに兼用した簡単な構造としながらも、感度の制御が可能になる。
【0027】
請求項8の発明は、半導体層の主表面に複数個の制御電極を備えるとともに、制御電圧を印加する制御電極の個数を変化させることによって感度を調節するから、制御電圧を印加する制御電極を選択するだけで電荷集積部の面積を変化させることができ実現が容易である。
【0028】
請求項9の発明は、保持期間において電荷を保持するポテンシャル井戸について他の期間である生成期間において電荷を生成するポテンシャル井戸よりも浅くなるように制御電圧を設定しているので、他の領域で生成されている電荷が電荷集積部に流れ込みにくく、信号電荷への雑音成分の混入が少ないという利点がある。
【0029】
請求項10の発明では、生成期間においてポテンシャル井戸を階段状に形成するから、生成期間において浅いポテンシャル井戸に対応して生成された電荷は生成とほぼ同時に深いポテンシャル井戸に流れ込み、生成期間から保持期間に移行した時点では、生成期間における浅いポテンシャル井戸に対応して生成された電荷を深いポテンシャル井戸において保持することができる。つまり、隣接する感光部においてそれぞれ生成される電荷が互いに他の感光部に対応した電荷蓄積部に流れ込む可能性が低減され、隣接する感光部に対応して生成された信号電荷が混合されにくくなるという利点がある。
【0030】
請求項11の発明では、電荷集積部に用いるポテンシャル井戸を形成する制御電極を遮光膜により覆うから、電荷集積部として機能するポテンシャル井戸の近傍では光の入射に伴う電荷の生成が少なく、信号電荷への雑音成分の混入が少ないという利点がある。
【0031】
請求項12の発明では、発光源から照射した光と感光部で受光した光との位相差を求めるから、空間情報として位相差によって表される情報、たとえば物体までの距離を求めることが可能になる。
【0032】
請求項13の発明は、位相差を距離に換算するから、上述した各請求項の効果を持つ測距装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
本実施形態では、図1に示す構成の受光素子1を用いる。この受光素子1は、不純物を添加した半導体層11を備えるとともに、半導体層11の主表面が酸化膜からなる絶縁膜12により覆われ、半導体層11に絶縁膜12を介して制御電極13を設けた構成を有する。この受光素子1はMIS素子として知られた構造であるが、1個の受光素子1として機能する領域に複数個(図示例では5個)の制御電極13を備える点が通常のMIS素子とは異なる。絶縁膜12および制御電極13は光が透過するように材料が選択され、絶縁膜12を通して半導体層11に光が入射すると、半導体層11の内部に電荷が生成される。図示例の半導体層11の導電形はn形であり、光の照射により生成される電荷としては電子eを利用する。
【0034】
この構造の受光素子1では、制御電極13に正の制御電圧+Vを印加すると、半導体層11には制御電極13に対応する部位に電子eを集積するポテンシャル井戸(空乏層)14が形成される。つまり、半導体層11にポテンシャル井戸14を形成するように制御電極13に制御電圧を印加した状態で光が半導体層11に照射されると、ポテンシャル井戸14の近傍で生成された電子eの一部はポテンシャル井戸14に捕獲されてポテンシャル井戸14に集積され、残りの電子eは半導体層11の深部での再結合により消滅する。また、ポテンシャル井戸14から離れた場所で生成された電子eも半導体層11の深部での再結合により消滅する。
【0035】
上述のように、ポテンシャル井戸14は制御電圧を印加した制御電極13に対応する部位に形成されるから、制御電圧を印加する制御電極13の個数を変化させることによって、半導体層11の主表面に沿ったポテンシャル井戸14の面積(言い換えると、受光面に占める電荷集積部の面積)を変化させることができる。電荷集積部の面積が変化すれば、半導体層11において生成された電子eのうち電荷集積部に蓄積される割合が変化するから、電荷集積部に蓄積された電荷を信号電荷として外部に取り出すようにすれば、実質的に受光素子1の感度を調節したことになる。つまり、制御電極13への制御電圧の印加パターンを制御することにより、受光素子1の感度を制御することができる。たとえば、図1(a)のように3個の制御電極13に制御電圧を印加する場合と、図1(b)のように1個の制御電極13に制御電圧を印加する場合とでは、電荷集積部であるポテンシャル井戸14が受光面に占める面積が変化するのであって、図1(a)の状態のほうがポテンシャル井戸14の面積が大きいから、図1(b)の状態に比較して同光量に対する信号電荷の割合が大きくなり、実質的に受光素子1の感度を高めたことになる。
【0036】
上述した受光素子1において電荷集積部であるポテンシャル井戸14から信号電荷を取り出すには、フレーム転送型のCCDと同様の技術を採用すればよく、ポテンシャル井戸14に電子eが集積された後に、制御電圧の印加パターンを制御することによってポテンシャル井戸14に集積された電子eを一方向(図の右方向または左方向)に転送し、半導体層11に設けた図示しない電極から電子eを取り出すことになる。
【0037】
受光素子1の各部の動作を機能によって表せば、半導体層11は光の入射により電子eを生成する感光部1a(図2参照)および感光部1aで生成された電子eを集積する電荷集積部1c(図2参照)として機能し、制御電極13は受光中に制御電圧の印加パターンを変化させることによって感度制御部1b(図2参照)として機能する。また、制御電極13への制御電圧の印加パターンを制御することによって半導体層11は電荷取出部1d(図2参照)としても機能する。制御電圧の印加パターンを制御する上述の動作によって受光素子1の感度を制御可能とすることにより、受光素子1を用いて図2に示す装置を実現することができる。
【0038】
図示する装置は強度変調した光が照射されている空間から空間情報を検出する装置である。ここに、空間情報とは物体までの距離や空間に存在する物体での反射による受光量の変化など意味する。受光素子1の出力から空間情報としてどのような情報を抽出するかは評価部3の構成による。本実施形態では、評価部3において、空間に照射されている強度変調された光の元の位相と光電素子1で受光した光との位相差を求め、この位相差から空間に存在する物体5までの距離を求める例を示す。
【0039】
図2に示す装置は、物体5までの距離を求めようとする空間に光を照射する発光源2と、物体5により反射された光を受光する受光素子1とを備える。発光源2は制御回路部4から出力される所定の変調周波数である変調信号によって駆動され、発光源2から放射される光は変調周波数で強度変調される。発光源2としては、たとえば多数個の発光ダイオードを一平面上に配列したものや半導体レーザと発散レンズとを組み合わせたものなどを用いる。制御回路部4では、たとえば20MHzの正弦波で発光源2から放射する光を強度変調する。
【0040】
一方、発光源2からの光を照射した空間からの光は、受光光学系6を通して受光素子1に入射する。受光素子1は図1に示した構造の感光部1aを複数個(たとえば、100×100個)備え、感光部1aはマトリクス状などに配列されることによりイメージセンサ7を構成する。この種のイメージセンサ7は、たとえば1枚の半導体基板上に感光部1aをマトリクス状に配列し、感光部1aのうち垂直方向の各列では一体に連続する半導体層11を共用するとともに半導体層11を垂直方向への電荷(電子e)の転送経路として用い、さらに各列の半導体層11の一端から電子eを受け取って水平方向に電子eを転送するCCD型の水平転送部を半導体基板に設ける構成を採用することができる。この構成のイメージセンサ7はフレーム転送型のCCDイメージセンサと類似した構成になる。
【0041】
受光光学系6はイメージセンサ7の受光面である2次元平面に発光源2からの光を放射した3次元空間をマッピングする。つまり、イメージセンサ7が受光光学系6を通して見る視界内に存在する物体5は感光部1aに対応付けられる。ここに、物体5に対応した感光部1aに入射する光の受光強度は発光源2からの光によって強度変調されているから、発光源2から放射された光と感光部1aで受光した光との位相差を検出すれば、感光部1aに対応している物体5の各部位までの距離を求めることができる。
【0042】
図2においては、イメージセンサ7の機能の理解を容易にするために、受光素子1の機能を上述したように感光部1aと感度制御部1bと電荷集積部1cと電荷取出部1dとに分けて記載している。図2における電荷取出部1dは、半導体層11だけではなくイメージセンサ7の水平転送部も含んでいる。感度制御部1bおよび電荷取出部1dは、上述のように制御電極13を共用しており、制御回路部4で生成され制御電圧13に印加される制御電圧の印加パターンを制御することによって感度の調節および電荷の転送がなされる。
【0043】
本実施形態では、発光源2から空間に放射した光と感光部1aにおいて受光した光との位相差を求めるために、発光源2を駆動する変調信号の周期に同期するタイミングで感度制御部1bにおける感度の制御を行う例を示す。つまり、感度制御部1bにおいて高感度の状態と低感度の状態とを交互に繰り返すのであって、この繰り返し周期を変調信号の周期に同期させるのである。
【0044】
具体的には、図3に示すように、発光源2から空間に放射する光の強度変化が曲線イであって、感光部1aでの受光強度の変化が曲線ロであるとすれば、位相差ψを求めるには、曲線ロについて異なる位相での4点における強度を求めればよいことがわかる。たとえば、曲線イについて位相が0度、90度、180度、270度である4点のタイミングでの曲線ロにおける受光強度をそれぞれA0,A1,A2,A3とする。ここに、各位相における受光強度A0,A1,A2,A3は、実際には時間幅Twで示す時間内において入射した光量に比例するものとする。ここで、受光強度A0,A1,A2,A3を求める間には位相差ψが変化せず、かつ発光から受光までの光の減衰率にも変化がないものとすれば、受光強度A0,A1,A2,A3を90度毎に求めていることから、各受光強度A0,A1,A2,A3と位相差ψとの関係は、次式で表すことができる。
ψ=tan−1{(A3−A1)/(A0−A2)}
つまり、感度制御部1bにおいて上述した受光強度A0,A1,A2,A3を求めるタイミングで時間幅Twだけ高感度に設定すれば、各タイミングにおいて受光強度A0,A1,A2,A3に相当する信号電荷が電荷集積部1cに集積されることになる。このようにして得られる4個の信号電荷を信号電荷が得られるたびに電荷取出部1dを通して評価部3に取り出すか、あるいは4個の信号電荷を各別の感光部1aに対応付けておき4個の信号電荷が得られてから電荷取出部1dを通して評価部3に取り出すようにすれば、上式から位相差ψを求めることができ、変調周波数と位相差ψとを用いることによって位相差ψを物体5までの距離に換算することができる。
【0045】
上述した構成では、感光部1aと電荷集積部1cとで半導体層11を共用しているから、信号電荷を取り出すために感度制御部1bを高感度に設定している期間以外であっても、半導体層11を電荷集積部1cとして機能させるために、制御電極13には感度制御部1bが低感度になる状態の制御電圧を印加する必要がある。つまり、電荷集積部1cには信号電荷以外の電荷も混入することになる。ただし、低感度である期間には電荷集積部1cの面積が小さくなっており、しかも、信号電荷以外の電荷は4個の信号電荷にほぼ均等に混入すると考えられるから、上式のように受光強度A0,A1,A2,A3の差分を求める演算((A3−A1)と(A0−A2)とを求める演算)によって、信号電荷以外の電荷による成分は外乱光の影響とともに除去される。また、図1(b)のように電荷集積部1cの面積を小さくしている期間において信号電荷以外の電荷の混入を抑制するには、この期間における電荷集積部1cに対応した制御電極13の近傍に遮光膜を設ける構成を採用してもよい。
【0046】
なお、図示例では4個の信号電荷(受光強度A0,A1,A2,A3)を変調信号の1周期内で90度ごとに得るようにしているが、変調信号に対して信号電荷を取り出すタイミングの位相が規定されていれば90度ごとに取り出すことは必須ではなく、また4個の信号電荷を取り出す間に位相差ψや光の減衰率に変化が生じないのであれば、変調信号の1周期内で4個の信号電荷を取り出すことも必須ではない。また、発光源2から放射される光を正弦波で変調しているが、三角波あるいは鋸歯状波などの他の波形で強度変調を行ってもよい。さらに、太陽光や照明光のような外乱光の影響があるときには、発光源2から放射される光の波長のみを透過させる光学フィルタを感光部1aの前に配置するのが望ましい。これらのことは以下の他の実施形態でも同様である。
【0047】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、変調信号の周期に同期させて信号電荷を抽出しているから、たとえば、変調周波数が20MHzの場合、変調信号の1周期に対する信号電荷の蓄積時間は数十ns程度と短い。この場合、制御電極13に印加する制御電圧の波形歪が位相差ψの検出精度に直接影響する。また、発光源2から放射される光の波形歪も位相差ψの検出精度に直接影響する。
【0048】
そこで、本実施形態では、感度制御部1bを変調周波数とは異なる局発周波数で制御することによって、感度制御部1bを変調周波数と局発周波数とを混合する混合器として用い、混合結果のビート信号を用いて位相差ψの検出を行う。本実施形態の構成では、制御電圧の波形および変調信号の波形の周期性さえ保たれていれば、波形歪の影響を受けることなく位相差ψの検出が行える。ここに、局発周波数の局発信号は制御回路部4から与えられる。このような構成を採用することによって、電荷集積部1cには、感光部1aにおいて受光した光量に対応する電荷(受光信号に相当)と局発信号との周波数差の包絡線成分を持つ図4のようなビート信号に相当する信号電荷が集積される。ビート信号の周期は変調周波数と局発周波数との周波数差に依存し、たとえば周波数差を300kHz程度に設定すれば、ビート信号の周期は3μs程度になる。
【0049】
物体5までの距離が時間経過とともに変化しなければ、ビート信号の位相は、発光源2から放射された光の位相と、制御回路部4から出力された局発信号の位相と、感光部1aから出力される受光信号の位相との関係によって決定される。すなわち、変調周波数に相当する角周波数をω1とし、発光源2から放射された光の位相と受光信号の位相との位相差をψとすれば、受光信号の信号強度Y1は次式で表される。ただし、a1,b1は定数であって、a1は受光信号の振幅に相当し、b1は暗電流や外光(時間変化は無視する)に相当する。
Y1=b1+a1・cos(ω1・t+ψ)
また、局発信号の角周波数をω2とすれば、局発信号の信号強度Y2は次式で表される。ただし、a2,b2は定数であって、a2は局発信号の振幅に相当し、b2は直流バイアスに相当する。
Y2=b2+a2・cos(ω2・t)
ここで、受光信号と局発信号とを混合した信号は(Y1・Y2)になるから、変調周波数と局発信号の周波数との周波数差に相当する包絡線成分を持つビート信号が得られ、かつ包絡線成分の位相には位相差ψがそのまま反映されることになる。つまり、位相差ψを求めるための信号電荷は、ビート信号の周期に同期するように取り出せばよい。ただし、ビート信号には変調信号による光量の変動成分が含まれているから、信号電荷を取り出すにはビート信号の包絡線成分を取り出すことが必要である。本実施形態では、ビート信号の周期に同期させて図4に示す時間幅Tiにおいて生じた電荷を電荷集積部1cに集積する構成を採用している(つまり、時間幅Tiに相当する期間は感度制御部1bの感度を局発信号で制御し、他の期間は感度制御部1bの感度を低感度にする)。したがって、電荷集積部1cでは時間幅Tiにおけるビート信号を積分したことになり、変調信号による変動成分が除去され、ビート信号の包絡線成分に比例した量の信号電荷が電荷集積部1cに集積されることになる。言い換えれば、電荷集積部1cはビート信号を包絡線検波したことになる。
【0050】
たとえば、ビート信号の周期に同期する4点(たとえば、0°、90°、180°、270°のタイミング)で電荷集積部1cに信号電荷を集積させるのであって、各点の信号電荷はそれぞれ時間幅Tiで積分された積分値A0′,A1′,A2′,A3′になる。これらの積分値A0′,A1′,A2′,A3′は第1実施形態における受光強度A0,A1,A2,A3と同様に扱うことができ、次式によって位相差ψを求めることができる。
ψ=tan−1{(A3′−A1′)/(A0′−A2′)}
本実施形態では、ビート信号の周期に同期させて求めた4個の積分値を用いて位相差ψを求めるから、変調周波数および局発周波数を周波数誤差が生じないように管理すれば、発光源2から放射した光と同期させることなく局発信号を生成しても位相差ψを求めることができる。
【0051】
上述したように、位相差ψを求めるにあたって、変調周波数に比較すると十分に低周波数であるビート信号を用い、しかもビート信号の積分値A0′,A1′,A2′,A3′を用いるから、暗電流や外光などによるノイズ成分に対してSN比を十分に大きくとることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、ビート信号の1周期内においてビート信号の1/4周期毎に4個の積分値A0′,A1′,A2′,A3′を求めているが、ビート信号に対する位相が規定されていれば、積分値A0′,A1′,A2′,A3′を求めるタイミングは1/4周期毎であることは必須ではなく、またビート信号の1周期内である必要もない。他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
【0053】
(第3実施形態)
第2実施形態では、位相差ψを求めるための4個の積分値A0′,A1′,A2′,A3′を異なるタイミングで取り出しているが、本実施形態は複数個の積分値A0′,A1′,A2′,A3′を同時に取り出すことを可能としたものである。本実施形態では、ビート信号において互いに位相が180度異なる(つまり、逆位相)の2個ずつの積分値A0′,A1′,A2′,A3′を同時に求める例を示す。
【0054】
2個ずつの積分値A0′,A1′,A2′,A3′を同時に求めるために、本実施形態では2個1組の感光部1aにより1画素を形成するとともに、制御回路部4において互いに逆位相である2種類の局発信号を生成し組になる2個の感光部1aに対応した感度制御部1bに互いに逆位相の局発信号を与える。2種類の局発信号は逆位相ではあるが局発周波数は等しく設定される。このように逆位相の局発信号を感度制御部1bに与えることによって、各感度制御部1bの出力として得られるビート信号は互いに逆位相になる。
【0055】
ここでは、図5に示すように、組にした2個の感光部1aにそれぞれ3個ずつの制御電極13を設けているものとする。以下の説明では、1画素の各制御電極13を区別するために、図5に示すように、各制御電極13に(1)〜(6)の数字を付与して区別する。すなわち、組になる2個の感光部1aのうちの一方は制御電極(1)〜(3)を備え、他方は制御電極(4)〜(6)を備える。なお、1画素ずつの感光部1aに対応付けて、それぞれオーバフロードレインを設けるのが望ましい。
【0056】
第1実施形態において説明したように、感度制御部1bでは受光面に占めるポテンシャル井戸14の面積を変化させるのであって、2個1組で1画素となる感光部1aの制御電極13に逆位相の局発信号を与えることは、隣接する一対の感光部1aに対応してそれぞれ形成するポテンシャル井戸14の面積を大小2段階で交互に切り換えることに相当する。
【0057】
つまり、図5(a)のように、制御電極(1)〜(3)に対応するポテンシャル井戸14の面積を大きくするには1画素内の一方の感光部1aに対応した3個の制御電極(1)〜(3)のすべてに同電圧である制御電圧を印加し、この期間には他方の感光部1aに対応した3個の制御電極(4)〜(6)のうちの中央の制御電極(5)にのみ電圧を印加してポテンシャル井戸14の面積を小さくする。言い換えると、制御電極(1)〜(3)に対応する領域は感度制御部1bを高感度に設定した状態であり、制御電極(4)〜(6)に対応する領域では受光による新たな電荷(電子e)はほとんど生成されない。この状態では、位相差ψを求めるために用いる4区間の積分値A0′,A1′,A2′,A3′のうち、積分値A0′または積分値A2′に相当する電荷(電子e)をポテンシャル井戸14に集積することができる。
【0058】
また、図5(b)のように、制御電極(4)〜(6)に対応するポテンシャル井戸14の面積を大きくするには1画素内の一方の感光部1aに対応した3個の制御電極(4)〜(6)のすべてに同電圧である制御電圧を印加し、この期間には他方の感光部1aに対応した3個の制御電極(1)〜(3)のうちの中央の制御電極(2)にのみ電圧を印加してポテンシャル井戸14の面積を小さくする。つまり、制御電極(4)〜(6)に対応する領域は感度制御部1bを高感度に設定した状態になり、制御電極(1)〜(3)に対応する領域では受光による新たな電荷はほとんど生成されない。この状態では、位相差ψを求めるために用いる4区間の積分値A0′,A1′,A2′,A3′のうち、積分値A1′または積分値A3′に相当する電荷(電子e)をポテンシャル井戸14に蓄積することができる。
【0059】
図5(a)と図5(b)との両状態は、積分値A0′,A1′を求めることができる期間内および積分値A2′,A3′を求めることができる期間内において交互に繰り返される。つまり、図4に示した積分値A0′を求める期間内において図5(a)の状態と図5(b)の状態とを交互に繰り返すことによって、積分値A0′と積分値A1′とに相当する信号電荷が各感光部1aに対応したポテンシャル井戸14に蓄積され、また、図4における積分値A2′を求める期間内において図5(a)の状態と図5(b)の状態とを交互に繰り返すことによって、積分値A2′と積分値A3′とに相当する信号電荷が感光部1aに対応した各ポテンシャル井戸14に蓄積される。
【0060】
本実施形態では、図5(a)の状態と図5(b)の状態とのいずれにおいても各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に同時に印加する電圧と、1個の制御電極(2)または(5)のみに印加する電圧とは略等しく設定してある。
【0061】
上述のようにして図5(a)の状態で積分値A0′に相当する信号電荷が制御電極(1)〜(3)に対応するポテンシャル井戸14に蓄積されるとともに、図5(b)の状態で積分値A1′に相当する信号電荷が制御電極(4)〜(6)に対応するポテンシャル井戸14に蓄積されると、これらの積分値A0′,A1′を外部に一旦取り出す。次に、図5(a)の状態で積分値A2′に相当する信号電荷を制御電極(1)〜(3)に対応するポテンシャル井戸14に蓄積するとともに、図5(b)の状態で積分値A3′に相当する信号電荷を制御電極(4)〜(6)に対応するポテンシャル井戸14に蓄積し、これらの積分値A2′,A3′を外部に取り出す。このような動作を繰り返すことによって、4区間の積分値A0′,A1′,A2′,A3′に相当する信号電荷を2回の読出動作で得ることができ、これらの信号電荷を用いて位相差ψを求めることが可能になる。
【0062】
上述した制御では、1画素を形成する2個の感光部1aの一方に対応するポテンシャル井戸14の面積を大きくしている期間において、他方に対応する部位では信号電荷を保持するためにポテンシャル井戸14の面積を小さくしている。要するに、2個の感光部1aの一方は主として電荷を生成する生成期間となり、他方は主として電荷を保持する保持期間となる。ここに、保持期間であって面積が小さいポテンシャル井戸14においても受光による電荷が生成されているから、積分値A0′,A1′に相当する信号電荷を保持している電荷集積部1cには積分値A2′,A3′に相当する信号電荷の一部が混入し、積分値A2′,A3′に相当する信号電荷を保持している電荷集積部1cには積分値A0′,A1′に相当する信号電荷の一部が混入することになる。このように、信号電荷に対して目的外の電荷が混在するから雑音成分が生じるものの、雑音成分は信号電荷の量に比較すると少ない上に信号電荷に対して略一定の割合で混在し、しかも位相差ψを求める際の減算処理((A3′−A1′)と(A0′−A2′))によってほぼ除去されるから、位相差ψを求める際には雑音成分の影響は低減される。他の構成および動作は第2実施形態と同様である。
【0063】
(第4実施形態)
第3実施形態では、各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に同時に印加する制御電圧と、1個の制御電極(2)または(5)のみに印加する制御電圧とを略等しく設定していたから、ポテンシャル井戸14の面積には変化が生じるものの、大面積のポテンシャル井戸14と小面積のポテンシャル井戸14とのいずれについても深さは略等しくなっている。
【0064】
本実施形態は、図6に示すように、第3実施形態と基本的な構成は同様であるが、各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に同時に印加する制御電圧が、1個の制御電極(2)または(5)にのみ印加する制御電圧よりも低くなるように設定し、小面積のポテンシャル井戸14の深さを大面積のポテンシャル井戸14の深さよりも小さく設定した点に特徴がある。たとえば、大面積のポテンシャル井戸14を形成する際に各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に同時に印加する電圧を7Vとすれば、小面積のポテンシャル井戸14を形成する際に1個の制御電極(2)または(5)にのみ印加する電圧を3Vなどと設定する。このように、主として電荷(電子e)を生成しているポテンシャル井戸14を電荷を保持するポテンシャル井戸14よりも深くすることにより、制御電圧を印加していない制御電極(1)(3)または(4)(6)に対応する部位で生じた電荷は、深いほうのポテンシャル井戸14に流れ込みやすくなり、結果的に電荷を保持するポテンシャル井戸14に流れ込む雑音成分を第3実施形態よりも低減することができる。他の構成および動作は第3実施形態と同様である。
【0065】
(第5実施形態)
本実施形態は、図7に示すように、第4実施形態の構成に加えて、各感光部1aに対応する各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)のうちの中央の制御電極(2)または(5)に遮光膜15を重ねたものである。つまり、感光部1aにおいて遮光膜15に覆われる部位では電荷(電子e)がほとんど生成されないから、電荷を保持するための小面積のポテンシャル井戸14に対応する部位では感光部1aでの電荷がほとんど発生せず、信号電荷の保持中に雑音成分となる電荷が混入する可能性を大幅に低減することができる。さらに、本実施形態では、電荷を生成している大面積のポテンシャル井戸14に対応する部位では各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)のうち中央の制御電極(2)または(5)に印加する電圧を両側の制御電極(1)(3)または(4)(6)に印加する電圧よりも高くしてある。制御電極(1)〜(6)に印加する電圧をこのような関係とすることによって、感光部1aのうち制御電極(1)(3)(4)(6)に対応する部位で生成された電荷が制御電極(2)(5)に対応する部位に流れ込んで蓄積されることになる。
【0066】
ところで、図6に示す第4実施形態では、電荷を生成している生成期間において、制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に対応する部位に形成されるポテンシャル井戸14が一定の深さであるのに対して、図7に示すように、本実施形態では、電荷を生成している生成期間に形成されるポテンシャル井戸14は、制御電極(1)(3)または(4)(6)に対応する部位が、制御電極(2)または(5)に対応する部位よりも浅い階段状になっている。
【0067】
したがって、図6に示した第4実施形態では、電荷を生成する状態(生成期間)と電荷を保持する状態(保持期間)とを数ns以下の短時間で切り換えたとすると、電荷を生成している生成期間において制御電極(1)(3)または(4)(6)に対応する部位で生成された電荷の一部が、電荷を保持する保持期間において制御電極(2)または(5)に対応する部位に移動することなく取り残されるおそれがある。その結果、取り残された電荷は隣りの感光部1aに対応して形成されるポテンシャル井戸14に流れ込み、隣接する電荷集積部1c(ポテンシャル井戸14)の間で信号電荷が混合される可能性がある。つまり、信号電荷に含まれる雑音成分が多くなる。
【0068】
これに対して、本実施形態のように階段状のポテンシャル井戸14が形成されるように制御することによって、制御電極(1)(3)または(4)(6)に対応する部位で生成された電荷(電子e)は発生と同時に制御電極(2)または(5)に対応する部位に移動する。すなわち、電荷を生成する生成期間と電荷を保持する保持期間とを数ns以下の短時間で切り換えた場合であっても、隣接する感光部1aに対応して形成される電荷集積部1c(ポテンシャル井戸14)の間で信号電荷が混合される可能性が少なくなる。なお、ポテンシャル井戸14を階段状に形成する技術は遮光膜15の有無にかかわらず採用可能である。他の構成および動作は第3実施形態と同様である。
【0069】
第3実施形態ないし第5実施形態では、感光部1aごとに3個ずつの制御電極13を対応付けているが、制御電極13を4個以上設けるようにしてもよい。さらに、組にした制御電極13について制御電圧を印加する制御電極13の個数を1個と3個との2段階に切り換えるようにしているが、3段階以上に切り換えることも可能である。また、互いに逆位相である局発信号を異なる感光部1aの感度制御部1bに与える構成を採用しているが、たとえば90度ずつ位相の異なる局発信号を互いに異なる4個の感光部1aに与える構成とすれば、4区間の積分値A0′,A1′,A2′,A3′を同時に求めることも可能である。
【0070】
ところで、第3実施形態ないし第5実施形態は、第2実施形態と同様に局発信号を感度制御部1bに与える構成を採用しているが、組になる複数個の感光部1aに対して変調信号に同期した異なる位相に対応する信号電荷を与える構成を採用してもよい。たとえば、4個の感光部1aを組にしている場合に、各感光部1aに対応した電荷集積部1cには、変調信号の周期に同期して異なる位相の受光強度A0,A1,A2,A3に相当する信号電荷が集積される。要するに、複数個の感光部1aに対応する電荷集積部1cに各位相の信号電荷を振り分けて集積する。このようにして複数個の電荷集積部1cに集積した複数個の信号電荷を電荷取出部1dにおいて一括して取り出すようにすれば、第1実施形態と同様に、受光強度A0,A1,A2,A3に相当する信号電荷に基づいて位相差ψを求めることができる。
【0071】
上述した各実施形態において用いたイメージセンサ7は、2次元配列であることを想定しているが、1次元配列であってもよく、また第1実施形態や第2実施形態では感光部1aを1個だけ設ける構成としてもよい。また、評価部3として位相差ψを求めるとともに距離を求める例を説明したが、評価部3は必ずしも距離を求めるものに限らず、位相差ψのみを求める構成や積分値A0′,A1′,A2′,A3′に基づいて空間に関する他の情報を評価するものであってもよい。
【0072】
さらに、上述した構成例では電荷集積部1cの面積を変化させるために複数個の制御電極13を設けるとともに、制御電極13への制御電圧の印加パターンを変化させる構成を採用しているが、感光部1aにおける半導体層11の不純物濃度について受光面に沿って制御電極13からの距離に応じた分布を付与し、制御電極13に印加する電圧を制御することによっても電荷集積部1cの面積を変化させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の各実施形態の基本となる原理説明図である。
【図2】本発明の各実施形態における装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態の原理説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態の原理説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態の動作説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態の動作説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態の動作説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1 受光素子
1a 感光部
1b 感度制御部
1c 電荷集積部
1d 電荷取出部
2 発光源
3 評価部
4 制御回路部
11 半導体層
12 絶縁膜
13 制御電極
14 ポテンシャル井戸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部と、感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部に形成され感光部で発生した電荷の少なくとも一部を集積する電荷集積部と、電荷集積部に集積した電荷を受光出力として外部に取り出す電荷取出部とを備える受光素子において受光感度を制御する方法であって、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が変化するように制御電極への制御電圧を変化させ、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えることを特徴とする受光素子の感度制御方法。
【請求項2】
所定の変調周波数の変調信号で強度変調された光が照射されている空間からの光を受光し受光強度に対応する量の電荷を発生する感光部と、感光部に設けた制御電極への制御電圧の印加により感光部に形成され感光部で発生した電荷の少なくとも一部を集積する電荷集積部と、電荷集積部に集積した電荷を受光出力として外部に取り出す電荷取出部と、感光部の受光面に沿った面内での電荷集積部の面積が時間経過に伴って変化するように時間経過に伴って変化する制御電圧を出力する制御回路部と、電荷取出部により取り出した電荷を用いて前記空間に関する情報を評価する評価部とを備え、制御回路部は、電荷集積部の面積を大きくする生成期間と、電荷集積部の面積を小さくすることにより生成期間において生成された電荷を保持する保持期間との間で、電荷集積部の面積の大きさを切り換えることを特徴とする強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項3】
前記制御回路部は、前記変調信号の周期に同期するタイミングで前記制御電圧を変化させることを特徴とする請求項2記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項4】
前記制御回路部は、前記変調周波数とは異なる規定の局発周波数で前記制御電圧を変化させ、前記電荷取出部は、前記電荷集積部に集積した電荷を変調周波数と局発周波数との周波数差のビート信号の周期に同期させて取り出すことを特徴とする請求項2記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項5】
前記感光部は複数個設けられ、前記制御回路部は、組になる複数個の感光部にそれぞれ設けた制御電極に前記変調信号の周期に同期するとともに互いに異なる位相の制御電圧を印加し、前記電荷取出部は、組になる複数個の感光部から得られた異なる位相に対応する信号電荷を一度に取り出すことを特徴とする請求項2記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項6】
前記感光部は複数個設けられ、前記制御回路部は、組になる複数個の感光部にそれぞれ設けた制御電極に前記変調周波数とは異なる規定の局発周波数であって互いに異なる位相の制御電圧を印加し、前記電荷取出部は、組になる複数個の感光部から得られた異なる位相に対応する信号電荷を一度に取り出すことを特徴とする請求項4記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項7】
前記感光部は、不純物を添加した半導体層と、半導体層の主表面に配置された前記制御電極と、半導体層と制御電極との間に介装された絶縁膜とからなり、前記電荷集積部は、制御電極に制御電圧を印加することにより半導体層に形成されるポテンシャル井戸からなることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項8】
前記制御電極は前記半導体層の主表面に複数個配列され、制御電圧を印加する制御電極の個数を時間経過に伴って変化させることを特徴とする請求項7記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項9】
複数個の制御電極を組にし、組にした制御電極について制御電圧を印加する制御電極の個数を複数段階に切り換え、組にした制御電極のうちで制御電圧を印加する制御電極の個数が最小となる保持期間に形成するポテンシャル井戸を電荷の保持に用いるとともに、当該ポテンシャル井戸が他の期間である生成期間に形成され電荷の生成に用いるポテンシャル井戸よりも浅くなるように制御電圧を設定することを特徴とする請求項8記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項10】
前記生成期間においては、組にした複数個の前記制御電極のうち前記保持期間において制御電圧を印加する制御電極に対応する部位にもっとも深いポテンシャル井戸が形成されるように制御電圧を設定するとともに、当該制御電極に隣接する制御電極に対応する部位には浅いポテンシャル井戸が形成されるように制御電圧を設定することを特徴とする請求項9記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項11】
前記電荷集積部として用いる前記ポテンシャル井戸を形成する前記制御電極を遮光膜により覆うことを特徴とする請求項9または請求項10記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項12】
前記評価部は前記空間に発光源から照射された光と前記感光部で受光した光との位相差を求めることを特徴とする請求項2ないし請求項11のいずれか1項に記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。
【請求項13】
前記評価部は前記位相差を距離に換算する機能を有することを特徴とする請求項12記載の強度変調光を用いた空間情報の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−93620(P2007−93620A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327382(P2006−327382)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【分割の表示】特願2003−103245(P2003−103245)の分割
【原出願日】平成15年4月7日(2003.4.7)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】