説明

受光装置、露光装置、及び電子デバイスの製造方法

【課題】EUV光の出力を精度良く検出できる、受光装置、露光装置、及び電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】光を受光する受光装置50である。光を受光する受光面60aを有する受光素子60と、受光面60aの大きさよりも大きく形成された開口62を有する第1端部62aと、内側面に設けられ、開口62から入射した光を受光面60aに向けて反射する反射面61aとを有する枠状の反射部材61と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置、露光装置、及び電子デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子または液晶表示素子等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程において、露光光を用いて、マスクまたはレチクル等に形成された回路パターンを、感光性材料(レジスト)が塗布されたウエハ等の基板に露光するための一括露光型の投影露光装置(ステッパー)または走査型の投影露光装置(スキャナー)などの露光装置が使用されている。
近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、より高精細な回路パターンを基板上に形成する露光技術が求められている。この回路パターンの高精細化を達成する手段の一つとして、より波長の短い光を用いた投影露光装置の開発が進められており、5〜40nm程度の波長を有するEUV(Extreme UltraViolet:極端紫外)光を用いるEUV露光装置の開発が注目されている。このようなEUV露光装置では、EUV光に対して、現在、高い透過率を示す硝材が知られていないことから、回路パターンを照明する照明光学系および回路パターンを基板上に投影する投影光学系のそれぞれが、複数の反射光学素子によって構成される反射型の照明光学系、あるいは反射型の投影光学系が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなEUV露光装置において、基板上に回路パターンを高精細にかつ経時的に変化することのないよう、露光光として用いるEUV光を高精度で検出することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−91195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来においては、EUV光に感度をもつ受光素子の受光面の大きさが限定されるため、EUV光が集光する位置、あるいはEUV光の光束の一点のみを計測していた。このため、EUV光の検出場所が限られたり、EUV光の光束の一部の検出結果からEUV光の光量または光量変化を見積もっていた。しかしながら、EUV光の光束内における強度分布は一様でないため、EUV光の全光量あるいは強度分布を正確に計測することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、EUV光の光量あるいは強度分布を精度良く正確に検出することのできる、受光装置、露光装置、及び電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、光を受光する受光装置であって、前記光を受光する受光面を有する受光素子と、前記受光面の大きさよりも大きく形成された開口を有する第1端部と、内側面に設けられ、前記開口から入射した前記光を前記受光面に向けて反射する反射面とを有する枠状の反射部材と、を備える受光装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、光源から射出された光を用いて、第1面の像を第2面に露光する露光装置であって、前記光を受光する受光装置として、上記受光装置を備える露光装置が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様に従えば、リソグラフィ工程を含む電子デバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、上記露光装置を用いる電子デバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、EUV光を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】露光装置の概要を示す図である。
【図2】(a),(b)は第一実施形態に係る受光装置の概略構成を示す図である。
【図3】第一実施形態に係る受光装置の断面構造を示す図である。
【図4】(a),(b)は第二実施形態に係る受光装置の概略構成を示す図である。
【図5】第二実施形態に係る受光装置の断面構造を示す図である。
【図6】受光装置の第一変形例に係る構成を示す図である。
【図7】受光装置の第二変形例に係る構成を示す図である。
【図8】受光装置の第三変形例に係る構成を示す図である。
【図9】電子デバイスの製造方法の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(第一実施形態)
図1は、本実施形態に係る露光装置の概要を示す図である。本実施形態の露光装置は、波長5nm〜40nm程度の極端紫外光であるEUV(Extreme Ultraviolet)光を露光光ELとして使用するEUV露光装置である。本露光装置10は、光源装置1から射出された露光光EL(照明光)を用いて、反射型のマスクMまたはレチクルのパターン面を照明する照明光学系ILSと、マスクMを載置し、マスクMの位置決めを行うマスクステージMSと、マスクMのパターン像をウエハW上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを載置し、ウエハWの位置決めを行うウエハステージWSとを含む。
【0014】
図1においては、ウエハWの載置面の法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内において図1の紙面に平行な方向をY方向、紙面に垂直な方向をX方向としている。なお、本露光装置は、マスクMとウエハWとを図1のY方向(以下、走査方向Yともいう)に走査移動させつつ、マスクM上のマスクパターンをウエハWに投影する走査型露光装置である。
【0015】
露光装置10は、その内部が真空雰囲気に維持される真空チャンバ100を有しており、EUV光の発光点からウエハWまでの光路の全体は、真空チャンバ100内に収められる。また、マスクステージMSには、不図示の静電チャック方式のマスクホルダが設けられ、そのマスクホルダによってマスクMが保持される。同様に、ウエハステージWSには、不図示の静電チャック方式のウエハホルダが設けられ、そのウエハホルダによってウエハWが保持される。さらに、マスクステージMS及びウエハステージWSは、それぞれマスクステージ駆動部(不図示)及びウエハステージ駆動部(不図示)によって、Y方向に所定ストロークで駆動可能であるとともに、X方向、Z方向、X方向周りの回転方向であるθX方向、Y方向回りの回転方向であるθY方向及びZ方向回りの回転方向であるθZ方向にも駆動可能である。
【0016】
光源装置1では、露光光ELとして用いる特定波長のEUV光(例えば、波長13nmのEUV光)が供給される。光源装置1としては、レーザ励起型プラズマ光源又は放電励起型プラズマ光源等が用いられる。例えば、レーザ励起型プラズマ光源から射出されたレーザ光を、ターゲットとして供給されるキセノン(Xe)やクリプトン(Kr)等に照射することで、EUV光、波長100nm以上の紫外光、可視光および他の波長の光が発生する。発生したこれらの光を、波長選択フィルターに透過させることや、多層膜ミラーで反射させることにより、露光光ELとして用いるEUV光のみ選択的に照明光学系ILSに向けて射出することができる。
【0017】
照明光学系ILSは、コリメータミラー2、反射型のオプティカルインテグレータ3、コンデンサミラー4、および平面ミラー5によって構成される。照明光学系ILSに入射した露光光ELは、コリメータミラー2により略平行光束とされ、オプティカルインテグレータ3に入射する。オプティカルインテグレータ3において、露光光ELは、反射型のオプティカルインテグレータ3を構成する第1のフライアイミラー3aと第2のフライアイミラー3bとにより順次反射され、第2のフライアイミラー3b上(又はその近傍)である照明光学系ILSの瞳面(照明光学系瞳面)に、所定の形状を有する実質的な面光源を形成する。さらに、第2のフライアイミラー3bにより反射された露光光ELは、コンデンサミラー4によって集光され、光路折り曲げ用の平面ミラー5によって偏向されて、不図示のブラインドを介してマスクMのパターン形成領域上の露光視野内を円弧状に照明する。なお、ブラインドは、露光光ELが通過可能な開口を有し、マスクMの反射面での露光光ELの照明領域を規定する。ブラインドはマスクMの反射面に対してほぼ共役な位置に配置される。
【0018】
マスクMのパターン面で反射した露光光ELは、投影光学系PLに入射する。投影光学系PLは、複数の反射ミラーPM1〜PM6を備えている。複数の反射ミラーPM1〜PM6のうちいくつかは、露光光ELを遮ることのないよう、その一部分がカットされている。投影光学系PLに入射した露光光ELは、第1ミラーPM1、第2ミラーPM2、第3ミラーPM3、第4ミラーPM4、第5ミラーPM5、第6ミラーPM6の順に反射されて、ウエハW上の露光領域にマスクMのパターンの像を形成する。このとき、投影光学系PLの瞳面またはその近傍の位置には、不図示の絞り装置が設けられる。この絞り装置を用いることにより、投影光学系PLの開口数(NA)を設定することができる。NAの値は、例えば0.1であり、0.1以上あるいは0.1以下の値に設定することができる。
【0019】
なお、露光装置に用いられるミラー(例えば、照明光学系ILS及び投影光学系PLの各ミラーPM1〜PM6)の反射面には、EUV光を反射する多層膜が形成されており、特定波長のEUV光のみを選択的に反射することができる。例えば、反射面にはモリブデン(Mo)とケイ素(Si)とが繰り返して積層された多層膜が形成されており、波長13nmのEUV光のみを選択的に反射することができる。
【0020】
本実施形態における照明光学系ILSは、マスクMのパターン面上の露光視野内を照明する構成であればよく、具体的な構成は特に制限されない。例えば、コリメータミラー2やコンデンサミラー4等を省略した光学系を用いることで、反射ミラーの数を減らすことができ、照度の高い露光光ELをマスクMのパターン面に照射することができる。また、本実施形態における投影光学系PLは、マスクMのパターンをウエハW上に露光する構成であればよく、具体的な構成は特に制限されない。例えば、投影光学系PLを構成する反射ミラーの数は6枚に限定されず、4枚や8枚等でもよい。また、投影光学系PLの入射瞳がマスクMのパターン面を挟んで投影光学系PLとは反対側に位置する逆瞳タイプの投影光学系等の様々な光学系を用いることができる。
【0021】
本実施形態では、ウエハステージWSに受光装置50が備えられている。受光装置50は、投影光学系PLから射出される露光光ELを受光することでウエハステージWSに保持されるウエハWに照射される露光光ELの光量を測定することができる。
【0022】
受光装置50は、制御部51と電気的に接続されており、受光装置50による計測結果が制御部51に送信されるようになっている。また、制御部51は、マスクステージMS等の露光装置10の各部(例えば、光源装置1)に対して各種の指令を与えるようになっている。このような構成に基づいて、露光装置10は、受光装置50による露光光ELの光量の測定結果に基づき、光源装置1から射出される露光光ELの光量または強度分布を調整することができる。
【0023】
続いて、受光装置50の構成について図面を参照しながら説明する。図2は受光装置50の概略構成を示す図である。図2(a)は受光装置50の構成を示す斜視図であり、図2(b)は受光装置50の構成を示す平面図である。図3は受光装置50の断面構造を示す図である。
【0024】
受光装置50は、図2(a)に示すように露光光ELを受光する受光面60aを有する受光素子60と、受光素子60を囲む枠状の反射部材61と、を有している。なお、受光素子60及び受光面60aは、平面形状が矩形状となっている。受光素子60としては、例えばフォトマル(Photomultiplier)やCCD(Charge Coupled Device)、フォトダイオード等が用いられる。
【0025】
反射部材61は、受光素子60の受光面60aの中心軸に対して垂直な面内における断面形状が矩形状の環状部材からなる。また、反射部材61は、その内側面が受光素子60の受光面60aの中心軸に対して傾斜しながら、互いに向かい合っている。なお、反射部材61の内側面は、図3に示すように、反射部材61の一端(第1端部62a)側から反射部材61の他端(第2端部63a)側に向かって窄まる形状となっている。反射部材61の第1端部62aには、矩形状の開口62が形成されており、この開口62は図2(b)に示すように受光面60aより大きい。一方、反射部材61の第2端部63aには、矩形状の開口63が形成されており、この開口63は受光素子60の平面形状(矩形形状)に対応する大きさに形成される。開口63内には、受光素子60の受光面60aが収容されている。
【0026】
また、反射部材61の開口62は、露光光ELの光束よりも大きく形成されている。また、第1端部62aの開口62の大きさは、第2端部63aの開口63の大きさより大きくなるように形成されている。これにより、受光装置50は、開口62から入射した露光光ELを受光素子60の受光面60aに取り込めるようになっている。
【0027】
反射部材61の内側面には、露光光ELを反射する反射面61aが設けられている。この反射面61aには、露光光ELの反射率が高くなるように、表面加工が施されていたり、単層或いは多層の反射膜が形成されている。例えば、表面加工とは、反射面を、鑢等を用いて物理的に研磨することや有機溶媒や化学薬品等を用いて化学的に処理することである、これにより、露光光ELに対して反射率の高い鏡面となるように加工される。また、単層或いは多層の反射膜とは、モリブデン(Mo)のみやケイ素(Si)のみの単層の反射膜や、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)とが繰り返して積層された多層の反射膜等である。これらを反射膜の膜厚を調整しながら反射面に形成することで、露光光ELに対して反射率を高くすることができる。
【0028】
本実施形態に係る受光装置50によれば、受光素子60の受光面60aよりも露光光ELの光束が大きい場合であっても、開口62から入射した露光光ELを反射部材61の反射面61aで反射させることにより、露光光ELを損出することなく、開口63内に収容されている受光面60aで受光することができる。
【0029】
なお、上述した反射部材61は、枠状の1つの反射部材により形成されるが、これに限定されない。すなわち、複数の反射要素部材の組み合わせによって形成しても良い。例えば、4つの反射要素部材で組み立てられるように構成する。4つの反射要素部材は、反射部材61の断面、すなわち受光素子60の受光面60aの中心軸に対して垂直な面内における矩形状の断面において、対向する頂点を結ぶ直線で分解または組立できるように、反射要素部材のそれぞれが反射部材61の一部を構成している。これにより、開口62および開口63を容易に形成できることや、反射面61aの表面加工及び反射膜を容易に形成することができる。このように、受光素子60の種々な形状に対応した反射部材61を簡便且つ確実に形成できるようになっている。
【0030】
制御部51は、受光装置50の検出結果に基づいて、光源装置1におけるEUV光の照射量を補正することができる。例えば、光源装置1に経時的な劣化が生じることでウエハWに入射する露光光ELの光量が変化した場合でも、露光光ELの光量が変化したことを検知し、受光装置50の検出結果に基づいて、光源装置1におけるEUV光の照射量を補正することができる。なお、制御部51による補正は、光学装置1におけるEUV光の照射量の補正に限定されない。例えば、光源装置1又はその近傍に設けられたフィルター等の光量調整装置を設け、その光源調整装置を駆動することで、EUV光の照射量や強度分布を補正できるようにしても良い。また、照明光学系ILSまたは投影光学系PL内の光学部材の位置や傾斜角度等を調整することで、マスクMに形成する照野やウエハWに形成する視野を補正できるようにしても良い。これらにより、ウエハWの各ショット領域に対する最適な積算露光量を得ることで、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0031】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る露光装置の構造について説明する。本実施形態と第一実施形態との違いは、受光装置が複数の受光素子60を有している点である。したがって、以下の説明では受光装置の構成について説明し、第一実施形態と同一の部材については説明を省略するものとする。
【0032】
図4は本実施形態に係る受光装置150の概略構成を示す図であり、図4(a)は受光装置150の構成を示す斜視図であり、図4(b)は受光装置150の構成を示す平面図である。図5は受光装置150の断面構造を示す図である。
【0033】
受光装置150は、図4(a)に示すように露光光ELを受光する受光面60aを有する4つの受光素子60と、これら4つの受光素子60の間およびそれらを囲むように設けられる間に枠状の反射部材161と、を有している。
【0034】
反射部材161は、4つの受光素子60の受光面60aを囲む4つの枠状部材165を組み合わせることで構成されている。各枠状部材165は、受光素子60の受光面60aの中心軸に対して垂直な面内における断面形状が矩形の環状部材となっている。また、各枠状部材165において、その内側面は、受光素子60の受光面60aの中心軸に対して傾斜しながら互いに向かい合っている。なお、各枠状部材165の内側面は、図4、5に示すように、反射部材161の一端(第1端部162a)側から反射部材161の他端(第2端部163a)側に向かって窄まる形状となっている。枠状部材165の第1端部162aに形成された開口162は、受光面60aより大きくなっている。一方、枠状部材165の第2端部163aに形成された開口163は、受光素子60の平面形状に対応する大きさとなっており、開口163内に受光素子60が収容されている。本実施形態では、隣接配置される枠状部材165の4つの開口162が、露光光ELの光束よりも大きくなっている。これにより、受光装置150は、4つの開口162を介して露光光ELを内部に取り込めるようになっている。
【0035】
枠状部材165の内側面には露光光ELを反射する反射面161aが設けられている。この反射面161aには、露光光ELの反射率が高くなるように、表面加工が施されていたり、単層或いは多層の反射膜が形成されている。
【0036】
本実施形態に係る受光装置150によれば、受光素子60の受光面60aよりも露光光ELの光束が大幅に大きい場合であっても、反射部材161の反射面161aにより反射させ、各開口163内に収容されている受光面60aで漏洩することなく受光することができる。
よって、反射部材161は、露光光ELの全光束を受光素子60に入射させることで、ウエハWに入射する露光光ELの光量を正確に計測することができる。
したがって、第一実施形態同様、ウエハWの各ショット領域において最適な積算露光量を得ることができ、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0037】
本実施例では、受光素子60が4つの場合について説明したが、受光素子60の数は限定されない。すなわち、露光光ELの断面の大きさや形状に合わせて、受光素子60の数や配置を決定し、それぞれの受光素子60の間およびそれらを囲むように、本発明の受光装置を設置するようにしてもよい。
なお、上述のように本発明における実施形態の一例を説明したが、本発明は上述した全ての構成要素を適宜組み合わせて用いる事が可能であり、また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。以下、受光装置に係る変形例について図面を参照しつつ、説明する。
【0038】
(第一変形例)
図6は第一変形例に係る受光装置の構成を示す図であり、図6(a)は第一変形例に係る受光装置250の構成を示す斜視図であり、図6(b)は受光装置250の構成を示す平面図である。
【0039】
図6(a)、(b)に示すように、反射部材261は、上記実施形態と異なり、受光素子60の受光面60aの中心軸に対して垂直な面内における断面形状が円形状の環状部材となっている。すなわち、本変形例においては、受光素子60の平面形状が円形状となっている。
【0040】
反射部材261の一端(第1端部)262aに形成された開口262は、図6(b)に示すように受光面60aより大きくなっている。一方、反射部材261の他端(第2端部)263aに形成された開口263は、受光素子60の平面形状(円形形状)に対応する大きさとなっている。そして、開口263内には、受光素子60(受光面60a)が収容されている。
【0041】
反射部材261の内側面には露光光ELを反射する反射膜261aが形成されている。この反射面261aは、表面が研磨加工されていたり、単層或いは多層の反射膜が形成されている。反射面261aは、一端262a側から他端263a側に向かって窄まるテーパー形状となっている。
【0042】
また、反射部材261における外形は、開口262側から開口263側に向かって先窄まりとなるテーパー形状となっている。これにより、上記第一実施形態に比べ、受光装置250自体の外形形状の小型化を実現している。
【0043】
本変形例に係る受光装置250によれば、受光素子60の受光面60aよりも露光光ELの光束が大きい場合であっても、開口262から入射した露光光ELを反射部材261の反射面261aにより反射させ、開口263内に収容されている受光面60aで漏洩することなく受光することができる。よって、上記実施形態同様、ウエハWに入射する露光光ELの光量を正確に計測することができる。
【0044】
(第二変形例)
図7は第ニ変形例に係る受光装置の構成を示す図であり、図7(a)は第二変形例に係る受光装置350の構成を示す斜視図であり、図7(b)は受光装置350の構成を示す平面図である。なお、本変形例においては、図示を省略するものの、受光素子60は平面形状が円形となっている。
【0045】
図7(a)、(b)に示すように、反射部材361の内面により構成される反射面361aは、他端363a(開口363)側から一端362a(開口362)側に向かって受光面60aの中心軸に対する傾斜角度が異なっている複数の面を組み合わせることで構成されている。この反射面361aは、その傾斜角度が開口363側から開口362側に向けて、順に小さくなっている。反射面361aは、例えば傾斜角度を5度ずつ違えた複数の面を連続的に形成することで構成される。これにより、露光光Lが反射面361aで反射する際に、その入射角を大きくすることができるため、露光光ELの反射率を高くすることができる。すなわち、露光光ELの反射における光量の損出を抑えることができる。開口363内には、受光素子60が収容されている。
【0046】
開口362は露光光ELの光束よりも大きく形成されており、これにより受光装置350は、開口362を介して露光光ELを内部に取り込むようになっている。開口362内に形成される反射面361aは、図7(b)に示すように傾斜角度の異なる複数の面で露光光ELを順次反射させることで、露光光ELを開口363に収容される受光素子60の受光面60aへと導くようになっている。
【0047】
本変形例に係る受光装置350によれば、受光素子60の受光面60aよりも露光光ELの光束が大きい場合であっても、反射部材361の反射面361aによって露光光ELを順次反射することで開口363内に収容されている受光面60aで漏洩することなく受光することができる。よって、上記実施形態および第一変形例と同様、ウエハWに入射する露光光ELの光量を正確に計測することができる。
【0048】
(第三変形例)
図8は第三変形例に係る受光装置の構成を示す図であり、図8(a)は第三変形例に係る受光装置450の構成を示す斜視図であり、図8(b)は受光装置450の構成を示す平面図である。なお、本変形例においては、図示を省略するものの、受光素子60は平面形状が円形となっている。
【0049】
図8(a)、(b)に示すように、反射部材461の内面により構成される反射面461aは、一端462a(開口462)側から他端463a(開口463)側に向けて、曲面で形成されている。この反射面461aは、表面が研磨加工されていたり、単層或いは多層の反射膜が形成されている。
【0050】
本変形例に係る受光装置450によれば、受光素子60の受光面60aよりも露光光ELの光束が大きい場合であっても、開口462から入射した露光光ELを反射部材461の反射面461aにより反射させ、開口463内に収容されている受光面60aで漏洩することなく受光することができる。よって、上記実施形態および上記変形例同様、ウエハWに入射する露光光ELの光量を正確に計測することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、本発明の受光装置をウエハステージWSに設置することで、ウエハWに照射される露光光ELの光量を測定する場合について説明したが、受光装置を設置する位置はこれに限定されることは無い。
【0052】
例えば、照明光学系ILSを構成する各光学部材(コリメータミラー2、オプティカルインテグレータ3、コンデンサミラー4、及び平面ミラー5)やそれらの間のうち、露光に用いない露光光ELの一部が通過する位置に、本発明の受光装置を設置し、露光光ELの一部を検出することで、露光動作中の露光光ELの光量の変化を測定することができる。
このようにすれば、各光学部材間で反射される際の露光光ELの光量を正確に計測することができ、制御部51はこの計測データに基づいて信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0053】
また、マスクステージMSに設置することやマスクMのパターン面と同じ位置または同じ平面内に受光面を移動可能な受光装置を設置することで、マスクMに照射される露光光ELの光量を測定することができる。また、マスクM上に形成する露光光ELの照明領域を規定する不図示のブラインドの面内のうち、露光に用いない露光光ELの一部が通過する位置に、本発明の受光装置を設置することで、露光動作中の露光光ELの光量の変化を測定することができる。
【0054】
また、露光光ELの光路中に、受光装置を進退可能に設置することで、適宜露光光ELの光量を計測することができる。これによって、露光光ELの状態を良好に把握することができ、露光処理における信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、光源装置1の露光光ELの照射口の直後に本発明の受光装置を設置するようにしてもよい。このようにすれば、光源装置1における経時劣化による露光光の照射量の変化を正確に計測することができ、制御部51は光源装置1のメンテナンス時期や交換時期をユーザに通知することができる。
【0056】
その他、露光光ELの光量を計測するために、露光装置内のあらゆる位置で、本発明の受光装置を用いても良いことはもちろんである。
【0057】
本発明では、露光光ELの光束より大きな反射部材の開口により、露光光ELを受光面で受光できるように構成されるが、露光光ELの光束より反射部材の開口が小さい場合であっても、露光光ELの光束面内を走査できる走査駆動部を設けることで、露光光ELの光束または光量を測定しても良い。
また、露光光ELが入射する反射部材の開口またはその近傍に、波長選択フィルターを設けることで、例えば、露光波長成分の光量と非露光波長成分の光量とを測定し、制御部51における各部材の調整に用いても良い。
【0058】
また、上記説明においては、露光対象となる基板として半導体ウエハWを想定したが、露光対象となる基板は半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、又はフィルム部材などであってもよい。また、その基板は、その形状が円形に限られるものではなく、矩形など他の形状でもよい。
【0059】
本実施形態の光学系を適用する露光装置の形態は、上述したマスクMとウエハWとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)に限らず、マスクMとウエハWとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)であってもよい。
また、上述の実施例では、照明光学系および投影光学系がミラー等の反射光学素子のみにより構成される反射型光学系に本発明を適用しているがこれに限定されない。すなわち、反射光学素子とレンズ等の屈折光学素子とを組み合わせて構成される反射屈折型光学系や屈折光学素子のみにより構成される屈折型光学系に本発明を適用することができる。
【0060】
また、上記実施形態の走査型露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることは言うまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が完了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0061】
ここで、上記露光装置を用いた電子デバイスの製造方法について説明する。上記実施形態の露光装置を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図9に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ211、この設計ステップ211に基づいたマスク又はレチクルを製作するステップ212、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ213、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板へ露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ214、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージング工程などの加工プロセスを含む)215、並びに検査ステップ216等を経て製造される。言い換えると、このデバイスの製造方法は、リソグラフィ工程を含み、そのリソグラフィ工程で上記の実施形態の露光装置を用いて感光性基板を露光している。
【0062】
EUV光を供給するための光源を有する露光装置に本発明を適用しているがこれに限定されない。すなわち、EUV光以外の他の波長光を供給する光源を有する露光装置に対しても、本発明を適用することができる。
【0063】
また、上述の実施形態では、EUV露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されない。すなわち、EUV光の光量を測定する測定装置や、光量の測定結果に基づいて部材の制御を行う制御装置に対しても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…露光装置、50,150,250,350,450…受光装置、60…受光素子、60a…受光面、61,161,261,361、461…反射部材、61a,161a,261a,361a,461a…反射面、62、63…開口、62a,162a,262a,362a,462a…一端(第1端部)、63a,163a,263a,363a,463a…他端(第2端部)、162、163…開口、262、263…開口、362、363…開口、462、463…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光する受光装置であって、
前記光を受光する受光面を有する受光素子と、
前記受光面の大きさよりも大きく形成された開口を有する第1端部と、内側面に設けられ、前記開口から入射した前記光を前記受光面に向けて反射する反射面とを有する枠状の反射部材と、を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項2】
前記反射部材は、複数の反射要素部材の組み合わせによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の受光装置。
【請求項3】
前記反射部材は、前記受光面の中心軸に対して垂直な面内における断面形状が矩形状の環状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の受光装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記受光面の中心軸に対して垂直な面内における断面形状が円形状の環状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の受光装置。
【請求項5】
前記反射部材は、前記受光面を収容する開口を有する第2端部を有し、前記第1端部の開口の大きさは、前記第2端部の開口の大きさより大きいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項6】
前記反射面は、前記第1端部から前記第2端部に向けて、曲面で形成されることを特徴とする請求項5に記載の受光装置。
【請求項7】
前記反射面は、前記受光面の中心軸に対する傾斜角度が、前記第2端部から前記第1端部に向けて、異なる複数の反射面で形成されることを特徴とする請求項5に記載の受光装置。
【請求項8】
前記複数の反射面は、前記受光面の中心軸に対する傾斜角度が、前記第2端部から前記第1端部に向けて、順に小さくなるように配置されることを特徴とする請求項7に記載の受光装置。
【請求項9】
前記受光装置は、前記受光素子を複数備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項10】
複数の前記受光素子に、前記反射部材が配置されることを特徴とする請求項9に記載の受光装置。
【請求項11】
前記光がEUV光であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項12】
光源から射出された光を用いて、第1面の像を第2面に露光する露光装置であって、
前記光を受光する受光装置として、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の受光装置を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項13】
リソグラフィ工程を含む電子デバイスの製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項12に記載の露光装置を用いることを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−124376(P2011−124376A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280619(P2009−280619)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】