説明

受光装置

【課題】受光素子によるノイズ光の受光を防止すること。
【解決手段】受光装置は、受光部を有する受光素子と、前記受光素子の前記受光部側に配置され、前記受光部に対応する位置に第1の開口を有する第1の絞り板と、前記受光部及び前記第1の絞り板間に配置され、前記第1の開口に対応する位置に第2の開口を有する第2の絞り板と、を備え、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板間の空間は、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板の側方に光学的に開放している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、例えば赤外線等の光を受光する受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば赤外線等の光を通信媒体とする光通信システムでは、信号光を発光する発光素子及び信号光を受光する受光素子を利用して情報通信が実現されている。
【0003】
発光素子としては、例えば、発光部の前方に赤外線発信孔を有する板を配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−124208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平10−124208には、指向性の高い赤外線発光素子の照射範囲を可変できるよう、拡散レンズを光軸に出し入れする構造が開示されているが、赤外線通信の指向性をさらに高める事は考慮されていない。ところで、受光素子に於いて、受光部の指向性を高めるために、絞り孔を有する板を設けようとした場合、絞り孔が小さすぎると、十分な受光感度を得ることができない。その一方で、絞り孔を大きくすると、受光素子と絞り孔を有する板との間の距離が広げざるを得なくなる。この距離を広げた場合に、目的外の方向から到達する赤外線光に起因するノイズ光が増えてしまう事を見いだした。
【0006】
開示の技術は、受光素子によるノイズ光の受光を防止することができる受光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の一観点によれば、受光部を有する受光素子と、前記受光素子の前記受光部側に配置され、前記受光部に対応する位置に第1の開口を有する第1の絞り板と、前記受光部及び前記第1の絞り板間に配置され、前記第1の開口に対応する位置に第2の開口を有する第2の絞り板と、を備え、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板間の空間は、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板の側方に光学的に開放している受光装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、受光素子によるノイズ光の受光を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットが使用される環境を説明するための概略図である。
【図2】第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットが使用される通信システム全体の概略図である。
【図3】第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットが組み込まれる操作機の概略図である。
【図4】第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの概略図である。
【図5】第1の実施形態にかかる第1、第2の絞り板により規定される受光可能領域の概略図である。
【図6】第1の実施形態にかかる通信タグの概略図である。
【図7】第1の実施形態にかかる操作機に内蔵されたコントローラの機能ブロック図である。
【図8】第1の実施形態にかかる操作機に内蔵されたコントローラによる処理のフローチャートである。
【図9】第2の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図10】第3の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図11】第4の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図12】第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図13】第6の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図14】第7の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの断面図である。
【図15】第8の実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの平面図である。
【図16】第8の実施形態にかかる第1、第2の絞り板により規定される受光可能領域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、図1−図8を参照しながら、第1の実施形態を説明する。
(通信システム全体の構成)
図1は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が使用される環境を説明するための概略図である。図2は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が使用される通信システム全体の概略図である。
【0011】
図1、図2に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、例えば利用者の周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの関連情報を取得するための通信システムに組み込まれる。
【0012】
例えば、利用者Uがはじめて訪問した会議室等でプレゼン等を実施する場合、該会議室等に設置されているプロジェクタ等の設備機器Aの使用法がわからず、プレゼン等の進行に支障が出ることがある。本実施形態にかかる通信システムでは、例えば操作機10と、通信タグ20と、携帯電話30と、情報提供部40と、を使用して、はじめての環境下に於いても、利用者Uの周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの使用法等を参照できる仕組みを提供する。なお、本実施形態では、プロジェクタ等の設備機器Aの使用法を参照する仕組みを説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、利用者Uの周囲に存在する、あらゆる機器の使用法等の関連情報を取得する際にも、以下の仕組みを使用することができる。
【0013】
操作機10は、ポインティングレーザ光Lpを出射するレーザポインタ11と、ポインティングレーザ光Lpの再帰光Lr(後述する)の照度を検出する照度センサ12と、利用者Uの周囲に存在する設備機器Aの通信タグ20にID要求信号Srを送信するID要求信号送信ユニット13と、設備機器Aの通信タグ20から送信されたID情報信号Siを受信するID情報信号受信ユニット14と、ID情報信号Siに対応するIDコードCを、利用者Uが携帯する携帯端末30に送信する無線通信ユニット15と、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14及び無線通信ユニット15を制御するコントローラ16と、を備える。
【0014】
レーザポインタ11は、利用者Uによる、例えば機械スイッチ(図示しない)のON動作に基づき、ポインティングレーザ光Lpを出射する。ポインティングレーザ光Lpは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、波長が約650nm、周波数が約450kHzのAM変調波を使用している。
【0015】
照度センサ12は、レーザポインタ11近傍に配置され、通信タグ20の再帰性シート21(後述する)により反射された再帰光Lrの照度を検出する。照度センサ12は、センサ本体と、コンパレータと、を備える。センサ本体は、再帰光Lrの照度に対応する電圧信号を出力する。センサ本体は、特に限定されるものではないが、例えばフォトダイオード等を使用しても良い。コンパレータは、センサ本体から出力された電圧信号と、事前に付与された閾値と、を比較して、電圧信号が閾値よりも高いときに信号「1」、電圧信号が閾値よりも低いときに信号「0」を出力する。照度センサ12は、レーザポインタ11からポインティングレーザ光Lpが出射されたことをトリガとして起動され、再帰光Lrの照度を検出するための待機を開始しても良い。
【0016】
ID要求信号送信ユニット13は、照度センサ12からの出力信号が「0」から「1」に変化したことをトリガとして、即ち照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。ID要求信号Srは、例えば設備機器Aに付与されたID情報を要求する信号である。ID要求信号送信ユニット13としては、例えば高指向性の赤外線送信モジュールを使用しても良い。赤外線送信モジュールは、例えば赤外LEDによる点滅パターンを利用して、ID要求コマンドを送信する。
【0017】
ID情報信号受信ユニット14は、通信タグ20のID情報信号送信ユニット222から送信されたID情報信号Siを受信する。ID情報信号受信ユニット14は、受光素子141と、アンプ(図示しない)と、フィルタ(図示しない)と、検波回路(図示しない)と、を備える。受光素子141は、赤外線を受光して、赤外線の強度に対応する電圧信号を出力する。アンプは、受光素子141から出力された電圧信号を増幅する。フィルタは、アンプにより増幅された電圧信号からノイズを除去する。検波回路は、フィルタによりノイズが除去された電圧信号を検波して、ID情報信号Siに対応する電圧信号を出力する。ID情報信号受信ユニット14は、ID要求信号送信ユニット13からID要求信号Srが送信されたことをトリガとして起動され、ID情報信号Siを受信するための待機を開始しても良い。ID情報信号受信ユニット14の詳細構成は、後述することとする。
【0018】
無線通信ユニット15は、コントローラ16により生成されたIDコードC(後述する)を、Bluetooth等の通信方式により、例えばペアリングされた携帯端末30に送信する。IDコードCは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号SiのID情報に操作機10の操作機IDを統合して、これをコード化したものである。本実施形態では、IDコードCの通信方式として、Bluetoothを採用しているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
(操作機10の概略構成)
図3は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が組み込まれる操作機10の概略構成を示していて、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0019】
図3に示すように、操作機10は、利用者Uが把持する筺体10aを有していて、筺体10aの正面Sf側には、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14が配列されている。
【0020】
レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14は、それぞれ、ポインティングレーザ光Lpの出射部11o、再帰光Lrの照度の検出部12o、ID要求信号Srの送信部13o、ID情報信号Siの受信部14o、を筺体10aの外側に向けている。
【0021】
ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14は、それぞれ筺体10aに取り付けられたフィルタカバー10bにより被覆されている。特に、ID情報信号受信ユニット14を被覆するフィルタカバー10bは、空間S(後述する)の側方に位置する隙間Soを被覆している。フィルタカバー10bは、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線を選択的に透過させる。このため、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線以外の波長領域の光は、フィルタカバー10bに遮断され、ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14に到達することはない。
(ID情報信号受信ユニット14の詳細構成)
図4は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の概略構成を示していて、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は平面図である。図5は、第1の実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145により規定される受光可能領域Rの概略図である。
【0022】
図4、図5に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、赤外線を受光する受光素子141と、受光素子141を搭載する回路基板142と、操作機10の筺体10aに回路基板142を固定するブラケット143と、受光素子141に照射される赤外線の入射角範囲、即ち受光可能領域Rを規定する第1、第2の絞り板144、145と、を備える。
【0023】
受光素子141は、素子本体141aと、素子本体141aの前面、即ち回路基板142とは逆側の表面に形成される受光部141bと、素子本体141aを封止する封止樹脂141cと、を備える。封止樹脂141cは、例えばエポキシ樹脂等の透明樹脂からなり、受光部141bの前方には、概して球面型の集光レンズ141rが形成されている。このため、第1、第2の絞り板144、145の第1、第2の透光孔144o、145oを透過した赤外線は、封止樹脂141cの集光レンズ141rにより集光され、受光素子141の受光部141bに照射される。受光素子141は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、エバーライト社のIRM-3640N3を使用している。
【0024】
第1の絞り板144は、回路基板142に平行に配置され、受光素子141の受光部141bに対応する位置には、第1の透光孔144oが形成されている。第2の絞り板145は、第1の絞り板144に平行に配置され、第1の透光孔144oに対応する位置には、第2の透光孔145oが形成されている。
【0025】
第1、第2の絞り板144、145は、所定間隔だけ離間していて、第1、第2の絞り板144、145間には、空間Sが形成されている。第1、第2の絞り板144、145の間隔L、即ち空間Sの高さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、約1mm〜5mmとしている。
【0026】
第1、第2の透光孔144o、145oの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、何れも円型としている。第1、第2の透光孔144o、145oの内周縁は、それぞれの中心に接近するほど薄くなるように傾斜している。このため、第1、第2の透光孔144o、145oの内周面で生じる赤外線の乱反射が抑制される。
【0027】
第1、第2の透光孔144o、145oの内径dは、概して同等であるが、第1、第2の絞り板144、145の間隔をLとし、利用者Uが要求する受光可能領域Rの円錐角、即ち赤外線の最大入射角をθとしたときに、d=Ltanθの関係を満足するように決定される。なお、本実施形態では、第1、第2の透光孔144o、145oの内径dを、約1mm〜5mmとしている。
【0028】
以上のような第1、第2の絞り板144、145は、複数の支柱146、本実施形態では、4本の支柱146により連結されている。4本の支柱146は、相互に離間していて、支柱146及び支柱146間には、隙間Soが形成されている。これにより、本実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145間の空間Sは、第1、第2の絞り板144、145の板面方向の側方に開放している。なお、ここでの板面方向とは、第1、第2の絞り板144、145の板面と平行な方向を意味する。
【0029】
従って、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線Lnは、図5に示すように、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返して、空間Sの側方に位置する隙間SoからID情報信号受信ユニット14の外側に逃がされる。逆に言えば、受光可能領域Rの外側から隙間Sに入射した赤外線Lnは、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返したとしても、受光素子141の受光部141bに照射されることがない。これにより、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14によれば、受光可能領域Rの内側から隙間Sに入射した赤外線だけを確実に受信することができる。
(通信タグ20の概略構成)
図6は、第1の実施形態にかかる通信タグ20の概略図である。
【0030】
図6に示すように、本実施形態にかかる通信タグ20は、再帰性シート21と、通信モジュール22と、を備える。
【0031】
再帰性シート21は、任意の方向から入射するポインティングレーザ光Lpを、該ポインティングレーザ光Lpの入射方向に反射する。即ち、レーザポインタ11から再帰性シート22に照射されたポインティングレーザ光Lpは、再帰性シート21の向きに依らず、レーザポインタ11側に反射される。
【0032】
通信モジュール22は、ID要求信号受信ユニット221と、ID情報信号送信ユニット222と、ID要求信号受信ユニット221及びID情報信号送信ユニット222を制御するコントローラ223と、を備える。
【0033】
ID要求信号受信ユニット221は、操作機10のID要求信号送信ユニット13から送信されたID要求信号Srを受信する。ID要求信号受信ユニット221は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、低指向性の、即ち広角型の赤外線受信モジュールを使用している。
【0034】
ID情報信号送信ユニット222は、ID要求信号送信ユニット13からのID要求信号Srに基づき、コントローラ223のメモリ223b(後述する)に格納されたID情報を、ID情報信号Siとして送信する。ID情報は、設備機器A、B…を識別するために、通信タグ20それぞれに個別に付与されたものである。ID情報信号送信ユニット222としては、低指向性の、即ち広角型の赤外線送信モジュールが使用される。このため、ID情報信号送信ユニット222から送信されるID情報信号Siは、ID要求信号Srを送信している操作機10だけでなく、該操作機10の周囲の広範囲に送信されることになる。
【0035】
コントローラ223は、CPU223aと、メモリ223bと、を備える。CPU223aは、メモリ223bに格納された制御プログラムに基づき、ID要求信号Srの受信からID情報信号Siの送信までの各種処理を実現する。メモリ223bは、CPU223aにより実行される制御プログラムの他、例えば通信タグ20に固有のID情報を格納している。
(情報提供部40の詳細構成)
図2に示すように、本実施形態にかかる情報提供部40は、データベースDBを格納する格納部41と、サービス選択/サービス実行部42と、を備える。
【0036】
データベースDBは、通信タグ20のID情報と、通信タグ20が貼り付けられた設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスと、を対応づけている。サービス選択/サービス実行部42は、携帯端末30から取得したID情報と、格納部41に格納されたデータベースDBと、に基づき、ID情報に対応する設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該操作マニュアルや操作プログラム等を携帯端末20に送信する。情報提供部40としては、例えばサーバやクラウドを使用しても良い。
(操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック)
図7は、第1の実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック図である。
【0037】
図7に示すように、本実施形態にかかるコントローラ16は、主として、CPU161と、メモリ162と、により構成され(図2参照)、再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gと、を備える。
【0038】
再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gは、何れもメモリ162に記憶されている制御プログラムに基づき、CPU161により実現される。
【0039】
再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチ(図示しない)が押圧されたときに出力されるON信号により起動され、照度センサ12の出力信号、即ち「0」又は「1」に基づき、再帰光Lrを受光したかどうかを判定する。
【0040】
ID要求コマンド送信部16bは、再帰光検知判定部16aが再帰光Lrを受光したと確認した場合、コントローラ16のメモリ162に記憶されたID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する。ID要求コマンドは、設備機器A、B…のID情報を要求するコマンドであるが、設備機器A、B…の種別に依らない共通コマンドである。
【0041】
ID情報識別部16cは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号Siを、受信処理部16gから受け取り、該ID情報信号Siが、通信タグ20から送信された、設備機器A、B…を識別するためのID情報信号Siであるかどうかを識別する。ID情報信号Siは、送信処理部16fにより送信されたID要求信号Srへの応答信号である。
【0042】
ID統合部16dは、ID情報識別部16cにより識別された、設備機器A、B…を識別するためのID情報に、操作機10の操作機IDを統合するとともに、これをコード化することで、IDコードCを生成する。
【0043】
外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCを、無線通信ユニット15から、無線通信ユニット15にペアリングされた携帯端末30に送信する。
【0044】
携帯端末30は、外部通信I/F部16eから送信されたIDコードCを受信して、例えば情報提供部40等から、該IDコードCに対応する設備機器A、B…の関連情報を取得する。関連情報としては、例えば設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等が挙げられる。
【0045】
携帯端末30が操作マニュアルを取得した場合、携帯端末30のディスプレイに操作マニュアルを表示させれば、はじめて使用する設備機器であっても、簡単に使用することができる。又、携帯端末30が操作プログラムを取得した場合、操作プログラムを携帯端末30にセットアップすることで、携帯端末30の操作により、設備機器A、B…を簡単に使用することができる。
(操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャート)
図8は、第1の実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャートである。
【0046】
本実施形態にかかるコントローラ16による処理フローは、利用者Uによるレーザポインタ11の機械スイッチの押圧により開始する。
【0047】
処理フローが開始されたら、再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。
【0048】
レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したと判定したら(ステップS101のYes)、ID要求コマンド送信部16bは、設備機器AのID情報を要求するID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して(ステップS102)、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する(ステップS103)。さらに、ID要求コマンド送信部16bは、ID要求信号Srの送信の指示を始点として、タイムカウントを開始する。ID要求信号送信ユニット13は、送信処理部16fからの指示に基づき、ID要求信号Srを送信する。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。換言すれば、操作機10の先方、即ちID要求信号送信ユニット13の先方に、通信タグ20が確実に存在するときに、ID要求信号Srを送信する。このため、通信タグ20のID要求信号受信ユニット221にID要求信号Srを確実に受信させることができる。これにより、無暗にID要求信号Srを送信することによる消費電力の増加を防止することができる。
【0049】
一方、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光しないと判断したら(ステップS101のNo)、再帰光検知判定部16aは、再度、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光しない限り、ID要求信号送信ユニット13を起動しない。このため、操作機10の消費電力を抑制することができる。
【0050】
次に、ID情報識別部13cは、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したかどうかを判定する(ステップS104)。
【0051】
ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したと判定したら(ステップ104のYes)、ID統合部16dは、受信処理部16gにより受信されたID情報信号SiからID情報を取得するとともに、これに操作機10の操作機IDを統合して、IDコードCを生成する(ステップS105)。
【0052】
一方、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信しないと判断したら(ステップS104のNo)、コントローラ16による処理フローは終了する。
【0053】
次に、外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCの、ペアリングされた携帯端末30への送信を無線通信ユニット15に指示する(ステップS106)。無線通信ユニット15は、外部通信I/F部16eからの指示に基づき、自身にペアリングされた携帯端末30にIDコードCを転送する。以上で、コントローラ16による処理フローが終了する。
【0054】
以上の処理フローにより携帯端末30に送信されたIDコードCは、携帯端末30の通信機能により、例えばサーバやクラウド等の情報提供部40に転送される。情報提供部40のサービス選択/サービス実行部42は、格納部41に格納されたデータベースDBを参照して、携帯端末30から転送されたIDコードCに対応する設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該サービスを携帯端末30に送信する。こうして、利用者Uは、自身の携帯端末30に、設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等を取得することになる。
【0055】
以上のように、本実施形態にかかる通信システムに於いて、設備機器Aに貼り付けられた通信タグ20のID情報信号送信ユニット222は、低指向性の赤外線、即ち広角型の赤外線を通信媒体として、ID情報信号Siを送信している。
【0056】
このため、利用者Uが操作機10を操作しているときに、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bに貼り付けられた通信タグ20のID情報信号送信ユニット222から送信されたID情報信号Siを受信する恐れがある。
【0057】
しかし、本実施形態にかかる操作機10のID情報信号受信ユニット14は、受光素子141の受光部141bの前方に、第1、第2の絞り板144、145を備える。しかも、第1、第2の絞り板144、145間の隙間Sは、第1、第2の絞り板144、145の板面方向の側方に開放している。
【0058】
このため、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rの外側から空間Sに入射したID情報信号Siは、第1、第2の透光板144、145の内面で反射を繰り返しても、最終的に空間Sの側方に位置する隙間SoからID情報信号受信ユニット14の外部に出射する。
【0059】
従って、受光可能領域Rの外側から隙間Sに入射したID情報信号Siが受光素子141の受光部141bに照射されることがなく、ゆえに、受光素子141の受光部141bによるノイズ光の受光を低減することができる。
【0060】
受光素子141の受光部141bにより受光されるノイズ光が低減すると、ID情報信号受信ユニット14は、ID情報の要求対象である設備機器AのID情報信号Siだけを確実に受信することができるので、ID情報の要求対象ではない、即ち利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの操作マニュアルや操作プログラムを誤取得することもない。
【0061】
なお、本実施形態では、受光部141bの前方に2枚の絞り板、即ち第1、第2の絞り板144、145を配置しているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、受光素子141の受光部141bの前方に3枚以上の絞り板を配置しても良い。これは、以降の実施形態でも同様である。
[第2の実施形態]
以下、図9を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
【0062】
図9は、第2の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Aの断面図である。
【0063】
図9に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Aは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の第1の絞り板144を、第2の実施形態にかかる第1の絞り板144Aに置換したものである。
【0064】
第1の絞り板144Aは、第2の絞り板145と同形状であるが、第2の絞り板145よりも板面方向に大きい。しかも、第1の絞り板144Aは、第2の絞り板145と同心となるように配置されている。このため、第1の絞り板144Aは、少なくとも第2の絞り板145の外周部よりも外側に延在している。
【0065】
従って、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信されたID情報信号Siが、即ちノイズ光Lnが第1、第2の絞り板144A、145の側方からアクセスしてきても、第1の絞り板144Aにより遮蔽されるので、第1、第2の絞り板144A、145間の隙間Sへの入射を防止することができる。よって、利用者Uが意図しない設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第3の実施形態]
以下、図10を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
【0066】
図10は、第3の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Bの断面図である。
【0067】
図10に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Bは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14に、赤外線吸収シート147を付加したものである。
【0068】
赤外線吸収シート147は、複数、本実施形態では4本の支柱146の周囲に掛け渡され、第1、第2の絞り板144、145間の隙間Sを包囲している。赤外線吸収シート147の素材は、特に限定されるものではないが、第1、第2の絞り板144、145よりも赤外線の吸収率が高い素材であれば、例えば住友大阪セメント株式会社のクリアラスNIRシリーズ(登録商標)等を使用しても良い。
【0069】
本実施形態によれば、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線が赤外線吸収シート147により吸収されるので、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第4の実施形態]
以下、図11を参照しながら、第4の実施形態を説明する。
【0070】
図11は、第4の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Cの断面図である。
【0071】
図11に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Cは、第1の実施形態にかかるID情報受信ユニット14の第2の絞り板145を、第4の実施形態にかかる第2の絞り板145Cに置換したものである。
【0072】
第2の絞り板145Cは、第1の実施形態にかかる第2の絞り板145と同形状であるが、複数の支柱146に対応する位置には、それぞれ挿通孔145hが形成されている。支柱146は、それぞれ第2の絞り板145Cの挿通孔145hにスライド可能に嵌入されている。これにより、第1の絞り板144は、第2の絞り板145Cを基準として、受光素子141の光軸方向に移動可能に配置されている。
【0073】
従って、第1の絞り板144を受光素子141の光軸方向にスライドさせて、第1、第2の絞り板144、145Cの隙間Sの間隔Lを調整すれば、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rを容易に変更することができる。即ち、利用者Uの周囲の環境に応じた受光可能領域Rを簡単な調整で作り出すことができる。
[第5の実施形態]
以下、図12を参照しながら、第5の実施形態を説明する。
【0074】
図12は、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dの断面図である。
【0075】
図12に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の支柱146を、第5の実施形態にかかる壁部146Dに置換したものである。
【0076】
壁部146Dは、第1、第2の絞り板144、145間に配置され、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲している。壁部146Dの材料としては、赤外線透過型樹脂が使用される。即ち、受光素子141の受光部141bが受光する赤外線にとって透明な樹脂材料が使用される。
【0077】
このため、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを壁部146Dで包囲しても、赤外線受光領域Rの外側から空間Sに入射した赤外線を、第1、第2の絞り板144、145の側方に逃がすことができる。従って、第1の実施形態と同様に、受光素子141の受光部141bによるノイズ光の受光を低減することができる。しかも、第1、第2の絞り板144、145を環状の壁部146Dにより連結することで、ID情報信号受信ユニット144Dの強度が高まるので、機械的外力による破損等を防止することもできる。なお、赤外線透過型樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、例えば株式会社クラレのパラペット(登録商標)等を使用しても良い。
[第6の実施形態]
以下、図13を参照しながら、第6の実施形態を説明する。
【0078】
図13は、第6の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Eの断面図である。
【0079】
図13に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Eは、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dに、赤外線吸収シート147Eを付加したものである。
【0080】
赤外線吸収シート147Eは、壁部146Dの内面に貼り付けられ、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲している。赤外線吸収シート147Eの素材は、特に限定されるものではないが、第1、第2の絞り板144、145よりも赤外線の吸収率が高い素材であれば、例えば住友大阪セメント株式会社のクリアラスNIRシリーズ(登録商標)等を使用しても良い。
【0081】
本実施形態によれば、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線が赤外線吸収シート147Eにより吸収されるので、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第7の実施形態]
以下、図14を参照しながら、第7の実施形態を説明する。
【0082】
図14は、第7の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Fの断面図である。
【0083】
図14に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Fは、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dの壁部146Dを、第7の実施形態にかかる壁部146Fに置換したものである。
【0084】
壁部146Fは、第1の絞り板144に連結される第1の壁部146F1と、第2の絞り板145に連結される第2の壁部146F2と、を備える。第1、第2の壁部146F1、146F2の材料としては、赤外線透過型樹脂が使用される。即ち、受光素子141の受光部141bが受光する赤外線にとって透明な樹脂材料が使用される。
【0085】
第1の壁部146F1は、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲していて、第1の壁部146F1の内面には、第1の螺子部146mが形成されている。第2の壁部146F2は、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲していて、第2の壁部146F2の外面には、第1の螺子部146mと螺合する第2の螺子部146nが形成されている。これにより、第1の絞り板144は、第2の絞り板1455を基準として、受光素子141の光軸方向に移動可能に配置されている。
【0086】
従って、例えば第1の絞り板144及び第1の壁部146F1を回転させて、第1、第2の絞り板144、145の間隔Lを調整すれば、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rを容易に変更することができる。即ち、利用者Uの周囲の環境に応じた受光可能領域Rを簡単な調整で作り出すことができる。
[第8の実施形態]
以下、図15、図16を参照しながら、第8の実施形態を説明する。
【0087】
図15は、第8の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Gの平面図である。図16は、第8の実施形態にかかる第1、第2の絞り板144G、145により規定される受光可能領域Rdの概略図である。
【0088】
図15、図16に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Gは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の第1の絞り板144を、第8の実施形態にかかる第1の絞り板144Gに置換したものである。
【0089】
第1の絞り板144Gは、第1の実施形態にかかる第1の絞り板144と同形状であるが、受光素子141の受光部141bに対応する位置には、第1の実施形態にかかる第1の透光孔144oとは異なる第1の透光孔144sが形成されている。第1の透光孔144sは、長方形型のスリットであって、少なくとも長辺の寸法が第2の透光孔145oの内径dよりも長い。
【0090】
従って、第1、第2の透光孔144s、145oにより規定される受光可能領域Rdは、図16に示すように、長尺な長方形型となる。このため、例えば複数の設備機器A、B…が横方向に配列され、かつ、ID情報の要求対象である設備機器Aの上下方向には、他の設備機器が存在しない場合、受光可能領域Rdが上下に延びるように操作機10を把持することで、利用者Uの意図とは異なる設備機器BからのID情報信号Siの受信を防止しつつ、操作機10の上下ズレにマージンを持たせることができる。従って、利用者Uは、ID情報の要求対象である設備機器AからID情報信号Siを、より簡単に受信することができる。
【符号の説明】
【0091】
14、14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G:ID情報信号受信ユニット
141:受光素子
141b:受光部
144o:第1の透光孔
144、144A:第1の絞り板
144o、144s:第1の透光孔
145、145C:第1の絞り板
145o:第2の透光孔
147、147E:光吸収シート
S:空間
So:隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部を有する受光素子と、
前記受光素子の前記受光部側に配置され、前記受光部に対応する位置に第1の開口を有する第1の絞り板と、
前記受光部及び前記第1の絞り板間に配置され、前記第1の開口に対応する位置に第2の開口を有する第2の絞り板と、を備え、
前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板間の空間は、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板の側方に光学的に開放している受光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受光装置に於いて、
前記第1の絞り板は、前記第2の絞り板よりも、前記受光部の光軸と交差する方向に大きく延在している受光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の受光装置に於いて、さらに、
前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板の側方に配置され、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板間の空間を包囲する、前記第1の絞り板及び前記第2の絞り板よりも光吸収率が高い光吸収材を備える受光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の受光装置に於いて、さらに、
前記第1の絞り板は、前記第2の絞り板を基準として、前記受光部の光軸方向に変位可能に設けられている受光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−65972(P2013−65972A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202345(P2011−202345)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】