説明

口腔ケア組成物用処理システム

本発明は、パーソナルケア及び洗浄組成物、具体的には、歯磨剤、マウスリンス、及び義歯ケア製品などの口腔ケア組成物の製造に使用される低損失液体処理システムに関する。本プロセスは、需要に合わせた製品製造における生産柔軟性の問題、及び品質保証目的での中間体組成物のプロアクティブ監視機能に対処する。特に、本製造プロセスは、様々な製品の製造所要時間の更なる高速化、様々な製品間の洗浄時間の更なる短縮、材料廃棄物の大幅削減、及び、典型的なバッチシステムよりも少ない廃水量をもたらす。加えて、元のベース材料と化学組成及び/若しくは物理的パラメーターに関して異なる材料、又は、温度及び剪断力感受性であり得る材料を、より効率的に添加するためのプロセスが開発された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のパーソナルケア及び洗浄製品、具体的にはオーラルケア用製品を製造するための処理システム及びかかるシステムの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯及び口腔の健康状態及び外観は、日常生活の最も重要な関心事である。消費者は、洗浄並びに口腔感染、歯垢、及び歯石の予防、加えて、着色汚れの除去、着色汚れの抑制、歯のホワイトニング、口臭の抑制、及び息のフレッシュニングなどの様々なニーズを有する。したがって、口腔の徹底した洗浄及びケアを提供する歯磨剤、リンス、及びデンタルフロスのような日用の口腔ケア製品にとっては、上述の効果を提供するために異なる機構によって働く複数の成分を添加することが必要である。そのような製品の配合には、複数成分の不適応性から生じるような多くの困難が存在する。更に、例えば、風味、外観、質感、及び口ざわりの特徴に対する消費者の様々なニーズ及び好みに配慮した多くの異なる製品の変形が要求される。したがって、様々な口腔ケア製品を消費者に提供するために、生産能力を改善させる必要性が依然として存在する。
【0003】
口腔ケア組成物は、従来バッチプロセスを用いて製造されている。これらのプロセスでは、ベース材料又はベース成分は、個別に準備される。次いで、これらベース材料は、典型的には継続的に撹拌が施される、並びに、時折更なる機械的及び/又は熱的エネルギーが加えられる、混合タンク又は反応器内で組み合わせられる。追加のベース、仕上げ、及び/又は、再ブレンド材料は、個別に準備され、次いで組み合わせたベース材料に添加される。バッチプロセスでは、口腔ケア組成物のタイプを確定するこれらの追加材料を添加するために、いくつもの工程及び時間的遅延を要することが多い。これは、このような追加材料が、元のベース材料と化学組成及び/若しくは物理的パラメーターにおいて異なる場合、又は、追加材料が温度及び/若しくは剪断力感受性の場合に多かった。
【0004】
様々な口腔ケア組成物がバッチプロセスで製造されるとき、混合タンク及びその供給ラインの大部分を洗浄しなくてはならない。バッチ毎の準備は、時間と材料の両方においてコストがかかる。最初の組成物から比較的軽度に変更、例えば、風味、色、又は冷却剤などの審美的成分を変更した物のみの製造に対して、この面倒な作業を予定しているとき、特に不利となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述の問題を克服するシステムが求められていた。より詳細には、混合タンク、ポンプ、及び管に対する元手がかからず、材料のロス/廃棄物の最小化及び更なる高速製造により、著しくコストを削減する、種々の口腔ケア製品を製造するためのシステムが開発された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パーソナルケア及び洗浄組成物、具体的には、歯磨剤、マウスリンス、及び義歯ケア製品などの口腔ケア組成物の製造に使用される低損失液体処理システムに関する。本プロセスは、需要に合わせた製品製造における生産柔軟性の問題、及び品質保証目的での中間体組成物のプロアクティブ監視機能に対処する。特に、本製造プロセスは、様々な製品の製造所要時間の更なる高速化、様々な製品間の洗浄時間の更なる短縮、材料廃棄物の大幅削減、及び、典型的なバッチシステムよりも少ない廃水量をもたらす。加えて、元のベース材料と化学組成及び/若しくは物理的パラメーターに関して異なる材料、又は、温度及び剪断力感受性であり得る材料を、より効率的に添加するためのプロセスが開発された。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歯磨剤などの口腔ケア組成物の製造に使用される、本発明の低損失液体処理システムの実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の記載から更に十分に理解されるものと考えられる。
【0009】
本明細書の以下で使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り全て成分の実際の量に基づき、市販製品として成分と組み合わされている可能性がある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0010】
本明細書において言及される全ての測定は、特に規定されない限り、約25℃、すなわち室温条件で実施される。
【0011】
本明細書において、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の構成要素が追加され得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0012】
本明細書で使用するとき、単語「包含する」及びその変形は、挙げられている項目の詳細説明が、本発明の材料、組成物、装置、及び方法に同様に有用であると考えられる他の類似の項目を除外しないように、非限定的であることを意図している。
【0013】
本明細書で使用するとき、単語「好ましい」、「好ましくは」及びその変形は、一定の条件下において一定の効果をもたらす本発明の実施形態に関する。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0014】
「口腔ケア組成物」とは、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、経口作用を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。口腔ケア組成物は、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、義歯製品、マウススプレー、口内錠、チュアブル錠又はチューインガムを含む様々な形態であってよい。本口腔ケア組成物はまた、口腔表面への直接適用又は貼付用のストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「歯磨剤」は、別途指定しない限り、ペースト、ゲル、粉末、又は錠剤製剤を含む。歯磨剤組成物は、単一相組成物であってもよく、又は多相、すなわち2種以上の別々の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、ペーストを囲むゲルを有する、深い縞状、表面的な縞状、多相、多層状、又はこれらのいずれかの組み合わせのような、いずれの所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、同時に投与されてもよい。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「相」は、均質でない物理−化学系の中に存在する物質の、均質で、物理的に異なり、機械的に分離可能である部分を意味する。相は、中間体及び/又は最終製品と考えられる物質であってもよい。1つの態様では、本明細書の相は異なる色を有する組成物である。1つの態様では、相は同一の化学組成物を含むが、異なる着色剤を有する。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語「多相(multiphase)」又は「多相(multi-phase)」は、本組成物の相が、それらが保管される容器又は包装内部の別個であるが異なる物理的空間を占有し、互いに直接接触できるが、いかなる有意な程度にも乳化又は混合されず、又は相が障壁により分離され得ることを意味する。本発明の1つの好ましい実施形態では、「多相」口腔ケア組成物は、視覚的に区別可能な模様として容器中に存在し、及び/又は分配されると表示される少なくとも2つの視覚的に区別可能な相を含む。この「模様」(“patterns”又は“patterned”)には、次の例が挙げられるが、これらに限定されない:縞模様、大理石模様、直線的模様、中断縞模様、チェック模様、斑点模様、脈状模様、クラスター模様、斑紋模様、幾何学模様、まだら模様、リボン模様、らせん模様(helical)、渦模様(swirl)、配列模様、ふ入り模様、織物模様、溝模様、隆起線模様、波形模様、正弦波模様、渦巻き模様(spiral)、ねじれ模様、曲線模様、周期模様、筋模様、横紋模様、輪郭模様、不均等模様、レース模様、織り込み又は織り出し模様、バスケット織り模様、まだら模様、及びモザイク模様。1つの態様では、相は、様々な異なる色であってもよく、及び/又は他の存在する相(1つ又は複数)からその外観を補うために、少なくとも1つの相の中に粒子、グリッター又は真珠光沢剤を包含してもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「ディスペンサー」とは、歯磨剤などの組成物を分配するのに好適なあらゆるポンプ、チューブ、又は容器を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0020】
用語「口腔に許容可能なキャリア」は、フッ化物イオン源、抗歯石若しくは抗歯石剤、緩衝剤、シリカ等の研磨剤、アルカリ金属重炭酸塩、増粘材料、湿潤剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、香味系、甘味剤、キシリトール、並びに着色剤のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、口腔ケア組成物に使用される安全かつ効果的な材料及び従来の添加剤を指す。
【0021】
本明細書において有用な活性成分及び他の成分は、それらの美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらの作用若しくは機能の想定される様式によって分類又は説明され得る。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容的及び/若しくは治療的な1を超える効果をもたらすこと、又は1を超える作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のことであって、成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0022】
本明細書で使用するとき、ベース材料とは、下位の処方物及び/又は中間体として使用される材料である。本明細書で使用するとき、下位の処方物とは、単一の原材料としてよい。用語「ベース材料」の前を修飾する数は、化学組成又は物理的パラメーターの相違を意味する必要はない。例えば、第1のベース材料は、第3のベース材料と同じ組成物であることができる。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「パーソナルケア及び洗浄組成物」は、特に断りのない限り、顆粒又は粉末状の多目的すなわち「強力」洗浄剤、特に洗濯洗剤;液体、ゲル又はペースト状の多目的洗浄剤、特にいわゆる強力液体型;液体微細繊維用洗剤(fine-fabric detergents);食器手洗い用洗剤;軽質食器用洗剤、特に泡立ちの良いもの;家庭用又は業務用の各種錠剤、顆粒、液体、及びすすぎ補助型などの食器洗い機用洗剤;抗菌手洗い用などの液体の洗浄、脱臭及び殺菌剤;洗濯石鹸;手洗い石鹸;空気及び衣類脱臭剤;自動車又はカーペット用シャンプー;トイレクリーナー;ヘアシャンプー;ヘアリンス;洗顔料;皮膚洗浄剤;シャワー用ジェル;ボディーソープ;パーソナル洗浄組成物;発泡入浴剤;金属洗浄剤;並びに、布地向上剤、漂白添加剤、及び「ステインスティック」又は前処理型などのクリーニング補助剤を包含する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「組み合わせる」とは、均質性を達成するための実質的な混合を伴って又は伴わずに材料を共に加えることを意味する。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「混合する」及び「ブレンドする」は、組み合わせること及びその後に比較的より高い程度の均質性を更に達成することを、互換可能に意味する。
【0026】
歯磨剤などの口腔ケア製品を様々な形状で製造するための従来のバッチプロセスは、多種多様の処方物を市場に供給するために、多くのデメリット、特に、著しい成分及び最終製品の廃棄物/ロス、水消費量、埋立地への影響、及び製造時間に悩まされる。多種多様の処方物の製造により、製造場所の変更回数が多くなり、変更に費やす時間、混合タンク、管、及びその他設備の洗浄に使用される水の量、並びに、排水管に流される成分及び練り歯磨きなどの製品の量が増加する。資源が減少している環境においては、これらの状況は持続可能ではなく、現状打破が必要である。
【0027】
本プロセスは、上述したロスを著しく低減させる。1つの実施形態では、本プロセスは、歯磨剤又は練り歯磨き製造を、バッチシステムから半連続バッチシステム、すなわち、複数成分のバッチ又は流れを含むシステムへ変更する。本半連続プロセスは、固体含有量が高いその他の液体又は流体製品、例えば研磨剤などの固体成分を含む洗浄又は洗剤製品の製造にも有用である。本プロセスは、1つ以上のベース処方物にコアとなる材料をまとめ、かかるベース処方物から追加成分を切り離すことに基づき、消費者にとって意味を持つ様々な製品を製造する。このような種々成分としては、主成分並びに審美剤を挙げてよい。1つの実施形態では、本プロセスとして、プロセス中の可能な限り後の時点で様々な成分を導入できる液体注入システムが挙げられる。液体注入システムは、メインの混合工程に2つ以上の成分流を同時追加して最終製品を製造し、よって製造プロセスをより簡便に短くすることを特徴とする。別の製品は、1つ以上の成分流を入れ替えることにより製造される。これら処方物調整及び注入技術により、製品廃棄物、設備投資、設備停止時間、及び製造サイト洗浄用水の消費量を著しく削減しながらも、消費者主導の製品差別化が可能になる。この半連続バッチプロセスは、包装ラインの最低所要時間も短縮し、同様に最終製品の在庫を大きく減らす。従来のバッチ製造プロセスでは、最大約10%のロス(すなわち混合タンク及び貯蔵タンクの洗浄用水の著しい消費に加えて、生産ラインの切り替え中に無駄になる製品のロス)が典型的である。本セミバッチプロセスは、製品のロスが3%以下に削減され、最大95%の水を節約できるように、処方物製造中の生産ラインの切り替え及びプロセスの中間体貯蔵部分の最大95%を削減できる。本プロセスの様々な構成要素又は流れを以下の表1にまとめる。
【表1】

【0028】
プロセスでは、まず、別々の貯蔵用タンクに移される1つ以上のベース又はコア処方物の流れの調製が必要である。プロセスにおける貯蔵工程は、ベース処方物又は任意の部分的処方物を保管し、追加の処理工程を実施できる別の場所へ移動できるという点で、製造場所の柔軟性をもたらす。貯蔵工程により、品質保証のための分析を可能とし、消費者需要に合わせて最終製品を供給でき、最終製品の製造が複数の場所、並びに遠隔地で行える。本明細書で使用するとき、流れ、部分的処方物、又は最終製品の「貯蔵」「保管」又は「保管する」とは、最低5分間から、数日、数週間、数か月、又は数年にわたってよい不確定期間の間で起こり得る。
【0029】
ベース流は、典型的には、総処方物の少なくとも約40%から最大約99%である処方物バルクを構成し、非ニュートン流体、すなわち、粘弾性又はずり減粘性を有することがあり得る。次いで、このベース流と組み合わせる追加成分流が調製される。ベース流と同様に、これら追加の流れは別々の貯蔵タンクに移されてよい。これらの流れとして、1つ以上の、>50%の水を含む主に水性の流れ、5%未満の水を含む本質的に非水性の流れ、並びに、例えば、香味油及び有機溶媒などの液体を含む有機の流れを挙げてよい。
【0030】
貯蔵から下流では、1つ以上のベース流が合流又は混合領域に流され、ブレンド用の1つ以上の別の材料流と組み合わされて、特定の種々の製品となる。これら材料のブレンドは、連続流れ方式で起こる。このプロセスは、他の流れよりも恐らく低い温度及び撹拌度で排出され得る、香味剤、芳香剤、及び有機着色剤などの温度及び剪断力感受性添加剤の保護を意図している。
【0031】
図1は、本製造プロセスの実施形態のフローチャートを示し、ここでは少なくとも2つの成分流、すなわちベース流及び添加剤流が、組み合わせられ、かつブレンドされる。ブレンドされると、成分流は、練り歯磨きなどのパーソナルケア製品、又は液体ボディーソープなどの洗浄組成物を構成することができる。
【0032】
このプロセスとして、1つ以上のベース流(5)と混合されて製品を形成する、1つ以上の成分流を調製する1つ以上の添加剤システム(1)が挙げられる。ベース及び添加剤流はそれぞれ、貯蔵/製造タンク、使用タンク、及び分与又は定量ポンプ(3)を含むシステムで調製され、好ましくはサーボ制御される。タンクは、強力接続部(2)を有し、又は必要に応じて接続されてよい。貯蔵/製造タンクを用いて、均質的に製造し、中間体、つまり部分的処方物を保管する。また、別個の製造タンク及び貯蔵タンクも用いてよい。使用タンクは、プロセスの中断を制限するリザーバとして働く。混合又はブレンド領域に注入するために、分与又は定量ポンプ(3)を用いて流体を正確に分与する。必要に応じて使用タンクに流れを戻すための、任意の再利用ループ(4)が存在してもよい。
【0033】
混合技術は、静的ミキサー、動的ミキサー、ローターステーター、ピンミル、押出成形機を含むが、これらに限定されない、任意の数の混合装置であってよい。ミキサーは、続いて充填ライン(7)に進むことができる最終製品を生産し、このラインは、最終製品を最終包装内に分与する装置を含んでよい。混合装置は、合流領域(6)を備えてよく、混合を、合流領域において流れが最初に接触する所、混合装置内のその下流、又はその両方場所において開始してよい。かかる合流領域は、入口排出点(図示せず)を有する2つ以上の入口(図示せず)を含むことができ、この入口を通してベース流及びその他成分流が供給される。かかる入口排出点は、任意の方法で、合流領域全体に配置してよい。例えば、かかる入口排出点は、互いにごく近接して、又は大きく離して配置してよく、同一の平面又は別の平面に置いてよい。したがって、かかる入口排出点は、周囲方向に、放射状に、及び/又は縦方向に、均等に又は不均等に配置してよい。更に、入口排出点は、等しい又は等しくない断面積、形状、長さ、及びそれを通る流速を有してもよい。1つの態様では、入口排出点は、材料の混合が合流領域内で殆ど直ちに生じるように、インラインミキサーに近接して並置されてもよい。好ましい実施形態では、様々な流れが同時に最終混合装置内に注入され、最終製品を生産する。合流領域は、合流領域に供給された材料を排出するための、少なくとも1つの共通出口(図示せず)を更に含んでよい。少なくとも1つの材料排出用共通出口は、排出された物質が混合領域に流れ込むように設計してよい。
【0034】
全ての材料流を混合した後、最終製品は、少なくとも1つの共通出口を通り、充填ライン(7)に向けて混合領域を出て、例えば、単一の容器又は均一若しくは不均一の容量の複数の容器(図示せず)に供給することができる。容器は、システムに挿入可能で、かつシステムから取り外し可能であってよい。製品を含む容器を、最終的に出荷して消費者に販売してもよく、又は、中間体として混合物の輸送及び貯蔵に用いてもよい。したがって、容器は、バルク貯蔵装置、例えば、タンク、タンク車、若しくは貨車から、又は最終包装、例えば、チューブ、瓶、及び/若しくはトトル(tottle)から選択されてよい。容器は、当該技術分野において周知のような解体式(frangible)又は再密閉可能な閉止体を設けられてもよく、及び本発明により組み合わされた材料を収容するのに好適ないかなる材料で作製されてもよい。
【0035】
1つの態様では、材料流は、合流/混合領域に差し込まれる1つ以上の入口管により合流/混合領域に供給される。流れは、放射状に、周囲方向に、又は更に縦方向に、又は任意のその他方向に導入されてよい。流れは、同心管、すなわち管内の管を通って導入されてよい。各材料流は、専用の入口管を有することができ、又は別の方法としては、複数の流れが単一の入口管を通って注入されてよい。当然ながら、所望の場合、各流れが、類似又は異なる材料、量、フィード量、流速、濃度、温度などの様々な組み合わせで、2本以上の入口管を通って加えられてもよい。
【0036】
このプロセスで使用できるミキサーのタイプは、静的ミキサーである。静的ミキサーは、当該技術分野において周知であり、通常一連の繰り返し又は無作為の連動プレート及び/又はフィンの形態である。本方法に用いるのに好適な静的ミキサーとして、Chemineer Inc.(P.O.Box 1123,Dayton,OH 45401)から入手可能なChemineer SSC.75−4R−S(KMA 4エレメント1.9cm(3/4インチ))、及びKoch−Glitsch LP Mass Transfer Sales and Engineering(9525 Kenwood Road,Suite 16−246,Cincinnati,OH 45242)から入手可能なKoch SMX4エレメントミキサー(公称1.9cm(3/4インチ))が挙げられる。使用してよい別のタイプのミキサーは、動的ミキサーである。1種の動的ミキサーは、高せん断ミルであり、例えばIKA Works(Wilmington NC)から入手可能なものである。更に、所望の場合、静的ミキサー又は他のインラインミキサーは、1本以上の入口管の中に若しくはこれと共に又は合流領域の上流に配置されてもよい。加えて、本明細書にて説明される及び特許請求される方法により組み合わされる材料に対して更に一定の流れをもたらすために、サージタンクが使用されてもよい。加えて又は別の方法として、ザンカー(Zanker)プレートが利用されてもよい。
【0037】
ミキサーの選択は、最終的に得られる組成物の相構造によって決定される。例えば、等方性組成物の製造に用いられる材料の一部を混合するには、静的ミキサーで十分である。層状組成物の製造にその他の材料を混合するには、最終組成物の粘度を増加させるために、より高度に撹拌しなくてはならない。したがって、高せん断ミルなどの動的混合システムが適している場合がある。本明細書で使用するとき、動的混合システムは、この中で材料を組み合わせるためのインペラ、ジェット混合ノズル、再循環ループ、ガスパーコレーション、回転若しくは固定ふるい又は類似の撹拌手段を使用する、バッチ及び連続の撹拌システムが含まれる。
【0038】
材料流は、流体、典型的には液体を含むことができる。液体には、懸濁液、乳濁液、スラリー、水性及び非水性物質、純物質、物質のブレンドなどが含まれ、全て液体状態の物質を有するものである。液体流を供給するための任意の原動力又は同様の手段、例えばポンプ及びサーボモータを使用してよい。本明細書で使用するとき、原動力は、エネルギーを提供するために使用されて、これが今度は、材料流を合流/混合領域に供給するのに使用されるいずれかの力を指し、電動モータ、重力フィード、手動フィード、水圧フィード、空気圧フィードなどが挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0039】
材料流は、当該技術分野において既知である及びそのような材料を分与するために所望の正確さをもたらす、ホッパー、タンク、貯槽、容積式ポンプなどのポンプ、又は管への他の供給部若しくは供給源、又は他の供給装置から供給されてもよい。
【0040】
材料流の供給用装置は、複数の容積移送式ポンプを備えてよい。それぞれのポンプは、ACモータ又はサーボモータなどの、関連付けられたモータによって駆動されてもよい。それぞれのサーボモータは、単一のポンプに専用であってもよく、又は任意に、複数のポンプを駆動してもよい。この構成により、従来技術で使用されたような、流れ制御弁、流量計、及び関連付けられた流れ制御フィードバックループを有する必要性が無くなる。
【0041】
本明細書で使用され記載される処理システムに、自動制御システムを採用してもよい。制御システムは、業界で利用可能で当業者に周知の任意の多くの選択肢からなってよい。1つの特に好適な方法は、Rockwell Automation(Milwaukee,WI)から入手可能なAllen Bradley’s ControlLogix(登録商標)などのProgrammable Logic Controller(PLC)の使用である。オペレーターのインターフェイスもまた、Wonderware(登録商標)ソフトウェアが搭載されたパーソナルコンピュータなどで提供されてよい。
【0042】
本明細書に記載されるシステムはまた、ポンプ又は圧力調整装置を備えてもよい。これらは、プロセスの任意の時点において、必要な際に十分かつ安定した圧力を提供するために用いることができる。
【0043】
1つの態様では、1つ以上の本明細書に記載される処理システムは、1つ以上の追加の処理システムを採用して、又は組み合わせてもよく、複数の処理システムを利用した製造された製品は共通の容器内に排出されてよく、それにより、例えば、複数の層、相、模様などを有する製品を形成する。かかる層、相、及び/又は模様は、均質な製品を形成するために、容器内で混合してもよいし、しなくてもよい。1つの態様では、製品の第1の相を製造する処理システムは、ペースト相及びゲル相を含む歯磨き剤などの最終多相組成物を容器に充填するための第2の又は第nの相を製造する処理システムとは別の場所にあってよい。
【0044】
1つの態様では、1つの処理システム又は複数のシステムは、第1の相、第2の相、組み合わせ相、及び/又は、多相の組成物を容器に充填するための充填ラインを備えることができる。1つの態様では、組成物を別の組成物と組み合わせて多相製品の形成を意図している場合、多くの方法で容器内に充填してもよい。例えば、練り歯磨きチューブへの充填技術と回転台設計を組み合わせることにより、容器を充填できる。更に、本発明は、米国特許第6,213,166号(Thibiantら、2001年4月10日発行)に開示されているような方法及び装置により容器に充填することができる。この方法及び装置により、容器への充填のための少なくとも2つのノズルを用いて、2つ以上の組成物が単一の容器内へらせん形状で充填でき、その容器は回転台上に設置され、組成物を容器内へ導入するように回転される。
【0045】
1つの態様では、本明細書に記載される処理システムの構成要素は、プロセス全体に容易に追加したり、プロセス全体から取り除いたりできるモジュール式ユニットとなるよう設計されてよい。
【0046】
別の態様では、口腔ケア組成物及び製品は、本明細書に開示されるプロセスにより製造される。口腔ケア組成物の典型的な構成要素及び構成成分を、以下の段落に非限定例とともに記載する。これらの成分として、局所的口腔内投与に好適な、活性物質及びその他口腔に許容可能なキャリア物質が挙げられる。「適合性のある」とは、組成物の成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低減する様態で、相互作用することなく混合することができることを意味する。好適な活性物質、キャリア、又は賦形剤物質は、当該技術分野において周知である。これらの選択は、所望の活性、製品形状、並びに、味、コスト、及び貯蔵安定性などの二次的検討事項によって決まり得る。製造中のベース成分及びその他成分の流れへの分布は、所望の最終組成物、並びにその物理的及び化学的性質によって決まり得る。成分のいずれかが、2つ以上の流れに存在しなくても存在してもよい。
【0047】
フッ化物供給源
抗う食効果を提供するために、約0.0025重量%〜約5.0重量%、好ましくは約0.005重量%〜約2.0重量%の組成物におけるフッ化物イオン濃度を与えるのに十分な量で、歯磨剤及び他の口腔用組成物に存在するフッ化物化合物を有することは一般的である。上述のとおり、虫歯の予防は、全般的な歯の健康及び一体性に必須である。多種多様なフッ化物イオン生成物質が、本発明の組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用され得る。好適なフッ化物生成物質の例は、Brinerらの米国特許第3,535,421号及びWidderらの米国特許第3,678,154号に見られる。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化インジウム、及び多くの他のものが挙げられる。
【0048】
抗菌剤
本組成物は、殺菌効力、即ち、殺滅及び/又は代謝の改変、及び/又は歯垢、虫歯、歯肉炎、及び歯周病等の口腔の局所的に治療可能な感染及び疾患を引き起こす、微生物の成長の抑制を提供するための、抗菌剤、好ましくは第四級アンモニウム抗菌剤を含んでもよい。
【0049】
本発明の組成物で使用される抗菌性第四級アンモニウム化合物は、第四級窒素上の置換体のうちの1つ又は2つが、約8〜20、典型的には約10〜約18個の炭素原子の炭素鎖長(典型的にアルキル基)を有する一方で、残りの置換体(典型的にはアルキル又はベンジル基)が、約1〜約7個の炭素原子等のより少ない数の炭素原子を有する(典型的にはメチル若しくはエチル基)ものが含まれる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、N−テトラデシル−4−塩化エチルピリジニウム、ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)臭化アンモニウム、ベンジルジメチルスチレン臭化アンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサジヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化メチルベンゼトニウムが、典型的な第四級アンモニウム抗菌剤の例示的なものである。他の化合物は、Baileyの1980年6月3日の米国特許第4,206,215号に開示されるビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。ピリジニウム化合物は、好ましい第四級アンモニウム化合物であり、特に好ましいのは、セチルピリジニウム、又はテトラデシルピリジニウムハロゲン化物塩(即ち、塩化物、臭化物、フッ化物及びヨウ化物)である。最も好ましいのは、塩化セチルピリジニウムである。第四級アンモニウム抗菌剤は、組成物の少なくとも約0.035重量%、好ましくは約0.045重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約0.10重量%の濃度で本発明に含まれる。
【0050】
本組成物は、抗菌剤として、スズイオン、亜鉛イオン、銅イオン、又はこれらの混合物を提供する、金属イオン源を含んでもよい。金属イオン源は、無機若しくは有機対イオンを有する、スズ、亜鉛、又は銅の可溶性又は難溶性化合物であることが可能である。例としては、スズ、亜鉛、及び銅のフッ化物、塩化物、塩化フッ化物、アセタート、ヘキサフルオロジルコニウム酸、硫酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリシン酸、ピロリン酸、メタリン酸、シュウ酸、リン酸、炭酸塩、及びオキシドが挙げられる。
【0051】
スズ、亜鉛及び銅イオンは、歯肉炎、歯垢、過敏の低減、及び改善された呼気効果に役立つことが示されている。有効量は、合計組成物の少なくとも約50ppm〜約20,000ppm、好ましくは約500ppm〜約15,000ppmの金属イオンとして定義される。より好ましくは、金属イオンは、約3,000ppm〜約13,000ppm、及び更により好ましくは約5,000ppm〜約10,000ppmの量で存在する。これは、歯の表面への送達のための金属イオン(スズ、亜鉛、銅及びこれらの混合物)の合計量である。
【0052】
スズ塩類、特にフッ化第一スズ及び塩化第一スズを含有する歯磨剤については、米国特許第5,004,597号(マジェティ(Majeti)ら)に記載されている。スズ塩に対するその他の記載は、Prencipeらに発行された米国特許第5,578,293号、及びLukacovicらに発行された米国特許第5,281,410号に見出される。スズイオン源に加えて、Majetiら、及びPrencipeらに記載される成分など、スズの安定化に必要なその他成分を含めてよい。
【0053】
好ましいスズ塩は、フッ化スズ及び塩化第一スズ二水和物である。他の好適なスズ塩としては、クエン酸スズ、酒石酸スズ、及びクエン酸スズナトリウムが挙げられる。好適な亜鉛イオン源の例は、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、及び米国特許第4,022,880号に記載される他の塩である。クエン酸亜鉛及び乳酸亜鉛が、特に好ましい。好適な銅イオン源の例は、米国特許第5,534,243号に記載されている。複合金属イオン源(複数を含む)は、最終組成物の約0.05重量%〜約11重量%の量で存在する。好ましくは、金属イオン源は、約0.5〜約7%、より好ましくは約1%〜約5%の量で存在する。好ましくは、スズ塩は、合計組成物の約0.1〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%、及び最も好ましくは約1.5重量%〜約3重量%の量で存在し得る。本発明で使用される亜鉛又は銅塩の量は、約0.01〜約5%、好ましくは約0.05〜約4%、より好ましくは約0.1〜約3.0%の範囲である。
【0054】
また、本発明は、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノール及びその同族体を含むフェノール化合物、モノアルキル及びポリアルキル並びに芳香族ハロフェノール、レゾルシノール及びその誘導体、キシリトール、フェノール化合物及びハロゲン化サルチルアニリド、安息香酸エステル及びハロゲン化カルバニリド等の非カチオン性抗菌剤を含む、他の抗菌剤を含んでもよい。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、及びこれらの混合物を含む酵素も、有用な抗菌剤である。こうした剤は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日)、及び同第4,051,234号(ギースキー(Gieske)ら)に開示されている。その他の抗菌剤の例として、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサンモノホスフェート、及びチモールなどの香味油が挙げられる。トリクロサン及びこの種の他の剤は、米国特許第5,015,466号(パラン・ジュニア(Parran、Jr.)ら)及び米国特許第4,894,220号(ナビ(Nabi)ら)に記載されている。これらの剤は、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約1.5重量%の濃度で存在してもよい。
【0055】
抗結石剤
本組成物は任意に、ピロホスフェートイオン供給源としてのピロリン酸塩など、抗結石剤を含んでもよい。本組成物に有用なピロリン酸塩としては、ピロリン酸一、二、及び四アルカリ金属塩、及びこれらの混合物が挙げられる。無水和物並びに水和物の形の、二水素ピロリン酸二ナトリウム(Na)、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)が好ましい種である。本発明の組成物において、ピロホスフェート塩は次の3通りのうちの1つの形態で存在してもよい:即ち、主に溶解した形態、主に溶解していない形態、又は溶解した形態と溶解していない形態のピロホスフェート塩の混合物のいずれかである。
【0056】
主に溶解したピロホスフェートを含む組成物とは、少なくとも1つのピロホスフェートイオン供給源が、少なくとも約0.025%の遊離ピロホスフェートイオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロホスフェートイオン量は、約1%〜約15%、一つの実施形態においては約1.5%〜約10%、及び、他の実施形態では約2%〜約6%としてもよい。遊離ピロホスフェートイオンは、組成物のpHに依存して多様なプロトン化状態で存在してもよい。
【0057】
主に溶解していないピロホスフェート塩を含む組成物とは、組成物中に溶解している約20%以下の合計ピロホスフェート塩、好ましくは組成物中に溶解している約10%未満の合計ピロホスフェートを含有する組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物中の好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩形態若しくは十水和物の形態、又は歯磨剤組成物中において固体形態で安定なその他のいずれの種であってもよい。塩はその固体粒子状形態であり、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは、審美的に受け入れられるように、そして使用時に容易に溶解するように十分に小さい。これらの組成物の製造に有用なピロホスフェート塩の量は、歯石抑制に有効な任意の量であり、一般に、歯磨剤組成物の約1.5重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%である。
【0058】
組成物はまた、溶解したピロホスフェート塩と溶解していないピロホスフェート塩との混合物を含んでもよい。前述のピロホスフェート塩のいずれを用いてもよい。
【0059】
ピロリン酸塩は、Kirk−Othmerの「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」(第3版、第17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)、1982年)に、より詳細に記載されている。
【0060】
ピロリン酸塩の代わりに又はピロリン酸塩と組み合わせて用いられる任意の剤としては、より長い鎖(3以上)のポリリン酸塩(トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩及びヘキサメタリン酸を含む)、合成アニオン性ポリマー(例えば米国特許第4,627,977号(Gaffarら)に記載されている、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、Gantrez)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ジホスホネート(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)を含む)、並びにこれらの混合物として既知の物質が挙げられる。
【0061】
その他の活性剤
本組成物に含まれていもよい更に別の活性剤は、過酸化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせからから成る群から選択される歯漂白活性物質である。好適な過酸化化合物類としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化亜鉛及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソンである。
【0062】
歯磨剤製剤での使用に好ましい過酸化物供給源は、過酸化カルシウム及び過酸化尿素である。過酸化水素及び過酸化尿素は、口内洗浄剤製剤で用いるために好ましい。以下の量は過酸化物原料物質の量を示すが、過酸化物源は過酸化物原料物質以外の成分を含有してもよい。本組成物は、組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の過酸化物源を含有してよい。
【0063】
白化に加えて、過酸化物はまた口腔に他の効果も提供する。過酸化水素及び他の過酸素化合物は、虫歯、歯垢、歯肉炎、歯周炎、口臭、慢性再発性アフター性潰瘍、義歯の炎症、歯列矯正装置の損傷、抜歯後及び歯根膜手術後、外傷性口腔病変、並びに粘膜感染、ヘルペス口内炎等に対する治療的及び/又は予防的処理に有効であると長い間認められてきた。口腔内で過酸化物含有剤は、組織と唾液酵素との相互作用により生成される、何千もの小さな酸素の気泡を発生させる化学機械的作用を及ぼす。口内洗浄剤を口の中でガラガラする動作により、この特有の化学機械的作用が増強される。かかる動作は、感染した歯肉溝に他の剤を送達するために推奨されている。したがって、過酸化物口内洗浄剤は、歯周病に関連していることが既知である嫌気性細菌の定着及び増殖を防ぐ。
【0064】
本組成物に添加してよい別の任意活性剤は、硝酸塩、塩化物、フッ化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及び硫酸塩を含む、カリウム塩類、カルシウム塩類、ストロンチウム塩類、及びスズ塩類のような過敏性を制御する象牙質減感剤である。
【0065】
歯直接剤(Tooth Substantive Agent)
本発明は、高分子界面活性剤(PMSA)のような歯直接剤を含んでよく、これは高分子電解質であり、より具体的にはアニオン性ポリマーである。PMSAは、アニオン基、例えば、リン酸、ホスホン酸、カルボキシ、又はこれらの混合物を含有し、従って、カチオン性又は正に荷電した実体と相互作用する能力を有する。「無機質」記述子は、ポリマーの界面活性又は直接性が歯のリン酸カルシウム無機質のような無機質表面に向かうことを伝えることを意図する。
【0066】
歯直接剤は、歯へのカルシウムミネラル類(ヒドロキシアパタイト)の結合、及び/又は、保護表面コーティングの歯表面への沈着から生じる、浸食及び摩耗に対する歯の保護力や抵抗力をもたらすなど、多くの利点を提供する。歯牙浸食は、きつい研磨剤及び酸などの化学物質の作用による、表面からの歯質の恒久的な損失である。保護表面コーティングは、表面の親水性及び疎水性特性の変性を含む、歯の表面特性の制御、並びに酸の攻撃に対する抵抗を提供する。また、歯直接剤は、1)望ましくない吸収された外皮タンパク質の部分、特に歯の着色汚れ結合、歯石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引に関連するものの効果的な脱着、並びに2)表面コンディショニング効果の維持、及びブラッシング後を含む製品使用後の長期間、及びより長期にわたる外皮膜の制御を含む、所望の表面コンディショニング効果を提供し得る。表面の親水性及び疎水性特性の変性効果は、水接触角の変化に関して測定することができ、相対的減少は、より親水性の表面であることを示し、相対的増加は、より疎水性の表面であることを示す。好ましい歯直接剤の多くは、更に、歯石制御、又は抗着色汚れ/ホワイトニング若しくは表面コンディショニング活性を提供し、したがって、歯の外見及び触感と同様に、全体的な歯の健康及び構造の改善において複数の臨床的作用を提供する。歯直接剤は、その反応性又は直接性により、無機質表面に着色汚れ予防効果を提供し、望ましくない吸着外皮タンパク質、具体的には、歯を着色する色素体(color body)の結合、結石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引と関連するものの一部を脱着させると考えられる。これらの剤の歯上での保持は、また、歯の表面上の色素体の結合部位を壊すため、着色汚れの発生を防止することもできる。
【0067】
PMSA歯直接剤の好適な例は、縮合リン酸化ポリマーのような高分子電解質;ポリホスホネート類;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー、又はタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)、及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;並びにこれらの混合物である。好適な高分子ミネラル表面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、第5,213,789号、第5,093,170号、第5,009,882号、及び第4,939,284号(全て、デゲンハート(Degenhardt)ら)に記載されるカルボキシ置換アルコールポリマー;並びに米国特許第5,011,913号(ベネディクト(Benedict)ら)のジホスホネート誘導ポリマー;例えば、米国特許第4,627,977号(ガファー(Gaffar)ら)に記載のポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))を含む、合成アニオン性ポリマーが挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート修飾ポリアクリル酸である。活性を有するポリマーは、薄膜タンパク質を脱着しかつエナメル質表面に結合したままにするのに十分な表面結合性を有しなければならない。歯の表面では、末端又は側鎖にホスフェート又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、無機質結合活性を有する他のポリマーも吸着親和性に依存して有効であることを示す場合がある。
【0068】
高分子ミネラル界面活性剤を含有する好適なホスホン酸塩の追加の例としては、Degenhardtらの米国特許第4,877,603号に抗結石剤として開示される、ジェム状ジホスホネートポリマー、洗剤及び洗浄組成物における使用に好適な、Durschらの米国特許第4,749,758号及び独国特許第1,290,724号(共にHoechstに譲渡)に開示されるコポリマーを含有するホスホン酸塩基、並びにZakikhaniらの米国特許第5,980,776号及びDavisらの米国特許第6,071,434号の歯石及び腐食の抑制、コーティング、セメント及びイオン交換樹脂を含む用途に有用であるとして開示される、コポリマー及びコテロマーが挙げられる。追加のポリマーとしては、英国特許第1,290,724号に開示されているビニルホスホン酸、アクリル酸及びこれらの塩類の水溶性コポリマーが挙げられ、これらのコポリマーは、約10重量%〜約90重量%のビニルホスホン酸及び約90重量%〜約10重量%のアクリル酸を含有し、より詳細にはこれらのコポリマーはビニルホスホン酸とアクリル酸との重量比が70%ビニルホスホン酸対30%アクリル酸;50%ビニルホスホン酸対50%アクリル酸;又は30%ビニルホスホン酸対70%アクリル酸である。他の好適なポリマーとしては、1個以上の不飽和C=C結合を有するジホスホネート又はポリホスホネートモノマー(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−(ヒドロキシホスフィノ)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)と、不飽和C=C結合を有する少なくとも1種の更なる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)と、を共重合することにより調製される、Zakikhani及びDavisにより開示された水溶性ポリマーが挙げられる。好適なポリマー類としては、Rhodiaから表記ITC 1087(平均分子量3000〜60,000)及びポリマー1154(平均分子量6000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマー類が挙げられる。
【0069】
好ましいPMSAは、ポリホスフェートである。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、幾つかの環状誘導体が存在する場合もある。ピロホスフェート(n=2)は理論的にはポリホスフェートであるが、所望のポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリホスフェート塩類としては、特に、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、及びヘキサメタホスフェートが挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、通常は無定形のガラス状物質として生じる。以下の式を有する直鎖ポリホスフェート類が、本発明で好ましい。
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリホスフェートは、ソダホス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサホス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラス(Glass)H(n≒21)として市場で知られているもの、並びにFMCコーポレーション(FMC Corporation)及びアスタリス(Astaris)により製造されているような平均して約6〜約21のnを有するものである。これらのポリホスフェート類は単独で又は組み合わせて用いることができる。ポリホスフェート類は、酸性pH、具体的にはpH5未満で、高含水製剤中の加水分解の影響を受けやすい。したがって、長鎖ポリホスフェート類、具体的には、平均鎖長約21のグラスH(Glass H)を使用することが好ましい。かかる長鎖ポリホスフェート類は、加水分解を受けている際、依然として歯上に沈着し、着色汚れ予防効果を提供するのに有効な短鎖ポリホスフェート類を生成すると考えられている。表面改質効果の作製に加えて、歯直接剤はまた不溶性塩類を可溶化する機能も有する。例えば、グラスHは不溶性スズ塩類を可溶化することが見出されている。したがって、フッ化スズを含有する組成物では、例えばグラスHはスズの着色汚れ促進効果低下の一因となる。
【0070】
他のポリリン酸化化合物を、ポリホスフェート、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸);ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物に加えて又はその代わりに用いてよい。本明細書では、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(二水素リン酸)としても既知であるフィチン酸又はイノシトール六リン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩が好ましい。本明細書では、用語「フィチン酸塩」は、フィチン酸及びその塩、並びにその他ポリリン酸化イノシトール化合物を包含する。
【0071】
歯直接剤として有用な更に他の界面活性有機リン酸化合物としては、以下の一般構造によって表されるホスフェートモノ−、ジ−又はトリエステルが挙げられ、式中、Z、Z、又はZは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つは、好ましくは、所望により1つ以上のホスフェート基;アルコキシル化アルキル若しくはアルケニル、(ポリ)サッカライド、ポリオール又はポリエーテル基によって置換された6〜22個の炭素原子の直鎖又は分枝状のアルキル又はアルケニル基から選択される有機部分である。
【化1】

【0072】
いくつかの好ましい薬剤には、以下の構造によって表されるアルキル又はアルケニルリン酸エステルが含まれ、
【化2】

式中、Rが、1つ以上のリン酸基によって任意に置換される6〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基を表し、n及びmが、個々かつ別個に2〜4であり、a及びbが、個々かつ別個に0〜20であり、Z及びZが、同一若しくは異なってもよく、それぞれが、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン等のプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した機能的アルキルアミン、又はaR−(OC2n(OC2m−基を表す。好適な薬剤の例としては、リン酸ラウリル等のアルキル及びアルキル(ポリ)リン酸アルコキシ(Crodaからの商標名MAP 230K及びMAP 230T)、PPG5セテアレス−10ホスフェート(商標名Crodaphos SGでCrodaより入手可能)、ラウレス−1ホスフェート(Rhodiaからの商標名MAP L210、Nikkol ChemicalからのPhosten HLP−1、又はSunjinからのSunmaep L)、ラウレス−3ホスフェート(Rhodiaからの商標名MAP L130又はAlzoからのFoamphos L−3又はHuntsman ChemicalからのEmphiphos DF 1326)、ラウレス−9ホスフェート(Alzoからの商標名Foamphos L−9)、トリラウレス−4ホスフェート(Clariantからの商標名Hostaphat KL 340D又はNikkol ChemicalからのTLP−4)、C12〜18 PEG 9ホスフェート(Cognisからの商標名Crafol AP261)、ジラウレス−10ホスフェートナトリウム(Nikkol Chemicalからの商標名DLP−10)が挙げられる。特に好ましい薬剤は、高分子剤であり、例えば、ポリマー部分として反復アルコキシ基、特に3つ以上のエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、又はブトキシ基を含むものである。
【0073】
更なる好適な高分子有機リン酸薬剤としては、リン酸デキストラン、リン酸ポリグルコシド、リン酸アルキルポリグルコシド、リン酸ポリグリセリル、リン酸アルキルポリグリセリル、リン酸ポリエーテル、及びリン酸アルコキシル化ポリオールが挙げられる。いくつかの特定の例は、PEGリン酸、PPGリン酸、アルキルPPGリン酸、PEG/PPGリン酸、アルキルPEG/PPGリン酸、PEG/PPG/PEGリン酸、リン酸ジプロピレングリコール、PEGリン酸グリセリル、PBGリン酸(ポリブチレングリコール)、PEGリン酸シクロデキストリン、PEGリン酸ソルビタン、PEGリン酸アルキルソルビタン、及びPEGリン酸メチルグルコシドである。
【0074】
好適な非高分子リン酸としては、リン酸アルキルモノグリセリド、リン酸アルキルソルビタン、リン酸アルキルメチルグルコシド、リン酸アルキルスクロースが挙げられる。
【0075】
歯直接剤の量は、典型的には、総口腔用組成物の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、該量は好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。口内洗浄剤組成物では、歯直接剤の量は好ましくは約0.1%〜5%、より好ましくは約0.5%〜約3%である。
【0076】
キレート化剤
その他の任意の剤はキレート化剤であり、隔離剤とも呼ばれ、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの製薬上許容できる塩類である。キレート化剤は、細菌の細胞壁に見出されるカルシウムを錯化し得る。キレート化剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのを助けるカルシウムの架橋からカルシウムを取り除くことにより歯垢を崩壊させることができる。しかしながら、カルシウムが高すぎる親和性を有するキレート化剤を用いることは結果として歯の脱鉱質化をもたらす可能性があり、これは本発明の目的及び意図に反するために、望ましくない。好適なキレート化剤は、通常はカルシウム結合定数が約10〜10であり、洗浄を改善し、歯垢及び結石の形成を減少させる。キレート化剤はまた、金属イオンと錯体を形成することができ、それにより、安定性又は製品の外観に対する弊害を予防するのに役立つ。鉄又は銅などのイオンのキレート化により、最終製品の酸化による変質抑制に役立つ。
【0077】
好適なキレート化剤の例は、グルコン酸又はクエン酸のナトリウム又はカリウム塩、クエン酸/クエン酸アルカリ金属塩混合物、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、ナトリウムポリホスフェート、カリウムポリホスフェート、又はアンモニウムポリホスフェート、及びこれらの混合物である。キレート化剤は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、及びより好ましくは約1.0%〜約2.5%で使用されてもよい。
【0078】
本発明で使用するのに好適な更に別のキレート化剤は、陰イオン性高分子ポリカルボキシレートである。こうした物質は当該技術分野において周知であり、その遊離酸又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態で使用される。例としては、無水マレイン酸又はマレイン酸と、別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーである。これらのコポリマーは、例えば、GAFケミカルズ・コーポレーション(GAF Chemicals Corporation)のガントレッツ(Gantrez)AN 139(分子量500,000)、AN 119(分子量250,000)、及びS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0079】
他の有効な高分子ポリカルボキシレートには、無水マレイン酸とエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン又はエチレンとの1:1コポリマーであって、後者は、例えばモンサント(Monsanto)EMA NO.1103、分子量10,000及びEMA等級61として入手可能であるもの、及びアクリル酸とメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー等が挙げられる。追加の有効な高分子ポリカルボキシレートは、Gaffarの米国特許第4,138,477号及びGaffarらの米国特許第4,183,914号に開示されており、スチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテル、ポリアクリル、ポリイタコン、及びポリマレイン酸を有する無水マレイン酸のコポリマー、並びにUniroyal ND−2として入手可能な1,000と低い分子量のスルホアクリルオリゴマーが挙げられる。
【0080】
界面活性剤
本組成物はまた、典型的に一般的に起泡剤とも呼ばれる界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定で泡立つものである。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、陽イオン性、又はこれらの混合物であってもよい。好ましい界面活性剤又は界面活性剤混合物は、有機リン酸剤及び組成物内の他の活性物質の活性が損なわれないという点において、有機リン酸剤及び組成物内の他の活性物質と適合性があるものである。アルキルサルフェートナトリウム等のアニオン性界面活性剤、及びココアミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤が、本明細書において好ましい。
【0081】
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルスルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類の陰イオン性界面活性剤の例である。他の好適な陰イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなサルコシネートである。陰イオン性界面活性剤の混合物も使用できる。多くの好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458(Agricolaら)、によって開示されている。本組成物は典型的に、約0.025%〜約9%、約0.05%〜約5%、又は約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0082】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で用いるのに好ましいのは、サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル、及びサルコシン酸オレオイルの、ナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩である。
【0083】
本発明で有用な双性イオン性又は両性界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、硫酸塩、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性水溶性基を含有する。好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(Polefkaら)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタイン類としては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられる。アミノベタインは、ココアミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン(CADB)、及びラウラミドプロピルベタインによって例示される。
【0084】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ココナツアルキルトリメチルアンモニウムブロミド、フッ化セチルピリジニウム等のような、約8〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体が挙げられる。好ましい化合物は、Brinerらの米国特許第3,535,421号に説明される洗剤特性を有する第四級アンモニウムフッ化物である。特定の陽イオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤としても作用することができる。
【0085】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤には、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的には脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合から得られた生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びこのような物質の混合物が挙げられる。
【0086】
研磨剤
本発明の組成物において有用な歯研磨剤には、種々様々な物質が含まれる。選択される物質は、対象組成物中で適合性があり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。好適な研磨剤には、例えば、ゲル及び沈殿物を包含するシリカ、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0087】
本組成物に用いられる別の部類の研磨剤は、米国特許第3,070,510号(Cooley及びGrabenstetter)に説明される粒子状熱硬化性重合樹脂である。好適な樹脂には、例えば、メラミン類、フェノール樹脂、尿素類、メラミン−尿素類、メラミン−ホルムアルデヒド類、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド類、架橋エポキシド類、及び架橋ポリエステル類が挙げられる。
【0088】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に研磨させない優れた歯の洗浄及び艶出性能という独特の効果があるので好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ研磨艶出物質は、一般に、約0.1ミクロンと約30ミクロンの間、好ましくは約5ミクロン〜約15ミクロンの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈殿シリカ、又は、Paderらの米国特許3,538,230号、及びDiGiulioの米国特許第3,862,307号で説明されているシリカゼロゲルなどのシリカゲルであり得る。例として、W.R.Grace & Company,Davison Chemical Divisionから商標名「Syloid」で販売されているシリカゼロゲル、及び、J.M.Huber Corporationから商標名Zeodent(登録商標)で販売されているもの、具体的には、Zeodent(登録商標)119、Zeodent(登録商標)118、Zeodent(登録商標)109、及びZeodent(登録商標)129という名称のシリカなどの沈殿シリカが挙げられる。&本発明の練り歯磨きに有用なシリカの歯科用研磨剤のタイプは、Wasonの米国特許第4,340,583号に、並びに同一出願人に譲渡された同第5,603,920号、同第5,589,160号、同第5,658,553号、同第5,651,958号、及び同第6,740,311号にてより詳細に記載されている。これらに記載されるシリカ研磨剤として、様々な等級のシリカ、例えば、標準又はベースシリカ、及び、高洗浄又は高研磨シリカが挙げられる。
【0089】
上に列挙された様々な等級のZeodent(登録商標)シリカ研磨剤の混合物など、研磨剤の混合物を用いることができる。本発明の歯磨組成物中の研磨剤の合計量は、典型的には約6重量%〜約70重量%の範囲であり、練り歯磨きは、好ましくは組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲の研磨剤を含有する。本発明の歯科用溶液、口内スプレー、うがい薬、及び非研磨剤ゲル組成物は、典型的には、少量の研磨剤を含む、又は研磨剤を含まない。
【0090】
香味系
香味系は、通常、好ましい味の組成物を提供するために、また抗菌活性物質又は過酸化物等の組成物のある成分による、いかなる不快な味及び感覚も隠すために、口腔ケア組成物に添加される。好ましい味の組成物は、口腔ケア製品の指示又は推奨された使用に対するユーザのコンプライアンスを改善する。本香味系は、香味成分、特に、通常の口腔ケア製品活性物質、担体物質、又は賦形剤の存在下で比較的安定していることが認められているものを含む。冷却剤(単数又は複数)等の感覚成分を有する選択された香味成分の組み合わせは、影響力の高い清涼感に、調和のとれた香味プロファイルを提供する。
【0091】
香味系は、ペパーミンント油、コーンミント油、スペアミント油、冬緑油、クローブ芽油、カシア、セージ、パセリ油、マジョラム、レモン、ライム、オレンジ、シスジャスモン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド;シンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、α−メチルシンナムアルデヒド、オルト−メトキシシンナムアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、プロペニルグエトール、ヘリオトロピン、4−シスヘプテナール、ジアセチル、メチル−ρ−tert−ブチルフェニルアセテート、メントール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、1−メンチルアセテート、オキサノン、α−イリソン、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ブチルシンナメート、エチルブチラート、エチルアセテート、メチルアントラニレート、イソアミルアセテート、イソアミルブチラート、アリルカプロエート、オイゲノール、ユーカリプトール、チモール、ケイ皮アルコール、オクタノール、オクタナール、デカノール、デカナール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、リナロール、リモネン、シトラール、マルトール、エチルマルトール、アネトール、ジヒドロアネトール、カルボン、メントン、β−ダマセノン、イオノン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない香味成分を含み得る。一般に好適な香味成分は、酸化還元反応される傾向が少ない構造的特徴及び官能基を含有するものである。これらとしては、飽和した香味化学物質の誘導体、又は安定な芳香環若しくはエステル基を含有する香味化学物質の誘導体が挙げられる。多少の酸化又は分解を受ける場合があっても香味の特徴又はプロフィールに著しい変化を生じない香味化学物質もまた好適である。香味成分は、単一若しくは精製化学物質として供給されるか、又は、天然油又は抽出物の添加によって構成成分中に供給されてもよい(相対的に不安定で所望の香味プロファイルを劣化又は変える恐れがあり、その結果、感覚刺激の観点からはあまり許容できない生成物を生じる構成成分が、精製によって天然油又は抽出物から取り除かれていることが好ましい)。着香剤は、一般に組成物中で、組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0092】
香味系は、典型的には、甘味剤を含む。好適な甘味剤としては、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方を含む、当該技術分野において周知のものが挙げられる。好適な水溶性甘味剤としては、キシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン類、モネリン、ステビオシド類、及びグリチルリチンのような単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味剤としては、可溶性サッカリン塩類、即ち、サッカリンナトリウム又はカルシウム塩類、シクラメート塩類、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸型等が挙げられる。他の好適な甘味剤としては、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載された物質のようなL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニン等のようなジペプチド系甘味剤が挙げられる。例えば、スクラロースの製品銘柄で既知である通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体のような、天然素材の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、並びにタウマトコッカス・ダニエリ(thaumatoccous danielli)(タウマチンI及びII)のようなタンパク質系甘味剤が使用できる。組成物は、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の甘味剤を含有する。
【0093】
好適な冷却剤(cooling agent又はcoolant)としては、メントール及びその誘導体等の様々な物質が挙げられる。合成冷却剤のうち、多くは、メントールの誘導体であるか、又はメントールと構造的に関連する。即ち、シクロヘキサン部分を含有する、及びカルボキサミド、ケタール、エステル、エーテル及びアルコールを含む官能基で誘導体化される。例としては、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−ρ−メンタン−3−カルボキサミド等のρ−メンタンカルボキサミド化合物、及びWS−5、WS−11、WS−14及びWS−30等のシリーズの他のものが挙げられる。メントールと構造的に無関係の合成カルボキサミド冷却剤の例は、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドである。更なる好適な冷却剤としては、全て高砂(Takasago)から入手可能なTK−10として知られている3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、イソプレゴール(商品名クールアクトP(Coolact P))及びρ−メンタン−3,8−ジオール(商品名クールアクト38D(Coolact 38D));MGAとして知られているメントングリセロールアセタール;メンチルアセテートなどのメンチルエステル(menthyl esthers)、メンチルアセトアセテート、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)により供給されているフレスコラット(Frescolat(登録商標))として知られているメンチルラクテート;並びにVメイン(V. Mane)からの商品名フィスクール(Physcool)であるモノメンチルスクシネートが挙げられる。本明細書で使用するとき、メントール及びメンチルという用語は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、アマノ(Amano)らの米国特許第4,459,425号に記載されている。WS−3及び他のカルボキサミド冷却剤は、例えば、米国特許第4,136,163号、第4,150,052号、第4,153,679号、第4,157,384号、第4,178,459号及び第4,230,688号に記載されている。追加のN−置換ρ−メンタンカルボキサミドは、N−(4−シアノメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−
(4−スルファモイルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−アセチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、及びN−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミドを含む、国際公開第2005/049553A1号に記載されている。
【0094】
更に、香味系は、唾液分泌促進剤、水和及び保湿剤、加温剤、及び局部麻酔剤を含んでもよい。これらの剤は組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。好適な唾液分泌促進剤としては、Takasagoが製造するJambu(登録商標)及びSymriseからのOptaflow(登録商標)が挙げられる。水和剤の例としては、エリスリトール等のポリオールが挙げられる。好適な麻酔剤には、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、及びエタノールが挙げられる。加温剤の例としては、エタノール、トウガラシ、及びニコチン酸ベンジルのようなニコチン酸エステルが挙げられる。加温効果を有する剤の使用は、当然のことながら、冷却剤の冷却効果を改変する可能性があり、特に冷却剤の濃度を最適化する上で配慮する必要がある。
【0095】
種々のキャリア物質
商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いられる水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含まないべきである。水は本明細書の水性組成物の約99重量%まで含まれてよい。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質と共に導入される水を包含する。
【0096】
本発明にはまた、アルカリ金属重炭酸塩を包含してもよく、研磨、脱臭、pHの緩衝及び調整を含むいくつかの機能を提供できる。アルカリ金属重炭酸塩類は水に可溶性であり、安定化されていない場合には、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重曹として既知である重炭酸ナトリウムは、よく使用される重炭酸塩である。本組成物は、約0.5重量%〜約30重量%のアルカリ金属重炭酸塩を含有してもよい。
【0097】
練り歯磨き、歯磨剤及びゲル形態の本組成物は、典型的に、望ましい稠度を提供するために、いくらかの増粘物質又は結合剤を含有する。好ましい増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムのような天然ゴム類も使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカが、増粘剤の一部として使用できる。増粘剤は、典型的に、約0.1重量%〜約15重量%の量で使用される。
【0098】
本明細書で望ましい組成物の別の任意構成成分は、湿潤剤である。保湿剤は練り歯磨き剤組成物の空気中への曝露による硬化を回避するのに役立ち、特定の保湿剤はまた練り歯磨き剤組成物に所望の甘味風味を付与することができる。本発明に用いるのに適した湿潤剤には、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及び他の食用多価アルコールが挙げられる。湿潤剤は、一般に組成物の約0重量%〜70重量%、好ましくは約15重量%〜55重量%含まれる。
【0099】
本発明の組成物のpHを、緩衝剤を用いて調整してもよい。緩衝剤とは、本明細書で使用するとき、口内洗浄剤及び歯科用溶液のような水性組成物のpHを、好ましくは約pH4.0〜約pH8.0の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられ、典型的に、約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含まれる。
【0100】
ポロキサマーを本組成物に使用してもよい。ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤に分類され、乳化剤、結合剤、安定剤、及びその他関連する機能性剤としても作用してよい。ポロキサマーは、一級ヒドロキシル基で終端をなす二官能性ブロックポリマーであり、分子量が1,000〜15,000の範囲である。ポロキサマーは、Poloxamer 407及びPluraflo L4370を含む、商標名Pluronics及びPlurafloでBASFより市販されている。
【0101】
使用してよいその他の乳化剤として、B.F.Goodrichから入手可能なPemulen(登録商標)などのポリマー乳化剤が挙げられ、これらは、疎水性物質の乳化剤として有用な主に高分子量のポリアクリル酸ポリマーである。
【0102】
二酸化チタンもまた、典型的に約0.25重量%〜約5重量%の濃度で、冷却剤又は不透明化剤として本組成物に添加されてもよい。
【0103】
本組成物において使用され得る他の任意の剤としては、有益な歯の感触効果を提供する上での補助として、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物等のアルキル−及びアルコキシ−ジメチコンコポリオールより選択されるジメチコンコポリオールが挙げられる。商標名Abil EM90で市販されているセチルジメチコンコポリオールは、極めて好ましい。ジメチコンコポリオールは、一般的に、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%で存在する。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0105】
本明細書に開示されるプロセスにより製造され得る歯磨剤組成物の実施例を、表2に示す。各材料について重量%で示す量は、歯磨剤成分からなるベース流及びその他の材料流を組み合わせた後の最終製品中の量である。
【表2】

【0106】
以下の実施例では、本明細書に開示されるプロセスにより製造される歯磨剤組成物について更に説明し、構成成分及び流れの数を示す。最終製品を製造するため、種々の流れは、別個に調製されて混合される。各材料について重量%で示す量は、ベース流及びその他の成分流を組み合わせた後の最終製品中の量である。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0107】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0108】
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0109】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の[書類名]特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア組成物製造用半連続プロセスであって、
a.約40重量%〜99重量%の口腔ケア組成物を含む1つ以上のベース処方物を調製し、更なるプロセスのために1つ以上のベース流を形成する工程と、
b.前記1つ以上のベース処方物を保管する工程と、
c.50%を超える水を含む主に水性の処方物、5%未満の水を含む本質的に非水性の処方物、及び有機構成成分を含む有機処方物から選択される、1つ以上の添加剤処方物を調製し、該1つ以上のベース流と組み合わせるための添加剤流を形成する工程と、
d.該1つ以上の添加剤処方物を保管する工程と、
e.該1つ以上のベース流及び該1つ以上の添加剤流を、混合領域内に移送する工程と、
f.該1つ以上のベース流及び該1つ以上の添加剤流を、該混合領域内で接触させ、混合し、口腔ケア組成物を形成する工程と、
g.1つ又は複数の容器に移送するために該口腔ケア組成物を充填ラインに移送する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記1つ以上のベース流及び前記1つ以上の添加剤流を混合領域内に移送するための、同時注入システムを備える、請求項1に記載のプロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2012−504108(P2012−504108A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524066(P2011−524066)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/054719
【国際公開番号】WO2010/027721
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】