説明

口腔ケア組成物

口腔ケア組成物、特に、グリセリン、ソルビトール及び他のポリオールのような従来の保湿剤構成成分の有意の部分、又は全てを置き換える保湿剤としても有効に機能する結合/増粘系を含む、液体、ペースト、又はゲル形状の増粘歯磨剤が開示されている。本結合/増粘系は、1.5%溶液中、25℃で少なくとも約20mPa.sの水粘性率、空気に晒されて許容できない乾燥を引き起こす時に、組成物からの有意な水損失を防ぐ有効な水結合能を提供する、精選されたカラギーナンを含む。例えば、カラギーナンの水結合能は、室温条件、相対湿度50%で30分間空気に晒した時に、歯磨剤組成物からの水損失が約0.75%未満であるのに有効でなければならない。本歯磨剤組成物は、使用中に唾液での分散性の増加を示し、これは、使用者の歯及び口腔組織との組成物の接触時間の増加を提供するので、それらに含まれる活性歯科剤が、それらの有効な活性をもたらすのに、より急速に利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された口腔ケア組成物に関する。特に、本発明は、有効な保湿剤特性も有することが驚くことにわかった特定のカラギーナンを結合剤及び増粘剤として含有する歯磨剤のような口腔ケア組成物を提供する。単一構成成分中の増粘特性及び保湿剤特性の組み合わせは、標準的歯磨剤保湿剤、典型的には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのようなポリオール化合物の含有量を有意に減らし、除くことをも可能にすることにより、製品を改善し、処方を単純化する。より有意には、歯磨剤組成物は、使用中に、歯及び他の口腔組織に含まれている有効成分の利用可能性及び取り込みの増大を提供する水性環境、即ち唾液中で、容易に分散可能であるという観点で改善がなされる。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤及びマウスリンスのような口腔ケア製品は、治療及び美容衛生効果の両方を提供するために口腔ケア衛生レジメンの一部として、消費者によって日常的に使用されている。治療上の効果には、様々なフッ化物塩の使用により通常実現される虫歯の予防;トリクロサン、フッ化第一スズ、若しくは精油のような抗菌剤の使用による歯肉炎の予防;又はフッ化第一スズ、塩化ストロンチウム、若しくは硝酸カリウムのような成分の使用による過敏症の制御が挙げられる。口腔ケア製品によりもたらされる衛生及び美容上の効果としては、歯垢及び結石形成の制御、歯のステインの除去及び予防、歯のホワイトニング、吐く息をフレッシュにすること、並びに口中感の審美性として広く特徴付けられる口の感触についての印象を全体的に改善することが挙げられる。したがって、歯磨剤及びリンスのような日常的に使用する口腔ケア製品は、全範囲の治療及び美容上の効果を提供するために、異なる機構によって作用する複数の活性剤及び添加物を必要としている。
【0003】
歯磨剤の最も人気のある形態である練り歯磨きは、典型的には、研磨剤、保湿剤系、界面活性剤、ガムのような増粘剤若しくは結合剤、又は密着性及び構造を提供する樹脂、フレーバー、色、水及びアルコールのような溶媒、並びにその他の特別な効果をもたらす剤を含有する。水以外の練り歯磨き主要構成成分は、研磨剤及び保湿剤系である。例えば、近年、市場にある最も一般的な歯磨剤は、10%又はそれ以上の研磨剤、及び20%又はそれ以上かつ最大約80%までの濃度の保湿剤を含有する。
【0004】
保湿剤は、練り歯磨き組成物が空気に晒された時に硬化、結晶化するのを防ぎ、口への潤い感を組成物に付与し、特定の保湿剤では、練り歯磨き組成物に所望の甘味を付与する役目を果たしている。保湿剤は、他の練り歯磨き成分、特に不溶性研磨剤が、安定したペーストを提供するために分散される担体相を作り上げる水及び/又は他の溶媒と共に1つ以上の液体を含む。保湿剤の重要な機能は、練り歯磨き包装が、開いたまま放置されたり、又は消費者による製品使用中に、水又は他の揮発性材料の蒸発による練り歯磨きの乾燥を遅くすることである。絞り出しチューブに詰められた練り歯磨き製品に起こり得る問題は、消費者が製品を使用している間にチューブのキャップが固まることである。このことは、例えば、練り歯磨きが、非意図的にチューブのねじ山に入った時、及びチューブが、長期間、そのままにしておかれた時に発生する。この問題は、キャップロックと呼ばれ、練り歯磨き中の固形材料の結晶化によるものである。キャップロックを防ぐために、保湿剤が、水分保持及び結晶化防止のために練り歯磨きに加えられる。関連する問題は、使用と使用の間にキャップが元に戻されないことよって起こる。もし適当な保湿剤が、練り歯磨き中に有効な量で存在しなければ、チューブのノズル内のペーストは、乾燥してしまう。デンタルリンスも、それらが提供する口中感及び味覚効果のために保湿剤と共に処方される。歯磨剤及びリンス組成物に使われてきた典型的な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのような食用多価アルコールが挙げられる。
【0005】
最も一般的に使用される液体保湿剤は、グリセリン、70%水性ソルビトール、及びそれらの混合物である。グリセリン及びソルビトールの1つの利点は、齲蝕原性細菌によって本質的に発酵しないことである。マルトデキストリンのよう提案されているその他の保湿剤は、齲蝕原性細菌によって発酵し、あまり好適ではない。グリセリン及びソルビトールのもう1つの利点は、研磨剤構成成分、特にシリカの屈折率に近い屈折率を有するという理由で、透明又は半透明ゲルに処方できることである。不透明なペースト及び透明ゲルのいずれにおいても、グリセリン及び/又はソルビトールの濃度は、組成物の乾燥を効果的に抑えて、口中感効果を提供するためには、比較的高いままでなくてはならない。高濃度の保湿剤、特にグリセリン及びソルビトールは、高価かつ急速に上昇しているコスト故に望ましくない。保湿剤の一部又は全てを除くことができれば、有意なコスト削減を達成できる。
【0006】
本発明は、特定の結合剤又は増粘剤が保湿剤特性を有し、したがって、口腔ケア組成物中のポリオール、特にグリセリン及びソルビトールを少なくとも部分的に置き換えることができるという発見に基づいている。結合剤の主目的は、練り歯磨きを所望の堅さに増粘し、特に保管中の固形構成成分及び液体構成成分の分離を防ぐことである。それらはまた、泡形成の速さ及び量、フレーバー放出速度及び製品分散性、歯ブラシ上の練り歯磨きリボンの外見、並びに歯ブラシからのすすぎ性に影響する。一般に使用される結合剤としては、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、天然及び合成粘土(例えば、ビーガム及びラポナイト)、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩のうちの1つ又は組み合わせが挙げられる。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムのような天然ゴムも使用することができる。コロイド状のケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカも、質感を更に改善するために結合剤系の一部として使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1つの態様において、本発明は、このように、水分保持、並びに質感、口中感及び味覚効果を含む保湿剤による所望の特性を維持しつつ、ポリオール保湿剤構成成分の有意の部分又は全てを置き換え、処方を単純化し、コストを削減する結合剤及び保湿剤として有効に機能する特定のカラギーナンを含む口腔ケア製品を提供する。本組成物には、使用中、唾液中の強化された分散性又は溶解性の観点での改善がなされた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、グリセリン、ソルビトール及びその他のポリオールのような従来の保湿剤構成成分の有意の部分又は全てを置き換える保湿剤としても有効に機能する結合/増粘系を含む液体、ペースト、又はゲル形態の口腔ケア組成物、特に増粘された歯磨剤を対象としている。本結合/増粘系は、1.5%溶液中、25℃で少なくとも約20mPa.sの水粘性率、及び空気に晒されて許容できない乾燥を引き起こす時に、組成物からの有意な水損失を防ぐ有効な水結合能を提供する精選されたカラギーナンを含む。例えば、カラギーナンの水結合能は、室温条件及び相対湿度50%で30分間空気に晒した時に、歯磨剤組成物からの水損失が約0.75%以下であるのに有効でなければならない。本歯磨剤組成物は、使用中に唾液での分散性の増大を示し、これは、使用者の歯及び口腔組織との組成物の接触時間の増加を提供するので、それらに含まれる活性歯科剤が、それらの有効な活性をもたらすのに、より急速に利用可能となる。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、次の「発明を実施するための形態」から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の記載から更に十分に理解されるものと考えられる。
【0011】
以下、本明細書において使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度は全て、特に指示がない限り、成分の実際の量に基づくものであり、成分が市販製品として組み合わされ得る溶媒、充填剤、又はその他の物質を含まない。
【0012】
本明細書において言及される全ての測定は、特に規定されない限り、約25℃の室温で実施される。
【0013】
本明細書で、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の構成成分を追加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「含む」(include)及びその変形は、挙げられた品目の詳細説明が、本発明の材料、組成物、装置及び方法で同様に有用であり得る他の同様の品目を除外しないように、非限定的であることを意図する。
【0015】
本明細書で使用する時、単語「好ましい」、「好ましくは」、及びその変形は、特定の状況下において特定の効果をもたらす本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0016】
「口腔ケア組成物」とは、通常の使用過程では、特定の治療剤の全身投与の目的で意図的に嚥下されず、むしろ、口腔の活性を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。口腔ケア組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、義歯製品、マウススプレー、口内錠、チュアブル錠又はチューインガムを含む様々な形態であってよい。口腔ケア組成物はまた、口腔表面へ直接適用する又は付着させるためのストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「歯磨剤」は、別に規定されない限り、ペースト、ゲル、液体、粉末、又は錠剤製剤を含む。歯磨剤組成物は、単相組成物であってもよく、2つ又はそれ以上の別個の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、ペーストを囲むゲルを有する深い縞状、表面的な縞状、多層状、又はこれらのいずれかの組み合わせのような、任意の所望の形態であってよい。2つ又はそれ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、一緒に分配され得る。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「ディスペンサー」とは、歯磨剤のような組成物を分配するのに好適な任意のポンプ、チューブ、又は容器を意味する。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0020】
用語「経口的に許容可能な担体」とは、フッ化物イオン源、抗結石剤又は抗歯石剤、抗菌剤、緩衝剤、シリカなどの研磨剤、アルカリ金属重炭酸塩、増粘材、保湿剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、フレーバー系、甘味剤、キシリトール、及び着色剤が挙げられるがこれらに限定されない、口腔ケア組成物で用いられる安全で有効な物質及び従来の添加剤を指す。
【0021】
本明細書で有用な活性成分及びその他の成分は、美容及び/又は治療効果、あるいはそれらの想定の作用機序又は機能によって、分類又は記述され得る。しかしながら、本明細書で有用な活性成分及びその他の成分が、場合によっては、1つを超える美容上及び/若しくは治療上の効果若しくは機能をもたらすこと、又は1つを超える作用機序を介して作用することもあることを理解すべきである。したがって、本明細書での分類は便宜上実施されるものであり、成分を特に規定した用途又は列挙した用途に制限しようとするものではない。
【0022】
本明細書において、用語「歯石」及び「結石」とは、同じ意味で用いられ、石化した歯垢バイオフィルムを指す。
【0023】
本組成物の必須及び任意構成成分を、以下の項に記載する。
【0024】
増粘系/結合系
本発明は、口腔ケア組成物、特に、歯磨剤中の増粘/結合機能並びに保湿剤機能を提供する選択されたカラギーナンに基づいている。歯磨剤製剤におけるカラギーナンの使用は、特に、分子量が100,000を十分に超え、一般的に、分子量が、250,000〜500,000の範囲にあるカラギーナンが、所望の堅さ、質感、立ち性、物理的安定性及び低糸引き性(low stringiness)を含む歯磨剤にとって重要な粘性率及びレオロジー的特徴を付与するために使用されているので、新しいことではない。分子量100,000未満のカラギーナンも同様に報告されており、それらの低粘性率構築能のために、典型的には、高濃度での使用に適している。しかしながら、歯磨剤製剤中の保湿剤の代わりとしてのカラギーナンの使用は、認識されていない。
【0025】
カラギーナンは、海草由来のヒドロコロイド多糖類の族に属している。少なくとも5つのカラギーナンポリマーがあり、ラムダ、カッパ、及びイオタの3つが、典型的に、歯磨剤用途に使用される。全てのカラギーナンは、交互のβ1→3及びα1→4グリコシド結合によって結合した反復ガラクトース単位を含み、部分的に硫酸化されている。カラギーナンのタイプは、硫酸化の程度によって、ある程度区別され得る。カッパカラギーナンは、約18〜25%のサルフェートエステル含有量を供給するD−ガラクトース−4−サルフェート−3,6−無水−D−ガラクトースの反復単位を有する。イオタカラギーナンは、約25〜34%のサルフェートエステル含有量を供給するD−ガラクトース−4−サルフェート−3,6−無水−D−ガラクトース−2−サルフェートの反復単位を有する。ラムダカラギーナンは、約30〜40%のサルフェートエステル含有量を供給するD−ガラクトース−2−サルフェート−D−ガラクトース−2,6−ジサルフェートの反復単位を有する。カラギーナンは、ゲル質感を提供するために、粘性率を増大させるか、又は分子ネットワークを形成することができる。カラギーナンは、一般的に、揺変性のゲルを形成する。そのようなゲルは、優れた押出性、フレーバー放出、並びにリンス性を示すことが報告されている。ゲル練り歯磨きにおける結合剤としてのカッパ及びイオタカラギーナンの使用は、糸を引かない、低シネレシス問題を有する、即ち、ゲルから水の分離を防ぐ練り歯磨きを提供することが特に知られている。練り歯磨き製品は、そのような相分離に対して安定でなければ、許容できないと考えられる。特別な用途のためのカラギーナンの商業的供給は、イオタ、カッパ及びラムダ形態の割合の観点から特徴づけられることができる。練り歯磨きの用途では、使用中、口の中で活性物質、フレーバー及び冷却剤のような練り歯磨き構成成分の分散を容易にするために、室温では堅いままであるが体温で及びその近くでは柔らかくなるかなり堅いゲルを得るために、カッパ及びイオタ形態のカラギーナンが使用される。
【0026】
練り歯磨き製剤特性は、製剤の結合剤、研磨剤、保湿剤、水及び他の構成成分の特性に依存するであろうし、また、これらの構成成分が、複雑な混合物中、互いにどのような挙動をするかにも依存するであろう。したがって、潜在的な相互作用が消失する保湿剤を使わない、あるいは有意に低濃度で処方できることには、大きな利点がある。更に、保湿剤は、典型的にかなり高濃度で使用されるので、コスト削減は有意義である。
【0027】
結合剤及び保湿剤の代用品としての好適なカラギーナンが機能することは、水結合能の観点、即ち、水を吸収し保持する能力によって特徴付けられることができ、それによって製品中で利用できる遊離水の量を減らすことになる。好適なカラギーナンは、保湿剤によってそれらの使用量で提供されるものと同程度の、約0.1%〜10%のそれらの典型的な使用量で水結合能を有するであろう。例えば、グリセリン、ソルビトール及び混合物は、10%〜30%の範囲の濃度で歯磨剤製剤において使用される典型的な保湿剤である。グリセリンは、その重量の3倍を超える水結合能を有することが報告されている。したがって、歯磨剤中に使用されるグリセリンの典型的な量で、全てではないにしても歯磨剤の大半の水含有量が結合されると推定される。結合する、即ち遊離ではない水含有量が多いほど、空気又は遊離水が急速に蒸発し得る条件に晒された時に、製品が乾燥しにくい。好適なカラギーナンは、約20mPa.sを超える1.5%水粘性率、7.0〜11.0の範囲の1.5%溶液のpH、<15%の水分成分、及び>90%がUSSS150μmを通過するような粒径を有するものような商品名ビスカリン(Viscarin)(登録商標)でFMCバイオポリマー(FMC Biopolymer)によって供給されている。好適な等級の例には、ビスカリン(Viscarin)(登録商標)TP389、ビスカリン(Viscarin)(登録商標)RE−IN−0907−02A、ビスカリン(Viscarin)(登録商標)RE−IN−0308−01、及びビスカリン(Viscarin)(登録商標)1280が挙げられる。CPケルコ(CP Kelco)は、商品名ゲヌビスコ(Genuvisco)(登録商標)のカラギーナンのもう1つのサプライヤーである。
【0028】
水結合剤としてカラギーナンを使用する本組成物の乾燥のし易さは、保湿剤を含む組成物と同程度である。この特性は、蒸発による重量損失を以下の方法を使用して測定することによって評価された。
【0029】
(1)30mLの密封可能カップ又は容器中に25グラムの試験ペーストを秤量する。
(2)カバーをしないカップ+ペーストを秤量する。
(3)カバーをしないカップを25℃、50%RH(相対湿度)の制御環境下に30分間設置する。
(4)30分間の蒸発後、カップ+ペーストを秤量する。
(5)損失した重量%を計算する。
【0030】
保湿剤を含まない本組成物は、水損失(下記例1A;0.68%水損失)に関して高保湿剤含有製品(70%溶液として30%ソルビトールを加えたBlend−A−Medキャビティープロテクション、0.63%水損失)と比べて同等の性能を有した。比べると、無保湿剤及び無カラギーナンの系は、同期間で1.0%の水損失を有した。本カラギーナン製剤のそのような水損失は最少であり、その水結合能が、保湿剤によって提供されるものと同等であり、それによって製品の許容できない乾燥が遅くなっていることを示している。
【0031】
主題のカラギーナン以外の増粘剤が、本組成物において使用されてもよい。好適な増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、天然及び合成粘土(例えば、ビーガム及びラポナイト)、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩のうちの1つ又は組み合わせが挙げられる。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムのような天然ゴムを使用することもできる。コロイド状のケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを増粘剤の一部として使用して、質感を更に改善し、及び/又は所望の粘性率を達成することができる。
【0032】
増粘剤又はゲル化剤として有用な、好適なカルボキシビニルポリマーとしては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル又はスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである、カルボマーが挙げられる。カルボマーは、カルボポール934、940、941、956、及びそれらの混合物などのカルボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして、BFグッドリッチ(B.F. Goodrich)から市販されている。
【0033】
典型的には、増粘剤の総量は、全練り歯磨き又はゲル組成物の約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約2重量%〜約8重量%の範囲にあるであろう。
【0034】
典型的には、本歯磨剤組成物は、1/s、25℃で測定して500Pa.s以上、好ましくは、500〜4000Pa.sの粘性率を有するであろう。
【0035】
所望により、質感、口中感及び甘味を含む組成物の知覚特性を改善するために、幾分かの保湿剤が含まれてもよい。純粋保湿剤ベースに加えられた保湿剤は、一般的に、10重量%以下、好ましくは約5重量%以下であろう。本発明の組成物における使用に好適な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールのような食用多価アルコールが挙げられる。トリメチルグリシンが使用されてもよい。
【0036】
重要なことに、僅かな保湿剤と共に又は保湿剤なしに処方された本組成物は、唾液のような水媒体中での分散性又は溶解性の増大を示す。分散性とは、練り歯磨き又は歯磨剤が唾液と混合し唾液で分散する能力を意味する。増大した分散性とは、練り歯磨き又は歯磨剤が、歯全体に及び隙間の中に迅速に広がって、歯及び周辺組織のより速い洗浄及び処置を提供することができることを意味する。大部分の人の歯ブラシをする時間は平均60秒以下であるので、歯及び他の口腔表面にその時間枠内で活性成分を送達することが有利である。さもなければ、それらの意図された効果は、所望の範囲と実感されない。更に、本製剤の増大した分散性は、使用のために分配された製品の全量がブラッシングプロセス期間中に利用される、即ちブラッシングの後では、わずかしか又は全く沈澱物がなく、吐き出されることを確実にする。消費者試験において、本製剤は、軽いクリームのような質感、及び速い分散性の特徴を有すると判定される。消費者は、ブラッシング中、口の中での製品の広がり易さ、すすぎ易さ、及び未使用の未分散製品の量などの特性の観点から分散性を表現した。本歯磨剤の質感及び速い分散の特性は、より深く、より完全な洗浄、本質的に未使用ペーストの残渣が吐き出されない又は口の中若しくはブラシに残らないので少ない無駄、及び全ての家族、特に、練り歯磨きを溶解するための努力をすることなく、より短い時間内で、より完全な洗浄を得ることができるはずの小さな子供にとっての好適さと関連して、消費者嗜好をもたらした。
【0037】
従来製品と比べた本組成物の分散性特徴は、低剪断力の水性環境下で、歯磨剤のようなサンプルを分散するためにかかる時間を測定する以下の方法を使用して判断された。時間が長いほど、製品の分散がより少ない。本方法を使用して測定された分散時間は、口の中でのブラッシング条件のもとで歯磨剤によって示される分散性特徴と関連している。例えば、1.5%カラギーナンを含み、保湿剤を含まない歯磨剤(下記例2A)は、消費者試験において、ブラッシングの間に素早く分散すると評された。
【0038】
パドルアタッチメントを装備したUSP溶解槽容器(バン・ケル(Van Kel)V7000)を、体温における水性環境を想定した37℃の蒸留水においてある量の製品を分散するために使用する。分散に寄与する全ての見地(温度、水量、混合速度、製品サンプルサイズ)は、再現性のある結果を生むことができるように制御する。サンプル分散の終了点を判定するために視覚検出を使用する。次のような方法で実施する。
【0039】
(1)蒸留水900mLで容器を満たす。温度制御を37℃に設定し、容器が槽温度と平衡になるようにする。較正温度計を用いて、容器温度を確認する。これには約15〜20分を要するはすである。
【0040】
(2)印のついた移送チューブを使用して、容器の底に2.5cmのサンプルを吸引し分注するが、サンプルが大量の空気を含んでいないことを確実にする。これは、移送チューブを余分に満たし、ラインに分注することによって、避けることができる。1回の大量のボーラス量としてサンプルを分注する。これは、サンプルを素早く移送チューブから分注することによって最も容易に達成される。
【0041】
(3)全てのサンプルを分注したら、50rpmで混合を開始し、ストップウオッチをスタートさせる。製品の分散を観察し、特定のサンプルに何ら明確な変化が起こらない時間、即ち、全サンプルが分散するか、又は如何なる残余サンプルも、もはや分散しない時間を記録する。
【0042】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、ペースト、ゲル、又は液体形態の歯磨剤である。そのような製品の構成成分としては、一般に、増粘剤及び保湿剤としての本カラギーナン(0%〜約10%)、歯の研磨剤の1つ以上(約6%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、フレーバー剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)、並びに水(最大90%)が挙げられる。歯磨剤はまた、抗虫歯剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%など)、及び抗結石剤(約0.1%〜約13%)を含んでもよい。
【0043】
本発明の他の実施形態には、保湿剤構成成分がカラギーナンで置き換えられるているマウスウオッシュ又はリンス、口内スプレー、歯科用溶液及び洗浄液を含む液体製品がある。そのようなマウスウオッシュ及び口内スプレーの構成成分には、典型的には、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、フレーバー剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び着色剤(約0.001%〜約0.5%)のうちの1つ以上が挙げられる。このようなマウスウオッシュ及び口内スプレーはまた、抗虫歯剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)及び抗結石剤(約0.1%〜約3%)の1つ以上を含む。歯科用溶液の構成成分としては、一般に、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、フレーバー剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び界面活性剤(0%〜約5%)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0044】
本製剤の構成成分は、集合的に、経口的に許容可能な担体又は賦形剤と呼ばれ、次項で説明する。
【0045】
経口的に許容可能な担体材料には、局所的経口投与に好適な1つ以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤が挙げられる。「相溶性のある」とは、組成物の構成成分が、組成物安定性及び/又は有効性を本質的に減少させるような相互作用なく混合されることができることを意味する。
【0046】
本発明の組成物の調製に好適な担体又は賦形剤は、従来技術ではよく知られている。それらの選択は、味、価格、及び貯蔵安定性などのような二次的考察に依存する。
【0047】
研磨剤
本発明の組成物において有用な歯科用研磨剤には、多くの様々な物質が挙げられる。選択される物質は、対象組成物中で相溶性であり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。好適な研磨剤としては、例えば、ゲル及び沈澱物を含むシリカ、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0048】
本組成物に用いられる別の部類の研磨剤には、米国特許第3,070,510号(クーリー(Cooley)及びグレーベンシュテッター(Grabenstetter))に記載されている粒子状熱硬化性重合樹脂がある。好適な樹脂としては、例えば、メラミン、フェノール、尿素、メラミン−尿素、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド、架橋エポキシド、及び架橋ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0049】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の洗浄及び研磨性能という独特の効果があるために好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ砥粒研磨物質は、一般に、約0.1〜約30マイクロメートル、好ましくは約5〜約15マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、米国特許第3,538,230号(ペイダー(Pader)ら)及び米国特許第3,862,307号(ディギュリオ(DiGiulio))に記載されている沈澱シリカ又はシリカキセロゲルのようなシリカゲルであってよい。例として、商品名「シロイド(Syloid)」でWRグレイス・アンド・カンパニー(W.R. Grace & Company)、ダビソン(Davison)化学部門から市販されているシリカキセロゲル、並びに特にゼオデント(Zeodent)(登録商標)119、ゼオデント(Zeodent)(登録商標)118、ゼオデント(Zeodent)(登録商標)109及びゼオデント(Zeodent)(登録商標)129の表記をもつシリカなど、商品名ゼオデント(Zeodent)(登録商標)としてJMフーバー社(J. M. Huber Corporation)から市販されているもののような沈澱シリカ材料が挙げられる。本発明の練り歯磨き中の有用なシリカ歯科用研磨剤の種類は、ウエイソン(Wason)の米国特許第4,340,583号、及び同一出願人による米国特許第5,603,920号、第5,589,160号、第5,658,553号、第5,651,958号、及び第6,740,311号により詳しく記載されている。
【0050】
上に列挙された様々な等級のゼオデント(Zeodent)(登録商標)シリカ研磨剤の混合物など、研磨剤の混合物が使用されてもよい。本発明の歯磨剤組成物中の研磨剤の総量は、典型的には約6重量%〜約70重量%であり、練り歯磨きは、好ましくは約10%〜約50%の研磨剤を含有する。本発明の歯科用溶液、口内スプレー、マウスウオッシュ、及び非研磨剤ゲル組成物は、典型的には、少量の研磨剤しか含有しないか、又は研磨剤を全く含有しない。
【0051】
フッ化物源
本発明の口腔用組成物は、任意に、生物学的に利用可能で有効なフッ化物イオンを提供することができる可溶性フッ化物源を含む。可溶性フッ化物イオン源には、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、フッ化アミン及びモノフルオロリン酸ナトリウムが挙げられる。フッ化ナトリウム及びフッ化第一スズが、好ましい可溶性フッ化物源である。ノリス(Norris)らの米国特許第2,946,725号及びウィダー(Widder)らの米国特許第3,678,154号は、このようなフッ化物源並びにその他を開示している。
【0052】
本組成物は、組成物中に、約50ppm〜約3500ppm、好ましくは約500ppm〜約3000ppmのフッ化物イオン濃度を与えるのに十分な量で可溶性フッ化物イオン源を含んでよい。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、全口腔用組成物中に、口腔に送達される全組成物の約0.1%〜約5%、好ましくは約0.2%〜約1%、より好ましくは約0.3%〜約0.6重量%の量で存在してもよい。
【0053】
フレーバー系は、典型的には、好ましい味覚組成物を提供し、抗菌活性成分又は過酸化物のような組成物の特定の構成成分による任意の不快な味覚及び感覚を効果的にマスクするために、口腔ケア組成物に加えられる。好ましい味覚組成物は、口腔ケア製品の所定の又は推薦される使用に対する使用者コンプライアンスを改善する。本フレーバー系は、特に、通常の口腔ケア製品担体材料又は賦形剤の存在下で相対的に安定であることが分っているフレーバー構成成分を含むであろう。冷却剤のような五感で知覚される成分を伴う選択されたフレーバー構成成分の組み合わせは、調和のとれたフレーバープロファイルと共に強いインパクトのある爽快感を提供する。
【0054】
フレーバー系は、ペパーミンント油、コーンミント油、スペアミント油、冬緑油、クローブ芽油、カシア、セージ、パセリ油、マジョラム、レモン、ライム、オレンジ、シスジャスモン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド;シンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、α−メチルシンナムアルデヒド、オルト−メトキシシンナムアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、プロペニルグエトール、ヘリオトロピン、4−シスヘプテナール、ジアセチル、メチル−ρ−tert−ブチルフェニルアセテート、メントール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、1−メンチルアセテート、オキサノン、α−イリソン、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ブチルシンナメート、エチルブチラート、エチルアセテート、メチルアントラニレート、イソアミルアセテート、イソアミルブチラート、アリルカプロエート、オイゲノール、ユーカリプトール、チモール、ケイ皮アルコール、オクタノール、オクタナール、デカノール、デカナール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、リナロール、リモネン、シトラール、マルトール、エチルマルトール、アネトール、ジヒドロアネトール、カルボン、メントン、β−ダマセノン、イオノン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、及びこれらの混合物などのフレーバー成分を含み得るが、これらに限定されない。一般的に好適なフレーバー成分は、酸化還元反応を起こしにくい構造的特徴及び官能基を含有するものである。これらとしては、飽和し、又は安定な芳香環若しくはエステル基を含有する、フレーバー化学物質の誘導体が挙げられる。多少の酸化又は劣化を受ける場合があってもフレーバーの特徴又はプロファイルに有意の変化を生じないフレーバー化学物質もまた好適である。フレーバー成分は、単一の又は精製された化学物質として、又は感覚刺激性の観点からあまり許容されない製品をもたらす、相対的に不安定で、所望のフレーバープロファイルを分解し変更し得る構成成分を取り除くための精製処理を好ましくは経た天然油若しくは抽出物の添加によって、組成物中に供給されてもよい。フレーバーは、一般に組成物中で、組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0055】
フレーバー系は、典型的には、甘味剤を含む。好適な甘味剤としては、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方を含む、従来技術で周知のものが挙げられる。幾つかの好適な水溶性甘味剤としては、キシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、及びグリチルリチンのような、単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味剤としては、可溶性サッカリン塩、即ち、サッカリンナトリウム又はカルシウム塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸型などが挙げられる。他の好適な甘味剤としては、L−アスパラギン酸由来の甘味剤、例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載された物質、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシレン)−アラニン等のような、ジペプチド系甘味剤が挙げられる。例えば、タウマトコッカス・ダニエリ(thaumatoccous danielli)(タウマチンI及びII)のようなタンパク質系甘味剤同様、例えば商品名スクラロースとして既知である通常の砂糖(ショ糖)の塩素化誘導体のような、天然の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤が使用できる。組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の甘味剤を含有するのが好ましい。
【0056】
好適な冷感剤又は冷却剤としては、メントール及びその誘導体のような広い種類の物質が挙げられる。合成冷却剤の多くは、メントールの誘導体であるか、又はメントールと構造的に関連し、即ち、シクロヘキサン部分を含み、カルボキサミド、ケタール、エステル、エーテル及びアルコールを含む官能基で誘導されたものである。例としては、商業的に「WS−3」として知られているN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、並びにWS−5、WS−11、WS−14及びWS−30などのシリーズ中の他のもののような、ρ−メンタンカルボキサミド化合物が挙げられる。メントールと構造的に関連していない合成カルボキサミド冷却剤の例としては、「WS−23」として知られているN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドがある。更なる好適な冷却剤としては、全て高砂(Takasago)から入手可能なTK−10として知られている3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、イソプレゴール(商品名クールアクトP(Coolact P))及びρ−メンタン−3,8−ジオール(商品名クールアクト38D(Coolact 38D));MGAとして知られているメントングリセロールアセタール;メンチルアセテートなどのメンチルエステル(menthyl esthers)、メンチルアセトアセテート、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)により供給されているフレスコラット(Frescolat)(登録商標)として知られているメンチルラクテート;並びにVメイン(V. Mane)からの商品名フィスクール(Physcool)であるモノメンチルスクシネートが挙げられる。本明細書で使用する時、メントール及びメンチルという用語は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を含む。TK−10は、米国特許第4,459,425号(天野(Amano)ら)に記載されており、WS−3及び他のカルボキサミド冷感剤は、例えば、米国特許第4,136,163号、第4,150,052号、第4,153,679号、第4,157,384号、第4,178,459号、及び4,230,688号に記載されている。更に、N−置換ーρ−メンタンカルボキサミドは、国際特許公開WO2005/049553A1に記載されており、N−(4−シアノメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−スルファモイルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−アセチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、及びN−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミドが挙げられる。
【0057】
更にフレーバー系は、唾液分泌剤、温感剤、及び麻酔剤を含んでよい。これらの剤は組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。好適な唾液分泌剤としては、高砂により製造されているジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。好適な麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブ芽油、及びエタノールが挙げられる。温感剤の例には、トウガラシ、及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステルが挙げられる。温感効果を有する剤の使用は、もちろん、冷却剤の冷感効果を変えることができ、特に冷却剤の濃度の最適化において考慮される必要があるであろう。
【0058】
活性剤
本組成物は、所望により、抗菌剤/抗歯垢剤のような活性剤を含んでもよい。このような剤に含まれるのは、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノール及びその同族体を含むフェノール化合物、モノアルキル及びポリアルキル並びに芳香族ハロフェノール、レゾルシノール及びその誘導体、ビスフェノール化合物及びハロゲン化サリチルアニリド、安息香酸エステル及びハロゲン化カルバニリドのような、非水溶性非カチオン性抗菌活性剤である。水溶性抗菌剤としては、四級アンモニウム塩及びビス−ビクアニド塩、並びにトリクロサンモノホスフェートが挙げられる。四級アンモニウム剤としては、四級窒素上の置換基のうちの1つ又は2つが炭素原子約8〜約20個、典型的には約10〜約18個の炭素鎖長(典型的にはアルキル基)を有する一方、残りの置換基(典型的にはアルキル基又はベンジル基)は、炭素原子約1〜約7個などの、より少ない数の炭素原子、典型的にはメチル基又はエチル基を有するものが挙げられる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な四級アンモニウム抗菌剤の代表例である。その他の化合物は、米国特許第4,206,215号(ベイリー(Bailey))に開示されているようなビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。銅塩、亜鉛塩、及びスズ塩のような他の抗菌剤を含んでもよい。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、及びこれらの混合物を含む酵素も有用である。このような剤は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら)及び米国特許第4,051,234号(ギースケ(Gieske)ら)に開示されている。好ましい抗菌剤としては、亜鉛塩、スズ塩、セチルピリジニウムクロライド、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサンモノホスフェート、及びフレーバー油が挙げられる。トリクロサン及びこの種の他の剤は、米国特許第5,015,466号(パラン・ジュニア(Parran、Jr.)ら)及び米国特許第4,894,220号(ナビ(Nabi)ら)に記載されている。これらの剤は、抗歯垢効果を提供し、典型的には、組成物の約0.01重量%〜約5.0重量%の濃度で存在する。
【0059】
本組成物に含まれてもよい更に別の活性剤は、過酸化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される歯の漂白活性物質である。好適な過酸化物化合物としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソンである。
【0060】
歯磨剤製剤での使用に好ましい過酸化物源は、過酸化カルシウム及び過酸化尿素である。過酸化水素及び過酸化尿素は、マウスリンス製剤に用いるのに好ましい。以下の量は過酸化物原料の量を示すが、過酸化物源は過酸化物原料以外の成分を含有してもよい。本組成物は、組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の過酸化物源を含有してよい。
【0061】
本組成物に添加することができる別の任意の活性剤は、ニトレート、塩化物、フッ化物、ホスフェート、ピロホスフェート、ポリホスフェート、シトレート、オキザラート、及びサルフェートを含む、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、並びにスズの塩のような、過敏性を制御する象牙質減感剤である。
【0062】
抗結石剤
本組成物は、所望により、ピロホスフェートイオン供給源としてのピロホスフェート塩など、抗結石剤を含んでもよい。本組成物に有用なピロホスフェート塩としては、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ピロリン酸四アルカリ金属塩、及びこれらの混合物が挙げられる。無水和物並びに水和物の形の二水素ピロリン酸二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)が好ましい種である。本発明の組成物では、ピロホスフェート塩は、主に溶解しているピロホスフェート、主に溶解していないピロホスフェート、又は溶解したピロホスフェートと溶解していないピロホスフェートとの混合物の3つの形態のうちの1つの形態で存在することができる。
【0063】
主に溶解しているピロホスフェートを含む組成物とは、少なくとも1つのピロホスフェートイオン源が、少なくとも約1.0%の遊離ピロホスフェートイオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロホスフェートイオンの量は、約1%〜約15%、1つの実施形態では約1.5%〜約10%、及び別の実施形態では約2%〜約6%であってよい。遊離ピロホスフェートイオンは、組成物のpHに依存して多様なプロトン化状態で存在することができる。
【0064】
主に溶解していないピロホスフェートを含む組成物とは、全ピロホスフェート塩の約20%以下が組成物中に溶解し、好ましくは全ピロホスフェートの約10%未満が組成物中に溶解した状態で含有されている組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物において好ましいピロホスフェート塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩型若しくは十水和物型、又は歯磨剤組成物中において固形で安定な他の任意の種であってよい。塩は固体粒子状形態であり、これは結晶及び/又は非晶状態であってよく、塩の粒径は、好ましくは、審美的に許容可能であって、使用中容易に溶解するのに十分に小さい。これらの組成物の製造に有用なピロホスフェート塩の量は、歯石抑制に有効な任意の量であり、一般に、歯磨剤組成物の約1.5重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%である。
【0065】
組成物は、また、溶解しているピロホスフェート塩と溶解していないピロホスフェート塩との混合物を含んでもよい。前述のピロホスフェート塩のいずれを用いてもよい。
【0066】
ピロホスフェート塩は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」(第3版、第17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)、1982年)に、より詳細に記載されている。
【0067】
ピロホスフェート塩の代わりに又はピロホスフェート塩と組み合わせて用いられる任意の剤としては、合成アニオン性ポリマーとして既知の物質などが挙げられ、それには例えば米国特許第4,627,977号(ガファー(Gaffar)ら)に記載されているポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ジホスホネート(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
歯持続剤
本発明は、重合性界面活性剤(PMSA)のような歯持続剤を含んでよく、これは高分子電解質であり、より具体的にはアニオン性ポリマーである。PMSAは、アニオン基、例えば、リン酸、ホスホン酸、カルボキシ、又はこれらの混合物を含有し、したがって、カチオン性又は正に荷電した実体と相互作用する能力を有する。「ミネラル」記述子は、ポリマーの界面活性又は持続性がリン酸カルシウムミネラル又は歯のようなミネラル表面に向かうことを伝えることを意図する。
【0069】
ステイン予防効果のために、PMSAは本組成物で有用である。PMSAは、その反応性又は持続性により、ミネラル表面にステイン予防効果を提供し、望ましくない吸着外被タンパク質、具体的には、歯を着色する色素体(color body)の結合、結石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引と関連するものの一部を脱離させると考えられる。これらのPMSAの歯上での保持は、また、歯の表面上の色素体の結合部位を壊すため、ステインの発生を防止することもできる。
【0070】
スズイオン及びカチオン性抗菌剤のような口腔ケア製品のステイン促進成分を結合するPMSAの能力もまた、有用であると考えられる。PMSAはまた、表面熱力学特性及び表面フィルム特性に望ましい影響を与える歯表面調節効果も提供し、これは口内洗浄又はブラッシング中、及び最も重要なことに口内洗浄又はブラッシング後の両方に、改善された清浄な感触を付与する。これらの高分子剤の多くはまた、口腔組成物に適用される際、歯石制御効果を提供する、したがって消費者に歯の外観及びそれらの触感の改善を提供することが既知であり、また期待されている。
【0071】
望ましい表面効果としては、1)処置直後、親水性歯表面を形成すること、並びに、2)ブラッシング後又は口内洗浄後及びより長い期間を含む、製品の使用後の長期間にわたって、表面調節効果及び外被フィルムの制御を維持することが挙げられる。親水性の増大した表面を形成することによる効果は、水の接触角の相対的な減少の点で測定できる。親水性表面は、重要なことに、製品使用後、長期間にわたって歯の表面に保持される。
【0072】
高分子ミネラル界面活性剤としては、歯表面に強い親和性を有し、ポリマー層又はコーティングを歯表面に沈着させ、所望の表面改質効果を生み出す任意の物質が挙げられる。かかるポリマーの好適な例は、縮合リン酸化ポリマー;ポリホスホネート;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー、又はタンパク質、ポリペプチド、多糖、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;並びにこれらの混合物のような高分子電解質である。好適な高分子ミネラル表面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、第5,213,789号、第5,093,170号、第5,009,882号、及び第4,939,284号(全て、デゲンハート(Degenhardt)ら)に記載されるカルボキシ置換アルコールポリマー;並びに米国特許第5,011,913号(ベネディクト(Benedict)ら)のジホスホネート誘導ポリマー;例えば、米国特許第4,627,977号(ガファー(Gaffar)ら)に記載のポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))を含む、合成アニオン性ポリマーが挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート変性ポリアクリル酸である。活性を有するポリマーは、薄膜タンパク質を脱着しかつエナメル質表面に結合したままにするのに十分な表面結合性を有していなければならない。歯の表面では、末端又は側鎖にホスフェート又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、ミネラル結合活性を有する他のポリマーも吸着親和性に依存して有効であることを示す場合がある。
【0073】
高分子ミネラル表面活性剤を含有する好適なホスホネートの更なる例としては、抗結石剤として米国特許第4,877,603号(デゲンハート(Degenhardt)ら)に開示されたジェミナルジホスホネートポリマー;米国特許第4,749,758号(ダーシュ(Dursch)ら)及び英国特許第1,290,724号(何れもヘキスト(Hoechst)へ譲渡)に開示された洗剤及び洗浄剤組成物における使用に好適なコポリマーを含有するホスホネート基;並びに歯石及び腐食阻害、コーティング、接合剤(cements)及びイオン交換樹脂などの用途に有用として、米国特許第5,980,776号(ザキカーニ(Zakikhani)ら)及び米国特許第6,071,434号(デービス(Davis)ら)に開示されたコポリマー及びコテロマーが挙げられる。更なるポリマーとしては、英国特許第1,290,724号に開示されたビニルホスホン酸及びアクリル酸の水溶性コポリマー並びにそれらの塩が挙げられ、本コポリマーは、ビニルホスホン酸を約10重量%〜約90重量%及びアクリル酸を約90重量%〜約10重量%で含有し、より詳しく言えば、本コポリマーは、ビニルホスホン酸70%対アクリル酸30%;ビニルホスホン酸50%対アクリル酸50%;又はビニルホスホン酸30%対アクリル酸70%のビニルホスホン酸対アクリル酸の重量比を有する。他の好適なポリマーとしては、ザキカーニ及びデービスにより開示され、1つ以上の不飽和C=C結合(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−(ヒドロキシホスフィニル)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)を有するジホスホネート又はポリホスホネートモノマーを不飽和C=C結合を有する少なくとも1つの更なる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)と一緒に共重合することにより調製される水溶性ポリマーが挙げられる。好適なポリマーとしては、ロディア(Rhodia)から表記ITC1087(平均分子量3,000〜60,000)及びポリマー(Polymer)1154(平均分子量6,000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマーが挙げられる。
【0074】
好ましいPMSAは、イオン性フッ化物及び金属イオンのような口腔ケア組成物の他の成分に対して安定である。高含水製剤において加水分解が制限され、したがって単純な単一相歯磨剤又はマウスリンス製剤を可能にするポリマーもまた好ましい。PMSAがこれらの安定特性を有していない場合、1つの選択肢は、フッ化物又は他の不混和性成分から分離された高分子ミネラル界面活性剤を含む二相製剤である。別の選択肢は、非水性、実質的に非水性又は限定的な水分の組成物を配合し、PMSAと他の成分との間の反応を最低限に抑えることである。
【0075】
好ましいPMSAは、ポリホスフェートである。ポリホスフェートは一般に、主に線状構造に配置された2つ又はそれ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、幾つかの環状誘導体が存在する場合がある。ピロホスフェート(n=2)は理論的にはポリホスフェートであるが、所望のポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷及び表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリホスフェート塩としては、特に、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、及びヘキサメタホスフェートが挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常、非結晶質のガラス状物質として生じる。以下の式を有する直鎖ポリホスフェートが、本発明では好ましい。
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリホスフェートは、ソダホス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサホス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラス(Glass)H(n≒21)として市場で知られているもの、並びにFMCコーポレーション(FMC Corporation)及びアスタリス(Astaris)により製造されているような平均して約6〜約21のnを有するものである。これらのポリホスフェートは単独で又は組み合わせて用いてよい。ポリホスフェートは、酸性pH、具体的にはpH5未満で、高含水製剤中の加水分解の影響を受け易い。したがって、長鎖ポリホスフェート、具体的には、平均鎖長約21のグラスHを使用することが好ましい。かかる長鎖ポリホスフェートは、加水分解を受けている際、依然として歯上に沈着し、ステイン予防効果を提供するのに有効な短鎖ポリホスフェートを生成すると考えられている。
【0076】
表面改質効果を形成することに加えて、歯持続剤はまた、不溶性塩を可溶化するように機能してもよい。例えば、グラスHは不溶性スズ塩を可溶化することがわかっている。したがって、フッ化第一スズを含有する組成物では、例えばグラスHはスズのステイン促進効果の低下の一因となる。
【0077】
他のポリリン酸化化合物を、ポリホスフェートに加えて又はその代わりに、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸);ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物を用いてよい。本明細書で好ましいのは、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(ジヒドロゲンホスフェート)としても既知であるフィチン酸又はイノシトール六リン酸、及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩である。本明細書では、用語「フィテート」とは、フィチン酸及びその塩、並びにその他のポリリン酸化イノシトール化合物を含む。
【0078】
歯持続剤として有用な更に他の界面活性有機リン酸化合物としては、以下の一般構造によって表されるホスフェートモノ−、ジ−又はトリエステルが挙げられ、式中、Z、Z、又はZは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つは、好ましくは、所望により1つ以上のホスフェート基;アルコキシル化アルキル若しくはアルケニル、(ポリ)サッカライド、ポリオール又はポリエーテル基によって置換された6〜22個の炭素原子の直鎖又は分枝状のアルキル又はアルケニル基から選択される有機部分である。
【化1】

【0079】
幾つかの好ましい剤としては、以下の構造によって表されるアルキル又はアルケニルホスフェートエステルが挙げられる。
【化2】

式中、Rは、所望により1つ以上のホスフェート基によって置換された6〜22個の炭素原子の直鎖又は分枝状のアルキル又はアルケニル基を表し;n及びmは、個々に及び別々に2〜4であり、a及びbは、個々に及び別々に0〜20であり;Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれは水素、アルカリ金属、アンモニウム、プロトン化アルキルアミン若しくはアルカノールアミンのようなプロトン化官能性アルキルアミン、又はaR−(OC2n(OC2m−基を表す。好適な剤の例としては、ラウリルホスフェート(商品名MAP230K及びMAP230T、クロダ(Croda)製)のようなアルキル及びアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート;PPG5セテアレス(ceteareth)−10ホスフェート(商品名クロダホス(Crodaphos)SG、クロダ製);ラウレス−1ホスフェート(商品名MAP L210、ロディア(Rhodia)製、ホステン(Phosten)HLP−1、ニッコール・ケミカル(Nikkol Chemical)製、又はサンマップ(Sunmaep)L、スンジン(Sunjin)製);ラウレス−3ホスフェート(商品名MAP L130、ロディア製、又はフォームホス(Foamphos)L−3、アルゾ(Alzo)製、又はエムフィホス(Emphiphos)DF1326、ハンツマン・ケミカル(Huntsman Chemical)製);ラウレス−9ホスフェート(商品名フォームホス(Foamphos)L−9、アルゾ製);トリラウレス−4ホスフェート(商品名ホスタファト(Hostaphat)KL340D、クラリアント(Clariant)製、又はTLP−4、ニッコール・ケミカル製);C12−18PEG9ホスフェート(商品名クラホール(Crafol)AP261、コグニス(Cognis)製);ジラウレス−10リン酸ナトリウム(商品名DLP−10、ニッコール・ケミカル製)が挙げられる。幾つかの好ましい剤は、例えば、高分子部分としての反復アルコキシ基、特に3つ以上のエトキシ、プロポキシイソプロポキシ、又はブトキシ基を含有する高分子のものである。
【0080】
好適な更なる重合性有機リン酸剤としては、デキストランホスフェート、ポリグルコシドホスフェート、アルキルポリグルコシドホスフェート、ポリグリセリルホスフェート、アルキルポリグリセリルホスフェート、ポリエーテルホスフェート、及びアルコキシル化ポリオールホスフェートが挙げられる。幾つかの具体例は、PEGホスフェート、PPGホスフェート、アルキルPPGホスフェート、PEG/PPGホスフェート、アルキルPEG/PPGホスフェート、PEG/PPG/PEGホスフェート、ジプロピレングリコールホスフェート、PEGグリセリルホスフェート、PBG(ポリブチレングリコール)ホスフェート、PEGシクロデキストリンホスフェート、PEGソルビタンホスフェート、PEGアルキルソルビタンホスフェート、及びPEGメチルグルコシドホスフェートである。
【0081】
好適な非重合性ホスフェートとしては、アルキルモノグリセリドホスフェート、アルキルソルビタンホスフェート、アルキルメチルグルコシドホスフェート、アルキルスクロースホスフェートが挙げられる。
【0082】
これらの界面活性有機リン酸化合物を含む組成物は、歯(ヒドロキシアパタイト)及び又は有機リン酸化合物からなる歯の表面上の保護表面コーティングの堆積物中のカルシウムミネラルの結合に由来する歯牙侵食に対する有効な保護を提供する。保護表面コーティングは、表面親水性及び疎水性特性の変性並びに酸の攻撃に対する抵抗性を含む歯の表面の特質の制御を提供する。本界面活性有機リン酸化合物はまた、水接触角、より親水性の表面を示唆する相対的減少及びより疎水性の表面を示唆する相対的増加における変化に関連して測定できる表面親水性及び疎水性特性を変性することを含む所望の表面コンディショニング効果を提供できる。表面親水性及び疎水性特性は、これらの界面活性有機リン酸化合物を含む本組成物からの効果の送達を最適化するために調和がとれている必要があることが発見された。好ましい有機リン酸化合物の多くは、更に、歯石制御、又は抗ステイン/ホワイトニング若しくは表面コンディショニング活性を提供し、したがって、歯の外見及び触感と同様に、全体的な歯の健康及び構造の改善において複数の臨床的作用を提供する。
【0083】
歯持続剤の量は、典型的には、総口腔用組成物の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、この量は好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。マウスリンス組成物では、歯持続剤の量は好ましくは約0.1%〜5%、より好ましくは約0.5%〜約3%である。
【0084】
キレート剤
別の任意の剤は、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの薬剤的に許容可能な塩のような、金属イオン封鎖剤とも呼ばれるキレート剤である。キレート剤は、細菌の細胞壁に見られるカルシウムを錯化することができる。キレート剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのに役立つカルシウムの架橋からカルシウムを取り除くことにより歯垢を崩壊させることができる。しかしながら、カルシウムに対する親和性が高すぎるキレート剤を用いることは、結果として歯の脱灰をもたらす可能性があり、これは本発明の目的及び意図に反するために、望ましくない。好適なキレート剤は、通常はカルシウム結合定数が約10〜10であり、歯垢及び結石の形成を低下させ、改善された洗浄を提供する。キレート剤は、金属イオンと錯体を形成する能力を有し、したがって、製品の安定性又は外観に対する悪影響を防ぐのにも役立つ。鉄又は銅のようなイオンのキレート化は、最終製品の酸化による変質の抑制に役立つ。
【0085】
好適なキレート剤の例は、グルコン酸ナトリウム又はグルコン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム;クエン酸/クエン酸アルカリ金属混合物;酒石酸二ナトリウム;酒石酸二カリウム;酒石酸ナトリウムカリウム;酒石酸水素ナトリウム;酒石酸水素カリウム;ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、又はポリリン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物である。キレート剤は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、より好ましくは約1.0%〜約2.5%で使用されてよい。
【0086】
本発明に用いるのに好適な更に他のキレート剤は、アニオン性高分子ポリカルボキシレートである。そのような物質は、従来技術では周知であり、その遊離酸又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態で使用される。例としては、無水マレイン酸又はマレイン酸と、別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーである。これらのコポリマーは、例えば、GAFケミカルズ社(GAF Chemicals Corporation)のガントレッツ(Gantrez)AN139(分子量500,000)、AN119(分子量250,000)、及びS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0087】
他の有効な高分子ポリカルボキシレートとしては、無水マレイン酸とエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、又はエチレンとの1:1コポリマーであって、後者は、例えばモンサント(Monsanto)EMA NO.1103、分子量10,000及びEMA等級61として入手可能であるもの、並びにアクリル酸とメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマーが挙げられる。
【0088】
更なる有効な高分子ポリカルボキシレートは、米国特許第4,138,477号(ガファー(Gaffar))及び米国特許第4,183,914号(ガファーら)に開示されており、スチレン、イソブチレン、又はエチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー;ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、及びポリマレイン酸;並びにユニロイヤル(Uniroyal)ND−2として入手可能な、1,000ほどに低い分子量のスルホアクリルオリゴマーが挙げられる。
【0089】
界面活性剤
本組成物はまた、一般的に起泡剤とも呼ばれる界面活性剤を含んでもよい。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定し、発泡性であるものを言う。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性、又はこれらの混合物であってよい。
【0090】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムのようなサルコシネート、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる。多くの好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら)に開示されている。本組成物は、典型的に、約0.025%〜約9%、約0.05%〜約5%、又は約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0091】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤、及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で用いるのに好ましいのは、以下のナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩である:サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル、及びサルコシン酸オレオイル。サルコシン酸界面活性剤は、本発明の組成物中に、約0.1重量%〜約2.5重量%、好ましくは約0.5重量%〜約2.0重量%で存在してよい。
【0092】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ココナツアルキルトリメチルアンモニウムニトリル、フッ化セチルピリジニウムなどのような、約8〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する四級アンモニウム化合物の誘導体が挙げられる。好ましい化合物は、ブリナーら(Briner)らによって米国特許第3,535,421号で説明されているフッ化四級アンモニウムであり、フッ化四級アンモニウムは洗剤特性を有する。特定のカチオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤として作用する場合もある。クロルヘキシジンのようなカチオン性界面活性剤は、本発明に用いられるのに好適であるが、口腔の硬組織を着色する可能性があるために好ましくない。当業者はこの可能性について承知しており、この制限を念頭においてカチオン性界面活性剤を組み込むべきである。
【0093】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族であることもある有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から得られる生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びかかる物質の混合物が挙げられる。
【0094】
本発明で有用な双性イオン性合成界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性水溶性基を含有する。
【0095】
好適なベタイン界面活性剤が、米国特許第5,180,577号(ポレフカ(Polefka)ら)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン、などが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインにより例示される。
【0096】
様々なキャリア物質
商業的に好適な口腔用組成物の調製に使用される水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含まないべきである。水は本明細書の水性組成物の約99重量%まで含まれてよい。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質と共に導入される水を含む。
【0097】
本発明はまた、アルカリ金属重炭酸塩を含んでもよく、これは研磨、脱臭、緩衝及びpH調節を含む多くの機能を提供し得る。アルカリ金属重炭酸塩は水に可溶性であり、安定化していない限り、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重炭酸ナトリウムは重曹としても知られ、一般に使用されるアルカリ金属重炭酸塩である。本組成物は、約0.5重量%〜約30重量%のアルカリ金属重炭酸塩を含んでもよい。
【0098】
本組成物のpHを、緩衝剤を用いることにより調整することができる。緩衝剤とは、本明細書で使用する時、過酸化物の安定性のために、マウスリンス及び歯科用溶液のような水性組成物のpHを、好ましくは約pH4.0〜約pH6.0の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。緩衝剤としては、重炭酸塩ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられ、典型的には、約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含まれる。
【0099】
ポロキサマーを本組成物に使用することができる。ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤に分類され、乳化剤、結合剤、安定剤、及び他の関連する機能としても機能し得る。ポロキサマーは、分子量が1,000〜15,000超の範囲である、末端に一級水酸基のある二官能性ブロックポリマーである。ポロキサマーは、商品名プルロニクス(Pluronics)及びプルラフロ(Pluraflo)で、BASFから販売され、ポロキサマー407及びプルラフロL4370などである。
【0100】
使用してもよい他の乳化剤としては、B.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich)から入手可能なペムレン(Pemulen)(登録商標)シリーズのような重合性乳化剤が挙げられ、これは、疎水性物質の乳化剤として有用な、主に高分子量のポリアクリル酸ポリマーである。
【0101】
二酸化チタンを、着色剤又は乳白剤として、典型的に約0.25重量%〜約5重量%の濃度で本組成物に加えてもよい。
【0102】
本組成物中に使用してもよい他の任意の剤としては、肯定的な歯感効果を提供するのに役立つものとして、C12〜C20のアルキルジメチコンコポリオール及びそれらの混合物のようなアルキル−及びアルコキシージメチコンコポリオールから選択されるジメチコンコポリオールが挙げられる。非常に好ましいものは、商品名エービル(Abil)EM90で市販されているセチルジメチコンコポリオールである。ジメチコンコポリオールは一般に、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%の濃度で存在する。
【0103】
使用方法
本発明はまた、洗浄、リフレッシング、並びに歯垢、虫歯、結石、歯肉炎、歯周病及び悪臭を含む望ましくない状態を引き起こす口腔内のバクテリアの活性を制御するための方法に関する。これらの組成物の効果は、組成物を繰り返し使用すると、時間と共に増加し得る。
【0104】
本明細書の使用又は処置方法は、被験体の歯のエナメル質表面及び口内粘膜に、本発明による口腔用組成物を接触させることを含んでもよい。本方法は、歯磨剤を伴うブラッシング、又は歯磨剤スラリー若しくはマウスリンスでのすすぎを含んでもよい。他の方法としては、局所用口腔ゲル、義歯製品、口腔スプレー、又は他の形態を、被験体の歯及び口腔粘膜に接触させることが挙げられる。被験体は、歯の表面及び口腔が口腔用組成物と接触する任意のヒト、又は動物であってよい。「動物」とは、家庭用ペット若しくは他の家畜、又は捕獲されている動物を含むことを意味する。
【0105】
例えば、処置方法は、歯磨剤組成物の1つを用いてヒトがイヌの歯をブラッシングすることを含んでもよい。別の例としては、効果を知るのに十分に長い時間、口腔用組成物でネコの口をすすぐことが挙げられる。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0107】
歯磨剤組成物
本発明1A〜1F及び2A〜2Fによる歯磨剤組成物は、成分の量を重量%として以下に示す。これらの組成物は、従来の方法を使用して製造される。消費者官能試験において、これらの組成物は、洗浄力、口中感、立ち性、清浄度などを含む、通常の歯磨剤製品の典型的特徴を有するとして格付けされる。例2A〜2Fの分散性の特徴は、前述の方法を用いて、現在市場にある製品と比較した。結果、即ち、製品のサンプルを分散するための時間を以下に示す。本発明による、ほとんど又は全く保湿剤を伴わないカラギーナン増粘剤を含有する全ての歯磨剤組成物は、高濃度の保湿剤を含有する比較市場製品よりもより迅速に分散した。
【0108】
【表1】

FMC供給、商品名ビスカリン(Viscarin)(登録商標)
【0109】
【表2】

FMC供給、商品名ビスカリン(Viscarin)(登録商標)
【0110】
【表3】

本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0111】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てが本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本明細書中で開示又は特許請求の範囲に記載されるいずれかの発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のあらゆる参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0112】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中の改善された分散性を有する口腔ケア組成物であって、
(a)1.5%溶液中、25℃で少なくとも20mPa.sの水粘性率、及び空気に晒されて許容できない乾燥を引き起こす時に、組成物からの有意な水損失を防ぐ有効な水結合能を提供するカラギーナンを口腔ケア組成物の0.1重量%〜10重量%含む増粘/結合剤、並びに
(b)保湿剤及び1つ以上の他の口腔ケア剤を10重量%以下で含む経口的に許容可能な担体、
を含む、口腔ケア組成物。
【請求項2】
使用中の改善された分散性を有する歯磨剤形態の口腔ケア組成物であって、
(a)1.5%溶液中、25℃で少なくとも20mPa.sの水粘性率、及び室温条件、相対湿度50%で30分間空気に晒した時に、歯磨剤組成物からの水損失が0.75%以下であるような有効な水結合能を提供するカラギーナンを0.1重量%〜10重量%含む増粘/結合剤、並びに
(b)保湿剤及び1つ以上の他の口腔ケア剤を10重量%以下で含む経口的に許容可能な担体、
を含む、口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記経口的に許容可能な担体が、研磨剤、抗虫歯剤、フッ化物イオン源、抗菌/抗歯垢剤、漂白剤、抗結石剤、減感剤、歯持続剤、キレート剤、界面活性剤、又はフレーバー系から選択される1つ以上の口腔ケア剤を含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
カルボキシビニルポリマー、天然及び合成粘土、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カラヤガム、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガカントゴム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、又は超微粒子状シリカのうちの1つ又は組み合わせから選択される、追加の増粘/結合剤を更に含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記保湿剤が存在する時、前記保湿剤が、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、又はトリメチルグリシンのうちの1つ又は混合物を含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記研磨剤が、シリカ、炭酸カルシウム、ポリメタリン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム二水和物、又はピロリン酸カルシウムのうちの1つ又は混合物を含む、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記フッ化物イオン源が、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、フッ化アミン、又はモノフルオロリン酸ナトリウムのうちの1つ又は混合物を含む、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記歯持続剤が、3個以上の長さの平均鎖を有するポリホスフェートから選択されるポリホスフェート化合物、フィテート、アルキルホスフェート、又はアルキル(ポリ)アルコキシホスフェートのうちの1つ又は混合物を含む、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記抗結石剤が、ピロホスフェート塩を含む、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
歯磨剤組成物の分散性を改善するための方法であって、1.5%溶液中、25℃で少なくとも20mPa.sの水粘性率、及び室温条件、相対湿度50%で30分間空気に晒した時に、歯磨剤組成物からの水損失が0.75%以下であるような有効な水結合能を提供するカラギーナンを0.1重量%〜10重量%含む増粘/結合剤、並びに保湿剤及び1つ以上の他の口腔ケア剤を10重量%以下で含む経口的に許容可能な担体を有し、前記歯磨剤が典型的なブラッシング期間中に本質的に完全に分散する、前記歯磨剤を処方することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−518227(P2011−518227A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506411(P2011−506411)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041367
【国際公開番号】WO2009/134657
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】