説明

口腔及び鼻腔組織を鎮静化させるための方法及び組成物

炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を鎮静化させるための薬剤の製造における唾液分泌剤の使用を提供する。唾液分泌剤及び冷却剤を含む組成物も提供する。本明細書にて提供される前記使用及び組成物は、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織の改良された鎮静化及び緩和を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を鎮静化させるための薬剤の製造のための唾液分泌剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症を起こした口腔及び鼻腔組織を緩和又は鎮静化させることを目的とした薬剤についての多くの実施例が存在する。これらの薬剤は、通常、局部麻酔薬であるベンゾカインなどの薬学的活性成分に依存する。これらの成分は、全体的に見ると有効であるが、場合により鼻腔組織及び鼻咽頭領域を効果的に鎮静化させることができない。更に、これらのような薬学的活性成分の効果は場合により、要求される結果を得るために必要以上のものであると消費者に考えられている。鎮静作用を穏やかな方法で提供する薬剤の必要性が存在する。
【0003】
炎症を起こした口腔及び鼻腔組織の鎮静化は、当該組織の潤いを増加させることによって生じ得る。しかし、口腔及び鼻腔組織の潤いを増大させるのに適している多くの成分は、顕著な欠点を有する。例えば、クエン酸は、舌の領域周辺の口腔唾液分泌を増大させることはできるが、口腔内全体の潤いを増加させることはできず、鼻の潤いを調節することもできない。これにより、クエン酸が、鼻咽頭(nasophayngeal)領域での顕著な鎮静作用を提供することが妨げられがちである。更に、舌周辺に顕著な利点を生み出すことができるクエン酸濃度は、酸味又は渋味であり得、更にクエン酸の高吸湿性故に、製品の安定性にマイナスの影響を与え得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を、審美的問題点及び/又は製品安定性問題を伴うことなく、うまく鎮静化させる薬剤を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を効果的に鎮静化させる薬剤組成物を提供する。本明細書の薬剤は、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節する唾液分泌剤を組み込んで、消費者の口腔及び/又は鼻腔組織に緩解をもたらす。本発明は、炎症を起こした口腔及び/若しくは鼻腔組織を、口腔及び/若しくは鼻腔分泌物を調節することによって鎮静化させるための薬剤の製造における、式(I):
【化1】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う唾液分泌剤の使用を提供する。本発明は更に、
(a)式(I):
【化2】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う唾液分泌剤と
(b)メントール、ペパーミント油、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド類、非環式三級及び二級カルボキサミド類、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、モノメンチルグルタレート、並びにこれらの混合物を含む冷却剤と
を含んでなる、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節するための組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書において他に説明がない限り、すべての百分率は重量百分率である。
【0007】
本明細書において他に説明がない限り、すべての測定は25℃で実施される。
【0008】
本発明は、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節することによって、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を鎮静化させるための薬剤の製造における唾液分泌剤の使用を提供する。本明細書で使用する時、「口腔の」とは、口腔、舌及びのどを含み、「鼻腔の」とは、鼻、鼻腔及び鼻咽頭を含む。本明細書で使用する時、「鎮静化」とは、弛緩、保湿、緩和、痛みの軽減等を含む。好ましくは、薬剤は、口腔及び鼻腔分泌物を調節することによって、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を鎮静化させる。口腔及び鼻腔分泌物としては、唾液分泌、潤い、並びに好ましくは鼻腔、鼻甲介、咽頭、鼻咽頭、口腔、軟口蓋、及び舌における粘膜分泌物が挙げられる。
【0009】
本発明の唾液分泌剤は、式(I):
【化3】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う物質を含む。好ましくは、唾液分泌剤は、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であり、より好ましくは、RがC1のn−アルキルでありRが2−メチル−1−プロピルでありRが水素である物質を含む。より好ましくは、唾液分泌剤は、トランス−ペリトリン(式(II):
【化4】

に従う構造を有する化学物質)を含む。
【0010】
本明細書で用いるのに好適な唾液分泌剤の製造方法は、米国特許第2004/0241312A1号及び欧州特許第1520850A2号に開示されている。
【0011】
理論に束縛されるものではないが、本明細書の唾液分泌剤は意外にも、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織上に適用した際に、それらを鎮静化し緩和させることが見出された。本効果は、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節しつつ、薬剤の審美性又は安定性に影響を与えない、唾液分泌剤の作用に関連していると考えられている。
【0012】
更に、本明細書で記載する唾液分泌剤は、クエン酸などの有機酸と比較して改善された長持ちする潤いを口腔及び/又は鼻腔組織に提供する。理論に束縛されるものではないが、これは2つの要因に起因すると考えられる。まず第1に、本明細書の唾液分泌剤の親油性が、口腔及び鼻腔組織内に存在する粘膜組織に化合物を付着可能にすると考えられている。この付着が、口腔及び/又は鼻腔分泌物の持続する刺激を可能にする(特に分泌物それ自体が、唾液分泌剤を洗い流す場合で、例えばクエン酸などの有機親水性の酸を用いる場合)。更に、本明細書の唾液分泌剤が、従来の唾液分泌剤の場合の如く浸透圧によるのではなく、むしろ神経刺激によって顕在的に口腔及び/又は鼻腔分泌物を刺激すると考えられている。理論に束縛されるものではないが、本明細書の唾液分泌剤が、口腔及び/又は鼻腔組織内の分泌物を、三叉神経と副交感神経との相互作用により変換された二次プロセスを介して刺激すると考えられている。このため、本明細書の唾液分泌剤は、それらが摂取される口腔内でのみ感じられるが、滞留時間の長期化を可能とするそれらの親油性と刺激経路の組み合わせが口腔及び鼻腔組織の両方からの分泌物の持続的刺激を可能にし、口腔及び鼻腔組織へ改良された潤い及び鎮静化を生み出す。これは、口腔分泌物のみを刺激し、鼻腔組織内へ緩和及び鎮静化を付与しない従来の唾液分泌剤との対比である。
【0013】
好ましくは、薬剤は、当該薬剤の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1.5重量%、更により好ましくは約0.02重量%〜約1.0重量%の唾液分泌剤を含む。
【0014】
本発明の薬剤は、任意の好適な形態であってよく、菓子類、チューインガム、咳止めドロップ(throat and cough lozenge)、のど飴(throat disc)、咳止めシロップ等が挙げられる。好ましくは、薬剤は菓子類の形態である。好適な菓子類の形態としては、固ゆでした甘い食べ物(ハードボイルドスウィーツ)、半熟の甘い食べ物(ソフトボイルドスウィーツ)、チューインガム、グミ系の甘い食べ物(グミ系スウィーツ)、詰め物をした菓子類、又は棒つきキャンディが挙げられる。本発明の菓子類組成物は、好ましくは固ゆでした甘い食べ物(ハードボイルドスウィーツ)の形態を取る。
【0015】
本発明の組成物は、好ましくは固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)又はガム系菓子類の形態である。固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)は、砂糖又は砂糖代用品ベースの組成物であり、当該ベースは、調理され、続いてドロップへと形成され冷却されて、キャンディ本体へと形成される。一旦冷却されたキャンディ本体は、唾液分泌剤をその内部に含有するガラス状マトリックスを形成する。一旦形成されると、固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)は、好ましくは組成物の約0.1重量%〜約4重量%の水分濃度を有する。ガム系菓子類は、砂糖又は砂糖代用品ベースの軟質若しくは半固体の組成物であり、好適なゲル化剤は、砂糖又は砂糖代用品及び水を用いて調理され、正しい硬さを得て、型へ溶着されるかあるいは連続したロープへと押し出されて切断される。
【0016】
固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)のための好適な糖系は、約30%〜約85%のグルコースシロップ剤及び約15%〜約70%のスクロースを含む。あるいは、外殻に無糖系を使用することができる。好適な無糖系には、イソマルト、マルチトール、ソルビトール及びキシリトールなどのバルク甘味料が挙げられる。イソマルト及びマルチトールが、バルク無糖系として好ましい。補助系としては、キシリトールが好ましく、好ましくは無糖キャンディ内に約0.1%〜約5%の濃度で存在する。
【0017】
本発明の薬剤の他の好ましい形態は、咳止めドロップ及び咳止めシロップである。咳止めドロップは、糖系固体又は半固体組成物であり、好ましくは固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)及び/又はグミの形態である。好適な咳止めドロップは、約30%〜約50%のグルコースシロップ剤及び約15%〜約75%のスクロースを含む。咳止めドロップは、更に蜂蜜、蜂蜜誘導体類及び/又は蜂蜜香味料又は鎮痛性ハーブ類を、約0.05%〜10%、好ましくは0.1%〜5%の濃度で含んでよい。
【0018】
咳止めシロップは、更に追加の活性成分、例えばグアイフェネシンを含む、糖系液体組成物である。咳止めシロップは、約25%〜約65%のスクロースを含む。更に、約30%〜約45%のグルコースシロップ剤が、咳止めシロップの処方にて更に含まれてよい。
【0019】
本発明の薬剤は、更に冷却用組成物及び/又は加温用組成物を含んでよい。冷却用及び/又は加温用組成物は、薬剤内に別個に又は一緒に存在してよい。一緒に使用する場合、冷却用及び加温用組成物類は、好ましくは薬剤内の異なる及び別個の領域に配置され、好ましくは逐次放出特性を提供するように構成される。本明細書で使用する時、「逐次放出特性を提供するように構成される」とは、組成物が、組成物の均一混合物に関して化学的に及び/又は物理的に変更されることを意味する。多くのこのような薬剤が、製品を摂取する間中、加温剤又は冷却剤を放出し、加温剤及び冷却剤のいくらかの同時知覚があり得ることが理解されよう。
【0020】
冷却組成物の必須成分は、生理的冷却剤である。冷却剤の好適な濃度は、薬剤の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.01〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜約2重量%、更により好ましくは約0.01〜約0.5重量%である。生理的冷却剤の試験は、英国特許出願公開第1,452,291号(1976年10月13日公開)に記載されている。
【0021】
好適な生理的冷却剤は、PCT国際公開特許WO97/06695に記載されている。本明細書で使用するのに好ましいのは、メントール、ペパーミント油、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、非環式の三級及び二級カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、モノメンチルグルタレート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される生理的冷却剤である。最も有用であると見出されたカルボキサミドは、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日)、及び同第4,230,688号(ロウセル(Rowsell)ら、1980年10月28日)に記載されているようなものである。米国特許第4,136,163号のカルボキサミドは、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、例えば、ウィルキンソン・ソード(Wilkinson Sword)からWS−3として市販されている、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドなどである。米国特許第4,230,688号のカルボキサミドは、ある種の非環式三級及び二級カルボキサミド、例えば、ウィルキンソン・ソード(Wilkinson Sword)からWS−23として市販されている、トリメチルイソプロピルブタンアミドなどである。本明細書での使用により好ましいものは、モノメンチルグルタレート、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、トリメチルイソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物、更により好ましくはモノメンチルグルタレート(IFF(オランダ)からウルトラクール(Ultracool)2として市販されている)である。冷却組成物の残部は、好適・適切なキャリア、例えば、水、プロピレングリコール又はバルク甘味剤から構成されてよく、以下でより詳細に説明する。冷却組成物は、その主たる効果が冷却のものであるという条件で、本明細書で記載する加温剤を更に含むことができる。
【0022】
本発明の薬剤は、更に加温用組成物を含んでよい。加温組成物の必須成分は、生理的加温剤である。加温剤の好適な濃度は、のど飴の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.005〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜約1重量%、更により好ましくは約0.01〜約0.5重量%である。
【0023】
生理的加温剤は、前述した冷却剤のための試験を修正して実施することができ、当該試験では参照用試料としてメントールではなくベンジルアルコールの使用に変更する。好ましい生理的加温剤は、バニリルアルコールn−ブチルエーテル、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンジェロール、ショーガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、クロロホルム、オイゲノール、桂皮油、桂皮アルデヒド、これらのリン酸塩誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。以上のリン酸塩誘導体は、PCT国際公開特許WO97/02273に記載されているようなものである。本明細書に用いるのに好適な加温剤の市販の例は、オプタヒート(Optaheat)(シムライズ(Symrise)、ドイツ)である。加温組成物の残部は、好適・適切なキャリア、例えば、水、プロピレングリコール又はバルク甘味剤から構成されてよく、以下でより詳細に説明する。加温組成物は、その主たる効果が加温のものであるという条件で、本明細書で記載する冷却剤を更に含むことができる。
【0024】
本明細書の薬剤は、着香剤を含むこともできる。本明細書で使用する時、「着香剤」という用語は、香味料を菓子製品に提供するという主目的のために香味料組成物に添加される香味料・エッセンス及び同等の合成成分を意味する。上記のような加温剤及び冷却剤は除外する。菓子技術において周知の着香剤を、本発明の香味料組成物に添加することができる。これらの着香剤は、植物の葉、花、果実等、及びこれらの組み合わせに由来する合成着香液及び/又は油から選択することができる。代表的な香味液体には、人工、天然又は合成の果実香味料、例えば、ユーカリ、レモン、オレンジ、バナナ、ブドウ、ライム、アプリコット及びグレープフルーツ油類、並びにリンゴ、イチゴ、サクランボ、オレンジ、パイナップル等を含む果実エッセンス;豆及びナッツ由来の香味料、例えば、コーヒー、ココア、コーラの木、ピーナッツ、アーモンド等;並びにカンゾウ又はジンジャーなどの根由来の香味料が挙げられる。用いる着香剤の量は通常、香味料の種類、塩基の種類及び所望の強度などの要因による好みの問題である。一般的に、約4重量%以下の量が使用可能であり、約0.1重量%〜約1重量%の量が好ましい。
【0025】
本発明の薬剤は、更に他の活性成分、例えば局所麻酔薬、鎮咳薬、充血除去剤等を含んでよい。薬剤は、pHを調整し、それにより当該薬剤の安定性を調整するためのpH調整剤及び緩衝剤を含んでもよい。他の任意成分としては、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、又はこれらの混合物を含む有機酸類が挙げられる。薬剤が、水系シロップ剤の形態である場合、当該薬剤は、増加した粘度を液体処方に付与する増粘剤を更に含んでよい。
【0026】
本発明は更に、
(a)式(I):
【化5】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う唾液分泌剤と
(b)メントール、ペパーミント油、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド類、非環式三級及び二級カルボキサミド類、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、モノメンチルグルタレート、並びにこれらの混合物を含む冷却剤と
を含んでなる、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節するための組成物を提供する。
【0027】
理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節すること及び改善された冷却及び冷却剤に伴う鎮静化の感覚の相乗作用によって、口腔及び鼻腔組織の改良された鎮静化を提供すると考えられている。2つの成分は、同時に作用して、炎症を起こした口腔及び/又は鼻腔組織を鎮静化させ且つ緩和させる改良された組成物を提供する。
【0028】
好ましくは、組成物は、トランス−ペリトリンを含む唾液分泌剤を含んでなる。好ましくは、組成物は、当該組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1.5重量%、更により好ましくは約0.02重量%〜約1.0重量%の唾液分泌剤を含む。
【0029】
冷却剤の好適な濃度は、組成物の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.01〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜約2重量%、更により好ましくは約0.01〜約0.5重量%である。冷却剤は、好ましくはモノメンチルグルタレートを含む。
【0030】
次の例は、本発明の組成物及び用途を説明するために記載される。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0031】
無糖の固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)
(実施例1)
1.プレミックスの調製
【表1】

【0032】
上記の成分を組み合わせ、必要に応じて最大20℃まで加熱し、完全に均質になるまでかき混ぜる。
【表2】

【0033】
アセスルファムK及び色成分を水に加え、均質になるまで混ぜ合わせる。
【表3】

【0034】
キシリトールを水に溶解し、均質になるまで混ぜ合わせる。
【0035】
2.製造方法
イソマルト液体(93.7%)及びキシリトール溶液(3.8%)を計量し、調理器に加える。混合物を148℃まで調理し、調理後、最低−92kPa(−0.92バール)の真空を適用する。熱いキャンディベースに、以下の成分を加える(組成物に対する重量割合にて):アセスルファムK/着色溶液(0.4%)、無水クエン酸(1.2%)、アスコルビン酸(0.6%)、薬剤プレミックス(0.4%)、アスパルテーム(0.05%)、及び香味料(2%)。
【0036】
次に、薬用/着色キャンディ本体を冷却ベルト上に移し、冷却する。トレンワックス(trennwax)の薄膜を使用して、本体の冷却ベルトからの分離を確実にする。本体をバッチ形成具、ロープ形成具、及びパンチ装置に通して、ドロップを形成する。タルクを使用して、本体/ドロップが成型装置に固着するのを防止する。ドロップは、冷却トンネルを通過する冷却ベルト上で冷却され、充填のための最終的な硬さを得る。
【0037】
糖系の固ゆでしたキャンディ(ハードボイルドキャンディ)
(実施例2)
1.プレミックスの調製
【表4】

【0038】
薬剤プレミックスの成分を組み合わせ、必要に応じて最大20℃まで加熱し、完全に均質になるまでかき混ぜる。
【表5】

【0039】
撹拌しながら周囲温度にて水に色成分(単数又は複数)を加え、完全に溶解するまでかき混ぜる。
【0040】
2.製造方法
水(16.1%)、スクロース(48.4%)、グルコース液体(36.3%)、及び消泡剤を計量し、調理器に加える。混合物を148℃まで調理し、調理後、最低−92kPa(−0.92バール)の真空を適用する。熱いキャンディベースに、以下の成分を加える(キャンディ本体100kg当たり):β−カロチン溶液(0.1%)、無水クエン酸(1.2%)、アスコルビン酸(0.6%)、及び薬剤プレミックス(0.3%)、並びに香味料(2%)。
【0041】
次に、薬用/着色キャンディ本体を冷却ベルト上に移し、冷却する。トレンワックス(trennwax)の薄膜を使用して、本体の冷却ベルトからの分離を確実にする。本体をバッチ形成具、ロープ形成具、及びパンチ装置に通して、ドロップを形成する。タルクを使用して、本体/ドロップが成型装置に固着するのを防止する。ドロップは、冷却トンネルを通過する冷却ベルト上で冷却され、充填のための最終的な硬さを得る。
【0042】
ゼラチン系グミ
【表6】

【0043】
プレミックス容器内で、水、ゼラチン及び植物性脂肪を前もって混合する。均質になるまで、砂糖及びグルコースシロップ剤を加える。ジェットクッカーを使用して120〜130℃及び320kPa(3.2バール)〜380kPa(3.8バール)の真空にて混合物を調理する。調理済ゼラチンベースを、仕上げ用容器内へ、70〜80℃を維持しながら分配する。
【表7】

【0044】
70〜80℃にて、調理済ゼラチンベースへ、着香剤、果汁、濃縮物、クエン酸及び着色剤を加える。完全に均質になるまで混ぜ合わせる。充填用ラインに移し、成型済でんぷん製トレイに入れる。
【0045】
グミをでんぷん製流し型の中に24時間25℃にてゲル化するまで放置して硬化させ、より硬くするにはグミをより長時間硬化させる。
【0046】
一旦硬化したら、グミを流し型から外し、デンプンから分離させる。コーティング用ドラム内にて植物性蝋を用いてグミを磨き、滑らかに仕上げた。
【0047】
1.プレミックスの調製
【表8】

【0048】
薬剤プレミックスの成分を組み合わせ、必要に応じて最大20℃まで加熱し、完全に均質になるまでかき混ぜる。
【表9】

【0049】
撹拌しながら周囲温度にて水に色成分(単数又は複数)を加え、完全に溶解するまでかき混ぜる。
【0050】
2.製造方法
水(16.1%)、スクロース(48.4%)、グルコース液体(36.3%)、及び消泡剤を計量し、調理器に加える。混合物を148℃まで調理し、調理後、最低−92kPa(−0.92バール)の真空を適用する。熱いキャンディベースに、以下の成分を加える(キャンディ本体100kg当たり):薄緑着色溶液(0.1%)、クエン酸(0.8%)、リンゴ酸(0.4%)、薬剤プレミックス(0.5%)、及び香味料(2.0%)。
【0051】
次に、薬用/着色キャンディ本体を冷却ベルト上に移し、冷却する。トレンワックス(trennwax)の薄膜を使用して、本体の冷却ベルトからの分離を確実にする。本体をバッチ形成具、ロープ形成具、及びパンチ装置に通して、ドロップを形成する。タルクを使用して、本体/ドロップが成型装置に固着するのを防止する。ドロップは、冷却トンネルを通過する冷却ベルト上で冷却され、充填のための最終的な硬さを得る。
【0052】
(実施例5)
【表10】

【0053】
(実施例6)
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症を起こした口腔及び/若しくは鼻腔組織を、口腔及び/若しくは鼻腔分泌物を調節することによって鎮静化させるための薬剤の製造における、式(I):
【化1】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う唾液分泌剤の使用。
【請求項2】
前記唾液分泌剤が、トランス−ペリトリンを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤が、当該薬剤の0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜2重量%、より好ましくは0.01重量%〜1.5重量%、更により好ましくは0.02重量%〜1.0重量%の唾液分泌剤を含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記薬剤が、菓子類、好ましくは固ゆでした甘い食べ物(ハードボイルドスウィーツ)の形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、モノメンチルグルタレートを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
(a)式(I):
【化2】

[式中、RはC1〜C2のn−アルキルを表し、Rが2−メチル−1−プロピルでありRが水素であるか、R及びRが一緒になって式−(CH−を有する部分(式中、nは4若しくは5)となるか、又はこれらの混合物である。]に従う唾液分泌剤と、
(b)メントール、ペパーミント油、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド類、非環式三級及び二級カルボキサミド類、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、モノメンチルグルタレート、並びにこれらの混合物を含む冷却剤と
を含んでなる、口腔及び/又は鼻腔分泌物を調節するための組成物。
【請求項7】
前記組成物が、0.001%〜10%の冷却剤を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記冷却剤が、モノメンチルグルタレートを含む、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、0.01%〜5%、好ましくは0.01%〜2%、より好ましくは0.01%〜1.5%、更により好ましくは0.02%〜1.0%の唾液分泌剤を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記唾液分泌剤が、トランス−ペリトリンを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−504651(P2009−504651A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526089(P2008−526089)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030527
【国際公開番号】WO2007/021603
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】