説明

口腔粘膜に対する粘膜付着性ポリマーの制御された表面ゲル化

本発明は、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを含有する組成物中で、緊密にともに、または別個の区画中のいずれかで配合されている、被包カチオン放出性化合物を用いて、口腔乾燥症と関連する症状を軽減するための口腔組成物および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]一般的には「ドライマウス」として知られる口腔乾燥症は、唾液腺が十分な量の唾液を産生しない状態である。通常、粘膜は、鼻、口および咽喉において、連続的な保護層を形成する。口腔乾燥症を患う患者は、口中の体液が減少するだけでなく、体液を細胞と接触させておき、そして刺激および感染に対するバリアを生成するためのムコタンパク質およびムコ多糖の量も不十分である。このため不快が生じ、ときには非常に重症でありうる。唾液がないと、口はヒリヒリし、そして咽喉および舌は極端な変化を経る可能性もある。歯は迅速に腐食しうるし、そして舌はツルツルし、ひび割れ、そして感染しやすくなりうる。
【0002】
[0002]軽度の口腔乾燥症の症状は、液体、チューインガム、口腔スプレー、マウスウォッシュ、あめ玉および咽喉ロゼンジの摂取によって、いくぶん軽減されうる。人工唾液および唾液代用品もまた、口腔乾燥症の症状のための苦痛緩和治療として提唱されてきており、こうした調製物は、天然(ヒト)唾液のものを真似た物理的および化学的特性を有する。人口唾液の例には、天然唾液に見られるものを模倣するイオンを含有する組成物、グリセリン、ならびに適切なレベルの粘度を提供するカルボキシメチルセルロースに基づく調製物が含まれる。歯のエナメル質の脱ミネラル化を防止するため、これらの調製物にフッ素イオンが含まれることがある。にもかかわらず、多くの患者は、こうした調製物が刺激性であるかまたは嫌な味であり、そしてその潤滑効果が比較的短期間のものであることを見出しているため、これらの組成物は、広く許容されてきてはいない。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明は、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを含有する組成物中で、緊密にともに、または別個の区画中のいずれかで配合されている、被包カチオン放出性化合物を用いて、口腔乾燥症と関連する症状を軽減するための口腔組成物および方法に関する。
【0004】
[0004]1つの態様において、口腔組成物には、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーおよびカチオン放出性化合物が含まれ、カチオン放出性化合物は水不溶性破裂性カプセル中に被包されている。
【0005】
[0005]1つの態様において、口腔組成物には、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを有する第一の構成要素、および被包カチオン放出性化合物を有する第二の構成要素が含まれ、第一および第二の構成要素は、口腔への適用のために分配され、そして混合されるまで、互いに別個に維持されている。
【0006】
[0006]1つの態様において、口腔における乾燥を減少させるための方法には、粘膜付着性ポリマー、およびカチオン放出性化合物を含有する水不溶性カプセルを含有する組成物を口腔内に送達し、口腔において、カプセルからカチオン放出性化合物を放出させ、カチオン放出性化合物からカチオンを放出させ、粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露し、そして口腔において、粘膜付着性ポリマーを口腔表面に付着させる工程が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0007]別に明記しない限り、本明細書および明細書中の別の箇所に表すすべての割合および量は、重量の割合を指すと理解すべきである。また、用語「約」は、値の範囲に言及して用いられる場合、範囲中のいずれかの値、または範囲中の両方の値を修飾すると理解すべきである。
【0008】
[0008]本明細書全体で、範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を記載するための省略表現として用いられる。範囲内の任意の値を範囲の末端として選択してもよい。
[0009]さらに、本明細書に引用するすべての参考文献は、その全体が本明細書に援用される。本開示中の定義および引用参考文献の定義において、矛盾があった場合、本開示が統制する。
【0009】
[0010]Na+およびK+などの一価カチオン、ならびにCa2+およびMg2+などの二価カチオンは、ゲル化プロセスを誘発し、そして/または特定の粘膜付着性ポリマーゲルの構造を増進する。さらに、カチオンは、これらのカチオン感受性粘膜付着性ポリマーおよび口腔粘膜間のイオン性架橋として作用し、口腔表面への粘膜付着性ポリマーのより強い付着を提供しうる。口腔において、これらのカチオン感受性粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露することによって、粘膜付着性ポリマーのゲル化が促進され、そして口腔表面へのその付着が増進される。
【0010】
[0011]ドライマウスに関連する症状を軽減するのに用いられてきている組成物および方法の例が、米国特許第5,658,554号、第6,159,459号、および第7,198,779号に記載されており、該特許は各々、その全体が本明細書に援用される。
【0011】
[0012]本発明は、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを含有する低イオン強度組成物中で、緊密にともに、または別個の区画中のいずれかで配合されている、立体的に捕捉または被包されたカチオン放出性化合物であって、マウスウォッシュ、スプレーおよび練り歯磨きなどの口腔ビヒクルから送達されると、使用中に課される剪断によって被包が破裂し、そしてカチオン放出性化合物から可溶性カチオンが放出され、粘膜付着性ポリマーとカチオンの相互作用が可能になり、表面付着が増加する、前記化合物を用いることによって、口腔乾燥症の現在の治療と関連する問題および不都合な点を克服する。上述のように、カチオンは、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーのゲル化、およびムチン外層との該ポリマーの相互作用を促進し、潤滑水分バリアとして作用する強い粘弾性層を提供し、そして次に、口腔乾燥症の症状の軽減を補助しうる、長期存続潤滑水分バリアおよび保護コーティングを提供する。
【0012】
[0013]特定の態様において、本発明にしたがった組成物には、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーおよびカチオン放出性化合物が含まれ、カチオン放出性化合物は、破裂性カプセル中に被包される。
【0013】
[0014]カチオン曝露に感受性である粘膜付着性ポリマー物質の例には、ジェランガムおよびカラギーナンが含まれる。ジェランガムは、微生物による炭水化物発酵プロセスを介して産生される、親水コロイドである。ジェランガムの分子構造は、グルコース、ラムノースおよびグルクロン酸単位の反復に基づく直鎖である。カラギーナンは、紅藻に属する海草の特定の種で見られる細胞壁親水コロイドであり、そしてカラギーナンのタイプに応じて、多様な量および位置で硫酸エステルを含む、ガラクトースおよび3,6−アンヒドロガラクトースの反復単位で構成される。K−、L−、および/またはλ−を含めて、任意の型のカラギーナンが使用可能である。ジェランガムおよびカラギーナンはどちらも、カチオン濃度が増加するにつれて(0.01〜1%)、ゲル構造の増進を示す。カチオン感受性粘膜付着性ポリマーの他の例には、アルギン酸塩およびペクチンが含まれる。
【0014】
[0015]1つの態様において、本発明で使用するためのカチオン感受性粘膜付着性ポリマーには、CP KelcoよりKelcogel(登録商標)CGとして市販されている低アシルジェランガムが、重量約0.025%〜約2.5%の量で含まれる。別の態様において、本発明で使用するための粘膜付着性ポリマーは、重量約0.1%〜約1%の量のイオタまたはカッパ・カラギーナンあるいはその混合物である。
【0015】
[0016]カチオンの存在下でゲル化性質を示す、口腔ケア調製物中で使用可能な任意のポリマー性物質を、本発明において用いてもよいことに注目すべきである。
[0017]本発明にしたがって使用可能なカチオン放出性化合物には、カルシウム塩、ナトリウム塩、および金属塩などの塩が含まれる。特定の態様において、カチオン放出性化合物には、可溶性二価塩が含まれる。本発明で使用可能なカチオン放出性化合物は、溶解した際に二価Ca2+イオンを放出する、塩化カルシウム(CaCl)である。本発明で使用してもよい、さらなるカチオン放出性化合物には、酢酸カルシウム、酪酸カルシウム(calcium butylate)、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、およびサリチル酸カルシウムなどの他の非毒性可溶性カルシウム塩、ならびに硫酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムなどの非毒性可溶性マグネシウム塩が含まれる。スズ塩、鉄塩、銅塩、金または銀塩、および/またはチタン塩などの他の金属塩が適切でありうる。
【0016】
[0018]カプセルまたはシェル中にカチオン放出性化合物を被包することによって、続いて、消費者による口腔表面への適用中にカプセルが破裂する際に放出されるまで、カチオン放出性化合物は、口腔組成物の他の成分から実質的に分離されて(例えば隔離されて)維持されうる。マウスウォッシュ、スプレーまたは練り歯磨きなどの口腔ケアビヒクルから送達された際、例えば口腔表面上へのスプレー中、またはブラッシングの経過中、組成物に課される機械力および/または剪断力が、カプセルを破壊し、そして可溶性カチオンを放出し、放出されたカチオンがカチオン感受性粘膜付着性ポリマーと相互作用することが可能になり、粘膜付着性ポリマーのゲル化および口腔表面への付着が促進される。カチオン放出性化合物を被包すると、消費者による使用前、例えば口腔組成物の製造および貯蔵中の、カチオンへの粘膜付着性ポリマーの曝露が防止され、こうした曝露は、防止されなければ、未成熟なゲル化および口腔表面への粘膜付着性ポリマーの付着の減少を生じるであろう。
【0017】
[0019]被包物質は、水溶性または水不溶性であってもよい。本発明にしたがって、カチオン放出性化合物を被包するために使用可能な物質には、シリコーン、ゼラチン、両親媒性ジブロックコポリマー、リン脂質、中性ブロックコポリマー、ポリエチレンオキシドポリエチレン、ポリ乳酸・コ・グリコール酸(PLGA)、エチルセルロースなどのアルキルセルロースポリマー、および他のセルロース性ポリマーが含まれる。本発明で有用でありうる他の被包物質には、フェノールホルムアルデヒド、塩化ビニルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ABS樹脂、およびワックスなどの合成有機プラスチック物質が含まれる。
【0018】
[0020]本発明のカチオン放出性化合物を被包するために使用可能な方法は、米国特許第5,976,507号および第6,258,343号に記載され、これらは各々、その全体が本明細書に援用される。米国特許第5,976,507号は、カルシウム塩などの少なくとも1つの活性成分が可塑化アルキルセルロースポリマーシェル中に被包されている歯磨剤組成物および該歯磨剤組成物を調製するための方法を記載する。米国特許第6,258,343号は、カルシウム塩などの活性歯科成分をアルキルセルロース性ポリマーマトリックス中に被包するための改善法を記載する。
【0019】
[0021]当該技術分野に知られる口腔組成物中に成分を被包するための他の物質および方法もまた、本発明において有用でありうる。例えば、各々、その全体が本明細書に援用される、米国特許第3,957,964号、第3,929,988号、第4,071,614号、第4,220,552号、第4,348,378号、および第4,376,762号は、破裂性水不溶性カプセル中に被包されたフレーバーおよび色素などの成分を含有する口腔組成物を記載する。
【0020】
[0022]被包カチオン放出性化合物および粘膜付着性ポリマーを含有する本発明の口腔組成物は、液体またはペースト型で、許容されうるビヒクル中、経口投与可能である。本発明の口腔組成物を、例えば、マウスウォッシュ、スプレー、または練り歯磨きとして送達してもよい。
【0021】
[0023]以下:フレーバー剤、界面活性剤、保湿剤、甘味料、保存剤、増粘剤、および研磨剤の1以上を含有する水性ビヒクル(例えばマウスウォッシュまたはスプレー用)または歯磨剤(例えば練り歯磨き)に、被包カチオン放出化合物およびカチオン感受性粘膜付着性ポリマーを添加することによって、本発明にしたがった組成物を調製してもよい。また、例えばメチルバニリルノネンアミド、ゲンゲロール(gengerol)、ジンガゴール(zingagole)、およびショアゴール(shoagole)などの唾液刺激剤などの他の成分を含んで、口腔乾燥症の症状の軽減を補助してもよい。
【0022】
[0024]重量約0.5%〜約2%の量で含まれてもよい、本発明にしたがったマウスウォッシュまたはスプレーの調製に有用なフレーバー剤の例には、エッセンシャルオイル、ならびに多様なフレーバー付けアルデヒド類、エステル類、アルコール類、および類似の物質が含まれる。エッセンシャルオイルの例には、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ササフラス、丁子、セージ、ユーカリ、マージョラム、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツ、およびオレンジの油が含まれる。
【0023】
[0025]本発明にしたがったマウスウォッシュまたはスプレーの調製に有用な界面活性剤の例には、BASFによって市販されているPluronic 108およびPluronic F−127などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどの非イオン性有機界面活性ポリマーが含まれる。Pluronic 108は3200の分子量を有し、そして80%の親水性ポリオキシエチレン部分を含有し、そしてPluronic F127は4000の分子量を有し、そして70%のポリオキシエチレンを含有する。界面活性剤は、口腔全体で、成分の徹底的でそして完全な分散を達成するのを補助し、そして組成物を美容的により許容されうるものにする。非イオン性界面活性剤はまた、フレーバー油を可溶化することによって、溶液中にフレーバー剤を維持するのを補助する。界面活性剤は、重量約0.25%〜約3%の量で含まれてもよい。
【0024】
[0026]本発明にしたがった歯磨剤の調製に有用な界面活性剤の例には、高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩の水溶性塩、例えば水素化ココナツ油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩、コカミドプロピルベタイン、ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、高級アルキルスルホ酢酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、1,2−ジヒドロキシプロパンスルホン酸塩の高級脂肪酸エステル、および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的飽和高級脂肪族アシルアミド、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシルラジカル中に12〜16炭素を有するものなどが含まれる。最後に言及したアミドの例は、N−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩である。予防作用の増加を達成し、そして本組成物を美容的により許容されうるものにするため、本発明にしたがって界面活性剤を用いてもよく、そして界面活性剤は、典型的には、重量約0.3〜約5%、好ましくは重量約0.5〜約2%の量で歯磨剤組成物中に存在する。
【0025】
[0027]本発明にしたがったマウスウォッシュまたはスプレーの調製に有用な保湿剤の例には、分子量約400〜約2000のトリメチルグリシン、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールまたはその混合物が含まれ、これらは、重量約10%〜約30%または重量最大約70%の量で含まれてもよい。
【0026】
[0028]本発明にしたがった歯磨剤の調製に有用な保湿剤の例には、トリメチルグリシン、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、マンニトール、キシリトールまたはその混合物が含まれ、これらは、重量約20%より多く、そして好ましくは重量約3%〜約70%の量で含まれてもよい。
【0027】
[0029]本発明にしたがったマウスウォッシュまたはスプレーの調製に有用な甘味料の例には、サッカリン、スクラロース、またはその混合物が含まれ、これらは、重量約0.01%〜約1%の量で含まれてもよい。
【0028】
[0030]本発明にしたがった歯磨剤の調製に有用な甘味料の例には、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、またはその混合物が含まれ、これらは、重量約0.1%〜約2%の量で含まれてもよい。
【0029】
[0031]本発明にしたがったマウスウォッシュまたはスプレーの調製に有用な保存剤の例には、安息香酸、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、パラベンまたはその混合物が含まれ、これらは、重量約0.1%〜約2%の量で含まれてもよい。
【0030】
[0032]本発明にしたがった組成物の調製に有用なさらなる成分には、クエン酸、アスコルビン酸またはキシリトールなどの唾液腺刺激剤化合物が含まれ、これらは、重量約0.25〜約10%の量で含まれてもよい。ホワイトニング剤、植物化合物、抗細菌剤、および着色剤などの当該技術分野に知られる他の成分もまた含まれてもよい。
【0031】
[0033]本発明にしたがった歯磨剤の調製において有用な増粘剤の例には、グアーガム、カルボキシメチルセルロースおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・ブロックコポリマーおよびキサンタンガムが含まれる。本発明にしたがって有用でありうる他の増粘剤には、イナゴマメ(carob bean)ガム、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。重量約0.05%〜約5%の量で増粘剤を含んでもよく、この量は、半固体押出し可能形状保持産物を形成するのに十分である。
【0032】
[0034]本発明にしたがった歯磨剤の調製に有用な研磨剤の例には、シリカ、コロイド状シリカ、か焼アルミナ、重炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウムおよびピロリン酸カルシウムが含まれる。研磨剤は、重量約1%〜約50%の量で含まれてもよい。
【0033】
[0035]当該技術分野に知られる他の成分が本発明の組成物中に含まれてもよく、これには、トリクロサン、クロルヘキシジンなどの抗細菌剤、硝酸カリウム、およびクエン酸カリウムなどの脱感作剤、過酸化水素、過酸化カルシウム、および過酸化尿素などのホワイトニング剤、抗歯石剤、保存剤、シリコーン、色素、着色剤、および植物化合物が含まれる。
【0034】
[0036]本発明にしたがった組成物には、カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを有する第一の構成要素、および被包されていてもまたはされていなくてもよいカチオン放出性化合物を有する第二の構成要素が含まれてもよく、第一および第二の構成要素は、口腔への適用のため、分配されそして混合されるまで、互いに別個に維持される。
【0035】
[0037]例えば、貯蔵中のカチオンへの粘膜付着性ポリマーの未成熟曝露をさらに防止するため、本発明にしたがって、カチオン感受性粘膜付着性ポリマー(単数または複数)および被包カチオン放出性化合物(単数または複数)を含有する練り歯磨き組成物を、別個の区画中の多構成要素練り歯磨きとして配合してもよい。この態様において、口腔組成物は、適切な分配容器中にパッケージングされてもよく、該容器中で、粘膜付着性ポリマーおよび被包カチオン放出性化合物が物理的に分離されて維持されるが、分離された構成要素が使用時に消費者によって該容器から同時に分配されて、構成要素が混合されてもよい。こうした容器の例は、米国特許第4,487,757号および第4,687,663号に開示されるような、折り畳み式側面を有する、ポンプまたはチューブなどの2区画分配容器であり、これらは各々、その全体が本明細書に援用される。容器ボディは、折り畳み式プラスチックウェブから形成され、そして別個の区画を明示する容器ボディ内の隔壁を備えて提供され、該区画中に、物理的に分離された構成要素が貯蔵され、そして該区画から適切な分配出力口を通じて分配されるる。
【0036】
[0038]本発明にしたがって口腔におけるドライマウスを減少させるかまたは防止するための方法には、粘膜付着性ポリマー、およびカチオン放出性化合物を含有する水不溶性カプセルを含有する組成物を口腔内に送達し、口腔において、カプセルからカチオン放出性化合物を放出させ、カチオン放出性化合物からカチオンを放出させ、粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露し、そして口腔において、粘膜付着性ポリマーを口腔表面に付着させる工程が含まれてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン感受性粘膜付着性ポリマー;および
カチオン放出性化合物
を含み;
カチオン放出性化合物が破裂性カプセル中に被包されている、口腔組成物。
【請求項2】
粘膜付着性ポリマーがジェランガムを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項3】
粘膜付着性ポリマーがカラギーナンを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項4】
カチオン放出性化合物が可溶性二価塩を含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項5】
カチオン放出性化合物がカルシウム塩を含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項6】
カチオン放出性化合物がCaClを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項7】
破裂性カプセルがシリコーンを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項8】
破裂性カプセルがPLGAを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項9】
破裂性カプセルがゼラチンを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項10】
破裂性カプセルがアルキルセルロース性ポリマーを含む、請求項1の口腔組成物。
【請求項11】
請求項1の口腔組成物を含む、マウスウォッシュ。
【請求項12】
請求項1の口腔組成物を含む、口腔スプレー。
【請求項13】
請求項1の口腔組成物を含む、練り歯磨き。
【請求項14】
カチオン感受性粘膜付着性ポリマーを含む、第一の構成要素;および
カチオン放出性化合物を含む、第二の構成要素
を含み;
第一の構成要素および第二の構成要素が、口腔への適用のために分配され、そして混合されるまで、互いに別個に維持されている、口腔組成物。
【請求項15】
カチオン放出性化合物が被包されている、請求項14の口腔組成物。
【請求項16】
ドライマウスを減少させ、そして/または防止する方法であって:
粘膜付着性ポリマー、およびカチオン放出性化合物を含有するカプセルを含む組成物を口腔内に送達し;
口腔において、カプセルからカチオン放出性化合物を放出させ;
カチオン放出性化合物からカチオンを放出させ;
粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露し;そして
口腔において、粘膜付着性ポリマーを口腔表面に付着させる
工程を含む、前記方法。
【請求項17】
粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露する工程が、粘膜付着性ポリマーのゲル化を促進する、請求項16の方法。
【請求項18】
粘膜付着性ポリマーをカチオンに曝露する工程が、粘膜付着性ポリマーの表面付着特性を増進させる、請求項16の方法。
【請求項19】
粘膜付着性ポリマーを口腔表面に付着させる工程が、粘膜付着性ポリマーおよび口腔表面間にイオン性架橋を形成する工程を含む、請求項16の方法。
【請求項20】
粘膜付着性ポリマーを口腔表面に付着させる工程が、口腔表面上に潤滑コーティングを産生する、請求項16の方法。
【請求項21】
ジェランガムおよびカラギーナンからなる群より選択されるカチオン感受性粘膜付着性ポリマー;
CaCl塩;および
シリコーン、PLGA、ゼラチン、およびアルキルセルロース性ポリマーからなる群より選択される物質を含む、破裂性カプセル
を含み;
CaCl塩が破裂性カプセル中に被包されている、口腔組成物。

【公表番号】特表2010−538073(P2010−538073A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524068(P2010−524068)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/070121
【国際公開番号】WO2009/032404
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】