説明

古紙の再生処理方法

【課題】
蛍光染料を含有する古紙を有効に再利用するに当たって、環境上問題が懸念される塩素やAOX(吸着性の有機ハロゲン物質)を生成することなく古紙中に含有される蛍光染料による蛍光を消去あるいは抑制し、バージンパルプと同等の高品位の再生パルプの提供を可能とする古紙の再生処理方法が求められていた
【解決手段】
古紙を有機過酸化物又は無機ペルオキソ酸化合物の存在下に処理することを特徴とする蛍光染料を含む古紙の再生処理方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収された古紙を再利用するに当たって、古紙中に含有される蛍光染料による蛍光の消去あるいは抑制をすることにより、有効に古紙を再利用するための再生処理方法及びその方法によって再利用された再生紙に関する。
【背景技術】
【0002】
紙の使用量の増加とともに印刷古紙からパルプを再生し、その再生パルプを新しい用紙の原料に再利用する用途が年々拡大してきている。特に最近では環境問題から古紙の利用率や利用分野が年々増加する傾向にあるが、これらの古紙の多くには蛍光染料によって処理された用紙を多く含んでいる。特に白さを要求されるような用紙においてはほとんど蛍光染料処理により白度の調整がなされている。
【0003】
しかしながら、再生パルプを利用した紙製品の中には有色染料や蛍光染料による着色や蛍光発光を制限される用途、例えば、紙ナプキンや直接食品に触れる紙製品があり、又、上級印刷用紙や複写紙、感圧紙のような分野の用紙もあり、これらの場合には従来バージンパルプのみを使用してきたが、エネルギー問題、資源問題及び環境問題、製造工程中の損紙の再利用の点から古紙の使用が求められている。
再利用に用いる古紙から蛍光染料によって処理された古紙だけを除くことは大変な労力がかかり困難である。
【0004】
古紙中の着色若しくは蛍光を消去あるいは抑制する方法としては、次亜塩素酸ソーダを用いて古紙を処理する方法(例えば、特許文献1)、二酸化塩素を用いて古紙を処理する方法(例えば、特許文献2)、ジクロロイソシアヌル酸の金属塩を用いて古紙を処理する方法(例えば、特許文献3)が開示されている。しかしながら、いずれも蛍光の抑制効果が十分ではなく、バージンパルプと同等の高品位の再生パルプが得られていない。又、次亜塩素酸ソーダや二酸化塩素からは塩素の発生が、ジクロロイソシアヌル酸塩からはAOX(吸着性の有機ハロゲン物質)の発生が懸念される。これらは環境問題の観点からも好ましいものではない。
又、オゾンを用いて古紙を処理する方法(例えば、特許文献4)が開示されているが、この方法にはオゾンを発生させる専用の装置の設置が必要であり、経剤的にも安全上も問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−97993号公報
【特許文献2】特開平11−269788号公報
【特許文献3】特許第3118087号公報
【特許文献4】特開平3−199477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、蛍光染料を含む古紙を再生利用するに当たって、環境上問題が懸念される塩素やAOXを生成することなく、安全性が高く、簡便で蛍光の消去あるいは抑制効果の優れた再生処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的のため、本発明者等は鋭意研究し本発明に至った。即ち、本発明は以下の(1)〜(7)に関する。
【0008】
(1)蛍光染料を含む古紙の再生処理方法であって、古紙を有機過酸化物又は無機ペルオキソ酸化合物の存在下に処理することを特徴とする古紙の再生処理方法。
(2)処理が古紙の離解、選別、脱墨、除塵、洗浄若しくは漂白のいずれかの工程で行なわれることを特徴とする上記(1)記載の古紙の再生処理方法。
【0009】
(3)有機過酸化物が安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物である上記(1)又は(2)に記載の古紙の再生処理方法。
(4)無機ペルオキソ酸化合物がペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムである上記(1)又は(2)に記載の古紙の再生処理方法。
【0010】
(5)安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物の使用量が古紙パルプに対して0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする上記(3)記載の古紙の再生処理方法。
(6)ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムの使用量が古紙パルプに対して0.9重量%〜50重量%であることを特徴とする上記(4)記載の古紙の再生処理方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の古紙の再生処理方法により得られた再生パルプが5重量%〜95重量%配合された再生紙。
【発明の効果】
【0011】
本発明の再生処理方法により有色染料や蛍光染料を含む古紙の着色や蛍光の消去あるいは抑制を行えば、古紙再生工程において環境上問題が懸念される塩素やAOXを生成することなく、安全性が高く、簡便で経済的な古紙の再生処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の蛍光染料を含む古紙の再生処理方法は、古紙を有機過酸化物又は無機ペルオキソ酸化合物を用いて処理することを特徴とする。
【0013】
本発明の再生処理方法で使用される古紙としては特に限定されず、新聞紙、雑誌古紙、印刷物古紙、カタログ・チラシ古紙又は家庭や事務所からでる蛍光染料にて染色された紙を含む古紙が挙げられる。本発明の再生処理方法に使用される古紙としては、蛍光染料とともに有色染料により染色されている古紙でもよい。
【0014】
古紙は、離解、選別、脱墨、除塵、洗浄、精選、漂白、抄紙の処理工程により用紙として再利用される。本発明の再生処理方法は、古紙の処理工程の離解、選別、脱墨、除塵、洗浄、精選若しくは漂白工程のいずれの工程で行ってもよい。
【0015】
本発明の古紙の再生処理方法に用いられる有機過酸化物としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロル過安息香酸、メチルエチルケトンパーオキシド、ジベンジルパーオキシド、1,3−ビス(ターシャリブチルパーオキシド)ベンゼン、1,1−ジブチルパーオキシシクロヘキサン、ターシャリブチルパーオキシピバレート、ターシャリブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ターシャリブチルヒドロパーオキシド、ジ−(オルト−メチルベンゾイル)パーオキシド、ターシャリブチルクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシド等が挙げられる。中でも、過安息香酸、メタクロル過安息香酸、ジベンゾイルパーオキシド、ジ−(オルト−メチルベンゾイル)パーオキシド等の安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物が好ましく、特にメタクロル過安息香酸が好ましい。
【0016】
本発明の古紙の再生処理方法において安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物の使用量は、好ましくは古紙パルプに対して0.5重量%〜30重量%程度、更に好ましくは1重量%〜20重量%程度である。
【0017】
無機ペルオキソ酸化合物としては、例えば、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等が挙げられる。中でも、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等が好ましい。
【0018】
本発明の古紙の再生処理方法においてペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムの使用量は、好ましくは古紙パルプに対して0.9重量%〜50重量%程度、好ましくは0.9重量%〜40重量%程度、更に好ましくは0.9重量%〜10重量%程度である。
【0019】
本発明の再生処理方法の条件は水中、温度5〜90℃、好ましくは30〜80℃、更に好ましくは50〜70℃で処理する。温度が低くなると処理効果が減少する。処理液中での古紙の量は1〜40%程度、好ましくは2〜20%程度である。処理時間は0.5時間程度以上であればよく、好ましくは1時間から10時間程度である。pHは1〜9の範囲であればよく、好ましくは2〜8の範囲であればよい。pH9以上では蛍光消去効果が落ちる傾向にある。
【0020】
処理液中には、アルコール、エタノールアミン、グリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、有機酸エステル、コリン、植物油、尿素、ε−カプロラクタム、ポリアクリル酸、pH緩衝剤、蒸解助剤、漂白剤、解離剤、サイズ剤、紙力増強剤、紙質改善剤、填料、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、洗浄剤、抗菌剤、防カビ剤、泡消剤、歩留向上剤、凝集剤、耐水剤、帯電防止剤、透明化剤、表面加工樹脂、可溶性澱粉、脱墨剤、界面活性剤、他の酸化剤等を必要に応じて同時に使用してもよい。
【0021】
更に本発明の再生処理方法により着色や蛍光が消去あるいは抑制された再生パルプを、そのまま若しくはバージンパルプや他のパルプと配合して用紙を製造することができ、本発明にはこれらの再生紙も含まれる。配合量は使用するパルプに対して任意の割合であるが、好ましくは5重量%〜95重量%の割合にて使用することができる。
【実施例】
【0022】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。実施例において%は重量%を意味する。抄紙した用紙の蛍光強度は、スガ試験機(株)分光白色度測色計「SC−10W」(商品名、スガ試験機(株)製)によって測定した。
【0023】
実施例1
純水35.5mlの中に蛍光染料「カヤホールSTCリキッド」(商品名、スチルベン系蛍光染料、日本化薬(株)製)の0.15%溶液を15.5ml添加する。このなかに固形分率16.7%の広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと略す)12.0gをいれ10分間攪拌する。0.01%ロジンサイズ剤水溶液「FR1900」(商品名、ロジン系サイズ剤、星光PMC(株)製)2.0mlを加え、更に10分間攪拌する。0.03%硫酸アルミニウム水溶液2.0mlを加え、更に10分間攪拌する。染色されたLBKPを水で洗浄し脱水する。
このLBKPを純水100mlの中にいれ、1%苛性ソーダにてpHを7.0に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を50℃にした。この中にメタクロロ過安息香酸0.1gを加えた。4時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0024】
実施例2
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%苛性ソーダにてpHを7.0に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を50℃にした。この中にメタクロロ過安息香酸0.05gを加えた。4時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0025】
実施例3
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%苛性ソーダにてpHを7.0に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を50℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.2gを加えた。8時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0026】
実施例4
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.2gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0027】
実施例5
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.14gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0028】
実施例6
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.1gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0029】
実施例7
純水35.5mlの中に蛍光染料「カヤホールSTCリキッド」(商品名、スチルベン系蛍光染料、日本化薬(株)製)の0.023%溶液を10ml添加する。このなかに固型分率16.7%の広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと略す)12.0gをいれ5分間攪拌する。0.01%ロジンサイズ剤水溶液「FR1900」(商品名、ロジン系サイズ剤、星光PMC(株)製)2.0mlを加え、更に5分間攪拌する。0.03%硫酸アルミニウム水溶液2.0mlを加え、更に5分間攪拌する。染色されたLBKPを水で洗浄し脱水する。
このLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.1gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0030】
実施例8
実施例7において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を70℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.04gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0031】
実施例9
純水35.5mlの中に蛍光染料「カヤホールSTCリキッド」(商品名、スチルベン系蛍光染料、日本化薬(株)製)の0.008%溶液を10ml添加する。このなかに固型分率16.7%の広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと略す)12.0gをいれ5分間攪拌する。0.01%ロジンサイズ剤水溶液「FR1900」(商品名、ロジン系サイズ剤、星光PMC(株)製)2.0mlを加え、更に5分間攪拌する。0.03%硫酸アルミニウム水溶液2.0mlを加え、更に5分間攪拌する。染色されたLBKPを水で洗浄し、脱水する。
このLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.02gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0032】
実施例10
実施例9において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を70℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.02gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0033】
実施例11
実施例9において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、1%水酸化ナトリウムにてpHを7.0に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.02gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0034】
実施例12
実施例9において染色されたLBKPを純水66mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.02gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0035】
実施例13
実施例9において染色されたLBKPを純水40mlの中にいれ、1%硫酸にてpHを2.5に調節し、攪拌しながら加温し液の温度を60℃にした。この中にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.02gを加えた。5時間処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1において染色されたLBKPを有機過酸化物や無機ペルオキソ酸化合物による処理を行わず、そのまま抄紙して未処理紙とした。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0037】
比較例2
実施例7において染色されたLBKPを有機過酸化物や無機ペルオキソ酸化合物による処理を行わず、そのまま抄紙して未処理紙とした。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0038】
比較例3
実施例9において染色されたLBKPを有機過酸化物や無機ペルオキソ酸化合物による処理を行わず、そのまま抄紙して未処理紙とした。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0039】
比較例4
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、硫酸にてpHを2.5に調整し、攪拌しながら加温し液の温度を50℃にした。この中に30%過酸化水素水30mlを6時間かけて滴下した。処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0040】
比較例5
実施例1において染色されたLBKPを純水100mlの中にいれ、炭酸ナトリウムにてpHを11.0に調整し、攪拌しながら加温し液の温度を50℃にした。この中に1.2%次亜塩素酸ナトリウム8mlを5時間かけて滴下した。処理したLBKPをろ過した後、直径16cmの円形に抄紙した。測色・蛍光強度の測定値を表1に示す。
【0041】
表1 測色・蛍光強度
L値 a値 b値 蛍光強度
実施例1 92.99 −0.30 3.02 0.45
実施例2 95.18 −0.36 1.85 0.67
実施例3 95.04 −0.66 2.80 0.44
実施例4 94.92 −0.46 1.48 0.40
実施例5 94.84 −0.33 1.48 0.54
実施例6 95.19 −0.34 1.46 0.72
実施例7 94.95 −0.49 1.89 0.39
実施例8 94.95 −0.47 1.95 0.48
実施例9 94.63 −0.88 3.27 0.32
実施例10 94.95 −0.61 2.22 0.35
実施例11 94.33 −0.52 2.60 0.40
実施例12 94.86 −0.68 2.00 0.41
実施例13 95.20 −0.50 1.83 0.40
比較例1(未処理紙) 95.97 2.82 −7.52 17.32
比較例2(未処理紙) 95.54 1.48 −3.51 9.30
比較例3(未処理紙) 95.12 0.36 −0.51 5.07
比較例4 95.80 3.02 −7.68 13.22
比較例5 93.10 0.79 −1.51 4.13
【0042】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜13のいずれもが未処理紙(比較例1,2,3)に比して大幅に蛍光強度が低くなり、バージンパルプと同程度の値となっている。又、従来の方法である比較例4の過酸化水素水のみを用いた方法や、比較例5の次亜塩素酸ナトリウムを用いた方法の蛍光強度よりも低いことから、本発明の処理方法により古紙の蛍光がほぼ消去されることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光染料を含む古紙の再生処理方法であって、古紙を有機過酸化物又は無機ペルオキソ酸化合物の存在下に処理することを特徴とする古紙の再生処理方法。
【請求項2】
処理が古紙の離解、選別、脱墨、除塵、洗浄若しくは漂白のいずれかの工程で行なわれることを特徴とする請求項1記載の古紙の再生処理方法。
【請求項3】
有機過酸化物が安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物である請求項1又は2に記載の古紙の再生処理方法。
【請求項4】
無機ペルオキソ酸化合物がペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムである請求項1又は2に記載の古紙の再生処理方法。
【請求項5】
安息香酸の過酸化物又は安息香酸誘導体の過酸化物の使用量が古紙パルプに対して0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項3記載の古紙の再生処理方法。
【請求項6】
ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸カリウムの使用量が古紙パルプに対して0.9重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項4記載の古紙の再生処理方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の古紙の再生処理方法により得られた再生パルプが5重量%〜95重量%配合された再生紙。

【公開番号】特開2008−115518(P2008−115518A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262849(P2007−262849)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】