説明

古紙再生処理装置

【課題】古紙再生処理装置の運転状態を容易に管理することのできる古紙再生処理装置および古紙再生処理システムの提供。
【解決手段】古紙再生処理装置18は、古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部3と、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部6と前記パルプ懸濁液製造部3及び前記抄紙部6の動作を制御する制御部9とを備えてなる古紙再生処理装置18であって、前記制御部9は、古紙再生処理、または古紙再生処理後の前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の洗浄処理における動作情報を含む運転状態情報を、通信回線を通じて接続された端末機器へ送信する送信部を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は古紙再生処理システム及び古紙再生処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、古紙を離解して古紙パルプを調製し、得られたパルプ懸濁液を抄き網で抄紙することにより再生紙を製造する技術が知られている。下記特許文献1には、古紙の裁断紙片を離解してパルプ懸濁液を調製するパルプ懸濁液製造部と、パルプ懸濁液を脱墨する脱墨部と、脱墨後のパルプ懸濁液を抄き網により抄紙し、乾燥して再生紙を調製する抄紙部を一体的に備えた古紙再生処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−299228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される古紙再生処理装置は、制御部が制御することで、原料古紙から再生紙を全自動で製造することができる。一方、このような古紙再生処理装置は、工場の一区画やビルの一室などに設置されることが多い。このため、古紙再生処理装置を使用する者は、常に該古紙再生処理装置の近くにいる必要はないものの、紙詰まりなどのエラーが発生することなく正常に運転しているかどうかをわざわざ確認しに行かなければならない。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、古紙再生処理装置の運転状態を容易に管理することのできる古紙再生処理装置および古紙再生処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる古紙再生処理装置は、古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部と、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部と、前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部とを備えてなる古紙再生処理装置であって、前記制御部は、古紙再生処理または古紙再生処理後の前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部の洗浄処理における動作情報を含む運転状態情報を、通信回線を通じて接続された端末機器へ送信する送信部を備えたものである。
【0007】
また、上記構成において、運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理において、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかが所定時間後に所定の動作状態となるであろうことを予告する動作予告情報を含む。
【0008】
そして、上記各構成において、運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部及び抄紙部を洗浄処理するよう促す洗浄処理推奨情報を含む。
【0009】
更に、上記各構成において、運転状態情報は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいて検出されたアラーム情報、または前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部で用いる消耗品の残量に関するメンテナンス情報の少なくともいずれかを含む。
【0010】
更に、本発明にかかる古紙再生処理装置は古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部と、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部と前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部とを備えてなる古紙再生処理装置であって、前記制御部は、端末機器から通信回線を通じて送信された少なくとも前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部のいずれかに与える制御指令を受信する受信部を備え、前記受信部が受信した制御指令を実行する。
【0011】
更に、前記構成において、制御指令は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいてエラーが検出され、古紙再生処理または古紙再生処理後の洗浄処理の動作を中断する必要が生じたとき、前記中断を実行した後所定時間に亘って少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかを待機状態とする待機動作指令を含む。
【0012】
そして、本発明にかかる古紙再生処理システムは、古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部及び前記パルプ懸濁液製造部、前記抄紙部の動作を制御する制御部を設けてなる古紙再生処理装置と、前記古紙再生処理装置に通信回線を通じて接続可能な端末機器とを備え、前記制御部は、古紙再生処理または古紙再生処理後の前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の洗浄処理における動作情報、古紙再生処理または洗浄処理において、所定時間後にパルプ懸濁液製造部または抄紙部が所定の動作状態となるであろうことを予告する動作予告情報、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部及び抄紙部を洗浄処理するよう促す洗浄処理推奨情報、パルプ懸濁液製造部または抄紙部の少なくともいずれかにおいて検出されたアラーム情報、古紙再生処理装置で用いる消耗品の残量に関するメンテナンス情報の少なくともいずれかを含む運転状態情報を、端末機器へ送信する送信部を設けている。
【0013】
更に、本発明にかかる古紙再生処理システムは、古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部及び前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部を設けてなる古紙再生処理装置と、前記古紙再生処理装置に通信回線を通じて接続可能な端末機器とを備え、前記端末機器は、前記古紙再生処理装置に与える制御指令を送信する送信部を設け、前記古紙再生処理装置の前記制御部は、前記端末機器から送信された制御指令を受信する受信部を備えるとともに、受信した制御指令を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる古紙再生処理装置は、動作情報を含む運転状態情報を、送信部によって通信回線を通じて端末機器に送信するので、古紙再生処理装置の運転状態を容易に管理することができる。
【0015】
また、運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理において、所定時間後に少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかが所定の動作状態となるであろうことを予告する動作予告情報を含む場合は、古紙再生処理または洗浄処理の動作状態を予め知ることができ、利便性が向上する。
【0016】
運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部及び抄紙部を洗浄処理するよう促す洗浄処理推奨情報を含む場合には、長期間古紙再生処理装置を使用しなかった後、運転再開したときに得られる再生紙の品質を向上可能である。
【0017】
運転状態情報は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいて検出されたアラーム情報、または前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部で用いる消耗品の残量に関するメンテナンス情報の少なくともいずれかを含む場合は、古紙再生処理装置の使用者や管理者は直ちにエラーの発生を認識することができ、素早い対応が可能であり、古紙再生処理装置の販売会社のサービスマンや、管理会社の担当者は、古紙再生処理装置の設置場所まで行かなくても、古紙再生処理装置の運転状態を確認することができる。
【0018】
また、本発明にかかる古紙再生処理装置は、制御部は、端末機器から通信回線を通じて送信された前記古紙再生処理装置に与える制御指令を受信する受信部を備え、前記受信部が受信した制御指令を実行するので、古紙再生処理装置の使用者は、古紙再生処理装置を遠隔操作することができる。
【0019】
また、制御指令は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいてエラーが検出され、古紙再生処理または古紙再生処理後の洗浄処理の動作を中断する必要が生じたとき、前記中断を実行した後所定時間に亘って少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかを待機状態とする待機動作指令を含む場合は、制御部が待機動作指令を実行することで、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかをエラー発生後所定時間に亘り待機状態とすることができ、所定時間以内にエラーを解消することができたときには運転再開に要する時間を短縮可能である。
【0020】
そして、本発明にかかる古紙再生処理システムは、古紙再生処理装置の送信部が、運転状態情報を、通信回線を通じて端末機器へ送信するので、古紙再生処理装置の運転状態情報を迅速に使用者に知らせることができる。
【0021】
更に、本発明にかかる古紙再生処理システムは、前記端末機器は、前記古紙再生処理装置に与える制御指令を送信する送信部を設け、制御部は、前記端末機器から送信された制御指令を受信する受信部を備え、受信した制御指令を実行するので、古紙再生処理装置の使用者が、古紙再生処理装置から離れた場所にいる場合にも、容易に運転制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかる古紙再生処理システムの概略図である。
【図2】前記古紙再生処理システムの古紙再生処理装置の構成概略図である。
【図3】前記古紙再生処理装置の古紙供給部の構成概略図である。
【図4】前記古紙再生処理装置の古紙供給部の一部及びパルプ懸濁液製造部の構成概略図である。
【図5】前記古紙再生処理装置の脱墨部の平面図である。
【図6】前記古紙再生処理装置の抄紙部の構成概略図である。
【図7】前記古紙再生処理装置の排液処理部の構成概略図である。
【図8】前記古紙再生処理システムの古紙再生処理装置、管理用装置、端末機器の機能ブロック図である。
【図9】前記古紙再生処理システムの管理用装置の記憶部に記憶されるテーブルの一例である。
【図10】前記古紙再生処理システムの端末機器の記憶部に記憶されるテーブルの一例である。
【図11】前記古紙再生処理システムの管理用装置の表示部に表示される画面の一例である。
【図12】前記管理用装置の表示部に表示される画面の他の例である。
【図13】前記管理用装置の表示部に表示される画面の更に他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、古紙再生処理管理システムSの概略図を示す。古紙再生処理管理システムSは、インターネット、イントラネット、携帯電話回線、固定電話回線、無線通信等の通信回線14を通じて接続された管理用装置16と複数の端末機器17とを備える。管理用装置16は、古紙再生処理装置18に無線または有線により通信可能に接続されている。古紙再生処理装置18は、工場の一区画やビルの一室などに設置される。古紙再生処理装置18は、該古紙再生処理装置18を使用する者が直接管理、操作等を行わなくても古紙再生処理及び洗浄処理に関する全ての動作を制御部9の制御により自動で行うことができる。
【0024】
図2は、古紙再生処理装置18の構成概略図である。該古紙再生処理装置18は、古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8及び制御部9を備えている。
【0025】
(古紙供給部)
図3は、古紙供給部2の構成概略図である。古紙供給部2は、分離搬送部21、細断部22、細断屑貯留部23及び細断屑搬送部24を備えている。分離搬送部21は、載置台211を備えており、この載置台211上に載置された古紙10のうち最上位の古紙10を分離し、細断部22に搬送する。細断部22は、一対の細断刃221を備えている。細断屑貯留部23は、生成した細断屑11を貯留する。細断屑搬送部24は、細断屑貯留部23の下部より下方に排出された細断屑11を空気流によってパルプ懸濁液製造部3へ搬送する。細断屑搬送部24は、送風機241、搬送用ダクト242、及び図4に示す細断屑11の放出用サイクロン243を備えている。
【0026】
(パルプ懸濁液製造部)
図4は、パルプ懸濁液製造部3及び裁断屑搬送部24の一部の構成概略図である。パルプ懸濁液製造部3は、古紙10を細断することで得られた細断屑11を離解処理しパルプ懸濁液を製造する。パルプ懸濁液製造部3は、計量部31、攪拌槽32を備えている。計量部31は、細断屑搬送部24により搬送された細断屑11の重量を計測する。攪拌槽32は、計量後の細断屑11が投入され、図示しない給水部より給水された水とともに裁断屑11を攪拌するためのものである。攪拌槽32の下部には、攪拌手段34と、攪拌処理によって製造されたパルプ懸濁液を取り出す取出部35とが設けられている。
【0027】
(貯留部)
図2に示す貯留部4は、パルプ懸濁液製造部3から送られたパルプ懸濁液を一旦貯留するとともに、下流側の脱墨部5へ供給する。貯留部4は、図示しない貯留タンクを備えている。
【0028】
(脱墨部)
図5に脱墨部5の平面図を示す。脱墨部5は、脱墨槽51、ブレード53及び受泡槽55を備えている。脱墨槽51は、パルプ懸濁液が流通し、トナー成分等をこのパルプ懸濁液から分離して脱墨処理を行う。ブレード53は、脱墨槽51の上部を浮遊する泡沫を、脱墨槽51の周壁から溢流させ掃き出す。受泡槽55は、脱墨槽51の外周を取り囲んで設けられる。受泡槽51は、ブレード53により掃き出された泡沫を受け止める。受泡槽55は、排液処理部8に配管接続されている。そして、脱墨槽51の底部には、貯留部4から送られたパルプ懸濁液を脱墨槽51内へ流入させる流入部56と、脱墨処理後のパルプ懸濁液を流出させる流出部57とを設けている。
【0029】
(抄紙部)
図6は抄紙部6の構成概略図である。抄紙部6は、脱墨後のパルプ懸濁液を抄紙し、仕上げ前の再生紙13を製造する。抄紙部6は、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63、乾燥部64を備えている。ヘッドボックス61は、箱状の貯留部611と、貯留部611の下部に配管613が接続されてなるパルプ懸濁液の流入部614と、パルプ懸濁液を貯留部611から溢流させ、ワイヤー部62へ流出させる流出部615とを備えている。
【0030】
ワイヤー部62は、抄き網621を備えている。抄き網621は、無端状のメッシュベルトにより構成され、複数のローラ622に掛け渡される。図6において、右側のローラ622aは、ワイヤー駆動部623に連結されている。ワイヤー駆動部623の駆動により抄き網621が周回走行する。
【0031】
抄き網621の上面に、ヘッドボックス61の流出部615からパルプ懸濁液が流出され、抄き網621で水切りされて繊維の層をなす湿紙12が形成される。抄き網621の内方には、上側を走行する抄き網621の網目から流下する水を受ける受水部624が設けられている。受水部624は図示しない白水タンクに接続され、受けた水を白水タンクへ導くようになっている。
【0032】
脱水部63は、吸水ベルト631を有する。吸水ベルト631は、フェルト等により構成され、複数のローラ632及びプレスローラ634bに掛け渡されている。この吸水ベルト631により、抄き網621から転移された湿紙12が搬送される。そして、湿紙12から水分が吸収され、脱水される。
【0033】
乾燥部64は、乾燥ベルト641、カンバス642、乾燥ローラ643を有する。乾燥ベルト641により、吸水ベルト631から転移された湿紙12が搬送される。この乾燥ベルト641は、ローラ645、プレスローラ634a及び乾燥ローラ643に掛け渡されている。
【0034】
吸水ベルト631と乾燥ベルト641との接触部分に、脱水部633を設けている。脱水部633は一対のプレスローラ634a,634bからなり、該一対のプレスローラ634a,634bによって、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に挟んだ湿紙12が押圧され脱水される。脱水部633を通過した湿紙12は、吸水ベルト631から乾燥ベルト641に転移される。
【0035】
図6において、上側のプレスローラ634aは、プレス駆動部637に連結され、プレス駆動部637の駆動により回転し、下側のプレスローラ634bは上側のプレスローラ634aの回転に伴って従動回転する。そして、両プレスローラ634a,634bの回転に伴って、吸水ベルト631及び乾燥ベルト641が走行する。
【0036】
カンバス642は、樹脂製であり、網状をなす。そして、カンバス642は、複数のローラ646に掛け渡され、展張されている。カンバス642は、乾燥ベルト641との間で湿紙12を挟持して搬送し、乾燥ベルト641を介して乾燥ローラ643に湿紙12を圧接させて乾燥させる。図6において、右側の上のローラ646aは、カンバス駆動部647に連結され、カンバス駆動部647の駆動によりカンバス642が周回走行する。
【0037】
乾燥ローラ643は複数の支持軸650により回転自在に支持される。乾燥ローラ643の内部には加熱装置648を備えている。加熱装置648としては電熱ヒータ等を用いることができる。また、乾燥ローラ643には、接触式の温度センサ649を設けており、この温度センサ649により乾燥ローラ643の表面温度を検出する。
【0038】
(仕上げ部)
図2に示す仕上げ部7は、図示しないカレンダー部、カット部及び再生紙積載台を有している。カレンダー部は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラを備えている。カット部は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
【0039】
(排液処理部)
図7は、排液処理部8の構成概略図である。排液処理部8は、無端状のメッシュベルト81、複数のローラ82、前記ローラ82の駆動部(図示省略)、排液供給部83、圧搾ローラ84、排液タンク85、繊維収容箱86を備えている。排液供給部83は、脱墨部5の受泡槽55に配管58により接続される。排液供給部83から流入した排液を、駆動部の駆動により周回走行するメッシュベルト81で濾過し、圧搾ローラ84で圧搾した後、濾滓を繊維収容箱86に回収するとともに、濾液を排液タンク85に回収する。
【0040】
(制御部)
図8は、古紙再生処理装置18、管理用装置16、端末機器17の機能ブロック図である。同図に示すように、古紙再生処理装置18の制御部9は、CPU92、記憶部93、古紙再生処理機能部94、洗浄処理機能部95、液晶表示機能部96、通信部97を備えている。記憶部93は、RAM及びROM等により構成される。記憶部93にはCPU92が動作するための各種プログラムが記憶されている。制御部9は、この記憶部93に記憶された各種プログラムに従って、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8の動作を制御する。
【0041】
古紙再生処理機能部94は、原料としての古紙10をパルプ懸濁液製造部3で離解し、脱墨部5で脱墨し、抄紙部6で抄紙し、仕上げ部7で裁断等の仕上げをし、古紙10から再生紙13を製造する古紙再生処理の制御を行う。洗浄処理機能部95は、古紙再生処理の終了後、該古紙再生処理の際に古紙パルプを含むパルプ懸濁液が貯留され、または流通された攪拌槽32、貯留タンク、脱墨槽51、受泡槽55、ヘッドボックス61、メッシュベルト12及びこれらを接続する配管、ポンプ、弁等に、洗浄水を流通させ、排液処理部8に回収して排液処理することで、各部を洗浄処理する制御を行う。洗浄水としては、白水タンク内の白水または水道水等の上水を用いる。
【0042】
制御部9は、古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7及び排液処理部8に設置された様々な検出機器(図示省略)と電気的に接続されている。制御部9は、検出機器が検出した情報を取得し、検出結果に応じた古紙再生処理及び洗浄処理における必要な動作を行う。
【0043】
液晶表示機能部96は、制御部9に電気的に接続された操作部及び表示部を兼ねたタッチパネル方式の液晶表示器91を制御する。液晶表示機能部96は、操作部から入力された各種情報を受け付けるとともに、表示部に必要な情報を表示する。操作部は、テンキー、各種ボタン、スイッチ等を備えてもよい。液晶表示機能部96が表示部に表示する情報には、古紙再生処理及び洗浄処理における運転状態情報が含まれる。運転状態情報は、少なくとも動作情報、動作予告情報、アラーム情報、メンテナンス情報を含む。
【0044】
動作情報は、古紙再生処理または洗浄処理における各部の各時点での動作に関する情報であり、例えば、古紙再生処理装置18の動作開始による古紙再生処理の開始、洗浄処理の開始、古紙再生処理装置18の動作終了、古紙再生処理装置18の動作中断及び再開、古紙再生処理中、洗浄処理中、運転停止中、古紙10の処理枚数、再生紙13の製造枚数等が挙げられる。動作情報は、表示部に継続的に表示することとしてもよく、使用者が操作部を操作し、運転状態に関し表示するよう設定した場合にのみ表示することとしてもよい。
【0045】
動作予告情報は、古紙再生処理または洗浄処理において、所定時間後に少なくとも古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8のいずれかが所定の動作状態となるであろうことを予告する情報である。例えば、古紙再生処理装置18の動作終了の予告、所定枚数の古紙処理を達成することの予告、所定枚数の再生紙製造達成の予告、エラー発生のために所定枚数の古紙処理達成または再生紙製造達成の予定時刻が所定時間遅延することの予告等が挙げられる。動作予告情報は、所定の動作状態となる時点の所定時間前に表示部に表示される。予告される時間は、使用者が操作部を操作し、または端末機器17から通信回線14を通じて設定可能である。
【0046】
アラーム情報は、古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7または排液処理部8において検出されたエラーに関する情報である。アラーム情報としては、例えば、古紙供給部2の古紙10または細断屑11の紙詰まり、ステープラー止めによる古紙10の重送、原料として載置台211に載置される古紙10の不足、給紙リングの空回りによる給紙ミス、繊維収容箱72の満杯、繊維収容箱72の設置ミス、パルプ懸濁液製造部3や貯留部4、脱墨部5、排液処理部8、抄紙部6での水漏れ、断水、仕上げ部7での帯状紙または再生紙13の紙詰まり、製造された再生紙13を積載する再生紙積載台の積載オーバー、穴あき等不良再生紙の発生、サービスマンの修理が必要となるシステムエラー等が挙げられる。これらのアラーム情報は、制御部9がエラーを検出したときに表示部に表示される。
【0047】
メンテナンス情報は、古紙再生処理装置18で用いる消耗品である脱墨剤の残量に関する情報、抄き網621、吸水ベルト631及び乾燥ベルト641、カンバス642等の各ベルトの全走行距離等の古紙再生処理装置18のメンテナンスに関する情報である。メンテナンス情報は、使用者が操作部を操作し、メンテナンスに関し表示するよう要求する操作を行った場合にのみ表示部に表示される。
【0048】
通信部97は、管理用装置16を介し、通信回線14を通じて端末機器17と情報通信を行う。通信部97は、送信部971と受信部972とを有する。記憶部93には、表示部に表示される運転状態情報と同様の内容を、管理用装置16に対し送信するためのコード情報が記憶されている。そして、制御部9は、各運転状態情報を対応するコード情報に変換し、送信部971によって管理用装置16へ送信する。
【0049】
運転状態情報を送信するタイミングは、古紙再生処理開始、洗浄処理開始、古紙再生処理装置18の動作終了、古紙再生処理装置18の動作中断及び再開等の動作情報については、各々の動作が行われた時点とすることが好ましい。また、古紙10の処理枚数、再生紙13の製造枚数等の動作情報は、例えば、予め設定した所定枚数の処理が行われた時点を送信タイミングとすることができる。そして、動作予告情報は、各動作が行われる時点より所定時間前の時点とする。アラーム情報は、エラーが検出された時点とすることが好ましい。一方、古紙再生処理中、洗浄処理中、運転停止中等といった動作の中途段階であることを示す動作情報、及び消耗品の残量等のメンテナンス情報は、例えば、予め設定した所定時間ごとまたは端末機器17から要求があったとき等とすることができる。
【0050】
送信部971によって管理用装置16を介し端末機器17へ送られる運転状態情報には、上記各情報に加え、洗浄処理推奨情報が含まれる。洗浄処理推奨情報は、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6等を洗浄処理するよう促す情報である。年末年始、夏季休暇や古紙再生処理装置18の使用担当者の長期不在等なんらかの理由により、古紙再生処理装置18が所定期間以上使用されなかった場合、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6等の古紙再生処理で水が流通する部分では、細菌が繁殖する恐れがある。また、長期間古紙再生処理装置18を使用しなかった後に古紙再生処理装置18の運転を再開したときは、得られる再生紙13の品質が低下しやすいという問題をある。そこで、予め設定した所定期間古紙再生処理装置18を運転しなかった場合には、内部の洗浄処理を促す洗浄処理推奨情報を通信回線14を通じて端末機器17に送信することとした。
【0051】
受信部972は、端末機器17から通信回線14を通じて管理用装置16に送信され、該管理用装置16から転送された古紙再生処理装置18に与える制御指令を受信する。そして、制御部9は、受信した制御指令の内容に応じた実行をする。制御指令は、例えば、古紙再生処理装置18の動作開始による古紙再生処理の開始、洗浄処理の開始、古紙再生処理装置18の動作中断、古紙再生処理及び洗浄処理の終了による古紙再生処理装置18の動作終了、予約運転時刻の設定、再生紙13の紙厚の変更、脱墨具合の変更及び待機動作指令等が挙げられる。
【0052】
待機動作指令とは、少なくとも古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8のいずれかにおいてエラーが検出され、古紙再生処理または古紙再生処理後の洗浄処理の動作を中断する必要が生じたとき、前記中断を実行した後古紙再生処理装置18を全面的に停止するのではなく、所定時間に亘って少なくとも古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8のいずれかを待機状態とする指令である。待機動作指令を実行した際には、古紙再生処理または洗浄処理を行っているときより消費電力を抑えつつ一部の運転を継続する。例えば、加熱装置648の加熱温度を湿紙乾燥時より若干低い温度に設定し、古紙再生処理の再開後に短時間のうちに湿紙乾燥温度まで昇温できる状態とする等が挙げられる。
【0053】
図8に示すように、管理用装置16の管理部160は、CPU161、記憶部162、通信部163、電子メール通信部166及びサーバー部190を備えている。記憶部162は、RAM及びROM等により構成され、CPU161が動作するための各種プログラムが記憶されている。通信部163は、古紙再生処理装置18と情報通信を行う。通信部163は、送信部164及び受信部165を有する。電子メール通信部166は、端末機器17と電子メール通信を行う。電子メール通信部166は、送信部167及び受信部168を有する。
【0054】
通信部163の受信部165は、古紙再生処理装置18の送信部971より送信された運転状態情報に関するコード情報を受信する。管理用装置16は、記憶部162に予め記憶しておいたテーブルを参照し、受信部165が受信したコード情報をテキストデータに置き換える。この置き換えたテキストデータを電子メール通信部166の送信部167が、通信回線14を通じて、端末機器17へ送信する。図9は、管理用装置16の記憶部162に記憶されたコード情報をテキストデータに置き換えるためのテーブルの一例を示す。
【0055】
管理用装置16には、電子メール通信部166によって電子メールを送受信する端末機器17の宛先等を登録するための専用のアプリケーションソフトウェアがインストールされている。図11は、この専用アプリケーションを立ち上げた際に管理用装置16の表示部に表示される画面の一例を示す。図11に示す画面上部のタブTで、複数ある宛先設定タブT1の一つを選択すると、例えば、図12に示す画面が表示される。この宛先設定タブT1により、端末機器17のメールアドレス、氏名、通知内容等を登録する。
【0056】
通知内容は、運転状態情報のうち、設定を行う宛先へ通知を希望する情報の項目を選択することにより登録される。例えば、端末機器17の使用者がアラーム情報の通知を希望する場合には、「ユーザアラームを通知する」と記載された欄にチェックをいれ、登録する。端末機器17の宛先は、複数登録可能で、各宛先の端末機器17の使用者が必要とする情報のみを受信できるよう自由に選択し、登録可能である。
【0057】
図11に示す画面で設定と記載されたタブT2を選択すると、例えば、図13に示す画面が表示される。この設定タブT2により、管理用装置16のメールアドレス、経由される電子メールサーバ、メッセージ等を登録する。メッセージは、管理用装置16の受信部165が受信したコード情報をテキストデータに置き換え、端末機器17へ送信する際に付加される件名、本文の文言等である。
【0058】
管理用装置16の電子メール通信部166の受信部168は、端末機器17から通信回線14を通じて送信された古紙再生処理装置18に与える上述の制御指令を受信する。そして、通信部163の送信部164は、受信した制御指令を古紙再生処理装置18へ送信する。
【0059】
サーバー部190は、通信回線14を通じてアクセスした端末機器17に対して情報提供を行う。管理用装置16は、サーバー部190を備えることでサーバー装置19を兼ねて構成される。サーバー装置19は、受信部165が受信した古紙再生処理装置18の運転状態情報を加工して、ウェブサイトに反映させ、該ウェブサイトにウェブブラウザ173を用いてアクセスした端末機器17の使用者に必要な情報を提供する。また、サーバー装置19は、該サーバー装置19に保存されている特定の指令ページにより、端末機器17の使用者がウェブブラウザ173を用いて書き込んだ制御指令を取得する。このウェブサイトから取得する制御指令も、送信部164により古紙再生処理装置18に送信され、制御部9により実行される。
【0060】
図1に示す端末機器17は、古紙再生処理装置18の使用者、または、販売会社のサービスマンやメンテナンス会社の管理担当者など、古紙再生処理装置18を使用、管理する者のパーソナルコンピュータ17a、または携帯電話機17b等である。これらの端末機器17は、古紙再生処理装置18の設置場所から離れた場所にあり、例えば、工場の他の区画やビルの別室、古紙再生処理装置18の販売店やメンテナンス会社の敷地内、あるいは、携帯電話機の場合には出張先や外出先等にある。
【0061】
図8に示すように、端末機器17は、CPU171、記憶部172、ウェブブラウザ173及び電子メール通信部174を備えている。記憶部172は、RAM及びROM等により構成され、CPU171が動作するための各種プログラムが記憶されている。電子メール通信部174は送信部175及び受信部176を有する。受信部176は通信回線14を通じて管理用装置16から送信された運転状態情報を受信する。また、送信部175は、古紙再生処理装置18に実行させる制御指令を、通信回線14を通じて管理用装置14に送信する。制御指令は、予め記憶部172に記憶された例えば図10に示すようなテーブルを参照してコード情報に置き換えられ、送信される。端末機器17には、送信部175によって制御指令の電子メールを送信し、制御部9に実行させるための専用アプリケーションソフトウェアがインストールされている。
【0062】
上記構成の作用を説明する。古紙再生処理装置1の運転に際して使用者は、操作部より、古紙再生処理開始を入力操作する。あるいは、この操作部を用いた入力操作に替えて、端末機器17の使用者により、電子メールまたはウェブサイトの制御指令を受け付ける画面のいずれかで古紙再生処理開始の制御指令を送信してもよい。制御部9の受信部972は、端末機器17から通信回線14を通じ、管理用装置16を介して送られた制御指令を受信し、制御部9は、受信した制御指令を実行し、古紙再生処理を開始する。
【0063】
その際、古紙供給部2では、図3に示す載置台211に載置された古紙10のうち最上の古紙10が一枚ずつ分離搬送部21により分離され、細断部22へ搬送され、一対の細断刃221により細断される。生成した細断屑11は、細断屑貯留部23に貯留された後、送風機241が駆動されることで、細断屑搬送部24により、図4に示すパルプ懸濁液製造部3の計量部31へ搬送される。
【0064】
計量部31では、細断屑搬送部24により搬送され、放出用サイクロン243から放出された細断屑11の重量が計測され、細断屑11の重量が所定量に達した時点で、制御部9が送風機241を止めることで細断屑11の搬送が一旦停止される。そして、計量後の細断屑11が攪拌槽32へ投入される。その後、給水部から攪拌槽32へ給水が行われ、制御部9が攪拌手段34を作動することで、離解処理を行って古紙の含水攪拌物としてのパルプ懸濁液が調製される。
【0065】
調製されたパルプ懸濁液は、取出部35から取出され、貯留部4へ送られる。空になった攪拌槽32へは、新たに細断屑11が投入され、2回目のバッチ式離解処理が開始される。
【0066】
図2に示す貯留部4では、パルプ懸濁液が一旦貯留され、後段の脱墨部5に所定流量で連続的に供給される。その際、制御部9は、貯留タンク内に貯留する1回目の離解処理により得られたパルプ懸濁液が全て脱墨部5へ供給され、貯留部4内のパルプ懸濁液がなくなる前に、パルプ懸濁液製造部3において、2回目の離解処理で得られたパルプ懸濁液を、貯留タンクへ流入させるよう制御する。これにより、貯留タンクに、パルプ懸濁液が途切れることなく継続して貯留され、脱墨部5に連続的に供給することができる。
【0067】
貯留部4より脱墨部5に送られたパルプ懸濁液は、図5に示す脱墨槽51内を流通され、脱墨処理が行われた後、図6に示す抄紙部6に送られる。抄紙部6では、脱墨後のパルプ懸濁液がヘッドボックス61へと流入され、流出部615から抄き網621上面へ供給され、均一な繊維の層である湿紙12が形成される。抄き網621から流下した水は、受水部624に受け止められ、白水タンクに収容される。
【0068】
白水タンク内の白水は、必要により、フィルターによる異物の除去、インク、トナー等の分離、薬剤の添加、中和処理等が施された後、図2に示すように、パルプ懸濁液製造部3の給水部へ循環され、再度利用される。
【0069】
図6に示す抄き網621上に形成された湿紙12は、抄き網621と吸水ベルト631との当接部分で吸水ベルト631へ転移され、吸水ベルト631により湿紙12に含まれる水分が吸収されて脱水される。湿紙12が脱水部633の設置箇所に至ると、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に該湿紙12が挟まれた状態で、一対のプレスローラ634a,634bにより両側より押圧され脱水されるとともに、吸水ベルト631から乾燥ベルト641へ転移される。
【0070】
乾燥ベルト641に転移された湿紙12は、カンバス642との間に挟まれ、この状態で乾燥ローラ643に乾燥ベルト641を介して圧接され、乾燥される。このとき、温度センサ649によって乾燥ローラ643の表面温度が検出される。制御部9は、温度センサ649から送られる乾燥ローラ643の表面温度と、予め設定した温度との比較を行って、乾燥ローラ643の表面温度を予め設定した温度に維持するよう制御する。
【0071】
乾燥部64を出た仕上げ前の再生紙13は図示しない複数のプレスローラの間に通され、これにより、仕上げ前の再生紙13の平坦度を向上させ、更に、裁断刃で所定のシートサイズに裁断して再生紙13が完成する。
【0072】
裁断刃により裁断された再生紙13の端材は、図2に示すように古紙供給部2に戻され、再度再生紙13の製造に利用される。
【0073】
古紙再生処理の終了後には、制御部9は、引き続いて各部の洗浄処理を行う。古紙再生処理の終了は、例えば、載置台211に載置された古紙10をすべて再生処理した時点とすることができる。また、古紙再生処理装置18の使用者が、予め操作部から入力操作するか、または端末機器17から通信回線14を通じて古紙再生処理すべき古紙10の枚数を設定し、この設定枚数を再生処理した時点を古紙再生処理の終了時点とすることも可能である。同様に、使用者が、古紙再生処理の稼働時間を設定することもできる。
【0074】
このような古紙再生処理及び洗浄処理において、制御部9は、運転状態情報を各タイミングでコード情報に変換し、送信部971によって、管理用装置16に送信する。
【0075】
管理用装置16は、受信したコード情報を記憶部182に記憶する。そして、管理用装置16は、記憶部182に記憶したコード情報を、テーブルを参照してテキストデータに置き換え、送信部167により登録された端末機器17の宛先へ通信回線14を通じ電子メールを送信する。また、管理用装置16内のサーバー装置19は、記憶部182に記憶された古紙再生処理装置18の運転状態情報を加工して、ウェブサイトに反映させ、該ウェブサイトにアクセスした端末機器17の使用者に対して、通信回線14を通じて情報提供を行う。
【0076】
このように、古紙再生処理装置18は、該古紙再生処理装置18の動作情報、動作予告情報や、発生したアラーム情報、メンテナンス情報、洗浄処理推奨情報等の運転状態情報を、通信回線14を通じて端末機器17に送信することにより、古紙再生処理装置18の設置位置から離れた場所にいる使用者、管理者に知らせることができる。よって、使用者等は、古紙再生処理装置18の設置場所まで行かなくても古紙再生処理装置18の運転状態を確認することができる。
【0077】
特に、動作予告情報を送信することで、例えば、古紙再生処理装置18の使用者は、古紙再生処理装置18の動作終了時に古紙再生処理装置18の設置場所に行って戸締りをすることができるなど、各部が所定の動作状態となるのに合わせた行動ができ利便性が向上する。
【0078】
また、古紙再生処理装置18でエラーが発生した時は、アラーム情報が端末機器17に送信されるので、使用者等は直ちにエラーの発生を認識することができ、素早い対応が可能である。そして、端末機器17の使用者は、アラーム情報を受信した後に、古紙再生処理装置18に対し、電子メールまたはウェブサイトの特定の指令ページに書き込むことにより待機動作指令を送信することができる。古紙再生処理装置18の受信部971が待機動作指令を受信すると、制御部9は各部の動作中断を実行した後、所定時間に亘って各部を待機状態とする。
【0079】
例えば、仕上げ部7で帯状紙または再生紙13の紙詰まりがあった場合、または、製造された再生紙13を積載する再生紙積載台の積載オーバーがあった場合等のように抄紙部6の下流側でエラーを検出した時には、送信部971が、管理用装置16を介し通信回線14を通じてアラーム情報を端末機器17に送信する。端末機器17の表示部には、アラーム情報を通知するテキストデータが表示され、更に、抄紙部6を待機状態とする待機動作指令を古紙再生処理装置18に対し送信するかどうかを選択させる表示がなされる。端末機器17の使用者が待機動作指令を送信するを選択した場合、該待機動作指令は、通信回線14を通じ管理用装置16を介して古紙再生処理装置18に送信され、受信部971で受信される。
【0080】
古紙再生処理装置18では、抄紙部6の下流側でのエラー検出後、制御部9がヘッドボックス61へのパルプ懸濁液の供給を中断し、その後ヘッドボックス61内にあるパルプ懸濁液を全て抄紙し再生紙13としたところで抄き網621、吸水ベルト631、乾燥ベルト641及びカンバス642の走行を中断し、加熱装置648の加熱を中断する。このとき、紙詰まりや積載オーバーの検知後に製造された再生紙13は、非常用の図示しない紙受け部に排出される。そして、受信部972が待機動作指令を受信していた場合、抄紙部6は所定時間に亘って待機した状態となる。この場合の待機状態は、乾燥ローラ643の加熱装置648の設定温度を、湿紙の乾燥を行うときより所定量低い温度に設定する。
【0081】
そして、所定時間以内に使用者が古紙再生処理装置18の設置場所に駆けつけ、帯状紙または再生紙13の紙詰まりを解消し、または、再生紙積載台から再生紙13を取り除いて、動作再開の設定をしたならば、制御部9は古紙再生処理動作を再開する。その際、加熱装置648が湿紙の乾燥温度より所定量低い待機状態の温度であるので、再開に要する時間を短縮可能である。所定時間以内にエラーが解消されなければ、制御部9は待機動作を終了し、加熱装置648による加熱を停止する。このように、待機動作を、予め設定した所定時間を経過すると、自動で終了するよう設定することで、待機動作の継続によりかえって電気料金が高くなるといったことを防止可能である。
【0082】
そして、古紙再生処理装置18の販売会社のサービスマンや、管理会社の担当者は、古紙再生処理装置18を納品した顧客先まで行かなくても、古紙再生処理装置18の運転状態を確認することができる。
【0083】
更に、運転状態情報の一つである洗浄処理推奨情報が、端末機器17へ送信されることにより、古紙再生処理装置18の使用者は、該古紙再生処理装置18を洗浄処理する必要があることを容易に認識することができる。端末機器17の表示部には、例えば、洗浄処理を促す文面のテキストデータとともに、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6等の洗浄処理を実行する制御指令を古紙再生処理装置18に対し送信するかどうかを選択させる表示がなされるようにしてもよい。端末機器17の使用者が洗浄処理を実行する制御指令を選択し、送信した場合、この洗浄処理を実行する制御指令は、通信回線14を通じ管理用装置16を介して古紙再生処理装置18の受信部971で受信され、制御部9により実行される。これにより、細菌の繁殖を抑え、長期間古紙再生処理装置18を使用しなかった後運転再開後に得られる再生紙13の品質を向上可能である。
【0084】
このように、端末機器17の使用者は、必要な時に、古紙再生処理装置18に与える各種制御指令を送信部175により送信する。その際、制御指令はコード情報に置き換えられ電子メールにより通信回線14を通じ管理用装置16に送信される。管理用装置16の受信167は、端末機器17から送信された制御指令を受信し、送信部165が古紙再生処理装置18の受信部972へ制御指令の内容を送る。古紙再生処理装置18の受信部972は、この管理用装置16を介して端末機器17から送信された制御指令を受信し、制御部9は受信した制御指令を実行する。
【0085】
また、端末機器17の使用者が、サーバー装置19に保存されている特定の指令ページにより、ウェブブラウザ173を用いて制御指令を書き込むと、管理用装置16の送信部164は書き込まれた制御指令の内容を古紙再生処理装置18へ送る。古紙再生処理装置18の受信部972は、このサーバー装置19に書き込まれた制御指令を受信し、受信した該制御指令を制御部9が実行する。これにより、古紙再生処理装置18の使用者や管理者は、古紙再生処理装置18の設置場所まで行って操作部を操作しなくても古紙再生処理装置18に古紙再生処理または洗浄処理させることができ、古紙再生処理装置18を容易に使用することができる。
【0086】
なお、上記実施形態では、古紙再生処理装置18が、古紙供給部2、パルプ懸濁液製造部3、貯留部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、排液処理部8及び制御部9を備えたが、これに限定されず、古紙供給部2、貯留部4、脱墨部5、仕上げ部7、排液処理部8は備えなくてもよい。また、古紙再生処理装置18は、管理用装置16に接続され、この管理用装置16が通信回線14に接続されたが、管理用装置16に替えて古紙再生処理装置に内蔵するコンピュータを設け、この内蔵するコンピュータが通信回線14に接続されていてもよい。また、端末機器17は複数設けたが、一個でも構わない。また、運転状態情報には、動作情報、動作予告情報、アラーム情報、メンテナンス情報及び洗浄処理推奨情報が含まれたが、これらの情報の全てを含む必要はなくいずれかを含めばよい。また、制御指令は、待機動作指令を含んだが、含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0087】
S 古紙再生処理管理システム
3 パルプ懸濁液製造部
6 抄紙部
9 制御部
14 通信回線
17 端末機器
18 古紙再生処理装置
971 送信部
972 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部と、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部と、前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部とを備えてなる古紙再生処理装置であって、
前記制御部は、古紙再生処理、または古紙再生処理後の前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の洗浄処理における動作情報を含む運転状態情報を、通信回線を通じて接続された端末機器へ送信する送信部を備えたことを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項2】
運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理において、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかが所定時間後に所定の動作状態となるであろうことを予告する動作予告情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項3】
運転状態情報は、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部及び抄紙部を洗浄処理するよう促す洗浄処理推奨情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の古紙再生処理装置。
【請求項4】
運転状態情報は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいて検出されたアラーム情報、または少なくとも前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部のいずれかで用いる消耗品の残量に関するメンテナンス情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の古紙再生処理装置。
【請求項5】
古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部と、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部と、前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部とを備えてなる古紙再生処理装置であって、
前記制御部は、端末機器から通信回線を通じて送信された少なくとも前記パルプ懸濁液製造部または前記抄紙部のいずれかに与える制御指令を受信する受信部を備え、
前記受信部が受信した制御指令を実行することを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項6】
制御指令は、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかにおいてエラーが検出され、古紙再生処理または古紙再生処理後の洗浄処理の動作を中断する必要が生じたとき、前記中断を実行した後所定時間に亘って少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかを待機状態とする待機動作指令を含む請求項5に記載の古紙再生処理装置。
【請求項7】
古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部、前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部を設けてなる古紙再生処理装置と、前記古紙再生処理装置に通信回線を通じて接続可能な端末機器とを備え、
前記制御部は、古紙再生処理または古紙再生処理後の前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の洗浄処理における動作情報、古紙再生処理または洗浄処理において、少なくともパルプ懸濁液製造部または抄紙部のいずれかが所定時間後に所定の動作状態となるであろうことを予告する動作予告情報、古紙再生処理または洗浄処理を行った後所定期間経過した際、パルプ懸濁液製造部及び抄紙部を洗浄処理するよう促す洗浄処理推奨情報、パルプ懸濁液製造部または抄紙部の少なくともいずれかにおいて検出されたアラーム情報、古紙再生処理装置で用いる消耗品の残量に関するメンテナンス情報の少なくともいずれかを含む運転状態情報を、端末機器へ送信する送信部を設けたことを特徴とする古紙再生処理管理システム。
【請求項8】
古紙を離解処理しパルプ懸濁液を製造するパルプ懸濁液製造部、前記パルプ懸濁液を抄紙し、再生紙を製造する抄紙部、前記パルプ懸濁液製造部及び前記抄紙部の動作を制御する制御部を設けてなる古紙再生処理装置と、前記古紙再生処理装置に通信回線を通じて接続可能な端末機器とを備え、
前記端末機器は、前記古紙再生処理装置に与える制御指令を送信する送信部を設け、
前記古紙再生処理装置の前記制御部は、前記端末機器から送信された制御指令を受信する受信部を備えるとともに、
受信した制御指令を実行することを特徴とする古紙再生処理管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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