説明

古紙処理装置

【課題】紙詰りや給紙切れ等を原因とする再生処理運転の中断を無くして再生処理運転の稼動効率を向上させることができる古紙処理装置を提供する。
【解決手段】再生原料を離解して再生パルプを調製するパルパー14と、再生原料として古紙もしくは古紙の裁断紙片を貯留してパルパー14へ再生原料を供給する複数の原料貯溜部をなす定型用紙タンク11、12と、各部の運転を制御する制御部7を備える古紙処理装置において、各定型用紙タンク11、12を切替可能に設け、制御部7は、一つの定型用紙タンク11または12が供給不能となった場合に、他の定型用紙タンク12または11に切替えて運転を継続する運転切替機能部722を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙を離解させた再生パルプから紙を製造する技術に関し、古紙の発生場所であるオフィス等に設置して紙を再生することができる小型の古紙処理装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、わが国においては、一度使用した古紙、例えば代表的なものとしては古新聞紙を回収して紙を再生する技術ならびに社会システムが確立している。
一般的な製紙工場で行なっている製紙方法は、パルプ工程、抄紙工程、仕上工程からなり、古紙を原料として使用する場合には古紙パルプ工程が加わる。
【0003】
パルプ工程では、木材から繊維を取り出すパルプ化の一つの方法である化学的方法により、蒸解、洗浄、漂白、精選等の工程を経ることで、木材チップからパルプを生成する。
古紙パルプ工程では、原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や薬品を利用して紙繊維以外の異物である金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インク(染料系、顔料系)、コピートナーなどを分離、除去し、漂白処理、脱水、乾燥して古紙パルプを得る。
【0004】
抄紙工程では、抄紙機のワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、コーターパートを経て製品の紙とする。ワイヤーパートでは調製(再生)されたパルプを抄紙用の網(ワイヤー)に乗せて脱水して紙を抄き、プレスパートではワイヤーパートから出た水分を多く含んだ湿紙の水分を除去する。ドライヤーパートでは蒸気で加熱されたドライヤーに紙を通して乾燥させ、カレンダーパートではロール間に紙を通して表面の凹凸を平滑化し、コーターパートでは原紙に塗料を塗工する。
【0005】
仕上工程では、スーパーカレンダーパートではコーターパートで塗工した紙面のミクロの凹凸を平滑化して光沢を出し、カッターおよびワインダーパートでは所定の製品寸法にカットし、あるいはロールに巻き取る。
【0006】
ところで、古紙から再生紙を製紙する場合には以下の問題がある。紙の消費により古紙が発生するオフィス等の消費場所と古紙から紙を再生する製紙工場とは離れており、古紙の運搬にコストとエネルギーを要する。また、古紙の持ち出しにより用紙に記載された機密情報等が外部へ漏洩するおそれがある。このため、シュレッダーで用紙を細かく裁断処理することが行なわれているが、細かく裁断したシュレッダーダストは繊維が短くなり過ぎるために、再生が困難である。
【0007】
特許文献1には、細断処理機構付ホッパー装置が記載されている。これは、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと、再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含む文書細断屑用古紙再生装置において用いられるものであり、細断未処理文書を投入するための第一投入口と、投入された細断未処理文書を細断して文書細断屑とするための文書細断処理機構と、文書細断屑を排出させるための排出口とを備えるものである。
【0008】
特許文献2には、古紙処理装置が記載されている。これは、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、パルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、パルプ製造部および抄紙部を駆動制御する制御部とを備えるものであり、パルプ製造部は、古紙を攪拌破砕して離解する離解部と、離解部で離解された古紙を叩解する叩解部とからなり、叩解部の叩解機は、微小な叩解隙間をもって対向配置されて、相対的に回転する叩解部材を備え、この叩解部材の対向面同士が協働して叩解作用面を形成し、叩解隙間を通過する古紙が叩解作用面により加圧叩解され、かつインキ類が磨砕微細化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−133559号公報
【特許文献2】特開2007−23450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献においては装置を小型化することが提案されている。ところで、従来の構成において古紙を紙葉状のままに供給する際には紙詰りや給紙切れ等のトラブルが生じることがあり、このトラブルを解消するためには装置を停止して紙詰りの解除や用紙補充等の保守作業を行なう必要がある。この保守作業中は古紙の再生処理運転を停止する必要があり、再生処理運転の稼動効率を低下させる要因であった。
【0011】
本発明は上記した課題を解決するものであり、紙詰りや給紙切れ等の供給不能を原因とする再生処理運転の中断を無くして再生処理運転の稼動効率を向上させることができる古紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の古紙処理装置は、再生原料を離解して再生パルプを調製するパルパーと、再生原料として古紙を貯留して前記パルパーへ再生原料を供給する複数の原料貯留部と、各部の運転を制御する制御部を備える古紙処理装置において、各原料貯留部を切替可能に設け、制御部は、一つの原料貯留部が供給不能となった場合に、他の原料貯留部に切替えて運転を継続する運転切替機能部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の古紙処理装置において、制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて不足量を他の原料貯留部から加算供給することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の古紙処理装置において、制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の古紙処理装置において、制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさず、かつパルパーの運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定し、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が前記最小処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて前記最小処理量に対する不足量を他の原料貯留部から加算供給して前記最小処理量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記最小処理量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の古紙処理装置において、制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて再生原料を他の原料貯留部から加算供給して前記単位処理量の再生原料をパルパーへ供給し、加算供給後の再生原料の供給量が前記単位処理量を満たさず、かつパルパーの運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定し、加算供給後の再生原料の供給量が前記最小処理量を満たさない場合に、エラー処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、複数の原料貯留部を備えることで、原料貯留部からパルパーに用紙を供給する際に、一つの原料貯留部によって単位処理量の再生原料の古紙を供給することが紙詰りや給紙切れ等の供給不能を原因としてできない場合にあっても、不足する分量の古紙を他の原料貯留部によって供給することが可能となり、パルパーへの再生原料の供給を継続することができる。このため、紙詰りや給紙切れ等を原因とする再生処理運転の中断を無くして再生処理運転の稼動効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における古紙処理装置を示す模式図
【図2】同古紙処理装置を示すブロック図
【図3】同古紙処理装置の再生パルプ部を示す断面図
【図4】同古紙処理装置の原料貯留部を示す断面図
【図5】同原料貯留部の分離供給部を示す側面図
【図6】同古紙処理装置の脱墨部を示す模式図
【図7】同古紙処理装置の乾燥ローラを示す模式図
【図8】同古紙処理装置の制御部のブロック図
【図9】同古紙処理装置の制御を示すフローシート図
【図10】同制御における稼動開始条件チェックを示すフローシート図
【図11】同制御における稼動停止条件チェックを示すフローシート図
【図12】同制御における稼動準備動作を示すフローシート図
【図13】同制御における停止準備動作を示すフローシート図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、古紙処理装置は、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5を一体的に備え、古紙6から再生紙を調製(再生)するものであり、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5の運転を制御する制御部7を有している。
(再生パルプ部)
再生パルプ部1は、古紙6を離解して再生パルプを調製(再生)するものであり、再生原料の古紙6を定型のままに貯留する原料貯留部をなす複数の定型用紙タンク11、12と、各定型用紙タンク11、12に設ける給紙ユニット13と、パルパー14を備えている。
【0020】
図3に示すように、パルパー14は、上水、白水等の溶媒中において古紙6を繊維、つまり再生パルプにまで離解させるものであり、古紙6を投入する槽体141と、槽体141の内部で旋回する攪拌翼(図示省略)および攪拌翼を回転駆動するモータ等の駆動手段(図示省略)を有している。槽体141には再生パルプ含有液を次工程へ移送する移送系142と、溶媒を濃度調整液として供給する濃度調整液供給系143が連通している。
【0021】
パルパー14では、再生原料の紙量に応じた量の溶媒、ここでは水を槽体141に投入するとともに、攪拌翼(図示省略)を回転駆動して古紙6の繊維を離解させることで、繊維濃度を調整した再生パルプを調製(再生)し、再生パルプを含む再生パルプ含有液を脱墨パルプ部2へ送る。
【0022】
図4に示すように、給紙ユニット13は、古紙6を積層載置する載置台131と、載置台131から古紙6を一枚ずつ分離する分離供給部132と、古紙6を給紙搬送方向に沿ってパルパー14へ搬送する搬送装置133を備えている。載置台131は昇降駆動装置(図示省略)によって昇降する機構を備えており、積層載置した古紙6の減少に伴って上昇する。
【0023】
図5に示すように、分離供給部132は、載置台131の奥端上方に配置した駆動シャフト134に装着した給紙ローラ135を有し、給紙ローラ135に対向して紙サバキ装置136を設けている。紙サバキ装置136は、スタッド136aに可動バー136bが給紙ローラ135の径方向に向けて出退自在に設けてあり、可動バー136bを給紙ローラ135に向けて付勢する押圧ばね136cを有し、可動バー136bの先端にサバキ部材136dを設けている。定型用紙タンク11、12では給紙ユニット13の給紙ローラ135によって用紙を送り出した給紙回数をカウントすることで、再生原料の古紙6の枚数を計測する計量部を構成し、計測した枚数から給紙量(重量)を計量する。
【0024】
本実施の形態では給紙ユニットとして古紙を一枚ずつ供給する枚葉紙ユニットの構成を開示したが、給紙ユニットの他のものとしては連続紙ユニット、紙片ユニット、屑紙ユニットがある。枚葉紙ユニットは上質紙、再生紙、色紙、更紙、新聞紙、広告チラシ、コート紙等を供給し、サイズ毎に分けて枚葉紙ユニットを設けることも可能である。連続紙ユニットは連続帳票、ロール紙を供給し、紙片ユニットはシュレッダー紙、破断紙片、裁断紙片等をホッパーから供給するもので、ホッパーは装置内に設けても、外部に設けても良い。屑紙ユニットは古紙処理装置から排出するスリットカット後の屑紙を供給するものである。上述した構成において、枚数から給紙量(重量)を計算により計量することが困難である場合には、重量を測定する計量手段を設ける。
(脱墨パルプ部)
脱墨パルプ部2は、貯蔵タンク21と脱墨前希釈タンク22と脱墨部23とを備え、貯蔵タンク21と脱墨前希釈タンク22の間には管路、ポンプ等からなる移送系201を設け、脱墨前希釈タンク22と脱墨部23の間には管路、ポンプ等からなりバルブ202bを有する移送系202aを設け、脱墨前希釈タンク22と後述する抄紙部3のヘッドボックス31の間には管路、ポンプ等からなりバルブ202dを有する移送系202cを設けている。
【0025】
バルブ202b、202dの切替操作により、脱墨前希釈タンク22の再生パルプ含有液は移送系202aを通って脱墨部23へ流れる場合と、移送系202cを通って直接にヘッドボックス31へ流れる場合とを切り替えることが可能である。
【0026】
脱墨部23は、フローテータと呼ばれ、インク、トナー等の異物を繊維から分離するものであり、本実施の形態では図6に示す構成を有する。脱墨部23は前槽231と後槽232を有しており、越流堰を形成する仕切り壁233の上端側の開口において前槽231と後槽232とが連通している。前槽231と後槽232にはそれぞれヒーター234、235を配置し、前槽231には微細気泡の噴出口236および攪拌翼237を配置しており、後槽232には温度センサ238を配置している。
【0027】
前槽231では、界面活性剤が存在する下で、インク、トナー等の異物の粒子を含む再生パルプ含有液を攪拌翼237で攪拌しつつ、再生パルプ含有液中に噴出口236から細かい気泡を吹き込み、疎水性の異物の粒子を界面活性剤の気泡表面に付着させて浮上分離し、親水性の繊維を仕切り壁233の上端側の開口から後槽232へ移送することで脱墨する。この際にヒーター234、235で再生パルプ含有液を所定温度に加熱し、温度センサ238で温度制御を行う。
(抄紙部)
抄紙部3は、脱墨パルプを抄紙して再生紙を調製(再生)するものであり、図1に示すように、ヘッドボックス31、ワイヤー部32、脱水部33、プレス部34、ドライヤー部35からなる。
【0028】
ワイヤー部32は両側のロール321、322の間に掛け渡して展張したメッシュベルト323を有し、メッシュベルト323が無端軌道を形成している。メッシュベルト323にはヘッドボックス31から脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液を均一に噴出させ、水切りして繊維の層を形成する。
【0029】
脱水部33は、複数のローラ331の間に掛け渡したフェルトからなる上下一対の吸水ベルト332からなり、抄いた紙333をメッシュベルト323から吸水ベルト332に転移させ、上下の吸水ベルト332の間に挟んで吸水して脱水する。吸水ベルト332は走行軌道上に設けた上下一対の脱水ローラ334の間において脱水する。
【0030】
プレス部34は、抄いた紙333を吸水ベルト332の間に挟み、上下一対の脱水ローラ341を通して圧搾、脱水する。
ドライヤー部35は、複数のローラ351の間に掛け渡した上下一対の布製の搬送ベルト352の間に抄いた紙333を挟み、複数の乾燥ローラ353に圧接させて抄いた紙333を乾燥させるものであり、搬送ベルト352は布の他、ゴムや樹脂などの材料を用いてもよい。
【0031】
図7に示すように、ドライヤー部35は、内部にヒーターを備えた乾燥ローラ353の周囲に搬送ベルト352を配置し、乾燥ローラ353の表面の温度を測定する温度センサ354を有している。
(仕上げ部)
仕上げ部4はカレンダー部41とカット部42を有しており、カレンダー部41は抄いた紙333を複数のプレスローラ411の間に通し、紙の平坦度を上げ、カット部42で所定のシートサイズにカットして再生紙100が完成する。
(排水処理部)
排水処理部5は、白水タンク51、排水処理部52の各槽体を有し、白水タンク51は抄紙排水系105を通してワイヤー部32から流入する再生パルプを含む排水を貯留し、再度各工程へ供給する。排水処理部52は脱墨排水系106を通して脱墨部23から流入する脱墨廃液を処理するものであり、フィルターに通して繊維、インク、トナーを除去し、薬剤の添加により中性化して公共下水等へ排水可能な水質にまで処理する。白水タンク51には補給水として上水を供給する補給水供給系107が連通している。
(制御部)
図8に示すように、制御部7は、CPU71に設定する機能回路として、以下の機能部を有している。つまり、再生パルプ部1の運転を制御する再生パルプ部制御機能部711と、脱墨パルプ部2の運転を制御する脱墨パルプ部制御機能部712と、抄紙部3の運転を制御する抄紙部制御機能部713と、仕上げ部4の運転を制御する仕上げ部制御機能部714と、排水処理部5の運転を制御する排水処理部制御機能部715と、稼動開始から稼動停止までの運転プロセスを逐次実行する自動運転制御機能部716と、調製(再生)する再生紙の目標枚数を設定する目標枚数設定機能部718と、調製(再生)した再生紙の枚数を数えるカウンター機能部719と、再生パルプ部1と脱墨パルプ部2と抄紙部3において運転終了時に所定の排水動作を行なう排水動作制御機能部720と、所定の洗浄動作を行なう洗浄動作制御機能部721と、各定型用紙タンク11、12の給紙ユニット13の切替を行なう運転切替機能部722と、計量機能部723を備えている。
【0032】
計量機能部723は、給紙ローラ135によって用紙を送り出した給紙回数をカウントして再生原料の古紙6の供給枚数を計測して記憶し、計測した枚数から単位処理量毎の給紙量(重量)を計量する。
【0033】
運転切替機能部722は、各定型用紙タンク11、12の給紙ユニット13を任意選択的に切替るものであり、一つの原料貯留部である定型用紙タンク11の給紙ユニット13が紙詰りや給紙切れ等の供給不能となった場合に、他の原料貯留部である定型用紙タンク12の給紙ユニット13に切替えて運転を継続する。
【0034】
例えば、運転切替機能部722における一つの制御の実施例として、運転切替機能部722は、一つの定型用紙タンク11から再生原料の古紙6を供給中に給紙ユニット13で紙詰まりが発生し、計量機能部723で計量する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の定型用紙タンク12の給紙ユニット13に切替えて不足量を他の定型用紙タンク12から加算供給する。
【0035】
また、運転切替機能部722における他の制御の実施例として、運転切替機能部722は、一つの定型用紙タンク11から再生原料の古紙6を供給中に給紙ユニット13で紙詰まりが発生し、計量機能部723で計量する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、既に計量した分量の再生原料の古紙6をパルパー14へ供給するとともに、供給した分量に見合ってパルパー14の運転パラメータ、例えば離解時間、水量等を変更設定する。
【0036】
また、運転切替機能部722における他の制御の実施例として、運転切替機能部722は、一つの定型用紙タンク11から再生原料の古紙6を供給中に給紙ユニット13で紙詰まりが発生し、判断条件として計量機能部723で計量する再生原料の供給量が単位処理量を満たさず、パルパー14の運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合には、既に計量した分量の再生原料の古紙6をパルパー14へ供給するとともに、供給した分量に見合ってパルパー14の運転パラメータ、例えば離解時間、水量等を変更設定する。判断条件として、計量機能部723で計量する再生原料の供給量がパルパー14の運転に最低限必要な最小処理量を満たさない場合に、他の定型用紙タンク12の給紙ユニット13に切替えて最小処理量に対する不足量を定型用紙タンク12から加算供給して最小処理量の再生原料をパルパー14へ供給するとともに、最小処理量に見合ってパルパー14の運転パラメータを変更設定する。
【0037】
また、運転切替機能部722における他の制御の実施例として、運転切替機能部722は、一つの定型用紙タンク11から再生原料の古紙6を供給し、判断条件として計量機能部723で計量する再生原料の供給量が単位処理量を満たす場合には、計量した単位処理量の再生原料をパルパー14へ供給し、一つの定型用紙タンク11から再生原料の古紙6を供給中に給紙ユニット13で紙詰まりが発生し、判断条件として計量機能部723で計量する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の定型用紙タンク12の給紙ユニット13に切替えて再生原料を他の給紙ユニット13から加算供給し、判断条件として計量機能部723で計量する加算供給後の再生原料の供給量が単位処理量を満たす場合には、計量した単位処理量の再生原料をパルパー14へ供給し、判断条件として計量機能部723で計量する加算供給後の再生原料の供給量が単位処理量を満たさず、判断条件としてパルパー14の運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合には、既に計量した分量の再生原料の古紙6をパルパー14へ供給するとともに、供給した分量に見合ってパルパー14の運転パラメータ、例えば離解時間、水量等を変更設定する。判断条件として、計量機能部723で計量する加算供給後の再生原料の供給量がパルパー14の運転に最低限必要な最小処理量を満たさない場合に、エラー処理する。
【0038】
エラー処理としては、装置を停止し、既に計量した分量の古紙を取り除く。また、他のエラー処理としては、計量した分量の古紙を装置内に設けたゴミ箱へ自動的に排除して貯留する構成とすることも可能である。さらには、計量した分量の古紙をパルパー14に投入して離解後に抄紙せずに排水処理部で処理することも可能であり、この場合には水と離解された紙繊維分とを分離して文字認識が不可能な状態となれば良い。その際に生じた紙繊維分はそのままゴミとして廃棄しても良いが、再度抄紙用の紙料として再利用することが好ましい。
【0039】
また、再生原料の供給量が単位処理量に満たない場合で既に計量した分量の古紙をパルパー14へ供給して離解する場合には、離解して出来たパルプ液を抄紙用として以降の処理に供するか、ゴミとして廃棄するかをユーザーが選択できる構成とすることも可能である。
【0040】
次に、制御部7は、自動運転制御機能部716へ稼動開始と稼動停止の少なくとも何れか一方のタイミングを指示信号として入力するタイミング入力部73と、表示部74を備えている。
【0041】
タイミング入力部73は本実施の形態では制御部7の内部に配設する内部時計からなり、内部時計が予定時刻に達したときに指示信号を自動運転制御機能部716へ入力するものである。しかしながら、タイミング入力部73は制御部7の外部に配設する外部時計が予定時刻に達したときに発する指示信号または外部機器から発する指示信号を入力するための入力ポートとすることも可能である。
【0042】
制御部7は、再生パルプ部1と脱墨パルプ部2と抄紙部3と仕上げ部4と排水処理部5における上述した運転を、それぞれ再生パルプ部制御機能部711、脱墨パルプ部制御機能部712、抄紙部制御機能部713、仕上げ部制御機能部714、排水処理部制御機能部715、運転切替機能部722で制御する。
(運転制御)
制御部7による自動運転の開始から停止までの制御は、図9に示すフローシートに沿って行う。つまり、停止状態900から稼動開始条件チェック910、稼動準備動作920、再生紙作製930、稼動停止条件チェック940、停止準備動作950の各工程を経て装置停止960となる。
【0043】
稼動開始条件チェック910では、図10に示すように、稼動開始信号の有無の判断911を行う。稼動開始信号は、タイミング入力部73から自動運転制御機能部716へ入力する指示信号である。
【0044】
稼動準備動作920では、図12に示すように、タンクへの注水921を行なう。そして、イニシャル動作時にポンプや配管などの残水を清水で洗浄排出することで、品質の低下を抑える。残りの部位へは必要に応じて所定のタイミングで注水を行なう。つまり、パルパー14および脱墨前希釈タンク22へ必要量の注水を行う。
【0045】
次に、各ヒータ234、235に通電して加熱操作922を行なう。
次に、温度センサ238により測定する脱墨部23の水温および、温度センサ354で測定する乾燥ローラ353の表面温度が設定温度に達したか否かの判断923を行なう。
【0046】
再生紙作製930では、再生パルプ部制御機能部711、脱墨パルプ部制御機能部712、抄紙部制御機能部713、仕上げ部制御機能部714、排水処理部制御機能部715で、それぞれ再生パルプ部1と脱墨パルプ部2と抄紙部3と仕上げ部4と排水処理部5を制御して上述した運転を行う。
【0047】
稼動停止条件チェック940では、図11に示すように、終了時刻に達したか否かの判断941を行なう。この終了時刻は、タイミング入力部73から自動運転制御機能部716へ入力する指示信号で指示するものであり、本実施の形態では内部時計が予定時刻に達したときに、稼動開始から予定した運転時間が経過したときに入力する指示信号であり、終了時刻である場合は停止準備動作へ移る。
【0048】
終了時刻でない場合は、設定分の処理が完了したか否かの判断942を行なう。制御部7は、仕上げ部4に設けるセンサ(図示省略)によって完成した再生紙を検知することにより、調製(再生)した再生紙の目標枚数をカウンター機能部719においてカウントし、カウンター機能部719のカウント値がユーザが目標枚数設定機能部718に設定した目標枚数になったときに運転を停止する。よって、過剰な運転を抑制し、ユーザが必要とする最小限の稼動だけを実現する。設定分の処理が完了した場合は停止準備動作へ移る。
【0049】
停止準備動作950では、図13に示すように、各ヒータ234、235への通電を停止951する操作を行い、温度センサ354で測定する乾燥ローラ353の表面温度が設定温度以下になったか否かの判断952を行い、繊維と水の処理953を行う。
【0050】
繊維と水の処理953では、排水動作制御機能部720により運転制御し、抄紙部3に残った繊維は最終位置まで送って再利用し、他の繊維は廃棄のための処理を行い、排水動作として水は異物を取り除いて薬剤で中性に戻して排出する。
【0051】
次に、駆動の停止954を行い、メンテナンス動作として行なう各部の清掃955では、洗浄動作制御機能部721により運転制御し、槽内やベルトに付着している繊維を水で自動的に洗い流す洗浄動作を行ない、さらに防腐剤を含む洗浄水で洗浄動作を行なう。防腐剤を含む洗浄水による洗浄動作はユーザが任意に設定するようにすることも可能である。次に、発生したゴミの処理956では、繊維、インクともに水分を除去して固形化させる。
【符号の説明】
【0052】
1 再生パルプ部
2 脱墨パルプ部
3 抄紙部
4 仕上げ部
5 排水処理部
6 古紙
7 制御部
11、12 定型用紙タンク
13 給紙ユニット
14 パルパー
21 貯蔵タンク
22 脱墨前希釈タンク
23 脱墨部
31 ヘッドボックス
32 ワイヤー部
33 脱水部
34 プレス部
35 ドライヤー部
41 カレンダー部
42 カット部
51 白水タンク
52 排水処理部
71 CPU
73 タイミング入力部
74 表示部
100 再生紙
104 希釈水供給系
105 抄紙排水系
106 脱墨排水系
107 補給水供給系
131 載置台
132 分離供給部
133 搬送装置
134 駆動シャフト
135 給紙ローラ
136 紙サバキ装置
136a スタッド
136b 可動バー
136c 押圧ばね
136d サバキ部材
141 槽体
142 移送系
143 濃度調整液供給系
201 移送系
202a、202c 移送系
202b、202d バルブ
231 前槽
232 後槽
233 仕切り壁
234、235 ヒーター
236 噴出口
237 攪拌翼
238 温度センサ
321、322 ロール
323 メッシュベルト
331 ローラ
332 吸水ベルト
333 抄いた紙
334 脱水ローラ
341 ローラ
351 ローラ
352 搬送ベルト
353 乾燥ローラ
354 温度センサ
411 プレスローラ
711 再生パルプ部制御機能部
712 脱墨パルプ部制御機能部
713 抄紙部制御機能部
714 仕上げ部制御機能部
715 排水処理部制御機能部
716 自動運転制御機能部
718 目標枚数設定機能部
719 カウンター機能部
720 排水動作制御機能部
721 洗浄動作制御機能部
722 運転切替機能部
723 計量機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生原料を離解して再生パルプを調製するパルパーと、再生原料として古紙を貯留して前記パルパーへ再生原料を供給する複数の原料貯留部と、各部の運転を制御する制御部を備える古紙処理装置において、各原料貯留部を切替可能に設け、制御部は、一つの原料貯留部が供給不能となった場合に、他の原料貯留部に切替えて運転を継続する運転切替機能部を備えることを特徴とする古紙処理装置。
【請求項2】
制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて不足量を他の原料貯留部から加算供給することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項3】
制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項4】
制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさず、かつパルパーの運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定し、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が前記最小処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて前記最小処理量に対する不足量を他の原料貯留部から加算供給して前記最小処理量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記最小処理量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項5】
制御部は、原料貯留部からパルパーへ供給する再生原料の重量もしくは枚数を計測して単位処理量毎の供給量を計量する計量機能部を備え、制御部の運転切替機能部は、一つの原料貯留部から供給する再生原料の供給量が単位処理量を満たさない場合に、他の原料貯留部に切替えて再生原料を他の原料貯留部から加算供給して前記単位処理量の再生原料をパルパーへ供給し、加算供給後の再生原料の供給量が前記単位処理量を満たさず、かつパルパーの運転に最低限必要な最小処理量を満たす場合に、既に計量した分量の再生原料をパルパーへ供給するとともに、前記分量に見合ってパルパーの運転パラメータを変更設定し、加算供給後の再生原料の供給量が前記最小処理量を満たさない場合に、エラー処理することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−157657(P2011−157657A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20803(P2010−20803)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】