説明

古紙処理装置

【課題】漏水を検知することで、漏水が発生した際に的確に処置を行なうことができる古紙処理装置を提供する。
【解決手段】古紙を再生原料として再生紙を調製する古紙処理装置において、古紙処理装置の全体を載置し、古紙処理装置から漏出する漏水を受け止める受け皿71と、受け皿71に設けた排水口72と、排水口72を通して外部へ流れ出る漏水を検知する漏水センサ73を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙を離解させた再生パルプから紙を製造する技術に関し、古紙の発生場所であるオフィス等に設置して紙を再生することができる小型の古紙処理装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、わが国においては、一度使用した古紙、例えば代表的なものとしては古新聞紙を回収して紙を再生する技術ならびに社会システムが確立している。
一般的な製紙工場で行なっている製紙方法は、パルプ工程、抄紙工程、仕上工程からなり、古紙を原料として使用する場合には古紙パルプ工程が加わる。
【0003】
パルプ工程では、木材から繊維を取り出すパルプ化の一つの方法である化学的方法により、蒸解、洗浄、漂白、精選等の工程を経ることで、木材チップからパルプを生成する。
古紙パルプ工程では、原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や薬品を利用して紙繊維以外の異物である金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インク(染料系、顔料系)、コピートナーなどを分離、除去し、漂白処理、脱水、乾燥して古紙パルプを得る。
【0004】
抄紙工程では、抄紙機のワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、コーターパートを経て製品の紙とする。ワイヤーパートでは調製(再生)されたパルプを抄紙用の網(ワイヤー)に乗せて脱水して紙を抄き、プレスパートではワイヤーパートから出た水分を多く含んだ湿紙の水分を除去する。ドライヤーパートでは蒸気で加熱されたドライヤーに紙を通して乾燥させ、カレンダーパートではロール間に紙を通して表面の凹凸を平滑化し、コーターパートでは原紙に塗料を塗工する。
【0005】
仕上工程では、スーパーカレンダーパートではコーターパートで塗工した紙面のミクロの凹凸を平滑化して光沢を出し、カッターおよびワインダーパートでは所定の製品寸法にカットし、あるいはロールに巻き取る。
【0006】
特許文献1には、古紙再生方法および装置として、文書裁断機によって裁断した古紙を離解して再生パルプとする工程と、再生パルプを貯蔵する工程と、再生パルプを噴射装置に充填して繊維シートに吹きかける工程と、繊維シートに吹きかけた再生パルプを抄紙する工程とからなる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−317290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、装置を小型化してオフィス等に設置するうえでは以下の問題がある。すなわち、多量の用水を使用して古紙の再生処理を行なう古紙処理装置においては、水漏れによる損害を最小限度に抑制する施策が必要不可欠である。また、メンテナンス時の洗浄作業などで、誤操作等により装置内に水漏れが発生することも考えられる。さらに、古紙処理装置においては、パルプ遷移や薬剤などを取り扱うので、水漏れ時には排出物質の法定基準値を超える溶液が流れ出してしまう可能性がある。
【0009】
本発明は上記した課題を解決するものであり、漏水を検知することで、漏水が発生した際に的確に処置を行なうことができる古紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の古紙処理装置は、古紙を再生原料として再生紙を調製する古紙処理装置において、古紙処理装置の全体を載置し、古紙処理装置から漏出する漏水を受け止める受け皿と、受け皿に設けた排水口と、排水口を通して外部へ流れ出る前記漏水を検知する漏水センサを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の古紙処理装置において、漏水センサの上流側に位置して漏水を吸収し、かつ吸収可能容量を超える漏水が通過する漏水吸収部材を備え、漏水センサは漏水吸収部材を通過する漏水を検知することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の古紙処理装置において、漏水吸収部材は、古紙処理装置の底面全体に対応する領域に配置することを特徴とする。
また、本発明の古紙処理装置において、受け皿は、底面が排水口へ向けて下り勾配に傾斜することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の古紙処理装置において、排水口の上流側に位置して漏水を濾過する濾過装置を備えることを特徴とする。
また、本発明の古紙処理装置において、濾過装置は、古紙処理装置の底面全体に対応する領域に配置する濾材からなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の古紙処理装置において、濾過装置は、目の粗い部材からなる上層と、目の細かい部材からなる下層との少なくとも2層を有する濾材からなることを特徴とする。
また、本発明の古紙処理装置において、漏水センサの漏水検知出力を受けて、古紙処理装置へ用水を供給する用水供給系を遮断する電磁弁を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の古紙処理装置において、漏水センサの漏水検知出力を受けて、警報を発する警報装置を有することを特徴とする。
また、本発明の古紙処理装置において、古紙処理装置の全体を覆って、かつ受け皿との間をシールして配置する本体カバーを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、古紙処理装置内で水漏れが発生した場合においても、漏水は受け皿を介して排水口から所定の場所(排水溝)に排水することが可能である。また、排水口を通して外部へ流れ出る漏水を漏水センサで検知することにより、漏水を早期に発見して的確な処置を施すことが可能となる。
【0017】
漏水吸収部材を通過する漏水を漏水センサで検知することにより、一時的で微量な漏水と突発的な多量の漏水とを切り分けて検知することが可能であり、継続的で微量な漏水の検知を遅延させることができる。
【0018】
すなわち、漏水センサで漏水を検知するのに際して、漏水吸収部材がノイズフィルターとして作用し、一時的で微量な漏水である場合には漏水吸収部材が漏水を吸収することで漏水が漏水センサに達することがなく、突発的で多量の漏水である場合には漏水吸収部材の吸収可能容量を超える漏水が漏水吸収部材を通過して漏水センサに達することで、一時的で微量な漏水と突発的な多量の漏水とを切り分けて検知することが可能である。
【0019】
また、継続的で微量な漏水である場合には、漏水吸収部材の吸収可能容量を超えるまで漏水の検知を遅延させることができ、漏水後も漏水吸収部材の吸収可能容量の範囲内において一定時間にわたって安全に運転を継続させることができる。
【0020】
濾過装置を備えることで、排出物質に係る法定基準を満たした排水が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における古紙処理装置を示す模式図
【図2】同古紙処理装置の全体を示す斜視図
【図3】同古紙処理装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A矢視断面図
【図4】本発明の他の実施の形態における古紙処理装置の全体を示す斜視図
【図5】同古紙処理装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、古紙処理装置は、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5を一体的に備えて古紙6から再生紙を調製(再生)するものであり、装置の下部に古紙処理装置の全体を載置する水受け部7を有し、各部を制御する制御部8を備えている。
(再生パルプ部)
再生パルプ部1は、古紙6を離解して再生パルプを調製(再生)するものであり、再生原料の古紙6を定型のままに貯留する原料貯留部をなす定型用紙タンク11と、再生原料の古紙6を裁断処理して再生に適した所定の大きさに紙片化した裁断紙片を一時的に貯留する原料貯留部をなすシュレッダータンク12と、繊維量調整部13と、パルパー14と、繊維濃度調整部15を備えている。
【0023】
繊維量調整部13は、定型用紙タンク11およびシュレッダータンク12の下方に配置してあり、投入された古紙6の重量を計量し、計量に係る設定重量を変更することでパルパー14へ投入する古紙6の量、すなわち繊維量を調整する。
【0024】
パルパー14は、上水、白水等の溶媒中において古紙6を繊維、つまり再生パルプにまで離解させるものであり、古紙6を投入する槽体には排水処理部5から溶媒を供給する溶媒供給系101が連通している。
【0025】
パルパー14は繊維濃度調整部15に連通し、繊維濃度調整部15には再生パルプ含有液を脱墨パルプ部2へ移送する移送系102と、排水処理部5から溶媒を濃度調整液として供給する濃度調整液供給系103が連通している。
【0026】
パルパー14および繊維濃度調整部15では、再生原料の紙量に応じた量の溶媒、ここでは水を槽体に投入し、攪拌翼を回転駆動して古紙6の繊維を離解させ再生パルプを調製(再生)し、再生パルプを含む再生パルプ含有液を繊維濃度調整部15を通して脱墨パルプ部2へ送る。
(脱墨パルプ部)
脱墨パルプ部2は、貯蔵タンク21と脱墨前希釈タンク22と脱墨部23とを備え、貯蔵タンク21と脱墨前希釈タンク22の間には管路、ポンプ等からなる移送系201を設け、脱墨前希釈タンク22と脱墨部23の間には管路、ポンプ等からなりバルブ202bを有する移送系202aを設け、脱墨前希釈タンク22と後述する抄紙部3のヘッドボックス31の間には管路、ポンプ等からなりバルブ202dを有する移送系202cを設けている。
【0027】
バルブ202b、202dの切替操作により、脱墨前希釈タンク22の再生パルプ含有液は移送系202aを通って脱墨部23へ流れる場合と、移送系202cを通って直接にヘッドボックス31へ流れる場合とを切り替えることが可能である。
【0028】
脱墨前希釈タンク22の再生パルプ含有液が移送系202aを通って脱墨部23へ流れる場合に、貯蔵タンク21は、再生パルプをパルパー14から脱墨部23へ移送する移送経路の途中にあり、移送経路の上流側にある繊維濃度調整部15から送られてきた再生パルプ含有液を貯留しつつ、再生パルプ含有液を下流側の脱墨前希釈タンク22へ連続供給し、脱墨部23を介して抄紙部3へ再生パルプ含有液を連続供給する。
【0029】
また、脱墨前希釈タンク22の再生パルプ含有液が移送系202cを通って直接にヘッドボックス31へ流れる場合に、貯蔵タンク21は、再生パルプをパルパー14から抄紙部3のヘッドボックス31へ移送する移送経路の途中にあり、移送経路の上流側にある繊維濃度調整部15から送られてきた再生パルプ含有液を貯留しつつ、再生パルプ含有液を下流側のヘッドボックス31へ連続供給する。
【0030】
脱墨部23は、フローテータと呼ばれ、インク、トナー等の異物を繊維から分離するものであり、界面活性剤が存在する下で、インク、トナー等の異物の粒子を含む再生パルプ含有液を攪拌翼で攪拌しつつ、再生パルプ含有液中に細かい気泡を吹き込み、疎水性の異物の粒子を界面活性剤の気泡表面に付着させて浮上分離して脱墨する。
(抄紙部)
抄紙部3は、脱墨パルプを抄紙して再生紙を調製(再生)するものであり、ヘッドボックス31、ワイヤー部32、脱水部33、プレス部34、ドライヤー部35からなる。
【0031】
ワイヤー部32は両側のロール321、322の間に掛け渡して展張したメッシュベルト323を有し、メッシュベルト323が無端軌道を形成している。メッシュベルト323にはヘッドボックス31から脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液を均一に噴出させ、水切りして繊維の層を形成する。
【0032】
脱水部33は、複数のローラ331の間に掛け渡したフェルトからなる上下一対の吸水ベルト332からなり、抄いた紙333をメッシュベルト323から吸水ベルト332に転移させ、上下の吸水ベルト332の間に挟んで吸水して脱水する。吸水ベルト332は走行軌道上に設けた上下一対の脱水ローラ334の間において脱水する。
【0033】
プレス部34は、抄いた紙333を吸水ベルト332の間に挟み、上下一対の脱水ローラ341を通して圧搾、脱水する。
ドライヤー部35は、複数のローラ351の間に掛け渡した上下一対の布製の搬送ベルト352の間に抄いた紙333を挟み、複数の乾燥ローラ353に圧接させて抄いた紙333を乾燥させるものである。
(仕上げ部)
仕上げ部4はカレンダー部41とカット部42を有しており、カレンダー部41は抄いた紙333を複数のプレスローラ411の間に通し、紙の平坦度を上げ、カット部42で所定のシートサイズにカットして再生紙100が完成する。
(排水処理部)
排水処理部5は、白水タンク51、排水処理部52の各槽体を有し、白水タンク51は抄紙排水系105を通してワイヤー部32から流入する再生パルプを含む排水を貯留し、再度各工程へ供給する。排水処理部52は脱墨排水系106を通して脱墨部23から流入する脱墨廃液を処理するものであり、フィルターに通して繊維、インク、トナーを除去し、薬剤の添加により中性化して公共下水等へ排水可能な水質にまで処理する。白水タンク51には補給水として上水を供給する補給水供給系107が連通しており、補給水供給系107には電磁弁108を介装している。
(水受け部)
水受け部7は、図2および図3に示すように、古紙処理装置から漏出する漏水を受け止める受け皿71と、受け皿71に設けた排水口72と、排水口72を通して外部へ流れ出る漏水を検知する漏水センサ73を備えており、漏水センサ73の上流側には漏水吸収部材74を配置し、排水口72の上流側で漏水吸収部材74の下流側には濾過装置75を配置している。
【0034】
受け皿71は、古紙処理装置の底部全体を覆っており、排水口72は下水等の排水系(図示省略)に連通している。受け皿71の上には本体カバー76が古紙処理装置の全体を覆って配置してあり、受け皿71と本体カバー76との間はシールを施している。
【0035】
本実施の形態では、受け皿71は底面が平坦な形状を有しているが、図4および図5に示すように、受け皿71の底面は排水口72へ向けて下り勾配に傾斜する形状とすることも可能である。
【0036】
漏水センサ73にはリード線式センサ、電極式ポイントセンサ等を用いることができ、本実施の形態では複数の漏水センサ73を受け皿71に配置しているが、漏水センサ73は1台とすることも可能である。すなわち、リード線式センサはリード線のどの部分でも漏水を確実に検知することができるので、排水口72の周囲を囲んでリード線式センサを配置することにより、漏水が受け皿71の何れの位置から排水口72へ流れ込んでも漏水センサ73で検知することが可能であり、広範囲の領域を一つの漏水センサ73で監視することが可能である。
【0037】
漏水吸収部材74はスポンジ等からなり、漏水センサの上流側に位置して漏水を吸収し、かつ吸収可能容量を超える漏水が通過するものであり、漏水吸収部材74を通過した漏水を漏水センサ73が検知する。本実施の形態では、確実性を考慮して漏水吸収部材74は古紙処理装置の底面全体に対応する領域、すなわち受け皿71の全領域に配置して全漏水に対応させている。しかしながら、特に水漏れが予想される領域にだけに配置することも可能であり、排水口72の周囲にのみ配置することも可能である。
【0038】
濾過装置75は、網、スポンジ等の濾材からなり、漏水吸収部材74の下流側に位置して漏水を濾過し、その濾過水が排水口72へ流入する。本実施の形態において、濾過装置75の濾材は、目の粗い部材からなる上層と、目の細かい部材からなる下層との少なくとも2層を有するものであり、網、スポンジ等を組み合わせて多層に配置することも可能であり、スポンジの構造に目の粗い層と目の細かい層を設けることも可能である。また、本実施の形態において、濾過装置75の濾材は、例えば脱墨部23から多量のパルプ繊維が流出した場合に濾過装置75の許容能力を超えてしまうことがないように、古紙処理装置の底面全体に対応する領域、すなわち受け皿71の全領域に配置して全漏水に対応させている。しかしながら、排水口72の周囲にのみ配置することも可能である。
【0039】
漏水吸収部材74および濾過装置75は、スライド方式に装着することも可能であり、複数の部位に分割して装着することも可能である。
(制御部)
制御部8は、再生パルプ部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5の各部の運転を制御するものであり、漏水センサ73の漏水検知出力を受けて電磁弁108を閉動させることで、古紙処理装置へ用水を供給する用水供給系である補給水供給系107を遮断する。また、制御部8は、警報装置81を備えており、漏水センサ73の漏水検知出力を受けて警報装置81により警報を発する。
【0040】
上記した構成により、古紙処理装置の何れかの箇所において漏水が発生した場合には、漏水吸収部材74が漏水を吸収し、漏水吸収部材74の吸収可能容量を超える漏水が漏水吸収部材74を通過して濾過装置75に達する。
【0041】
例えば脱墨部23から多量のパルプ繊維等を含む漏水が発生した場合には、濾過装置75の濾材は、目の粗い部材からなる上層においてパルプ繊維等を補足することで目詰まりを防止しつつ、目の細かい部材からなる下層において上層を通過したパルプ繊維等を補足することでパルプ繊維等が流出することを確実に防止し、排出物質に係る法定基準を満たした排水が可能となる。
【0042】
漏水が発生しても、本体カバー76が古紙処理装置の全体を覆っており、受け皿71と本体カバー76との間にはシールを施しているので、漏水は外部に溢れることなく、確実に排水口72から流れ出る。また、受け皿71の底面が排水口72へ向けて下り勾配に傾斜する形状である場合には、速やかなる排水を実現でき、受け皿71に達する漏水が少量であっても、漏水が速やかに流れて漏水センサ73に達することで、漏水の検知を確実なものとする。
【0043】
濾過装置75を通過した濾過水は水受け部7の受け皿71の上を流れ、排水口72から所定の場所(排水溝)に排水する。この受け皿71の上を流れて排水口72から外部へ流れ出る漏水を漏水センサ73で検知することにより、漏水を早期に発見して的確な処置を施すことが可能となる。
【0044】
例えば、漏水センサ73の漏水検知出力を受けた制御部8は電磁弁108を閉動させて補給水供給系107を遮断し、漏水による大事故の発生を未然に防止する。さらに、制御部8は、漏水センサ73の漏水検知出力を受けて警報装置81により警報を発し、管理者に異常を知らせる。
【0045】
そして、漏水吸収部材74を通過する漏水を漏水センサ73で検知することにより、一時的で微量な漏水と突発的な多量の漏水とを切り分けて検知することが可能であり、漏水センサ73で漏水を検知するのに際して、漏水吸収部材74がノイズフィルターとして作用する。
【0046】
すなわち、一時的で微量な漏水である場合には漏水吸収部材74が漏水を吸収することで漏水が漏水センサ73に達することがなく、不必要に古紙処理装置を停止させることなく安定した運転を実現できる。また、突発的で多量の漏水である場合には漏水吸収部材74の吸収可能容量を超える漏水が漏水吸収部材74を通過して漏水センサ73に達することで、漏水を検知することができる。したがって、一時的で微量な漏水と突発的な多量の漏水とを切り分けて検知することが可能である。
【0047】
さらに、漏水吸収部材74は継続的で微量な漏水の検知を遅延させることができる。すなわち、漏水が運転を阻害しない程度であって継続的で微量である場合には、漏水吸収部材74の吸収可能容量を超えるまで漏水の検知を遅延させることができ、漏水後も漏水吸収部材74の吸収可能容量の範囲内において一定時間にわたって安全に運転を継続させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 再生パルプ部
2 脱墨パルプ部
3 抄紙部
4 仕上げ部
5 排水処理部
6 古紙
7 水受け部
8 制御部
11 定型用紙タンク
12 シュレッダータンク
13 繊維量調整部
14 パルパー
15 繊維濃度調整部
21 貯蔵タンク
22 脱墨前希釈タンク
23 脱墨部
31 ヘッドボックス
32 ワイヤー部
33 脱水部
34 プレス部
35 ドライヤー部
41 カレンダー部
42 カット部
43 余剰紙片搬送部
51 白水タンク
52 排水処理部
71 受け皿
72 排水口
73 漏水センサ
74 漏水吸収部材
75 濾過装置
76 本体カバー
81 警報装置
100 再生紙
101 溶媒供給系
102 移送系
103 濃度調整液供給系
104 希釈水供給系
105 抄紙排水系
106 脱墨排水系
107 補給水供給系
108 電磁弁
201 移送系
202a、202c 移送系
202b、202d バルブ
321、322 ロール
323 メッシュベルト
331 ローラ
332 吸水ベルト
333 抄いた紙
334 脱水ローラ
341 ローラ
351 ローラ
352 搬送ベルト
353 乾燥ローラ
354 温度センサ
411 プレスローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を再生原料として再生紙を調製する古紙処理装置において、古紙処理装置の全体を載置し、古紙処理装置から漏出する漏水を受け止める受け皿と、受け皿に設けた排水口と、排水口を通して外部へ流れ出る前記漏水を検知する漏水センサを備えることを特徴とする古紙処理装置。
【請求項2】
漏水センサの上流側に位置して漏水を吸収し、かつ吸収可能容量を超える漏水が通過する漏水吸収部材を備え、漏水センサは漏水吸収部材を通過する漏水を検知することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項3】
漏水吸収部材は、古紙処理装置の底面全体に対応する領域に配置することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項4】
受け皿は、底面が排水口へ向けて下り勾配に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項5】
排水口の上流側に位置して漏水を濾過する濾過装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項6】
濾過装置は、古紙処理装置の底面全体に対応する領域に配置する濾材からなることを特徴とする請求項5に記載の古紙処理装置。
【請求項7】
濾過装置は、目の粗い部材からなる上層と、目の細かい部材からなる下層との少なくとも2層を有する濾材からなることを特徴とする請求項5または6に記載の古紙処理装置。
【請求項8】
漏水センサの漏水検知出力を受けて、古紙処理装置へ用水を供給する用水供給系を遮断する電磁弁を有することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項9】
漏水センサの漏水検知出力を受けて、警報を発する警報装置を有することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項10】
古紙処理装置の全体を覆って、かつ受け皿との間をシールして配置する本体カバーを有することを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−174210(P2011−174210A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41152(P2010−41152)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】