説明

可動ホーム柵装置の基礎構造、及び可動ホーム柵装置の基礎工事方法

【課題】可動ホーム柵装置の基礎構造は、プラットホームの全体を貫通した貫通孔を形成しているので、プラットホームの補強材である鉄筋の切断によるプラットホームの強度が低下する等の課題があった。
【解決手段】この発明に係る可動ホーム柵装置1の基礎構造は、プラットホーム4の上面から下方向に向かって途中まで穿設された取付穴8に埋設され、可動ホーム柵装置1の荷重を受ける平板状の受板13を上端部に有し、取付穴8に充填された充填剤9の固化によりプラットホーム4に固定される接着系雌ねじアンカー10と、この接着系雌ねじアンカー10に螺着され可動ホーム柵装置1をプラットホーム4に固定する取付ボルト3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラットホーム上の側縁に沿って柵を形成する可動ホーム柵装置の基礎構造、及びその基礎工事方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の可動ホーム柵装置の基礎構造として、プラットホームの上面に円形の嵌合溝を穿設し、この嵌合溝の溝底から前記プラットホームの下面に貫通孔を穿孔した後、この貫通孔に中空パイプを挿入し、またこの中空パイプの上端部に可動ホーム柵装置を据付けるためのベース部材を固定し、中空パイプの下端部にナット部材を螺合したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4272773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の可動ホーム柵装置の基礎構造は、プラットホームの全体を貫通した貫通孔を形成しているので、プラットホームの補強材である鉄筋の切断によるプラットホームの強度が低下し、またプラットホーム構造の違い(例えば、プラットホーム下面に干渉物があり貫通孔の施工ができない等)により施工ができない場合がある等の問題点があった。
【0005】
また、可動ホーム柵装置の据付け工事は、営業中の電車線での工事が主たるものであり、電車の運行に極力影響を与えないように終電から始発までの短時間での工事を要求される場合が多い。この場合、据付け工事を短期間で行わなければならないものの、嵌合溝や貫通孔の形成に時間を要し、また可動ホーム柵装置の位置や角度合わせ等の高精度の調整にも多くの作業時間を要してしまうという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、プラットホームの強度を大幅に低下させることなく、また従来工法では施工できない場所での施工ができ、さらに短時間で可動ホーム柵装置の据付をすることができる等の可動ホーム柵装置の基礎構造、及びその基礎工事方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎構造は、プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎構造において、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで穿設された取付穴に埋設され、前記可動ホーム柵装置の荷重を受ける平板状の受板を上端部に有し、取付穴に充填された充填剤の固化によりプラットホームに固定される接着系雌ねじアンカーと、
この接着系雌ねじアンカーに螺着され前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する取付ボルトとを備えたものである。
【0008】
この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎工事方法は、プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎工事方法であって、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで取付穴を穿設する工程と、
この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、
前記脚部を前記受板に載置し、脚部を貫通した取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着して前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する工程と
を備えたものである。
【0009】
また、この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎工事方法は、プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎工事方法であって、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで取付穴を穿設する工程と、
この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、
前記受板上にナット状の調整具を載置し、またこの調整具にベース板を載置した後、ベース板を貫通し、また調整具が螺着したベース板用の取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着する工程と、
前記脚部を前記ベース板に載置し、脚部を貫通した脚部用の取付ボルトをベース板に螺着して前記可動ホーム柵装置を前記ベース板に固定する工程と、
前記調整具の回転により前記ベース板を上下動させて前記可動ホーム柵装置の高さ、傾きを調整する工程と
を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎構造によれば、プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで穿設された取付穴に埋設され、可動ホーム柵装置の荷重を受ける平板状の受板を上端部に有し、取付穴に充填された充填剤の固化によりプラットホームに固定される接着系雌ねじアンカーと、この接着系雌ねじアンカーに螺着され前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する取付ボルトとを備えたので、プラットホーム全体を貫通する貫通孔を形成する必要が無く、施工時にプラットホームの補強材である鉄筋の切断を最小に留めることができるとともにプラットホーム下面に干渉物があっても施工を行うことができる。
【0011】
また、この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎工事方法によれば、プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで取付穴を穿設する工程と、この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、脚部を前記受板に載置し、脚部を貫通した取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着して前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する工程とを備えたので、従来の嵌合溝や貫通孔を加工してベース部材を取付けるものに比べて簡単で短時間に可動ホーム柵装置をプラットホームに据付けることができる。
【0012】
また、この発明に係る可動ホーム柵装置の基礎工事方法によれば、プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで取付穴を穿設する工程と、この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、前記受板上にナット状の調整具を載置し、またこの調整具にベース板を載置した後、ベース板を貫通し、また調整具が螺着したベース板用の取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着する工程と、脚部を前記ベース板に載置し、脚部を貫通した脚部用の取付ボルトをベース板に螺着して前記可動ホーム柵装置を前記ベース板に固定する工程と、前記調整具の回転により前記ベース板を上下動させて前記可動ホーム柵装置の高さ、傾き調整をする工程とを備えたので、短時間に可動ホーム柵装置をプラットホームに据付けることができるとともに、可動ホーム柵装置の高さ、傾斜の調整に要する時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1の可動ホーム柵装置の基礎構造を示す断面図である。
【図2】図1の接着系雌ねじアンカーの斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態2の可動ホーム柵装置の基礎構造を示す断面図である。
【図4】図3のベース板を示す斜視図である。
【図5】図3の調整具を示す斜視図である。
【図6】図3のライナーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1の可動ホーム柵装置1の基礎構造を示す断面図である。
この可動ホーム柵装置1は、プラットホーム4上の側縁に沿って設置され、プラットホーム4の脇に延びる線路上の定位置に停車する列車との間に柵を形成して、列車への乗降時における乗客の安全性を確保するものである。
プラットホーム4は、立脚部上に支持された略T字形状断面に形成されており、プラットホーム4の側縁部が、プラットホーム4の脇に延びる線路側に突き出ている。
プラットホーム4は、鉄筋コンクリート造のスラブ部6と、このスラブ部6の上面にモルタル部7により接着された、滑り止めやタイルが埋め込まれたパネル部5とを備えている。
【0015】
可動ホーム柵装置1は、戸袋柵と、この戸袋柵よりプラットホーム4の側縁に沿って出没する開閉可能な乗降扉とから構成されている。この可動ホーム柵装置1は、プラットホーム4側から線路側を視たときに、戸袋柵の左右の両側の下部に矩形状の脚部2がそれぞれ設けられている。可動ホーム柵装置1は、一対の脚部2にそれぞれ4本(線路側2本、反線路側2本)の取付ボルト3を螺着することで、プラットホーム4に固定されている。
【0016】
プラットホーム4には、それぞれの取付ボルト3が螺着する位置に対応して取付穴8が穿設されている。この取付穴8の深さは、上面からパネル部5及びモルタル部7を貫通し、スラブ部6の奥まで達しており、可動ホーム柵装置1に対する平面方向の荷重にプラットホーム4が耐え得る強度が確保される深さである。
例えば、パネル部5の厚さ30mm、モルタル部7の厚さ10mmとして、スラブ部6に必要な強度を確保できる深さを70mmとすると、取付穴8の深さは、110mmとなる。
この取付穴8には、図2に示す接着系雌ねじアンカー(以下、雌ねじアンカーと略称する)10が充填剤9で固定されて埋設されている。
【0017】
この雌ねじアンカー10は、内壁面に雌ねじ14が形成された円筒形状のアンカー本体30と、このアンカー本体30の上部にカシメ等(溶接または接着でも可)で固着された円板状の受板13とを備えている。雌ねじ14の深さは、必ずしもアンカー本体30の下端部まで必要としない。
受板13は、可動ホーム柵装置1の荷重を支持するとともに、可動ホーム柵装置1の脚部2を取付ボルト3を用いてプラットホーム4に固定する際に、取付ボルト3の締付力がパネル部5、モルタル部7に及び、パネル部5が割れたり、モルタル部7から剥がれたりするのを極力低減させるためである。
アンカー本体30は、スラブ部6と充填剤9を介して強固に接着できるように外周面が凹凸面である固着部11と、この固着部11と受板13との間に設けられた円周平滑面である首部12とから構成されている。
この雌ねじアンカー10の首部12の上下方向の長さは、パネル部5の厚さにモルタル部7の厚さを加えたよりも長い。例えば、パネル部5の厚さ30mm、モルタル部7の厚さ10mmであれば40mmを超える長さである。これは、雌ねじアンカー10を取付穴8から引き抜く方向の力が加わったときに、強度的に脆弱なパネル部5、モルタル部7に過度に加わらないようにするためである。
【0018】
次に、可動ホーム棚装置1をプラットホーム4に固定する可動ホーム棚装置1の基礎工事方法について説明する。
最初に、可動ホーム柵装置1の脚部2が置かれるプラットホーム4の上面に、4箇所の必要深さ(前記例では110mm)の取付穴8を電動ドリル等を用いて穿設し、取付穴8に残った切り屑を除去する。この取付穴8の中心線は、脚部2に形成された取付ボルト3の貫通穴(図示せず)の中心線と一致している。なお、脚部2は、可動ホーム柵装置1の戸袋柵の下部の左右両側に一対設けられているので、一つの可動ホーム柵装置1に対して、プラットホーム4には、8箇所の取付穴8が形成される。
この取付穴8は、雌ねじアンカー10の固着部11、首部12の外径よりも少し大きい直径の穴である。
【0019】
次に、この取付穴8の中に液状の充填剤9を必要量注入してから、雌ねじアンカー10の固着部11及び首部12を挿入する。このとき、受板13は、プラットホーム4のパネル部5の上面から離間している。
充填剤9が固まって雌ねじアンカー10の固着部11がプラットホーム4のスラブ部6と接着したら、可動ホーム柵装置1の脚部2の貫通孔の中心線と雌ねじアンカー10の雌ねじ穴14の中心線とが一致するように、可動ホーム棚装置1をプラットホーム4上に載置する。
この後、脚部2の貫通孔を貫通した取付ボルト3を雌ねじ穴14に螺着して、可動ホーム棚装置1をプラットホーム4上に固定する。
【0020】
このように、従来のもののようにプラットホーム4のパネル部5やモルタル部7を除去した嵌合溝やスラブ部6を貫通する貫通孔の加工は不要であり、電動ドリル等を使用して簡単に短時間で取付穴8を形成することができ、可動ホーム柵装置1をプラットホーム4の上面に簡単で短時間で据付けることができる。
また、雌ねじアンカー10の受板13は、プラットホーム4のパネル部5の上面から離間しており、可動ホーム柵装置1の重量や脚部2を取付ボルト3で締め付けた際の荷重等の負荷は受板13で受ける。従って、プラットホーム4に可動ホーム柵装置1の据付けた後の負荷は、パネル部5に加わることが無いため、パネル部5が割れたり、モルタル部7から剥がれたりするようなことを防止することができる。
【0021】
さらに、施工中の作業時間の関係で雌ねじアンカー10を挿入するまでの作業と、可動ホーム柵装置1の脚部2を取付ボルト3で雌ねじアンカー10に取付ける作業を別の日に実施する場合がある。
このような場合にも、雌ねじアンカー10は、プラットホーム4のパネル部5の上面から薄い円板状の受板13のみが突出するだけであり、段差がほとんど生じないように養生できるため、例えば雌ねじアンカー10の周りに囲いを設置して乗客が近づかないようにするといった余分な作業は不要でありとともに、養生中の営業運転時における乗客のつまずきや転倒の発生を抑制することができる。
【0022】
また、プラットホーム4の下側空間は、可動ホーム柵装置1の据付け作業に関わりが無いので、プラットホーム4の下側空間に例えば補強用鋼材やラック、ケーブルなどがある場合でも施工することができる。
【0023】
実施の形態2.
一般に、可動ホーム柵装置1は、プラットホーム4上の側縁に沿って多数設置されるため、隣接して設置される可動ホーム柵装置1との高さ調整や傾き調整を高精度に実施する必要があり、据付け作業時間のうち調整作業にも多くの時間を要する。
この高さ調整や傾き調整を簡単に高精度に実施できるようにしたものが、図3に示した
可動ホーム柵装置1の基礎構造である。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態2の可動ホーム柵装置1の基礎構造を示す断面図、図4は図3のベース板15の斜視図である。
この実施の形態2の可動ホーム柵装置1の基礎構造では、一対の脚部2用の取付ボルト18が可動ホーム柵装置1の脚部2を貫通し、ベース板15のねじ穴16に螺着して、脚部2がベース板15に固定されている。このベース板15には取付穴17がねじ穴16の両側にそれぞれ形成されている。
ベース板15と雌ねじアンカー10の受板13との間には、図5に示す六角ナット状の調整具19及び図6に示す複数枚のライナー20が介在している。ライナー20には、縁部に切欠き21が形成されている。
ベース板15用の取付ボルト3Aは、調整具19の穴に螺合し、頭部がベース板15よりも少し離間して雌ねじアンカー10に螺着されている。この離間距離分だけ、可動ホーム柵装置1を上方向に移動調整可能である。
他の構成は、実施の形態1の可動ホーム柵装置1の基礎構造と同じである。
【0025】
次に、可動ホーム柵装置1の高さ、傾きの調整の方法について説明する。
先ず、ベース板15を調整具19を介在させて取付ボルト3Aにより少し余裕のある状態で雌ねじアンカー10に仮取付けし、このベース板15に取付ボルト18で可動ホーム柵装置1の脚部2を取付ける。
この状態で調整具19を回転させると、調整具19は取付ボルト3Aに螺着しているので、上下方向に動く。
この調整具19を回転させ、上下方向に移動させることで、ベース板15も上下方向に移動し、ベース板15に脚部2が取付ボルト18で固定された可動ホーム柵装置1も上下方向に移動する。
この調整具19は、一つの可動ホーム柵装置1に対して8箇備えているので、各調整具19を回転させることで、可動ホーム柵装置1の高さ、傾きを調整する。
高さ、傾き調整ができたら必要枚数のライナー20を雌ねじアンカー10の受板13と調整具19の間に挿入して、高さ、傾きの微調整を行った後、調整具19で締付固定する。
この調整具19の締付により高さが若干下がるため、ライナー20を入れる際にはその分を見越した高さを調整具19で調整しておけばよい。
また、雌ねじアンカー10の受板13及び調整具19の各面積は、ライナー20を挿入して締め付けた場合にライナー20が変形しない十分な大きさにしている。
このようにして高さが調整できたら、最後に取付ボルト3Aを締め付けてベース板15を固定する。
【0026】
このように、この実施の形態の可動ホーム柵装置1の基礎構造は、1脚部2当たり、取付ボルト3Aは4箇所であり、可動ホーム柵装置1の脚部2は、プラットホーム4に向かって左右の両側2箇所にあるため、合計8箇所の調整具19を回して高さ調整することで、簡単に短時間で可動ホーム柵装置1の据え付け高さと傾きを調整できる。
なお、図6に示すライナー20は切欠き21が2箇所設けられたものを示しているが、調整時の必要に応じて切欠き21が1箇所で薄板の面積も小さいものが使用される。
【0027】
なお、この実施の形態2では、ベース板15を使用する場合について説明したが、ベース板15は必ずしも必要なものではなく、雌ねじアンカー10の受板13と可動ホーム柵装置1の脚部2との間に調整具を設けるようにすることで、ベース板15が無くても可動ホーム柵装置1の取付高さと傾きを調整できる。
【0028】
なお、上記実施の形態1,2では、何れも雌ねじアンカー10は、首部12の上部に円板状の受板13が設けられているが、円板状に限定されるものではなく、四角形や六角形など他の形状であってもよい。
また、取付ボルト3,3A,18の本数やサイズは必要強度等により適宜決定されるもので、上記各実施1,2の形態に限定されるものではない。
また、1枚の受板13に対して、複数個(例えば2個または4個)のアンカー本体30を固着した構造にすれば、複数個のアンカー本体30の各挿入作業が一回の挿入作業で済み、プラットホーム4の取付穴8にアンカー本体30を挿入する作業の回数を減らすことができ、挿入作業時間を削減することができる。
また、受板13が拡大することで、挿入作業時の受板13の水平調整等も簡単化される。
【符号の説明】
【0029】
1 可動ホーム柵装置、2 脚部、3,3A,18 取付ボルト、4 プラットホーム、5 パネル部、6 スラブ部、7 モルタル部、8 取付穴、9 充填剤、10 接着系雌ねじアンカー、11 固着部、12 首部、13 受板、14 雌ねじ穴、15 ベース板、16 ねじ穴、17 取付穴、19 調整具、20 ライナー、21 切欠き、30 アンカー本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎構造において、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって途中まで穿設された取付穴に埋設され、前記可動ホーム柵装置の荷重を受ける平板状の受板を上端部に有し、取付穴に充填された充填剤の固化によりプラットホームに固定される接着系雌ねじアンカーと、
この接着系雌ねじアンカーに螺着され前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する取付ボルトとを備えたことを特徴とする可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項2】
前記取付ボルトの頭部と前記受板との間には、前記取付ボルトが貫通した取付穴を有するベース板と、このベース板と前記受板との間に設けられ前記取付ボルトに螺着し回転によりベース板を上下動させて前記可動ホーム柵装置の高さ、傾きを調整するナット状の調整具とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項3】
前記脚部と前記受板との間には、前記取付ボルトに螺着し回転により脚部を上下動させて前記可動ホーム柵装置の高さ、傾きを調整するナット状の調整具を備えていることを特徴とする請求項1に記載の可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項4】
前記調整具と前記受板との間には、前記可動ホーム柵装置の高さ、傾きを微調整するライナーが介在していることを特徴とする請求項2または3に記載の可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項5】
前記接着系雌ねじアンカーは、外周面が下部では凹凸面形状であり、上部では平滑面であり、
前記プラットホームは、上面からパネル部、モルタル部及びスラブ部の順序で構成され、
前記上部は、前記パネル及び前記スラブ部を加えた長さよりも長いことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項6】
前記受板は、前記プラットホームの表面から離間していることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の可動ホーム柵装置の基礎構造。
【請求項7】
プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎工事方法であって、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって取付穴を穿設する工程と、
この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、
前記脚部を前記受板に載置し、脚部を貫通した取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着して前記可動ホーム柵装置を前記プラットホームに固定する工程
を備えたことを特徴とする可動ホーム柵装置の基礎工事方法。
【請求項8】
プラットホーム上の側縁に沿って配置された可動ホーム柵装置を可動ホーム柵装置の脚部を介して固定する可動ホーム柵装置の基礎工事方法であって、
前記プラットホームの上面から下方向に向かって取付穴を穿設する工程と、
この取付穴に充填剤を注入した後、平板状の受板を上端部に有する接着系雌ねじアンカーを取付穴に挿入し、受板が前記プラットホーム上に露出した接着系雌ねじアンカーを充填剤の固化によりプラットホームに固定する工程と、
前記受板上にナット状の調整具を載置し、またこの調整具にベース板を載置した後、ベース板を貫通し、また調整具に螺着したベース板用の取付ボルトを前記接着系雌ねじアンカーに螺着する工程と、
前記脚部を前記ベース板に載置し、脚部を貫通した脚部用の取付ボルトをベース板に螺着して前記可動ホーム柵装置を前記ベース板に固定する工程と、
前記調整具の回転により前記ベース板を上下動させて前記可動ホーム柵装置の高さ、傾き調整をする工程
を備えたことを特徴とする可動ホーム柵装置の基礎工事方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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