説明

可動中間面を備えるモールド

本発明は、モールドの中間可動パーツの上に配置された、通気性、防水性、または親水性の材料から作製された支持部の上に、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる特定形状を有する一連の吸引カップを備える膜を直接成形するために3つのパーツに分割されたモールドに関する。この中間可動パーツは、成形局面の際にはモールドの下方パーツに押圧され、成形の完了後には、一連のばねによって上げられる。これらの一連のばねにより、中間可動パーツは、その元の位置に戻され、それにより、成形された吸引カップの特殊形状に対して損傷を与えることなく、これらの吸引カップを自動的に取り外すことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールドの中間可動パーツの上に配置された、通気性、防水性、または親水性の材料から作製された支持部の上に、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる特定形状を有する一連の吸引カップを備える膜を直接成形するために3つのパーツに分割されたモールドであって、この中間可動パーツが、成形局面の際にはモールドの下方パーツに対して押圧され、成形の完了後には一連のばねにより上げられ、この一連のばねが、中間可動パーツを元の位置に戻すことにより、成形された吸引カップの特定の形状に損傷を与えることなく、成形された吸引カップを自動的に取り外すことが可能となる、モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
現行においては、熱可塑性材料用のモールドは、2つの要素から、すなわち、中に注入された溶融材料に転写されることとなる形状が上に描かれた中空パーツまたは下方パーツと、成形の完了後に手動によりまたは機械的に開かれて、成形された製品を取り外すことを可能にするためのカバーパーツまたは上方パーツとから構成される。
【0003】
開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる特定形状を有し、極度の可撓性および軟性を特徴とする吸引カップを備える、靴のソール用の膜の成形を展開しなければならない場合に、成形の完了時に前記吸引カップの成形形状部の破壊または損傷により膜の機能性を損なうことなくそれらの成形形状部を取り外すことは、現行のモールドにおいては不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、靴のソール用の膜のための、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する、可撓性熱可塑性材料の一連の極度な可撓性の吸引カップを成形するためのモールドを実現することである。
【0005】
さらに、本発明の1つの目的は、成形後の、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する一連の膜の吸引カップのモールドからの容易な取外しを可能にすることである。
【0006】
さらに、本発明の1つの目的は、砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する、成形された膜の吸引カップの完全な機能性を保証することである。
【0007】
さらに、本発明の1つの目的は、靴の用途全体におけるさらなる快適性を靴にもたらすために、および、足の発汗を促進するために、相互に離間された状態で、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された支持部の上に、直接的に、好ましくは開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する吸引カップを有する膜を成形することを可能にすることである。
【0008】
さらに、本発明の1つの目的は、注入された熱可塑性材料が、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された支持部の表面を完全に覆うのを防ぐために、一連のグリッドを備えるモールドの中間可動パーツを備えさせることである。
【0009】
さらに、本発明の1つの目的は、モールドの中間パーツの上に具現化された一連のグリッドにより、砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する吸引カップが、膜の通気性を向上させるために、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された支持部の上に、互いから所望の距離をおいて配置されるようにすることである。
【0010】
本発明の目的は、それが最終の目的ではないが、今日の市場にて現行で入手可能なモールドを用いて得られる同様の膜を上回る技術的特性を備える、靴のソール中の付属品として用いられることとなる、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する吸引カップを有する膜を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの、および他の目的が、3つのパーツに分割されたモールドに関する本出願の目的である本発明によって達成される。このモールドの上方パーツは、モールド全体に対してカバーの従来的機能を有し、このモールドの中間可動パーツおよび下方パーツはそれぞれ、このモールの下方パーツ中に所望の距離をおいて配置された種々のピンの周囲にて、通気性または親水性の、および防水性の材料から作製された支持部の上に、直接的に、砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する吸引カップを成形する役割を有し、成形局面の際には、中間可動パーツは、このモールドに対して機械的に押圧され、一連のばねにより、この中間可動パーツは、成形後には下方パーツから離され、それにより、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状に成形された吸引カップの、自動的な、および動作の一連に組み込まれた取外しが可能となる。
【0012】
添付の図面において、示唆的ではあるが非限定的な例として示される、本願の好ましい、しかし非排他的な実施形態の説明から、本発明の他の特徴および利点がさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の対象であるモールドを上方から見た断面図である。
【図2】中間パーツが開いた状態のモールドの側断面図である。
【図3】中間パーツが閉じられた状態のモールドの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願の目的である本発明は、3つのセクション、すなわち、上方パーツ(1)、中間可動パーツ(2)、および下方パーツ(3)から構成されるモールドである。中間可動パーツ(2)は、モールドの下方パーツ(3)から取り外され、特殊座部(6)中に取り付けられた一連のねじ(4)によりモールドの下方パーツ(3)に固定される。一連のねじ(4)の周囲には、ばね(5)が差し込まれ、それにより、中間可動パーツ(2)は、チャネル(9)中に注入される熱可塑性材料の送り込みによる成形局面の際の機械的圧力によって、下方パーツ(3)の上に閉じることが可能となり、成形の完了時には元の位置に戻ることが可能となる。
【0015】
注入される熱可塑性材料は、中間可動パーツ(2)中の一連のグリッド(12)内に送られ、それにより、複数のホール(7)が、下方パーツ(3)中に配置された砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状の同数の対応するピン(8)に、所望の距離をおいて結びつけられる。これらのピン(8)の周囲において、吸引カップが、モールドの中間可動パーツ(2)の上方区域の周囲ライン(10)の上に事前に配置された、親水性材料または通気性材料から作製された支持部(11)の上に、直接成形される。
【0016】
停止位置においては、本発明の下方パーツ(3)からの中間可動パーツ(2)の高さは、ピン(8)の高さを上回り、これらのピン(8)の周囲において、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する吸引カップが成形され、それにより、中間可動パーツ(2)は、復帰移動の際には、吸引カップを自動的に係合解除し、吸引カップの成形形状部を非損傷状態に保つことが可能となる。
【0017】
中間可動パーツ(2)の元の位置への復帰移動は、成形の完了時の機械的圧力の緩和と、それによる、中間可動パーツ(2)を上方に押し上げる、ばね(5)の伸張との共同的な動作の組合せによって、引き起こされる。
【0018】
添付の図面において示され、特許請求される、上述の本発明の材料および寸法は、要件に応じて様々であってよい。さらに、これらの全詳細は、本発明の特許出願の保護範囲から逸脱することなく、他の技術的均等物に置き換えられ得る。
【符号の説明】
【0019】
1 上方パーツ
2 中間可動パーツ
3 下方パーツ
4 ねじ
5 ばね
6 特殊座部
7 ホール
8 ピン
9 チャネル
10 周囲ライン
11 支持部
12 グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性または親水性の、および防水性の材料から作製された支持部の上に、相互に所与の距離をおいて成形された、好ましくは開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる特定形状を有する一連の吸引カップを備える、靴のソール用の付属品としての膜を直接成形するための、中間可動面を備えるモールドにおいて、3つのパーツに分割され、モールドの上方パーツが、モールドのカバーとしての役割を果たし、モールドの中間可動パーツが、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された事前に配置された前記支持部の上に前記吸引カップを直接成形する役割を有し、モールドの下方パーツが、前記下方パーツの上に配置されたピンの上での前記中間可動パーツによるプレス成形によって前記吸引カップを形作る役割を有し、前記ピンから、前記吸引カップが、成形の完了時のモールドの前記中間可動パーツの機械的圧力の緩和と、それによる、モールドに備えられたばねの伸張による前記中間可動パーツの上方への押上げとの共同的な動作の組合せによって引き起こされる、前記中間可動パーツの上方移動によって、自動的に取り外されることを特徴とする中間可動面を備えるモールド。
【請求項2】
前記モールドの前記中間可動パーツは、前記モールドの前記下方パーツの方向への、および前記下方パーツからの、垂直方向作動部品を備えることを特徴とする請求項1に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項3】
前記中間可動パーツは、周囲に前記ばねが取り付けられる、特殊座部中に配置される一連のねじによって、前記下方パーツに固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項4】
前記下方パーツから前記中間可動パーツを隔てる高さが、前記下方パーツ上に配置された前記ピンの高さを上回り、それにより、前記中間可動パーツの前記上方移動よって、前記中間可動パーツが元の位置に復帰移動することにより、前記ピンの周囲にて成形された、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する前記吸引カップが、自動的に係合解除されるようにすることを特徴とする請求項1、2および3のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項5】
前記モールドの前記中間可動パーツは、前記モールドの前記下方パーツ中に配置された対応するピンの個数と同一の個数の複数のホールを有し、それにより、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する前記吸引カップが、前記ピンの周囲にて、前記所望の距離をおいて成形されるようにすることを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項6】
前記モールドの前記中間可動パーツは、一連のグリッドを特徴とし、この一連のグリッドにより、注入される材料が、前記吸引カップの前記成形ホールに到達することが可能となり、それにより、前記吸引カップが上に成形される、親水性または通気性の、および防水性の支持部の全体が、注入された前記材料によって覆われることから防がれるようになっていることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項7】
好ましくは開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する前記吸引カップは、請求項6に記載の本発明の前記中間パーツの上の一連のグリッドにより、互いから所与の距離をおいて、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された前記支持部の上に成形されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5および6のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項8】
前記モールドの前記中間可動パーツは、周囲ラインを特徴とし、前記周囲ラインの上には、親水性または通気性の、および防水性の材料から作製された前記支持部が、挿入され、次いで、前記支持部の上において、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する前記吸引カップが可撓性熱可塑性材料で成形されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項9】
ねじシステムにより、前記中間可動パーツは、本発明の前記下方パーツ中に配置された、前記吸引カップからなる前記成形形状部の前記成形ピンの長さを上回る距離をおいて、前記下方パーツに固定されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7および8のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。
【請求項10】
ばねシステムが、前記モールドの前記下方パーツ中の特殊スペース中に配置され、このばねシステムにより、前記中間可動体は、成形局面の際には機械的圧力によって前記下方パーツと接触状態におかれ、成形の完了時には元の位置に戻ることが可能となり、それにより、開いた砂時計形、蛇腹形、または円筒からなる形状を有する前記吸引カップが周囲にて成形されている、前記下方パーツの上に配置された前記ピンからの、前記吸引カップの容易かつ自動的な取外しが、引き起こされることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8および9のいずれか1項に記載の中間可動面を備えるモールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−528895(P2010−528895A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510656(P2010−510656)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003460
【国際公開番号】WO2008/148447
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508257407)
【Fターム(参考)】