説明

可動式ルーバー

【課題】 本発明は、使い勝手にすぐれたルーバーを提供することを目的とする。
【解決手段】 ルーバー1は、その上部の上ブラケット10に取付けられた車100と、ルーバー1の下部の下ブラケット11の建物室内側に基端部120が配置され、一方、前記手摺21の側面内側210に先端部121が配置されるフック片12を備えている。そして、前記上ブラケット10の車110が前記ベランダ天井22に固定されたレール24を走行し、前記フック片12が前記手摺21にガイドされつつ、前記手摺21に沿って可動可能になっている。前記下ブラケット11には前記フック片12を昇降可能に支持する昇降支持部13が設けられ、前記フック片12の先端部121にはクサビ14が取付けられ、このクサビ14に圧着されることで前記手摺21の側面内側210に圧着されるクサビ受け15が取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のベランダ等に配置される可動可能な可動式ルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダ、バルコニー、その他建物の共用通路等において、目隠し、調光又は通風の調整等を行うことができる可動式ルーバーが、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1の可動式ルーバーは、手すりに沿って配設される被覆部材と、当該被覆部材の上部及び下部の走行軌道を規制する上規制手段及び下規制手段から成り、前記下規制手段は、前記手すりの両側部に面した揺動制限部を具備することを特徴とし、前記揺動制限部に前記手すりの両側部又は上部を押圧する挟持手段を設けるものである。
この挟持手段は、ステンレス等にネジ孔を切ったタップ板を重設した内垂下壁にネジ孔を設け、当該ネジ孔に押さえボルトを内向きに螺合すると共に、外垂下壁の内面下端部に押さえバッドを固着したものである(特許文献1 段落0013及び図3)。
この挟持手段は、風等による無秩序且つ危険な移動の防止手段とされ、またレンチ等の工具を用いることなく前記被覆部材の静止状態を十分に維持することができるものとしている。
【特許文献1】特開2003−138644
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1に係る可動式ルーバーの挟持手段には、改良すべき課題がある。
即ち、特許文献1の図3(ロ)に図示されているように、前記押さえボルトを螺合させた場合に、ルーバー自体がベランダの室内側に傾斜することになり、居住者に不安定感を与える。
また、風のある日には前記押さえボルトを螺合させる必要があり、ルーバーを可動させる場合には、その螺合を解除する必要があり、さらに、その移動後に風がでてきた場合には、再度押さえボルトを螺合させる必要がある等、各使用段階で押さえボルトの操作が必要になり、使い勝手が煩雑な点である。
さらに、ルーバーを可動させた後に、押さえボルトの操作を怠ると、風によりルーバーが揺れて手すりに接触して、ガタツキ音が発生し、また手すりが破損する恐れがある。
そこで、本発明は、このような課題を解決し、使い勝手にすぐれた可動式ルーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明に係る可動式ルーバーは、その下部に取付けられた下ブラケットと、基端部が下ブラケットの建物室内側に配置され、一方、先端部が前記手摺の側面内側に配置されるフック片と、このフック片を昇降可能に取付ける昇降支持部と、前記フック片の先端部に取付けられるクサビと、このクサビに圧着されることで前記手摺に圧着されるクサビ受けを備えたことを特徴とする(請求項1に記載の発明)。
【0006】
上記発明において、前記クサビは、前記クサビ受けに向けて常時付勢されていることを特徴とする(請求項2に記載の発明)。
【0007】
また、上記課題を解決するため本発明に係る可動式ルーバーは、その下部に取付けられた下ブラケットと、基端部が下ブラケットの建物室内側に配置され、一方、先端部が手摺の側面内側に配置されたフック片と、このフック片を昇降可能に取付ける昇降支持部と、前記フック片の先端部に取付けられるクサビと、前記手摺に形成されるクサビ受けを備えたことを特徴とする(請求項3に記載の発明)。
ここで、クサビ受けとは、手摺に一体的に固着されているピース材としてのクサビ受けも含まれるし、また手摺の形材の一部を構成するクサビ受け部のような構成も含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可動させる場合に煩雑な操作が必要ではなく、風によりルーバーのガタツキ音や手すり等の破損を防ぐことができ、またルーバー自体がベランダの室内側に傾斜することなく、居住者に安定感を与えることができる、使い勝手にすぐれた可動式ルーバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るルーバーの実施形態を図面に基いて説明する。
図1は実施形態に係る可動式ルーバーを取付けたベランダの正面図、図2は同ルーバーの縦断面図、図3は同ルーバーの要部側面図、図4は同ルーバーの昇降支持部の平面図、図5は同ルーバーの移動を支える手摺の断面図、図6(A)及び(B)は同ルーバーの作用を説明する要部断面図である。
これらの各図において、同一の構成は同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
実施形態に係る可動式ルーバー(以下、単にルーバーともいう)1は、図1に示したように、例えば建物2のベランダ20の手摺21とベランダ21の天井22間に配置されるもので、図2に示したようにルーバー1の上部の上ブラケット10と、この上ブラケット10に取付けられた車100と、ルーバー1の下部の下ブラケット11と、この下ブラケット11の建物室内側23に基端部120が配置され、一方、前記手摺21の側面内側210に先端部121が配置されるフック片12を備えている。
前記下ブラケット11には前記フック片12を昇降可能に支持する昇降支持部13が設けられ、前記フック片12の先端部121にはクサビ14が取付けられ、このクサビ14に圧着されることで前記手摺21の側面内側210に圧着されるクサビ受け15が取付けられている。
【0011】
このルーバー1によれば、前記クサビ14はバネ16により前記クサビ受け15に向けて常時付勢されているので、常時ルーバー1が手摺21に略固定された状態にあり、風によるルーバー1のガタツキが原因となる手摺21や車100等の部材の破損や、ガタツキ音の発生を防止することができる。
また、ルーバー1を移動させる場合にのみ、前記昇降支持部13でフック片12を下降操作すればよく、この場合には、前記上ブラケット10の車110が前記ベランダ天井22に固定されたレール24を走行し、前記クサビ14及びクサビ受け15が前記手摺21にガイドされつつ、ルーバー1が手摺21に沿って可動できるようになっている。
また、ルーバー1を所定の位置に移動させた段階で、昇降支持部13から手を離せば自動的にルーバー1が手摺21に略固定されるので、使い勝手にすぐれたルーバー1となっている。
さらに、前記クサビ受け15が手摺21に圧着される場合にもルーバー1自体が傾斜することなく、安定的な静止状態を保持できる。
【0012】
前記ルーバー1は、上下左右の各框1A〜1Dを備え、これらの各框1A〜1Dによって囲まれた框面1Eには複数の羽根板1Fが設けられている。
これらの羽根板1Fは、目隠し、通風、採光の役割を果たすものであるが、各羽根板1Fのそれぞれ開閉角度が自由に設定できるように揺動可能に構成してもよい。また、前記上下框1A、1Bの中央に縦框を設けて横長に構成してもよし、羽根板1Fを縦方向に配置したものでもよい。
なお、ルーバー1に代えて、パンチングメタルのような金属板パネルのものに、ガラス板状のものを可動させてもよい。
【0013】
前記上ブラケット10は、略L字材に形成され、その横片が前記上框1Aの上部に固定されていると共に、その縦片に前記車100が軸着されている。
前記下ブラケット11は、2枚の略L字材110、111で形成され、前記略L字材110が、その長孔(図示せず)を介して水平方向に固定位置を調整可能に、前記下框1Dの下部に固定されている。また、前記略L字材111が、その長孔(図示せず)を介して鉛直方向に固定位置を調整可能に前記略L字材110に固定されている。
前記上ブラケット10及び下ブラケット11とも上記各構成に限定されるものではなく、例えば、下ブラケット11については、2枚の略L字材110、111を1枚のアングル材で構成したものでもよい。
なお、前記L字材111の横片111aには、前記フック片12の先端部121が昇降できる孔111bが設けられ、また前記クサビ受け15が固定されている。
【0014】
前記フック片12は、図3に図示したように、略薄板状、略棒状等のものを略L字状に形成し、その基端部120を下ブラケット11の建物室内側23に配置し、フック片12の横片12aにロッド状材12bを固定し、先端部121とし、前記手摺21の側面内側210に配置している。
前記フック片12として、この実施形態では図4のように横幅Wの略薄板状のものを用いている。
【0015】
前記昇降支持部13は、図4に図示したように、本体130と、蓋131と、これらの本体130及び蓋131を合体させた場合に形成されて前記フック片12の基端部120を昇降可能に支持する孔130aと、前記基端部120に連結される連結軸132と、この連結軸132を昇降させるレバー133からなり、前記本体130及び蓋131が前記下ブラケット11に止着されている。
【0016】
前記クサビ14は、図3に示したように前記フック片12の先端部121の自由端に固定されているもので、前記手摺21の長手方向に交差する左右側面14aが略台形状に形成され、全体として台形角錐台、円錐台状等に成形されているものを用いる。
この実施形態では、図3に示したように、前記手摺21の側面内側210の側面210aに接する面14cが前記側面210aと略平行に形成され、一方、前記クサビ受け15に接する面14dがクサビ受け15に対応するように傾斜して形成されている。
このように構成されたクサビ14は、前記フック片12の横幅Wと略同一幅か、それ以下の幅サイズとなっている。
【0017】
前記クサビ受け15は、図3に示したように略L字状に形成され、その横片150が前記前記L字材111の横片111aに固定され、その縦片151の前記クサビ14に対向する面151aが前記クサビ14の面14dに対応するように傾斜して形成されている。
また、前記手摺21の側面内側210の側面210bに接する面151bが前記側面210bと略平行に形成されている。
なお、前記横片150には、前記L字材111の横片111aと同様に、前記フック片12の先端部121が昇降できる孔150aが設けられている。
このように構成された前記クサビ受け15の横幅は、前記フック片12の横幅Wと略同一か、それ以下のサイズとなっている。
【0018】
前記バネ16は、前記クサビ受け15の横片150と前記クサビ14間に配置される圧縮バネで構成されているが、前記クサビ14を常時付勢できるものであれば、圧縮バネに限定されるものではない。
また、クサビ受け15の面151aと、前記クサビ14の面14dを上記実施形態とは線対称になるような方向に傾斜させて、前記バネ16として前記クサビ14を下方に常時付勢するものとしてもよい。
以上のように構成された、前記フック片12、昇降支持部13、クサビ14、クサビ受け15及びバネ16は、この実施形態においては図1に図示されているように2組にしているが、1組でも2以上の複数組でもよい。
【0019】
図5に示したように、前記手摺21の横桟211の建物室内側23には、下方が開放された開放部212が形成されており、この開放部212により側面内側210が構成されている。
【0020】
次に以上のように構成されたルーバー1の操作例を図6(A)及び同図(B)に基いて説明する。
前記ルーバー1は、図6(A)に示したように前記バネ16により前記クサビ14が前記手摺21の側面210aと、前記クサビ受け15の面151aに圧着され、そのクサビ受け15の面151bが前記側面210bに圧着されている。
よって、クサビ14と前記手摺21の側面210a間、クサビ14とクサビ受け15と前記側面210bとの摩擦力により、ルーバー1が手摺21に略固定されている状態となっている。
この状態から、ルーバー1を移動ざせるには、昇降支持部13のレバー133を押し下げればよい。その結果、図6(B)のように前記クサビ14と前記側面210aとの間にクリアランスが形成され、またクサビ受け15と前記側面210bとの間にもクリアランスが形成され、前記摩擦力からクサビ14とクサビ受け15を開放されて、ルーバー1が可動可能となる。この状態でルーバー1を手で可動させればよい。
可動後に、レバー133から手を離せば自動的に図6(A)に示した状態に復帰して、使い勝手の良いルーバー1となっている。
【0021】
前記クサビ14、クサビ受け15に代えて、図7(A)及び同図(B)に示したように略円錐台状のクサビ14Aと、これに対応する孔を設けたクサビ受け15Aであって、弾性に優れたものを用いても良い。
さらに、前記クサビ受け15を省いて側面内側210自体を前記クサビ受け15の形状と略同様に形成してもよい。
即ち、クサビ受け15は、手摺21の形材の一部を構成するクサビ受け部のような構成でもよいし、手摺に一体的に固着されているピース材としてのクサビ受けも含まれる。
これらの構成においても、クサビ14がクサビ受け部等に圧着されて、上記実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0022】
上記実施形態では、一枚のルーバー1をベランダ20に配置しているが、同一のルーバー1を2枚以上配置してもよい。
また、前記ルーバー1は前記ベランダ20に配置されているが、その他、建物の外階段、外廊下に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態にかかるルーバーが配置された建物ベランダの室内側正面図、
【図2】同ルーバーの側断面、
【図3】同ルーバーの要部側断面図、
【図4】同ルーバーの昇降支持部の平面図、
【図5】同ルーバーの手摺の側断面図、
【図6】(A)(B)同ルーバーの動作説明図、
【図7】(A)(B)別例のルーバーの構成例図。
【符号の説明】
【0024】
1 可動式ルーバー 2 建物
20 ベランダ 21 手摺
22 天井 10 ブラケット
100 車 11 下ブラケット
23 建物室内側 120 基端部
210 側面内側 121 先端部
片12 フック 13 昇降支持部
14 14A クサビ 15 15Aクサビ受け
16 バネ 1A〜1D 上下左右の各框
1E 框面 1F 羽根板
110、111 略L字材 111a 横片
11b 孔1 12a 横片
12b ロッド状材 130 本体
131 蓋 130a 孔
132 連結軸 133 レバー
14a 左右側面 210a 側面
14c 接する面 14d 接する面
150 横片 151 縦片
210b 側面 150a 孔
16 バネ 212 開放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた手摺に沿って可動可能な可動式ルーバーにおいて、
この可動式ルーバーの下部に取付けられた下ブラケットと、基端部が下ブラケットの建物室内側に配置され、一方、先端部が前記手摺の側面内側に配置されるフック片と、このフック片を昇降可能に取付ける昇降支持部と、前記フック片の先端部に取付けられるクサビと、このクサビに圧着されることで前記手摺に圧着されるクサビ受けを備えたことを特徴とする可動式ルーバー。
【請求項2】
前記クサビは、前記クサビ受けに向けて常時付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の可動式ルーバー。
【請求項3】
建物に設けられた手摺に沿って可動可能な可動式ルーバーにおいて、
この可動式ルーバーの下部に取付けられた下ブラケットと、基端部が下ブラケットの建物室内側に配置され、一方、先端部が手摺の側面内側に配置されたフック片と、このフック片を昇降可能に取付ける昇降支持部と、前記フック片の先端部に取付けられるクサビと、前記手摺に形成されるクサビ受けを備えたことを特徴とする可動式ルーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−200305(P2006−200305A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15561(P2005−15561)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】