可動式手摺り
【課題】トイレや浴室等に設置し、手摺りが垂直状態から水平状態に回動する、高齢者や身体障害者等の補助具。
【解決手段】手摺り部材1の端部に手摺り保持部材2を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行える。また、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する係止手段を設け、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設ける。
【解決手段】手摺り部材1の端部に手摺り保持部材2を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行える。また、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する係止手段を設け、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療,福祉施設、および一般住宅等のトイレや浴室等に設置され、手摺りが垂直状態から水平状態に回動して、高齢者や身体障害者等の補助具として利用される可動式手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者や身体障害者がトイレや浴室を利用するために、補助具として手摺りが設置されている。手摺りには固定式と可動式とがあるが、固定式の場合、移動時には手摺りが障害となり、またスペース的にも問題があった。そのため、最近では可動式のものが多く設置され、不使用時には壁面等へ退避させ、使用時には水平状態にして使用者を補助する手摺りが提供されている。
【0003】
可動式手摺りには、手摺りを水平方向に回動させるタイプと、手摺りを上下方向に回動させるタイプとがあるが、水平方向に回動させるタイプは回動操作が容易であるが、周辺のスペースが必要となる問題がある。また上下方向に回動させるタイプは上方の空間を活用でき省スペースであるが、手摺りが垂直状態となる位置まで持ち上げる力が必要となり、また垂直状態から水平状態への手摺りの自重による降下が危険となるという難点を有している。しかしながら、水平方向に回動させるタイプを設備するためのスペースが不足しているトイレや浴室には、上下方向に回動させるタイプが適していることから、前記の操作上の問題を改善するために、手摺りの回動速度を制動できる可動式手摺りがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平9−209535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手摺りの回動速度を制動できる可動式手摺りにおいては、手摺りの垂直状態から水平状態までの回動を、制動機構により緩やかに降下させることができ、手摺りの自重により不意に降下することなく、使用時の安全性が確保できるという効果があるが、水平状態から垂直状態まで持ち上げるときには、制動機構の抵抗に手摺りの自重が加わり、使用後に手摺りを垂直状態まで持ち上げる際に大きな力が必要となっていた。
【0006】
本発明は、前記の制動機構付き可動手摺りの持ち上げ時の問題点を改善することを目的としてなされたものであつて、手摺りの使用時に垂直状態から水平状態まで緩やかに降下させることができ、また手摺りの使用後には水平状態から垂直状態までの持ち上げる力を軽減することができる可動式手すりを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手摺り部材の端部に手摺り保持部材を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、支持軸を支点に手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、支持軸を支点とした手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行える。
【0008】
また、手摺り部材を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する係止手段を設け、手摺り部材を垂直状態から水平状態まで回動する際に、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述の様に、本発明の可動式手摺りは、手摺り部材の重量に対して、保持部材の重量を同重量に近づけることにより、支持軸を支点とした回動操作で手摺り部材を持ち上げる場合、従来の可動式手摺りでは手摺り部材の重量が負荷として掛るが、本発明の可動式手摺りは、手摺り部材の重量と保持部材の重量が相殺され、手摺り部材と保持部材の重量差のみが負荷として掛るため、非常に軽く持ち上げることができる。
【0010】
また、従来の可動式手摺りでは手摺り部材の重量による負荷を軽減するために、スプリング等を設けて持ち上げる際の力を補っているものもあるが、部品点数の増加によるコストアップに加え、手摺り部材の回動時には、スプリングが伸縮するためスプリングだけの機構では、一定の力で手摺り部材を持ち上げる力を補助することは難しい。
【00011】
本発明の可動式手摺りは、手摺り部材と保持部材の重量バランスのみで負荷を軽減しているため、手摺り部材の回動時には、重量差による一定の力で持ち上げる力ができ、かつスプリング等を設けることなく、低コストでの製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の可動式手摺りの全体図。
【図2】本発明の可動式手摺りの部分断面図。
【図3】本発明の可動式手摺りの部分断面図。
【図4】手摺り部材と保持部材の重量バランス図。
【図5】可動式手摺りの制動機構の作動状態図。
【図6】可動式手摺りの係止手段の部分図。
【図7】可動式手摺りが水平に係止された状態図。
【図8】可動式手摺りが垂直に係止された状態図。
【図9】手摺り部材の異なる形状図。
【図10】異なる形状の手摺り部材が水平に係止された状態図。
【図11】異なる形状の手摺り部材が垂直に係止された状態図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の可動式手摺りの全体図、図2は図3のB−B’断面図。図3は図2のA−A’断面図で、図3のようにU字状の手摺り部材1を保持するための半円状の手摺り保持部材2に、2箇所の突起部3と、突起部3の内側にU字状の手摺り部材1のU字端部を取り付けるための取付穴4を設け、取付穴4にU字状の手摺り部材1のU字端部を勘合し、それぞれのU字端部を取り付けネジ5で固定する。
【0014】
手摺り部材1の外周は弾力性のあるクッション6でコーティングすることにより、操作が不自由な人に対しての安全性を高めると共に、冬場などの低温下でも使用者が支障なく操作できるようにする。
【0015】
図2のように手摺り保持部材2の半円形の中心に支持穴7を設け、支持穴7に支持軸8を挿入し、手摺り保持部材2と支持軸8は固定ネジ9で固定して手摺り保持部材2と支持軸8を一体化する。可動式手摺りを壁面10に取り付けるための取付板11と、支持軸8を取り付けるための支持板12とからなる取付具13を、可動式手摺りを設置する壁面10に取付け、前記支持軸8の両端を支持板12間に回動可能に支持し、前記取付具13に前記各部品を覆うようにカバー14取り付ける。
【0016】
前記支持板12と手摺り保持部材2の両側の隙間には、手摺り保持部材2が回動する際の摺動抵抗の軽減、および焼き付き、キシミ音の発生防止のために異材質の座金15を入れ、支持軸8の両端は支持板12から支持8軸が抜けないように止め輪16にて固定する。
【0017】
図4は手摺り部材1と手摺り保持部材2が、支持軸8を支点として回動する際の回転バランスを表す図で、手摺り部材1側には、支点17から重心位置(C)までの長さ(L1)とU字状手摺り部材1の重量の積が、反時計回りの回転モーメントとして発生し、手摺り保持部材2側には、支点17から重心位置(D)までの長さ(L2)と手摺り保持部材2の重量の積が、時計回りの回転モーメントとして発生する。
【0018】
手摺り部材1の操作時に回動負荷を軽減するためには、前記の手摺り部材1の反時計回りの回転モーメントと、手摺り保持部材2側の時計回りの回転モーメントを相殺する必要があるが、可動式手摺りの構成上、手摺り部材1は支点17からの長さが長く、手摺り保持部材2は支点からの長さが短かいため、手摺り保持部材2に対して手摺り部材1の体積が大きくなり、同材質、構造の場合には、手摺り保持部材2に対して手摺り部材1の重量が重くなる。
【0019】
このため、手摺り部材側1に発生する反時計回りの回転モーメントと、手摺り保持部材2側に発生する時計回りの回転モーメントを相殺するためには、手摺り部材1を中空構造とし、手摺り保持部材2を中実構造にするか、あるいは手摺り部材1を樹脂などの軽量素材にし、手摺り保持部材2を金属などの重量素材にすることにより、手摺り部材1側と手摺り保持部材2側に発生する回転モーメントが相殺され、手摺り部材1の操作時に回動負荷を軽減することができる。
【0020】
上述のように手摺り部材1と手摺り保持部材2の回転モーメントを相殺することにより、バランスが保たれて、手摺り部材1を僅かな力で持ち上げることが出来るが、操作が不自由な人に対しての安全性を高めるために、手摺り部材1を垂直状態から水平状態まで回動する際に、何らかの要因により矢印のように落下するのを防ぐために、図5のように支持軸8と手摺り保持部材2の間に、手摺り部材1が垂直状態から水平状態への回動する際の回転を抑制するための、ダンパー18などの制動機構を設けることによりより安全性が保たれる。
【0021】
図6は手摺り部材1を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持するために、手摺り保持部材2に手摺り部材1の回動を阻止するための係止手段として、外周にネジ19を有する筒状部材に有底の中空部20を設け、内部にスプリング21とボール22を配置し、ボール22が抜け落ちないように中空部20の口元を縮径したプランジャー23と呼ばれる部品の図である。
【0022】
図7のように手摺り保持部材2の円周上に円弧状の開口部24を設け、開口部24の上下2カ所に、前記プランジャー23をプランジャー23のボール22先端部が突出するように取り付け、開口部24に対して直角方向に、両端が支持板12間に保持された係止ピン25を取り付ける。係止ピン25は支持板12側に固定されており、手摺り保持部材2の回動時には手摺り保持部材2の開口部24は、係止ピン25に沿って円弧状に移動する。
【0023】
可動式手摺りの利用者が手摺り部材1を降ろして水平状態に回動させる際には、手摺り保持部材2が回動し、一方のプランジャー23のボール22が係止ピン25に接触し、スプリング21にて付勢されているボール22が圧縮されながら係止ピン25を乗り越え、プランジャー23のボール22は係止ピン25を付勢した状態で係止するため、手摺り部材1は水平状態で固定される。
【0024】
同様に可動式手摺りの利用者が、手摺り部材1を持ち上げて垂直状態に回動させる際には、図8のように手摺り保持部材2が回動し、他方のプランジャー23のボール22が係止ピン25に接触し、スプリング21にて付勢されているボール22が圧縮されながら係止ピン25を乗り越え、プランジャー23のボール22は係止ピン25を付勢した状態で係止するため、手摺り部材1は垂直状態で固定される。
【0025】
図9は前記U字状の手摺り部材1を、I字状の1本の手摺り部材1にした場合の実施例で、図10および図11はI字状の1本の手摺り部材1が水平および垂直に係止された状態を表す図で、U字状の手摺り部材1と同様の効果を得ることが出来ると共に、構造が簡素化され、コストを低減することが出来る。
【0026】
なお、前記実施例では、手摺り部材1が垂直状態から水平状態への回動する際の回転を抑制するための制動機構として、ダンパー18などの制動機構としたが、手摺り部材1を垂直状態から水平状態まで回動する際に、何らかの要因による落下を防止するために、手摺り部材1の回動を抑制できればいかなる方法でもい。
【0027】
また、前記実施例では、手摺り部材1を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持するために、手摺り保持部材2に取り付けたプランジャー23と支持板12間に保持された係止ピン25による係止手段としたが、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持できればいかなる係止手段でもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 手摺り部材
2 手摺り保持部材
3 突起部
4 取付穴
6 クッション
7 支持穴
8 支持軸
9 固定ネジ
10 壁面
11 取付板
12 支持板
13 取付具
14 カバー
17 支点
18 ダンパー
19 ネジ
20 中空部
21 スプリング
22 ボール
24 開口部
25 係止ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療,福祉施設、および一般住宅等のトイレや浴室等に設置され、手摺りが垂直状態から水平状態に回動して、高齢者や身体障害者等の補助具として利用される可動式手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者や身体障害者がトイレや浴室を利用するために、補助具として手摺りが設置されている。手摺りには固定式と可動式とがあるが、固定式の場合、移動時には手摺りが障害となり、またスペース的にも問題があった。そのため、最近では可動式のものが多く設置され、不使用時には壁面等へ退避させ、使用時には水平状態にして使用者を補助する手摺りが提供されている。
【0003】
可動式手摺りには、手摺りを水平方向に回動させるタイプと、手摺りを上下方向に回動させるタイプとがあるが、水平方向に回動させるタイプは回動操作が容易であるが、周辺のスペースが必要となる問題がある。また上下方向に回動させるタイプは上方の空間を活用でき省スペースであるが、手摺りが垂直状態となる位置まで持ち上げる力が必要となり、また垂直状態から水平状態への手摺りの自重による降下が危険となるという難点を有している。しかしながら、水平方向に回動させるタイプを設備するためのスペースが不足しているトイレや浴室には、上下方向に回動させるタイプが適していることから、前記の操作上の問題を改善するために、手摺りの回動速度を制動できる可動式手摺りがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平9−209535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手摺りの回動速度を制動できる可動式手摺りにおいては、手摺りの垂直状態から水平状態までの回動を、制動機構により緩やかに降下させることができ、手摺りの自重により不意に降下することなく、使用時の安全性が確保できるという効果があるが、水平状態から垂直状態まで持ち上げるときには、制動機構の抵抗に手摺りの自重が加わり、使用後に手摺りを垂直状態まで持ち上げる際に大きな力が必要となっていた。
【0006】
本発明は、前記の制動機構付き可動手摺りの持ち上げ時の問題点を改善することを目的としてなされたものであつて、手摺りの使用時に垂直状態から水平状態まで緩やかに降下させることができ、また手摺りの使用後には水平状態から垂直状態までの持ち上げる力を軽減することができる可動式手すりを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手摺り部材の端部に手摺り保持部材を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、支持軸を支点に手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、支持軸を支点とした手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行える。
【0008】
また、手摺り部材を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する係止手段を設け、手摺り部材を垂直状態から水平状態まで回動する際に、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述の様に、本発明の可動式手摺りは、手摺り部材の重量に対して、保持部材の重量を同重量に近づけることにより、支持軸を支点とした回動操作で手摺り部材を持ち上げる場合、従来の可動式手摺りでは手摺り部材の重量が負荷として掛るが、本発明の可動式手摺りは、手摺り部材の重量と保持部材の重量が相殺され、手摺り部材と保持部材の重量差のみが負荷として掛るため、非常に軽く持ち上げることができる。
【0010】
また、従来の可動式手摺りでは手摺り部材の重量による負荷を軽減するために、スプリング等を設けて持ち上げる際の力を補っているものもあるが、部品点数の増加によるコストアップに加え、手摺り部材の回動時には、スプリングが伸縮するためスプリングだけの機構では、一定の力で手摺り部材を持ち上げる力を補助することは難しい。
【00011】
本発明の可動式手摺りは、手摺り部材と保持部材の重量バランスのみで負荷を軽減しているため、手摺り部材の回動時には、重量差による一定の力で持ち上げる力ができ、かつスプリング等を設けることなく、低コストでの製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の可動式手摺りの全体図。
【図2】本発明の可動式手摺りの部分断面図。
【図3】本発明の可動式手摺りの部分断面図。
【図4】手摺り部材と保持部材の重量バランス図。
【図5】可動式手摺りの制動機構の作動状態図。
【図6】可動式手摺りの係止手段の部分図。
【図7】可動式手摺りが水平に係止された状態図。
【図8】可動式手摺りが垂直に係止された状態図。
【図9】手摺り部材の異なる形状図。
【図10】異なる形状の手摺り部材が水平に係止された状態図。
【図11】異なる形状の手摺り部材が垂直に係止された状態図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の可動式手摺りの全体図、図2は図3のB−B’断面図。図3は図2のA−A’断面図で、図3のようにU字状の手摺り部材1を保持するための半円状の手摺り保持部材2に、2箇所の突起部3と、突起部3の内側にU字状の手摺り部材1のU字端部を取り付けるための取付穴4を設け、取付穴4にU字状の手摺り部材1のU字端部を勘合し、それぞれのU字端部を取り付けネジ5で固定する。
【0014】
手摺り部材1の外周は弾力性のあるクッション6でコーティングすることにより、操作が不自由な人に対しての安全性を高めると共に、冬場などの低温下でも使用者が支障なく操作できるようにする。
【0015】
図2のように手摺り保持部材2の半円形の中心に支持穴7を設け、支持穴7に支持軸8を挿入し、手摺り保持部材2と支持軸8は固定ネジ9で固定して手摺り保持部材2と支持軸8を一体化する。可動式手摺りを壁面10に取り付けるための取付板11と、支持軸8を取り付けるための支持板12とからなる取付具13を、可動式手摺りを設置する壁面10に取付け、前記支持軸8の両端を支持板12間に回動可能に支持し、前記取付具13に前記各部品を覆うようにカバー14取り付ける。
【0016】
前記支持板12と手摺り保持部材2の両側の隙間には、手摺り保持部材2が回動する際の摺動抵抗の軽減、および焼き付き、キシミ音の発生防止のために異材質の座金15を入れ、支持軸8の両端は支持板12から支持8軸が抜けないように止め輪16にて固定する。
【0017】
図4は手摺り部材1と手摺り保持部材2が、支持軸8を支点として回動する際の回転バランスを表す図で、手摺り部材1側には、支点17から重心位置(C)までの長さ(L1)とU字状手摺り部材1の重量の積が、反時計回りの回転モーメントとして発生し、手摺り保持部材2側には、支点17から重心位置(D)までの長さ(L2)と手摺り保持部材2の重量の積が、時計回りの回転モーメントとして発生する。
【0018】
手摺り部材1の操作時に回動負荷を軽減するためには、前記の手摺り部材1の反時計回りの回転モーメントと、手摺り保持部材2側の時計回りの回転モーメントを相殺する必要があるが、可動式手摺りの構成上、手摺り部材1は支点17からの長さが長く、手摺り保持部材2は支点からの長さが短かいため、手摺り保持部材2に対して手摺り部材1の体積が大きくなり、同材質、構造の場合には、手摺り保持部材2に対して手摺り部材1の重量が重くなる。
【0019】
このため、手摺り部材側1に発生する反時計回りの回転モーメントと、手摺り保持部材2側に発生する時計回りの回転モーメントを相殺するためには、手摺り部材1を中空構造とし、手摺り保持部材2を中実構造にするか、あるいは手摺り部材1を樹脂などの軽量素材にし、手摺り保持部材2を金属などの重量素材にすることにより、手摺り部材1側と手摺り保持部材2側に発生する回転モーメントが相殺され、手摺り部材1の操作時に回動負荷を軽減することができる。
【0020】
上述のように手摺り部材1と手摺り保持部材2の回転モーメントを相殺することにより、バランスが保たれて、手摺り部材1を僅かな力で持ち上げることが出来るが、操作が不自由な人に対しての安全性を高めるために、手摺り部材1を垂直状態から水平状態まで回動する際に、何らかの要因により矢印のように落下するのを防ぐために、図5のように支持軸8と手摺り保持部材2の間に、手摺り部材1が垂直状態から水平状態への回動する際の回転を抑制するための、ダンパー18などの制動機構を設けることによりより安全性が保たれる。
【0021】
図6は手摺り部材1を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持するために、手摺り保持部材2に手摺り部材1の回動を阻止するための係止手段として、外周にネジ19を有する筒状部材に有底の中空部20を設け、内部にスプリング21とボール22を配置し、ボール22が抜け落ちないように中空部20の口元を縮径したプランジャー23と呼ばれる部品の図である。
【0022】
図7のように手摺り保持部材2の円周上に円弧状の開口部24を設け、開口部24の上下2カ所に、前記プランジャー23をプランジャー23のボール22先端部が突出するように取り付け、開口部24に対して直角方向に、両端が支持板12間に保持された係止ピン25を取り付ける。係止ピン25は支持板12側に固定されており、手摺り保持部材2の回動時には手摺り保持部材2の開口部24は、係止ピン25に沿って円弧状に移動する。
【0023】
可動式手摺りの利用者が手摺り部材1を降ろして水平状態に回動させる際には、手摺り保持部材2が回動し、一方のプランジャー23のボール22が係止ピン25に接触し、スプリング21にて付勢されているボール22が圧縮されながら係止ピン25を乗り越え、プランジャー23のボール22は係止ピン25を付勢した状態で係止するため、手摺り部材1は水平状態で固定される。
【0024】
同様に可動式手摺りの利用者が、手摺り部材1を持ち上げて垂直状態に回動させる際には、図8のように手摺り保持部材2が回動し、他方のプランジャー23のボール22が係止ピン25に接触し、スプリング21にて付勢されているボール22が圧縮されながら係止ピン25を乗り越え、プランジャー23のボール22は係止ピン25を付勢した状態で係止するため、手摺り部材1は垂直状態で固定される。
【0025】
図9は前記U字状の手摺り部材1を、I字状の1本の手摺り部材1にした場合の実施例で、図10および図11はI字状の1本の手摺り部材1が水平および垂直に係止された状態を表す図で、U字状の手摺り部材1と同様の効果を得ることが出来ると共に、構造が簡素化され、コストを低減することが出来る。
【0026】
なお、前記実施例では、手摺り部材1が垂直状態から水平状態への回動する際の回転を抑制するための制動機構として、ダンパー18などの制動機構としたが、手摺り部材1を垂直状態から水平状態まで回動する際に、何らかの要因による落下を防止するために、手摺り部材1の回動を抑制できればいかなる方法でもい。
【0027】
また、前記実施例では、手摺り部材1を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持するために、手摺り保持部材2に取り付けたプランジャー23と支持板12間に保持された係止ピン25による係止手段としたが、手摺り部材1を水平状態、または垂直状態に保持できればいかなる係止手段でもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 手摺り部材
2 手摺り保持部材
3 突起部
4 取付穴
6 クッション
7 支持穴
8 支持軸
9 固定ネジ
10 壁面
11 取付板
12 支持板
13 取付具
14 カバー
17 支点
18 ダンパー
19 ネジ
20 中空部
21 スプリング
22 ボール
24 開口部
25 係止ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺り部材の端部に手摺り保持部材を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、支持軸を支点に手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、支持軸を支点とした手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行えることを特徴とする可動式手摺り。
【請求項2】
前記可動式手摺りにおいて、手摺り部材を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する、係止手段を設けた請求項1記載の可動式手摺り。
【請求項3】
前記可動式手摺りにおいて、手摺り部材を垂直状態から水平状態まで回動する際に、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設けた請求項2記載の可動式手摺り。
【請求項1】
手摺り部材の端部に手摺り保持部材を連結し、手摺り保持部材に支持軸を設け、支持軸の両端を壁面に取り付けられた取付具の支持板間に回動可能に支持し、支持軸を支点に手摺り部材が、垂直状態から水平状態まで回動可能な可動式手摺りにおいて、手摺り部材と手摺り保持部材の重量比により、支持軸を支点として回動する回転力が相殺され、支持軸を支点とした手摺り部材の回動時の負荷を軽減し、手摺り部材の水平状態から垂直状態まで、および垂直状態から水平状態までの回動操作が、僅かな力で容易に行えることを特徴とする可動式手摺り。
【請求項2】
前記可動式手摺りにおいて、手摺り部材を垂直状態から水平状態、または水平状態から垂直状態へ回動した後、手摺り部材を水平状態、または垂直状態に維持するために、手摺り保持部材に手摺り部材の回動を阻止する、係止手段を設けた請求項1記載の可動式手摺り。
【請求項3】
前記可動式手摺りにおいて、手摺り部材を垂直状態から水平状態まで回動する際に、手摺り部材の急激な落下を抑制するために、支持軸と手摺り保持部材の間に、手摺り部材の回動を抑制するための、制動機構を設けた請求項2記載の可動式手摺り。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−106250(P2011−106250A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278917(P2009−278917)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(592048176)ケージーパルテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(592048176)ケージーパルテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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