説明

可動接点及びこれを備えた接点構造

【目的】 本発明は、固定接点又は抵抗体の磨耗を低減することができる可動接点を提供する。
【構成】 第1可動接点100は、第1固定接点300上を回転可能なリング状の金属板である。この第1可動接点100は、ベース110と、ベース110の固着部112に連接された第1、第2アーム120a、120bと、第1、第2アーム120a、120bの先端部に連接された第1、第2摺動部130a、130bとを備えている。第1、第2摺動部130a、130bは、第1可動接点100の回転に応じて互いに異なる摺動軌道で第1固定接点300上を摺動し得るように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動接点及びこれを備えた接点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接点構造としては、入力装置の回転操作可能な操作体の回転を検出可能な回転検出手段を構成しているものがある。前記接点構造は、操作体の回転に伴って回転可能な可動接点と、環状に間隔をあけて配置された複数の固定接点とを有している。可動接点は、当該可動接点の回転により、固定接点上を選択的に摺動可能な3つの摺動部を有している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−148219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記可動接点の全ての摺動部は、同じ摺動軌道で固定接点上を摺動するように配置されている。このため、固定接点が磨耗し易かった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、固定接点又は抵抗体の磨耗を低減することができる可動接点及びこれを備えた接点構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可動接点は、固定接点又は抵抗体上を可動可能である。この可動接点は、当該可動接点の可動に応じて互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように配置された第1、第2摺動部を備えている。
【0007】
このような発明の態様による場合、可動接点の可動に応じて第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように配置されている。よって、前記可動接点は、第1、第2摺動部が同じ摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動する場合に比べて、固定接点又は抵抗体の磨耗を低減することができる。
【0008】
前記第1摺動部は隣り合う2つの第1脚を有する構成とすることが可能である。前記第2摺動部は隣り合う2つの第2脚を有する構成とすることが可能である。前記第1、第2脚は、一方の前記第1脚の摺動軌道が前記第2脚の摺動軌道の間に位置すると共に、一方の前記第2脚の摺動軌道が前記第1脚の摺動軌道の間に位置するように配置された構成とすることが可能である。
【0009】
このような発明の態様による場合、第1、第2摺動部の第1、第2脚は、一方の前記第1脚の摺動軌道が前記第2脚の摺動軌道の間に位置すると共に、一方の前記第2脚の摺動軌道が前記第1脚の摺動軌道の間に位置するように配置されている。すなわち、第1、第2摺動部が、部分的に重なって配置されているので、第1、第2摺動部が摺動方向に重ならないように配置される場合に比べて、前記可動接点の幅寸法を小さくすることが可能になる。
【0010】
前記可動接点は、前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように設けられたベースを更に備えた構成とすることが可能である。又は、前記可動接点は、ベースと、前記ベースに設けられた第1、第2アームとを更に備えた構成とすることが可能である。前記第1、第2摺動部は、前記第1、第2アームに設けられた構成とすることが可能である。前記第1、第2アームは、前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように前記ベースから延びている。
【0011】
前記可動接点が第1固定接点又は抵抗体上を回転可能である場合、前記第1、第2摺動部の摺動軌道が環状とすることが可能である。
【0012】
本発明の第1接点構造は、上記した何れかの態様の可動接点と、固定接点又は抵抗体とを備えた構成とすることが可能である。前記可動接点の可動により、当該可動接点の前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で前記固定接点又は抵抗体上を摺動可能である。
【0013】
本発明の第2接点構造は、上記した可動接点と、環状に間隔をあけて配置された複数の第1固定接点とを備えた構成とすることが可能である。前記可動接点は、前記第1固定接点上を回転可能となっている。前記可動接点の回転により、前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で前記第1固定接点上を摺動可能になっている。
【0014】
前記可動接点は、当該可動接点の回転により前記第1固定接点上を摺動可能な第3、第4摺動部を更に有する構成とすることが可能である。前記第1固定接点は、環状に間隔をあけて配置された複数の第1信号用接点、複数の第2信号用接点及び複数のコモン接点とすることが可能である。前記第1、第2、第3、第4摺動部の何れか一つが前記第1信号用接点の何れか一つに接触するとき、前記第1、第2、第3、第4摺動部の残りの何れか一つが前記コモン接点の何れか一つに接触し、前記第1、第2、第3、第4摺動部の何れか一つが前記第2信号用接点の何れか一つに接触するとき、前記第1、第2、第3、第4摺動部の残りの何れか一つが前記コモン接点の何れか一つに接触するようになっている。
【0015】
このような発明の態様による場合、4つの摺動部が第1、第2信号用接点及びコモン接点に選択的に接触するようになっているので、3つ以下の摺動部が第1、第2信号用接点及びコモン接点に選択的に接触する場合に比べて、第1、第2信号用接点及びコモン接点の数を減らすことが可能になる。
【0016】
前記第2接点構造は 前記第1固定接点の内側に配置された第2固定接点と、前記第2固定接点から前記第1固定接点の外側に延びており且つ前記可動接点の第1、第2摺動部の摺動軌道に交差した引き出し線と、前記引き出し線の前記摺動軌道との交差部分を少なくとも覆うカバーとを更に備えた構成とすることが可能である。
【0017】
このような発明の態様による場合、カバーが引き出し線の摺動軌道との交差部分を覆っているので、第1固定接点、この内側に配置される第2固定接点及び引き出し線を基板の同一面に設けることができる。よって、前記第2接点構造を備えた装置の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の実施例1に係る接点構造の正面、平面及び右側面を表した概略的分解斜視図である。
【図1B】本発明の実施例1に係る接点構造の正面、底面及び右側面を表した概略的分解斜視図である。
【図2】前記接点構造の第1可動接点の概略的平面図である。
【図3】前記接点構造の第1、第2固定接点及びカバーの概略的平面図である。
【図4A】前記接点構造の第1、第2固定接点及び透過させたカバーの概略的平面図であって、第1可動接点の摺動部の摺動軌道を表した図である。
【図4B】前記接点構造の第1、第2固定接点及び透過させたカバーの概略的平面図であって、従来の可動接点の摺動部の摺動軌道を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例1に係る接点構造について図1A〜図4Bを参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0020】
図1A及び図1Bに示す接点構造は、図示しない入力装置の回転操作入力及び押下操作入力を検出するための接点構造として使用される。この接点構造は、第1可動接点100(特許請求の範囲の可動接点)と、第2可動接点200と、複数の第1固定接点300と、第2固定接点400a、400bと、引き出し線510、521、522と、カバー600とを備えている。第1可動接点100及び第1固定接点300が前記入力装置のリング状のダイヤルによる回転操作入力を検出する回転検出手段を構成し、第2可動接点200及び第2固定接点400a、400bが前記入力装置のダイヤルの内側に配置された押下ボタンによる押下操作入力を検出する押下検出手段を構成している。第1固定接点300、第2固定接点400a、400b、引き出し線510、521、522及びカバー600は、前記入力装置の基板の第1面上に設けられる。第1可動接点100は前記基板の第1面上を第1固定接点300に沿って回転可能に配置される。第2可動接点200は、前記基板の第1面の第2固定接点400b上に配置される。以下、前記接点構造の各構成要素について詳しく説明する。
【0021】
第1可動接点100は導電性を有するリング状の金属板である。この第1可動接点100は、図1A〜図2に示すように、ベース110と、アーム120a、120b、120c、120d(第1、第2、第3、第4アーム)と、摺動部130a、130b、130c、130d(第1、第2、第3、第4摺動部)とを有している。ベース110は、円環状のリング111と、このリング111の外周部に90°ピッチ間隔で放射状に設けられた円環状の4つの固着部112とを有している。固着部112は、上記入力装置のダイヤルに直接的又は間接的に固着可能となっている。ベース110の固着部112がダイヤルに固着されることにより、ダイヤルの回転に伴って第1可動接点100が第1固定接点300に沿って周方向に回転可能となる。
【0022】
アーム120aは、ベース110の固着部112に連接され且つ当該リング111の軸方向(第1固定接点300側)に傾斜した円弧状の板である。アーム120aは、二股状の先端部121a、122aを有している。アーム120cはアーム120aと同じ形状となっている。アーム120b、120dの形状は、後述するようにアーム120a、120cの形状と若干相違している。図2中の121b、122bはアーム120bの二股状の先端部、121c、122cはアーム120cの二股状の先端部、121d、122dはアーム120dの二股状の先端部である。
【0023】
摺動部130aは、アーム120aの先端部121a、122aに連接され且つリング111の半径方向に隣り合う脚部131a、132a(第1脚部)を有している。脚部131a、132aは、リング111の軸方向(第1固定接点300側)に凸の半円弧状の板である。摺動部130b、130c、130dは摺動部130aと同じ形状である。図2中の131b、132bは、摺動部130bの脚部(第2脚部)、131c、132cは摺動部130cの脚部(第3脚部)、131d、132dは摺動部130dの脚部(第4脚部)である。第1可動接点100の回転に応じて、脚部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131d、132dが基板の第1面の第1固定接点300上を前記周方向(摺動方向)に摺動可能となっている。
【0024】
なお、脚部131a、132aが基板の第1面の第1固定接点300上を摺動することにより、当該基板の第1面上に描かれる円環状の軌跡が、図3に破線で示す脚部131a、132aの摺動軌道r1、r2となる。また、脚部131b、132bが基板の第1面の第1固定接点300上を摺動することにより、当該基板の第1面上に描かれる円環状の軌跡が、図3に破線で示す脚部131b、132bの摺動軌道r3、r4となる。脚部131c、132cの摺動軌道は、脚部131a、132aの摺動軌道と同じr1、r2(摺動部130a、130cの摺動軌道)である。脚部131d、132dの摺動軌道は、脚部131b、132bの摺動軌道と同じr3、r4(摺動部130b、130dの摺動軌道)である。すなわち、摺動部130a、130cの摺動軌道が同じであり、摺動部130b、130dの摺動軌道が同じである。
【0025】
アーム120a、120b、120c、120dは、摺動部130a、130cの摺動軌道r1、r2と摺動部130b、130dの摺動軌道r3、r4とが異なるように、ベース110から延びている。具体的には、アーム120a、120cが、アーム120b、120dよりも前記半径方向の外側に張り出すように延びることにより、摺動軌道r2が摺動軌道r3と摺動軌道r4との間に位置し、摺動軌道r3が摺動軌道r1と摺動軌道r2との間に位置している。この点で、アーム120a、120cの形状とアーム120b、120dの形状とが相違している。
【0026】
第2可動接点200は、図1A及び図1Bに示すように、導電性を有するドーム状の金属板である。第2可動接点200は、周縁部210と、頂部220とを有している。周縁部210は第2固定接点400b上に設置される。頂部220は、第2固定接点400aに対向配置されると共に、上記入力装置の押下ボタンの下側に配置される。第2可動接点200の頂部220が前記押下ボタンに押下されることにより、第2可動接点200が第2固定接点400a側に弾性変形(反転)し、第2固定接点400aに接触可能となっている。
【0027】
第1固定接点300は、図3に示すように、3つの第1信号用接点310、3つの第2信号用接点320、3つのコモン接点330及び複数のダミー接点340(340a、340bを含む。)である。第1、第2信号用接点310、320、コモン接点330及びダミー接点340は、上記入力装置の基板の第1面の摺動軌道r1〜r4上に環状に間隔をあけて配設された導体である。第1、第2信号用接点、コモン接点及びダミー接点は、340a、320、340、320、340、320、340、330、340、330、340、330、340、310、340、310、340、310、340bの順で図3において反時計回りで配置されている。
【0028】
第1、第2信号用接点310、320は、前記基板の第1面、その裏側の第2面及び/又は基板内部に設けられた引き出し線に接続されている。前記引き出し線は、前記入力装置の制御部に接続される。コモン接点330は、前記基板の第1面、第2面及び/又は基板内部に設けられた引き出し線に接続されている。前記引き出し線は、GND接続される。ダミー接点340(340a、340bを含む。)は独立している(すなわち、他に接続されない。)。ダミー接点340aと、ダミー接点340bとの間には間隙が生じている。
【0029】
第1信号用接点310、320には所定の電圧が印加される。電圧が第1信号用接点310、320に印加された状態で、第1可動接点100が回転すると、摺動部130a、130b、130c、130dの何れか一つが第1信号用接点310の何れか一つに接触すると共に、摺動部130a、130b、130c、130dの残りの何れか一つがコモン接点330の何れか一つに接触する。これにより、第1パルス信号が第1信号用接点310に接続された引き出し線を通じて出力される。摺動部130a、130b、130c、130dの何れか一つが第2信号用接点320の何れか一つに接触すると共に、摺動部130a、130b、130c、130dの残りの何れか一つがコモン接点330の何れか一つに接触する。これにより、第2パルス信号が第2信号用接点320の引き出し線を通じて出力される。第1信号用接点310、320のパターンは、第1パルス信号と第2パルス信号との位相がずれるように設定されている。第1、第2パルス信号のうちいずれが先に上記入力装置の制御部に入力されるかにより、前記制御部が上記入力装置のダイヤルの回転方向を検出可能となっている。また、第1、第2パルス信号が前記制御部にカウントされることにより、前記制御部がダイヤルの回転量(すなわち、回転角)を検出可能となっている。このように第1可動接点100及び第1固定接点300が前記入力装置の回転操作入力を検出する回転検出手段として機能している。
【0030】
第2固定接点400aは、図3に示すように、前記基板の第1面上の第1固定接点300の内側に設けられた円形の導体である。第2固定接点400bは、前記基板の第1面上に第2固定接点400aと同心円状に設けられた略C字状の導体である。引き出し線510は、前記基板の第1面上に設けられ、第2固定接点400aに接続されている。引き出し線510は、第2固定接点400aからダミー接点340aとダミー接点340bとの間を通って第1固定接点300の外側(第1固定接点300により確定される仮想円の外側)に延びている。引き出し線521、522は、前記基板の第1面上に設けられ、第2固定接点400bの2つの端部に接続されている。引き出し線521、522は、第2固定接点400bからダミー接点340aとダミー接点340bとの間を通って前記仮想円の外側に延びている。すなわち、引き出し線510、521、522は、摺動軌道r1〜r4に交差している。引き出し線510は上記入力装置の制御部に接続される。引き出し線521、522はGND接続される。第2可動接点200の頂部220が第2固定接点400aに接触に接触することにより、第2固定接点400a、400bが導通し、上記入力装置の押下ボタンの押下操作入力を示す信号が引き出し線510を通じて前記制御部に出力される。このように第2可動接点200及び第2固定接点400a、400bが前記入力装置の押下操作入力を検出する押下検出手段として機能している。
【0031】
カバー600は、図3に示すように、上記基板の第1面上に設けられた絶縁体又はレジストである。カバー600は、扇状のカバー本体610と、リング状のサークル620とを有している。カバー本体610は、引き出し線510、521、522を、第2固定接点400aの近傍から前記仮想円の外側まで覆っている。すなわち、カバー本体610が引き出し線510、521、522の摺動軌道r1〜r4との交差部分を覆っている。また、カバー本体610は、ダミー接点340a、340bの内側部も覆っている。サークル620は、カバー本体610の外縁部に連接され且つ第1固定接点300の仮想円の外側に同心円状に配置されている。
【0032】
以上のような接点構造による場合、図4Aに示すように第1可動接点100の摺動部130a、130cが摺動軌道r1、r2で、摺動部130b、130dが摺動軌道r3、r4で第1固定接点300上を摺動するので、図4Bに示すように4つの摺動部が同じ摺動軌道r5、r6で第1固定接点300上を摺動する場合に比べて、第1固定接点300の磨耗を低減させることができる。具体的には、第1固定接点300の磨耗が略半減する。
【0033】
しかも、摺動部130a、130b、130c、130dは、脚部132a、132cの摺動軌道r2が脚部131b、131dの摺動軌道r3と脚部132b、132dの摺動軌道r4との間に位置し且つ脚部131b、131dの摺動軌道r3が脚部131a、131cの摺動軌道r1と脚部132a、132cの摺動軌道r2との間に位置するように配置されている。換言すると、摺動部130a、130cと摺動部130b、130dとが上記摺動方向に部分的に重なるように配置されている。よって、摺動部130a、130cと摺動部130b、130dとが摺動方向に重ならないように配置されている場合に比べて、第1可動接点100の半径方向の寸法の低減を図ることができる。その結果、第1可動接点100を備えた入力装置の前記半径方向の寸法の小型化を図ることが可能になる。
【0034】
また、4つの摺動部130a、130b、130c、130dが、第1、第2信号用接点310、320及びコモン接点330に選択的に接触して第1、第2パルス信号を出力するようになっている。よって、3つ以下の摺動部が第1、第2信号用接点及びコモン接点に選択的に接触する場合に比べて、第1、第2信号用接点及びコモン接点の数を減らすことができる。具体的には、第1、第2パルス信号のパルス数が12である場合、可動接点の摺動部の数が3であると、第1、第2信号用接点及びコモン接点の数は4となる。これに対し、第1可動接点100の摺動部の数が4つであるので、第1、第2信号用接点310、320及びコモン接点330の数が3とすることができる。このように第1、第2信号用接点310、320及びコモン接点330の数を減らすことで、上記入力装置の低コスト化を図ることができる。また、第1、第2信号用接点310、320及びコモン接点330の数を減らすことにより、引き出し線510、521、522を第1固定接点300の間から第1固定接点300の外側に引き出し易くなる。
【0035】
なお、上述した接点構造及び第1可動接点100は、上記実施例1に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0036】
上記実施例1では、第1可動接点100は第1固定接点300上を周方向に回転可能なリング状の金属板であるとした。しかし、第1可動接点は、固定接点又は抵抗体上を可動可能である限り、任意に設計変更することが可能である。例えば、第1可動接点が直線状の固定接点又は抵抗体上を直線移動可能な構成とすることが可能である。また、第1可動接点がリング状の抵抗体上を回転可能な構成とすることが可能である。
【0037】
上記実施例1では、第1可動接点100は、ベース110と、アーム120a、120b、120c、120dと、摺動部130a、130b、130c、130dとを有するとした。しかし、第1可動接点は、当該可動接点の可動に応じて互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように配置された第1、第2摺動部を備えている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、第1可動接点は、ベースと、このベースに互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように設けられた第1、第2摺動部とを備えた構成とすることが可能である。
【0038】
上記実施例1では、摺動部130a、130b(第1、第2摺動部)の摺動軌道が、円環状であるとした。しかし、第1、第2摺動部の摺動軌道は、これに限定されるものではない。例えば、第1可動接点が直線状の固定接点又は抵抗体上を直線移動可能である場合、第1、第2摺動部の摺動軌道は直線状となる。
【0039】
上記実施例1では、摺動部130a(第1摺動部)は、脚部131a、132aを有し、摺動部130b(第2摺動部)は、脚部131b、132bを有するとした。しかし、第1、第2摺動部は、互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得る限り任意に設計変更することが可能である。よって、第1、第2摺動部は一つの脚部のみを有する構成とすることが可能であるし、3以上の脚部を有する構成とすることが可能である。なお、第1可動接点が直線状の固定接点又は抵抗体上を直線移動可能な構成とする場合でも、第1、第2摺動部は一つの脚部のみを有する構成とすることが可能であるし、上記実施例1と同様の構成とすることが可能であるし、3以上の脚部を有する構成とすることが可能である。
【0040】
上記実施例1では、摺動部130a、130cの摺動軌道が同じであり、摺動部130b、130dの摺動軌道が同じであるとした。しかし、第1、第2、第3、第4摺動部の摺動軌道が相違するように、第1、第2、第3、第4摺動部の位置をアレンジすることが可能である。
【0041】
上記実施例1では、アーム120a、120b(第1、第2アーム)は、ベース110の固着部112に連接され且つ当該リング111の軸方向(第1固定接点300側)に傾斜した円弧状の板であるとした。しかし、第1、第2アームは、第1、第2摺動部が可動接点の可動に応じて互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように延びている限り任意に設計変更することが可能である。
【0042】
上記実施例1では、ベース110は、リング111と、4つの固着部112とを有しているとした。しかし、ベースは、上記第1、第2アーム又は第1、第2摺動部が設けられる限り任意に設計変更することが可能である。例えば、円板状のベースに、第1、第2アーム又は第1、第2摺動部を設けることが可能である。また、ベースは板状である必要はなく、ダイヤルに蒸着させた導体等とすることが可能である。
【0043】
上記実施例1では、第1固定接点300は、3つの第1信号用接点310と、3つの第2信号用接点320と、3つのコモン接点330と、複数のダミー接点340(340a、340bを含む。)とを有するとした。しかし、第1固定接点は、上記第1可動接点の可動に応じて前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で摺動可能な導体である限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1では、第1信号用接点310、第2信号用接点320と、コモン接点330の数は3つであるとしたが、これに限定されるものではない。ダミー接点340は省略可能である。
【0044】
上記実施例1では、接点構造は、第2可動接点200、第2固定接点400a、400b、引き出し線510、521、522及びカバー600を備えているとした。しかし、本発明の接点構造は、第2可動接点、第2固定接点、引き出し線及びカバーを省略した構成とすることが可能である。
【0045】
上記実施例1では、第2可動接点200及び第2固定接点400a、400bは入力装置の押下操作入力を検出する押下検出手段であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2可動接点200に替えて、第2固定接点400a、400bに電子部品を接続するように設計変更することが可能である。電子部品としては、LED、ライン型の指紋認証センサ、マイクロフォン又は近接スイッチ等がある。前記近接スイッチとしては、上記押下ボタンに取り付けられた磁石の移動に応じて磁界の変化を検出する磁気センサ、上記押下ボタンに取り付けられた金属板の移動に応じて当該金属板との間の静電容量が変化する静電センサ又はフォトインタラプタ等の光学センサを用いることが可能である。また、第2固定接点は少なくとも一つあれば良い。この場合、ケーブルやピン等の別の接続手段を用いて、第2可動接点200や前記電子部品をGND接続すれば良い。
【0046】
上記実施例1では、引き出し線521、522が第2固定接点400bに接続されているとした。しかし、引き出し線521、522は省略することが可能である。この場合、第2固定接点400bは第1固定接点のコモン接点に接続される。また、上記実施例1では、引き出し線510、521、522は、基板の第1面上に設けられているとしたが、基板の第1、第2面及び/又は内部に設けることが可能である。また、引き出し線は、ダミー接点340aとダミー接点340bとの間を以外の隣り合う第1固定接点の間を通って第2固定接点から前記第1固定接点の外側に延びる構成とすることが可能である。
【0047】
上記実施例1では、第2可動接点200は導電性を有するドーム状の金属プレートであるとした。しかし、第2可動接点は、第2固定接点に対向配置され、前記第2固定接点に向けて弾性変形又は前記第2固定接点に向けて可動することにより当該第2固定接点に接触可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、第2可動接点は、断面半円弧状の導電板とすることが可能である。
【0048】
上記実施例1では、カバー600は、カバー本体610と、サークル620とを備えているとした。しかし、カバーは、第2固定接点に接続された引き出し線の第1、第2摺動部の摺動軌道との交差部分を少なくとも覆うものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0049】
なお、上記実施の形態では、接点構造及び第1可動接点の各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。なお、本発明の接点構造及び第1可動接点は、入力装置の検出手段に用いられるとしたが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
100・・・・第1可動接点(特許請求の範囲の可動接点)
110・・・ベース
111・・リング
112・・固着部
120a・・アーム(第1アーム)
120b・・アーム(第2アーム)
120c・・アーム(第3アーム)
120d・・アーム(第4アーム)
130a・・摺動部(第1摺動部)
131a・脚部(第1脚部)
132a・脚部(第1脚部)
130b・・摺動部(第2摺動部)
131b・脚部(第2脚部)
132b・脚部(第2脚部)
130c・・摺動部(第3摺動部)
131c・脚部(第3脚部)
132c・脚部(第3脚部)
130d・・摺動部(第4摺動部)
131d・脚部(第4脚部)
132d・脚部(第4脚部)
200・・・・第2可動接点
300・・・・第1固定接点
310・・・第1信号用接点
320・・・第2信号用接点
330・・・コモン接点
340・・・ダミー接点
r1、r2・摺動軌道(摺動部130a、130cの摺動軌道)
r3、r4・摺動軌道(摺動部130b、130dの摺動軌道)
400a・・・第2固定接点
400b・・・第2固定接点
510・・・・引き出し線
521・・・・引き出し線
522・・・・引き出し線
600・・・・カバー
610・・・カバー本体
620・・・サークル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点又は抵抗体上を可動可能な可動接点において、
当該可動接点の可動に応じて互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように配置された第1、第2摺動部を備えている可動接点。
【請求項2】
請求項1記載の可動接点において、
前記第1摺動部は隣り合う2つの第1脚を有しており、
前記第2摺動部は隣り合う2つの第2脚を有しており、
前記第1、第2脚は、一方の前記第1脚の摺動軌道が前記第2脚の摺動軌道の間に位置すると共に、一方の前記第2脚の摺動軌道が前記第1脚の摺動軌道の間に位置するように配置されている可動接点。
【請求項3】
請求項1又は2記載の可動接点において、
前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように設けられたベースを更に備えている可動接点。
【請求項4】
請求項1又は2の可動接点において、
ベースと、
前記ベースに設けられた第1、第2アームとを更に備えており、
前記第1、第2摺動部は、前記第1、第2アームに設けられており、
前記第1、第2アームは、前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で固定接点又は抵抗体上を摺動し得るように前記ベースから延びている可動接点。
【請求項5】
固定接点又は抵抗体上を回転可能な請求項1〜4の何れかに記載の可動接点において、
前記第1、第2摺動部の摺動軌道が環状である可動接点。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の可動接点と、
固定接点又は抵抗体とを備えており、
前記可動接点の可動により、当該可動接点の前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で前記固定接点又は抵抗体上を摺動可能である接点構造。
【請求項7】
請求項5記載の可動接点と、
環状に間隔をあけて配置された複数の第1固定接点とを備えており、
前記可動接点は、前記第1固定接点上を回転可能となっており、
前記可動接点の回転により、前記第1、第2摺動部が互いに異なる摺動軌道で前記第1固定接点上を摺動可能である接点構造。
【請求項8】
請求項7記載の接点構造において、
前記可動接点は、当該可動接点の回転により前記第1固定接点上を摺動可能な第3、第4摺動部を更に有しており、
前記第1固定接点は、環状に間隔をあけて配置された複数の第1信号用接点、複数の第2信号用接点及び複数のコモン接点であり、
前記第1、第2、第3、第4摺動部の何れか一つが前記第1信号用接点の何れか一つに接触するとき、前記第1、第2、第3、第4摺動部の残りの何れか一つが前記コモン接点の何れか一つに接触し、
前記第1、第2、第3、第4摺動部の何れか一つが前記第2信号用接点の何れか一つに接触するとき、前記第1、第2、第3、第4摺動部の残りの何れか一つが前記コモン接点の何れか一つに接触する接点構造。
【請求項9】
請求項7又は8記載の接点構造において、
前記第1固定接点の内側に配置された第2固定接点と、
前記第2固定接点から前記第1固定接点の外側に延びており且つ前記可動接点の第1、第2摺動部の摺動軌道に交差した引き出し線と、
前記引き出し線の前記摺動軌道との交差部分を少なくとも覆うカバーとを更に備えている接点構造。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−114886(P2013−114886A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259768(P2011−259768)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】