説明

可動電機子収容具

【課題】電機子が一つ以上の磁石の磁場中に設けられることによって、コイルに供給される電気信号によって振動する、可動電機子収容具を提供する。
【解決手段】振動板要素が磁石アセンブリの空隙に配置されて、かつ懸架要素が前方チャンバを画定するために設けられる、小型可動電機子収容具。懸架要素は、最大500N/mの剛性を有する。懸架要素および振動板要素は、同一の箔シートから作製されてもよく、懸架要素は、箔の屈曲または湾曲周辺部分によって作製されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機子が一つ以上の磁石の磁場中に設けられることによって、コイルに供給される電気信号によって振動する、可動電機子収容具に関し、その磁場は、電機子に作用する。特に本発明は、小型可動電機子収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2004/064483、WO95/07014、US7,054,460、およびUS2005/0276433に、異なる種類の収容具が開示されている。WO00/60902には、ある種の懸架方式が示されている。
【特許文献1】WO2004/064483
【特許文献2】WO95/07014
【特許文献3】US7,054,460
【特許文献4】US2005/0276433
【特許文献5】WO00/60902
【発明の摘要】
【0003】
第一の側面において、本発明は、ハウジングを備える収容具であって、その中に、空隙に磁場を生じさせる永久磁石アセンブリと、コイルトンネルを備える導電性駆動コイルと、音響出力部と、前記空隙および前記コイルトンネルを第一の方向に貫通する透磁性電機子アセンブリと、最大で500N/mの剛性を有する懸架要素と、前記空隙に延在して、かつ前記懸架要素に協働するように接続される、音響を生成するための振動板要素と、を有する収容具に関する。前記ハウジングは、前記振動板要素および前記懸架要素の面によって少なくとも分画される第一および第二のチャンバを有する。前記音響出力部は、前記第一のチャンバと前記収容具の周囲との間に延在する。
【0004】
本発明の付加的な側面は、さまざまな実施形態の詳細説明を考慮することにより当業者に明白になり、そのさまざまな実施形態は、以下に提供される図面およびその簡単な説明を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0006】
【図1】本発明に係る収容具の断面を示す。
【0007】
【図2】図1の収容具の第一の部分アセンブリを示す。
【0008】
【図3】図1の収容具の第二の部分アセンブリを示す。
【0009】
【図4】ハウジングとコイルとの間の寄生結合の減少を提供する代替的な方法を示す。
【図面の詳細な説明】
【0010】
本発明では、多くの異なる形式の実施形態が可能であり、それらは図面に示され、本発明の好適な実施形態の詳細において本明細書に説明されるが、本開示が本発明の原理の例証として解釈され、また、本発明の広範な側面を、本明細書に図示および/または説明される実施形態に限定することを意図しないことは理解されたい。
【0011】
図1の収容具10は可動電機子または電機子アセンブリ12を有する。電機子12はその一端14でハウジングに固定され、その他端16は可動である。
【0012】
電機子12は、電機子12の一部を囲むコイル18によって発生する交流磁束(開口部40を介してそこに供給される交流電流に起因する)によって動き、交流磁束は、二つの磁石20および22によって発生する直流磁束に入る。これらの磁束により、交流磁束を運ぶ電機子12は、磁石20、22のそれぞれに対して進退運動をする。
【0013】
可動端16で電機子12に取り付けられる振動板24は、電機子12と共に透磁性の振動板アセンブリを形成する。この振動板アセンブリは、振動板24の下の空間31から振動板24の上の空間29を封止する封止部材28に取り付けられる屈曲性または弾性の側部26を有する。空間29および31は、通常は、収容具10の前方チャンバおよび後方チャンバと呼ばれ、以下、本明細書では便宜上チャンバと呼ぶことにする。
【0014】
懸架要素を形成する弾性側部26が存在するため、振動板24は、電機子12によって上下に動かされるが、音響的封止が保持されるように部材28に対する封止は保持される。この種類の収容具10によく見られるが、直流ベントが、チャンバ29と31の間に存在してもよい。
【0015】
あるいは、部材28は、二つのチャンバ29、31の相互封止の維持に必要な変形性を提供するように、弾性であってもよい。
【0016】
また、領域32および34も、ハウジングにおいて提供される。これらの部分の機能については、以下に詳細に説明する。
【0017】
図2は、収容具10の部分アセンブリを示し、本図面において、上側ハウジング部分32および36は、コイル18、振動板24、および封止部材28を見せるために取り付けられていない。封止部材28が、収容具10の長手方向の内側面部(部分37)とだけでなく端表面と、取り付けられた際の上部36とも封止するように構成されることが分かる。当然ながら、側面部と上部との両方に対して封止する必要はない。音響出力部30が、出力端から十分離れて延在し、振動板24の上側で画定されるチャンバ29への開口部を提供していることが、図1から分かる。
【0018】
可動振動板24によって発生する音圧は、そこに提供される音響出力部30を介してハウジングから出力される。
【0019】
収容具10が最適に機能するためには、例えば、永久磁石20、22によって発生する直流磁束が、その間の空隙においてできるだけ強力であることが望ましい。そのため、空隙の外側の永久磁石20、22の間に透磁性の磁束帰路が提供されることが望ましい。したがって、永久磁石20、22が取り付けられるハウジング部32は、透磁性または伝導性であることが望ましく、また、これらを相互連結するハウジング部、例えば、後述する部分ハウジング34(収容具10において対称的に配置される)も透磁性であることが望ましい。
【0020】
このように、空隙からの磁路は、永久磁石20、22の一方、上側ハウジング部分32、部分ハウジング34、下側ハウジング部分32、永久磁石20、22の他方を通って、空隙に戻る。本磁路は、通常、永久磁石20、22によって発生するということから、直流磁路と呼ばれる。
【0021】
直流磁路が、振動板24および電機子12を貫通することが分かり、その場合、直流磁路は、コイル18によって発生する磁路(通常交流磁路と呼ばれる)と相互作用する。また、交流磁路は、電機子12および振動板24において通る閉磁路であり、これらの要素から出て、収容具10の全長にわたって電機子12および振動板24と平行して延在する透磁性部分ハウジング34に入る。
【0022】
図3は、収容具10の部分アセンブリを示し、本図面において、電機子12が、部分ハウジング34と同じ材料部品から作製されてもよいことがわかる。そのため、最適な磁気連結/伝導が、これらの部分間で提供される。また、これにより、これらの部分間の透磁率が最適化されるということから、寄生結合(parasitic coupling)が減少する。
【0023】
特に、小型化された収容具を提供したい場合に、寄生損(parasitic loss)は、発生する磁路に起因して発生し、空隙などの所望の位置から磁束を減少させてしまう。このような寄生路(parasitic path)により、収容具10の効率性が低下する。
【0024】
本種類の収容具10において、寄生磁路(parasitic flux path)は、永久磁石20、22の間に見られ、ハウジングを介してコイル18へ通る。このような磁路は、磁石20から、空隙内を通って磁石22に移動せずに、電機子12/振動板24を通ってコイル18に移動し、ハウジングを介して磁石に戻る磁束を有する。
【0025】
別の寄生磁路は、コイル18内から、電機子12、ハウジング部36(透磁性の場合である、以下参照)を介して、コイル18に戻る場合がある。
【0026】
これらの磁路を除去するために、上側ハウジング部分36は、非透磁性または非伝導性の材料から作製される。このようにして、永久磁石20、22からのコイル18への磁路は、収容具10の長さに沿って延在する透磁性部分ハウジング34を介するのみとなる。しかしながら、本寄生磁路が極めて小さくなるのは、部分ハウジング34とコイル18との寸法重複が、ハウジング部36とコイル18との間の重複に比べて非常に小さい場合においてである。さらに、コイル18からの交流磁束は、次に、電機子12、部分ハウジング34を介して移動し、電機子の固定端14に戻らなければならない。
【0027】
活性磁路(active flux path)をさらに増加させるために、ハウジング部32は、端14の方向に、永久磁石20、22の端部にまで延出することが好ましい。また、電機子12から永久磁石20、22の外側のハウジング部32へ移動するいかなる磁束も減少させるために、電機子12は、収容具10の縦軸に垂直な方向において、永久磁石20、22よりも幅広くないことが望ましい。
【0028】
交流磁路について、電機子12/振動板24からの磁束は、その端から、上側部分ハウジング34または収容具10の端部要素37に移動することによって、電機子12の固定端14に入って磁路を閉鎖するために収容具の遠端部35に戻る。磁束は、電機子12から振動板24および要素28を通って、端部要素37または上側部分ハウジング34に流入してもよい。この磁路は同じように有用である。
【0029】
交流磁路は、一般的に、振動板24の平面に平行した平面にあり、一方、直流磁路は、一般的に、振動板24の平面に垂直の平面にある。
【0030】
したがって、両磁路は、閉鎖および最適化され、できるだけ多くの磁路が、所望の位置に設けられる一方で、寄生磁路が減少および除去されるようにする。
【0031】
本好適な実施形態において、振動板24は、2μmの厚さのPETシートから作製され、Niなどの透磁性材料によって被覆されてもよい。さらに、電機子12は0.1mmの厚さであって、部分37は0.32mmの厚さであってもよく、その両方が、50%Feおよび50%Niで作製されてもよく、ハウジング部分および部分37も同様である。部分ハウジング34ならびに封止部材28は、黄胴(63%Cuおよび37%Zn)から作製されてもよい。
【0032】
磁石は、厚さ0.25mmのAlNiCo磁石であってもよく、コイル18は、20μmの自己融着性ワイヤーを550回巻線したものを有してもよい。
【0033】
図4は、コイル18とハウジングとの間の寄生磁路を減少させる代替の方法を示し、ここで、ハウジング部32、36が、単一の材料部品から作製されるが、開口部38がハウジング部36に設けられる。開口部38は、低透磁率を有する材料で充填されてもよいし、開口のままでもよい。開口の場合、開口部38からの音響出力が、音響出力部30からの音響出力と混合することを防止するために、外側ハウジングまたはその同等物(収容具の保持および保護に通常使用されるゴムチューブまたはソック)を設けることが望ましい。
【0034】
開口部38の代替として、ハウジング部36に多数の開口部を設けてもよい。前述のように、これらの開口部は、低透磁率の材料で充填してもよいし、しなくてもよい。また、開口部の代わりに、厚さを薄くした材料のハウジング部36を使用して、コイル18とハウジングのその部分との間の寄生結合を減少させてもよい。ハウジングの安定性または強度が不適切になる程までその厚さを薄くする場合、ハウジングは、低透磁率の材料を使用して、ハウジング材料のいかなるくぼみも充填するようにその位置で補強されてもよい。
【0035】
開口部を設けること、あるいはコイル18に直接隣接する(例えばコイル18の上)の部分の厚さを薄くすることの代替として、これらが、ハウジング部36の全領域に均一に割り当てられてもよく、あるいはその周辺部分に設けられてもよい。周辺部分に設けられる場合、その中央部は、これらの周辺部分によって、例えばハウジング部32から"磁気的に絶縁される"ため、本領域は、いかなる所望の透磁率を有してもよい。
【0036】
当然ながら、取り付けられる振動板24および電機子12は、単一要素によって置き換えられてもよいが、その単一要素は、所望の音圧を発生させるため、ならびに後方チャンバから前方チャンバを封止可能にするために、所望の幅の振動板を有する。本封止は、図2と同一の方法で提供されてもよく、あるいは振動板/電機子の側面および収容具10ハウジングの内側表面に提供されてもよい。この場合、電機子/振動板の材料は、通常は、それなに固いが、その動きを実現するのに必要な弾力性が封止材料によってもたらされるようにする。
【0037】
均衡のとれた配置にするために、二つの永久磁石20、22が、振動板アセンブリの両側にもたらされた。しかしながら、これらの永久磁石20、22のうちの一つは置換または除去されて、単一の磁石(つまり、20、22のうちの一つ)だけを利用して直流磁束を発生させるようにしてもよい。
【0038】
本収容具10が、極めて小型に作製される一方で、有用な磁路を保持し、かつ寄生磁路を減少または抑制することがわかる。実際の収容具10の厚さは、ハウジング部32および磁石20、22の厚さ、ならびにその間の空隙の大きさによって決まる。さらに、平坦で幅広のコイル18は、この薄型のハウジング内で使用されてもよい。
【0039】
本収容具10は、1mm以下の薄さであってもよく、その幅は、2.7mm以下であってもよい。
【0040】
さまざまな実施形態において、本明細書に説明される磁石アセンブリは、一つ以上の磁石を備えてもよく、これらの磁石は、収容具10においてまとめて配置されてもよく、あるいは異なる位置に配置されてもよいが、その全ての磁石は空隙にもたらされる磁場の発生に関与する。同様に、さまざまな実施形態において、コイル18は、コイルトンネルを画定する一つ以上のコイルを備えてもよい。その他の側面において、電機子12は、一つ以上の部分を備えてもよく、そのうちの一つ以上は透磁性であってもよい。空隙とコイルトンネルの両方を貫通するその部分は、コイルトンネルから空隙に磁場を伝導するように、透磁性であることが好ましい。
【0041】
本内容において、磁路が生じるが、その磁路は、磁石(または多数の磁石)の磁束が、磁石の一方の極からその磁石の他方の極にわたる経路である。当然ながら、より多くの磁石が磁路を形成してもよく、その場合、磁束は、一方の磁石の一方の極から他方の磁石の極などに及ぶ。全ての磁路は、磁束線が開放可能でない場合に閉鎖される。磁束は必要に応じて全ての材料を通るが、電気信号については、入手可能である場合良導体が好ましく、用いられるべきである。
【0042】
通常は、収容具10の第一および第二のチャンバ29、31は、音響的に相互に封止されて、既定周波数間隔内の音波が、一方のチャンバから他方のチャンバへ移動しないようにする。当然ながら、いわゆる直流ベントは、例えば、外気圧が変化するエレベータでの移動などによってもたらされるような圧力除去を提供するためにもたらされてもよい。
【0043】
懸架要素(例えば、側部26)は、弾性であり、好ましくは、振動板要素の端部または周部と、ハウジングの内側表面との間の封止を提供し、音響発生中の振動板要素の動きに適合可能にすると共に、封止を提供するようにする。振動板要素24は、電機子アセンブリ12の材料と同一の材料から作製またはモノリシックに作製されるように、一体的に作製されてもよいことが明白である。さらに、付加的にまたは代替的に、振動板要素24は、懸架要素と同一の材料から作製またはモノリシックに作製されるように、一体的に作製されてもよい。
【0044】
代替的にまたは付加的に、懸架要素(例えば、側部26)は、屈曲性の膜(フィルム)などの膜、エラストマー、ゴム材料、発泡体、またはその同等物から作製されてもよく、あるいはそれらを含んでもよい。一般的に、懸架要素の剛性(懸架要素によってのみ制御または保持される場合に、振動板アセンブリを動かすのに必要な力)は、400N/m以下などの500N/m以下であり、好ましくは、200N/m以下、100N/m以下などの300N/m以下である。
【0045】
本明細書で開示されるさまざまな要素は、成形または提供されるが、それらは、いかなる適切な方法でも相互連結されてもよく、その方法には、接着、はんだ付け、溶接、熱溶接、レーザー溶接、機械的連結、またはその同等物などが挙げられる。
【0046】
第一の実施形態において、振動板要素24および懸架要素26は、透磁性物質に被膜される非磁気伝導性の膜などの膜(フィルム)を備える。振動板要素は、膜の少なくとも実質的に平面の中央部分によって、少なくとも部分的に形成され、懸架要素は、膜の一つ以上の周辺の、屈曲または湾曲部分によって少なくとも部分的に形成される。膜のこの平面部分は、既知の振動板に適しており、膜の屈曲または湾曲部分は、屈曲/湾曲が振動板要素の動きを(屈曲/湾曲形状を伸長または変更するなどして)確立するように構成される方向に延在してもよい。これらは、屈曲/湾曲することによって、膜材料の剛性と共に、膜の屈曲/湾曲部分によってもたらされる懸架のコンプライアンスを定義する。
【0047】
一般的に、電機子アセンブリ12のコンプライアンスまたは剛性は、電機子12の剛性または弾性が収容具の駆動の一部であることから、収容具10の共振周波数およびその他のパラメーターに関連する。本アセンブリの剛性は、本アセンブリの材料および寸法の両方によって定義される。好ましくは、本アセンブリの剛性は600N/m以上であるが、電機子アセンブリの力点(磁石アセンブリの平均力(サイズおよび方向)が作用する電機子12の点)で測定して、650〜5000N/mの間であることが好ましい。本位置は、振動板要素24の平面に沿った断面における磁石の中央であることが多い。
【0048】
好適な実施形態において、単独あるいは振動板要素に取り付けられる電機子アセンブリは、自由運動する場合、例えば、磁石アセンブリが除去または消磁された場合に、3kHz〜5kHzなどの1kHz〜10kHzの共振周波数を有する。低周波数はウーファーに適し、高周波数はツイーターに適するとすることができる。
【0049】
共振周波数は、容易に測定可能であり、例えば、収容具10に孔部を作製し、後部および前部体積によって剛性が増加しないように設計することにより測定可能である。また、磁石アセンブリが除去されて、収容具10が磁化されずに磁石アセンブリからの磁化による剛性補償が必要とされないようにしてもよい。また、磁石が存在する状態で共振を測定することも可能であるが、その磁石は消磁されることが好ましい。
【0050】
次いで、収容具10の振盪/振動によって、電機子/膜のアセンブリの共振を測定することが可能である。振盪機/振動機は、100Hzから10kHzの周波数掃引で駆動される。次に、レーザー振動計を使用して、任意で振動板要素を有する電機子アセンブリの速度を測定してもよい。収容具10は、振盪機/振動機の周波数に応じて動き、電機子アセンブリの共振で、電機子アセンブリの速度が最速である共振周波数において急激なピークを有する。
【0051】
第二の実施形態において、電機子アセンブリは、振動板要素の少なくとも一部を形成し、空隙に延在して、かつ既定幅を有する部分を有し、懸架要素は、電機子アセンブリの部分の周辺部分に設けられる。
【0052】
好ましくは、懸架要素は、振動板要素の周辺部分と、ハウジングの内側表面との間に音響的封止を提供する。好ましくは、振動板要素は、第一の平面を画定する。次いで、第一の実施形態において、懸架要素は、振動板要素の周辺部分と、ハウジングの内側表面部分との間に、少なくとも実質的に第一の平面における封止を形成する。これは、大きい第一のチャンバが望まれる特定の実施形態において望ましい。別の実施形態において、懸架要素は、振動板要素の周辺部分と、ハウジングの内側表面部分との間に、少なくとも実質的に第一の平面に平行に延在する封止を形成する。このように、コップ状、リング状、またはドーナツ状の懸架要素が使用されて、振動板要素の全てまたは一部を形成してもよい。
【0053】
好ましくは、電機子アセンブリは、コイルトンネルの一端に配置する端に、枢動可能または屈曲可能に固定されてもよく、その場合、空隙は、コイルトンネルの他端に配置される。したがって、空隙における電機子アセンブリの部分は、固定端から距離を置いて配置されて運動可能になり、振動板要素に動きを移す際に求められる音圧を提供する。
【0054】
特定の実施形態において、磁石アセンブリには、第一のチャンバにおいて配置される永久磁石を含めることが好ましい。そのようにすることで収容具10が極めて小型になる。追加の磁石は、第二のチャンバに配置されて、いわゆる均衡のとれた収容具を提供してもよい。
【0055】
一般的に、本発明を取り入れる収容具は、極めて小型に製作されることができる。したがって、ハウジングは、振動板要素によって画定される平面に垂直に、1.9mm以下(例えば、1.5mm以下)である最大寸法を有してもよく、好ましくは、1mm以下(例えば、0.8mm以下)である。
【0056】
さらに、ハウジングは、第一の方向に垂直な平面において、振動板要素によって画定される平面における幅と、それに垂直な厚さとを有してもよく、その幅は、その厚さの1から5倍の間、その厚さの2.4から4倍の間など、その厚さの1から10倍の間である。
【0057】
好ましくは、第一の閉磁束路は収容具10に存在し、その第一の磁路は、第一の透磁性ハウジング部、永久磁石アセンブリ、空隙、および透磁性電機子アセンブリを含む。
【0058】
また、第二の透磁性ハウジング部を含み、かつ少なくとも実質的に第一の方向において透磁性電機子アセンブリを通って、コイルトンネルを貫通する第二の閉磁束路が存在することが好ましい。通常交流磁路と呼ばれる本磁路は、コイルに供給される信号によって変化するものであり、電機子アセンブリによって空隙に通される。この場合、電機子アセンブリおよび振動板要素は振動する。第二のハウジング部は、収容具10の効率性増加のために本磁路を最適化するように提供される。
【0059】
これらの実施形態およびその自明な変形例はそれぞれ、添付の特許請求の範囲における請求項に係る発明の精神および範囲に含まれるものとして解釈される。
【符号の説明】
【0060】
10 収容具
12 電機子アセンブリ
14 固定端
16 可動端
18 コイル
20, 22 永久磁石
24 振動板要素
26 振動板要素の側部(懸架要素)
28 封止部材
29,31 チャンバ
30 音響出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを備える収容具であって、その中に、
・ 空隙に磁場を生じさせる永久磁石アセンブリと、
・ コイルトンネルを備える導電性駆動コイルと、
・ 音響出力部と、
・ 前記空隙および前記コイルトンネルを第一の方向に貫通する透磁性電機子アセンブリと、
・ 最大で500N/mの剛性を有する懸架要素と、
・ 前記空隙に延在して、かつ前記懸架要素に協働するように接続される、音響を生成するための振動板要素と、
を有し、前記ハウジングは、前記振動板要素および前記懸架要素の面によって少なくとも分画される第一および第二のチャンバを有し、前記音響出力部は、前記第一のチャンバと前記収容具の周囲との間に延在する、
収容具。
【請求項2】
前記電機子アセンブリは、少なくとも600N/mの剛性を有する、請求項1に記載の収容具。
【請求項3】
前記懸架要素は、前記振動板要素の端または周部分と、前記ハウジングの内側表面との間に封止を提供する、請求項1に記載の収容具。
【請求項4】
前記振動板要素および前記懸架要素は膜(フィルム)を備え、前記振動板要素は、前記膜の少なくとも実質的に平面の中央部分によって少なくとも部分的に形成され、前記懸架要素は、前記膜の一つ以上の周辺の屈曲または湾曲部分によって少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載の収容具。
【請求項5】
前記電機子アセンブリの第一部分は、前記膜の前記中央部分に固定される、請求項4に記載の収容具。
【請求項6】
前記電機子アセンブリは、前記振動板要素の少なくとも一部を形成すると共に前記空隙に延在し、かつ既定幅を有する部分を有し、前記懸架要素は、前記電機子アセンブリの該部分の周辺部分に設けられる、請求項1に記載の収容具。
【請求項7】
前記電機子アセンブリは、前記コイルトンネルの一端に配置される端に、枢動可能または屈曲可能に固定され、前記空隙は、前記コイルトンネルの別の端に配置される、請求項1に記載の収容具。
【請求項8】
前記磁石アセンブリは、前記第一のチャンバに配置される永久磁石を含む、請求項1に記載の収容具。
【請求項9】
前記懸架要素は、前記振動板要素の周辺部分と、前記ハウジングの内側表面との間の音響的封止を提供する、請求項1に記載の収容具。
【請求項10】
前記振動板要素は第一の平面を画定し、前記懸架要素は、少なくとも実質的に前記第一の平面において、前記振動板の周辺部分と、前記ハウジングの前記内側表面との間の封止を形成する、請求項1に記載の収容具。
【請求項11】
前記振動板要素は第一の平面を画定し、前記懸架要素は、前記振動板の周辺部分と、前記ハウジングの前記内側表面との間に、前記第一の平面に少なくとも実質的に平行に延在する封止を形成する、請求項1に記載の収容具。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記振動板アセンブリによって画定される平面に垂直に、1.9mm以下の最大寸法を有する、請求項1に記載の収容具。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記第一の方向に垂直な平面において、前記振動板アセンブリによって画定される平面における幅と、それに垂直な厚さとを有し、前記幅は、前記厚さの1から10倍の間である、請求項1に記載の収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−252871(P2008−252871A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−31516(P2008−31516)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(508045343)
【氏名又は名称原語表記】Sonion Nederland B.V.
【住所又は居所原語表記】Zekeringstraat 9, NL−1014 BM Amsterdam, The Netherlands
【Fターム(参考)】