説明

可塑性油脂組成物の製造法

【課題】経日的にブツやザラが発生することなく、均一な組織を有し、可塑性、スプレッド性の良好な可塑性油脂組成物を提供すること。
【解決手段】掻き取り式チューブ冷却機(Aユニット)及び捏和装置(Bユニット)を有する連続式冷却捏和装置を用いて可塑性油脂組成物を製造する方法において、該Aユニットの最初のユニットであるA1ユニットを通過させる際の油脂組成物の平均冷却速度を、5℃/秒以上とすることを特徴とする可塑性油脂組成物の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑性油脂組成物の製造法、及び該製造法により製造された可塑性油脂組成物に関し、さらに詳しくは、連続式冷却捏和装置を用いて、油脂組成物を特定の平均冷却速度で冷却することにより、可塑性油脂組成物を製造する方法、及び、該方法により得られ、可塑性及びスプレッド性が良好で、練り込み用として好適な可塑性油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物の製造法は、溶解した油脂組成物を冷却して結晶化を行い、さらに捏和し、製品とするのが一般的である。冷却して結晶化を行い、さらに捏和する装置としては、冷却を行うパーフェクター、コンビネーター、ボテーター、ケムテーター等の掻き取り式チューブ冷却機(Aユニット)と、捏和を行うBユニットにより構成される連続式冷却捏和装置が挙げられる。油脂結晶のサイズや量といった油脂組成物の品質を決定する上で、Aユニットは重要である。これまで、クリアランスの変更や変軸タイプの開発等の構造上の改良に加え、複数のAユニットを直列に連結するといった構成上の改良が試みられてきた。
【0003】
一方、可塑性油脂組成物の品質は、原料油脂にも大きく左右される。特に、パーム油を原料とする油脂等の結晶化速度の遅い油脂を原料として使用すると、マーガリンやショートニング等の可塑性油脂組成物の保管中に、油脂結晶が経日的に粗大化し、ブツ、ザラを発生させることが知られている。これらの発生は、可塑性、スプレッド性といった油脂組成物の商品価値を著しく低下させる。
【0004】
例えば、特許文献1には、油脂又は油中水型エマルジョン(以下、油脂類という)を加熱、溶解後、ボテーター、コンビネーター等の掻き取り式チューブ冷却機(A1ユニット)において、入口温度を前記油脂類の融点+5〜−15℃で、且つ曇点以上の温度にコントロールして平均冷却速度15℃/分以上に冷却し、次いで同じく掻き取り式チューブ冷却機(A2ユニット)において、その出口温度をA1ユニットの出口温度±5℃にコントロールして捏和することを特徴とする油脂組成物の製造法が開示されている。特許文献1に記載の製造法は、従来必要であったテンパリング操作を全く必要とせず、抱気性に富んだ油脂組成物を提供することができるものであるが、緩慢な冷却であるため、経日的に油脂組成物中にブツやザラが発生してしまうという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、油中水型エマルジョンを加熱、溶解後、掻き取り式連続冷却捏和装置にて冷却捏和することにより得られる製菓用油中水型乳化油脂組成物の製造法において、掻き取り式連続冷却捏和装置にて冷却する工程における平均冷却速度が5℃/分以上20℃/分以下である事を特徴とする製菓用油中水型乳化油脂組成物の製造法が開示されている。特許文献2に記載の製造法では、軽い食感の焼き菓子を得るための油脂組成物を提供することができるが、この製造法においても、緩慢な冷却であるため、経日的に油脂組成物中にブツやザラが発生してしまうという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−133942号公報
【特許文献2】特開2001−346514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、経日的にブツやザラが発生することなく、均一な組織を有し、可塑性、スプレッド性の良好な可塑性油脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、連続式冷却捏和装置を用い、特定の製造法にて製造することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、掻き取り式チューブ冷却機(Aユニット)及び捏和装置(Bユニット)を有する連続式冷却捏和装置を用いて可塑性油脂組成物を製造する方法において、該Aユニットの最初のユニットであるA1ユニットを通過させる際の油脂組成物の平均冷却速度を、5℃/秒以上とすることを特徴とする可塑性油脂組成物の製造法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造法により製造された可塑性油脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経日的にブツやザラの発生がなく、均一な組織を有し、可塑性、スプレッド性の良好な可塑性油脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の可塑性油脂組成物の製造方法について以下に詳述する。
まず、油脂に必要によりその他の成分を添加し、油相とする。また、水に必要によりその他の成分を添加し、水相とする。上記の油相を加熱溶解し、必要により水相を加え、混合し、油脂組成物とする。そして、該油脂組成物を殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続方式でも構わない。また、殺菌温度は好ましくは70〜95℃、さらに好ましくは75〜95℃、最も好ましくは80〜95℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は、好ましくは35〜60℃、さらに好ましくは40〜60℃、最も好ましくは45〜60℃とする。
【0012】
次に、連続式冷却捏和装置を用いて上記油脂組成物を冷却し、結晶化する。
本発明の製造法で使用する連続式冷却捏和装置は、油脂組成物の冷却を行う掻き取り式チューブ冷却機(Aユニット)及び捏和装置(Bユニット)からなる。Aユニットとしては、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター、ケムテーター等が挙げられる。Bユニットとしてはピンマシン等が挙げられる。
【0013】
上記のAユニットは、直列に複数配置することができ、油脂組成物を通過させる順に、A1ユニット、A2ユニット、A3ユニット、・・・Axユニットと呼ばれる。また、Aユニットを直列に配置するときの台数に制限はないが、好ましくはAユニットを4本以上、さらに好ましくはAユニットを4〜8本配置する。
【0014】
本発明の製造法において、A1ユニット入口での油脂組成物の温度は、油脂組成物の油相の曇点以上とするのが好ましい。A1ユニット入口での油脂組成物の温度が油脂組成物の油相の曇点よりも低いと、A1ユニットにおける急速冷却工程を経にくいため、油脂の粗大結晶が析出しやすい。
本発明の製造法において、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は5℃/秒以上であり、好ましくは5〜60℃/秒、さらに好ましくは5〜50℃/秒、最も好ましくは5〜40℃/秒とする。Aユニットを通過させる際の平均冷却速度が5℃/秒よりも遅いと、油脂の結晶が粗大結晶に成長しやすいため、最終製品のキメが粗くなり、可塑性、スプレッド性が失われる。上記の平均冷却速度は、(A1ユニット入口温度−A1ユニット出口温度)/A1ユニット滞留時間にて計算した値とする。
上記のA1ユニットのクリアランスは、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1〜2mm、最も好ましくは1.5〜2mmである。クリアランスが2mmより広い場合、急速冷却の効果が低下しやすいために、油脂結晶が粗大結晶に成長しやすい。
【0015】
本発明の製造法において、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は、好ましくは0℃/秒以上、さらに好ましくは0〜50℃/秒、さらに一層好ましくは0〜40℃/秒、最も好ましくは0〜30℃/秒とする。上記の平均冷却速度は、(A2ユニット入口温度−A2ユニット出口温度)/A2ユニット滞留時間にて計算した値とする。
また、A2ユニットのクリアランスは、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1〜2mm、最も好ましくは1.5〜2mmである。クリアランスが2mmより広い場合、急速冷却の効果が低下しやすいために、油脂結晶が粗大結晶に成長しやすい。
【0016】
上記のA1ユニット及びA2ユニットの通過時間並びに各ユニットの出口温度は、A2ユニットの出口での油脂組成物の油相のSFCが、油脂組成物の油相の10℃におけるSFCの好ましくは10%以上、さらに好ましくは20〜100%、最も好ましくは30〜100%に相当するように設定するのがよい。A2ユニットの出口での油脂組成物の油相のSFCが、油脂組成物の油相の10℃におけるSFCの10%未満であると、油脂の粗大結晶が析出しやすいため、最終製品においてブツ、ザラを発生させる原因となりやすい。
【0017】
上記の油脂組成物の油相の10℃におけるSFC測定は以下の条件にて行う。まず、対象となる油脂組成物の油相を60℃、0℃、25℃、0℃の順にテンパリングを行う。各温度で保持する時間は、それぞれ30分間とする。テンパリング操作の後、さらに10℃で30分間保持した時のSFCを測定する。測定方法は、パルスNMR(ダイレクト法)にて行うものとする。
また、A2ユニット出口における油脂組成物の油相のSFCは、パルスNMR(ダイレクト法)にて油脂組成物のSFCを測定した後、油相量に換算をしたものを使用する。
尚、上記のパルスNMR(ダイレクト法)は、AOCS official methodのcd16b-93に記載の方法に従って行うものとする。
【0018】
A2ユニットに続くA3ユニット以降のAユニットでは、油脂組成物中の油脂結晶の成長を促す。A3ユニット以降のAユニットでは、油脂組成物の温度をA2ユニット出口温度に保持するのが好ましい。この「A2ユニット出口温度に保持する」とは、油脂組成物を結晶化する際に発生する結晶化熱により異なるが、おおよそ、A2ユニット出口での油脂組成物の品温の好ましくは±10℃以内、さらに好ましくは±5℃以内とするのが好ましい。
【0019】
また、A3ユニット以降では、A1及びA2ユニットを通過したことにより多数の微細な油脂結晶を含んだ油脂組成物となっているため、油脂結晶の粗大化は起きにくい。そのため、A3ユニット以降のAユニットのクリアランスは特に制限されない。
【0020】
次に、Bユニットにおいて、冷却された油脂組成物の捏和を行なって、目的物である可塑性油脂組成物を得る。
Bユニットは、内容積が大きく、滞留時間が長いため、過冷却状態の緩和に効果を持つことが知られているが、油脂結晶の粗大化が発生しやすい。そのため、Bユニットの出口における油脂組成物(即ち可塑性油脂組成物)の油相のSFCが、Bユニットの入口における油脂組成物の油相のSFC以下となるように調整、すなわち、Bユニット内で油脂組成物の油相のSFCが増加しないように調整することが好ましい。
Bユニットの出口における油脂組成物の油相のSFCが、Bユニットの入口における油脂組成物の油相のSFCを超えてしまうと、Bユニットで油脂結晶の粗大化が起こりやすく、さらに最終製品においてブツやザラが発生しやすい。
尚、上記のBユニットの入口や出口における油脂組成物の油相のSFCは、パルスNMR(ダイレクト法)にて油脂組成物のSFCを測定した後、油相量に換算をしたものを使用する。また、上記のパルスNMR(ダイレクト法)は、AOCS official methodのcd16b-93に記載の方法に従って行うものとする。
【0021】
本発明の製造法において、可塑性油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくてもよい。
また、得られた可塑性油脂組成物は、包装、エージングを行なうことができる。
【0022】
以下に、本発明の可塑性油脂組成物の製造方法により製造される本発明の可塑性油脂組成物についてさらに説明する。
本発明の製造法により製造される可塑性油脂組成物には、油脂を用いる。本発明で用いることができる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カボック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
本発明の製造法は、特に、結晶化速度の遅い油脂を用いた場合に効果を発揮する。この結晶化速度の遅い油脂としては、例えば、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部等のパーム系油脂や、これらのパーム系油脂を水素添加した油脂が挙げられる。
【0024】
本発明の可塑性油脂組成物において、上記油脂の含有量は、特に制限はないが、好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。可塑性油脂組成物中の上記油脂の含有量が60質量%よりも少ないと、乳化安定性が低下しやすい。
【0025】
本発明の可塑性油脂組成物は、必要によりその他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
【0026】
上記の水の含有量は、特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、最も好ましくは0〜20質量%である。可塑性油脂組成物中の水の含有量が40質量%よりも多いと、乳化安定性が低下しやすい。尚、ここでいう水とは、水道水や天然水等の水だけでなく、牛乳、液糖等の水分も含めたものとする。
【0027】
上記の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の乳化剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。尚、本発明の可塑性油脂組成物において、上記乳化剤が必要でなければ、乳化剤を用いなくてもよい。
【0028】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。尚、本発明の可塑性油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
【0029】
本発明の可塑性油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらでもよく、また、乳化物とする場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
【0030】
本発明の製造法により製造された可塑性油脂組成物は、食パン、菓子パン、デニッシュ・ペストリー、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品に、例えば、練り込み用、折り込み用、サンド・フィリング用、スプレー・コーティング用、フライ用として使用することができる。さらには、カレールウ用、バッター用、ソース用、フライ用等の調理・惣菜用としてもまた使用することができる。これらの用途において、本発明の製造法により製造された可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0032】
〔実施例1〕
パーム硬化油(融点36℃)35.4質量%、パーム油15.8質量%及び菜種油27.7質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.1質量%、水17質量%、脱脂粉乳3質量%及び香料1質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物1を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物1を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0033】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物1を冷却し、結晶化を行なった。
【0034】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物1の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は29.1℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は15℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物1の油相のSFCは10%、A2ユニット出口温度は18.5℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物1を14〜20℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物1の油相のSFCは20%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物1の油相のSFCは19.1%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物1の油相の曇点は19℃、10℃におけるSFCは33.1%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物1の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物1の油相の10℃におけるSFCの30.2%であった。
【0035】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物1は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0036】
〔実施例2〕
パーム硬化油(融点36℃)14.2質量%、パーム油%17.0質量%、大豆硬化油13.7質量%、乳脂肪7.8質量%及び菜種油28.4質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物2を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物2を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0037】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物2を冷却し、結晶化を行なった。
【0038】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物2の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は29℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は5℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物2の油相のSFCは17.6%、A2ユニット出口温度は11℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物2を8〜15℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物2の油相のSFCは24.2%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物2の油相のSFCは14.4%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物2の油相の曇点は20℃、10℃におけるSFCは33.2%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物2の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物2の油相の10℃におけるSFCの53%であった。
【0039】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物2は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0040】
〔実施例3〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物3を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物3を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0041】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物3を冷却し、結晶化を行なった。
【0042】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物3の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は5.5℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は25℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物3の油相のSFCは10.8%、A2ユニット出口温度は14.5℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物3を10〜18℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物3の油相のSFCは17.8%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物3の油相のSFCは15.4%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物3の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物3の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物3の油相の10℃におけるSFCの34%であった。
【0043】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物3は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0044】
〔実施例4〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物4を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物4を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0045】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物4を冷却し、結晶化を行なった。
【0046】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物4の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は29℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は10℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物4の油相のSFCは12.7%、A2ユニット出口温度は6℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物4を5〜15℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物4の油相のSFCは20.5%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物4の油相のSFCは20.3%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物4の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物4の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物4の油相の10℃におけるSFCの39.9%であった。
【0047】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物4は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0048】
〔実施例5〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物5を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物5を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0049】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物5を冷却し、結晶化を行なった。
【0050】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物5の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は24.3℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は5℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物5の油相のSFCは11.1%、A2ユニット出口温度は15.7℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物5を12〜19℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物5の油相のSFCは21.2%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物5の油相のSFCは18.4%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物5の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物5の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物5の油相の10℃におけるSFCの34.9%であった。
【0051】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物5は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0052】
〔実施例6〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1.0質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物6を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物6を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0053】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物6を冷却し、結晶化を行なった。
【0054】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物6の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は35.6℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は0.5℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物6の油相のSFCは14.3%、A2ユニット出口温度は8.9℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物を7〜14℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物6の油相のSFCは27.3%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物6の油相のSFCは20.8%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物6の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物6の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物6の油相の10℃におけるSFCの45%であった。
【0055】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物6は、可塑性を有し、経日的にブツやザラを発生することなく、均一な状態を有しており、可塑性、スプレッド性も良好で、練り込み用マーガリンとして最適なものであった。
【0056】
〔比較例1〕
パーム硬化油(融点36℃)35.4質量%、パーム油15.8質量%及び菜種油27.7質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.1質量%、水17質量%、脱脂粉乳3質量%及び香料1質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物7を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物7を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0057】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物7を冷却し、結晶化を行なった。
【0058】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物7の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は3℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は10℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物7の油相のSFCは2.1%、A2ユニット出口温度は33.7℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物7を12〜18℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物7の油相のSFCは20.0%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物7の油相のSFCは19%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物7の油相の曇点は19℃、10℃におけるSFCは33.1%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物7の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物7の油相の10℃におけるSFCの6.3%であった。
【0059】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物7は、製造直後に粒状の油脂結晶が点在し、不均一な状態であり、可塑性、スプレッド性も不良であった。
【0060】
〔比較例2〕
パーム硬化油(融点36℃)35.4質量%、パーム油15.8質量%及び菜種油27.7質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.1質量%、水17質量%、脱脂粉乳3質量%及び香料1質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物8を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物8を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0061】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物8を冷却し、結晶化を行なった。
【0062】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物8の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は2℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は10℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物8の油相のSFCは0.5%、A2ユニット出口温度は37.8℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物8を17〜23℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物8の油相のSFCは14.9%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物8の油相のSFCは19.5%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物8の油相の曇点は19℃、10℃におけるSFCは33.1%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物8の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物8の油相の10℃におけるSFCの1.5%であった。
【0063】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物8は、製造直後に粒状の油脂結晶が点在し、不均一な状態であり、可塑性、スプレッド性も不良であった。
【0064】
〔比較例3〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物9を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物9を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0065】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物9を冷却し、結晶化を行なった。
【0066】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスは、A1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物9の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は1℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は30℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物9の油相のSFCは1%、A2ユニット出口温度は26.4℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物9を17〜23℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物9の油相のSFCは15.2%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物9の油相のSFCは18.4%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物9の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物9の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物9の油相の10℃におけるSFCの3.1%であった。
【0067】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物9は、製造直後に粒状の油脂結晶が点在し、不均一な状態であり、可塑性、スプレッド性も不良であった。
【0068】
〔比較例4〕
パームエステル交換油32.4質量%、パーム油32.4質量%及び菜種油16.2質量%を60℃に加熱溶解した後、レシチン0.2質量%、水16.1質量%、乳製品1.1質量%、食塩1質量%及び香料0.5質量%を添加し撹拌して、油中水型乳化油脂組成物10を調製した。次いで、該油中水型乳化油脂組成物10を、掻き取り式加熱殺菌機を用いて90℃で殺菌し、その後45℃まで予備冷却した。
【0069】
次に、Aユニットを6本有するコンビネーター及びBユニットとしてのピンマシンを配置した連続式冷却捏和装置を用いて、油中水型乳化油脂組成物10を冷却し、結晶化を行なった。
【0070】
A1〜A6ユニットそれぞれのクリアランスはA1ユニットから順に、2mm、2mm、5mm、5mm、10mm、15mmとした。
また、A1ユニット入口での油中水型乳化油脂組成物10の温度は45℃、A1ユニットを通過させる際の平均冷却速度は1.5℃/秒、A2ユニットを通過させる際の平均冷却速度は10℃/秒、A2ユニット出口での油中水型乳化油脂組成物10の油相のSFCは1.4%、A2ユニット出口温度は33.5℃であった。また、A3ユニット以降は、油中水型乳化油脂組成物10を9〜18℃に保持した。
Bユニット入口での油中水型乳化油脂組成物10の油相のSFCは26.8%、Bユニット出口での油中水型乳化油脂組成物10の油相のSFCは22.4%であった。
尚、この油中水型乳化油脂組成物10の油相の曇点は22℃、10℃におけるSFCは31.8%であり、A2ユニット出口における油中水型乳化油脂組成物10の油相のSFCは、油中水型乳化油脂組成物10の油相の10℃におけるSFCの4.4%であった。
【0071】
上記連続式冷却捏和装置による冷却、結晶化を行なった後の油中水型乳化油脂組成物10は、製造直後に粒状の油脂結晶が点在し、不均一な状態であり、可塑性、スプレッド性も不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掻き取り式チューブ冷却機(Aユニット)及び捏和装置(Bユニット)を有する連続式冷却捏和装置を用いて可塑性油脂組成物を製造する方法において、該Aユニットの最初のユニットであるA1ユニットを通過させる際の油脂組成物の平均冷却速度を、5℃/秒以上とすることを特徴とする可塑性油脂組成物の製造法。
【請求項2】
上記A1ユニットに続くA2ユニットの出口における油脂組成物の油相の固体脂含量(SFC)が、該油脂組成物の油相の10℃におけるSFCの10%以上である請求項1記載の可塑性油脂組成物の製造法。
【請求項3】
上記Bユニットの出口における油脂組成物の油相のSFCが、上記Bユニットの入口における油脂組成物の油相のSFC以下である請求項1又は2記載の可塑性油脂組成物の製造法。
【請求項4】
請求項1に記載の製造法により製造された可塑性油脂組成物。

【公開番号】特開2008−92833(P2008−92833A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276612(P2006−276612)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】