説明

可変分散補償装置、光受信装置、及び可変分散補償制御方法

【課題】 可変分散補償装置において、大きな可変分散量を補償しつつ、広い有効波長帯域を維持する。
【解決手段】 直列接続された複数の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域の関係をあらかじめ取得し、前記複数の可変分散補償器に要求される総分散量を取得し、前記総分散量と、前記あらかじめ取得された前記関係とに基づいて、前記複数の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について最適な分散量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変分散補償装置、光受信装置、及び可変分散補償制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)で長距伝送を行う場合、一般的に各中継局と受信局に分散補償ファイバを配置して、直前の伝送中に受けた波長分散量を打ち消す補正を行ない、受信部の直前に可変分散補償器(TDC:Tunable Dispersion Compensator)を配置して、各チャネルの最適な分散補償を行なっている。
【0003】
しかし、波長多重された各チャネルは、伝送路からそれぞれ異なる量の分散を受けるため、中継局で分散補償を行ってもチャネル間で残留分散量(分散量の蓄積量)の差分、ばらつきが生じる。この差分、ばらつきは伝送距離が長くなるにつれて増大する。
【0004】
図1は、WDM(波長多重)伝送における分散補償と残留分散を示す図である。各伝送路で波長ごとに異なる分散量が蓄積される。波長が長いほど分散影響を受けやすく、残留分散量が多くなる(矢印A)。各中継局では分散補償ファイバにより波長分散量を低減させるが(矢印B)、波長により分散蓄積量や補償量が異なるため、全てのチャネルをゼロに戻すことはできない(矢印C)。
【0005】
受信局では信号波長ごとに異なる分散補償を行なう必要があり、受信側に可変分散補償器(TDC)を配置する。1種類のTDCで全チャネルの補正量の最大値から最小値までの範囲をサポートするには、TDCの波長分散補償の範囲を広くとらなければならない(矢印D)。しかし、TDCの可変分散量と有効分散帯域は、図2に示すようにトレードオフの関係にある。
【0006】
図3(A)に示すように、有効分散帯域とは分散量が直線性を保持する帯域のことである。通常は群遅延リップルや傾きが所定の値以下になる波長範囲で定義される。他方、透過帯域とは、図3(B)に示すように最小の損失値(ピーク値)から例えば3dB低い点での波長範囲で定義される。
【0007】
図2を参照すると、帯域を広くしようとすると分散補償量を可変にできる範囲が小さくなる(矢印D)。可変量を大きくしようとすると有効分散帯域が狭くなる(矢印E)。ひとつのデバイスで広い有効波長帯域と大きな可変分散補償量を両立するのは困難である。
【0008】
図4(A)の矢印Fで示すように、有効分散帯域の直線性が維持される範囲の傾きが波長分散量となる。この直線性が維持される範囲で、均一の波長分散補償量を印加することができる。このとき、有効分散帯域と透過帯域の双方が信号光のスペクトラム幅よりも広くなければ、全信号スペクトラム成分に同一の分散補償量をかけることができない。有効分散帯域が不足すると、図4(B)の矢印Gで示すように、信号波形劣化による伝送ペナルティが出てしまう。したがって、分散補償を確実にするには、有効分散帯域と透過帯域の狭い方を基準として行なう。
【0009】
40GHzの信号の分散補償をするためには、50GHz程度の帯域を確保する必要がある。この帯域を確保したうえで±1000ps/nmの分散補償量をサポートするのは実現が難しく、±700ps/nm程度の可変分散補償量を持つものが一般的である。
【0010】
所要の分散補償帯域を確保するために、2つの可変分散補償器を直列に接続する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この構成では、第1の分散補償器における分散補償帯域の不足分を補うために、第2の分散補償器が直列接続されている。しかし、複数のTDCを直列接続した場合、トータルの可変分散補償量は大きくできるが、制御の仕方によっては、逆に帯域を狭くしてしまい、伝送品質が劣化するおそれがある。
【0011】
なお、伝送される信号光の全体について3次の分散を補償させるために、受信側で波長分離される前の段階で光分散補償素子を直列に配置する構成が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0012】
また、エタロンとミラーを所定の角度で配置した可変分散補償器を多段に接続して広帯域でリップルの少ない分散補償器を実現する構成が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−288200号公報
【特許文献2】特開2001−320328号公報
【特許文献3】特開2006−53519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図5A及び図5Bは、TDCの組み合わせの相違による特性の違いを説明するための図である。たとえば、±700ps/nmの可変分散波長特性を持つTDCを2台接続して合計で±800ps/nmの補償量を印加する場合、次のような組み合わせ例がある。組み合わせは無限であるが、ここでは便宜上、2つの例のみを記載する。
【0015】
方法1: +700 ps/nm (TDC1) + 100 ps/nm (TDC2) = +800 ps/nm(図5A)
方法2: +400 ps/nm (TDC1) + 400 ps/nm (TDC2) = +800 ps/nm(図5B)
方法1では、図5Aに示すように片方のTDCに大きな分散値(+700 ps/nm)が設定される。分散値の大きなTDCの有効分散帯域は狭く、2台のTCDを直列接続した場合、全体の特性は帯域が狭い方に引きずられる。その結果、全体としての有効帯域幅は狭くなる。
【0016】
他方、図5Bに示すように、+400 ps/nmのTDCを2台接続する場合、双方がほぼ均等な有効分散帯域を有する。各TDCは、+100 ps/nmの有効分散帯域よりは狭いが、+700 ps/nmの有効分散帯域よりは広い帯域を有し、2台を接続した場合、全体の帯域は図5A の組み合わせよりも広い帯域を確保することができる。
【0017】
この知見に基づき、実施例では、複数のTDCを組み合わせる際に、大きな分散補償量を確保するとともに有効分散帯域を広く維持できる最適な特性を実現する可変分散補償器の構成とその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の観点では、可変分散補償装置は、
直列接続されたn個(nは2以上の整数)の可変分散補償器と、
前記n個の可変分散補償器に接続される制御部と、
前記n個の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域との関係を記述した制御テーブルと、
を有し、
前記制御部は、前記n個の可変分散補償器に要求される総分散量と、前記制御テーブルに記述された関係とに基づいて、前記n個の可変分散補償器のうち最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定する。
【0019】
第2の観点では、上述した可変分散補償装置を用いた光受信装置を提供する。光受信装置は、
上記の可変分散補償装置と、
前記可変分散補償装置の出力に接続され、光電変換部を有する信号受信部と、
を含む。
【0020】
第3の観点では、可変分散補償制御方法を提供する。可変分散補償制御方法において、
直列接続されたn個(nは2以上の整数)の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域の関係をあらかじめ取得し、
前記n個の可変分散補償器の総分散量を取得し、
前記総分散量と、前記あらかじめ取得された前記関係とに基づいて、前記n個の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定する。
【発明の効果】
【0021】
複数のTDCを接続する場合に、最適な特性を実現する波長分散量を各TDCに設定することによって、分散補償量を大きく設定しつつ有効分散帯域を広く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】波長多重(WDM)伝送による分散補償と残留分散を説明するための図である。
【図2】波長分散可変量と有効分散帯域幅のトレードオフの関係を示すグラフである。
【図3】可変分散補償器(TDC)の特性例を示すグラフである。
【図4】ひとつのTDCで実現できる特性トレードオフの例を示す図である。
【図5A】TDCの組み合わせによる特性を示す図である。
【図5B】TDCの組み合わせによる特性を示す図である。
【図6】実施形態によるTDC制御の構成例を示す図である。
【図7】格納されるTDC制御テーブルの一例を示す図である。
【図8】2つのTDCを接続した場合の制御フローを示す図である。
【図9】光受信装置の構成例を示す図である。
【図10】光受信装置の別の構成例を示す図である。
【図11】分散設定値とエラーレートとの関係を示すグラフである。
【図12】透過帯域に波長と規制を持たないTDCの特性例を示す図である。
【図13】n個のTDCを接続した場合の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下で、図面を参照して発明の実施形態を説明する。実施形態では、複数の可変分散補償器(以下、適宜「TDC」と称する)を組み合わせる際に、TDCの個体差に応じた特性(たとえば分散設定量と有効帯域の関係)に基づいて、全体の特性が最も良くなるようにバランスをとりながら各TDCに適切な波長分散量を設定する。これにより、波長分散量を大きくとりながら、広帯域を確保する。
【0024】
図6は、一実施形態による可変分散補償装置10の構成例を示す図である。可変分散補償装置10は、第1のTDC1と、第2のTDC2と、制御部13と、メモリ14を有する。第1のTDC1と第2のTDC2とは直列接続されており、光伝送路を伝播してきた光信号(受信信号)は、第1のTDC1に入力され、続いて第2のTDC2に入力される。TDC1、TDC2は、たとえばファイバブラッググレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating)、バーチャリ・イメージド・フェイズド・アレイ(VIPA:Virtually Imaged Phased Array)、プレーナ光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)、エタロンなどの光デバイスを利用して構成されている。TDC1とTDC2は、異なる分散補償量を有する場合はもちろん、同じ分散補償量に設定される場合であっても、製造ばらつき等により有効分散帯域や透過帯域に相違が生じる。
【0025】
制御部13は、所要の総分散量の設定を受けて、第1のTDC1と第2のTDC2の各々に対して、個別に最適な分散量を設定する。総分散量の設定は、後述するように事業者あるいは装置ユーザにより外部から入力された設定値を用いてもよいし、受信信号のエラー情報に基づいて制御部13自体が設定する構成としてもよい。メモリ14は、あらかじめTDCごとの分散設定量と帯域(実施例では有効分散帯域と透過帯域)の関係を記述したTDC制御テーブル15を格納する。制御部13は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)により実現されてもよい。あるいは、制御部13は、例えば、汎用のプロセッサで実現されてもよいし、DSPと同等の機能を提供するFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路で実現されてもよい。
【0026】
図7は、メモリ14に格納されるTDC制御テーブル15の一例を示す図である。実施例では、第1のTDC1、第2のTDC2ともに、±700ps/nmの可変分散補償量を持ち、この範囲で分散補償値を設定できるものとする。図7の制御テーブル15では、TDC1とTDC2の各々について、分散設定値に対応する有効分散帯域と、透過帯域(ピークから3dB下がった地点での帯域、以下「3dB帯域」と略称する)の実測値が、100ps/nm刻みで記録されている。実測値は、たとえばTDC1とTDC2の製造時に取得することができる。TDC製造コストの観点と、メモリ14の必要容量の観点から、あまり細かいステップ(たとえば10ps/nm以下)での測定は好ましくない。50〜100ps/nm程度のステップ幅で測定するのが合理的である。制御時には、スプライン補間、ラグランジュ補間等、任意の補間法を用いて、制御テーブル15の値の間を補間する演算を行う。
【0027】
ここでは、総分散量の設定値が800ps/nmである場合を考える。2つのTDCを用いる場合、可変分散量の振り分けには、300 ps/nmと500 ps/nm等無限の組み合わせがあるが、従来技術のように、第1のTDC1で上限値の+700 ps/nmまで制御して残りを第2のTDC2で補正する方法(方法1)と、実施例に従って各TDCの特性を考慮した上で分散量設定値を与える方法(方法2)とを比較する。
【0028】
方法1: +700 ps/nm (TDC1) + 100 ps/nm (TDC2) = 合計 +800 ps/nm
方法2: +400 ps/nm (TDC1) + 400 ps/nm (TDC2) = 合計 +800 ps/nm
図7の制御テーブル15において、実線で囲んだ組み合わせが方法1に対応し、破線で囲んだ組み合わせが方法2に対応する。有効分散帯域と透過帯域(3dB帯域)の狭い方を、その分散設定値に対応する帯域とする。
【0029】
TDC1の+700ps/nmのときの帯域は40.9GHz、+400ps/nmのときの帯域は45.1GHzである。
【0030】
TDC2の+100ps/nmのときの帯域は45.1GHz、+400ps/nmのときの帯域は43.8GHzである。
【0031】
方法1と方法2での総分散量+800 ps/nmにおける帯域は、上記TDC1とTDC2の各帯域の狭い方の帯域となる。したがって、方法1での帯域は40.9GHz、方法2での帯域は43.8GHzとなる。このように、同じ総分散量でも制御の仕方によって帯域の広さに差がでる。
【0032】
そこで、実施形態の可変分散補償装置10の制御部13は、TDC制御テーブル15に基づいて、2つのTDCがなるべく均等な帯域を有し、トータルの特性が最も良くなるようにTDC1、TDC2のそれぞれの分散量設置値を演算する。
【0033】
図8は、2つのTDCを直列接続した場合の制御フローを示す図である。この例では、TDC1とTDC2の帯域差が0.1[GHz]の範囲内になるように総分散+800 ps/nmを2つのTDCに振り分ける。
【0034】
装置が起動されると、制御部13はメモリ14からTDC1とTDC2の特性値を読み出す(S101)。読み出された値は、その後のファーム演算のパラメータとなる。ステップS102で、総分散量の設定の有無を判断する。総分散値が設定されるまで待機する。総分散値の設定は、外部入力による設定であってもよいし、フィードバック情報に基づく制御部13自体による設定でもよい。総分散量(たとえば+800 ps/nm)が設定されたならば(S102でYes)S103に進む。
【0035】
S103において、総分散量の1/2の分散値における各TDCの帯域と、これらの帯域の平均(あるいは中心)を計算する。この例では、TDC1とTDC2にそれぞれ+400 ps/nmずつを割り振ったときのそれぞれの帯域を求める。図7の制御テーブル15を参照すると、
TDC1: 400 [ps/nm]で45.1 [GHz] (広帯域)
TDC2: 400 [ps/nm]で43.8 [GHz] (狭帯域)
となる。なお、各TDCにおいて有効分散帯域と3dB帯域のうち、狭い方の帯域が選択されている。
【0036】
S104において、2つのTDCの帯域の平均を求める。この例では、2つの帯域の中心(平均)は、
(45.1+43.8)/2 = 44.45 [GHz]
となる。そして、帯域の狭い方のTDC2の帯域幅を、TDC1との中間の帯域幅44.45 [GHz]まで引き上げ、そのときのTDC2の分散量を計算する。制御テーブル15を参照すると、TDC2の帯域が44.45 [GHz]となるのは、分散値が200 [ps/nm]と300 [ps/nm]の間である。分散値200[ps/nm]と分散値300[ps/nm]との2点間を直線近似し、途中の値を求めると、TDC2の帯域が44.45 [GHz]となるときの分散量は、293 [ps/nm]である。これ以外の適切な補間方法を用いてTDC2の帯域に対応する分散値を求めてもよい。
【0037】
TDC2: 293 [ps/nm]で44.45 [GHz]
トータルで+800 ps/nmの分散量を確保するには、帯域の狭い方のTDC2で減少した分の分散量を、TDC1で補う必要がある。
【0038】
S105において、トータルで+800 ps/nmの分散量となるように、TDC2の減少分を帯域の広い方のTDC1の分散量に加算する。そして、調整後のTDC1の分散量と、そのときのTDC1の帯域幅を計算する。
【0039】
TDC1:400 + (400 - 293) = 507 [ps/nm]
制御テーブル15を参照し、補間法(たとえば上述の線形補間など)を用いて計算すると、TDC1で分散量507 [ps/nm]に対応する帯域幅は、43.38 [GHz]となる。
【0040】
TDC1: 507 [ps/nm]で43.38 [GHz]
この時点で、TDC2の帯域の方が、TDC1の帯域よりも広くなる
S106において、TDC1とTDC2との差分が、所定の値、たとえば 0.1 [GHz] 以下となったか否かを判断する。差分が所定の値以下になっていない場合は(S106でNo)、ステップS104に戻って演算を繰り返す。
【0041】
この例では、TDC1とTDC2の帯域差は、1.07 GHz(44.45 GHz−43.38 GHz)であり、所定の帯域差 0.1 [GHz]の範囲内に収束していないので、S104に戻って演算を継続する。
【0042】
2ラウンド目の開始時点では、
TDC1: 507 [ps/nm]で43.38 [GHz] (狭帯域)
TDC2: 293 [ps/nm]で44.45 [GHz] (広帯域)
である。
【0043】
2つのTDCの帯域の平均を計算すると、(43.38+44.45)/2 = 43.92 [GHz] となる。帯域の狭い方のTDC1の帯域幅を、中間(平均)の帯域幅43.92 [GHz]まで引き上げ、そのときの分散量を計算すると、
TDC1:474 [ps/nm]で43.92 [GHz]
となる(S104)。
【0044】
TDC1で減少した分散量をTDC2で補い、そのときのTDC2の分散量と帯域幅を計算する(S105)。
【0045】
TDC2:293 + (507 − 474) = 326 [ps/nm]で44.24 [GHz]
TDC1とTDC2の帯域差は、44.24−43.92 = 0.32 GHzであり、いまだ所定の範囲内に収束していない(S106でNo)。したがって、S104−S106を繰り返す。
【0046】
3ラウンド目の開始時点では、
TDC1: 474 [ps/nm]で43.92 [GHz] (狭帯域)
TDC2: 326 [ps/nm]で44.24 [GHz] (広帯域)
となる。
【0047】
帯域の平均は、(43.92+44.24)/2 = 44.08 [GHz] となる。帯域の狭い方のTDC1の帯域幅を、中間(平均)の帯域幅44.08 [GHz]まで引き上げ、そのときの分散量を計算すると、
TDC1:464 [ps/nm]で44.08 [GHz]
となる(S104)。
【0048】
TDC1で減少した分散量をTDC2で補い、そのときのTDC2の分散量と帯域幅を計算する(S105)。
【0049】
TDC2:326 + (474 − 464) = 336 [ps/nm]で44.18 [GHz]
このときのTDC1とTDC2の帯域差は、44.18−44.08 = 0.1 GHzであり、所定の範囲内に収束している(S106でYes)。そこで、S107において、このときの分散量をTDC1とTDC2に設定する。
【0050】
TDC1: 464 [ps/nm]で44.08 [GHz]
TDC2: 336 [ps/nm]で44.18 [GHz]
これにより、トータルで800 [ps/nm]の可変分散量が確保され、このときの全体の帯域幅は44.08 [GHz]となる。すなわち、所要の可変分散量を維持しつつ、広い帯域を確保することが可能になる。
【0051】
上記の演算を分かりやすくまとめると、以下のようになる。
<Step 1> 両TDCに総分散量の1/2ずつを割り振った場合の帯域を計算
TDC1(400 [ps/nm], 45.1 [GHz])+TDC2(400 [ps/nm], 43.8 [GHz])
帯域の平均=44.45 [GHz]
<Step 2> 帯域の狭いTDC2側の帯域が平均値44.45 [GHz]となる分散量と、その時のTDC1の分散量・帯域を計算
TDC1(507 [ps/nm], 43.38 [GHz])+TDC2(293 [ps/nm], 44.45 [GHz])
帯域の平均=43.92 [GHz]
<Step 3> 帯域の狭いTDC1側の帯域が平均値43.92 [GHz]となる分散量と、その時のTDC2の分散量・帯域を計算
TDC1(474 [ps/nm], 43.92 [GHz])+TDC2(326 [ps/nm], 44.24 [GHz])
帯域の平均=44.08 [GHz]
<Step 4> 帯域の狭いTDC1側の帯域が平均値44.08 [GHz]となる分散量と、その時のTDC2の分散量・帯域を計算
TDC1(464 [ps/nm], 44.08 [GHz])+TDC2(336 [ps/nm], 44.18 [GHz])
この地点で、帯域差が所定の範囲内に収束(最適な分散値の取得)
上記の例では、演算を終了するための判定値である帯域差(収束範囲)を0.1 [GHz]に設定したが、TDC実特性、信号のスペクトラム幅、波長変動量などの観点からみた設計の余裕度により任意に設定することができる。たとえば、スペクトラム幅が狭い10 Gbpsの信号ではラフな値(たとえば10 [GHz])でもよいが、スペクトラムの広い40Gbps DPSKなどの信号では、1 [GHz]以下に設定するのが望ましい。
【0052】
この帯域差収束の判定値は、最初から固定値を決めておく方法でもよいし、使用する信号レート(40 Gbpsや10 Gbpsなど)や信号変調フォーマット(DPSKやDQPSKなど)などの場合に応じて、外部からその都度設定できるように構成してもよい。
【0053】
図9は、実施形態の可変分散補償装置10を用いた光受信装置30Aの概略構成図である。光受信装置30Aは、受信した光信号の各チャネルの分散量を補償する分散補償部10と、信号受信部20を含む。分散補償部10は、図6〜8を参照して説明した可変分散補償装置10に対応する。
【0054】
広い可変分散補償幅と広帯域が確保された分散補償部10の光出力は、信号受信部20に入力される。信号受信部20は、光モジュール(受信部)21と、エラーモニタ及び訂正部22を含む。光モジュール21は、フォトダイオード、増幅器などを含み、入力された光信号を電気信号に変換する。エラーモニタ及び訂正部22は、たとえば前方誤り訂正(Forward Error Correction)により符号化された送信信号を、FEC復号して誤りを訂正する。光電変換され、誤り訂正を受けた信号は、各分配先へと送信される。
【0055】
図9の光受信装置30Aでは、外部から分散補償部10に対して総分散設定値が入力される。この場合、事前に伝送路の分散値を調査しておき、最適な分散量がわかっているものとする。分散補償部10の制御部13は、入力された総分散設定値に基づいて図8の制御フローを実行し、TDC1、TDC2の各々に対する最適分散量を決定する。
【0056】
図10は、光受信装置の別の構成例として、光受信装置30Bの概略構成を示す。図10の構成では、信号受信部20のエラーモニタ及び訂正部22は、エラーモニタ情報(たとえばビットエラーレート)を分散補償部10の制御部13へフィードバックする。制御部13は、エラーモニタ情報から最適な総分散値を設定する。モニタ情報のフィードバックは周期的に、たとえば数時間ごとに行なう。この構成によると、各TDCに必要な分散補償量を、伝送品質に応じて最適化することができる。
【0057】
図11は、分散設定値とエラーレートとの関係を示すグラフである。エラーレートが最小となる地点での分散設定値を、最適総分散値として選択する。実施形態では、2つのTDCが直列接続されているため、このような構成で最適な分散量を求めるのに、いくつかの方法がある。
【0058】
一つ目は、図8の処理フローの最初に、総分散量をTDCの数で除算して各TDCに均等に分散量を割り振り、これを固定したまま総分散量の最適値を求め、その後で各TDCへの分配値を求める方法である。実施形態では2つのTDCを用いるので、各TDCに総分散量の1/2ずつを大まかに割り振り、これを固定したまま、総分散量の最適値(極小値に対応する分散量)を求め、そのあとで各TDCへの具体的な分配値を求める。もう一つの方法は、総分散量をひとつ設定するごとに、毎回各TDCへの設定値を求めてゆく方法である。
【0059】
図8のフローでは、可変分散補償装置10が起動したときからの制御フローを記載しているが、一旦演算が終了して、各TDCに最適な分散設定値が与えられたあとの運用中の微調整においては、途中から処理フローを開始するのが望ましい場合がある。運用中に分散値を微調整する場合は、最初からフローを開始すると、分散値が最適状態から外れてしまい、信号品質に影響を与える可能性があるからである。
【0060】
したがって、運用後に微調整が必要となる場合は、現在設定されている各分散値の比を保ったまま、総分散量が所望の値となるように設定するのがよい。たとえば、図8のフローで設定した総分散量800 [ps/nm]で、TDC1に464 [ps/nm]、TDC2に336 [ps/nm]の分散値を設定している状態で、エラーモニタ情報に基づいて最適な総分散量を1000 [ps/nm]に変更する場合、
TDC1:464×1000/800=580 [ps/nm]
TDC2:336×1000/800=420 [ps/nm]
と設定する。最適点の変化は誤差の範囲内でのシフトなので、設定した分配割合を維持することができる。
【0061】
TDCがファイバブラッググレーティング(FBG)で構成されている場合は、ファイバの温度を変える、あるいはファイバに印加する応力を変える等して、ファイバ上のブラッグ回折格子のピッチを変えることで、波長分散量を変更することができる。TDCがバーチャリ・イメージド・フェイズド・アレイ(VIPA)で構成される場合は、VIPAから波長に応じた方向に出照される光をVIPAに戻す3次元ミラーの位置を変えて、波長ごとに光学距離を変化させることで、波長分散量を変えることができる。いずれの場合も、制御部13から出力される制御信号を、図示しない駆動装置に入力することで分散量を可変にすることができる。
【0062】
図12は、透過帯域が波長特性を持たない場合の特性例を示す図である。図3のTDCの特性例では、透過帯域がバンドパスフィルタのような特性を有していた。VIPA型、FBG型、PLC型の可変分散補償器(TDC)を用いた場合は、図3のような透過特性を示す。しかし、TDCを別の構成原理で実現した場合、たとえば2枚の反射量を平行に向かい合わせたエタロンを用いる場合、透過波形は、全波長域でほぼフラットな特性を示す。この場合、波長分散設定量と透過帯域との関係を演算に用いる必要はない(有効分散帯域のみでよい)。また、図7の制御テーブル15も、透過帯域に関する情報を有する必要はない。したがって、制御テーブル15には、各波長分散設定量と有効分散帯域の関係のみが記載されることになる。
【0063】
図13は、TDCを3個以上(n個:nは3以上の整数)連結する場合の処理フローを示す図である。TDCの数を増やしても、基本フローは図8の処理と同様である。総分散値をn個のTDCに1/nずつ割り振り、最も帯域の狭いTDCの帯域を中間あるいは平均の帯域になるように引き上げる補正を行い、低減した分の分散量を、最も帯域の広いTDCに加え、帯域差が所定値以下に収束するまで(すなわち、n個のTDCの帯域がほぼ同じになるまで)処理を繰り返す。
【0064】
具体的には、装置が起動されると、制御部13はメモリ14に格納された制御テーブル15から、n個のTDCの各特性値を読み出す(S201)。総分散値が設定されている場合は(S202でYes)、総分散量の1/nの分散値における各TDCの帯域幅を計算する(S203)。制御テーブル15のステップサイズに応じて適宜補間法を用いるのも図8と同様である。
【0065】
次に最も帯域幅の狭いTDCの帯域幅を、最も広帯域のTDCとの中間の帯域幅となるように、あるいはn個のTDCの平均帯域幅となるように、帯域幅を補正し、これにともなう分散量の減少を計算する(S204)。
【0066】
次に、減少分を帯域幅の最も広いTDCの分散量に加算して、調整後の分散量と対応する帯域幅を計算する(S205)。最も帯域幅の広いTDCと、最も帯域幅の広いTDCとの帯域差が所定の値以下になるまで(S206でYes)、S204〜S206の処理を繰り返す。帯域差が所定の値以下となったところで、演算した各TDCの分散値計算結果を各TDCに設定して(S207)、制御を終了する。
【0067】
このような制御方法により、連結した複数のTDCの特性が最も良くなるように、TDCごとの製造ばらつき、特性ばらつきを考慮した上で、TDC間でバランスのとれた分散値を設定する。これにより、可変範囲の広い分散量を実現するとともに、広帯域化を実現することができる。
【0068】
図13の処理フローに対応する装置構成は、図7の直列接続されるTDCの数が3個以上になり、TDC制御テーブル15は3個以上のTDCの各々について分散量と有効分散帯域(構成に応じて3dB帯域も)の関係を記述する。その他の構成は、図7と同様である。
【0069】
以上の説明に対して、以下の付記を提示する。
(付記1)
直列接続された複数の可変分散補償器と、
前記複数の可変分散補償器に接続される制御部と、
前記複数の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域との関係を記述した制御テーブルと、
を有し、
前記制御部は、前記複数の可変分散補償器に要求される総分散量と、前記制御テーブルに記述された関係とに基づいて、前記複数の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定することを特徴とする可変分散補償装置。
(付記2)
前記制御部は、前記第2の可変分散補償器の前記波長帯域を、前記複数の可変分散補償器の平均帯域に合致させるとともに、前記第2の可変分散補償器の前記平均帯域に対応する分散量を、前記制御テーブルに基づいて計算する第1計算と、
前記第1計算による前記第2の可変分散補償器の分散量の変化量を、前記第1の可変分散補償器の前記分散量に加算する第2計算と、
前記第1の可変分散補償器の前記加算された分散量に対応する波長帯域を、前記制御テーブルに基づいて演算する第3計算と、
を行い、前記第3計算後の前記複数の可変分散補償器に基づいて、前記最大波長帯域と前記最小波長帯域が、前記所定の範囲内にあるか否かを判断する
ことを特徴とする付記1に記載の可変分散補償装置。
(付記3)
前記制御部は、補間法を用いて前記第1計算と前記第3計算を行なうことを特徴とする付記2に記載の可変分散補償装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記総分散量が変更された場合に、前記各可変分散補償器に設定された前記分散量の比を維持したまま、前記各可変分散補償器の前記分散量を変更することを特徴とする付記1〜3のいずれか1に記載の可変分散補償装置。
(付記5)
前記制御テーブルは、前記各可変分散補償器について、前記分散量と、有効分散補償帯域との関係を記述することを特徴とする付記1に記載の可変分散補償装置。
(付記6)
前記制御テーブルは、前記各可変分散補償器について、前記分散量と、有効分散補償帯域と、透過帯域との関係を記述し、
前記制御部は、前記各可変分散補償器について、前記有効分散補償帯域と前記透過帯域のうちの狭い方の波長帯域を用いることを特徴とする付記1に記載の可変分散補償装置。
(付記7)
前記制御部は、前記総分散量を外部入力により受け取ることを特徴とする付記1に記載の可変分散補償装置。
(付記8)
前記制御部は、受信信号に含まれるエラー情報に基づいて前記総分散量を決定することを特徴とする付記1に記載の可変分散補償装置。
(付記9)
付記1〜6のいずれか1に記載の可変分散補償装置と、
前記可変分散補償装置の出力に接続され、光電変換部を有する信号受信部と、
を含む光受信装置。
(付記10)
前記信号受信部は、光電変換された受信信号の誤りを検出するエラーモニタ部を有し、
前記エラーモニタ部のモニタ結果は、前記可変分散補償装置の制御部に入力され、
前記制御部は、前記モニタ結果に基づいて、最適な総分散量を設定することを特徴とする付記9に記載の光受信装置。
(付記11)
直列接続された複数の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域の関係をあらかじめ取得し、
前記複数の可変分散補償器に要求される総分散量を取得し、
前記総分散量と、前記あらかじめ取得された前記関係とに基づいて、前記複数の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定することを特徴とする可変分散補償制御方法。
(付記12)
前記分散量の決定は、
前記第2の可変分散補償器の前記波長帯域を、前記複数の可変分散補償器の平均帯域に合致させるとともに、前記第2の可変分散補償器の前記平均帯域に対応する分散量を、前記あらかじめ取得された前記関係に基づいて計算する第1計算と、
前記第1計算による前記第2の可変分散補償器の分散量の変化量を、前記第1の可変分散補償器の前記分散量に加算する第2計算と、
前記第1の可変分散補償器の前記加算された分散量に対応する波長帯域を、前記あらかじめ取得された前記関係に基づいて演算する第3計算と、
前記第3計算後の前記複数の可変分散補償器に基づいて、前記最大波長帯域と前記最小波長帯域との前記帯域差が、前記所定の範囲内にあるか否かを決定する判断と、
を含むことを特徴とする付記11に記載の可変分散補償制御方法。
(付記13)
前記第1計算と前記第3計算は、補間法を用いて行なわれることを特徴とする付記12に記載の可変分散補償制御方法。
(付記14)
前記総分散量が変更された場合に、前記各可変分散補償器に設定された前記分散量の比を維持したまま、前記各可変分散補償器の前記分散量を変更する工程、
をさらに含むことを特徴とする付記11〜13のいずれか1に記載の可変分散補償制御方法。
(付記15)
前記各可変分散補償器について、前記分散量と有効分散補償帯域との関係をあらかじめ取得することを特徴とする付記11に記載の可変分散補償制御方法。
(付記16)
前記各可変分散補償器について、前記分散量と、有効分散補償帯域と、透過帯域との関係をあらかじめ取得し、
前記有効分散補償帯域と、前記透過帯域のうち、狭い方の波長帯域を用いることを特徴とする付記11に記載の可変分散補償制御方法。
(付記17)
前記総分散量を外部入力により受け取る工程、
をさらに含むことを特徴とする付記11に記載の可変分散補償制御方法。
(付記18)
受信信号に含まれるエラー情報に基づいて前記総分散量を決定する工程、
をさらに含むことを特徴とする付記11に記載の可変分散補償制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0070】
光通信の分野に適用するなどの電子装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 第1のTDC(可変分散補償器)
2 第2のTDC(可変分散補償器)
10 可変分散補償装置(分散補償部)
13 制御部
14 メモリ
15 TDC制御テーブル
20 信号受信部
21 光モジュール(受信部)
22 エラーモニタ及び訂正部
30A、30B 光受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の可変分散補償器と、
前記複数の可変分散補償器に接続される制御部と、
前記複数の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域との関係を記述した制御テーブルと、
を有し、
前記制御部は、前記複数の可変分散補償器に要求される総分散量と、前記制御テーブルに記述された関係とに基づいて、前記複数の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定することを特徴とする可変分散補償装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の可変分散補償器の前記波長帯域を、前記複数の可変分散補償器の平均帯域に合致させるとともに、前記第2の可変分散補償器の前記平均帯域に対応する分散量を、前記制御テーブルに基づいて計算する第1計算と、
前記第1計算による前記第2の可変分散補償器の分散量の変化量を、前記第1の可変分散補償器の前記分散量に加算する第2計算と、
前記第1の可変分散補償器の前記加算された分散量に対応する波長帯域を、前記制御テーブルに基づいて演算する第3計算と、
を行い、前記第3計算後の前記複数の可変分散補償器に基づいて、前記最大波長帯域と前記最小波長帯域が、前記所定の範囲内にあるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の可変分散補償装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記総分散量が変更された場合に、前記各可変分散補償器に設定された前記分散量の比を維持したまま、前記各可変分散補償器の前記分散量を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の可変分散補償装置。
【請求項4】
前記制御テーブルは、前記各可変分散補償器について、前記分散量と、有効分散補償帯域との関係を記述することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変分散補償装置。
【請求項5】
前記制御テーブルは、前記各可変分散補償器について、前記分散量と、有効分散補償帯域と、透過帯域との関係を記述し、
前記制御部は、前記各可変分散補償器について、前記有効分散補償帯域と前記透過帯域のうちの狭い方の波長帯域を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変分散補償装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変分散補償装置と、
前記可変分散補償装置の出力に接続され、光電変換部を有する信号受信部と、
を含む光受信装置。
【請求項7】
前記信号受信部は、光電変換された受信信号の誤りを検出するエラーモニタ部を有し、
前記エラーモニタ部のモニタ結果は、前記可変分散補償装置の制御部に入力され、
前記制御部は、前記モニタ結果に基づいて、最適な総分散量を設定することを特徴とする請求項6に記載の光受信装置。
【請求項8】
直列接続された複数の可変分散補償器の各々について、分散量と波長帯域の関係をあらかじめ取得し、
前記複数の可変分散補償器に要求される総分散量を取得し、
前記総分散量と、前記あらかじめ取得された前記関係とに基づいて、前記複数の可変分散補償器のうち、最大の波長帯域を有する第1の可変分散補償器と、最小の波長帯域を有する第2の可変分散補償器との帯域差が所定の範囲内にあるように、前記可変分散補償器の各々について分散量を決定することを特徴とする可変分散補償制御方法。
【請求項9】
前記分散量の決定は、
前記第2の可変分散補償器の前記波長帯域を、前記複数の可変分散補償器の平均帯域に合致させるとともに、前記第2の可変分散補償器の前記平均帯域に対応する分散量を、前記あらかじめ取得された前記関係に基づいて計算する第1計算と、
前記第1計算による前記第2の可変分散補償器の分散量の変化量を、前記第1の可変分散補償器の前記分散量に加算する第2計算と、
前記第1の可変分散補償器の前記加算された分散量に対応する波長帯域を、前記あらかじめ取得された前記関係に基づいて演算する第3計算と、
前記第3計算後の前記複数の可変分散補償器に基づいて、前記最大波長帯域と前記最小波長帯域との前記帯域差が、前記所定の範囲内にあるか否かを決定する判断と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の可変分散補償制御方法。
【請求項10】
前記総分散量が変更された場合に、前記各可変分散補償器に設定された前記分散量の比を維持したまま、前記各可変分散補償器の前記分散量を変更する工程、
をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の可変分散補償制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−21570(P2013−21570A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154277(P2011−154277)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】