可搬型放射線検出器
【課題】自由な位置で被験者の側方からの放射線画像を撮影できるようにする。
【解決手段】電子カセッテ12の側面20Bと自立脚13の自由端部13Bを撮影台100上に接地させて、電子カセッテ12を自立させる。電子カセッテ12は撮影台100の特定の箇所に設けられるものでなく、自立する構成であるので、撮影台100上の任意に位置に設置することができる。
【解決手段】電子カセッテ12の側面20Bと自立脚13の自由端部13Bを撮影台100上に接地させて、電子カセッテ12を自立させる。電子カセッテ12は撮影台100の特定の箇所に設けられるものでなく、自立する構成であるので、撮影台100上の任意に位置に設置することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びが可能な可搬型放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型放射線検出器としては、被写体としての被験者のX線画像を撮影する電子カセッテが知られている。
【0003】
このような電子カセッテにおける撮影手技としては、被験者が寝た状態で被験者の側方から撮影する撮影手技があり、従来は撮影台端部のカセッテを固定するホルダに、電子カセッテを差し込んで撮影してきた。
【0004】
しかし、上記のような構成では、撮影場所が決められてしまい、撮影位置を調整する際には、カセッテに対して被験者を移動させる必要があり、けが人に対して決して優しい撮影手技ではなかった。また、撮影の段取りが面倒でもあり、技師にも手間を強いるものであった。
【0005】
後者の問題を解決する提案として、特許文献1に開示されるX線撮影装置が公知である。
【0006】
特許文献1の装置は、被検者を載せる天板3の裏側に、X線撮像装置4に設けられたレール状のガイド4aに沿って、X線撮像部4bを手前に引き出すことができ、天板の長手方向に平行な1辺を回転軸4cとして回転するフラットなX線撮像部4bを備えている。
【0007】
そして、正面撮影は、X線透視撮影台のX線管1を用いて被検者2の上方から行い、側面撮影は、X線撮像部4bを手前に引き出し、上方に90度回転して保持し、天井から懸垂された別置きのX線管5を用いて被検者2の横方向から撮像する。
【特許文献1】特開2002−191588号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1の装置は、技師の手間を軽減できるものの、撮影台の端部という決まった位置で撮影するという点は従来と変わりなく、前者課題の解決には至っていなかった。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、自由な位置で側方からの放射線を検出できる可搬型放射線検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る可搬型放射線検出器は、放射線を検出する放射線検出部が収容された筐体と、前記筐体に設けられ、前記検出部の検出面を側方に向くように前記筐体を自立させる自立脚と、を備えている。
【0011】
この構成によれば、筐体に設けられた自立脚が、検出部の検出面を側方に向くように筐体を自立させる。これにより、検出部は側方からの放射線を検出できる。
【0012】
また、自立脚により筐体を自立させるので、自由な位置に可搬型放射線検出器を設置することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る可搬型放射線検出器は、請求項1に記載の構成において、前記自立脚は、一端部が回動可能に前記筐体に連結され、他端部を前記筐体から離すことで前記筐体を自立させる。
【0014】
この構成によれば、自立脚の一端部が、回動可能に筐体に連結されており、自立脚の他端部を筐体から離すことで筐体を自立させる。
【0015】
筐体を自立させない場合には、自立脚の他端部を筐体に近づけることができるので、自立脚を筐体にコンパクトにまとめることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る可搬型放射線検出器は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記自立脚は、把持可能な把持部と兼用である。
【0017】
この構成によれば、自立脚を把持部としても用いることができるので、部品点数の低減ができ、装置の低コスト化、装置の小型化が図れる。
【0018】
本発明の請求項4に係る可搬型放射線検出器は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記自立脚は、電気を導通させるケーブルと兼用である。
【0019】
この構成によれば、自立脚をケーブルとしても用いることができるので、部品点数の低減ができ、装置の低コスト化、装置の小型化が図れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成としたので、自由な位置で側方からの放射線を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る電子カセッテの構成)
まず、可搬型放射線検出器の一例としての電子カセッテの構成を説明する。図1は、放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。図2は、電子カセッテの内部構造を示す概略斜視図である。図3は、電子カセッテ12の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【0022】
本実施形態に係る電子カセッテ12は、可搬性を有し、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、その検出した放射線により表わされる放射線画像の画像情報を生成し、その生成した画像情報を記憶可能な放射線撮影装置であり、具体的には以下に示すように構成されている。なお、電子カセッテ12は、生成した画像情報を記憶しない構成であっても良い。
【0023】
図1に示すように、電子カセッテ12は、放射線画像の撮影時において、放射線を発生させる放射線源としての放射線発生部14と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生部14と電子カセッテ12との間は、被写体としての被験者16が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線発生部14は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線発生部14から射出された放射線は、撮影位置に位置している被験者16を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ12に照射される。
【0024】
図2に示すように、電子カセッテ12は、放射線Xを透過させる材料から成り、所定の厚みを有する平板状の筐体20を備えている。筐体20内には、筐体20のうち放射線Xが照射される照射面22側から順に、被験者16を透過することに伴って生ずる放射線Xの散乱線を除去するグリッド24、被験者16を透過した放射線発生部14からの放射線を検出する放射線検出部の一例としての放射線検出パネル26、及び放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板28が収容されている。
【0025】
電子カセッテ12の放射線検出パネル26は、図3に示すTFTアクティブマトリクス基板32上に、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線を電荷へ変換する。
【0026】
なお、放射線検出パネル26は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換するX線−電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換しても良い。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)が良く知られている。この場合、蛍光材料によってX線−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行なう。
【0027】
また、TFTアクティブマトリクス基板32上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量34と、蓄積容量34に蓄積された電荷を読み出すためのTFT36とを備えた画素部40(図3では個々の画素部40に対応する光電変換層を光電変換部38として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ12への放射線の照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積される。これにより、被写体を透過して電子カセッテ12に照射された放射線により表される放射線画像は、電荷による画像情報へ変換されて放射線検出パネル26に保持される。
【0028】
また、TFTアクティブマトリクス基板32には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部40のTFT36をオンオフさせるための複数本のゲート配線42と、ゲート配線42と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT36を介して蓄積容量34から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線44とが設けられている。個々のゲート配線42はゲート線ドライバ46に接続されており、個々のデータ配線44は信号処理部48に接続されている。
【0029】
個々の画素部40の蓄積容量34に電荷が蓄積されると、個々の画素部40のTFT36は、ゲート線ドライバ46からゲート配線42を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT36がオンされた画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線44を伝送されて信号処理部48に入力される。従って、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0030】
信号処理部48は、個々のデータ配線44毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線44を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側には、マルチプレクサと、画像情報を担持した電気信号を変換する電気信号変換部の一例としてのA/D変換器48Aとが、順に接続されている。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、マルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器48Aによって、アナログ電気信号がデジタル電気信号に変換される。信号処理部48には画像メモリ50が接続されており、信号処理部48のA/D変換器48Aから出力された画像情報は画像メモリ50に順に記憶される。画像メモリ50は複数フレーム分の画像情報を記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像情報が画像メモリ50に順次記憶される。
【0031】
また、電子カセッテ12は、放射線画像の画像データを表示装置との間で送受信するための通信部52と、放射線検出パネル26を制御する制御部の一例としての装置全体の動作を制御する制御部58と、を備えている。
【0032】
なお、表示装置は、入力手段としてのキーボードやマウス、表示手段としてのディスプレイ、CPU、ROM、RAM等を含むPC(パーソナルコンピュータ)で構成されている。また、電子カセッテ12との間でデータの送受信を行うための通信部を備えている。
【0033】
制御部58は、電子カセッテ12全体の制御を司るCPU、各種の処理プログラムを記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、各種情報が記憶された記憶手段としてのメモリを含んだマイクロコンピュータ等で構成されている。
【0034】
なお、制御部としては、装置全体の動作を制御するものに限られず、装置の構成部の一部の動作を制御するものであっても良い。
【0035】
また、電子カセッテ12は、放射線検出パネル26を含む構成部の少なくとも一部へ電力を供給する電源部として、電子カセッテ12を動作させるために各種回路・素子の構成部へ電力を供給する電源部54を備えている。
【0036】
また、電源部54は、電子カセッテ12の可搬性を損なわないように、電源部54によって供給される電力を蓄電する蓄電部としてのバッテリ(充電可能な二次電池)を備えている。
【0037】
電源部54によって供給される電力を蓄電する蓄電部としては、充電可能な二次電池に限られず、ニッケル水素・リチウムイオン・鉛蓄電池・キャパシタなどを用いても良い。
【0038】
また、電源部としては、本実施形態のように、装置全体の構成部に電力を供給するものに限られず、装置の一部の構成部に電力を供給するものであっても良い。また、複数の電源部を有する構成であってもよい。
【0039】
(電子カセッテ12の筐体20の形状及び筐体20に設けられた自立脚13)
次に、電子カセッテ12の筐体20の形状及び筐体20に設けられた自立脚13について説明する。
【0040】
電子カセッテ12の筐体20は、図3に示すように、平面視にて(放射線が照射される側から見て)外縁に4辺(4本の直線)21A、21B、21C、21Dを有する形状、具体的には、四辺形状(四角形状)をしている。より具体的には、電子カセッテ12の筐体20は、長方形状をしている。なお、電子カセッテ12は、角が丸くなった形状をしていても良い。
【0041】
筐体20には、辺21Aを構成する側面20Aと、辺21Bを構成する側面20Bと、辺21Cを構成する側面20Cと、辺21Dを構成する側面20Dとが形成されている。
【0042】
また、TFTアクティブマトリクス基板32(検出領域)も電子カセッテ12の形状と同様とされており、平面視にて(放射線が照射される側から見て)外縁に4辺(4本の直線)を有する形状、具体的には、四辺形状(四角形状)をしている。より具体的には、TFTアクティブマトリクス基板32(検出領域)は、長方形状をしている。
【0043】
また、電子カセッテ12の筐体20には、図4に示すように、自立脚13が設けられている。
【0044】
この自立脚13は、一端部がヒンジ33によって筐体20に回動可能に連結されており、連結端部13Aとなっている。この連結端部13Aは、放射線Xが照射される照射面22(放射線検出パネル26の検出面)とは反対側の筐体20の背面に連結されている。
【0045】
他端部は、連結端部13Aを特定の角度、回動させることにより、筐体20から接離する自由端部13Bとなっている。この自由端部13Bが、図4に示すように、筐体20から特定間隔離れ、筐体20を支持する脚として用いられる。連結端部13Aは、筐体20の側面20D側に配置され、自由端部13Bは、筐体20の側面20B側に配置されている。
【0046】
筐体20の側面20B及び自立脚13の自由端部13Bを下にして、筐体20を自立させることにより、放射線検出パネル26の検出面が側方に向けられる。従って、図5に示すように、撮影台100に横たわる被験者16の側方の撮影台100上に電子カセッテ12を置き、被験者16を挟むように、放射線発生部14を電子カセッテ12に対向配置することで、側方からの撮影が可能となる。
【0047】
また、筐体20には、自立脚13を収容するための凹部35が形成されており、自立脚13は、使用しない場合において、凹部35に収容することができる。
【0048】
なお、自立脚13に替えて、図6に示すように、撮影台100上に対して横長に配置する横向き(図6に示す向き)及び撮影台100に対して縦長に配置する縦向きにおいても筐体20を自立可能にする自立脚15を設ける構成であってもよい。
【0049】
図6に示すように、筐体20の長辺である辺21Bを構成する側面20Bを下にして筐体20を横向きで自立させる場合には、自立脚15の自由端部の一方の面15Aにより筐体20が支持される。
【0050】
筐体20の短辺である辺21Aを構成する側面20Aを下にして筐体20を縦向きで自立させる場合には、自立脚15の自由端部の他方の面15Bにより筐体20が支持される。
【0051】
これにより、撮影する部位が縦長か横長かによって、電子カセッテ12の向きを変えることができる。
【0052】
(本実施形態に係る電子カセッテ12の作用)
次に、本実施形態に係る電子カセッテ12の作用を説明する。
【0053】
本実施形態に係る電子カセッテ12では、被験者の側方から放射線画像を撮影したい場合には、自立脚13の連結端部13Aを回動中心にして自立脚13の自由端部13Bを回動させて筐体20から離し、自立脚13を凹部35から引き出す。
【0054】
電子カセッテ12の側面20Bと自立脚13の自由端部13Bを撮影台100上に接地させて、電子カセッテ12を自立させる。
【0055】
本実施形態では、電子カセッテ12は撮影台100の特定の箇所に設けられるものでなく、自立する構成であるので、撮影台100上の任意に位置に設置することができる。
【0056】
従って、撮影位置を調整する場合には、被験者16に対して電子カセッテ12を移動さればよく、被験者16を移動させる必要が無くなる。
【0057】
(自立脚13の第1変形例)
上記の自立脚13に替えて、図7及び図8に示すように、電子カセッテ12を取り扱う者が把持可能な把持部と兼用となった自立脚17を設けても良い。
【0058】
自立脚17には、電子カセッテ12を取り扱う者の指を通すことが可能な開口部37が形成されており、この開口部37に指を通して自立脚17を把持することができる。
【0059】
自立脚17は、一端部が回動可能に連結されており、連結端部となっている。連結端部は、筐体20の外縁部に連結されている。筐体20の中央部には、自立脚17を収容するための凹部23が形成されている。
【0060】
連結端部を回動中心にして、他端部である自由端部を凹部23側へ回動させることにより、自立脚17が凹部23に収容される。
【0061】
凹部23に収容された自立脚17を、例えば180度回動させて凹部23とは反対側に移動させることにより、自立脚17を把持部として用いることが可能となる。図8に示すように、自立脚17の開口部37に指を通して自立脚17を把持し、電子カセッテ12を持ち運ぶことが可能となる。
【0062】
また、凹部23に収容された自立脚17を、例えば90度回動させて筐体20の側面20Bと、同一面上に自立脚17の側面17Aを位置させ、図7に示すように、筐体20の側面20Bと自立脚17の側面17Aを下にして、電子カセッテ12自立させることが可能となる。
【0063】
(自立脚13の第2変形例)
上記の自立脚13に替えて、図9に示すように、ケーブルと兼用となった自立脚19を設けても良い。
【0064】
自立脚19は、複数のリンク部材で構成されている。本実施形態では、3つのリンク部材19A、19B、19Cで構成されている。
【0065】
リンク部材19Aは、一端部が、筐体20の背面(照射面とは反対面)に自在継手により連結されている。リンク部材19Aの他端部は、リンク部材19Bの一端部と自在継手により連結されている。
【0066】
リンク部材19Bの他端部は、リンク部材19Cの一端部と自在継手により連結されている。リンク部材19Cの他端部は、自在継手によりコネクタ18と連結されている。このコネクタ18は、筐体20の背面に取り外し可能に連結されている。
【0067】
リンク部材19Bを筐体20から特定間隔離し、筐体20の側面20B及びリンク部材19Bを下にして、筐体20を自立させることにより、放射線検出パネル26の検出面が側方に向けられる。
【0068】
また、リンク部材19A、19B、19C内部には、電気が導通する導体が設けられており、リンク部材19A、19B、19Cはケーブルとして機能する。リンク部材19Aの一端部は、電源部54に電気的に接続されており、電源部54のバッテリへ電力を供給可能とされている。
【0069】
従って、図9の二点鎖線で示すように、充電装置200にコネクタ18を接続することにより、電源部54に充電すること可能となる。
【0070】
なお、自立脚19は、画像データを有線通信するためのケーブルとして用いる構成であってもよい。
【0071】
(自立脚13の第3変形例)
上記の自立脚13に替えて、図10に示すように、筐体20から突出する自立脚25A、25B、25C(以下、25A〜25Cと示す)を設けても良い。
【0072】
自立脚25A〜25Cは、筐体20に出入可能に支持されており、筐体20から突出する突出位置と、筐体20内に収容される収容位置との間を移動可能とされている。また、自立脚25A〜25Cは、ばね等の付勢部材(図示省略)により突出位置に付勢されている。
【0073】
さらに、自立脚25A〜25Cには、収容位置で自立脚25A〜25Cを係止する係止部材(図示省略)が設けられている。係止部材は、突出位置にある自立脚25A〜25Cが筐体20側へ押圧されて収容位置に移動すると、収容位置で自立脚25A〜25Cを係止すると共に、収容位置で係止した自立脚25A〜25Cが筐体20側へ押圧されると係止状態を解除するようになっている。
【0074】
係止部材による自立脚25A〜25Cの係止が解除されると、付勢部材の付勢力により自立脚25A〜25Cは、突出位置に移動する。
【0075】
この構成では、3つの自立脚25A〜25Cは、筐体20の背面側の4つの隅部のうち、3つの隅部にそれぞれ配置されている。自立脚25A、25Bは、側面20Bに沿って配列されており、自立脚25B、25Cは、側面20Aに沿って配列されている。
【0076】
図10に示すように、筐体20の側面20Bを下にして筐体20を横向きで自立させる場合には、側面20Bに沿って配列された自立脚25A、25Bにより筐体20が支持される。
【0077】
図11に示すように、筐体20の側面20Aを下にして筐体20を縦向きで自立させる場合には、側面20Aに沿って配置された自立脚25B、25Cにより筐体20が支持される。
【0078】
これにより、撮影する部位が縦長か横長かによって、電子カセッテ12の向きを変えることができる。
【0079】
(自立脚13の第4変形例)
把持部と自立脚とが兼用となった構成としては、図12、図13及び図14に示す構成であってもよい。
【0080】
この構成では、図12に示すように、側面20Aは、中央部が外側に突出した凸部60とされており、その凸部60の両脇が一段下がった段部61となっている。
【0081】
また、L字状に形成された2つの自立脚62、63が設けられており、自立脚62、63は一端部が筐体20の側面20Aの段部61にそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0082】
自立脚62は、L字の一辺をなす部分62Aが側面20Aに沿って配置され、L字の他辺をなす部分62Bが側面20Bに沿って配置されている。一方、自立脚63は、L字の一辺をなす部分63Aが側面20Aに沿って配置され、L字の他辺をなす部分63Bが側面20Dに沿って配置されている。
【0083】
図13に示すように、自立脚62、63を回動させて、L字の他辺をなす部分62B、63Bを筐体20の背面側に配置されることにより、凸部60及びL字の一辺をなす部分62A、63Aの3点で筐体20を支持し、筐体20を自立させることが可能となる。
【0084】
また、図14に示すように、自立脚62、63を回動させて、L字の他辺をなす部分62B、63Bを重ね合わせて、その重ね合わせたL字の他辺をなす部分62B、63Bを把持部として、把持することができる。
【0085】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。
【図2】図2は、電子カセッテの内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、電子カセッテの概略構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図4は、筐体に設けられた自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、自立された電子カセッテで被験者の側方から撮影する状態を示す概略斜視図である。
【図6】図6は、筐体を横向き及び縦向きに自立させることが可能な自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図7】図7は、第1変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、第1変形例に係る自立脚を把持部として用いた場合を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、第2変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図10】図10は、第3変形例に係る自立脚の構成を示し、筐体を横向きで自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図11】図11は、第3変形例に係る自立脚の構成を示し、筐体を縦向きで自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図12】図12は、第4変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図13】図13は、第4変形例に係る自立脚により筐体を自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図14】図14は、第4変形例に係る自立脚を把持部として用いた場合を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
12 電子カセッテ(可搬型放射線検出器)
13 自立脚
15 自立脚
17 自立脚
19 自立脚
20 筐体
26 放射線検出パネル(放射線検出部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びが可能な可搬型放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型放射線検出器としては、被写体としての被験者のX線画像を撮影する電子カセッテが知られている。
【0003】
このような電子カセッテにおける撮影手技としては、被験者が寝た状態で被験者の側方から撮影する撮影手技があり、従来は撮影台端部のカセッテを固定するホルダに、電子カセッテを差し込んで撮影してきた。
【0004】
しかし、上記のような構成では、撮影場所が決められてしまい、撮影位置を調整する際には、カセッテに対して被験者を移動させる必要があり、けが人に対して決して優しい撮影手技ではなかった。また、撮影の段取りが面倒でもあり、技師にも手間を強いるものであった。
【0005】
後者の問題を解決する提案として、特許文献1に開示されるX線撮影装置が公知である。
【0006】
特許文献1の装置は、被検者を載せる天板3の裏側に、X線撮像装置4に設けられたレール状のガイド4aに沿って、X線撮像部4bを手前に引き出すことができ、天板の長手方向に平行な1辺を回転軸4cとして回転するフラットなX線撮像部4bを備えている。
【0007】
そして、正面撮影は、X線透視撮影台のX線管1を用いて被検者2の上方から行い、側面撮影は、X線撮像部4bを手前に引き出し、上方に90度回転して保持し、天井から懸垂された別置きのX線管5を用いて被検者2の横方向から撮像する。
【特許文献1】特開2002−191588号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1の装置は、技師の手間を軽減できるものの、撮影台の端部という決まった位置で撮影するという点は従来と変わりなく、前者課題の解決には至っていなかった。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、自由な位置で側方からの放射線を検出できる可搬型放射線検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る可搬型放射線検出器は、放射線を検出する放射線検出部が収容された筐体と、前記筐体に設けられ、前記検出部の検出面を側方に向くように前記筐体を自立させる自立脚と、を備えている。
【0011】
この構成によれば、筐体に設けられた自立脚が、検出部の検出面を側方に向くように筐体を自立させる。これにより、検出部は側方からの放射線を検出できる。
【0012】
また、自立脚により筐体を自立させるので、自由な位置に可搬型放射線検出器を設置することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る可搬型放射線検出器は、請求項1に記載の構成において、前記自立脚は、一端部が回動可能に前記筐体に連結され、他端部を前記筐体から離すことで前記筐体を自立させる。
【0014】
この構成によれば、自立脚の一端部が、回動可能に筐体に連結されており、自立脚の他端部を筐体から離すことで筐体を自立させる。
【0015】
筐体を自立させない場合には、自立脚の他端部を筐体に近づけることができるので、自立脚を筐体にコンパクトにまとめることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る可搬型放射線検出器は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記自立脚は、把持可能な把持部と兼用である。
【0017】
この構成によれば、自立脚を把持部としても用いることができるので、部品点数の低減ができ、装置の低コスト化、装置の小型化が図れる。
【0018】
本発明の請求項4に係る可搬型放射線検出器は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記自立脚は、電気を導通させるケーブルと兼用である。
【0019】
この構成によれば、自立脚をケーブルとしても用いることができるので、部品点数の低減ができ、装置の低コスト化、装置の小型化が図れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成としたので、自由な位置で側方からの放射線を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る電子カセッテの構成)
まず、可搬型放射線検出器の一例としての電子カセッテの構成を説明する。図1は、放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。図2は、電子カセッテの内部構造を示す概略斜視図である。図3は、電子カセッテ12の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【0022】
本実施形態に係る電子カセッテ12は、可搬性を有し、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、その検出した放射線により表わされる放射線画像の画像情報を生成し、その生成した画像情報を記憶可能な放射線撮影装置であり、具体的には以下に示すように構成されている。なお、電子カセッテ12は、生成した画像情報を記憶しない構成であっても良い。
【0023】
図1に示すように、電子カセッテ12は、放射線画像の撮影時において、放射線を発生させる放射線源としての放射線発生部14と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生部14と電子カセッテ12との間は、被写体としての被験者16が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線発生部14は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線発生部14から射出された放射線は、撮影位置に位置している被験者16を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ12に照射される。
【0024】
図2に示すように、電子カセッテ12は、放射線Xを透過させる材料から成り、所定の厚みを有する平板状の筐体20を備えている。筐体20内には、筐体20のうち放射線Xが照射される照射面22側から順に、被験者16を透過することに伴って生ずる放射線Xの散乱線を除去するグリッド24、被験者16を透過した放射線発生部14からの放射線を検出する放射線検出部の一例としての放射線検出パネル26、及び放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板28が収容されている。
【0025】
電子カセッテ12の放射線検出パネル26は、図3に示すTFTアクティブマトリクス基板32上に、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線を電荷へ変換する。
【0026】
なお、放射線検出パネル26は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換するX線−電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換しても良い。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)が良く知られている。この場合、蛍光材料によってX線−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行なう。
【0027】
また、TFTアクティブマトリクス基板32上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量34と、蓄積容量34に蓄積された電荷を読み出すためのTFT36とを備えた画素部40(図3では個々の画素部40に対応する光電変換層を光電変換部38として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ12への放射線の照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積される。これにより、被写体を透過して電子カセッテ12に照射された放射線により表される放射線画像は、電荷による画像情報へ変換されて放射線検出パネル26に保持される。
【0028】
また、TFTアクティブマトリクス基板32には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部40のTFT36をオンオフさせるための複数本のゲート配線42と、ゲート配線42と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT36を介して蓄積容量34から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線44とが設けられている。個々のゲート配線42はゲート線ドライバ46に接続されており、個々のデータ配線44は信号処理部48に接続されている。
【0029】
個々の画素部40の蓄積容量34に電荷が蓄積されると、個々の画素部40のTFT36は、ゲート線ドライバ46からゲート配線42を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT36がオンされた画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線44を伝送されて信号処理部48に入力される。従って、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0030】
信号処理部48は、個々のデータ配線44毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線44を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側には、マルチプレクサと、画像情報を担持した電気信号を変換する電気信号変換部の一例としてのA/D変換器48Aとが、順に接続されている。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、マルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器48Aによって、アナログ電気信号がデジタル電気信号に変換される。信号処理部48には画像メモリ50が接続されており、信号処理部48のA/D変換器48Aから出力された画像情報は画像メモリ50に順に記憶される。画像メモリ50は複数フレーム分の画像情報を記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像情報が画像メモリ50に順次記憶される。
【0031】
また、電子カセッテ12は、放射線画像の画像データを表示装置との間で送受信するための通信部52と、放射線検出パネル26を制御する制御部の一例としての装置全体の動作を制御する制御部58と、を備えている。
【0032】
なお、表示装置は、入力手段としてのキーボードやマウス、表示手段としてのディスプレイ、CPU、ROM、RAM等を含むPC(パーソナルコンピュータ)で構成されている。また、電子カセッテ12との間でデータの送受信を行うための通信部を備えている。
【0033】
制御部58は、電子カセッテ12全体の制御を司るCPU、各種の処理プログラムを記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、各種情報が記憶された記憶手段としてのメモリを含んだマイクロコンピュータ等で構成されている。
【0034】
なお、制御部としては、装置全体の動作を制御するものに限られず、装置の構成部の一部の動作を制御するものであっても良い。
【0035】
また、電子カセッテ12は、放射線検出パネル26を含む構成部の少なくとも一部へ電力を供給する電源部として、電子カセッテ12を動作させるために各種回路・素子の構成部へ電力を供給する電源部54を備えている。
【0036】
また、電源部54は、電子カセッテ12の可搬性を損なわないように、電源部54によって供給される電力を蓄電する蓄電部としてのバッテリ(充電可能な二次電池)を備えている。
【0037】
電源部54によって供給される電力を蓄電する蓄電部としては、充電可能な二次電池に限られず、ニッケル水素・リチウムイオン・鉛蓄電池・キャパシタなどを用いても良い。
【0038】
また、電源部としては、本実施形態のように、装置全体の構成部に電力を供給するものに限られず、装置の一部の構成部に電力を供給するものであっても良い。また、複数の電源部を有する構成であってもよい。
【0039】
(電子カセッテ12の筐体20の形状及び筐体20に設けられた自立脚13)
次に、電子カセッテ12の筐体20の形状及び筐体20に設けられた自立脚13について説明する。
【0040】
電子カセッテ12の筐体20は、図3に示すように、平面視にて(放射線が照射される側から見て)外縁に4辺(4本の直線)21A、21B、21C、21Dを有する形状、具体的には、四辺形状(四角形状)をしている。より具体的には、電子カセッテ12の筐体20は、長方形状をしている。なお、電子カセッテ12は、角が丸くなった形状をしていても良い。
【0041】
筐体20には、辺21Aを構成する側面20Aと、辺21Bを構成する側面20Bと、辺21Cを構成する側面20Cと、辺21Dを構成する側面20Dとが形成されている。
【0042】
また、TFTアクティブマトリクス基板32(検出領域)も電子カセッテ12の形状と同様とされており、平面視にて(放射線が照射される側から見て)外縁に4辺(4本の直線)を有する形状、具体的には、四辺形状(四角形状)をしている。より具体的には、TFTアクティブマトリクス基板32(検出領域)は、長方形状をしている。
【0043】
また、電子カセッテ12の筐体20には、図4に示すように、自立脚13が設けられている。
【0044】
この自立脚13は、一端部がヒンジ33によって筐体20に回動可能に連結されており、連結端部13Aとなっている。この連結端部13Aは、放射線Xが照射される照射面22(放射線検出パネル26の検出面)とは反対側の筐体20の背面に連結されている。
【0045】
他端部は、連結端部13Aを特定の角度、回動させることにより、筐体20から接離する自由端部13Bとなっている。この自由端部13Bが、図4に示すように、筐体20から特定間隔離れ、筐体20を支持する脚として用いられる。連結端部13Aは、筐体20の側面20D側に配置され、自由端部13Bは、筐体20の側面20B側に配置されている。
【0046】
筐体20の側面20B及び自立脚13の自由端部13Bを下にして、筐体20を自立させることにより、放射線検出パネル26の検出面が側方に向けられる。従って、図5に示すように、撮影台100に横たわる被験者16の側方の撮影台100上に電子カセッテ12を置き、被験者16を挟むように、放射線発生部14を電子カセッテ12に対向配置することで、側方からの撮影が可能となる。
【0047】
また、筐体20には、自立脚13を収容するための凹部35が形成されており、自立脚13は、使用しない場合において、凹部35に収容することができる。
【0048】
なお、自立脚13に替えて、図6に示すように、撮影台100上に対して横長に配置する横向き(図6に示す向き)及び撮影台100に対して縦長に配置する縦向きにおいても筐体20を自立可能にする自立脚15を設ける構成であってもよい。
【0049】
図6に示すように、筐体20の長辺である辺21Bを構成する側面20Bを下にして筐体20を横向きで自立させる場合には、自立脚15の自由端部の一方の面15Aにより筐体20が支持される。
【0050】
筐体20の短辺である辺21Aを構成する側面20Aを下にして筐体20を縦向きで自立させる場合には、自立脚15の自由端部の他方の面15Bにより筐体20が支持される。
【0051】
これにより、撮影する部位が縦長か横長かによって、電子カセッテ12の向きを変えることができる。
【0052】
(本実施形態に係る電子カセッテ12の作用)
次に、本実施形態に係る電子カセッテ12の作用を説明する。
【0053】
本実施形態に係る電子カセッテ12では、被験者の側方から放射線画像を撮影したい場合には、自立脚13の連結端部13Aを回動中心にして自立脚13の自由端部13Bを回動させて筐体20から離し、自立脚13を凹部35から引き出す。
【0054】
電子カセッテ12の側面20Bと自立脚13の自由端部13Bを撮影台100上に接地させて、電子カセッテ12を自立させる。
【0055】
本実施形態では、電子カセッテ12は撮影台100の特定の箇所に設けられるものでなく、自立する構成であるので、撮影台100上の任意に位置に設置することができる。
【0056】
従って、撮影位置を調整する場合には、被験者16に対して電子カセッテ12を移動さればよく、被験者16を移動させる必要が無くなる。
【0057】
(自立脚13の第1変形例)
上記の自立脚13に替えて、図7及び図8に示すように、電子カセッテ12を取り扱う者が把持可能な把持部と兼用となった自立脚17を設けても良い。
【0058】
自立脚17には、電子カセッテ12を取り扱う者の指を通すことが可能な開口部37が形成されており、この開口部37に指を通して自立脚17を把持することができる。
【0059】
自立脚17は、一端部が回動可能に連結されており、連結端部となっている。連結端部は、筐体20の外縁部に連結されている。筐体20の中央部には、自立脚17を収容するための凹部23が形成されている。
【0060】
連結端部を回動中心にして、他端部である自由端部を凹部23側へ回動させることにより、自立脚17が凹部23に収容される。
【0061】
凹部23に収容された自立脚17を、例えば180度回動させて凹部23とは反対側に移動させることにより、自立脚17を把持部として用いることが可能となる。図8に示すように、自立脚17の開口部37に指を通して自立脚17を把持し、電子カセッテ12を持ち運ぶことが可能となる。
【0062】
また、凹部23に収容された自立脚17を、例えば90度回動させて筐体20の側面20Bと、同一面上に自立脚17の側面17Aを位置させ、図7に示すように、筐体20の側面20Bと自立脚17の側面17Aを下にして、電子カセッテ12自立させることが可能となる。
【0063】
(自立脚13の第2変形例)
上記の自立脚13に替えて、図9に示すように、ケーブルと兼用となった自立脚19を設けても良い。
【0064】
自立脚19は、複数のリンク部材で構成されている。本実施形態では、3つのリンク部材19A、19B、19Cで構成されている。
【0065】
リンク部材19Aは、一端部が、筐体20の背面(照射面とは反対面)に自在継手により連結されている。リンク部材19Aの他端部は、リンク部材19Bの一端部と自在継手により連結されている。
【0066】
リンク部材19Bの他端部は、リンク部材19Cの一端部と自在継手により連結されている。リンク部材19Cの他端部は、自在継手によりコネクタ18と連結されている。このコネクタ18は、筐体20の背面に取り外し可能に連結されている。
【0067】
リンク部材19Bを筐体20から特定間隔離し、筐体20の側面20B及びリンク部材19Bを下にして、筐体20を自立させることにより、放射線検出パネル26の検出面が側方に向けられる。
【0068】
また、リンク部材19A、19B、19C内部には、電気が導通する導体が設けられており、リンク部材19A、19B、19Cはケーブルとして機能する。リンク部材19Aの一端部は、電源部54に電気的に接続されており、電源部54のバッテリへ電力を供給可能とされている。
【0069】
従って、図9の二点鎖線で示すように、充電装置200にコネクタ18を接続することにより、電源部54に充電すること可能となる。
【0070】
なお、自立脚19は、画像データを有線通信するためのケーブルとして用いる構成であってもよい。
【0071】
(自立脚13の第3変形例)
上記の自立脚13に替えて、図10に示すように、筐体20から突出する自立脚25A、25B、25C(以下、25A〜25Cと示す)を設けても良い。
【0072】
自立脚25A〜25Cは、筐体20に出入可能に支持されており、筐体20から突出する突出位置と、筐体20内に収容される収容位置との間を移動可能とされている。また、自立脚25A〜25Cは、ばね等の付勢部材(図示省略)により突出位置に付勢されている。
【0073】
さらに、自立脚25A〜25Cには、収容位置で自立脚25A〜25Cを係止する係止部材(図示省略)が設けられている。係止部材は、突出位置にある自立脚25A〜25Cが筐体20側へ押圧されて収容位置に移動すると、収容位置で自立脚25A〜25Cを係止すると共に、収容位置で係止した自立脚25A〜25Cが筐体20側へ押圧されると係止状態を解除するようになっている。
【0074】
係止部材による自立脚25A〜25Cの係止が解除されると、付勢部材の付勢力により自立脚25A〜25Cは、突出位置に移動する。
【0075】
この構成では、3つの自立脚25A〜25Cは、筐体20の背面側の4つの隅部のうち、3つの隅部にそれぞれ配置されている。自立脚25A、25Bは、側面20Bに沿って配列されており、自立脚25B、25Cは、側面20Aに沿って配列されている。
【0076】
図10に示すように、筐体20の側面20Bを下にして筐体20を横向きで自立させる場合には、側面20Bに沿って配列された自立脚25A、25Bにより筐体20が支持される。
【0077】
図11に示すように、筐体20の側面20Aを下にして筐体20を縦向きで自立させる場合には、側面20Aに沿って配置された自立脚25B、25Cにより筐体20が支持される。
【0078】
これにより、撮影する部位が縦長か横長かによって、電子カセッテ12の向きを変えることができる。
【0079】
(自立脚13の第4変形例)
把持部と自立脚とが兼用となった構成としては、図12、図13及び図14に示す構成であってもよい。
【0080】
この構成では、図12に示すように、側面20Aは、中央部が外側に突出した凸部60とされており、その凸部60の両脇が一段下がった段部61となっている。
【0081】
また、L字状に形成された2つの自立脚62、63が設けられており、自立脚62、63は一端部が筐体20の側面20Aの段部61にそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0082】
自立脚62は、L字の一辺をなす部分62Aが側面20Aに沿って配置され、L字の他辺をなす部分62Bが側面20Bに沿って配置されている。一方、自立脚63は、L字の一辺をなす部分63Aが側面20Aに沿って配置され、L字の他辺をなす部分63Bが側面20Dに沿って配置されている。
【0083】
図13に示すように、自立脚62、63を回動させて、L字の他辺をなす部分62B、63Bを筐体20の背面側に配置されることにより、凸部60及びL字の一辺をなす部分62A、63Aの3点で筐体20を支持し、筐体20を自立させることが可能となる。
【0084】
また、図14に示すように、自立脚62、63を回動させて、L字の他辺をなす部分62B、63Bを重ね合わせて、その重ね合わせたL字の他辺をなす部分62B、63Bを把持部として、把持することができる。
【0085】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、放射線画像撮影時における電子カセッテの配置を示す概略図である。
【図2】図2は、電子カセッテの内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、電子カセッテの概略構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図4は、筐体に設けられた自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、自立された電子カセッテで被験者の側方から撮影する状態を示す概略斜視図である。
【図6】図6は、筐体を横向き及び縦向きに自立させることが可能な自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図7】図7は、第1変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、第1変形例に係る自立脚を把持部として用いた場合を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、第2変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図10】図10は、第3変形例に係る自立脚の構成を示し、筐体を横向きで自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図11】図11は、第3変形例に係る自立脚の構成を示し、筐体を縦向きで自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図12】図12は、第4変形例に係る自立脚の構成を示す概略斜視図である。
【図13】図13は、第4変形例に係る自立脚により筐体を自立させた状態を示す概略斜視図である。
【図14】図14は、第4変形例に係る自立脚を把持部として用いた場合を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
12 電子カセッテ(可搬型放射線検出器)
13 自立脚
15 自立脚
17 自立脚
19 自立脚
20 筐体
26 放射線検出パネル(放射線検出部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出部が収容された筐体と、
前記筐体に設けられ、前記検出部の検出面を側方に向くように前記筐体を自立させる自立脚と、
を備えた可搬型放射線検出器。
【請求項2】
前記自立脚は、一端部が回動可能に前記筐体に連結され、他端部を前記筐体から離すことで前記筐体を自立させる請求項1に記載の可搬型放射線検出器。
【請求項3】
前記自立脚は、把持可能な把持部と兼用である請求項1又は請求項2に記載の可搬型放射線検出器。
【請求項4】
前記自立脚は、電気を導通させるケーブルと兼用である請求項1又は請求項2に記載の可搬型放射線検出器。
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出部が収容された筐体と、
前記筐体に設けられ、前記検出部の検出面を側方に向くように前記筐体を自立させる自立脚と、
を備えた可搬型放射線検出器。
【請求項2】
前記自立脚は、一端部が回動可能に前記筐体に連結され、他端部を前記筐体から離すことで前記筐体を自立させる請求項1に記載の可搬型放射線検出器。
【請求項3】
前記自立脚は、把持可能な把持部と兼用である請求項1又は請求項2に記載の可搬型放射線検出器。
【請求項4】
前記自立脚は、電気を導通させるケーブルと兼用である請求項1又は請求項2に記載の可搬型放射線検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−48945(P2010−48945A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211790(P2008−211790)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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