可搬式酸素濃縮器
【課題】望の用途に必要な酸素濃度を達成できると同時に、可搬性に優れ、操作が簡単で、相対的に身体能力が限られた患者でも運ぶことができる、新たな改良された圧力スウィング吸着(PSA、又は酸素濃縮器)装置を提供する。
【解決手段】生成されたガスの有用部分が導かれる制御組立体60は、合成ゼオライトが詰め込まれ、パルス供給様式で装置の出口68を通してユーザに送出される前に製品酸素を保存しておくリザーバとして機能する混合タンク62と、ユーザに送出される製品ガス圧力を調整するためのピストン式圧力制御調整器64と、細菌フィルタ66と、後に述べる電子回路のOCD構成要素を含むパルス式供給トランスデューサ72、フロー制御ソレノイド操作弁74及び低圧センサ76を含んでいる酸素送出システム70と、を備えている。
【解決手段】生成されたガスの有用部分が導かれる制御組立体60は、合成ゼオライトが詰め込まれ、パルス供給様式で装置の出口68を通してユーザに送出される前に製品酸素を保存しておくリザーバとして機能する混合タンク62と、ユーザに送出される製品ガス圧力を調整するためのピストン式圧力制御調整器64と、細菌フィルタ66と、後に述べる電子回路のOCD構成要素を含むパルス式供給トランスデューサ72、フロー制御ソレノイド操作弁74及び低圧センサ76を含んでいる酸素送出システム70と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には圧力スウィング吸着(PSA)により気体の混合物を分離するための気体濃縮器に、そしてより具体的には医療用として酸素を送出することを目的とするPSA装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2002年1月31日出願の米国仮特許出願第60/353,563号による利益を請求する。
【0003】
本発明が関わるPSA即ち圧力スウィング吸着装置の一般的型式並びに作動原理については、米国特許第3,564,816号、同第3,636,679号、同第3,717,974号、同第4,802,899号、同第5,531,807号、及び同5,871,564号などに記載されている。例えば、圧力スウィング吸着装置は、1つ又は複数の吸着器を含んでおり、各吸着器は、供給流からの気体混合物が順に並流方向に吸着器を通過して導かれる際に、床への吸着により気体混合物から少なくとも1つの成分ガスを分留するための、固定された吸着材料の篩床を有している。一方の吸着器が吸着を行なっている間、もう一方の吸着器からは、これと同時に、吸着した成分ガスが、第1又は生産吸着器から引き出され向流方向に他方の吸着器を通過するように導かれる製品ガスの一部によりパージされる。他方の吸着器がパージされると、事前に設定された時間に、供給流が他方の吸着器に向けて並流方向に導かれるので、前記他方の吸着器が今度は吸着を行なう。次に、第1の吸着器が、同時に、又は3つ以上の吸着器がある場合には別の時間指定された順序でパージされるが、この全容は上記特許文献を読めば理解頂けよう。
【0004】
例えば、医療用、産業用、又は商業用を問わず各種用途で用いるために、周囲の大気から高濃度の酸素を生成するためにこのような装置を使用する場合、装置に入る空気は、通常、窒素約78%、酸素約21%、アルゴン約0.9%、及び可変量の水蒸気を含んでいる。医療用として、例えば、典型的には少なくとも約80%の酸素を含むガス製品を生成するために、原則的には窒素の大部分は装置により除去される。医療用として使用されるこのような装置の殆どは、移動中の患者又は何らかの目的で家庭環境を離れたいと望む患者が使用するにはあまりに嵩張りすぎる。この様な場合、患者は、酸素濃縮器の使用を差し控え、加圧酸素タンクの使用に逆戻りするのが普通である。酸素タンクは、患者が自由に歩き回れるようにするには非常に有用であるが、それでも、例えば酸素保存容量が限られるため、又は可燃性材料が事故を引き起こす恐れのある或る種の公共輸送機関又は場所では使用が禁止されることもあることから、その使用は制限される。酸素タンクの有効寿命は、例えば、1999年10月19日出願の同時係属中の米国特許出願第09/420,826号に開示されている酸素濃縮装置(OCD)を使用することによって延びるが、それら機器の使用も、安全性と保管の点から、また、酸素を再供給するためのアクセス、並びに酸素のための医療費及び償還の書類手続きが継続するなどの点でなお問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、所望の用途に必要な酸素濃度を達成できると同時に、可搬性に優れ、操作が簡単で、相対的に身体能力が限られた患者でも運ぶことができる、新たな改良された圧力スウィング吸着(PSA、又は酸素濃縮器)装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、発明的PSA設計と、PSAからユーザに酸素をパルス状に供給するための酸素維持装置(OCD)とを組み合わせた独自の構成により達成される。
【0007】
本装置の意図する用途は、例えば各種の慢性閉塞性肺疾患(COPD)などに苦しむ人たちに対して補助的な高純度の酸素を供給することである。本発明は、2床式PSAを一体構成のOCDと併用し、濃度90%超の継続的高濃度酸素を有効率毎分約5リットル(LPM)相当までの投与量で酸素供給するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による、PSA/OCD合体型装置の概略図である。
【図2】本発明の好適な実施形態を上から見た斜視図であり、本発明の作動構成要素を強調表示するために上下ハウジング部分を仮想線で示している。
【図3】本発明の好適な実施形態を上から見た斜視図であり、本発明の作動構成要素を強調表示するために上下ハウジング部分を仮想線で示している。
【図4】上記同様の斜視図であるが、好適な実施形態を下から見た図である。
【図5】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での上面図である。
【図6】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での下面図である。
【図7】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での右側面図である。
【図8】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での左側面図である。
【図9】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での前面図である。
【図10】図5の10−10線に沿う断面図である。
【図11A】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11B】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11C】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11D】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11E】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11F】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図12】回路基板の図である。
【図13】好適な実施形態により供給される酸素の相対濃度に対するユーザの呼吸数の影響を近似するグラフである。
【図14】本装置が酸素モニターも含んでいる代わりの実施形態を部分的に示す図である。
【図14A】本装置が酸素モニターも含んでいる代わりの実施形態を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記及びその他の目的、特性及び利点は、以下の説明を、本発明の好適な実施形態を示す添付図面を参照しながら読めば更に明確になるであろう。
【0010】
以下、図面を参照しながら説明するが、本発明による好適な実施形態である、圧力スウィング吸着装置と酸素維持装置を合体させたもの、即ちPSA/OCDを、全体として参照番号20で示しており、これは、必ずしもと言うわけではないが一般的には周囲の空気である気体混合物から、圧力スウィング吸着により少なくとも1つの成分即ち窒素を分留して製品ガスを製造し、この製品ガスをユーザの要求に応じて特定且つ調整可能な間隔で送出するために使用される。圧力スウィング吸着の一般的な作動原理は周知であり、例えば、それぞれ米国特許第4,802,899号、同第5,531,807号、及び同5,871,564号に開示されており、これ等の開示内容全体を本願に参考文献として援用する。同様に、保存されている酸素の有効寿命を延ばすために、加圧されたタンクから酸素のような製品ガスをパルス状に供給して維持することも広く知られており、例えば1999年10月19日出願の係属中の米国特許出願第09/420,826号に開示されており、同開示全体を本願に参考文献として援用する。
【0011】
図1では、フィルタ付き吸気口21と、周囲の空気の供給気流の吸入により生じるノイズを下げるための吸気共振器22を通してPSA/OCD装置20に周囲の空気が供給される。供給気流は共振器22に続き、その出口22aから、供給空気圧縮機/熱交換器組立体24によって、供給弁40及び42それぞれを介して、第1及び第2吸着器30、32に交互に送り込まれる。図示の圧縮機/熱交換器組立体24は、空気入口24c及び出口24dを備えた圧縮機24aと、これに続く熱交換器24bを含んでいる。
【0012】
供給気流が、吸着器30、32の入口30a、32aに並流方向で交互に入ると、各吸着器は、供給気流を所望濃度の製品ガスに分留する。周囲の空気から窒素を分離するために床に使用される吸着材料は、合成ゼオライトか、又は等価な性質を有する他の既知の吸着材料でもよい。
【0013】
周囲の空気が吸着器30、32のそれぞれに順次並流方向に流入することにより生成される酸素に富んだ製品ガスの相当部分又は有用部分は、対応する吸着器の出口30b、32b及び逆止弁34、36を通って製品マニホールド48に至り、次いで後に述べる送出制御組立体60に到る。各吸着器により生成される製品ガスの残りは、時間を決めて、パージオリフィス50と、適切に時間設定された平衡弁52と、随意的な流れ絞り弁53を通して、他方の吸着器30又は32を通して、主に窒素ガスである吸着されたガスをパージするために、向流方向に、各出口30b、32bから各入口30又は32へと迂回して流される。向流方向に流された製品ガスとパージされたガスは、次いで、適切に時間設定された逃がし弁44、46、配管47及び吸音マフラー48を通して吸着器から雰囲気中に排出される。
【0014】
生成されたガスの有用部分が本発明により導かれる制御組立体60は、合成ゼオライトが詰め込まれ、パルス供給様式で装置の出口68を通してユーザに送出される前に製品酸素を保存しておくリザーバとして機能する混合タンク62と、ユーザに送出される製品ガス圧力を調整するためのピストン式圧力制御調整器64と、細菌フィルタ66と、後に述べる電子回路80のOCD構成要素を含むパルス式供給トランスデューサ72、フロー制御ソレノイド操作弁74及び低圧センサ76を含んでいる酸素送出システム70と、を備えている。図2、図3及び図5に示すように、供給弁、逃がし弁、平衡弁、及び流量制御弁は、全て共通の弁ブロック26に取り付けられている。
【0015】
本発明によれば、PSAで生成された酸素濃度の高いガスを混合タンク62からユーザへの供給は、以下に説明する送出システム70で制御される。
【0016】
周知のように、吸入酸素が最も効果的に使用されるのは吸入の始めなので、各種装置は、装置が吸入を最初に感知した時だけ、そして吸入周期の初期段階にだけ、加圧された酸素タンクから酸素を送出するように作られている。我々は、この周知の原理を利用して、主として吸入の初期段階にだけ酸素を送出する酸素送出システムを含む非常にコンパクトで効率の高いPSAを工夫した。例えば図11及び図12に示すように、低圧センサ76は、酸素濃度の高いガスをユーザに送出する装置出口68に接続されている従来型のカニューレ(図示せず)を通して、ユーザの吸入により感知される圧力低下を検出する。圧力センサ76が圧力低下を検出すると、電子回路80内のトランスデューサ回路72が、所定の時間、流量制御弁74を開き、混合タンク62内の酸素に富んだガスを所定の量だけ出口68を通してユーザに送り出すようにする。送出されるガスの量は、回路基板上の電子回路80により、多数の効果的な流量の内の何れかで送出するためのプログラム可能な装置77を使って制御されるが、我々の好適な実施形態では、約80%から約95%の酸素濃度での効果的な流量は、1LPMから5LPMまで5通りある。
【0017】
設定は、多位置制御スイッチ86を使って行なわれ、このスイッチには、図2に示すように、装置20の上側ハウジング部分104のヒンジ式カバー102を開けてアクセスする。カバー102は、しっかりと閉鎖し簡単に開けるために磁気ラッチで閉じた状態に保持されるのが望ましい。装置20は、更に下側ハウジング部分106で囲まれている。上下のハウジング部分104、106の間には、中央シャーシ108が両者と嵌合しており、シャーシ上には装置20の作動構成要素が取り付けられている。
【0018】
外側ハウジング部分104、106及びシャーシ108は、適していればどの様な耐衝撃材料で作ってもよいが、射出成形されたABSプラスチックであるのが望ましい。図示のシャーシ108は、一体成形された持ち運び用取っ手109も有している。
【0019】
本発明の有効性とコンパクトサイズを可能にしているのは、本発明の構成要素の構造的配置と、装置内の気流の制御によるところが大きく、これについて以下説明する。
【0020】
本発明によれば、周囲の空気は、装置20の内部のアクセスカバー102と制御パネル111の間の空間にしか流入できず、これは出口68を取囲む凹部内のアクセス通気孔110により、そしてカバー102のヒンジ接続部に上側ハウジング104まで形成された長形スロット112を通して達成される。アクセス通気孔110、スロット112及び空気排出点を除くと、上下のハウジング104と106とで、シャーシ108を備えた密閉チャンバを形成している。周囲の空気は、ファン92によって、ヒンジカバー102を開くとアクセスできる制御パネル111上のアクセス可能な入口フィルタを通して、装置20の密閉されたチャンバの内部に導入される。フィルタ113は、装置内部に流入する空気から埃やその他不純物を除去するように設計された発泡総粒子フィルタである。フィルタ113を通って装置20の内部に流入する周囲の空気の一部は、圧縮機組立体24により、フェルト材で作られた第2フィルタ114を通して分留対象の空気を更にフィルタ処理した後、共振器22の入口21に送り込まれる。装置20の内部に流入する周囲の空気の残りは、本発明によれば、PSA組立体の作動構成要素を冷却するために、装置の密閉された内部全体を通して制御された経路を流される。
【0021】
明らかになっていくが、図10に示すようにシャーシ108の傾斜した開口部93内に配置されたファン92は、装置20内のシャーシ108とカバー部分104、106の間の密閉空間を通して、制御された経路で周囲の空気の残り(balance)を移動させる機能も併せ持つ。
【0022】
図4から図9から分かるように、中央シャーシ108の上側に取り付けられている作動構成要素は、吸気口21、制御スイッチ86、装置を起動し流量を設定するためのアクセス可能な全体制御盤111、取り外し可能なバッテリパック90、弁ブロック26、圧縮機組立体24、回路基板81、ファン92、及びカニューレ取り付け具68である。中央シャーシの下側に取り付けられているのは、共振器22、吸着床30、32、マフラー46、混合タンク62、及び圧力制御調整器64である。
【0023】
装置20の作動構成要素を冷却するために使用される、装置20全体を通して流れる周囲の空気の流を方向決めするに際し、フィルタ付吸気口113から流入する周囲の空気の内、フィルタ114に向かわない部分は、シャーシ108に形成された一連の水平及び垂直方向のバッフル120により装置を通過するように方向決めされ、バッフルは、フィルタ付き吸気口113を通ってアクセス空間に入る周囲の冷却用の空気を、ファン92からの吸引によって、順次、回路基板81、弁ブロック26、及び圧縮機組立体24上に向かわせる。周囲の冷却用の空気は、ファン92によって、次に開口部93を通ってシャーシ108の下側に引き込まれ、先ずシャーシ108の底面側に形成されたプレナムまたはダクト(図示せず)を通って、冷却用の空気全てがシャーシ108と下側ハウジング106の間に形成された空間の前方に向けて導かれる。冷却用の空気は、次いで、装置20の背面に向って流れるよう再度方向決めされ、下側ハウジング部分106の後端でグリルワーク124を通して排出される前に、共振器22、吸着器床30、32、混合タンク62、マフラー46、及び圧力調整器64上を流れる。後に説明する図12から明らかになるように、シャーシ108上に取り付けられた回路基板81に取り付けられている発熱性構成要素は、全て、冷却用の空気が装置20の内部に流入する際のその正流方向における、回路基板の後ろ側に配置されている。
【0024】
本発明を構成する要素の新規な設計と組み合わせ及び配置により、好適な実施形態に基づく合体型PSA/OCDは、標準的雰囲気において、吸入周期毎に、1LPMの設定では約8.75mL、2LPMの設定では約17.5mL、3LPMの設定では約26.25mL、4LPMの設定では約35.0mL、及び5LPMの設定では約43.75mLで、パルス状供給で約90%±3%の濃縮酸素を送出することができる。全く意外ではあるが、この性能を、重量約4.536kg(約10lb)未満、全体の大きさとしては長さ約43.18cm(17インチ)未満、幅約20.32cm(8インチ)未満、高さ約15.24(6インチ)未満、放出ノイズレベル約55デシベル未満、という装置で実現することができる。
【0025】
図示の実施形態では、医療用の吸着床30、32は、それぞれ、長さが約24.77cm(9.75インチ)、直径が約3.175cm(1.25インチ)で、吸着床毎に重量約81グラムのゼオライト篩材料(zeolite sieve material)を備えている。床30、32は、減圧又は圧力均等化段階で篩材料が「流動化」しないように、ばね付勢されているのが望ましい。空気の供給流は、公称速度毎分約7リットルで供給され、3LPMの設定でユーザの呼吸数が毎分約15回の場合、概算作動圧力範囲が約131kPa(19psia)から約158.6kPa(23psia)以内、又は電力供給が約13ボルトの場合は144.8kPa(21psia)で製品ガスを生成する。
【0026】
印刷回路基板81上の回路構成要素は、PSA周期と、装置からの酸素のパルス状供給を制御する。上記構成要素は、図11a−f、及び図12に示されており、回路80についての付随の詳細な説明に述べる様に機能する。
【0027】
各流量制御スイッチの設定に合わせて装置が供給する酸素の濃度は、システムの圧力、作動電圧(バッテリ又は外部供給)、及び患者の呼吸数に基づきパラメータの許容範囲内で決まる。後で示すが回路80では、マイクロプロセッサは、セレクタ位置、作動電圧、及びOCDの起動頻度を継続的又はサンプル採取して読み取り、ユーザに送出される予測可能な酸素濃度を計算する。上記の何れかが上下の閾値に近づくと、例えば、酸素濃度が85%程度にまで下がると、間欠的なアラームが鳴り、ユーザに、装置は継続して使用できるが性能が仕様基準を外れないように対処するよう警告を発する。上記パラメータの何れかが継続して所定閾値を超過するようになると、例えば、計算された酸素濃度が80%以下となる場合には、アラームが鳴り続けて、ユーザに、装置20の性能は仕様基準を外れており、使用の中止を通知するようにプログラムすることができる。
【0028】
例えば、装置は、合理的な呼吸数を許容するように設計されているが、ユーザの身体活動が非常に顕著に増大し、その結果として呼吸数が増すと、装置20が供給できる以上に酸素の需要が高まることにより、装置が過剰吸引状態になることもある。図13のグラフは、フロー制御スイッチが3LPMに設定され供給電圧が13.5VDCの場合の、酸素濃度に対する呼吸数の影響を示している。
【0029】
図示の実施形態は、装置の起動時の可聴信号、高圧及び低圧のシステム過剰吸引並びに無呼吸事象(即ち、事前設定時間内の無吸入)を信号連絡するための可聴赤色視認灯アラーム、低バッテリ状態を信号連絡するための可聴黄色視認灯アラーム、パルスモードでの正常な装置運転を示す点滅緑色灯を含んでいるのが望ましい。
【0030】
装置の最大呼吸数は、各流量制御スイッチ設定と装置を制御する電圧の範囲との組合わせによって決まる。回路80は、バッテリ電圧、流量制御スイッチ設定、及び患者の呼吸数を継続的に監視する。呼吸数によって装置が過剰吸引状態に近づくと(酸素濃度約85%)、又は過剰吸引状態に到ると(酸素濃度80%以下)、アラームが患者に身体活動を控えるように注意又は警報を出す。
【0031】
回路基板の上で且つフィルタ113の下には、装置の累積使用時間を記録する液晶表示時間計122が取り付けられており、推奨稼動スケジュールに合わせられるようになっている。フィルタ113は、洗浄時にはユーザが取り外せるようになっており、ユーザが時間計122を容易に確認できる。稼動時、制御パネルからアクセス可能なテストボタン87を起動させて、装置20を各種作動モードで周期運転させ、装置の作動構成要素が設計どおり機能することを確認する。アクセス可能なリセットボタン130を使って、保守作業員が修理後に時間計のカウンタをリセットできるようになっている。
【0032】
例えば冷却ファンの故障又は空気の入口/出口閉塞などにより過熱状態が発生した場合には、圧縮機組立体24への電源を切るために、温度スイッチ124が設けられている。
【0033】
図11Aに示すように、主回路基板81は、クロック速度が1Mhzの外部水晶発振器82を有するPIC16F74−1/Lマイクロコントローラ77に基づいている。マイクロコントローラ77は、入力データを、1)アナログ圧力調整回路(酸素維持装置、以下OCD用)、2)公称1.5amp定電流発生器を備えたバッテリ管理システム、3)弁制御装置72(圧力スウィング吸着、以下PSA、用)、4)回転式スイッチ86、5)純度テストボタン87、及び6)センサ圧力を示す圧力センサ76、から受信する。マイクロコントローラ77は、3つのLED125、126、127と可聴アラーム128を介してオペレータと通信する。更に、時間計122は、定刻に圧縮機に指示を出す。
【0034】
図11D及び図11Cに示すように、更に2つの回路が主回路基板81上にある。バッテリリセット回路は、バッテリ電圧が基準電圧より低下すると5V調整器97を使用不能にして、回路基板の大部分を停止させ、バッテリから引き出される電流を最小限に抑える。第2回路は、符号100で示すオンボード回路リレーK1の切り替え応答時間を制御し、ACアダプタが取り外されても作動が中断されないようにする。リレー100は、外部電力供給装置が装置に差し込まれるとエネルギー供給されるので、外部供給によってしかエネルギーを得られない。外部供給装置が引き抜かれると、リレー100はエネルギーが断たれ、装置はバッテリ電力によって作動することになる。
【0035】
図11Bは、圧力信号調整回路、即ちOCDの概略線図である。回路のアナログ区間では、四重演算増幅器OPA4336EA250が使用されている。4つの増幅器の内の2つU8−A、83とU8−B、84は、入力が圧力トランスデューサU9、78の差動出力に直接接続されている。U8−B、84のピン7の最適オフセット電圧は、3.475±0.025ボルトになるように決められている。この電圧は、タイマーR11、79を調整することにより設定される。このステージのゲインは400を超え、結果として、U8−B、84のピン7の圧力信号は、患者呼吸数に関して決定を下す次のステージに備えた正しい範囲内にある。増幅器U8−C、88は、比較器として構成されている。88のピン12は、直近の4から5呼吸の間の患者カニューレ内の平均圧力を表し、88のピン11は、呼吸圧力を瞬間的に追跡する。結果として、各吸入の初期段階に発生した減圧により、U8−C、88の出力が低から高へと変化し、新しい吸入をマイクロコントローラ77に信号連絡する。この回路を使用する利点の1つとして、温度変化又は構成要素の経年変化により引き起こされる微細又は緩慢なオフセットドリフトに対して比較的感受性が低いことが挙げられる。更に、「浮動」平均圧力信号は、呼吸パターンの変化に自動的に追従する。
【0036】
ソレノイド弁74が開いて酸素がカニューレを通って流れる時、システム内には比較的高い圧力が存在している。この圧力を、圧力センサU9、78が読み、U8−A、83とU8−B、84が増幅し、U8−B、84の出力に5ボルトのスパイクを生成する。患者の呼吸だけに影響される正確な平均圧力値を維持するために、このスパイクは、トランジスタQ3、85の生成する逆パルスで補償される。このトランジスタのゲートは、U8−B、84のピン7の信号が4.375ボルトより高ければ、マイクロコントローラU2、77からの信号で起動される。Q3、85がオンで、U8−C、88のピン11に生じる電圧が、カニューレ内に圧力が存在していないときの電圧に非常に近い場合、それにより、平均圧力が、酸素の流れに伴う圧力の影響を受けるのが防がれる。
【0037】
バッテリ管理システムは、図11Cに示すように、ベンチマークBQ2002TSN(U1)バッテリ管理チップ91、バール−ブラウン演算増幅器UPA2334UA(U13)146、アステックDC−DC5ボルト・コンバータ(DC−1)89、MJE3055Tパワートランジスタ(Q6)131、及び2つの支持MOSFETトランジスタIRF9Z34(Q4)132とBS170(Q5)133で構成されている。この回路は以下の様に作動する。マイクロコントローラ77は、バッテリ管理チップ91への供給電圧(VDD)を制御する。バッテリ管理チップ91は、抵抗器R1、134とR2、135を介してバッテリ電圧を読む。電力が、外部電源を介して供給される場合、マイクロコントローラのピン36は、バッテリ管理チップ91のピン6に5ボルトを供給して、オンに切り替える。電力が最初にバッテリ管理チップに供給されたときに、チップは高速充電サイクルに入る。このサイクルによって、バッテリ管理チップ91のピン8は、5ボルトを出力してQ5、133をオンに切り替え、Q5、133は、Q4、132をオンに切り替え、公称1.5アンペアの電流がバッテリに流れ込むようにする。
【0038】
公称1.5アンペアの電流は、U13、99、DC−DC5ボルト・コンバータ(DC−1)89、パワートランジスタ(Q6)131、及び2つの支持MOSFETトランジスタ(Q4)132と(Q5)133で構成されている定電流発生器から導き出される。この回路は以下の様に作動する。DC−DCコンバータ(DC−1)89は、外部の13.5ボルト電源電圧を18.5ボルトに上げる。5ボルトの信号が、バッテリ管理チップ91のピン8に存在すると、Q5、133はオンに切り替わり、次いでQ4、131をオンに切り替える。ここで、バール−ブラウン演算増幅器U13、99は、R65、136に掛かる差圧を測定する。R65、136に掛かる電圧が75mVのとき、バール−ブラウン演算増幅器は、Q6、131を、バッテリ管理チップ91のピン8が論理ハイ(5ボルト)にある限り、1.5アンペアの電流が流れるように維持する。
【0039】
バッテリ管理チップ91は、ピン#5、即ちTSピンを通して充電サイクルを監視する。このピンは、バッテリパック内の10kサーミスタ137と一緒に、バッテリパックからの温度フィードバックを電圧の形で供給する。TSピンは、バッテリから19秒毎に電圧をサンプル採取し、それを先に測定した3つのサンプルと比較する。電圧が25mV以上になると高速充電は終了する。
【0040】
弁制御装置(PSA)を図11Dに示す。マイクロコントローラは、弁ドライバU5、138、U6、139及びU7、140を制御する。これらは、PSA弁40、42、44、46、52及びOCD弁74で構成されている。
【0041】
各PSA弁は、以下のタイミング順序に従って、ドライバを介してオンに切り替えられる。
【0042】
【表1】
【0043】
FA=供給弁A(40)
FB=供給弁B(42)
WA=逃がし弁A(44)
WB=逃がし弁B(46)
EQ=平衡弁(52)
OCD弁74は、圧力信号送信状態調整回路がユーザの呼吸を検知する度に、オンに切り替わる。OCD弁74がオンになる時間は、流量セレクタスイッチ86の設定によって決まる。
【0044】
【表2】
【0045】
回転式スイッチ86を図11Eに示す。マイクロコントローラ77は、回転式スイッチ86の状態を読み、装置はオンかオフか、ユーザはどの流量選択を選定しているか、を判定する。マイクロコントローラ77が、マイクロコントローラ77のピン28で論理ローを読み取った場合、装置はオフの位置にある。マイクロコントローラ77のピン28が論理ハイの状態にあれば、装置が既にオンになっていることを示す。マイクロコントローラ77は、マイクロコントローラ77のピン29から33を介して回転式スイッチ86の流量選択を読み取る。マイクロコントローラ77のピン29で論理ローが読み取られた場合、流量選択は位置1と読み取られる。マイクロコントローラ77のピン30で論理ローが読み取られた場合、流量選択は2と読み取られる。このプロセスは、ピン31から33に対して繰り返されるが、それぞれ流量選択3から5に対応している。これも図11Eに示す純度テストボタンSW3、87は、常時開のスイッチで、マイクロコントローラ77を2つのテストモードの内の一方に設定するのに使用される。スイッチが常時開の位置にあるとき、マイクロコントローラ77のピン18には、正常作動を示す論理ハイが適用される。スイッチを押すと、マイクロコントローラ77は、ピン18で論理ローを読み取り、2つのテストモードの内何れを実行しなければならないかを判定するため、回転式スイッチSW2、86の状態を読む。回転式スイッチ86が、1から4の間の何れかの流量選択に設定されていれば、装置は、流量選択3のデフォルト値である毎分15呼吸で呼吸する。これが第1テスト条件である。第2テストは、流量セレクタスイッチが位置5に設定され、純度テストスイッチSW3、87が押されたときに始まる。このテストモードでは、装置は、3分間隔で、毎分以下の呼吸数、即ち15、17.5、20、22.5、25、27.5、30回で呼吸する。両テストモード共、装置のスイッチが切られるまで継続する。装置は、再度オンに切り替えられると、正常な作動を再開する。
【0046】
回転式スイッチ86を図11Fに示す。マイクロコントローラ77は、装置はオンかオフか、ユーザはどの流量選択を選定しているか、を判定するために、回転式スイッチ86の状態を読む。マイクロコントローラ77が、マイクロコントローラ77のピン28で論理ローを読み取った場合、装置はオフの位置にある。マイクロコントローラ77のピン28が論理ハイの状態にあれば、装置が既にオンになっていることを示す。マイクロコントローラ77は、マイクロコントローラ77のピン29から33を介して回転式スイッチの流量選択を読み取る。マイクロコントローラ77のピン29で論理ローが読み取られた場合、流量選択は位置1と読み取られる。マイクロコントローラ77のピン30で論理ローが読み取られた場合、流量選択は2と読み取られる。このプロセスは、ピン31から33に対して繰り返されるが、それぞれ流量選択3から5に対応している。これも図11Fに示す純度テストボタンSW3、87は、常時開のスイッチで、マイクロコントローラ77を2つのテストモードの内の一方に設定するのに使用される。スイッチが常時開の位置にあるとき、マイクロコントローラ(U2)77のピン18には、正常作動を示す論理ハイが適用される。スイッチを押すと、マイクロコントローラ77は、ピン18で論理ローを読み取り、2つのテストモードの内何れを実行しなければならないかを判定するため、回転式スイッチSW2、86の状態を読む。回転式スイッチSW1が、1から4の間の何れかの流量選択に設定されていれば、装置は、流量選択3のデフォルト値である毎分15呼吸で呼吸する。これが第1テスト条件である。第2テストは、流量セレクタスイッチが位置5に設定され、純度テストスイッチSW3、87が押されたときに始まる。このテストモードでは、装置は、3分間隔で、毎分以下の呼吸数、即ち15、17.5、20、22.5、25、27.5、30回で呼吸する。両テストモード共、装置のスイッチが切られるまで継続する。装置は、再度オンに切り替えられると、正常な作動を再開する。
【0047】
圧力センサ76を図11Aに示す。高圧回路は、モトローラ製圧力センサMX5500DP(U10)76をベースにしている。マイクロコントローラ77のピン5は、圧力センサ76からアナログ出力を読み取る。圧力センサが2psi以下の場合、マイクロコントローラ77はシステム故障の信号を送信する。この状態は、システム圧力が36psi以上の場合にも繰り返される。更に、システム圧力が33psiになると、事前状態調整警報が発せられる。
【0048】
図11Fと11Dには、3つのLED(赤、緑、黄)とブザー128も示されている。緑色のLED、D9、125は、ユーザに装置をオンに切り替えていることを知らせるために、始動後1、2秒間使用される。緑色のLED130は、また、呼吸が検知され、ユーザにパルス状の供給が行われる度に閃光する。黄色のLED、D10、126は、装置がオフ状態のときのバッテリ充電の際に使用される。黄色のLEDは、装置がバッテリを充電している間点滅する。黄色のLED126は、バッテリが一杯に充電されると、点滅を止め点灯状態になる。このプロセスは約2時間を要し、装置がオフの位置にあるときにのみ見ることができる。装置がオンに切り替えられ、外部バッテリ無し(外部電源無し)で運転している場合、マイクロコントローラ77は、抵抗器ディバイダネットワークR67、R68、及びマイクロコントローラ77のピン11を介してバッテリ電圧を読み取る。バッテリ電圧が10.9ボルトまで下がると、黄色のLED126とブザー128は、5秒毎に1秒間オンになる。これは、ユーザに、バッテリの電圧が落ち、運転を継続するには充電又は交換する必要があることを示している。バッテリが10.5ボルトに低下すると、装置は自動的に停止状態になり、黄色のLED126とブザー128が500ミリ秒の周波数でオンオフする。赤いLED127は、事前状態調整警報、システム故障警報、又は呼吸停止警報に使用される。下の表は、警報と警報の機能を表示したものである。
【0049】
【表3】
【0050】
図11Dに示すHR1時間計122は、11年間、圧縮機の運転時間が99,999時間に達する時を計時する。リセットボタンSW1、130が設けられており、サービス作業員が押すと、時間が0にリセットされる。この時間計は、メモリ内容を維持するのに外部電源を必要としない。
【0051】
図11Dに示すバッテリリセット回路は、マイクロパワー比較器TLV3401IDR(U3)94、1.2ボルト基準D13、95、2つの抵抗器ディバイダネットワークR4、R6とR5、R6、PチャンネルMOSFETトランジスタZXM61P03CT(Q7)96、及び5ボルト調整器LM78L05ACM(U4)97で構成されている。外部電源を装置につなぐと、電圧ディバイダネットワークR5とR6は、1.2ボルト基準よりも高くなり、マイクロパワー比較器U3、94の出力ピン6をローに保つ。出力がこのように低くなると、Q7、96がオンに保たれ、電圧を5ボルト調整器(U4)97の入力に供給する。外部電源につないだ状態では、回路はこの状態のままであり、回路基板には作動用の有効な5ボルトがある。外部電源を使わないでバッテリを使用する場合は、抵抗器ディバイダネットワークR4とR6がバッテリ電圧を監視する。バッテリが10ボルト未満に下がると、マイクロパワー比較器(U3)94のピン2の電圧は、1.2ボルト基準よりも低くなる。これにより、マイクロパワー比較器(U3)94の出力ピン6がハイになる。これによりQ7、96がオフになり、5ボルト調整器U4、97が停止する。この状態で、回路基板は、凡そ175uAの電流をバッテリから引き出す。回路は、バッテリ電圧が10ボルトより高くなるまで、又は外部電源に再度つながれるまで、この状態が続く。
【0052】
図11Bに示すオンボードリレー回路は、比較器U11(LM311)98と、電圧基準U12(LM431)99で構成されている。この回路は、外部電源が装置から外され、バッテリが後を引き継がねばならなくなった際のリレーの切り替え時間を速くする。設計及びテストの間に、外部電源が装置から外されると、バッテリ電圧が引き継いで回路を稼動させる前に、マイクロコントローラ77がリセットするのに足る長い間、圧縮機モーターからの逆起電力によりリレーは開いたままの状態に保たれることが分かった。圧縮機が取り外されると、リレーの切り替え時間は、マイクロコントローラ77をリセットすることなく、外部電源電圧をバッテリ電圧に切り替えるのに適した時間になる。回路は以下の様に機能し、即ち、外部電源が始めて装置につながれると、抵抗器ディバイダネットワークR58とR59の電圧は、U12(LM431)99により設定された3ボルト基準より高くなる。この状態は、U11(LM311)98の出力を強制的に高くして、これにより図11Cに示すリレーK1、100をオンにする。外部電源が装置から外されると、リレーコイルに掛かる電圧は低下し始める。リレーコイルK1、100に掛かる電圧が8ボルトに達すると、抵抗器ディバイダR58とR59は、この電圧を、U12(LM431)99により設定された3ボルト基準より低くなるように分割する。これによりU11(LM311)98の出力が強制的に低くされ、圧縮機に何が起きているかに関係なくリレー(K1)100を閉じる。これにより、外部電源とバッテリ電源の交代時に、マイクロコントローラがリセットされるのが阻止される。
【0053】
上記実施形態では、マイクロプロセッサは、バッテリ電圧、システム圧力、及び流量を監視する。別の実施形態では、酸素監視システムを含めるように計画されている。酸素監視システム147の可能な配置の一例を図14に示している。この特定の実施形態は、酸素監視システム147が酸素送出システムの前にインラインで配置されたものを示している。酸素監視システム147は、圧力制御調整器64と流量制御弁の間に配置されているが、他の配置も考えられる。酸素センサ147の出力は、図14Aに示すようにマイクロプロセッサ77に監視されることになる。この特定の実施形態では、酸素監視システム147は、マイクロプロセッサ77のピン11をバッテリ監視システム149と共用することになる。酸素監視システム147とバッテリ監視システム149の間の切り替えのための切り替え回路148を図14Aに示している。
【0054】
我々の発明による装置を好適な実施形態により示しているが、当業者には、ここに提供した我々の発明の説明から、合体型のPSA/OCD装置、個別の流体、電気及び電子構成要素を製造することができるはずであり、その制御は、当該技術内で見つけることができるか、又は好適な実施形態の本説明を読むことにより当業者が作り出すことができる。2001年5月9日出願の同時係属中の米国特許出願第09/851,750号に記載の3床式PSAを使用することもでき、その使用の際には、本発明に従って作られたPSAは比較的一定の出力圧力を実現しているので、混合タンクを必要としない。図14及び図14Bに概略的に示すように、ユーザに送出される酸素の計算濃度ではなく実際の濃度を測定するために既知の酸素モニターを組み込むこともできる。更には、当業者には、監視及び/又は非監視型医療用途に使用するための、この他の既知の安全装置を組み込むこともできる。製品ガスの酸素濃度を可変的に制御できるようにするのが望ましい場合は、本発明に、図示してはいないが米国特許第5,871,564号に記載の第2の調整可能パージループを組み込むこともできる。
【0055】
装置20を作動させるには、ユーザアクセス可能な回転式スイッチ86を、PSA運転をオンにし、且つ設定速度で酸素を送出するために、作動パネル上の所望の「等価」流量まで回す。装置の起動時には、弁ブロック26の全ての弁は、背圧を排除するために開かれ、次いで、プログラム可能回路80内の従来のスイッチとリレースイッチのタイミング機構を通して、順に、開いたままにされるか、又は閉じられる。供給弁、逃がし弁、平衡弁は、それぞれ、弁への電力の供給又は停止に応答するソレノイド型弁であるのが望ましく、製品生産及び再生動作は、装置20内で、供給弁、逃がし弁、及び平衡弁それぞれを開閉する時間量を自動的に制御することにより、自動的に制御される。
【0056】
以上、図示し説明してきたように、本装置は、完全充電時には外部電力無しで凡そ50分間は装置に電力を供給することができる取り外し可能なニッケル金属水素化物バッテリパックと、120ボルトACを13.5ボルトDCに変換する公称120ボルトACコンセントに対してコネクタ126で装置を接続するACアダプタと、公称13.5ボルトDC自動車バッテリに同様に接続するための「シガレットライター」アダプタとを含む3つの電源の内の何れか1つで電力が供給される。図示のように、ACアダプタと自動車バッテリは、共に、装置に電力を供給すると同時にバッテリパックを再充電することができるが、バッテリパックの充電には凡そ2時間を要する。同様に、バッテリパックは、完全に充電されたスペアバッテリパックを使い易くするために、従来式のプラグを使って装置から外してもよい。
【0057】
理解頂けるように、本発明の精神から逸脱することなく、記載の実施形態に対して様々な変更と置き換えを施すことができる。即ち、記載の好適な実施形態は、説明を目的にしたものであり、限定を加えることを目的としたものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には圧力スウィング吸着(PSA)により気体の混合物を分離するための気体濃縮器に、そしてより具体的には医療用として酸素を送出することを目的とするPSA装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2002年1月31日出願の米国仮特許出願第60/353,563号による利益を請求する。
【0003】
本発明が関わるPSA即ち圧力スウィング吸着装置の一般的型式並びに作動原理については、米国特許第3,564,816号、同第3,636,679号、同第3,717,974号、同第4,802,899号、同第5,531,807号、及び同5,871,564号などに記載されている。例えば、圧力スウィング吸着装置は、1つ又は複数の吸着器を含んでおり、各吸着器は、供給流からの気体混合物が順に並流方向に吸着器を通過して導かれる際に、床への吸着により気体混合物から少なくとも1つの成分ガスを分留するための、固定された吸着材料の篩床を有している。一方の吸着器が吸着を行なっている間、もう一方の吸着器からは、これと同時に、吸着した成分ガスが、第1又は生産吸着器から引き出され向流方向に他方の吸着器を通過するように導かれる製品ガスの一部によりパージされる。他方の吸着器がパージされると、事前に設定された時間に、供給流が他方の吸着器に向けて並流方向に導かれるので、前記他方の吸着器が今度は吸着を行なう。次に、第1の吸着器が、同時に、又は3つ以上の吸着器がある場合には別の時間指定された順序でパージされるが、この全容は上記特許文献を読めば理解頂けよう。
【0004】
例えば、医療用、産業用、又は商業用を問わず各種用途で用いるために、周囲の大気から高濃度の酸素を生成するためにこのような装置を使用する場合、装置に入る空気は、通常、窒素約78%、酸素約21%、アルゴン約0.9%、及び可変量の水蒸気を含んでいる。医療用として、例えば、典型的には少なくとも約80%の酸素を含むガス製品を生成するために、原則的には窒素の大部分は装置により除去される。医療用として使用されるこのような装置の殆どは、移動中の患者又は何らかの目的で家庭環境を離れたいと望む患者が使用するにはあまりに嵩張りすぎる。この様な場合、患者は、酸素濃縮器の使用を差し控え、加圧酸素タンクの使用に逆戻りするのが普通である。酸素タンクは、患者が自由に歩き回れるようにするには非常に有用であるが、それでも、例えば酸素保存容量が限られるため、又は可燃性材料が事故を引き起こす恐れのある或る種の公共輸送機関又は場所では使用が禁止されることもあることから、その使用は制限される。酸素タンクの有効寿命は、例えば、1999年10月19日出願の同時係属中の米国特許出願第09/420,826号に開示されている酸素濃縮装置(OCD)を使用することによって延びるが、それら機器の使用も、安全性と保管の点から、また、酸素を再供給するためのアクセス、並びに酸素のための医療費及び償還の書類手続きが継続するなどの点でなお問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、所望の用途に必要な酸素濃度を達成できると同時に、可搬性に優れ、操作が簡単で、相対的に身体能力が限られた患者でも運ぶことができる、新たな改良された圧力スウィング吸着(PSA、又は酸素濃縮器)装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、発明的PSA設計と、PSAからユーザに酸素をパルス状に供給するための酸素維持装置(OCD)とを組み合わせた独自の構成により達成される。
【0007】
本装置の意図する用途は、例えば各種の慢性閉塞性肺疾患(COPD)などに苦しむ人たちに対して補助的な高純度の酸素を供給することである。本発明は、2床式PSAを一体構成のOCDと併用し、濃度90%超の継続的高濃度酸素を有効率毎分約5リットル(LPM)相当までの投与量で酸素供給するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による、PSA/OCD合体型装置の概略図である。
【図2】本発明の好適な実施形態を上から見た斜視図であり、本発明の作動構成要素を強調表示するために上下ハウジング部分を仮想線で示している。
【図3】本発明の好適な実施形態を上から見た斜視図であり、本発明の作動構成要素を強調表示するために上下ハウジング部分を仮想線で示している。
【図4】上記同様の斜視図であるが、好適な実施形態を下から見た図である。
【図5】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での上面図である。
【図6】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での下面図である。
【図7】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での右側面図である。
【図8】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での左側面図である。
【図9】好適な実施形態の、上下ハウジング部分を取去った状態での前面図である。
【図10】図5の10−10線に沿う断面図である。
【図11A】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11B】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11C】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11D】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11E】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図11F】好適な実施形態の構成要素を制御するために使用される電子回路の線図である。
【図12】回路基板の図である。
【図13】好適な実施形態により供給される酸素の相対濃度に対するユーザの呼吸数の影響を近似するグラフである。
【図14】本装置が酸素モニターも含んでいる代わりの実施形態を部分的に示す図である。
【図14A】本装置が酸素モニターも含んでいる代わりの実施形態を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記及びその他の目的、特性及び利点は、以下の説明を、本発明の好適な実施形態を示す添付図面を参照しながら読めば更に明確になるであろう。
【0010】
以下、図面を参照しながら説明するが、本発明による好適な実施形態である、圧力スウィング吸着装置と酸素維持装置を合体させたもの、即ちPSA/OCDを、全体として参照番号20で示しており、これは、必ずしもと言うわけではないが一般的には周囲の空気である気体混合物から、圧力スウィング吸着により少なくとも1つの成分即ち窒素を分留して製品ガスを製造し、この製品ガスをユーザの要求に応じて特定且つ調整可能な間隔で送出するために使用される。圧力スウィング吸着の一般的な作動原理は周知であり、例えば、それぞれ米国特許第4,802,899号、同第5,531,807号、及び同5,871,564号に開示されており、これ等の開示内容全体を本願に参考文献として援用する。同様に、保存されている酸素の有効寿命を延ばすために、加圧されたタンクから酸素のような製品ガスをパルス状に供給して維持することも広く知られており、例えば1999年10月19日出願の係属中の米国特許出願第09/420,826号に開示されており、同開示全体を本願に参考文献として援用する。
【0011】
図1では、フィルタ付き吸気口21と、周囲の空気の供給気流の吸入により生じるノイズを下げるための吸気共振器22を通してPSA/OCD装置20に周囲の空気が供給される。供給気流は共振器22に続き、その出口22aから、供給空気圧縮機/熱交換器組立体24によって、供給弁40及び42それぞれを介して、第1及び第2吸着器30、32に交互に送り込まれる。図示の圧縮機/熱交換器組立体24は、空気入口24c及び出口24dを備えた圧縮機24aと、これに続く熱交換器24bを含んでいる。
【0012】
供給気流が、吸着器30、32の入口30a、32aに並流方向で交互に入ると、各吸着器は、供給気流を所望濃度の製品ガスに分留する。周囲の空気から窒素を分離するために床に使用される吸着材料は、合成ゼオライトか、又は等価な性質を有する他の既知の吸着材料でもよい。
【0013】
周囲の空気が吸着器30、32のそれぞれに順次並流方向に流入することにより生成される酸素に富んだ製品ガスの相当部分又は有用部分は、対応する吸着器の出口30b、32b及び逆止弁34、36を通って製品マニホールド48に至り、次いで後に述べる送出制御組立体60に到る。各吸着器により生成される製品ガスの残りは、時間を決めて、パージオリフィス50と、適切に時間設定された平衡弁52と、随意的な流れ絞り弁53を通して、他方の吸着器30又は32を通して、主に窒素ガスである吸着されたガスをパージするために、向流方向に、各出口30b、32bから各入口30又は32へと迂回して流される。向流方向に流された製品ガスとパージされたガスは、次いで、適切に時間設定された逃がし弁44、46、配管47及び吸音マフラー48を通して吸着器から雰囲気中に排出される。
【0014】
生成されたガスの有用部分が本発明により導かれる制御組立体60は、合成ゼオライトが詰め込まれ、パルス供給様式で装置の出口68を通してユーザに送出される前に製品酸素を保存しておくリザーバとして機能する混合タンク62と、ユーザに送出される製品ガス圧力を調整するためのピストン式圧力制御調整器64と、細菌フィルタ66と、後に述べる電子回路80のOCD構成要素を含むパルス式供給トランスデューサ72、フロー制御ソレノイド操作弁74及び低圧センサ76を含んでいる酸素送出システム70と、を備えている。図2、図3及び図5に示すように、供給弁、逃がし弁、平衡弁、及び流量制御弁は、全て共通の弁ブロック26に取り付けられている。
【0015】
本発明によれば、PSAで生成された酸素濃度の高いガスを混合タンク62からユーザへの供給は、以下に説明する送出システム70で制御される。
【0016】
周知のように、吸入酸素が最も効果的に使用されるのは吸入の始めなので、各種装置は、装置が吸入を最初に感知した時だけ、そして吸入周期の初期段階にだけ、加圧された酸素タンクから酸素を送出するように作られている。我々は、この周知の原理を利用して、主として吸入の初期段階にだけ酸素を送出する酸素送出システムを含む非常にコンパクトで効率の高いPSAを工夫した。例えば図11及び図12に示すように、低圧センサ76は、酸素濃度の高いガスをユーザに送出する装置出口68に接続されている従来型のカニューレ(図示せず)を通して、ユーザの吸入により感知される圧力低下を検出する。圧力センサ76が圧力低下を検出すると、電子回路80内のトランスデューサ回路72が、所定の時間、流量制御弁74を開き、混合タンク62内の酸素に富んだガスを所定の量だけ出口68を通してユーザに送り出すようにする。送出されるガスの量は、回路基板上の電子回路80により、多数の効果的な流量の内の何れかで送出するためのプログラム可能な装置77を使って制御されるが、我々の好適な実施形態では、約80%から約95%の酸素濃度での効果的な流量は、1LPMから5LPMまで5通りある。
【0017】
設定は、多位置制御スイッチ86を使って行なわれ、このスイッチには、図2に示すように、装置20の上側ハウジング部分104のヒンジ式カバー102を開けてアクセスする。カバー102は、しっかりと閉鎖し簡単に開けるために磁気ラッチで閉じた状態に保持されるのが望ましい。装置20は、更に下側ハウジング部分106で囲まれている。上下のハウジング部分104、106の間には、中央シャーシ108が両者と嵌合しており、シャーシ上には装置20の作動構成要素が取り付けられている。
【0018】
外側ハウジング部分104、106及びシャーシ108は、適していればどの様な耐衝撃材料で作ってもよいが、射出成形されたABSプラスチックであるのが望ましい。図示のシャーシ108は、一体成形された持ち運び用取っ手109も有している。
【0019】
本発明の有効性とコンパクトサイズを可能にしているのは、本発明の構成要素の構造的配置と、装置内の気流の制御によるところが大きく、これについて以下説明する。
【0020】
本発明によれば、周囲の空気は、装置20の内部のアクセスカバー102と制御パネル111の間の空間にしか流入できず、これは出口68を取囲む凹部内のアクセス通気孔110により、そしてカバー102のヒンジ接続部に上側ハウジング104まで形成された長形スロット112を通して達成される。アクセス通気孔110、スロット112及び空気排出点を除くと、上下のハウジング104と106とで、シャーシ108を備えた密閉チャンバを形成している。周囲の空気は、ファン92によって、ヒンジカバー102を開くとアクセスできる制御パネル111上のアクセス可能な入口フィルタを通して、装置20の密閉されたチャンバの内部に導入される。フィルタ113は、装置内部に流入する空気から埃やその他不純物を除去するように設計された発泡総粒子フィルタである。フィルタ113を通って装置20の内部に流入する周囲の空気の一部は、圧縮機組立体24により、フェルト材で作られた第2フィルタ114を通して分留対象の空気を更にフィルタ処理した後、共振器22の入口21に送り込まれる。装置20の内部に流入する周囲の空気の残りは、本発明によれば、PSA組立体の作動構成要素を冷却するために、装置の密閉された内部全体を通して制御された経路を流される。
【0021】
明らかになっていくが、図10に示すようにシャーシ108の傾斜した開口部93内に配置されたファン92は、装置20内のシャーシ108とカバー部分104、106の間の密閉空間を通して、制御された経路で周囲の空気の残り(balance)を移動させる機能も併せ持つ。
【0022】
図4から図9から分かるように、中央シャーシ108の上側に取り付けられている作動構成要素は、吸気口21、制御スイッチ86、装置を起動し流量を設定するためのアクセス可能な全体制御盤111、取り外し可能なバッテリパック90、弁ブロック26、圧縮機組立体24、回路基板81、ファン92、及びカニューレ取り付け具68である。中央シャーシの下側に取り付けられているのは、共振器22、吸着床30、32、マフラー46、混合タンク62、及び圧力制御調整器64である。
【0023】
装置20の作動構成要素を冷却するために使用される、装置20全体を通して流れる周囲の空気の流を方向決めするに際し、フィルタ付吸気口113から流入する周囲の空気の内、フィルタ114に向かわない部分は、シャーシ108に形成された一連の水平及び垂直方向のバッフル120により装置を通過するように方向決めされ、バッフルは、フィルタ付き吸気口113を通ってアクセス空間に入る周囲の冷却用の空気を、ファン92からの吸引によって、順次、回路基板81、弁ブロック26、及び圧縮機組立体24上に向かわせる。周囲の冷却用の空気は、ファン92によって、次に開口部93を通ってシャーシ108の下側に引き込まれ、先ずシャーシ108の底面側に形成されたプレナムまたはダクト(図示せず)を通って、冷却用の空気全てがシャーシ108と下側ハウジング106の間に形成された空間の前方に向けて導かれる。冷却用の空気は、次いで、装置20の背面に向って流れるよう再度方向決めされ、下側ハウジング部分106の後端でグリルワーク124を通して排出される前に、共振器22、吸着器床30、32、混合タンク62、マフラー46、及び圧力調整器64上を流れる。後に説明する図12から明らかになるように、シャーシ108上に取り付けられた回路基板81に取り付けられている発熱性構成要素は、全て、冷却用の空気が装置20の内部に流入する際のその正流方向における、回路基板の後ろ側に配置されている。
【0024】
本発明を構成する要素の新規な設計と組み合わせ及び配置により、好適な実施形態に基づく合体型PSA/OCDは、標準的雰囲気において、吸入周期毎に、1LPMの設定では約8.75mL、2LPMの設定では約17.5mL、3LPMの設定では約26.25mL、4LPMの設定では約35.0mL、及び5LPMの設定では約43.75mLで、パルス状供給で約90%±3%の濃縮酸素を送出することができる。全く意外ではあるが、この性能を、重量約4.536kg(約10lb)未満、全体の大きさとしては長さ約43.18cm(17インチ)未満、幅約20.32cm(8インチ)未満、高さ約15.24(6インチ)未満、放出ノイズレベル約55デシベル未満、という装置で実現することができる。
【0025】
図示の実施形態では、医療用の吸着床30、32は、それぞれ、長さが約24.77cm(9.75インチ)、直径が約3.175cm(1.25インチ)で、吸着床毎に重量約81グラムのゼオライト篩材料(zeolite sieve material)を備えている。床30、32は、減圧又は圧力均等化段階で篩材料が「流動化」しないように、ばね付勢されているのが望ましい。空気の供給流は、公称速度毎分約7リットルで供給され、3LPMの設定でユーザの呼吸数が毎分約15回の場合、概算作動圧力範囲が約131kPa(19psia)から約158.6kPa(23psia)以内、又は電力供給が約13ボルトの場合は144.8kPa(21psia)で製品ガスを生成する。
【0026】
印刷回路基板81上の回路構成要素は、PSA周期と、装置からの酸素のパルス状供給を制御する。上記構成要素は、図11a−f、及び図12に示されており、回路80についての付随の詳細な説明に述べる様に機能する。
【0027】
各流量制御スイッチの設定に合わせて装置が供給する酸素の濃度は、システムの圧力、作動電圧(バッテリ又は外部供給)、及び患者の呼吸数に基づきパラメータの許容範囲内で決まる。後で示すが回路80では、マイクロプロセッサは、セレクタ位置、作動電圧、及びOCDの起動頻度を継続的又はサンプル採取して読み取り、ユーザに送出される予測可能な酸素濃度を計算する。上記の何れかが上下の閾値に近づくと、例えば、酸素濃度が85%程度にまで下がると、間欠的なアラームが鳴り、ユーザに、装置は継続して使用できるが性能が仕様基準を外れないように対処するよう警告を発する。上記パラメータの何れかが継続して所定閾値を超過するようになると、例えば、計算された酸素濃度が80%以下となる場合には、アラームが鳴り続けて、ユーザに、装置20の性能は仕様基準を外れており、使用の中止を通知するようにプログラムすることができる。
【0028】
例えば、装置は、合理的な呼吸数を許容するように設計されているが、ユーザの身体活動が非常に顕著に増大し、その結果として呼吸数が増すと、装置20が供給できる以上に酸素の需要が高まることにより、装置が過剰吸引状態になることもある。図13のグラフは、フロー制御スイッチが3LPMに設定され供給電圧が13.5VDCの場合の、酸素濃度に対する呼吸数の影響を示している。
【0029】
図示の実施形態は、装置の起動時の可聴信号、高圧及び低圧のシステム過剰吸引並びに無呼吸事象(即ち、事前設定時間内の無吸入)を信号連絡するための可聴赤色視認灯アラーム、低バッテリ状態を信号連絡するための可聴黄色視認灯アラーム、パルスモードでの正常な装置運転を示す点滅緑色灯を含んでいるのが望ましい。
【0030】
装置の最大呼吸数は、各流量制御スイッチ設定と装置を制御する電圧の範囲との組合わせによって決まる。回路80は、バッテリ電圧、流量制御スイッチ設定、及び患者の呼吸数を継続的に監視する。呼吸数によって装置が過剰吸引状態に近づくと(酸素濃度約85%)、又は過剰吸引状態に到ると(酸素濃度80%以下)、アラームが患者に身体活動を控えるように注意又は警報を出す。
【0031】
回路基板の上で且つフィルタ113の下には、装置の累積使用時間を記録する液晶表示時間計122が取り付けられており、推奨稼動スケジュールに合わせられるようになっている。フィルタ113は、洗浄時にはユーザが取り外せるようになっており、ユーザが時間計122を容易に確認できる。稼動時、制御パネルからアクセス可能なテストボタン87を起動させて、装置20を各種作動モードで周期運転させ、装置の作動構成要素が設計どおり機能することを確認する。アクセス可能なリセットボタン130を使って、保守作業員が修理後に時間計のカウンタをリセットできるようになっている。
【0032】
例えば冷却ファンの故障又は空気の入口/出口閉塞などにより過熱状態が発生した場合には、圧縮機組立体24への電源を切るために、温度スイッチ124が設けられている。
【0033】
図11Aに示すように、主回路基板81は、クロック速度が1Mhzの外部水晶発振器82を有するPIC16F74−1/Lマイクロコントローラ77に基づいている。マイクロコントローラ77は、入力データを、1)アナログ圧力調整回路(酸素維持装置、以下OCD用)、2)公称1.5amp定電流発生器を備えたバッテリ管理システム、3)弁制御装置72(圧力スウィング吸着、以下PSA、用)、4)回転式スイッチ86、5)純度テストボタン87、及び6)センサ圧力を示す圧力センサ76、から受信する。マイクロコントローラ77は、3つのLED125、126、127と可聴アラーム128を介してオペレータと通信する。更に、時間計122は、定刻に圧縮機に指示を出す。
【0034】
図11D及び図11Cに示すように、更に2つの回路が主回路基板81上にある。バッテリリセット回路は、バッテリ電圧が基準電圧より低下すると5V調整器97を使用不能にして、回路基板の大部分を停止させ、バッテリから引き出される電流を最小限に抑える。第2回路は、符号100で示すオンボード回路リレーK1の切り替え応答時間を制御し、ACアダプタが取り外されても作動が中断されないようにする。リレー100は、外部電力供給装置が装置に差し込まれるとエネルギー供給されるので、外部供給によってしかエネルギーを得られない。外部供給装置が引き抜かれると、リレー100はエネルギーが断たれ、装置はバッテリ電力によって作動することになる。
【0035】
図11Bは、圧力信号調整回路、即ちOCDの概略線図である。回路のアナログ区間では、四重演算増幅器OPA4336EA250が使用されている。4つの増幅器の内の2つU8−A、83とU8−B、84は、入力が圧力トランスデューサU9、78の差動出力に直接接続されている。U8−B、84のピン7の最適オフセット電圧は、3.475±0.025ボルトになるように決められている。この電圧は、タイマーR11、79を調整することにより設定される。このステージのゲインは400を超え、結果として、U8−B、84のピン7の圧力信号は、患者呼吸数に関して決定を下す次のステージに備えた正しい範囲内にある。増幅器U8−C、88は、比較器として構成されている。88のピン12は、直近の4から5呼吸の間の患者カニューレ内の平均圧力を表し、88のピン11は、呼吸圧力を瞬間的に追跡する。結果として、各吸入の初期段階に発生した減圧により、U8−C、88の出力が低から高へと変化し、新しい吸入をマイクロコントローラ77に信号連絡する。この回路を使用する利点の1つとして、温度変化又は構成要素の経年変化により引き起こされる微細又は緩慢なオフセットドリフトに対して比較的感受性が低いことが挙げられる。更に、「浮動」平均圧力信号は、呼吸パターンの変化に自動的に追従する。
【0036】
ソレノイド弁74が開いて酸素がカニューレを通って流れる時、システム内には比較的高い圧力が存在している。この圧力を、圧力センサU9、78が読み、U8−A、83とU8−B、84が増幅し、U8−B、84の出力に5ボルトのスパイクを生成する。患者の呼吸だけに影響される正確な平均圧力値を維持するために、このスパイクは、トランジスタQ3、85の生成する逆パルスで補償される。このトランジスタのゲートは、U8−B、84のピン7の信号が4.375ボルトより高ければ、マイクロコントローラU2、77からの信号で起動される。Q3、85がオンで、U8−C、88のピン11に生じる電圧が、カニューレ内に圧力が存在していないときの電圧に非常に近い場合、それにより、平均圧力が、酸素の流れに伴う圧力の影響を受けるのが防がれる。
【0037】
バッテリ管理システムは、図11Cに示すように、ベンチマークBQ2002TSN(U1)バッテリ管理チップ91、バール−ブラウン演算増幅器UPA2334UA(U13)146、アステックDC−DC5ボルト・コンバータ(DC−1)89、MJE3055Tパワートランジスタ(Q6)131、及び2つの支持MOSFETトランジスタIRF9Z34(Q4)132とBS170(Q5)133で構成されている。この回路は以下の様に作動する。マイクロコントローラ77は、バッテリ管理チップ91への供給電圧(VDD)を制御する。バッテリ管理チップ91は、抵抗器R1、134とR2、135を介してバッテリ電圧を読む。電力が、外部電源を介して供給される場合、マイクロコントローラのピン36は、バッテリ管理チップ91のピン6に5ボルトを供給して、オンに切り替える。電力が最初にバッテリ管理チップに供給されたときに、チップは高速充電サイクルに入る。このサイクルによって、バッテリ管理チップ91のピン8は、5ボルトを出力してQ5、133をオンに切り替え、Q5、133は、Q4、132をオンに切り替え、公称1.5アンペアの電流がバッテリに流れ込むようにする。
【0038】
公称1.5アンペアの電流は、U13、99、DC−DC5ボルト・コンバータ(DC−1)89、パワートランジスタ(Q6)131、及び2つの支持MOSFETトランジスタ(Q4)132と(Q5)133で構成されている定電流発生器から導き出される。この回路は以下の様に作動する。DC−DCコンバータ(DC−1)89は、外部の13.5ボルト電源電圧を18.5ボルトに上げる。5ボルトの信号が、バッテリ管理チップ91のピン8に存在すると、Q5、133はオンに切り替わり、次いでQ4、131をオンに切り替える。ここで、バール−ブラウン演算増幅器U13、99は、R65、136に掛かる差圧を測定する。R65、136に掛かる電圧が75mVのとき、バール−ブラウン演算増幅器は、Q6、131を、バッテリ管理チップ91のピン8が論理ハイ(5ボルト)にある限り、1.5アンペアの電流が流れるように維持する。
【0039】
バッテリ管理チップ91は、ピン#5、即ちTSピンを通して充電サイクルを監視する。このピンは、バッテリパック内の10kサーミスタ137と一緒に、バッテリパックからの温度フィードバックを電圧の形で供給する。TSピンは、バッテリから19秒毎に電圧をサンプル採取し、それを先に測定した3つのサンプルと比較する。電圧が25mV以上になると高速充電は終了する。
【0040】
弁制御装置(PSA)を図11Dに示す。マイクロコントローラは、弁ドライバU5、138、U6、139及びU7、140を制御する。これらは、PSA弁40、42、44、46、52及びOCD弁74で構成されている。
【0041】
各PSA弁は、以下のタイミング順序に従って、ドライバを介してオンに切り替えられる。
【0042】
【表1】
【0043】
FA=供給弁A(40)
FB=供給弁B(42)
WA=逃がし弁A(44)
WB=逃がし弁B(46)
EQ=平衡弁(52)
OCD弁74は、圧力信号送信状態調整回路がユーザの呼吸を検知する度に、オンに切り替わる。OCD弁74がオンになる時間は、流量セレクタスイッチ86の設定によって決まる。
【0044】
【表2】
【0045】
回転式スイッチ86を図11Eに示す。マイクロコントローラ77は、回転式スイッチ86の状態を読み、装置はオンかオフか、ユーザはどの流量選択を選定しているか、を判定する。マイクロコントローラ77が、マイクロコントローラ77のピン28で論理ローを読み取った場合、装置はオフの位置にある。マイクロコントローラ77のピン28が論理ハイの状態にあれば、装置が既にオンになっていることを示す。マイクロコントローラ77は、マイクロコントローラ77のピン29から33を介して回転式スイッチ86の流量選択を読み取る。マイクロコントローラ77のピン29で論理ローが読み取られた場合、流量選択は位置1と読み取られる。マイクロコントローラ77のピン30で論理ローが読み取られた場合、流量選択は2と読み取られる。このプロセスは、ピン31から33に対して繰り返されるが、それぞれ流量選択3から5に対応している。これも図11Eに示す純度テストボタンSW3、87は、常時開のスイッチで、マイクロコントローラ77を2つのテストモードの内の一方に設定するのに使用される。スイッチが常時開の位置にあるとき、マイクロコントローラ77のピン18には、正常作動を示す論理ハイが適用される。スイッチを押すと、マイクロコントローラ77は、ピン18で論理ローを読み取り、2つのテストモードの内何れを実行しなければならないかを判定するため、回転式スイッチSW2、86の状態を読む。回転式スイッチ86が、1から4の間の何れかの流量選択に設定されていれば、装置は、流量選択3のデフォルト値である毎分15呼吸で呼吸する。これが第1テスト条件である。第2テストは、流量セレクタスイッチが位置5に設定され、純度テストスイッチSW3、87が押されたときに始まる。このテストモードでは、装置は、3分間隔で、毎分以下の呼吸数、即ち15、17.5、20、22.5、25、27.5、30回で呼吸する。両テストモード共、装置のスイッチが切られるまで継続する。装置は、再度オンに切り替えられると、正常な作動を再開する。
【0046】
回転式スイッチ86を図11Fに示す。マイクロコントローラ77は、装置はオンかオフか、ユーザはどの流量選択を選定しているか、を判定するために、回転式スイッチ86の状態を読む。マイクロコントローラ77が、マイクロコントローラ77のピン28で論理ローを読み取った場合、装置はオフの位置にある。マイクロコントローラ77のピン28が論理ハイの状態にあれば、装置が既にオンになっていることを示す。マイクロコントローラ77は、マイクロコントローラ77のピン29から33を介して回転式スイッチの流量選択を読み取る。マイクロコントローラ77のピン29で論理ローが読み取られた場合、流量選択は位置1と読み取られる。マイクロコントローラ77のピン30で論理ローが読み取られた場合、流量選択は2と読み取られる。このプロセスは、ピン31から33に対して繰り返されるが、それぞれ流量選択3から5に対応している。これも図11Fに示す純度テストボタンSW3、87は、常時開のスイッチで、マイクロコントローラ77を2つのテストモードの内の一方に設定するのに使用される。スイッチが常時開の位置にあるとき、マイクロコントローラ(U2)77のピン18には、正常作動を示す論理ハイが適用される。スイッチを押すと、マイクロコントローラ77は、ピン18で論理ローを読み取り、2つのテストモードの内何れを実行しなければならないかを判定するため、回転式スイッチSW2、86の状態を読む。回転式スイッチSW1が、1から4の間の何れかの流量選択に設定されていれば、装置は、流量選択3のデフォルト値である毎分15呼吸で呼吸する。これが第1テスト条件である。第2テストは、流量セレクタスイッチが位置5に設定され、純度テストスイッチSW3、87が押されたときに始まる。このテストモードでは、装置は、3分間隔で、毎分以下の呼吸数、即ち15、17.5、20、22.5、25、27.5、30回で呼吸する。両テストモード共、装置のスイッチが切られるまで継続する。装置は、再度オンに切り替えられると、正常な作動を再開する。
【0047】
圧力センサ76を図11Aに示す。高圧回路は、モトローラ製圧力センサMX5500DP(U10)76をベースにしている。マイクロコントローラ77のピン5は、圧力センサ76からアナログ出力を読み取る。圧力センサが2psi以下の場合、マイクロコントローラ77はシステム故障の信号を送信する。この状態は、システム圧力が36psi以上の場合にも繰り返される。更に、システム圧力が33psiになると、事前状態調整警報が発せられる。
【0048】
図11Fと11Dには、3つのLED(赤、緑、黄)とブザー128も示されている。緑色のLED、D9、125は、ユーザに装置をオンに切り替えていることを知らせるために、始動後1、2秒間使用される。緑色のLED130は、また、呼吸が検知され、ユーザにパルス状の供給が行われる度に閃光する。黄色のLED、D10、126は、装置がオフ状態のときのバッテリ充電の際に使用される。黄色のLEDは、装置がバッテリを充電している間点滅する。黄色のLED126は、バッテリが一杯に充電されると、点滅を止め点灯状態になる。このプロセスは約2時間を要し、装置がオフの位置にあるときにのみ見ることができる。装置がオンに切り替えられ、外部バッテリ無し(外部電源無し)で運転している場合、マイクロコントローラ77は、抵抗器ディバイダネットワークR67、R68、及びマイクロコントローラ77のピン11を介してバッテリ電圧を読み取る。バッテリ電圧が10.9ボルトまで下がると、黄色のLED126とブザー128は、5秒毎に1秒間オンになる。これは、ユーザに、バッテリの電圧が落ち、運転を継続するには充電又は交換する必要があることを示している。バッテリが10.5ボルトに低下すると、装置は自動的に停止状態になり、黄色のLED126とブザー128が500ミリ秒の周波数でオンオフする。赤いLED127は、事前状態調整警報、システム故障警報、又は呼吸停止警報に使用される。下の表は、警報と警報の機能を表示したものである。
【0049】
【表3】
【0050】
図11Dに示すHR1時間計122は、11年間、圧縮機の運転時間が99,999時間に達する時を計時する。リセットボタンSW1、130が設けられており、サービス作業員が押すと、時間が0にリセットされる。この時間計は、メモリ内容を維持するのに外部電源を必要としない。
【0051】
図11Dに示すバッテリリセット回路は、マイクロパワー比較器TLV3401IDR(U3)94、1.2ボルト基準D13、95、2つの抵抗器ディバイダネットワークR4、R6とR5、R6、PチャンネルMOSFETトランジスタZXM61P03CT(Q7)96、及び5ボルト調整器LM78L05ACM(U4)97で構成されている。外部電源を装置につなぐと、電圧ディバイダネットワークR5とR6は、1.2ボルト基準よりも高くなり、マイクロパワー比較器U3、94の出力ピン6をローに保つ。出力がこのように低くなると、Q7、96がオンに保たれ、電圧を5ボルト調整器(U4)97の入力に供給する。外部電源につないだ状態では、回路はこの状態のままであり、回路基板には作動用の有効な5ボルトがある。外部電源を使わないでバッテリを使用する場合は、抵抗器ディバイダネットワークR4とR6がバッテリ電圧を監視する。バッテリが10ボルト未満に下がると、マイクロパワー比較器(U3)94のピン2の電圧は、1.2ボルト基準よりも低くなる。これにより、マイクロパワー比較器(U3)94の出力ピン6がハイになる。これによりQ7、96がオフになり、5ボルト調整器U4、97が停止する。この状態で、回路基板は、凡そ175uAの電流をバッテリから引き出す。回路は、バッテリ電圧が10ボルトより高くなるまで、又は外部電源に再度つながれるまで、この状態が続く。
【0052】
図11Bに示すオンボードリレー回路は、比較器U11(LM311)98と、電圧基準U12(LM431)99で構成されている。この回路は、外部電源が装置から外され、バッテリが後を引き継がねばならなくなった際のリレーの切り替え時間を速くする。設計及びテストの間に、外部電源が装置から外されると、バッテリ電圧が引き継いで回路を稼動させる前に、マイクロコントローラ77がリセットするのに足る長い間、圧縮機モーターからの逆起電力によりリレーは開いたままの状態に保たれることが分かった。圧縮機が取り外されると、リレーの切り替え時間は、マイクロコントローラ77をリセットすることなく、外部電源電圧をバッテリ電圧に切り替えるのに適した時間になる。回路は以下の様に機能し、即ち、外部電源が始めて装置につながれると、抵抗器ディバイダネットワークR58とR59の電圧は、U12(LM431)99により設定された3ボルト基準より高くなる。この状態は、U11(LM311)98の出力を強制的に高くして、これにより図11Cに示すリレーK1、100をオンにする。外部電源が装置から外されると、リレーコイルに掛かる電圧は低下し始める。リレーコイルK1、100に掛かる電圧が8ボルトに達すると、抵抗器ディバイダR58とR59は、この電圧を、U12(LM431)99により設定された3ボルト基準より低くなるように分割する。これによりU11(LM311)98の出力が強制的に低くされ、圧縮機に何が起きているかに関係なくリレー(K1)100を閉じる。これにより、外部電源とバッテリ電源の交代時に、マイクロコントローラがリセットされるのが阻止される。
【0053】
上記実施形態では、マイクロプロセッサは、バッテリ電圧、システム圧力、及び流量を監視する。別の実施形態では、酸素監視システムを含めるように計画されている。酸素監視システム147の可能な配置の一例を図14に示している。この特定の実施形態は、酸素監視システム147が酸素送出システムの前にインラインで配置されたものを示している。酸素監視システム147は、圧力制御調整器64と流量制御弁の間に配置されているが、他の配置も考えられる。酸素センサ147の出力は、図14Aに示すようにマイクロプロセッサ77に監視されることになる。この特定の実施形態では、酸素監視システム147は、マイクロプロセッサ77のピン11をバッテリ監視システム149と共用することになる。酸素監視システム147とバッテリ監視システム149の間の切り替えのための切り替え回路148を図14Aに示している。
【0054】
我々の発明による装置を好適な実施形態により示しているが、当業者には、ここに提供した我々の発明の説明から、合体型のPSA/OCD装置、個別の流体、電気及び電子構成要素を製造することができるはずであり、その制御は、当該技術内で見つけることができるか、又は好適な実施形態の本説明を読むことにより当業者が作り出すことができる。2001年5月9日出願の同時係属中の米国特許出願第09/851,750号に記載の3床式PSAを使用することもでき、その使用の際には、本発明に従って作られたPSAは比較的一定の出力圧力を実現しているので、混合タンクを必要としない。図14及び図14Bに概略的に示すように、ユーザに送出される酸素の計算濃度ではなく実際の濃度を測定するために既知の酸素モニターを組み込むこともできる。更には、当業者には、監視及び/又は非監視型医療用途に使用するための、この他の既知の安全装置を組み込むこともできる。製品ガスの酸素濃度を可変的に制御できるようにするのが望ましい場合は、本発明に、図示してはいないが米国特許第5,871,564号に記載の第2の調整可能パージループを組み込むこともできる。
【0055】
装置20を作動させるには、ユーザアクセス可能な回転式スイッチ86を、PSA運転をオンにし、且つ設定速度で酸素を送出するために、作動パネル上の所望の「等価」流量まで回す。装置の起動時には、弁ブロック26の全ての弁は、背圧を排除するために開かれ、次いで、プログラム可能回路80内の従来のスイッチとリレースイッチのタイミング機構を通して、順に、開いたままにされるか、又は閉じられる。供給弁、逃がし弁、平衡弁は、それぞれ、弁への電力の供給又は停止に応答するソレノイド型弁であるのが望ましく、製品生産及び再生動作は、装置20内で、供給弁、逃がし弁、及び平衡弁それぞれを開閉する時間量を自動的に制御することにより、自動的に制御される。
【0056】
以上、図示し説明してきたように、本装置は、完全充電時には外部電力無しで凡そ50分間は装置に電力を供給することができる取り外し可能なニッケル金属水素化物バッテリパックと、120ボルトACを13.5ボルトDCに変換する公称120ボルトACコンセントに対してコネクタ126で装置を接続するACアダプタと、公称13.5ボルトDC自動車バッテリに同様に接続するための「シガレットライター」アダプタとを含む3つの電源の内の何れか1つで電力が供給される。図示のように、ACアダプタと自動車バッテリは、共に、装置に電力を供給すると同時にバッテリパックを再充電することができるが、バッテリパックの充電には凡そ2時間を要する。同様に、バッテリパックは、完全に充電されたスペアバッテリパックを使い易くするために、従来式のプラグを使って装置から外してもよい。
【0057】
理解頂けるように、本発明の精神から逸脱することなく、記載の実施形態に対して様々な変更と置き換えを施すことができる。即ち、記載の好適な実施形態は、説明を目的にしたものであり、限定を加えることを目的としたものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素が濃縮された製品ガスによってユーザへ補助酸素を提供するための酸素濃縮装置であって、装置は電源によって加圧下で動作する圧力スウィング吸着システムと、ユーザへ製品ガスを送出するための送出手段とを備え、
更に、ユーザの呼吸を検出するためのトランスデューサと、
製品ガス中の酸素が所定量である製品ガスを流すことができる手段と、
設定の範囲から所定量を選択するための手段と、
設定に基づいて所定量のガスを供給できるようにするためのトランスデューサに応答し、且つ供給される製品ガス内の酸素の濃度を予測する所定のパラメータの範囲での設定、システム圧力、電源及びユーザの呼吸数を継続的又はサンプル採取して決定されるシステム圧力、電源、ユーザの呼吸数の変化に応答する回路手段と、を備えている酸素濃縮装置。
【請求項2】
回路手段は、ユーザによる各呼吸又は特定の呼吸を検出したときに、計算された時間にわたって所定量の製品ガスを供給できる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路手段は、トランスデューサ、電源、流し可能手段、選択手段およびシステム圧力からの入力データを受け取り、所定量のガスを供給できるマイクロコントローラ、を更に備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路手段は、ユーザによって直前に成された呼吸で検出された所定数の実際のシステム圧力から平均システム圧力を決定するための手段を更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記設定手段は、5つの所定の設定を含み、前記回路手段は約1〜5リットル/分と生理学的に概ね等価な製品ガスをユーザに送出する時間の間流し可能手段を作動させるように動作する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記回路手段は、ユーザの血中酸素レベルを測定し、前記血中酸素レベルに応じて設定手段を調整するためにユーザに取り付けられる手段を更に備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記酸素濃度が所定レベルより下がった場合、前記システム圧力が所定レベルより下がった場合、または所定時間内に呼吸が検出されなかった場合に、ユーザに警告するための手段を更に備える、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回路手段は、第1,第2及び第3表示手段を備え、第1表示手段はシステム起動とユーザの呼吸割合を表示し、第2表示手段は電源の状態を表示し、第3表示手段はシステム故障、低圧、及び/又は所定時間内の呼吸検出不良をユーザに表示する、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記回路手段は、少なくとも特定の動作モードで前記圧力スウィング吸着システムを運転することによって前記濃縮器の作動コンポーネントを試験するための手段と、前記圧力スウィング吸着システムの累積作動時間を測定するための再初期化可能なメータとを更に備える、請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回路手段は、この回路手段の一部を不能にすることにより電源から導かれる電流を最低にするための電源初期化回路と、前記圧力スウィング吸着システムが過熱した場合に電源を切断する温度スイッチとを更に備える、請求項1〜9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が生成する製品ガスは、圧力が約131kPa(19psia)から約158.6kPa(23psia)以内で、製品ガス内の酸素濃度が80〜95%の間であり、
装置の重量は4.536Kg(10lb)未満であり、装置の物理的寸法は、一つ目の寸法が43.18cm(約17インチ)未満であり、二つ目の寸法が約20.32cm(約8インチ)未満であり、三つ目の寸法が約15.24cm(約6インチ)未満である、請求項1〜10の何れか一項に記載の装置。
【請求項1】
酸素が濃縮された製品ガスによってユーザへ補助酸素を提供するための酸素濃縮装置であって、装置は電源によって加圧下で動作する圧力スウィング吸着システムと、ユーザへ製品ガスを送出するための送出手段とを備え、
更に、ユーザの呼吸を検出するためのトランスデューサと、
製品ガス中の酸素が所定量である製品ガスを流すことができる手段と、
設定の範囲から所定量を選択するための手段と、
設定に基づいて所定量のガスを供給できるようにするためのトランスデューサに応答し、且つ供給される製品ガス内の酸素の濃度を予測する所定のパラメータの範囲での設定、システム圧力、電源及びユーザの呼吸数を継続的又はサンプル採取して決定されるシステム圧力、電源、ユーザの呼吸数の変化に応答する回路手段と、を備えている酸素濃縮装置。
【請求項2】
回路手段は、ユーザによる各呼吸又は特定の呼吸を検出したときに、計算された時間にわたって所定量の製品ガスを供給できる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路手段は、トランスデューサ、電源、流し可能手段、選択手段およびシステム圧力からの入力データを受け取り、所定量のガスを供給できるマイクロコントローラ、を更に備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路手段は、ユーザによって直前に成された呼吸で検出された所定数の実際のシステム圧力から平均システム圧力を決定するための手段を更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記設定手段は、5つの所定の設定を含み、前記回路手段は約1〜5リットル/分と生理学的に概ね等価な製品ガスをユーザに送出する時間の間流し可能手段を作動させるように動作する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記回路手段は、ユーザの血中酸素レベルを測定し、前記血中酸素レベルに応じて設定手段を調整するためにユーザに取り付けられる手段を更に備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記酸素濃度が所定レベルより下がった場合、前記システム圧力が所定レベルより下がった場合、または所定時間内に呼吸が検出されなかった場合に、ユーザに警告するための手段を更に備える、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回路手段は、第1,第2及び第3表示手段を備え、第1表示手段はシステム起動とユーザの呼吸割合を表示し、第2表示手段は電源の状態を表示し、第3表示手段はシステム故障、低圧、及び/又は所定時間内の呼吸検出不良をユーザに表示する、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記回路手段は、少なくとも特定の動作モードで前記圧力スウィング吸着システムを運転することによって前記濃縮器の作動コンポーネントを試験するための手段と、前記圧力スウィング吸着システムの累積作動時間を測定するための再初期化可能なメータとを更に備える、請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回路手段は、この回路手段の一部を不能にすることにより電源から導かれる電流を最低にするための電源初期化回路と、前記圧力スウィング吸着システムが過熱した場合に電源を切断する温度スイッチとを更に備える、請求項1〜9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が生成する製品ガスは、圧力が約131kPa(19psia)から約158.6kPa(23psia)以内で、製品ガス内の酸素濃度が80〜95%の間であり、
装置の重量は4.536Kg(10lb)未満であり、装置の物理的寸法は、一つ目の寸法が43.18cm(約17インチ)未満であり、二つ目の寸法が約20.32cm(約8インチ)未満であり、三つ目の寸法が約15.24cm(約6インチ)未満である、請求項1〜10の何れか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【公開番号】特開2009−261958(P2009−261958A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140719(P2009−140719)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【分割の表示】特願2003−563690(P2003−563690)の分割
【原出願日】平成15年1月30日(2003.1.30)
【出願人】(303012504)エアーセップ・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【分割の表示】特願2003−563690(P2003−563690)の分割
【原出願日】平成15年1月30日(2003.1.30)
【出願人】(303012504)エアーセップ・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
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