説明

可撓チューブの接続装置及びこの接続装置を備えたプリンタ装置

【課題】可撓チューブ間を流体の流れ落ちや気泡等の混入を抑制して作業性の向上を図って接続する。
【解決手段】第1弾性手段28により閉塞習性を付与された第1閉塞手段35、41により第1可撓チューブ20Aを閉塞状態に保持して接続した部材26、27からなる第1接続ユニット22と、第2弾性手段45により閉塞習性を付与された第2閉塞手段49、57により第2可撓チューブ20Bを閉塞状態に保持して接続した部材43、44からなる第2接続ユニット23とを組み合わせることにより、第1可撓チューブ20Aと第2可撓チューブ20Bが閉塞状態を解除されて連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器や部品間に引き回されて流体の流路を構成する合成樹脂等により成形されて可撓性を有するチューブの接続装置及びこの接続装置を用いてインクカートリッジから供給されるインクをプリントヘッドに供給する配管チューブを適宜の位置で接続してインク流路を構成したプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェットプリンタ装置は、イエロー、マゼンダ、シアン、及びブラック用の各色インクジェットヘッドにそれぞれ各色インクカートリッジから供給される各色インクを貯留するインク室や発熱素子や圧電素子等からなるインク吐出素子が設けられ、このインク吐出素子によりインクをヘッド面に形成した吐出ノズルから液滴状態で吐出させて印刷部に供給された用紙等に着弾させて画像や文字等の所望の印刷を行う。インクジェットプリンタ装置は、低ランニングコスト、小型化、カラープリントの容易化等の種々の特徴を有し、高解像度のプリントを行うことが可能である。
【0003】
インクジェットプリンタ装置においては、一般に各色インクカートリッジと各色インクジェットヘッドとの間を、それぞれ耐薬品特性、インクとの相性、接液性或いはガス透過性等の特性等を有する合成樹脂材により成形した可撓性配管チューブ(以下、チューブと略称する。)により接続してインクの供給を行っている。インクジェットプリンタ装置においては、チューブが、その一端側をインクカートリッジが着脱されるカートリッジホルダに形成したインク供給管に嵌合して接続するとともに、他端側をインクジェットヘッドに形成したインク流入管に嵌合して接続する。インクジェットプリンタ装置においては、チューブが、組立時の調整工程や保守の対応時等に際して各嵌合部から引き抜かれる(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、インクジェットプリンタ装置においては、吐出ノズルから微小サイズのインク滴を安定した状態で吐出させなければならないが、例えばインク内に気泡が混入した場合にその影響を受けてインク滴の不安定化や吐出不良が生じることがある。インクジェットプリンタ装置においては、インク供給経路にポンプを設け、このポンプによりインクをインクタンクからインク流路内に圧送することにより、吐出ノズルから混入した気泡とともに吐出するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献2)。また、インクジェットプリンタ装置においては、インク供給経路に吸引ポンプを設け、この吸引ポンプにより気泡が混入したインクを吸引して廃棄するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
上述したインクジェットプリンタ装置においては、プリンタヘッドに貯留した全容量のインクを排出することから、多数の吐出ノズルを有する長尺のプリンタヘッドを備えるラインプリンタの場合に廃棄するインク量が多くなり不経済であるばかりかインク流路の密閉性を保持する機構等も必要となる。また、上述したインクジェットプリンタ装置においては、吐出ノズルに生成されるインクのメニスカスを保持する負圧機構等も必要となる。出願人は、特許文献4により、循環ポンプを備える簡易な構造により、廃棄インク量を低減しかつ吐出ノズルに生成されるインクのメニスカスを保持するインク循環型プリンタ装置を提供した。
【0006】
図20に示したインク循環型プリンタ装置100は、用紙幅を有する長尺のラインヘッド101を備え、イエローインクカートリッジ102Y、マゼンダインクカートリッジ102M、シアンインクカートリッジ102C、及びブラックインクカートリッジ102K(102)からそれぞれ各色のインクがラインヘッド101に供給される。プリンタ装置100は、各色インクを各色圧力バルブ103Y、103M、103C、103K(103)により加圧してラインヘッド101に付設した各色インクタンク104Y、104M、104C、104K(104)へと供給する。プリンタ装置100は、ラインヘッド101の各インクタンク104に各色循環ポンプ105Y、105M、105C、105K(105)が接続され、各インクタンク104からインクカートリッジ102へとインクを循環させる。
【0007】
プリンタ装置100は、ラインヘッド101が、図示を省略するが各色毎に多数個の吐出ノズルと、これら吐出ノズルからインク滴を吐出させるインク吐出素子を備え、印刷制御回路部から出力された制御信号に基づいて各インクタンク104からインクを吐出させて用紙110に着弾させて画像や文字等の所望の印刷を行う。プリンタ装置100は、各圧力バルブ103が、各インクタンク104に設けた図示しないセンサからの検出出力に基づいて自動的にバルブ開放動作を行い、各インクカートリッジ102から各インクタンク104へのインク供給を行う。
【0008】
プリンタ装置100においては、上述した各インクカートリッジ102と各圧力バルブ103とラインヘッド101と各循環ポンプ105の構成部位が、各色毎にチューブ106Y、106M、106C、106K(106)により接続される。すなわち、プリンタ装置100においては、上述した各構成部位間毎に、それぞれ各色チューブ106による接続が行われる。
【0009】
【特許文献1】特開2002−113880号公報
【特許文献2】特開平11−129501号公報
【特許文献3】特開2002−337352号公報
【特許文献4】特開2005−225191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来の循環型プリンタ装置100においては、インクカートリッジ102と圧力バルブ103との間、圧力バルブ103とインクタンク104或いはラインヘッド101との間、ラインヘッド101と循環ポンプ105の間、さらに循環ポンプ105とインクカートリッジ102との間において、それぞれチューブ106による接続が行われる。プリンタ装置100においては、チューブ106が各構成部材に設けた接続管に一端部をはめ込むことにより接続操作が行われる。プリンタ装置100においては、チューブ106の接続操作が、限られたスペースにおいて接続管を間違えないようにかつ所定位置まで正確にはめ込まなければならず作業効率が悪いといった問題や嵌合不良によりインク漏れが発生するといった問題があった。
【0011】
また、プリンタ装置100においては、各構成部材に設けた接続管にチューブ106をはめ込む際に混入した多量の空気が、インク流路内において多量の気泡となり上述したようにインク滴の不安定化や吐出不良を生じさせる。プリンタ装置100においては、多量の気泡を除去するために施すインク循環工程に多くの時間を費やす必要があった。
【0012】
プリンタ装置100においては、組立後の調整工程、保守点検、部品交換或いは修理等を行う際に、内部にインクが残留している各チューブ106を構成部材の接続管に対して着脱する操作が必要となる。プリンタ装置100においては、各チューブ106の着脱操作に際して取り外し部位からインクが流れ落ちないようにするための対応が必要となる。プリンタ装置100においては、チューブ106の取外し操作によりラインヘッド101の吐出ノズルにおける負圧状態が崩れて生成されているメニスカスが破壊されインクが漏出し、垂れ落ちやヘッド面の汚損を生じさせてしまうといった問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、可撓チューブ間を流体の流れ落ちや気泡等の混入を抑制して作業性の向上を図って接続する構造簡易な可撓チューブの接続装置を提供することを目的とする。また、本発明は、構造簡易な配管チューブ接続装置を備えて、インク漏れや気泡等の混入を抑制して作業性の向上を図って配管チューブの接続が確実に行われるようにするプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成する本発明にかかる可撓チューブの接続装置は、第1可撓チューブを閉塞状態に保持して接続した第1接続ユニットと、第2可撓チューブを閉塞状態に保持して接続した第2接続ユニットとを組み合わせることにより第1可撓チューブと第2可撓チューブの閉塞状態を解除して連通させる。接続装置は、第1接続ユニットが、第1可撓チューブを接続する第1接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第1ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第1付勢手段により共同して第1可撓チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第1チューブ閉塞手段が設けられた第1基台部材及び第1可動部材とから構成される。接続装置は、第2接続ユニットが、第2可撓チューブを接続するとともに第1接続筒部と嵌合される第2接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第2ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第2付勢手段により共同して第2可撓チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第2チューブ閉塞手段が設けられた第2基台部材及び第2可動部材とから構成される。
【0015】
接続装置においては、第1接続ユニットに接続された第1可撓チューブが、第1付勢手段により閉塞習性を付与された第1チューブ閉塞手段により挟持されて閉塞状態にあり、内部を流れる流体の流れ落ちや気泡の混入が防止される。接続装置においては、第2接続ユニットに接続された第2可撓チューブも、第2付勢手段により閉塞習性を付与された第2チューブ閉塞手段により挟持されて閉塞状態にあり、内部を流れる流体の流れ落ちや気泡の混入が防止される。
【0016】
接続装置においては、第1接続ユニットと第2接続ユニットが、第1チューブ閉塞手段による第1可撓チューブの閉塞状態と第2チューブ閉塞手段による第2可撓チューブの閉塞状態を保持した状態で、第1接続筒部と第2接続筒部を嵌合して組み合わされる。接続装置においては、第1接続ユニットと第2接続ユニットが、第1基台部材と第2基台部材の相対する先端部位を係合することにより第1チューブ閉塞手段による第1可撓チューブの閉塞状態と第2チューブ閉塞手段による第2可撓チューブの閉塞状態が解除され、第1可撓チューブと第2可撓チューブが嵌合された第1接続筒部と第2接続筒部を介して連通されるようにする。接続装置においては、第1可撓チューブと第2可撓チューブが、簡易な操作により結合した状態で連通されることから流体の流れ落ちや気泡等の混入を抑制することが可能となる。
【0017】
また、上述した目的を達成する本発明にかかるプリンタ装置は、配管チューブ接続装置により所定箇所において相対する可撓性を有する配管チューブを接続してインク供給路を構成し、このインク供給路によりインクカートリッジからプリントヘッドにインク供給を行って画像や文字等の印刷が行われるようにする。プリンタ装置には、第1配管チューブを閉塞状態に保持して接続した第1接続ユニットと、第2配管チューブを閉塞状態に保持して接続した第2接続ユニットとを組み合わせることにより、第1配管チューブと第2配管チューブの閉塞状態を解除して連通させる配管チューブ接続装置が用いられる。
【0018】
配管チューブ接続装置は、第1接続ユニットが、第1配管チューブを接続する第1接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第1ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第1付勢手段により共同して第1配管チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第1チューブ閉塞手段が設けられた第1基台部材及び第1可動部材とから構成される。配管チューブ接続装置は、第2接続ユニットが、第2配管チューブを接続するとともに第1接続筒部と嵌合される第2接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第2ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第2付勢手段により共同して第2配管チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第2チューブ閉塞手段が設けられた第2基台部材及び第2可動部材とから構成される。
【0019】
プリンタ装置においては、組立或いは調整や保守等を行う際に、第1配管チューブや第2配管チューブが各部の接続部に対して着脱操作される。プリンタ装置においては、配管チューブ接続装置の第1接続ユニットに接続された第1配管チューブが、第1付勢手段によって閉塞習性を付与された第1チューブ閉塞手段により挟持されて閉塞状態に保持されていることで、この第1配管チューブの内部に溜まったインクの流れ落ちや気泡の混入が防止されるようになる。プリンタ装置においては、配管チューブ接続装置の第2接続ユニットに接続された第2配管チューブも、第2付勢手段によって閉塞習性を付与された第2チューブ閉塞手段により挟持されて閉塞状態に保持されていることで、この第2配管チューブの内部に溜まったインクの流れ落ちや気泡の混入が防止されるようになる。
【0020】
プリンタ装置においては、組立或いは調整や保守等を終了すると、配管チューブ接続装置により第1配管チューブと第2配管チューブの再接続が行われる。プリンタ装置においては、配管チューブ接続装置が、第1接続ユニットと第2接続ユニットにより第1チューブ閉塞手段による第1配管チューブの閉塞状態と第2チューブ閉塞手段による第2配管チューブの閉塞状態を保持した状態で、第1接続筒部と第2接続筒部を嵌合して組み合わせが行われる。プリンタ装置においては、配管チューブ接続装置が、第1接続ユニットと第2接続ユニットにおいて第1基台部材と第2基台部材の相対する先端部位を係合することにより、第1チューブ閉塞手段による第1配管チューブの閉塞状態と第2チューブ閉塞手段による第2配管チューブの閉塞状態を解除し、第1配管チューブと第2配管チューブを第1接続筒部と第2接続筒部を介して連通させる。プリンタ装置においては、配管チューブ接続装置を用いることにより、第1配管チューブと第2配管チューブを簡易な操作により着脱することで、インク流れ落ちや気泡等の混入を抑制することが可能となり組立或いは調整や保守の作業性の大幅な向上が図られるようにするとともにインク流路内からの気泡除去処理も不要となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる可撓チューブの接続装置によれば、それぞれ簡易に構成されて第1可撓チューブを閉塞状態に保持して接続した第1接続ユニットと第2可撓チューブを閉塞状態に保持して接続した第2接続ユニットとを簡易な操作により結合することにより第1可撓チューブと第2可撓チューブの閉塞状態を解除して連通させるようにすることから、第1可撓チューブと第2可撓チューブを着脱する際に流体の流れ落ちや気泡等の混入を抑制することが可能となる。
【0022】
また、本発明にかかるプリンタ装置によれば、インク供給路の所定箇所に設置され、それぞれ簡易に構成されて第1配管チューブを閉塞状態に保持して接続した第1接続ユニットと第2配管チューブを閉塞状態に保持して接続した第2接続ユニットとを簡易な操作により結合することにより第1配管チューブと第2配管チューブの閉塞状態を解除して連通させる配管チューブ接続装置を備えることにより、配管チューブを着脱する組立或いは調整や保守等に際して、インク流れ落ちや気泡等の混入を抑制することが可能となり組立或いは調整や保守の作業性の大幅な向上が図られるようにするとともにインク流路内からの気泡除去処理も不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態として図面に示したインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と略称する。)1について、詳細に説明する。プリンタ装置1は、図1に示すようにプリンタ本体2と、このプリンタ本体2に対して着脱されるヘッドユニット3を備え、例えばパーソナルコンピュータ等に接続され或いはデジタルカメラ等の周辺機器を接続して用いられる。プリンタ装置1は、詳細を省略するが、図1においてプリンタ本体2の背面側に構成した給紙部4にロール紙(用紙)5を装填し、印刷部6に給紙された用紙紙5に対して、パーソナルコンピュータや周辺機器等から出力を指示された文書や画像を印刷して前面側に構成した排紙部7から所定のサイズに切断して排出する。
【0024】
なお、プリンタ装置1は、プリンタ本体2が、図示しない筐体内に収納されることは勿論である。プリンタ装置1は、用紙5として上述したロール紙に限定されず、例えばプリンタ本体2の前面側に用紙カセット装填口を設け、この用紙カセット装填口に対して多数枚の用紙5を積層状態で収納した用紙カセットを挿脱するようにしてもよい。プリンタ装置1は、用紙カセットから用紙5を1枚ずつ取り出して印刷部6において所定の印刷を行い、例えば印刷部6から用紙カセットのカセット蓋上に排紙されるようにする。
【0025】
プリンタ装置1は、ヘッドユニット3が詳細を省略する制御部から出力される印刷指示の制御信号に基づいてインクを液滴状態で吐出させて用紙5に着弾させ、ライン単位で高速プリントを行う。プリンタ装置1は、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの4色のインクを用いることによって、文書や画像のカラー印刷を行う。プリンタ装置1は、さらに多色のインクを用いるようにしてもよいことは勿論である。
【0026】
プリンタ装置1は、詳細を省略する着脱機構を介して印刷部6上にヘッドユニット3が着脱自在に組み合わされ、この着脱機構に設けたロック機構を解除することにより、プリンタ本体2の印刷部6からヘッドユニット3を取り外すことが可能である。プリンタ装置1は、ヘッドユニット3を取り外してその調整を行ったり、印刷部6等に詰まった用紙5を取り出したり、部品交換や清掃等のメンテナンスが行われる。
【0027】
ヘッドユニット3は、プリンタ装置1に使用する最大サイズの用紙5の紙幅よりも大きな横幅(用紙5の送り方向と直交する方向の幅)を有する全体略矩形筒状に形成されたヘッドフレーム体8を備える。プリンタ装置1は、プリンタ本体2とヘッドフレーム体8に詳細を省略する位置決め構造やロック構造が相対して設けられており、ヘッドユニット3がプリンタ本体2に対して位置決めして組み合わされる。
【0028】
ヘッドユニット3には、図示を省略するがヘッドフレーム体8の底面側の段部に多ピン構造のコネクタが設けられており、このコネクタがプリンタ本体2に組み合わされた状態でプリンタ本体2側に設けられた図示しないコネクタと結合されて電気的に接続されることにより、電源の供給や制御信号の授受が行われる。ヘッドユニット3には、上方開口部を閉塞する蓋体9が開閉自在に組み合わされるとともに、プリンタ本体2から取り外す際に把持される把手10が回動自在に組み合わされる。
【0029】
ヘッドユニット3は、詳細を省略するが図1鎖線で示すようにヘッドフレーム体8の内部空間が、上中下の3つの空間部に仕切られ、上部空間部をインクカートリッジ装填部11、中間空間部がインク配管部12、下部空間部がヘッドモジュール装着部13として構成する。ヘッドユニット3は、ヘッドフレーム体8に詳細を後述する構成各部材を位置決めして組み合わせる適宜の取付け部が一体に形成されており、ヘッドユニット組立工程により組立、調整等を行ってプリンタ本体2への組立が行われるとともに、プリンタ本体2から取り外されて保守等が行われる。
【0030】
ヘッドユニット3には、インクカートリッジ装填部11内に、4つのインクカートリッジ装填空間を形成したインクカートリッジホルダ14が組み合わされる。ヘッドユニット3には、インクカートリッジホルダ14の相対するインクカートリッジ装填空間内に、所定色のインクを充填したインクカートリッジ15Y、15M、15C、15K(以下、個別に説明する場合を除いてインクカートリッジ15と総称する。)が装填される。ヘッドユニット3は、インクカートリッジ装填部11に設けたインクカートリッジホルダ14とインクカートリッジ15がインク供給部を構成し、詳細を後述するようにインク配管部12内に各色インク供給循環系16を構成してインクカートリッジ15と相対するヘッドモジュール17Y、17M、17C、17K(以下、個別に説明する場合を除いてヘッドモジュール17と総称する。)との間でインクの供給循環が行われるようにする。
【0031】
ヘッドユニット3は、図2に示すように、インク配管部12内に、圧力バルブユニット18Y、18M、18C、18K(以下、個別に説明する場合を除いて圧力バルブユニット18と総称する。)と、循環ポンプ19Y、19M、19C、19K(以下、個別に説明する場合を除いて循環ポンプ19と総称する。)が備えられる。ヘッドユニット3は、インク配管部12内において、相対するインクカートリッジ15と圧力バルブユニット18との間、相対する圧力バルブユニット18とヘッドモジュール17との間、相対するヘッドモジュール17と循環ポンプ19との間、及び循環ポンプ19とインクカートリッジ15との間を、それぞれの間において独立した各色毎の配管チューブ20Y、20M、20C、20K(以下、個別に説明する場合を除いてチューブ20と総称する。)により接続して閉ループ流路からなるインク供給循環系16を構成する。
【0032】
ヘッドユニット3は、インクカートリッジ15と圧力バルブユニット18間において詳細を後述する第1配管チューブ接続装置21−1によりそれぞれチューブ20の接続を行う。ヘッドユニット3は、圧力バルブユニット18とヘッドモジュール17間において第2配管チューブ接続装置21−2によりそれぞれチューブ20の接続を行う。ヘッドユニット3は、ヘッドモジュール17と循環ポンプ19間において第3配管チューブ接続装置21−3によりそれぞれチューブ20の接続を行う。ヘッドユニット3は、循環ポンプ19とインクカートリッジ15間において第4配管チューブ接続装置21−4によりそれぞれチューブ20の接続を行う。なお、以下の説明において、第1配管チューブ接続装置21−1乃至第4配管チューブ接続装置21−4については接続装置21と略称して総称するものとし、また個々に説明する場合は接続装置21−1乃至接続装置21−4と略称する。
【0033】
ヘッドユニット3は、上述した各接続装置21がそれぞれ同一に構成された共通部材であり、詳細を後述するように結合・取外し自在な第1接続ユニット22と第2接続ユニット23とから構成される。ヘッドユニット3は、各接続装置21が、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23を取り外すことにより、上述した部位間においてインク供給循環系16を閉塞状態とする。また、ヘッドユニット3は、各接続装置21が、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23を結合することにより、上述した部位間においてインク供給循環系16を開放(連通)状態とする。
【0034】
ヘッドユニット3は、プリンタ本体2に組み合わされた状態で、ヘッドフレーム体8のヘッドモジュール装着部13が印刷部6に対向位置する。ヘッドユニット3は、ヘッドモジュール装着部13に詳細を省略する4個のヘッドモジュール17Y、17M、17C、17Kが、用紙5の送り方向に対してこの順序で配列して設けられる。ヘッドユニット3は、印刷部6に送り込まれた用紙5に対して、印刷指示の制御信号に基づいて各ヘッドモジュール17が駆動されて各色のインクを吐出して画像等の印刷を行う。
【0035】
ヘッドユニット3には、インクカートリッジホルダ14に4個のインクカートリッジ装填空間が設けられる。インクカートリッジホルダ14には、詳細を省略するが、各インクカートリッジ装填空間の底面中央部及び一方側に位置してそれぞれ開口部が形成されており、それぞれ所定のインクカートリッジ15が装填される。インクカートリッジ15は、イエローインクを充填したイエローインクカートリッジ15Yと、マゼンタインクを充填したマゼンダインクカートリッジ15Mと、シアンインクを充填したシアンインクカートリッジ15Cと、ブラックインクのインクを充填したブラックインクカートリッジ15Kである。
【0036】
インクカートリッジ15は、詳細を省略するがカートリッジ容器内に所定色のインクが充填され、底部の中央部に位置してそれぞれ逆止弁機構を内蔵したインク供給口が設けられるとともに、一方側に位置してインク流入口が設けらている。インクカートリッジ15は、相対するインクカートリッジ装填空間に装填されることにより、それぞれのインク供給口とインク流入口が詳細を後述するインク配管部12の各接続部に直接接続されてインクの授受が行われる。なお、インクカートリッジ15には、例えば底部に各色毎に位置を異にして位置決め凸部を形成し、この位置決め凸部がインクカートリッジホルダ14の各インクカートリッジ装填空間に形成した位置決め凹部と相対係合することによって所定の装填部に対して誤り無く装填されるように構成する。
【0037】
インクカートリッジホルダ14には、インクカートリッジ装填空間に装填されたインクカートリッジ15に対して弾性力を作用させる弾性部材や、この弾性部材から作用される弾性力に抗して各インクカートリッジ15をそれぞれ装填した状態に保持するとともに保持状態を開放して取り外しを可能とさせるラッチ機構等が設けられている。インクカートリッジ15は、インクカートリッジホルダ14のインクカートリッジ装填空間内に装填されると、それぞれのインク供給口とインク流入口がインクカートリッジ装填空間に設けられた上述した開口部を貫通してインク配管部12内の相対するインク供給循環系16と接続される。
【0038】
ヘッドユニット3においては、インクカートリッジホルダ14に装填したインクカートリッジ15から供給されるインクが、ヘッドフレーム体8のインク配管部12内に構成したインク供給循環系16へと供給される。ヘッドユニット3は、インクがインク供給循環系16を介してヘッドモジュール17に供給され、一部がヘッドモジュール17からインク供給循環系16を介してインクカートリッジ15へと還流されるようにする。
【0039】
ヘッドユニット3は、図示を省略するがインク供給循環系16にインクカートリッジホルダ14に装填したインクカートリッジ15と連結する連結バルブ体を介在させるようにしてもよい。連結バルブ体は、例えば内部にインク流路と、このインク流路を開閉するバルブが設けられ、インクカートリッジ15の装填によりバルブが動作してインク流路を開放してインク供給循環系16にインク供給を行う。
【0040】
ヘッドユニット3は、インクカートリッジホルダ14の下方部に相対する各インクカートリッジ装填空間と対向して圧力バルブユニット18を千鳥状に組み合わせて配置する。圧力バルブユニット18は、詳細を省略するがインクカートリッジ15のインク供給口に嵌合される流入接続部とチューブ20と接続される供給接続部が設けられるとともに、内部に図示しないバルブを備える。圧力バルブユニット18は、インクカートリッジ15がインクカートリッジ装填空間に装填されると、流入接続部がインク供給口に嵌合してその逆止弁機構を開放してインクが供給され、このインクを供給接続部からインク供給循環系16へと送り出す。圧力バルブユニット18は、所定量のインク供給を受けると、内部のバルブが閉鎖動作してインク供給循環系16へのインク供給を停止する。圧力バルブユニット18は、ヘッドモジュール17においてインク吐出動作が行われて圧力低下が生じると、内部のバルブが開放動作してインク供給を再開する。
【0041】
ヘッドユニット3は、上述したインク供給循環系16を介してインクカートリッジ15からヘッドモジュール17に対してインク供給を行う。ヘッドモジュール17は、詳細を省略するが内部に所定量のインクを貯留するインクタンク24と、開放底面を閉塞してノズルシートを取り付けたヘッド部25とから構成される。ヘッドモジュール17は、ノズルシートに、長さ方向に並んで微小開口からなりインク微小な液滴状態で吐出させる多数個のインク吐出孔が形成される。ヘッドモジュール17は、ノズルシートが、その内面側にインク吐出孔からインクを吐出させる発熱素子や圧電素子等からなるインク吐出素子が設けられ、表面をヘッド面として構成される。
【0042】
ヘッドモジュール17は、詳細を省略するノズルシートがフレキシブル配線基板により形成されており、適宜のコネクタ構造を介してヘッド制御基板と電気的に接続される。ヘッドモジュール17は、ノズルシート或いはヘッド制御基板にインク吐出素子を個別に駆動する制御信号等を出力するロジックIC(Integrated Circuit)或いはドライバトランジスタ等からなるヘッド駆動制御回路が設けられる。
【0043】
ヘッドモジュール17は、プリンタ装置1を接続したパーソナルコンピュータ等ら出力された印刷指示の制御信号に基づいて所定のインク吐出素子が駆動され、インクタンク24に貯留したインクをインク吐出孔から微小な液滴状態で吐出させて印刷を行う。ヘッドモジュール17は、印刷動作によりインクタンク24内の圧力が次第に低下するが、圧力バルブユニット18の動作によりインク供給循環系16を介してインクカートリッジ15からインク供給が行われる。
【0044】
ヘッドモジュール17は、例えばプリンタ装置1の電源投入時、印刷動作の開始前或いは所定数の印刷実行や時間経過後において循環ポンプ19の駆動により、インクタンク24内に貯留したインクの循環処理が行われる。ヘッドモジュール17は、循環ポンプ19が駆動されるとインクタンク24内に貯留したインクが、インク供給循環系16に吸引されてインクカートリッジ15へと還流されるようにしてインクに混入した気泡が除去されるようにする。
【0045】
なお、ヘッドユニット3は、ヘッドモジュール17が上述した構造に限定されず、従来周知の各種ヘッドユニットを用いることが可能であることは勿論である。ヘッドユニット3は、フレームにインクタンク24とインク吐出素子を搭載するとともにインク吐出孔を形成したノズルシートを一体化して構成したが、例えばインクカートリッジ15から供給されるインクを貯留するサブタンクを介在させ、このサブタンクからインク供給が行われるように構成してもよい。
【0046】
ヘッドユニット3は、循環ポンプ19によってインクをインク供給循環系16内で循環させることにより、各色インクに混入した気泡等を除去して高精度の印刷が行われるようにする。循環ポンプ19には、例えばダイヤフラムポンプが用いられ、インクカートリッジ15とヘッドモジュール17との間に配置される。なお、ヘッドユニット3は、循環ポンプ19を含む上述した各部材により構成するインク供給循環系16をヘッドモジュール17のヘッド面よりも垂直方向に対して高い位置に構成することにより、ヘッド面に形成したインク吐出孔のインクが負圧状態に保持されるようにして漏出を防止する。
【0047】
ヘッドユニット3は、上述したようにインクカートリッジ15と圧力バルブユニット18、圧力バルブユニット18とヘッドモジュール17、ヘッドモジュール17と循環ポンプ19、循環ポンプ19とインクカートリッジ15との間をそれぞれチューブ20により連結してインク供給循環系16を構成する。ヘッドユニット3は、接続装置21によりチューブ20の接続を行うことにより、組立、調整或いは保守等に際してチューブ20を着脱する操作の作業性の向上やインク漏れの発生が防止されるようにするとともにインク供給循環系16内に混入する空気による気泡の発生を抑制する。
【0048】
接続装置21は、図3及び図4に示すように例えばインク供給循環系16の下流側の第1チューブ20Aを接続する第1接続ユニット22と、上流側の第2チューブ20Bを接続する第2接続ユニット23とから構成される。接続装置21は、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23が、それぞれ詳細を後述するようにいわゆる洗濯ばさみ構造に構成されるとともに結合・取外し自在とされ、結合した状態において第1チューブ20Aと第2チューブ20Bとを連通させてインク供給循環系16が構成されるようにする。接続装置21は、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23を取外した状態において第1チューブ20Aと第2チューブ20Bをそれぞれ閉塞する。なお、以下の接続装置21の説明において、位置を説明するために用いる前後、上下、左右の用語は図3を基準として用いるものとする。
【0049】
接続装置21は、詳細を後述するように第1接続ユニット22が第1チューブ20Aを接続するとともに第2接続ユニット23が第2チューブ20Bを接続する。接続装置21は、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23が非結合状態において、それぞれ第1チューブ20Aと第2チューブ20Bを閉塞状態に保持する。接続装置21は、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23の結合操作を行うことにより、第1チューブ20Aと第2チューブ20Bがそれぞれ閉塞状態を解除されて連通する。
【0050】
第1接続ユニット22は、図5乃至図8に示すように、第1基台部材26と、第1可動部材27と、第1付勢手段を構成する第1トーションコイルスプリング28とが組み合わされて、後述するように第1チューブ20Aを接続して保持する。第1接続ユニット22は、第1基台部材26と第1可動部材27が相対する略中央部において第1ヒンジ機構29を介して揺動自在に組み合わされる。第1接続ユニット22は、第1基台部材26と第1可動部材27が第1ヒンジ機構29に組み合わせた第1トーションコイルスプリング28の弾性力を作用されて、第1基台部材26に対して第1可動部材27が図7において反時計方向に付勢される。
【0051】
第1接続ユニット22は、第1基台部材26が、図5乃至図7に示すように全体略矩形板状を呈し、長さ方向の略中央部の両側縁に沿って互いに対向しかつ軸孔30A1、30B1を有するヒンジ支点壁30A、30B(支点壁30)が一体に立ち上がり形成されている。第1基台部材26は、支点壁30で区分される後端側が後述するように第1可動部材27と共同して操作される操作部31を構成する。
【0052】
第1基台部材26には、支点壁30で区分される先端側の領域に、後述する第2接続ユニット23と突き当てられる突当て凸縁部32と、第1チューブ20Aが接続されるとともに第1可動部材27と連結される第1接続筒部33と、第1チューブ20Aを引き回して保持する第1チューブガイド孔34と、第1チューブ閉塞手段を構成する第1チューブ挟持受け半体部35が形成されている。突当て凸縁部32は、第1基台部材26の先端縁に所定の高さを有して突設され、後述するよう第1可動部材27が突き当てられて結合される際の受け部を構成し、上縁に半円弧状の受け凹部32Aが形成される。突当て凸縁部32は、受け凹部32Aが、後述するように第1接続ユニット22に第2接続ユニット23が結合される際にこの第2接続ユニット23側の第2接続筒部48が嵌挿される。
【0053】
第1接続筒部33は、第1基台部材26の主面に突当て凸縁部32と略同一の高さを有して一体に突出形成された台座部36上に、第1基台部材26の長さ方向の軸状筒部として形成される。第1接続筒部33には、図7に示すようにその内部を貫通して突当て凸縁部32の受け凹部32Aと同軸線上に位置して開口する第1インク流路37が形成されている。第1接続筒部33は、先端側が第1可動部材27との嵌合部33Aを構成するとともに、後端側が第1チューブ20Aを接続するチューブ接続部33Bを構成する。
【0054】
第1チューブガイド孔34は、支点壁30と第1接続筒部33との間に位置して第1基台部材26に、第1チューブ20Aの外径よりもやや小さな開口寸法を以って貫通形成される。また、第1チューブガイド孔34は、支点壁30と後述する第1チューブ挟持受け半体部35との間に位置して形成される。第1チューブガイド孔34には、図7に示すように第1基台部材26の底面側から差し込まれた第1チューブ20Aの外周部を、閉塞しないようにして挟み込んで保持する。
【0055】
第1チューブ挟持受け半体部35は、第1基台部材26の主面に、第1接続筒部33と第1チューブガイド孔34との間に位置して所定の高さを有する幅方向の凸部として一体に突出形成される。第1チューブ挟持受け半体部35には、図7に示すようにその上縁部に第1接続筒部33の第1インク流路37と略同一高さ位置となるようにして挟持半体凸部35Aが一体に形成される。第1チューブ挟持受け半体部35には、第1チューブガイド孔34から差し込まれた第1チューブ20Aが挟持半体凸部35A上を横切るようにして第1接続筒部33のチューブ接続部33Bへと導かれる。
【0056】
第1基台部材26には、上述したように第1チューブ20Aが底面側から第1チューブガイド孔34に差し込まれ、その外周部を第1チューブガイド孔34の内壁により軽く挟まれて保持された状態で第1接続筒部33側へと導かれる。第1基台部材26は、図7に示すように第1接続筒部33のチューブ接続部33Bに第1チューブ20Aの先端部がきつくはめ込まれることにより、この第1チューブ20Aが接続される。第1基台部材26には、第1ヒンジ機構29を介して第1可動部材27が回動自在に組み合わされて第1接続ユニット22を構成する。
【0057】
第1可動部材27も、図5乃至図7に示すように、上述した第1基台部材26とほぼ同形の全体略矩形板状を呈し、長さ方向の略中央部の両側縁に沿って互いに対向しかつ軸孔38A1、38B1を有するヒンジ支点壁38A、38B(支点壁38)が一体に立ち上がり形成されている。第1可動部材27も、支点壁38で区分される後端側が第1基台部材26の操作部31と共同して操作される操作部39を構成する。
【0058】
第1可動部材27には、支点壁38で区分される先端側の端部に、第1基台部材26側の突当て凸縁部32と対向し後述するように第2接続ユニット23との係合部を構成する係合凸縁部40が一体に突出形成される。第1可動部材27には、組み合わせ状態において第1基台部材26側の第1チューブ挟持受け半体部35と対向位置し、共同して第1チューブ閉塞手段を構成する第1チューブ挟持突当て半体部41が形成されている。
【0059】
第1チューブ挟持突当て半体部41は、第1可動部材27の主面に所定の高さを有する幅方向の凸部として一体に突出形成された部位であり、その先端縁部に挟持半体凸部41Aが全域に亘って形成される。第1チューブ挟持突当て半体部41は、後述するように第1可動部材27が第1基台部材26と組み合わされた状態で、第1基台部材26側の第1チューブ挟持受け半体部35と対向位置し、それぞれの挟持半体凸部41A、35Aが第1チューブAを押し潰して内部流路を閉塞する対向間隔に設定される。
【0060】
第1トーションコイルスプリング28は、図6に示すように第1ヒンジ機構29を構成する第1支軸42の外径よりもやや大きなコイル径を有するコイル部28Aと、このコイル部28Aの両端側を互いに対向するようにして引き出した弾性変位部28B、28Cとから構成される。第1トーションコイルスプリング28は、後述するように弾性変位部28B、28Cが第1基台部材26と第1可動部材27に対して弾性力を作用させる。第1トーションコイルスプリング28は、後述する第2接続ユニット23側の第2付勢手段よりも大きな弾性力を蓄勢する。
【0061】
第1接続ユニット22は、以上のように構成された第1基台部材26と第1可動部材27をその略中央部において第1ヒンジ機構29により回動自在に組み合わして構成する。第1接続ユニット22においては、図6に示すように第1基台部材26に対してその上方から第1可動部材27が組み合わされる。第1接続ユニット22においては、図5及び図7に示すように第1基台部材26と第1可動部材27が、それぞれの支点壁30と支点壁38を、相対する軸孔30A1、30B1と軸孔38A1、38B1を互いに同軸上に連通させるようにして組み合わされる。
【0062】
第1接続ユニット22においては、第1支軸42が、例えば連通された一方側の軸孔30A1、38A1側から他方の軸孔30B1、38B1側に向かって嵌挿される。第1接続ユニット22においては、第1支軸42に対して軸孔30A1、38A1を貫通した状態で第1トーションコイルスプリング28がコイル部28Aを嵌挿して組み付けられる。第1接続ユニット22においては、第1支軸42が、その先端を軸孔30B1、38B1に貫通されてヒンジ支点壁30、38に対して抜け止めされる。
【0063】
第1接続ユニット22においては、この状態で第1トーションコイルスプリング28の一方弾性変位部28Bが第1基台部材26の操作部31に当接するとともに他方弾性変位部28Cが第1可動部材27の操作部39に当接して弾性力を蓄勢する。第1接続ユニット22においては、第1トーションコイルスプリング28の蓄勢された弾性力により、第1基台部材26の突当て凸縁部32と第1可動部材27の係合凸縁部40とが突き当たる方向に付勢され、換言すれば第1基台部材26に対して第1可動部材27が第1ヒンジ機構29を支点として反時計方向の回動習性を付与される。
【0064】
第1接続ユニット22においては、上述したように第1チューブガイド孔34から差し込まれた第1チューブ20Aが、第1チューブ挟持受け半体部35の挟持半体凸部35A上を横切って第1接続筒部33のチューブ接続部33Bに接続されている。第1接続ユニット22においては、第1可動部材27が第1トーションコイルスプリング28の弾性力により上述した回動習性を付与されることにより、図8に示すように第1基台部材26の第1チューブ挟持受け半体部35の挟持半体凸部35Aと第1可動部材27の第1チューブ挟持突当て半体部41の挟持半体凸部41Aとの間で第1チューブ20Aを挟み込む。第1接続ユニット22においては、これにより第1チューブ20Aが閉塞状態に保持される。
【0065】
第1接続ユニット22においては、後述するように第2接続ユニット23から取り外した状態で第1チューブ20Aを閉塞状態に保持することで、調整や保守等の操作を行う場合でもインク供給循環系16の負圧状態が保持されるようにし、インク吐出孔のメニスカスの破壊が防止されてインクの垂れ落ちを防止する。第1接続ユニット22においては、第1チューブ20A内における気泡の発生も防止することにより、再組立後の気泡の除去操作の合理化を図ることを可能とする。
【0066】
接続装置21は、第2接続ユニット23も、図9乃至図12に示すように、第2基台部材43と、第2可動部材44と、第2付勢手段を構成する第2トーションコイルスプリング45とが組み合わされて、後述するように第2チューブ20Bを接続して保持する。第2接続ユニット23も、第2基台部材43と第1可動部材44が相対する略中央部において第2ヒンジ機構46を介して揺動自在に組み合わされる。第2接続ユニット23は、第2基台部材43と第2可動部材44が第2ヒンジ機構46に組み合わせた第2トーションコイルスプリング45の弾性力を作用されて、第2基台部材43に対して第2可動部材44が図9において反時計方向に付勢される。
【0067】
第2接続ユニット23は、第2基台部材43が、図9乃至図11に示すように全体略矩形板状を呈し、長さ方向の略中央部の両側縁に沿って互いに対向しかつ軸孔47A1、47B1を有するヒンジ支点壁47A、47B(支点壁47)が一体に立ち上がり形成されている。第2基台部材43は、支点壁47で区分される一方領域(右側領域)が上述した第1接続ユニット22との突当て部を構成し、第1接続筒部33と連結される第2接続筒部48が一体に形成される。第2基台部材43は、支点壁47で区分される他方領域(左側領域)に、第2チューブ閉塞手段を構成する第2チューブ挟持受け半体部49が形成されている。
【0068】
第2基台部材43には、左側領域の先端部に第2チューブ20Bを保持する保持溝50Aを有するチューブ保持壁部50が一体に突出形成されている。第2基台部材43には、図11に示すように支点壁47を挟んで第1チューブ保持孔51Aと第2チューブ保持孔51B(チューブ保持孔51)が形成されている。第2基台部材43は、これらチューブ保持壁部50の保持溝50Aとチューブ保持孔51が、第2チューブ20Bの外径よりもやや小さな開口寸法を以って形成され、第2チューブ20Bの外周部を閉塞しないようにして挟み込んで保持する。
【0069】
第2接続筒部48は、第2基台部材43の先端部から所定の長さで突出する長さ方向の軸状筒部として一体に形成され、図11に示すようにその内部を貫通して第2インク流路52が形成される。第2接続筒部48は、その外径を上述した第1接続ユニット22側の突当て凸縁部32に形成した受け凹部32Aと略同径に形成され、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23を結合操作する際に、受け凹部32Aに嵌挿される。
【0070】
第2接続筒部48は、第2インク流路52がその先端開口部位を第1接続ユニット22側の第1接続筒部33の嵌合部33Aの外径よりもやや大径に形成することにより、この嵌合部33Aを嵌合する嵌合孔部52Aとして構成する。第2接続筒部48には、嵌合孔部52A内にシーリングブッシュ53がはめ込まれ、嵌合孔部52Aに嵌合される第1接続筒部33の嵌合部33Aとの密閉状態が保持されるようにする。
【0071】
第2接続筒部48は、嵌合孔部52Aと対向する他端側が支点壁47側において開口され、この開口部に第2チューブ20Bの先端部をはめ込んで接続するチューブ接続筒部54が一体に形成される。チューブ接続筒部54は、第2チューブ20Bがインク漏れを生じないようにきつくはめ込めこまれる外径に形成され、後述するように第2チューブ20Bをはめ込んで第2インク流路52と連通させる。
【0072】
第2チューブ挟持受け半体部49は、第2基台部材43の主面に、支点壁47とチューブ保持壁50との間に位置して所定の高さを有する幅方向の凸部として一体に突出形成される。第2チューブ挟持受け半体部49には、図11及び図12に示すようにその上縁部に第2接続筒部48の第2インク流路52と略同一高さ位置となるようにして挟持半体凸部49Aが一体に形成される。第2チューブ挟持受け半体部49には、チューブ保持壁50に保持された第2チューブ20Bが挟持半体凸部49A上を横切るようにして第2接続筒部48のチューブ接続筒部54へと導かれるようにする。
【0073】
第2基台部材43には、第2チューブ20Bが、外部からチューブ保持壁部50の保持溝50A内に嵌挿することによりその外周部を軽く挟まれて保持されて引き込まれる。第2基台部材43は、引き込まれた第2チューブ20Bを図11に示すよう第2チューブ挟持受け半体部49の挟持半体凸部49A上を横切らせ、第1チューブ保持孔51Aから底面側へと引き出した後に第2チューブ保持孔51Bから再び引き込み、その先端部を第2接続筒部48のチューブ接続筒部54に連結させる。第2基台部材43は、保持溝50Aと第1チューブ保持孔51A及び第2チューブ保持孔51Bにより保持する。
【0074】
第2接続ユニット23は、上述した第2基台部材43に第2可動部材44を組み合わせて構成する。第2可動部材44も、図9乃至図11に示すように、上述した第2基台部材43とほぼ同形の全体略矩形板状を呈し、長さ方向の略中央部の両側縁に沿って互いに対向しかつ軸孔55A1、55B1を有するヒンジ支点壁55A、55B(支点壁55)が一体に立ち上がり形成されている。
【0075】
第2可動部材44には、支点壁55で区分される一方領域(右側領域)が詳細を後述するように第1接続ユニット22との係合部を構成し、その上面の先端近傍に幅方向の一対の凸部56A、56Bにより係合部56が形成される。第2可動部材44は、係合部56に上述した第1接続ユニット22側の第1基台部材26に形成した係合凸縁部40が相対係合する。第2可動部材44には、支点壁55で区分される他方領域(左側領域)に、第2チューブ閉塞手段を構成する第2チューブ挟持突当て半体部57が形成されている。
【0076】
第2チューブ挟持突当て半体部57は、第2可動部材44が第2基台部材43と組み合わされた状態において、第2基台部材43側の第2チューブ挟持受け半体部49と対向するようにして形成される。第2チューブ挟持突当て半体部57は、第2チューブ挟持受け半体部49と共同して第2チューブ20Bを閉塞する第2チューブ閉塞手段を構成する。第2チューブ挟持突当て半体部57は、第2可動部材44の主面に所定の高さを有する幅方向の凸部として一体に突出形成された部位であり、その先端縁部に挟持半体凸部57Aが全域に亘って形成される。第2チューブ挟持突当て半体部57は、第2可動部材44と第2基台部材43の組み合わせ状態において、挟持半体凸部57Aが第2基台部材43側の相対する挟持半体凸部49Aとの間で第2チューブ20Bを押し潰して内部流路を閉塞する。
【0077】
第2トーションコイルスプリング45も、図10及び図11に示すように第2ヒンジ機構46を構成する第2支軸58の外径よりもやや大きなコイル径を有するコイル部45Aと、このコイル部45Aの両端側を互いに対向するようにして引き出した弾性変位部45B、45Cとから構成される。第2トーションコイルスプリング45は、後述するように弾性変位部45B、45Cが第2基台部材243と第2可動部材44に対して弾性力を作用させる。第2トーションコイルスプリング45は、上述した第1接続ユニット22側の第1トーションコイルスプリング28に対して弾性力特性が小さなものが用いられる。なお、第2トーションコイルスプリング45は、挟持半体凸部49Aと挟持半体凸部57Aとにより第2チューブ20Bを押し潰して閉塞状態とする弾性力特性を有する。
【0078】
第2接続ユニット23は、以上のように構成された第2基台部材43と第2可動部材44をその略中央部において第2ヒンジ機構46により回動自在に組み合わして構成する。第2接続ユニット23においては、図10に示すように第2基台部材43に対してその上方から第2可動部材44が組み合わされる。第2接続ユニット23においては、図9及び図11に示すように第2基台部材43と第2可動部材44が、それぞれの支点壁47と支点壁55を、相対する軸孔47A1、47B1と軸孔55A1、55B1を互いに同軸上に連通させるようにして組み合わされる。
【0079】
第2接続ユニット23においては、第2支軸58が、例えば連通された一方側の軸孔47A1、55A1側から他方の軸孔47B1、55B1側に向かって嵌挿される。第2接続ユニット23においては、第2支軸58に対して軸孔47A1、55A1を貫通した状態で第2トーションコイルスプリング45がコイル部45Aを嵌挿して組み付けられる。第2接続ユニット23においては、第2支軸58が、その先端を軸孔47B1、55B1に貫通されてヒンジ支点壁47、55に対して抜け止めされる。
【0080】
第2接続ユニット23においては、この状態で第2トーションコイルスプリング45の一方弾性変位部45Bが第1基台部材43の右側領域に当接するとともに他方弾性変位部45Cが第2可動部材44の相対向する右側領域に当接して弾性力を蓄勢する。第2接続ユニット23においては、第2トーションコイルスプリング45の蓄勢された弾性力により、第2基台部材43に対して第2可動部材44が第2ヒンジ機構46を支点として反時計方向の回動習性を付与される。
【0081】
第2接続ユニット23においては、上述したようにチューブ保持壁部50を介して差し込まれた第2チューブ20Bが、第2チューブ挟持受け半体部49の挟持半体凸部49A上を横切り、各チューブ保持孔51に掛け合わされて第2接続筒部48のチューブ接続筒部54にはめ込まれることにより接続される。第2接続ユニット23においては、第2可動部材44が第2トーションコイルスプリング45の弾性力により上述した回動習性を付与されることにより、図12に示すように第2基台部材43の第2チューブ挟持受け半体部49の挟持半体凸部49Aと第2可動部材44の第2チューブ挟持突当て半体部57の挟持半体凸部57Aとの間で第2チューブ20Bを挟み込む。第2接続ユニット23においては、これにより第2チューブ20Bが閉塞状態に保持される。
【0082】
第2接続ユニット23においては、第1接続ユニット22から取り外した状態でも第2基台部材43と第2可動部材44とにより第2チューブ20Bを閉塞状態に保持することで、調整や保守等の操作を行う場合でもインク供給循環系16の負圧状態が保持されるようにし、インク吐出孔のメニスカスの破壊が防止されてインクの垂れ落ちを防止する。第2接続ユニット23においては、第2チューブ20B内における気泡の発生も防止することにより、再組立後の気泡の除去操作の合理化を図ることを可能とする。
【0083】
接続装置21においては、図13に示すように第1チューブ20Aを接続した第1接続ユニット22と第2チューブ20Bを接続した第2接続ユニット23が互いに対向配置される。接続装置21においては、同図(B)に示すように第1接続ユニット22により第1チューブ20Aがその先端部位を閉塞状態に保持されており、第2接続ユニット23により第2チューブ20Bもその先端部位を閉塞状態に保持されている。したがって、接続装置21においては、第1チューブ20Aと第2チューブ20Bとが取り外し状態であっても、インク供給循環系16の負圧状態が保持され、気泡の発生も防止する。
【0084】
接続装置21においては、図14に示すように第1接続ユニット22が第1基台部材26に対して第1可動部材27の回動操作を行いながら、第2接続ユニット23に対する結合動作が行われるようにする。接続装置21においては、第1接続ユニット22が、第1トーションコイルスプリング28の弾性力に抗して操作部31、39をすぼめることにより第1基台部材26に対して第1可動部材27が第1ヒンジ機構29を介してやや回動した状態とする。接続装置21においては、第1接続ユニット22が、第1基台部材26の突当て凸縁部33と第1可動部材27の係合凸縁部40とがやや開いた状態となる。接続装置21においては、第1接続ユニット22がこの状態でも第1チューブ挟持受け半体部35と第1チューブ挟持突当て半体部41とによる第1チューブ20Aの閉塞状態が保持される。
【0085】
接続装置21においては、図14に示すように第1接続ユニット22が係合凸縁部40の受け凹部32Aに第2接続筒部48を嵌挿させるようにして第1接続ユニット23側へと押し込まれる。接続装置21においては、受け凹部32Aに沿って第2接続筒部48がスライドし、この第2接続筒部48の先端部に形成された第2インク流路52の嵌合孔部52Aに第1接続筒部33の先端部に形成した嵌合部33Aが嵌合する。なお、接続装置21においては、第1接続ユニット22が第2接続ユニット23に対して、突当て凸縁部33を第2基台部材43の先端部に突き当たるまで押し込まれる。
【0086】
接続装置21においては、第1接続ユニット22が、第1トーションコイルスプリング28の弾性力に抗して操作部31、39をさらにすぼめることにより図14に示すように第1基台部材26に対して第1可動部材27が第1ヒンジ機構29を介して大きな角度で回動した状態となる。接続装置21においては、第1接続ユニット22側の第1可動部材27に形成した係合凸縁部40が、第2接続ユニット23側の第2可動部材44に形成した係合部56の上方に位置させる。
【0087】
接続装置21においては、この状態で第1接続ユニット22が操作部31、39を開放することにより、第1基台部材26に対して第1可動部材27が第1トーションコイルスプリング28の弾性力により復帰動作する。接続装置21においては、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23が、復帰回動した第1可動部材27の先端部に形成した係合凸縁部40が第2可動部材44に形成した係合部56と相対係合することにより、図3及び図4に示すように結合状態を保持される。
【0088】
接続装置21においては、この状態で第2接続ユニット23側の第2可動部材44が、その係合部56を第1接続ユニット22側の第1可動部材27の係合凸縁部40により押圧される。接続装置21においては、上述したように第1接続ユニット22側の第1トーションコイルスプリング28が、第2接続ユニット23側の第2トーションコイルスプリング45に対して大きな弾性力特性を有するものが用いられている。接続装置21においては、図3及び図4に示すように第2接続ユニット23が、第2基台部材43に対して第2可動部材44が第1接続ユニット22側の第1トーションコイルスプリング28の弾性力を作用されて第2トーションコイルスプリング45の弾性力に抗して第2ヒンジ機構46を支点として時計方向に回動される。
【0089】
接続装置21においては、この第2可動部材44の回動動作により、図4に示すように第2基台部材43の第2チューブ挟持受け半体部49の挟持半体凸部49Aと第2可動部材44の第2チューブ挟持突当て半体部57の挟持半体凸部57Aとによる第2チューブ20Bの挟み込み状態が解除され、第2チューブ20Bを開放状態とする。接続装置21においては、同図に示すように回動動作した第2可動部材44が、第2接続筒部48の外周部に突き当たって係止されることで、第1接続ユニット22側の第1可動部材27が第1基台部材26に対して初期位置まで復帰されない状態に保持される。
【0090】
接続装置21においては、図4に示すように第1基台部材26に対して第1可動部材27が時計方向にやや回動された状態を保持されることにより、第1基台部材26の第1チューブ挟持受け半体部35の挟持半体凸部35Aと第1可動部材27の第1チューブ挟持突当て半体部41の挟持半体凸部41Aとによる第1チューブ20Aの挟み込み状態が解除され、第1チューブ20Aを開放状態とする。したがって、接続装置21においては、第1チューブ20Aと第2チューブ20Bとが、嵌合された第1接続筒部33と第2接続筒部48を介して連通してインク供給循環系16を構成する。
【0091】
接続装置21においては、上述した結合操作と逆の操作を行うことにより、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23の取り外しが行われる。接続装置21においては、第1接続ユニット22側において第1基台部材26の操作部31と第1可動部材27の操作部39をすぼめた状態で、第1接続ユニット22を第2接続ユニット23から強く引き抜くことにより取り外しが行われる。接続装置21においては、この際に第1接続ユニット22と第2接続ユニット23、第1チューブ20Aと第2チューブ20Bの閉塞状態が保持される。
【0092】
接続装置21においては、上述したように第1接続ユニット22と第2接続ユニット23がいわゆる洗濯バサミ構造によりワンタッチ操作で結合されるとともに、簡易。接続装置21においては、第1接続ユニット22側の第1接続筒部33と第2接続ユニット23側の第2接続筒部48が精密な位置決め治具等を不要として正確に嵌合される。接続装置21においては、上述した簡易な操作により第1接続ユニット22と第2接続ユニット23の着脱操作が行われることで、組立や調整保守作業の大幅な効率化が図られる。接続装置21においては、第1接続ユニット22と第2接続ユニット23の着脱操作に際して、第1チューブ20Aや第2チューブ20Bへの空気の流入を防止することでインク供給循環系16内での気泡発生を抑制する。接続装置21においては、インク供給循環系16内からの気泡除去処理の合理化が図られる。
【0093】
なお、上述した接続装置21においては、第1接続ユニット22の第1基台部材26や第2接続ユニット23の第2基台部材43に第チューブ20Aや第2チューブ20Bの保持構造を形成したが、かかる構造に限定されないことは勿論である。接続装置21においては、第1接続ユニット22や第2接続ユニット23にそれぞれ第1トーションコイルスプリング28や第2トーションコイルスプリング45を用いたが、他の弾性手段を用いるようにしてもよいことは勿論である。
【0094】
図15乃至図19に第2の実施の形態として示した接続装置70は、4色のインクをそれぞれ供給循環するチューブ20Y、20M、20C、20Kを一括して連通させる。接続装置70も、インク供給循環系16内において構成部材間に設置され、第1接続ユニット71と第2接続ユニット72を結合して構成する。
【0095】
接続装置70には、第1接続ユニット71に4本の第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kが接続されるとともに、第2接続ユニット72にも4本の第2チューブ20B−Y、20B−M、20B−C、20B−Kが接続される。接続装置70は、第1接続ユニット71や第2接続ユニット72が、4本の第1チューブ20Aと第2チューブ20Bを一括して接続することにより内部にそれぞれのインク流路を構成する構造に特徴を有している。接続装置70は、第1接続ユニット71と第2接続ユニット72が上述した接続装置21の第1接続ユニット22と第2接続ユニット23と基本的な構成を同様とすることから、対応する部位に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0096】
第1接続ユニット71も、図16及び図17に示すように第1基台部材73と、第1可動部材74と、第1付勢手段を構成する第1トーションコイルスプリング28とが組み合わされ、第1基台部材73と、第1可動部材74が第1ヒンジ機構29を介して揺動自在に組み合わされる。第1接続ユニット71には、第1基台部材73に第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kが接続され第1接続筒部33Y、33M、33C、33Kが形成される。第1基台部材73には、第1可動部材74側の第1チューブ挟持突当て半体部41と共同して第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kを一括して閉塞する第1チューブ閉塞手段を構成する第1チューブ挟持受け半体部35が形成されている。第1基台部材73には、突当て凸縁部32に第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kにそれぞれ対応して、受け凹部32A−Y、32A−M、32A−C、32A−Kが形成されている。
【0097】
第1接続ユニット71は、第1基台部材73と第1可動部材74が、上述した構成とともに、4本の第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kを横に並べて接続するに足る大きさを以って形成され構造において上述した接続装置21の第1接続ユニット22と異にする。なお、第1接続ユニット71は、横幅が大きくなることから、第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kを安定した状態で一括して閉塞するように、第1ヒンジ機構29の両側に一対の第1トーションコイルスプリング28を組み付けるようにしてもよい。
【0098】
第2接続ユニット72も、図18に示すように第2基台部材75と、第2可動部材76と、第2付勢手段を構成する第2トーションコイルスプリング45とが組み合わされ、第2基台部材75と、第1可動部材76が第2ヒンジ機構46を介して揺動自在に組み合わされる。第2基台部材75には、第2チューブ20B−Y、20B−M、20B−C、20B−Kが接続される第2接続筒部48Y、48M、48C、48Kが形成される。第2基台部材75には、第2可動部材76側の第1チューブ挟持突当て半体部57と共同して第2チューブ20B−Y、20B−M、20B−C、20B−Kを一括して閉塞する第2チューブ閉塞手段を構成する第2チューブ挟持受け半体部49が形成されている。
【0099】
接続装置70は、例えば第2接続ユニット72側の第2基台部材75に取付部を一体に形成し、この取付部を介してヘッドフレーム体8に形成した取付部に固定するように構成してもよい。接続装置70は、第1接続ユニット71と第2接続ユニット72の相対する結合部位にさらにガイド構造を形成して幅方向に並んで形成された各第1接続筒部33と各第2接続筒部48とが円滑に嵌合されるように構成してもよい。接続装置70は、例えば各第1接続筒部33と相対する各第2接続筒部48の嵌合位置をずらして形成するようにしてもよい。
【0100】
接続装置70においては、第1接続ユニット71により第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kがそれぞれの先端部位を閉塞状態に保持されており、第2接続ユニット72においても第1チューブ20B−Y、20B−M、20B−C、20B−Kがそれぞれの先端部位を閉塞状態に保持される。接続装置70においても、組立時或いは調整、保守等の作業時に第1接続ユニット71と第2接続ユニット72が着脱されるが、各チューブ20Y、20M、20C、20Kが一括して閉鎖状態とされることにより、作業性を大幅に向上させるとともにスペースの効率化も図り、インク供給循環系16の負圧状態が保持され、気泡の発生も防止する。
【0101】
接続装置70においては、以上のように構成された第1接続ユニット71と第2接続ユニット72を結合することにより、第1チューブ20A−Y、20A−M、20A−C、20A−Kとそれぞれ相対する第2チューブ20B−Y、20B−M、20B−C、20B−Kが一括してそれぞれ独立に連通させて各色インク供給循環系16を構成する。
【0102】
なお、接続装置70は、4本のチューブ20を一括して接続、取り外しを行うようにしたが、さらに多数色のインクを用いるプリンタ装置であれば当該本数のチューブを接続するようにしてもよい。また、接続装置は、適宜の本数のチューブを接続するものを組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0103】
上述したプリンタ装置1については、インクカートリッジ15とヘッドモジュール17との間で循環ポンプ19を備えたインク供給循環系16を構成してインクに混入した気泡を除去するようにしたが、かかる構成に限定されないことは勿論である。プリンタ装置1としては、例えば所定のタイミングでインク吐出ノズルからインク吐出を行って気泡を除去するプリンタ装置或いは他の構造を備えたプリンタ装置であってもよい。また、プリンタ装置1は、パーソナルコンピュータ等と接続されて文書や画像等を用紙5に印刷するものとして説明したが、例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体をインクとして吐出する各種液体吐出装置としても適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態として示すプリンタ装置の要部斜視図である。
【図2】プリンタ装置に備えるインク供給循環系の構成図である。
【図3】インク供給循環系に設けられて配管チューブを接続する配管チューブ接続装置の斜視図である。
【図4】配管チューブ接続装置の断面図である。
【図5】配管チューブ接続装置を構成する第1接続ユニットの斜視図である。
【図6】第1接続ユニットの分解斜視図である。
【図7】第1接続ユニットの断面図である。
【図8】第1接続ユニットにおける第1配管チューブ閉塞機構による第1配管チューブの閉塞動作の説明図である。
【図9】配管チューブ接続装置を構成する第2接続ユニットの斜視図である。
【図10】第2接続ユニットの分解斜視図である。
【図11】第2接続ユニットの断面図である。
【図12】第2接続ユニットにおける第2配管チューブ閉塞機構による第2配管チューブの閉塞動作の説明図である。
【図13】第1接続ユニットと第2接続ユニットの結合操作を説明する図であり、同図(A)は結合前の斜視図、同図(B)は同断面図である。
【図14】第1接続ユニットと第2接続ユニットの結合操作を説明する図であり、同図(A)は結合操作途中の斜視図、同図(B)は同断面図である。
【図15】第2の実施の形態として示す配管チューブ接続装置の斜視図である。
【図16】配管チューブ接続装置を構成する第1接続ユニットの斜視図である。
【図17】第1接続ユニットの分解斜視図である。
【図18】配管チューブ接続装置を構成する第2接続ユニットの斜視図である。
【図19】第2接続ユニットの分解斜視図である。
【図20】従来のプリンタ装置に備えるインク供給循環系の構成図である。
【符号の説明】
【0105】
1 プリンタ装置、2 プリンタ本体、3 ヘッドユニット、5 ロール紙(用紙)、6 印刷部、8 ヘッドフレーム体、15 インクカートリッジ、16 インク供給循環系、17 ヘッドモジュール、20 チューブ、21 接続装置、22 第1接続ユニット、23 第2接続ユニット、26 第1基台部材、27 第1可動部材、28 第1トーションコイルスプリング、29 第1ヒンジ機構、30 支点壁、31 操作部、32 突当て凸縁部、33 第1接続筒部、34 第1チューブガイド孔、35 第1チューブ挟持受け半体部、37 第1インク流路、38 支点壁、39 操作部、40 係合凸縁部、41 第1チューブ挟持突当て半体部、42 第1支軸、43 第2基台部材、44 第2可動部材、45 第2トーションコイルスプリング、46 第2ヒンジ機構、47 支点壁、48 第2接続筒部、49 第2チューブ挟持受け半体部、50 チューブ保持壁部、51 チューブ保持孔、52 第2インク流路、53 シーリングブッシュ、54 チューブ接続筒部、55 支点壁、56 係合部、57 第2チューブ挟持突当て半体部、58 第2支軸、70 接続装置、71 第1接続ユニット、72 第2接続ユニット、73 第1基台部材、74 第1可動部材、75 第2基台部材、76 第2可動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可撓チューブを接続する第1接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第1ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第1付勢手段により共同して上記第1可撓チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第1チューブ閉塞手段が設けられた第1基台部材及び第1可動部材とから構成される第1接続ユニットと、
第2可撓チューブを接続するとともに上記第1接続ユニットの上記第1接続筒部と嵌合される第2接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第2ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第2付勢手段により共同して上記第2可撓チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第2チューブ閉塞手段が設けられた第2基台部材及び第2可動部材とから構成される第2接続ユニットとを備え、
上記第1可撓チューブを上記第1チューブ閉塞手段により閉塞状態に保持して接続した上記第1接続ユニットと上記第2可撓チューブを上記第2チューブ閉塞手段により閉塞状態に保持して接続した上記第2接続ユニットが、上記第1接続筒部と上記第2接続筒部を嵌合して組み合わせた状態で、上記第1基台部材と上記第2基台部材の相対する先端部位を係合することにより上記第1可撓チューブと上記第2可撓チューブの閉塞状態を解除して連通させることを特徴とする可撓チューブの接続装置。
【請求項2】
上記第1接続ユニットと上記第2接続ユニットが、それぞれ複数の上記第1接続筒部と上記第2接続筒部を有し、複数本の相対する上記第1可撓チューブと上記第2可撓チューブを接続する接続ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の可撓チューブの接続装置。
【請求項3】
配管チューブ接続装置により相対する可撓性を有する配管チューブを接続してインク供給路を構成し、このインク供給路によりインクカートリッジからプリントヘッドにインク供給を行うプリンタ装置において、
上記配管チューブ接続装置が、
第1配管チューブを接続する第1接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第1ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第1付勢手段により共同して上記第1配管チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第1チューブ閉塞手段が設けられた第1基台部材及び第1可動部材とから構成される第1接続ユニットと、
第2配管チューブを接続するとともに上記第1接続ユニットの上記第1接続筒部と嵌合される第2接続筒部が一方の部材の先端側に設けられ、相対する略中央部において第2ヒンジ機構を介して揺動自在に組み合わされるとともに第2付勢手段により共同して上記第2配管チューブを挟持して閉塞する閉塞習性を付与される第2チューブ閉塞手段が設けられた第2基台部材及び第2可動部材とから構成される第2接続ユニットとを組み合わせて構成し、
上記第1接続ユニットと上記第2接続ユニットが、上記第1接続筒部と上記第2接続筒部を嵌合して組み合わせた状態で、上記第1基台部材と上記第2基台部材の相対する先端部位を係合することにより上記第1チューブ閉塞手段による上記第1配管チューブの閉塞状態と上記第2チューブ閉塞手段による上記第2配管チューブの閉塞状態を解除して上記第1配管チューブと上記第2配管チューブを連通してインク供給路を構成することを特徴とするプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−254185(P2008−254185A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95315(P2007−95315)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】