説明

可撓性ホースを含む家庭用真空掃除機

【課題】ホース及びワンドアセンブリの一部として設けることが可能な可撓性吸引又は吹出ホースを組み込む表面掃除機、特に家庭用掃除機、及び本発明のより狭い態様では特に家庭用真空掃除機を提供する。
【解決手段】可撓性ホースを含み、長いホースが少なくとも部分的にリプストップ織物の層によって形成されたホース壁を有する家庭用真空掃除機。一実施形態では、ホース壁は、リプストップ織物の層を含む織物の1つ又はそれよりも多くの層によって全体的に形成され、ホースの層の少なくとも1つは、ホースの通常使用中にホース壁を通る流体の放出を阻止するために密封される。ホースは、家庭用真空掃除機に一般的に用いる従来の波形プラスチックホースの代替物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ホース及びワンドアセンブリの一部として設けることが可能な可撓性吸引又は吹出ホースを組み込む表面掃除機、特に、家庭用掃除機、及び本発明のより狭い態様では、特に家庭用真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用真空掃除機、すなわち、家庭用途を意図するこれらの真空掃除機は、一般的には、「円筒形」掃除機及び「直立」掃除機の2つのカテゴリに分類される。
図1に示すような典型的な円筒形掃除機では、掃除機aの本体bは、ホース及びワンドアセンブリを通じて床ツールcに流体的に接続される。ホース及びワンドアセンブリは、本体b上の吸引入口に一端で接続した比較的伸張不能な可撓性ホースdと、可撓性ホースdの反対端を床ツールcに接続する堅い中空の伸縮性ワンドeとから成る。掃除機aの通常作動中に、ユーザは、ワンドeを手で把持して床を横切って床ツールcを操作し、本体bを伸張不能な可撓性ホースdで後方に引きずる。
【0003】
図2aに示す典型的な直立掃除機fでは、掃除機ヘッドgは、真空掃除機の本体hに恒久的に取り付けられ、ユーザは、ハンドルiを用いて床を横切って掃除機ヘッドg及び本体hを一緒に操作する。従来的に、円筒形掃除機だけに吸引ホースが設けられ、直立掃除機は、専ら掃除機の本体に恒久的に取り付けられた掃除機ヘッドに依存していた。より最近になって、製造業者は、直立掃除機を任意的に円筒形掃除機の方式で作動させることができるように、掃除機ヘッドに加えてホース及びワンドアセンブリを備えた直立真空掃除機を提供し始めた。図2bは、伸縮性のワンドjがハンドルiと一体化されてキャッチを作動させることによって本体hから解除することができる一般的に直立真空掃除機の「ダイソン」部類からのモデルに対して用いる特に小型の形態のホース及びワンドアセンブリを示している。いわゆる「ストレッチ」ホースkは、ワンドjを本体h上の吸引入口(図示せず)に取り付け、ストレッチホースkは、後退位置で本体hに搭載されて格納され、次に、ワンドjの有効到達範囲を増大させるためにワンドjの解除後(ハンドルiによる)に必要に応じて手動で伸張させるか又は「ストレッチ」することができる。適切な床ツールlは、必要に応じてワンドj上の吸引入口に取り付けることができる。
【0004】
円筒形掃除機の初期モデルのためのホースは、多くの場合にゴムを用いて構成され、その例は、英国特許第836407号に説明されている。これらのゴム又はゴムベースホースは、しかし、ホースに必要な可撓性を提供するように一連の波形を有する成形熱可塑性ホース壁を典型的に含むプラスチック吸引ホースに比較的急速に取って代わられた。プラスチックの使用は、対応するゴム又はゴムベースホースに比較してホースの重量を有意に低減し、成形プラスチック吸引ホースは、円筒形掃除機に対する比較的伸張不能なホースの形態又は最新の直立掃除機に対するストレッチホースとしての形態に関わらず、家庭用真空掃除機のための確立された業界水準になっている。
成形プラスチックホースはまた、業界の(非家庭用)表面掃除機の吸引又は吹出パイプとして一般的に用いられ、生産するのに比較的軽量及び低価格であるホースを提供することが同じく望ましい他の分野で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第836407号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、家庭用真空掃除機に対して用いる従来の成形プラスチックホースの有利な代替物を提供する掃除機のためのホース及びワンドアセンブリの一部として組み込むことが可能な改良された可撓性ホースを有する家庭用掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、少なくとも部分的にリプストップ織物の層によって形成されたホース壁を長いホースが有する可撓性ホースを有する家庭用掃除機、より狭い態様では家庭用真空掃除機が提供される。
リプストップ織物は、強化糸のパターン、典型的には平行模様パターンを織り込んで、その結果、織物のほころび及びほつれの形成並びに広がりに高い抵抗性を示す織物である。リプストップ織物は、リプストップポリアミド(ナイロン)又はリプストップポリエステルとすることができるが、本発明は、いずれの特定の織物にも限定されない。リプストップ織物の強化糸は、必ずしもバルク織物と同じ材料にする必要はない。
リプストップ織物の層は、ホース壁において比較的ほころび及び穿刺抵抗性の層を構成する。リプストップ織物自体の層は、比較的薄く、家庭用真空掃除機のためのホースの場合は0.1mm未満とすることができ、従って、どのような有意な重量もホースに加えない。リプストップ織物はまた、高度に可撓性である。
【0008】
円筒形又は直立真空掃除機のような特に家庭用真空掃除機に対する可撓性ホースの使用は、成形プラスチックホース壁を有するホースを利用する長年にかけて確立された水準を有利に破るものである。従来の成形プラスチックホースでは、ホース壁の穿刺は、ホースが用いられ続ける場合に比較的急速に広がり、最後に、ホースの両端部にわたる圧力差の重大な減少(吸引力の減少としてユーザが気付く)を生じる場合がある。本発明によるホースでは、しかし、ほころび及びほつれの広がりに対するリプストップ織物の抵抗は、ホースが穿刺される場合、穿刺は広がらないか又は少なくとも急速には広がらない傾向にあり、ほころびは、リプストップ織物の強化糸のパターンによって実質的に閉じ込められる。その結果、リプストップ織物の層に対する穿刺の後に、ユーザが、それにも関わらず、少なくともホースを恒久的に修理するか又は置換することができるまで、それ以上の吸引力の感知可能な損失なくホースを用い続けることを可能にすることができる。リプストップ織物の穿刺の閉じ込めはまた、例えば、接着パッチを用いて穿刺の有効な表面的な一時的修理を可能にすることができる。
ホースは、ホース及びワンドアセンブリの一部として掃除機上に設けることができる。
【0009】
リプストップ織物の層は、それがホース壁を通した流体の放出を阻止する不透過層を形成するように密封することができる。リプストップ織物層のそのような密封は、シーラントによるリプストップ織物の層の被覆又は含浸によるか、又は特にリプストップ織物がプラスチックから織られる場合、必要に応じてリプストップ織物の層の樹脂加工による場合がある。樹脂加工工程中に、織物のリプストップ構造を保持するのに注意を要する。
リプストップ織物の層が密封される場合、リプストップ織物の層は、次に、それがホース壁の穿刺の形成及び広がりの両方を低減するが、ホース流体に対して不透過障壁としても作用するという点で有利に二重機能を提供する。その結果、成形熱可塑性物質の別の層のようなホース壁の一部として別の不透過層を設ける必要はない。
【0010】
ホース壁は、1つ又はそれよりも多くのフレーム要素に支持され、ホースに対する粉砕強度及び剛性の増大をもたらすことができる。これは、ホースを通る開放流路を維持するのに役立つ。増大した剛性は、円筒形掃除機では、ホースが、床を横切って掃除機の本体を案内するか又は「誘導する」ために十分に剛性であることも好ましいので、家庭用円筒形掃除機のためのホースにおいては特に望ましいとすることができる。フレーム要素は、様々な形態を取ることができ、例えば、これらは、螺旋状金属ワイヤとすることができる螺旋状支持部材上の連続コイルの形態に、又は長さ方向の可撓性リブ又は別々のフレームリングの形態にすることができる。
【0011】
ホース壁は、織物ホース壁とすることができ、すなわち、リプストップ織物の上述の層を含む織物の1つ又はそれよりも多くの層から成り、その場合、織物の層の少なくとも1つは、それがホースの通常使用中にホース壁を通る流体の放出を阻止するための不透過層を形成するように密封される。ここでもまた、織物の密封は、シーラントによる含浸又は被覆によるか又は必要に応じて適切な樹脂加工工程によるかすることができる。
【0012】
織物ホース壁を有するホースは、従来の成形プラスチックホースの軽量な代替物を提供することになるように意図されている。ホースの単位長さ当たりの重量は、織物壁の厚みに(及びある程度密封の方法に)よって決まることになるが、家庭用表面掃除機に用いるホースのための十分な穿刺抵抗は、従来の成形プラスチックホースと比べて単位長さ当たりの重量の減少を達成することができるように想定されている。
【0013】
フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、フレーム要素が、ホース壁の外側に露出されないように、ホース壁の織物の2つの別々の層、又は代替的に織物の2つのプライ(これらは、織物の単層を2つに折ることによって形成することができる)のいずれかの半径方向中間に挟むことができる。
ホースの使用中に、織物の摩擦磨耗が、主にフレーム要素と織物の間の接触界面に沿って起こる場合があり、これは、最後にホース壁の裂け目(及び表面掃除機のための吸引ホースの場合には、結果として吸引力の損失)をもたらす場合がある。織物の2つのサンドイッチ層又はプライを設けることにより、ホース壁の有効厚みを増加させることによってこの摩擦磨耗の影響を低減する。同時に、フレーム要素の内側の内部サンドイッチ層(又はプライ)を設けることは、この内部サンドイッチ層が、典型的にはフレーム要素の外側の周囲に起こる比較的高いレベルの摩擦磨耗に露出されないという利点を有する。
【0014】
織物の層又はパイルは、それぞれのフレーム要素の軸線方向両側に互いに結合され、織物の層又はパイル間にフレーム要素を封入し、従って、都合よくこれらの所定の位置にフレーム要素を保持することができる。ホース壁を構成する織物が、追加的に又は代替的に配置され、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲に多重プライ又は多重層の重なり部を形成することができる。
比較的柔軟な又は低摩擦の材料(すなわち、フレーム要素を構成する材料に対して柔軟又は低摩擦)でフレーム要素を被覆することは、ホースの磨耗抵抗に対して有意な影響を有することも見出されている。例えば、フレーム要素が鋼である場合、ホースの磨耗抵抗は、プラスチック、例えば、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でフレーム要素を被覆することによって有意に改良することができる。
【0015】
ホース壁は、巻き布テープを含むことができる。特定的な実施形態では、ホース壁は、巻き布テープを含み、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、巻き布テープの2つの軸線方向重なり通路(パス)の半径方向中間に挟まれる。織物のそれぞれの重なり通路は、フレーム要素を封入するように、対応するフレーム要素の軸線方向両側に互いに結合することができる。追加的に又は代替的に、巻き布テープは、布テープが、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲にそれぞれの多重プライの重なり部を形成する場合に、2つ又はそれよりも多くの軸線方向重なり通路のように配置することができる。これらの巻線配置は、摩擦磨耗の影響を低減するのに特に有効であると考えられ、これは、特に典型的な家庭用真空掃除機の使用中に当て嵌まり、上述の方式でリプストップ布テープを巻くことは、従来の成形プラスチックホースに比べてホースの寿命を著しく増大することができることを予備試験が示している。上述の巻線配置はまた、ホースに対して比較的滑らかな内面を呈し、ホースを通るあらゆる境界層流の厚みを低減する傾向がある。
ホース壁は、フレーム要素に例えば接着剤を用いて結合することができる。フレーム要素が導電材料から形成される場合、接着剤は、フレーム要素を抵抗加熱することによって硬化することができる。
ここで、添付図面を参照して本発明の実施形態を一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】可撓性吸引ホースを組み込む従来の円筒形掃除機の概略斜視図である。
【図2a】可撓性吸引ホースを組み込む従来の直立掃除機の概略側部図である。
【図2b】可撓性吸引ホースを組み込む従来の直立掃除機の概略側部図である。
【図3】本発明による可撓性の伸張可能ホースの後退長さの概略斜視図である。
【図4a】A−A線に沿った図3に示すホースの断面図である。
【図4b】伸張構成のホースを示す4aに対応する断面図である。
【図5】ホース壁が多重層の織物構成を有する本発明によるホースの代替の形態を示す断面図である。
【図6】ホース壁が巻き布テープから成るホースの代替の形態を示す断面図である。
【図7】図6に示す織物ホース壁の一部による断面図である。
【図8】巻き布テープを利用して代替のホース壁構成を示すホースの長さを通る断面図である。
【図9】巻き布テープを利用して別の代替のホース壁構成を示すホースの長さを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に図3を参照すると、伸張可能な長さを有するホース1は、螺旋状支持部材3の外側に支持されたホース壁2を含む(図3の仮想線で示す)。
螺旋状支持部材3は、図4aに示す後退長さLrから図4bに示す伸張長さLeまで長さ方向に弾力的に伸張可能である(図3の軸Xに沿って)。
ホース壁2は、密封されてホース壁2を通る流体の放出を阻止するリプストップ織物、例えば、リプストップナイロン又はリプストップポリエステルの単層から成る。ホース壁2は、従って、図4bのホース1を通って流れ矢印Aによって示す移送中の流体を閉じ込めるための不透過障壁を表している。
【0018】
織物ホース壁2は、螺旋状支持部材3に固定されるが、十分な軸線方向弛みを含み、後退長さLrから伸張長さLeまでの実質的に非弾性の長さ方向延長に適合する。従って、その後退長さLrにおける螺旋状支持部材3により、織物ホース壁は、螺旋状支持部材3の連続コイル間に一連の波形を形成し、その波形は、図4bに示すように、伸張長さLeまでホース壁の長さ方向伸張中に利用される。織物ホース壁2は、ホース壁が、図4aに示すより「緩い」波形ではなくて螺旋状支持部材3の連続コイル間に一連のより密な所定のひだを形成する傾向があるように、所定の線に沿って折り畳むように配置することができる。
織物ホース壁2は、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はポリ塩化ビニル(PVC)のようなシーラントでリプストップ織物を含浸、スプレーコーティング、又はディップコーティングすることにより、又は一般的にあらゆる適切な樹脂加工工程を用いることによって密封することができる。
【0019】
リプストップ織物は、シート織物が、螺旋状支持部材3の外側に包み込まれて管状ホース壁2を形成することができる場合に、例えば、織り、編組み、又は編み込みによって生成されたシート織物とすることができる。織物は、緊密にくるまれて、螺旋状支持部材3上に圧縮嵌めを形成することができる(同時に、依然としてホース壁2の長さ方向延長に対して必要な軸線方向弛みを有する)。ホース壁2は、場合によって織物の包装前の予備コーティングとして、ホース壁2及び螺旋状支持部材3の一方又は両方に付加することができる例えば適切な溶剤ベース又はエポキシ接着剤のような熱硬化性接着剤を用いて螺旋状支持部材3に安全に結合することができる。螺旋状支持部材3が、金属ワイヤのコイルの形態である場合には、接着剤は、都合よく適切な電流を用いてワイヤを抵抗加熱することによって熱硬化させることができる。
【0020】
代替の配置では、リプストップ織物は、例えば、管状織り、管状編組、又は管状編み込みによって生成されたシームレスの管状織物として生成され、ホース壁2は、螺旋状支持部材3上に長さ方向にリプストップ織物管を圧延することによって形成される。プリフォームリプストップ織物管も、最初に織物を円筒形マンドレルに包み込んで、シームに沿ってシート織物を結合して管を形成することによってシート織物から生成することができる。更に、ホース壁2の相対直径は、螺旋状支持部材3上に僅かな圧縮嵌めを形成するように制御することができ、ホース壁は、熱硬化性接着剤を用いて螺旋状支持部材3に安全に結合することができる。
【0021】
図4a及び4bでは、螺旋状支持部材3の連続コイル3a、3b、3cが、ホース壁2を支持するための連続的な1組のフレーム要素を構成する。図5は、ある一定の長さのホース10が、ホース壁20の内側に別々に結合された個々のフレームリング30の形態で、非連続的な1組のフレーム要素に支持されたホース壁20を有する代替の配置を示している。
ホース壁20は、織物20b、20cの別々の内側層と外側層の間に挟まれたリプストップ織物20aの中間層から成る多重層の織物壁構成を有する。織物20b、20cの層は、リプストップ織物、又はホース壁に望ましい特性、例えば、耐化学性又は耐火性を与えるように想定されている何らかの他の織物とすることができる。織物層20a、20b、20cは、ホース10の長さがホース壁20の弾性によって決められたある程度まで伸張可能になる場合に、非弾性とすることができ、代替的に、層20a、20b、20cの少なくとも1つを、ホース10の長さが実質的に伸張不能になる場合に、非弾性とすることができる。ホース10はまた、例えば、図5に仮想線で示す剛性スパイン(背骨)部材31を用いてフレーム要素を剛接続することにより、必要に応じて実質的に非圧縮性になるように構成することができる。
【0022】
織物20a、20b、20cの層の各々は、シート織物又は管状織物のいずれかから形成することができる。例えば、織物層20aは、シームレスの管状織物として形成することができ、層20b及び20cは、内側管状織物層20aに連続的に包み込まれたシート織物から形成することができる。織物層20a、20b、20cは、場合によって何らかの種類のスイッチング回路を用いて、各フレームリング30を別々に抵抗加熱することによって硬化することができる熱硬化性接着剤を用いて互いに結合することができる。代替的に、織物20a、20b、20cの単層又は複数の層の密封が含浸による場合、含浸シーラントも、織物層20a、20b、20cを結合するのに有効に用いることができる。
【0023】
図6は、2つのリプストップ布テープ200及び201を用いて形成された多重層織物ホース壁を示す断面図である。
布テープ200及び201の各々は、包み込まれて螺旋状支持部材3の長さに沿ってそれぞれの織物層を形成する。布テープ200の場合には、これは、織物200a、200b、200cなどの一連の軸線方向重なり通路から成る螺旋状支持部材3の外側にそれぞれの織物層210を形成する。布テープ201の場合には、これは、織物201a、201b、201cなどの一連の重なり通路から成る螺旋状支持部材3の内側にそれぞれの織物層211を形成する。
【0024】
螺旋状支持部材3のコイル3a、3b、3cなどは、2つの織物層210、211の半径方向中間に挟まれる。例えば、コイル3aは、通路200a、201a間に挟まれ、コイル3bは、通路200b、201bの間に挟まれる等々である。更に、布テープ200の重なり通路は、コイル3a、3b、3cなどの外側に一連の二重プライ重なり部を形成する。例えば、重なり通路200a及び200bは、コイル3aの外側に二重プライ重なり部を形成し、重なり通路200b及び200cは、コイル3bのような外側に二重プライ重なり部を形成する。図6に示す配置では、布テープ201の重なり通路は、付加的にコイル3a、3b、3cの内側に対応する二重プライ重なり部を形成するが、螺旋状支持部材3の外側の二重プライ重なり部は、これらが、典型的には比較的高い摩擦磨耗を受けるホース壁の領域に関連付けられるので、家庭用掃除機に対する吸引ホースに特に有利であると考えられる。
【0025】
布テープ200、201は、場合によって布テープの予め巻かれた構成を強固にするように織物の重なり通路の結合の後にプリフォーム織物管と類似の方式でマンドレル上に予め巻かれ、次に、螺旋状支持部材3上に装着することができる。
重なり通路200a、201aは、布テープ200、201間にコイル3aを封入するために、図7の垂直点線によって示すようにコイル3aの軸線方向両側に互いに結合される。更に、通路200a、201aは、それぞれ通路200b、201bに結合される。
【0026】
図6は、布テープを用いる1つの可能な巻き配置を示すが、他の配置も可能である。従って、図8では、単一リプストップ布テープ203は、方向Xに沿って螺旋状支持部材3上に巻かれ、布テープ203の後方部分は、コイル3a、3b、3cの外側の回りに延び、布テープ203の前方部分は、コイル3a、3b、3cの内側の回りに延びる。この場合には、コイル3a、3b、3cの各々は、第2の布テープの必要なく単一布テープ203の重なり通路の半径方向中間に挟まれる。例えば、コイル3bは、重なり通路203aと203bの間に挟まれ、これらは、コイル3bを所定の位置に封入するようにコイル3bの軸線方向両側に互いに結合することができる。
【0027】
単一リプストップ布テープは、付加的に巻かれて、フレーム要素の外側に多重プライ重なり部を形成することができる。図9は、そのような「二重機能」巻線配置を示し、図9に示す配置は、図8に示す配置と類似しているが、比較的広いリプストップ布テープ204を付加的に利用して、コイル3a、3b、3cの外側に一連の二重プライ重なり部を形成する。この場合には、リプストップ布テープ204は、コイル3a、3b、3cの各々が布テープ204の第1及び第2の重なり通路の半径方向中間に挟まれるが、第2の重なり通路は、付加的に布テープ204の第3の通路と重なり合って、コイルの外側に二重プライ層重なり部を形成する。例えば、コイル3aは、連続重なり通路204aと204bの間に挟まれるが、通路204bは、付加的に連続重なり通路204cと二重プライ重なり部を形成する。重なり通路204a及び204bは、コイル3aの軸線方向両側に互いに結合して、コイルを所定の位置に封入することができる。更に、重なり通路204b及び204cは、それぞれの二重プライ重なり部の領域において互いに結合することができる。
【0028】
説明した実施形態では、フレーム要素は、ホース壁の内側に位置決めされるか又はその内部に封入されるが、本発明は、そのような配置に限定されるものではなく、フレーム要素は、代替的にホース壁の外側に設けることができる。
本発明は、家庭用掃除機、好ましくは、家庭用真空掃除機に関し、その場合、ホースは、掃除機に対するホース及びワンドアセンブリの一部として組み込むことができ、かついずれの場合も、従来の取り付け具を用いて掃除機の本体に装着することができる。掃除機の本体は、特に、図1の本体bのような家庭用円筒形掃除機上の従来の円筒形本体とすることができ、又は図2a及び2bの本体hのような家庭用直立掃除機上の従来の直立体とすることができる。
【0029】
説明した実施形態では、ホースは、織物ホース壁、すなわち、織物の1つ又はそれよりも多くの層から全体的に構成されたホース壁を組み込むが、最も広い意味では、本発明は、ストレッチホースが織物ホース壁を有する配置に限定されない。ホース壁は、例えば、押し出し又は射出成形プラスチック保護シース又はライニングを付加的に組み込むことができる。それにも関わらず、広がり及びほころびの形成に比較的高い抵抗性を有するリプストップ織物の層の使用は、従来の成形壁プラスチックホースと比べてホースの耐用寿命を改良することができると考えられる。
【符号の説明】
【0030】
1 ホース
2 ホース壁
3 螺旋状支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ホースを組み込み、
前記長いホースが、少なくとも部分的にリプストップ織物の層によって形成されたホース壁を有する、
ことを特徴とする家庭用真空掃除機。
【請求項2】
前記リプストップ織物の層は、家庭用真空掃除機の通常使用中に前記ホース壁を通る流体の放出を阻止するための不透過障壁を形成するために密封されることを特徴とする請求項1に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項3】
前記ホース壁は、前記リプストップ織物の層を含む織物の1つ又はそれよりも多くの層によって全体的に形成され、該織物の層の少なくとも1つは、家庭用真空掃除機の通常使用中に該ホース壁を通る流体の放出を阻止するために密封されることを特徴とする請求項1に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項4】
前記密封は、前記織物の層の樹脂加工によるか、又はシーラントを用いる該織物の層の被覆又は含浸によるものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項5】
前記ホース壁は、1つ又はそれよりも多くのフレーム要素によって支持されることを特徴とする請求項3に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項6】
前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、前記ホース壁を構成する織物の層又はパイルの半径方向中間に挟まれることを特徴とする請求項5に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項7】
前記織物の層又はパイルは、それぞれの前記フレーム要素の軸線方向両側に互いに結合されて、該織物の層又はパイル間に該フレーム要素を封入することを特徴とする請求項6に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項8】
前記ホース壁を構成する前記織物は、前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲に多重プライ又は多重層の重なり部を形成するように配置されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項9】
前記ホース壁は、巻き布テープから成る層を含むことを特徴とする請求項5に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項10】
前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、前記巻き布テープの2つの軸線方向重なり通路の半径方向中間に挟まれることを特徴とする請求項9に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項11】
前記巻き布テープの2つ又はそれよりも多くの軸線方向重なり通路が、前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲にそれぞれの多重プライ重なり部を形成することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項12】
前記ホース壁は、前記フレーム要素に結合されることを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の家庭用真空掃除機。
【請求項13】
前記フレーム要素は、螺旋支持部材上の連続コイルであることを特徴とする請求項5から請求項12のいずれか1項に記載の家庭用真空掃除機。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−25039(P2011−25039A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166315(P2010−166315)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】