説明

可撓性検出部材を備えたドアアッセンブリおよびこれに関連した方法

ドアアッセンブリ20は、可撓性部材26を用いた検出機構を備える。異物が可撓性部材26に接触すると、可撓性部材の少なくとも一部の変形が生じ、センサによってコントローラ60へ指標が送られる。コントローラ60は、ドアパネル24の自動動作を制御している。種々のドアの構成およびセンサの配置が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動ドアと他の表面との間の境界における異物を検出するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の状況で用いられる種々の自動化したドアの構成がある。いくつかの例では、自動ドアが開位置と閉位置との間でドアパネルと平行な方向にスライドする。この形式の構成は、エレベータカーへの出入りを提供するために一般に用いられている。
【0003】
閉位置においてドア端部が他の構造部材に接近する位置へと向かって自動ドアが動くときに、ドアと他の構造部材との間に異物が引き込まれる可能性がある。このような状況を回避するために、種々の構成が提案されている。
【0004】
ドア開動作時にスライドドアの戸袋に異物が引き込まれた場合に、異物の噛み込みを防止するように、スライドドアを減速もしくは停止させる種々の形式のドア安全デバイスが提案されている。例えば、日本の特開平9−77440号公報は、揺動自在なパネル部材を用いて、ドア出入り口フレームのスライドドア戸袋側にある縦枠とスライドドアの外側表面との間の隙間を狭めることを開示している。同時に、上記パネル部材の揺動を検出するマイクロスイッチを備えている。ドア開動作時に、もし異物がスライドドア戸袋に引き込まれると、パネル部材が異物により押圧され、揺動する。この動きがマイクロスイッチによって検出され、異物をさらに噛み込まないように、ドア開動作が停止され得る。
【0005】
日本の特開2004−189431号公報は、スライドドア上の異物と接触するように垂直方向に配置された可撓性の圧電センサを開示している。異物がスライドドアと接触したときに、圧電センサは変形し、出力信号を発する。このような構成に関連する一つの欠点は、異物を検出する領域の全体に亘って圧電センサを配置する必要があることである。これは、経済的ではない。
【0006】
上記の揺動パネルに関連する欠点は、異物がパネル部材をドア開方向へ押圧したときに、異物と揺動パネルとの間で摩擦が増大することである。異物にかかる荷重が増え、好ましくない。
【0007】
エレベータドア用の他の形式のデバイスとしては、投光器からの照射光をドアスロットの入口付近に垂直に通過させるものがある。この光電スイッチの照射光が遮断されると、ドアの入口付近に異物が存在することが検出される。従って、異物がドアスロットに捕捉されることを防止すべく、ドア開動作を停止させる制御が実行され得る。
【0008】
日本の特開2002−265175号公報には、ドアフレームの縦枠の下部と上枠とに、互いに対向するように配置した投光器と受光器とが開示されている。これにより、ドアスロットの入口に近づく異物が検出される。日本の特開昭63−66084号公報では、ドアに対向する縦枠のドア閉方向側端部の表面に、垂直方向に沿った凹部が設けられている。ドアスロットに侵入する異物を検出するように、光電スイッチの投光器と受光器とが上記凹部の上端部および下端部に配置されている。日本の特開平11−310375号公報には、ドアスロットに侵入する異物を検出するために、ドアスロットの上側と下側とに投光器および受光器を配置することが開示されている。
【特許文献1】特開平9−77440号公報
【特許文献2】特開2004−189431号公報
【特許文献3】特開昭63−66084号公報
【特許文献4】特開平11−310375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような全ての構成においては、ドア開口部の乗客が存在する空間を通して、光電スイッチの照射光が通る。従って、投光器以外の光源からの光や太陽光などの外乱によって誤作動を生じることがある。さらに、塵埃が作動効率を阻害することがある。特に光電スイッチの照射光として可視光がが用いられる場合には、照射光が乗客の目に入り、好ましくない。
【0010】
またいくつかの構成では、異物が実際に引き込まれる可能性がない場合であっても、縦枠に接近する異物が検出され得る。さらに、いくつかの構成では、既に引き込まれてしまった異物の検出のみが可能で、従って、ドアガード内へ異物が引き込まれることを回避することができない。
【0011】
自動に動くドアによって引き込まれる位置に異物がくることを検出するために、改良された構成を提供することが望ましい。ドアが、閉位置へ向けて、開位置へ向けて、あるいは双方へと自動に動くときに、異物が引き込まれる潜在的な可能性を検出し得る構成を提供することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
例示的なドアアッセンブリは、開位置と閉位置との間を自動に移動するドアパネルを含む。可撓性部材が、ドアと他の表面との境界付近に位置している。この可撓性部材は、境界付近の異物との接触に応答して少なくとも部分的に変形する。センサが可撓性部材の変形を検出し、境界付近の異物の存在を示す指標を提供する。
【0013】
ドアパネルと他の表面との境界において異物を検出する例示的な方法は、境界付近の可撓性部材を用い、この可撓性部材と異物との接触に応答した可撓性部材の少なくとも部分的な変形を検出するためにセンサを用いることを含む。上記の接触を示す指標が、異物の検出として与えられる。
【0014】
本発明の種々の特徴および利点は、後述の詳細な説明により当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
開示される実施例は、自動に動くドアと他の表面との境界における可撓性部材を含む。可撓性部材は、境界に接近した異物との接触に応答して変形する。この変形は、異物が境界に存在することに関連した指標を与えるように、検出され得る。自動ドアの動きは、この検出に応答して制御され、異物がドアと他の表面との間に引き込まれることが防止され、あるいは、異物が引き込まれたとしてもドアと他の表面との空間から容易に引き出せるようになる。開示される実施例は、ドアと他の表面との境界に異物が引き込まれてしまう可能性があるような形で自動ドアが他の表面に対し相対的に動く種々の状況において有用である。説明の目的で、本発明によるドアアッセンブリの例として、エレベータドアを用いる。
【0016】
図1は、ドアフレーム部材22,23を含むドアアッセンブリ20の部分を模式的に示している。ドアパネル24は、ドアフレーム部材22,23によって囲まれた開口部を乗客が通過することができる開位置と、該ドアパネル24が上記開口部を閉塞する閉位置との間で、自動に移動し得る。
【0017】
図1の実施例では、各ドアパネル24とこれに対応するドアフレーム部材22の隣接する表面との境界付近に、可撓性部材26が位置している。一実施例では、可撓性部材は、ドアパネルとこれに隣接する表面との間にある。他の実施例では、可撓性部材は、これらの間の隙間の外側にある。境界付近の種々の位置において、可撓性部材は該境界に接近する異物と干渉する。
【0018】
図においては、斜視図であるため、一つの可撓性部材26のみが見えている。図から理解できるように、可撓性部材26は、境界28全体の長さもしくは大部分の長さに沿って延びている。いくつかの例では、可撓性部材26は、乗客の視線から外れて見えないように、境界の内部に位置している。
【0019】
ドアパネル24が開位置へ向かってフレーム部材22に対しスライドすると、境界28におけるドアパネル24とこれに隣接したドアフレーム部材22表面との間の隙間に、異物が引き込まれる可能性がある。可撓性部材26は、境界28に接近するこのような異物との接触に応答して変形する。この可撓性部材26の変形は、このような異物の存在を示す指標を与える。この指標は、コントローラ60が自動ドア駆動機構61の動作を制御するために利用され得る。
【0020】
一つの例では、コントローラ60は、ドア動作中に可撓性部材26の変形により異物を検出したときに、ドアパネル24を停止させる。一つの例では、コントローラ60は、少なくとも一時的にドアパネル24を停止させ、その後、異物を境界28から取り外すのを助けるための特別な形でドアパネルを動かす。例えば、ドアパネル24を一時的に停止し、続いて通常よりも低速で開方向への動作を続ける。他の例では、ドアを開方向へ続いて動かす前に、少なくとも一度ドアを反対方向へ動かすことを含む。
【0021】
可撓性部材26は、ドアアッセンブリの特定の構成に応じて、いくつかの最適位置に配置され得る。
【0022】
図2は、エレベータ用途に利用されるドアアッセンブリ20の例を模式的に示している。1組のドアパネル24が昇降路入口の乗り場側に設けられ、他の1組のドアパネル24がエレベータカーのかごドアである。この例では、移動するドアパネル24とこれに対応するフレーム部材22の隣接表面との間の境界28の各々に、可撓性部材26が配置されている。
【0023】
図3は、2つの移動するドアパネル24を含む他の実施例の構成を模式的に示している。この例では、左端(図において)のドアパネル24が一般に高速移動ドアパネルと呼ばれ、右側(図において)のドアパネル24が一般に低速ドアパネルと呼ばれる。この例では、低速ドアパネル24とこれに隣接するドアフレーム部材22の表面との間で相対的な移動が生じる。従って、可撓性部材26が、低速ドアパネル24とドアフレーム部材22との間の境界28に設けられている。また、高速ドアパネル24と低速ドアパネル24との間でも相対的な移動が生じる。図示例では、各々の組のドアパネル24の間の各境界28に可撓性部材26を備えている。
【0024】
他の可撓性部材26の位置や他のドアアッセンブリの構成も可能である。この出願の利益を受ける当業者であれば、必要に応じて、最適なドアアッセンブリの構成を実現し得るであろう。
【0025】
可撓性部材26は種々の形態を取り得る。図4に示す一つの例では、可撓性部材26は、可撓性チューブからなる。図4は、可撓性チューブの本体32を境界28の所望の位置に固定するための取付アッセンブリ30を示している。この例では、可撓性チューブの本体32は、該本体32内に通路部34を画成している。この例では、通路部34は、チューブ本体32の全長に亘って延びている。
【0026】
図4は、放射源42を含むセンサ40を備えている。少なくとも1本の放射ビーム44が放射源42から出て、チューブ本体32内の通路部34を通過する。放射検出器46によって、放射ビーム44が放射検出器46に入射したことが検出される。本体32は、人の手指のような異物が接触したときに少なくとも部分的に変形し得る程度に柔軟である。本体32の変形によって放射ビーム44が遮断され、検出器46によって検出されなくなる。このような状況のときに、センサ40は、対応する境界28における異物の検出を示す指標をコントローラ60へ送る。従って、コントローラ60は、特定の状況の要求に沿って応答することができる。
【0027】
一例では、放射の形式として光が用いられる。このような例では、放射源42はレーザや発光ダイオードのような光源からなる。検出器46は、例えばフォト検出器からなる。
【0028】
図4に示す形式の実施例にはいくつかの利点がある。可撓性部材26として可撓性チューブを用いることで、チューブ本体32が対応する境界28の緩衝材となる。多くの構成例において、境界に接近する異物は、ドアパネル24と隣接表面との間の隙間に引き込まれる前に、チューブ32に接触する。これにより、例えば異物が人の手指のような場合に、人に触感が与えられ、人はそれ以上手指を境界28内に進めることがない。これによって、引き込まれる前に境界から引き抜くことができる、という利点が得られる。
【0029】
さらに、図4に例示したような可撓性チューブは、境界28に弾性を与え、この可撓性部材26の存在によって、ドアパネル24やドアフレーム部材22の隣接表面と異物との間の衝突が緩衝される。異物への衝撃が可撓性部材26によって緩和される。また可撓性部材26の柔軟性によって、多くの場合に、境界28の隙間に引き込まれようとしている異物を引き抜くことがより容易となる。
【0030】
図4に例示したような可撓性チューブによる他の利点は、該チューブが放射ビーム44を効果的に囲むことである。多くの例では、センサ40の放射の形式として光が用いられる。この例のような可撓性チューブは、外部光源との干渉を回避するように、光を遮蔽する。また可撓性チューブは、光源やフォト検出器のような光検出器を塵埃による汚れから保護する遮蔽物としても機能する。
【0031】
図4の例では、検出器46は、ドアパネル24の一端部近傍のハウジング部50A内に収容され、放射源42は、ドアパネル24の他端部近傍のハウジング部50B内に収容されている。特に図示していないが、可撓性チューブの本体32は、センサ構成要素の最大限の保護ならびに外部放射源(光源)との干渉の最大限の回避を図るために、ハウジング部50A,50Bの各端縁まで、あるいはこれに極近い位置まで、垂直に延びている。
【0032】
図5は、他の実施例の構成を概略的に示す。この実施例では、一つのハウジング50が放射源42および検出器46の双方を収容している。反射器52がアッセンブリの他端に設けられている。この例では、放射源42から出たビーム44が反射器52で反射し、その反射ビーム54が検出器46によって検出される。このような実施例では、チューブ本体32がビーム44あるいは反射ビーム54の光路内へと変形すると、検出器46による反射ビーム54の検出が遮断される。これにより、境界28における異物の検出を示す指標がコントローラ60へ与えられる。
【0033】
この図5の構成の利点は、放射源42および検出器46の双方の位置が、都合のよいドア上方に確実に配置されることであり、これにより、ドア開口部を通る乗客や物品が衝突する可能性がある位置から離れたものとなる。また、特にハウジング50で適宜に保護している場合には、放射源42や検出器46が塵埃による影響を受けにくい。さらに、図5に示すような構成は、検出器46とコントローラ60との間の信号の通信に、より便利となる。
【0034】
図6は、図5の実施例の断面図であり、選択した表面の上に支持される可撓性部材26を、この表面に対し取り付けるための手法を示している。この例では、取付アッセンブリ30は、選択した面にファスナ64によって固定されるフレーム部材62を備える。なお、この例では、上記の選択した面は、ドアフレーム部材22の一部である。支持プレート66がチューブ本体32の通路部34内に収容されている。一つの例では、支持プレート66は、チューブ本体32の長さの大部分に亘って延びている。接続プレート68および上記フレーム部材62の各々にファスナ70が通る開口部が設けられており、このファスナ70が、取付用のプレート66ひいては可撓性チューブ本体32を所望の位置に固定している。図示例は、また、保護カバー72を備えており、図6に示した構成要素を覆う化粧用外観を与えている。カバー72を用いる場合には、境界28に接近した異物との接触による可撓性部材26の変形を阻害することがないように、十分な柔軟性を有することが望ましい。
【0035】
可撓性チューブの実施例における他の利点は、これが境界28の隙間ないし間隙を小さくし得ることである。例のドアパネル24とドアフレーム部材22との間には、間隙寸法Gが存在する。チューブ本体32が図示のように位置すると、ドアパネル24とドアフレーム部材22との間の隙間に異物が侵入する可能性がある箇所における境界28の間隙寸法は、より小さい寸法Fとなる。このように間隙寸法が減少することで、異物を、境界28内に引き込まれる潜在的な可能性からさらに保護することができる。
【0036】
図7は、他の実施例の要部を示す図6と同様の断面図である。この例では、チューブ本体32は突起部80を備え、これにより、可撓性部材26と例えばドアパネル24との間の境界28における間隙寸法Fがさらに減少している。
【0037】
また図7の実施例は、通路部34内にリブ84に支持された遮断部82を備えている。この例では、リブ84が通路部34を第1の部分34Aと第2の部分34Bとに効果的に仕切っている。図から判るように、第2の部分34Bが境界28に近い。この例では、放射ビーム44,54は、通路部34の第1の部分34Aを通過する。
【0038】
上記リブ84は、相対的に容易に変形する湾曲部86と、傾斜部88と、を備えている。図から判るように、傾斜部88によって、湾曲部86が通路部の第1の部分34A側へ向けられている。図7の構成は、一例のチューブ本体32を、異物が接触していない自由状態で示している。
【0039】
図8は、境界28付近でチューブ本体32に異物が衝突している状態を示している。この例では、通路部の第2の部分34B付近において、図に符号Cで示す接触による力が、チューブ本体32に作用する。この状態では、相対的に容易に湾曲する部分86および傾斜した部分88によって、ドアパネル24から離れる方向へのチューブ本体32の変形が促進される。そして、この状態では、遮断部82が、放射ビーム44,54の少なくとも一方を遮断する位置へと移動する。これにより、境界28付近で異物が検出されたことを示す指標が得られる。図7,図8に示すような遮断部82を備えることの一つの利点は、放射ビーム44の軸の調整における許容誤差がより大きくなることである。図8から判るように、この実施例の構成は、異物がドアパネル24とドアフレーム部材22との間の隙間に引き込まれるような形で境界28に接近したときに、検出することができる。
【0040】
図9は、図7の実施例の他の状態を示している。この例では、チューブ本体32に接触した異物により符号Dで示すような力が加わる。この例では、リブ84の傾斜した部分88が、本体32の通路部の第2の部分34Bを構成している部分の変形を阻止する。そして、代わりに、通路部の第1の部分34Aに対応する本体32の部分のみが変形する。この例では、ビーム44,54を遮断する位置へとチューブ本体32が変形することが、例示した遮断部82の位置によって効果的に回避される。
【0041】
このような構成の一つの利点は、境界28に接近した異物が引き込まれることがなさそうな場合における誤検出を防止できることである。例えば、異物が矢印Dの位置にあると、ドアパネル24とドアフレーム部材22との相対移動の間に異物が境界28内に引き込まれる可能性は少ない。このように、図7〜図9の実施例は、可撓性部材26との種々の形の接触ないし衝突に対応できる一つの方法を提供し、所望のつまり選択した状況でのみ異物検出の指標をコントローラ60へ与えることになる。
【0042】
図10は、可撓性部材26の他の実施例を模式的に示している。この実施例では、可撓性部材26は、ドアパネル24の溝92内に収容される取付タブ90を備えている。このような構成は、選択した境界28に対し所望の位置に可撓性部材26を固定するための代替的な方法となる。
【0043】
この実施例では、可撓性部材26は、チューブ本体94を備えた略円筒状チューブからなる。チューブ本体94の内部には、流体96が封入されている。チューブ本体94の少なくとも一部が変形すると、チューブ内の流体96が動き、チューブ内の流体96の圧力が少なくとも局部的に変化する。センサ40は、このような圧力の変化を検出し、例えば、境界28に引き込まれそうな、あるいは既に引き込まれた異物との接触を示す程度の明らかな変化であるか否かを判定する。
【0044】
図10の例は、チューブ本体94に対して支持された圧力トランスデューサ98を備え、この圧力トランスデューサ98がチューブ内の流体96の圧力変化を検出することができる。一例では、流体は気体である。流体の他の例は液体である。流体の他の例は、ゲル状のものである。一例では、流体96としてシリコーンを備える。他の例では、空気を用いる。
【0045】
圧力が変化したとき(これは一般に所定の閾値に達した圧力上昇として検出される)、センサ40はコントローラ60へ指標を送り、コントローラ60はこれに応答して、予めプログラムされた形でドアの動作を自動的に制御する。
【0046】
図11は、他の実施例の可撓性部材26を備えたドアアッセンブリの例を模式的に示している。この例では、可撓性部材26はコード100からなる。コードを用いるいくつかの例における一つの利点は、コードが境界の隙間内に入り、外から見えないことである。コード100の一端にスイッチ102が関連しており、コード100の他端は取付部104を介してドアフレーム部材22に固定されている。望ましくはコード100に張力が付与されており、境界28における異物と接触すると、コード100の対応する部分が変形する。このコード100の動きによってスイッチ102が起動し、境界28における異物の検出を示す指標がコントローラ60へ送られる。
【0047】
いくつかの例では、ドアパネル24の動きに対応してコード100を支持することが望ましい。図12は、このような目的の構成例を模式的に示している。この例では、コード100の一端が、ドアパネル24の一端部付近に取付部104によって支持されている。コード100の他端は、ドアパネル24に関連したハンガプレート108に接続部106において取り付けられている。
【0048】
図12の例では、シーブ110がドアハンガ108に支持されている。コード100は、少なくとも部分的にシーブ110に巻き掛けられ、かつシーブ112へ向かって延びている。上記シーブ112は、この実施例では、ドアパネル24を自動に動かすための駆動機構(すなわち自動ドア駆動機構61)に関連している。別のシーブ114がこの移動機構に関連している。この例では、コード100が境界28における異物と接触すると、コード100の変形によってシーブ112が動き、これに関連したスイッチ102によって、境界28における異物の検出を示す指標が与えられる。
【0049】
種々の検出機構の例を説明したが、当業者は、上記の説明によって、特定の状況での要求に合致するにはどの形式の構成を選択すべきかあるいはどのような構成の組み合わせが有用であるか、を具現化することができるであろう。さらに、上記の説明によって、当業者は、開示した実施例の種々の特徴の組み合わせが特定の状況の下で有用であることを示すことができるであろう。
【0050】
以上の説明は例示に過ぎず、限定するためのものではない。開示した実施例に対する変形例や修正が本発明の要旨を逸脱するものでないことは当業者には明らかになろう。本発明における法的保護の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定まる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例のドアアッセンブリを模式的に示す概略図。
【図2】ドアアッセンブリの一例の一端部から見た概略図。
【図3】ドアアッセンブリの他の例の一端部から見た概略図。
【図4】本発明の検出機構の要部を示す概略図。
【図5】検出機構の他の例を示す概略図。
【図6】図1のX−X線に沿って切り取った図5の実施例の断面図。
【図7】本発明の検出機構における可撓性部材の他の実施例を示す図6と同様の断面図。
【図8】図7の実施例を他の状態で示す断面図。
【図9】図7の実施例を他の状態で示す断面図。
【図10】検出機構の他の実施例の要部を示す断面図。
【図11】ドアアッセンブリの他の例の要部を示す概略図。
【図12】ドアアッセンブリの他の例の要部を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開位置と閉位置との間で自動に移動するドアパネルと、
上記ドアパネルと他の構造物との境界付近に支持され、かつ異物が対応する部分に接触したことに応答して少なくとも部分的に変形する可撓性部材と、
上記可撓性部材の変形を検出し、境界付近に異物があることを示す指標を提供するセンサと、
を備えたことを特徴とするドアアッセンブリ。
【請求項2】
上記ドアパネルを開位置と閉位置との間で自動に動かすドア駆動機構と、
上記センサからの上記指標に応答して上記ドア駆動機構を制御するコントローラと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のドアアッセンブリ。
【請求項3】
上記可撓性部材が上記境界付近に吊り下げられたコードからなり、このコードが、異物が境界付近にあるときに該異物に接触して少なくとも部分的に変形することを特徴とする請求項1に記載のドアアッセンブリ。
【請求項4】
上記センサが、上記コードの変形に応答して起動するスイッチであることを特徴とする請求項3に記載のドアアッセンブリ。
【請求項5】
上記可撓性部材が、少なくとも部分的に柔軟な外表面を有するチューブからなることを特徴とする請求項1に記載のドアアッセンブリ。
【請求項6】
上記チューブには流体が封入されており、該チューブの変形に応答した上記流体の少なくとも局部的な圧力変化を上記センサが検出することを特徴とする請求項5に記載のドアアッセンブリ。
【請求項7】
上記センサが圧力トランスデューサからなることを特徴とする請求項6に記載のドアアッセンブリ。
【請求項8】
上記流体は、気体、液体、あるいはゲルの少なくとも一つからなることを特徴とする請求項6に記載のドアアッセンブリ。
【請求項9】
上記チューブは開口した通路部を有し、上記センサは、
上記通路部内に少なくとも一つの放射ビームを放出する放射源と、
この少なくとも一つの放射ビームを検出する検出器と、
を備え、上記検出器が、上記放射源とこの検出器との間で少なくとも一つの放射ビームがチューブの変形により遮断されたことを検出することを特徴とする請求項5に記載のドアアッセンブリ。
【請求項10】
上記放射源が上記ドアパネルの一端部付近に位置し、上記検出器がドアパネルの他端部付近に位置することを特徴とする請求項9に記載のドアアッセンブリ。
【請求項11】
上記放射源が上記ドアパネルの一端部付近に位置するとともに、上記検出器がドアパネルのこの一端部付近に位置し、上記センサは、上記ドアパネルの他端部付近に反射器を備え、放射源から放射されかつ上記反射器で反射された少なくとも一つの放射ビームが上記検出器によって検出されることを特徴とする請求項9に記載のドアアッセンブリ。
【請求項12】
上記放射は光からなることを特徴とする請求項9に記載のドアアッセンブリ。
【請求項13】
上記チューブは、異物が境界内に引き込まれ得るような位置でチューブに接触したことに応答して少なくとも一つの放射ビームを遮断するように上記通路部内に配置された少なくとも一つの遮断部材を備えることを特徴とする請求項9に記載のドアアッセンブリ。
【請求項14】
上記遮断部材は、異物が境界内に引き込まれそうもない位置でチューブに接触したときには、少なくとも一つの放射ビームを遮断しないことを特徴とする請求項13に記載のドアアッセンブリ。
【請求項15】
上記放射源および上記検出器の少なくとも一方の少なくとも一部を囲む剛性のカバーを備えることを特徴とする請求項9に記載のドアアッセンブリ。
【請求項16】
上記可撓性部材は、視線から隠れるように、ドアパネルと他の構造物との間の隙間内に嵌っていることを特徴とする請求項1に記載のドアアッセンブリ。
【請求項17】
ドアパネルと他の構造物との間の境界における異物を、上記境界付近の可撓性部材を用いて検出する方法であって、
上記可撓性部材と上記異物との接触に応答した上記可撓性部材の少なくとも部分的な変形を検出するようにセンサを用いるステップと、
この接触を示す指標を提供するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
上記可撓性部材がコードからなり、上記方法は、コードが少なくとも部分的に変形したことを判定することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記可撓性部材がチューブからなり、上記方法は、チューブが少なくとも部分的に変形したことを判定することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
上記チューブに流体が封入されており、上記方法は、変形に応答したチューブ内の流体圧力の少なくとも局部的な変化があるかを判定することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも一つの放射ビームを上記チューブの通路部内に導き、上記変形が上記少なくとも一つの放射ビームを遮断したかを判定することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
上記可撓性部材を、該可撓性部材に接触する異物に対する衝撃を緩和するために用いることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2009−509894(P2009−509894A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533392(P2008−533392)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/035140
【国際公開番号】WO2007/037948
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】