説明

可溶型のCTLA−4に特異的に対する抗体

本発明は、可溶型CTLA−4(sCTLA−4)に特異的な抗体に関する物質及び方法を提供する。このような抗体は、抗原特異性ヒト免疫反応に対して強い増強効果を有することが示された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの可溶型の細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA−4)に特異的に対する抗体及びその機能的部分を含む抗体分子、並びにこれに関連する方法及び物質に関する。
【背景技術】
【0002】
患者における適応免疫反応を調節する能力は、現在利用可能な従来の医薬に比べて安全性の改善された強力な標的指向化治療法の可能性を提供する。T細胞応答を増強又は抑制することを目的とする方法を、多くの疾患における治療法として成功裏に開発することができた。これは、T細胞が病原体の攻撃に対する特異性及び記憶の両方を媒介する適応免疫系の重要な構成要素を形成しているので、全体として免疫系に影響を与え、且つ治癒ではなく疾患を制御する現在のブランケット治療法に置き換わる選択性の高い治療法を開発するための対象を提供するためである。
【0003】
T細胞の完全な活性化には、T細胞抗原受容体を通じた刺激、及びT細胞の細胞表面上に提示される共刺激分子、主にCD28受容体を介する更なるシグナル伝達を必要とする(1〜3)。CD28のリガンドは、受容性T細胞にも抗原を提示する、樹状細胞、マクロファージ及びB細胞等の細胞によって提示されるCD80(B7.1)及びCD86(B7.2)である(4、5)。CD80又はCD86によるCD28の結合は、抗原特異的T細胞応答を安定化させ且つ増幅するシグナル伝達経路を刺激する。これは、サイトカインIL−2のT細胞産生、アポトーシスを抑制するタンパク質(Bcl―X)の発現、及び抗原特異的免疫反応を増幅するエフェクターサイトカインの分泌の増加を特徴とする。
【0004】
CTLA−4は、CD28の構造的相同体であり、これらは、両方共免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、およそ30%のアミノ酸配列相同性を共有し、ヒトでは、2番染色体の同じ領域に位置する(6〜8)。特に、これらは、CD80/CD86結合にとって重要な配列モチーフを保持している。しかし、CTLA−4は、CD28と比べてT細胞活性に対して反対の作用を備える受容体として、広く認められており、活性化T細胞に刺激性シグナルではなく阻害シグナルを送達する。CTLA−4は、それが提示される活性化T細胞により遂行される免疫反応の強度を減ずることができる反受容体であると一般的に認められている(9、10)。また、CD4調節性T細胞はその細胞表面上の分子を恒常的に発現するが、他のエフェクターT細胞サブセット、例えば、CD4Th1T細胞は、活性化後にしかそれを発現しないことが広く認められている(11〜13)。前記分子がTreg機能に関与しているという更なる証拠が存在しているため、CTLA−4は、それを発現する細胞の固有活性を調節することによって、且つ免疫反応中に他の活性化T細胞を阻害することによって、免疫反応の制御に関与している可能性がある(14〜18)。
【0005】
T細胞刺激におけるCTLA−4の役割を描写しようとする試みにより、それがT細胞の阻害性制御因子として重要であることが実証された。まず、CTLA−4遺伝子欠損マウスは、活性化T細胞芽球がリンパ組織に速やかに蓄積し、進行して身体の他の器官及び組織に浸潤する大リンパ球増殖性障害によって誕生後3〜5週間で死亡する(19、20)。これは、CTLA−4が、T細胞の活性化状態の限定、及びT細胞ホメオスタシスの維持の両方において何らかの役割を有しているという証拠を提供する。更に、CTLA−4に特異的な抗体に関する研究を使用して、精製されたT細胞集団におけるその役割が評価され、細胞表面上におけるCTLA−4の抗体架橋がT細胞の増殖及びIL−2の産生を阻害することが見出されている(21〜24)。これらの効果は、CD28によって媒介される刺激作用と正反対であるので、CD28及びCTLA−4共刺激分子は、組み合わせられて、それぞれ刺激性及び阻害性シグナルを送達することによってT細胞抗原受容体刺激を調節している可能性がある。
【0006】
CTLA−4の抗体遮断は、CTLA−4機能の阻害が、癌、感染症及び他の免疫に関連するシナリオを含む広範囲にわたる疾患状況において、T細胞活性を高めることを実証するために広く使用されている。癌では、強力な抗腫瘍T細胞応答を確立する潜在的に実行可能な方法として、CTLA−4機能の抗体遮断が確立されている(25〜31;特許文献1)。癌のマウスモデルにおいて最初の実験が行われた。CTLA−4の遮断は、腫瘍の縮小及び消滅を成功裏に導く抗腫瘍性T細胞免疫反応を高めた。抗体を単独で使用するか又は癌に特異的なワクチンと併用して、癌モデルにおけるCTLA−4の遮断が行われた。特定の腫瘍の天然免疫原性は、CTLA−4の遮断のみ、又はワクチン若しくは他の免疫アクチベータと組み合わせたCTLA−4の遮断が、成功裏に抗腫瘍免疫反応を生じさせるのに十分であるかどうかの決定因子であると思われる。癌のマウスモデルにおけるCTLA−4遮断の最初の研究は、ヒトにおける類似の研究を導き、ヒトCTLA−4に特異的な少なくとも2つのモノクローナル抗体が、多様な範囲の癌治療を目指す治験において広範囲に研究されている(31)。
【0007】
感染症に関しては、CTLA−4機能の抗体遮断が、抗原特異的抗体の増加、及びTh1/Th2 Tヘルパー細胞応答を含む免疫のスペクトルを高める抗寄生虫、抗細菌、及び抗ウイルス反応を含む、免疫反応を大きく増強することを実証した(32〜36)。また、CTLA−4の抗体遮断は、自己免疫反応を高める(37)。
【0008】
CTLA−4に関するほとんどの研究は、分子の受容体の形態に注目していたが、タンパク質の形態で、T細胞の細胞表面上に存在しない別の遺伝的アイソフォームが存在している(38)。
【0009】
CTLA−4の完全長膜結合型アイソフォームは、ヒトにおいては、2番染色体の4つのエキソン(1〜4)にコードされているが、分泌可能可溶型のCTLA−4(sCTLA−4)を産生するものを含む他のmRNA転写物が存在する(39、40)。この別の様式でスプライシングされた転写物は、完全長CTLA−4の膜貫通ドメインに対応するエキソン3が欠損しており、エキソン4のリーディングフレームシフトによって、未知の機能を有する様々なC末端アミノ酸配列を有する細胞質尾部配列が置き換わる。完全長CTLA−4と同様に、sCTLA−4は、APCの上のB7.1/B7.2共刺激リガンドに結合する能力を有するが、抗原特異性免疫反応の制御因子としての役割は、未だ評価されていない。最初の研究は、休止T細胞がsCTLA−4の主な源であることを示し、これは、抗CD3 mAbによる非特異的活性化の後に、完全長アイソフォームの生成に速やかに切り換えて、免疫反応を制御する。
【0010】
Oaks及びHallett(43)は、sCTLA−4のC末端領域に対するウサギのポリクローナル抗血清の産生について記載している。前記抗血清は、sCTLA−4タンパク質の存在を検出するためのウェスタンブロットにおいて使用された。それは、いずれの機能分析においても使用されなかった。
【0011】
CTLA−4遺伝子座内の一塩基変異多型(SNP)は、自己免疫疾患の感受性に関係している。CTLA−4に関連するSNP(CT60)の強力な人口分析によって、特定のハプロタイプ(ホモ接合性のg/g)が、グレーブス病、自己免疫甲状腺機能低下症及び1型糖尿病の感受性上昇と相関していることが見出された(41)。前記SNPは、4つのCTLA−4をコードするエキソンに下流に位置し、後続の分析は、産生されるsCTLA−4タンパク質の量の相対的な減少を判定することにより、感受性SNPがCTLA−4に大きな影響を与えることを示した。完全長CTLA−4の発現レベルは、影響を受けなかった。これらのデータは、sCTLA−4が免疫系の制御において実際に何らかの役割を有している可能性があるという証拠を提供した。
【0012】
特許文献2は、CTLA−4受容体及び可溶性CTLA−4分子の変異体について記載している。
【0013】
他のCTLA−4の別のアイソフォームは別の転写物がエキソン2を欠損しており、且つエキソン1及び4によってのみコードされる場合、げっ歯類には存在するが、ヒトには存在しないliCTLA−4を含む。ヒトに存在するこの後者の転写物の機能は現在報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6984720号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/072340号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、必要な選択されたエピトープが欠損しているので、他のアイソフォーム又は組換え型CTLA−4タンパク質に結合しない、CTLA−4の可溶形に対して特異的である、本明細書においてJMW−3B3と呼ばれるモノクローナル抗体を提供した。
【0016】
対照的に、CTLA−4に結合する現在の抗体は、典型的にエキソン2によってコードされるタンパク質領域のエピトープによって識別される両方のアイソフォームに結合する。
【0017】
下記の他の有用性に加えて、sCTLA−4特異的JMW−3B3抗体は、抗原特異的ヒト免疫反応、特に抗原特異的Tリンパ球細胞(T細胞)に対する強い増強効果を有する。この活性は先行技術からは予測できなかった。具体的には、当技術分野における先行研究では、sCTLA−4は、一般に、休止T細胞により産生され、免疫反応の活性成分ではないと考えられていた。これは、sCTLA−4がモノマーの形態で分泌されるという見解と一致しており、この見解に基づいて、免疫反応を制御するために必要な機能的効力を有する可能性は低いと考えられていた(対照的に、完全長CTLA−4の研究から、完全長CTLA−4は、二量体型で細胞表面に提示され、且つ二数性がその機能において主な役割を果たしていることが明らかになった(42)。同様に、人工の組換え型CTLA4−lgは、二量体型においてより強力である(8))。
【0018】
mAb JMW−3B3を用いた研究は、仮定とは対照的に、sCTLA−4が、機能的な形態において二量体である可能性が高いことを明らかにした。理論に縛られるものではないが、これは、その機能の遮断が、細胞増殖及びエフェクターサイトカイン産生の点から抗原特異的免疫反応に対してこのように強く且つ予想外の効果を有する理由を説明することができる。
【0019】
フレームワーク(FR)及び相補性決定領域(CDR)配列、特に、重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の両方についてFR1から、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4にわたる配列を含む、mAb JMW−3B3抗体可変領域を含むヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を提供する(図1及び2を参照)。
【0020】
以下により詳細に記載されるように、本発明の好ましい態様は、JMW−3B3又はその断片若しくは変異体の抗体VH及び/又はVLドメインを使用する。更なる好ましい態様は、JMW−3B3重鎖可変(VH)及び/又は軽鎖可変(VL)ドメインの1つ以上の相補性決定領域(CDR)、特に他の抗体フレームワーク領域におけるVH JMW−3B3(又はこれらの任意の変異体)を使用する。
【0021】
次に、本発明のいくつかの局面及び態様についてより詳細に議論する。
【0022】
1つの局面では、本発明は、sCTLA−4に特異的に結合する抗体分子を提供する。
【0023】
多くの方法で抗体を改変できるとき、用語「抗体分子」は、必要とされる特異性を備えた抗体抗原結合ドメインを有する任意の抗体分子又は物質を包含すると解釈するべきである。したがって、この用語は、天然であろうと全体的に又は部分的に合成であろうと、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含む抗体断片及び誘導体を包含する。したがって、別のポリペプチドに融合した、免疫グロブリン結合ドメイン、又は等価物を含むキメラ分子も含まれる。好ましい抗体分子は、任意のそれと機能的に等価な抗体及びその機能的な部分を含む、本発明に係るJMW−3B3等のモノクローナル抗体である。このような等価物及び部分の例を以下により詳細に記載する。
【0024】
本発明の文脈において「特異的に」は、sCTLA−4に結合するが、リンパ球の表面上におけるCTLA−4の他の主形態への結合を本質的に示さない能力を意味する。本発明の抗体分子は、同様に、「CTLA4−Ig」と呼ばれる人工的組み換え型CTLA−4への結合を本質的に示さなくてもよい。
【0025】
「本質的に結合しない」とは、sCTLA4に対する結合よりも、少なくとも約85%、具体的には少なくとも約90%、より具体的には少なくとも約95%、更により具体的には少なくとも約98%であるが、特に、少なくとも約99%且つ100%以下結合が少ないことを意味する。
【0026】
典型的に、特異性は、抗原のパネルを使用するELISA等の結合アッセイによって決定することができ、ここで、本発明に係る抗体分子がsCTLA4を特異的に認識するが、CTLA4は認識しないことを実証することができるであろう(図5を参照)。別の方法として、Biacoreセンサー等のセンサーを用いて、結合を比較又は定量することもできる。
【0027】
1つの局面では、本発明は、以下のアミノ酸配列内のエピトープに結合する抗体分子を提供する:
AKEKKPSYNRGLCENAPNRARM(配列番号11)。
【0028】
この配列は、sCTLA4のC末端タンパク質配列(A116〜M137)の一部であり、一般にヒトT細胞の表面上で検出されるCTLA−4アイソフォームの配列とは異なる。
【0029】
したがって、本発明に係る抗体分子は、sCTLA4(特に、配列番号11におけるエピトープ)に対する結合について任意の抗体分子と競合する抗体分子であってもよく、これらは、両方、抗原に結合し、抗体分子の本明細書に記載されるVH及び/又はVLドメイン、又は本明細書に開示されるVH CDR3、又はこれらのうちのいずれかの変異体を含む。
【0030】
抗体分子間の競合は、例えば、ELISAを使用して、及び/又は他のタグ付けされていない抗体分子の存在下で検出することができるある抗体分子に特異的レポーター分子をタグ付けして、同一エピトープ又は重複するエピトープに結合する抗体分子を同定することによって、インビトロで容易にアッセイすることができる。
【0031】
したがって、本発明の更なる局面は、sCTLA−4に対する(例えば、配列番号11におけるエピトープに対する)結合についてJMW−3B3と競合し、且つ、同様にリンパ球の表面上のCTLA−4には結合しないヒト抗体抗原結合部位を含む抗体分子を提供する。
【0032】
本明細書における開示に照らして、sCTLA−4に特異的であり、且つ同一又は近傍のsCTLA−4エピトープへの結合についてJMW−3B3と競合する可能性がある抗体を容易に提供することができる。例えば、方法は、抗体分子のライブラリと前記エピトープとを接触させ、前記エピトープに結合することができるライブラリの1以上の特異的抗体分子を選択することを含み得る。
【0033】
また、前記ライブラリは、バクテリオファージ粒子の表面上に提示されてもよく、各粒子は、その表面上に提示される抗体のVH可変ドメインをコードする核酸を含み、場合によっては、存在する場合VLドメインも提示する。
【0034】
エピトープに結合することができ、且つバクテリオファージ粒子上に提示されている特異的抗体分子を選択した後、前記選択された特異的抗体分子を提示しているバクテリオファージ粒子から核酸を得ることができる。このような核酸は、前記選択された特異的抗体分子を提示しているバクテリオファージ粒子から得られた核酸の配列を有する核酸から発現させることによって、特異抗体分子又は抗体VH可変ドメイン(場合により、抗体VL可変ドメイン)を産生する後続工程において使用することができる。
【0035】
特異的にsCTLA−4に結合する能力、また、sCTLA−4に対する結合についてJMW−3B3と競合する能力に関して更に試験してもよい。以下で更に議論されるように、特定の文脈におけるsCTLA−4の作用に拮抗する能力を試験してもよい。
【0036】
本発明に係る抗体分子は、JMW−3B3の親和性でsCTLA−4に結合することができる。
【0037】
したがって、本発明は、更に、sCTLA4に対する結合について任意の抗体分子と競合する抗体分子まで及び、これらは、両方、sCTLA−4に結合し、実質的に本明細書に記載されるアミノ酸を有するCDRを含むVドメイン又は実質的に本明細書に記載されるアミノ酸配列を有するVドメインを含む。抗体分子間の競合は、例えば、他のタグ付けされていない抗体分子の存在下で検出することができるある抗体分子にレポーター分子をタグ付けして、同一エピトープ又は重複するエピトープに結合する抗体分子を同定することによってインビトロで容易にアッセイすることができる。例えば、ELISA又はフローサイトメトリーを使用して、競合を判定することができる。
【0038】
競合試験において、sCTLA−4のペプチド断片、特に、対象エピトープを含むペプチドを使用してもよい。いずれか一方の末端に1つ以上のアミノ酸を付加したエピトープ配列を有するペプチドを使用してもよい。このようなペプチドは、特定の配列から「本質的に成る」ということができる。本発明に係る抗体分子は、sCTLA−4に対する結合が、所与の配列を有するか又は含むペプチドによって阻害されるようになっていてもよい。この試験において、1つ以上のアミノ酸を付加したいずれかの配列を有するペプチドを使用してもよい。
【0039】
上述のように、好ましい抗体分子は、JMW−3B3等のモノクローナル抗体、又はその機能的に等価な抗体若しくはその機能的部分である。
【0040】
好ましい態様では、抗体分子は、JMW−3B3のVHドメイン(配列番号4)及び/又はJMW−3B3のVLドメイン(配列番号2)を含む。
【0041】
一般的に、VHドメインはVLドメインと対になって抗体抗原結合部位を提供するが、以下に更に論じるように、VHドメインを単独で用いて抗原に結合させることもできる。
【0042】
1つの好ましい態様では、JMW−3B3のVHドメイン(配列番号4)はJMW−3B3のVLドメイン(配列番号2)と対になり、その結果、JMW−3B3のVH及びVLドメインの両方を含む抗体抗原結合部位が形成される。他の態様では、JMW−3B3のVHは、JMW−3B3のVL以外のVLドメインと対になる。軽鎖のプロミスキュイティー(promiscuity)は、当技術分野においてよく確立されている。
【0043】
JMW−3B3のVH又はVLドメインから1つ以上のCDRを得、好適なフレームワークに組み込んでもよい。これについて以下に更に議論する。JMW−3B3のVH CDR1、2及び3をそれぞれ配列番号5、6、及び7に示す。JMW−3B3のVL CDR1、2及び3をそれぞれ配列番号8、9、及び10に示す。
【0044】
配列が本明細書に記載されており、且つsCTLA−4に対する抗体分子において使用することができるVH及びVLドメインの変異体は、配列を変化又は突然変異させ、スクリーニングする方法を用いて得ることができる。本発明もこのような方法を提供する。
【0045】
本発明に従って、その配列が本明細書に具体的に開示されているVH及びVLのドメインのいずれかの可変ドメインアミノ酸配列変異体を、本発明に従って使用することができる。特定の変異体は、1つ以上のアミノ酸配列変化(アミノ酸残基の付加、欠失、置換及び/又は挿入)、恐らく、約20個未満の変化、約15個未満の変化、約10個未満の変化、又は約5個未満の変化、4、3、2、又は1個の変化を含んでもよい。1つ以上のフレームワーク領域及び/又は1つ以上のCDRを変化させてもよい。
【0046】
好ましい置換は、保存的置換である。
【0047】
したがって、本発明の1つの局面は、AKEKKPSYNRGLCENAPNRARM内のsCTLA−4エピトープに特異的な抗体抗原結合ドメインを得るための方法であって、本明細書に記載されるVHドメインのアミノ酸配列における1以上のアミノ酸の付加、欠失、置換、又は挿入を介して、前記VHドメインのアミノ酸変異体であるVHドメインを提供する工程と、場合により、上記のように提供されるVHドメインを1以上のVLドメインと組み合わせる工程と、VHドメイン又はVH/VLの組み合わせを試験して、sCTLA−4に特異的な抗体分子又は抗体抗原結合ドメインを同定する工程とを含む方法を提供する。前記VLドメインは、実質的に本明細書に記載されているアミノ酸配列を有し得る。
【0048】
本明細書に開示されるVLドメインの1つ以上の配列変異体を1つ以上のVHドメインと組み合わせる類似の方法を使用してもよい。
【0049】
1つの態様では、本発明は、配列番号2に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を示すVL領域、又は軽鎖CDRのうちの少なくとも1つ、具体的には少なくとも2つ、より具体的には少なくとも3つであるが、特に、天然のフレームワーク領域に埋め込まれている全てのCDRを含むその機能的部分に関する。
【0050】
1つの態様では、本発明は、配列番号4に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を示すVH領域、又は重鎖CDRのうちの少なくとも1つ、具体的には少なくとも2つ、より具体的には少なくとも3つであるが、特に、天然のフレームワーク領域に埋め込まれている全てのCDRを含むその機能的部分に関する。
【0051】
本発明の更なる局面は、本発明に係る、且つ本明細書に記載されている任意の機能的に等価な抗体又はその機能的部分を含むモノクローナル抗体等の抗体分子であって、本明細書に記載されるVL又はVHドメインを含む抗体分子を提供する。
【0052】
本発明の更なる局面は、sCTLA−4に特異的な抗体分子を調製する方法であって、
(a)CDR3が置換されているか、又はCDR3コード領域が欠失しているVHドメインをコードする核酸の出発レパートリを提供する工程と;
(b)ドナー核酸が前記レパートリ中のCDR3領域に挿入されるようにVH CDR3について実質的に本明細書に記載されるアミノ酸配列をコードするドナー核酸と前記レパートリとを組み合わせて、VHドメインをコードする核酸の生成物レパートリを提供する工程と;
(c)前記生成物レパートリの核酸を発現させる工程と;
(d)sCTLA−4に特異的な抗体分子を選択する工程と;
(e)前記特異的抗体分子又はそれをコードする核酸を回収する工程とを含む方法を提供する。
【0053】
更に、CDR3が置換されているか、又はCDR3コード領域が欠失しているVLドメインをコードする核酸のレパートリと本発明のVL CDR3を組み合わせる類似の方法を使用してもよい。
【0054】
同様に、1つ以上、又は3つ全てのCDRをVH又はVLドメインのレパートリに移植し、次いで、それをsCTLA−4に特異的な抗体分子についてスクリーニングしてもよい。
【0055】
免疫グロブリンの可変ドメインの実質的な部分は、それらの介在フレームワーク領域と共に、3つのCDR領域を少なくとも含む。好ましくは、前記部分は、また、1番目及び4番目フレームワーク領域のいずれか又は両方の少なくとも約50%を含み、前記50%は、前記1番目のフレームワーク領域のC末端50%、及び前記4番目のフレームワーク領域のN末端50%である。可変ドメインの実質的な部分のN末端又はC末端における更なる残基は、天然に存在する可変ドメイン領域には通常結合しないものであってもよい。例えば、組換DNA技術によって作製される本発明の特異的抗体分子の構築は、クローニング又は他の操作工程を促進するために導入されるリンカーによってコードされるN又はC末端残基の導入をもたらす場合がある。他の操作工程は、以下により詳細に論じられるように免疫グロブリン重鎖、他の可変ドメイン(例えばダイアボディの産生における)又はタンパク質標識を含む更なるタンパク質配列に本発明の可変ドメインを接合させるためにリンカーを導入することを含む。
【0056】
本発明の抗体分子は、天然であろうと部分的に又は全体的に合成的に産生されようと、抗体分子及び他の免疫グロブリンを含む。前記用語は、抗体結合ドメインを含む任意のポリペプチド又はタンパク質を包含する。特に、Fab、scFv、Fv、dAb、Fdなどである抗原結合ドメインを含む抗体断片;及びダイアボディが含まれる。これらについては、以下でより詳細に議論する。
【0057】
本発明の好ましい局面では、VH及びVLドメインの対を含む特異的抗体分子が好ましいが、VH又はVLドメイン配列のいずれかに基づく単一結合ドメインが、本発明の更なる局面を形成する。単一免疫グロブリンドメイン、特にVHドメインは、特異的に標的抗原に結合できることが知られている。
【0058】
したがって、本発明の他の局面では、このようなVHドメインを含む抗体分子のように、本発明の抗体分子の抗体VH可変ドメインのアミノ酸配列を有する抗体VH可変ドメインを単離型で提供することができる。
【0059】
単鎖結合ドメインのいずれかの場合には、これらドメインを用いて、sCTLA−4に結合することができる2−ドメイン抗体分子を形成することができる相補的なドメインについてスクリーニングすることができる。
【0060】
参照文献に記載されているもの等のファージディスプレー技術に従って、H又はL鎖のクローンを含有している個々のコロニーを使用して、他方の鎖(L又はH)をコードするクローンの完全なライブラリを感染させ、得られる二本鎖抗体分子を選択する、国際公開第92/01047号に開示されているようないわゆる階層的二重コンビナトリアルアプローチを使用するファージディスプレースクリーニング法によって、これを達成することができる。Marksらによる同書にもこの技術が開示されている。
【0061】
本発明の抗体分子は、抗体定常領域又はその一部を更に含んでもよい。例えば、VLドメインは、そのC末端で、ヒトCκ又はCλ鎖、好ましくはCκ鎖を含む抗体軽鎖定常領域に結合することができる。同様に、VHドメインに基いた抗体分子は、そのC末端で、任意の抗体アイソタイプ、例えばIgG、IgA、IgE、及びIgM、並びにアイソタイプサブクラスのいずれかに由来する免疫グロブリン重鎖の全て又は一部に結合することができる。国際公開第99/58572号に開示されているΔnab及びΔnacなどのFc領域を使用してもよい。
【0062】
国際公開第94/25591号は、単鎖結合ドメインの提供におけるラクダ科由来の免疫グロブリンのフレームワーク領域の有用性について論じている。他の態様において、抗体又はフレームワーク領域は、サメ等の軟骨魚類の免疫グロブリンに由来してもよい(例えば、J Immunol.2008年7月1日;180(11):7461−70を参照)。
【0063】
本発明のいくつかの好ましい態様における抗体分子は、F(ab)又はscFvなどの単量体断片である。このような抗体断片は、半減期が比較的短いという利点を有する場合がある。
【0064】
抗体配列に加えて、本発明に係る抗体分子は、例えば、折り畳まれたドメインなどのペプチド又はポリペプチドを形成する他のアミノ酸を含んでもよく、あるいは特異的にsCTLA4に結合する能力に加えて、別の機能特性(例えば、半減期の延長)を前記分子に付与してもよい。
【0065】
1つの態様では、本発明の抗体分子を、親水性部分、特にポリエチレングリコール(PEG)部分で改変し(前記親水性部分は、例えば、リジン、又はリンカー分子として機能し得る他の好適なアミノ酸若しくはアミノ酸類似体等のアミノ酸を通して各末端に共有結合する);そして、抗体を単離してもよい。
【0066】
当業者は、分子をタンパク質に化学的にコンジュゲートする多数のアプローチに気づいている。抗体分子が薬学的に使用するためのものである場合、前記共役結合は、循環において安定であるが、一旦コンジュゲートが細胞内で隔離されたら、不安定になることが好ましい。
【0067】
したがって、例えば、検出可能又は機能的標識で本発明の抗体分子を標識してもよい。検出可能な標識としては、131I又は99Tcなどの放射標識が挙げられ、これらは、抗体画像診断の分野において公知である従来の化学作用を使用して、本発明の抗体に結合することができる。また、標識は、ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識を含む。標識は、特定の同族の検出可能な部分、例えば、標識されたアビジンへの結合を介して検出できる、ビオチン等の化学部分を更に含む。好ましくは、標識は、FITCなどの蛍光標識を含む。
【0068】
本発明は、本発明の抗体分子をコードする単離核酸を更に提供する。核酸は、DNA及びRNAを含む。好ましい局面では、本発明は、本明細書に記載される本発明のCDR、VH、又はVLドメインをコードする核酸、及び本発明の抗体分子、VHドメイン及び/又はVLドメインを調製する方法であって、前記抗体分子、VHドメイン及び/又はVLドメインを産生する条件下で前記核酸を発現させる工程と、それを回収する工程とを含む方法を提供する。
【0069】
また、本発明は、上記のような少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、ベクター、転写物又は発現カセットの形態のコンストラクトを提供する。
【0070】
また、本発明は、上記のような1つ以上のコンストラクトを含む組換え宿主細胞を提供する。それをコードする核酸から発現させることを含む、コードされている産物の産生方法が行うように、任意のCDR、VH又はVLドメインをコードする核酸、又はそれ自体提供されるような抗体分子は、本発明の局面を形成する。発現は、適切な条件下で、核酸を含有している組換え宿主細胞を培養することにより、便利に達成することができる。発現による産生後、VH若しくはVLドメイン、又は抗体分子を任意の適切な技術を使用して単離及び/又は精製し、次いで、必要に応じて使用することができる。
【0071】
実質的に純粋又は相同な形態で、例えば、天然環境から単離及び/又は精製された、或いは、核酸の場合、必要な機能を備えるポリペプチドをコードする配列以外の核酸又は遺伝子源を含まないか、実質的に含まない本発明に係る抗体分子、VH及び/又はVLドメイン、及びコードする核酸分子及びベクターを提供することができる。本発明に係る核酸は、DNA又はRNAを含んでもよく、全体的に又は部分的に合成されてもよい。本明細書に記載されるヌクレオチド配列に対する言及は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、特定の配列を有するDNA分子を包含し、且つUがTで置換された特定の配列を有するRNA分子を包含する。
【0072】
様々な異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニング及び発現系は、周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳類細胞、酵母及びバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチド発現の分野において利用可能な哺乳類細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NSOマウスメラノーマ細胞、YB2/0ラット骨髄細胞及び他の多くの細胞を含む。一般的な好ましい細菌宿主は、大腸菌である。
【0073】
大腸菌などの原核細胞における抗体及び抗体断片の発現は、当技術分野においてよく確立されている。概説として、例えば、Plueckthun,A.Bio/Technology 9:545−551(1991年)を参照されたい。また、抗体分子の産生の選択肢として、培養物中の真核細胞における発現も当業者が利用可能であり、最近の概説としては、例えば、Ref,M.E.(1993年)Curr.Opinion Biotech.4:573−576;Trill J.J.ら(1995年)Curr.Opinion Biotech 6:553−560を参照されたい。
【0074】
必要に応じて、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び他の配列を含む適切な制御配列を含有する、適切なベクターを選択又は構築することができる。ベクターは、必要に応じて、例えば、「ファージ」又はファージミド等のプラスミド、ウイルスであってもよい。Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第3版,Sambrook及びRussell,2001年,Cold Spring Harbor Laboratory Press。例えば、核酸コンストラクトの調製、突然変異誘発、シーケンシング、細胞へのDNAの導入及び遺伝子発現、並びにタンパク質の分析における、核酸の操作のための多くの公知技術及びプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology,第2版,Ausubelら編,John Wiley & Sons,1992年に詳細に記載されている。
【0075】
したがって、本発明の更なる局面は、本明細書に開示される核酸を含むか、又は前記核酸で形質転換された宿主細胞を提供する。更なる局面は、宿主細胞にこのような核酸を導入することを含む方法を提供する。前記導入は、任意の利用可能な技術を使用してもよい。真核細胞については、好適な技術は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性トランスフェクション及びレトロウイルス又は他のウイルス、例えば、種痘疹を使用するトランスダクションを含んでよく、又は昆虫細胞については、バキュロウイルスである。細菌細胞については、好適な技術は、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション及びバクテリオファージを使用するトランスフェクションを含んでもよい。
【0076】
導入は、核酸から発現を引き起した後又は発現させた後、例えば、遺伝子を発現させる条件下で宿主細胞を培養した後であってもよい。
【0077】
1つの態様では、宿主細胞のゲノム(例えば染色体)に本発明の核酸を組み込む。標準的な技術に従って、ゲノムの組換えを促進する配列を含むことにより、組込を促進することができる。
【0078】
また、本発明は、上記のような抗体分子又はポリペプチドを発現させるために、発現系において上述のようなコンストラクトを使用することを含む方法を提供する。
【0079】
したがって、例えば、本発明は様々な局面において、以下を提供する:
配列番号2に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を示すVL領域、又は軽鎖CDRのうちの少なくとも1つ、具体的には少なくとも2つ、より具体的には少なくとも3つであるが、特に、天然のフレームワーク領域に埋め込まれている全てのCDRを含むその機能的部分をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0080】
配列番号4に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を示すVL領域、又は重鎖CDRのうちの少なくとも1つ、具体的には少なくとも2つ、より具体的には少なくとも3つであるが、特に、天然のフレームワーク領域に埋め込まれている全てのCDRを含むその機能的部分をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0081】
本明細書に開示される抗体VH可変ドメイン(配列番号3)及び/又はVL可変ドメイン(配列番号1)をコードする、一般的に単離されている核酸。
【0082】
本発明の別の局面は、本明細書に開示されるVH CDR又はVL CDR配列、特に、配列番号5、6、及び7から選択されるVH CDR又は配列番号8、9、及び10から選択されるVL CDR、最も好ましくはJMW−3B3 VH CDR3(配列番号7)をコードする、一般的に単離されている核酸を提供する。
【0083】
抗体VH可変ドメインの産生方法であって、コードする核酸から発現させる工程を含む方法。このような方法は、前記抗体VH可変ドメインを産生させる状態下で宿主細胞を培養する工程を含んでもよい。
【0084】
VL可変ドメイン、及びVH及び/又はVLドメインを含む抗体分子を産生するための類似の方法。
【0085】
産生方法は、生成物を単離及び/又は精製する工程を含んでもよい。
【0086】
産生方法は、生成物を薬学的に許容しうる賦形剤などの少なくとも1つの追加成分を含む組成物に製剤化する工程を含んでもよい。
【0087】
sCTLA−4特異的JMW−3B3抗体は、抗原特異的ヒト免疫反応、特に抗原特異的Tリンパ球細胞(T細胞)に対する強い増強効果を有する。この活性は、先行技術から予測することはできなかった。
【0088】
細胞表面の完全長CTLA−4機能に影響を与えることなく、選択的な標的指向化方法で、免疫原又は抗原投与に対するT細胞応答を高める、可溶性CTLA−4アイソフォームに特異的な抗体分子の能力は、かなりの有用性を有し、多くの疾患状況で利用することができる。
【0089】
したがって、本発明に係る抗体分子は、例えば、抗原特異的細胞の増殖、及びこれらの抗原特異的免疫反応のドライブに関与するサイトカイン分子の産生を促進することにより、抗原特異的Tリンパ球細胞応答を高めることができる場合がある。
【0090】
このような応答を測定するために、典型的なアッセイは、抗原、及びJMW−3B3抗−sCTLA−4抗体又は非特異的に結合するアイソタイプ対照抗体のいずれかの存在下又は不在下で、37℃、5%COにて5日間インキュベートされた精製末梢血単核細胞(PBMC)を含み得る。免疫反応をインビトロで発現させた後(典型的には4〜5日後)、JMW−3B3による免疫反応の増強を、ELISAによってエフェクターサイトカイン、例えば、インターフェロン−γを測定することによって判定することができる。
【0091】
「免疫原又は抗原投与」は、微生物、ウイルス、若しくは寄生虫病原体、癌細胞、又はこれらに由来するタンパク質免疫原及び抗原を含む、適応免疫反応を促進する任意の抗原投与として定義される。
【0092】
例えば、上記抗原特異的増強効果を有する本発明に係る抗体分子を、ヒト又は動物の身体の治療又は診断方法、例えば、ヒト患者における疾患又は障害を治療する方法(予防的治療を含んでもよい)であって、有効量の本発明の抗体分子を前記患者に投与することを含む方法等で使用してもよい。本発明に従って治療可能な状態は、本明細書の他の箇所に論じられるものを含む。
【0093】
本発明の更なる局面は、提供されるような抗体分子の投与を含む治療方法、このような抗体分子を含む医薬組成物、及び例えば、前記抗体分子を薬学的に許容しうる賦形剤と共に製剤化することを含む医薬又は医薬組成物を作製する方法において投与するための医薬の製造におけるこのような抗体分子の使用を提供する。
【0094】
したがって、本発明の異なる局面では、sCTLA−4に対して選択的な本発明の抗体分子を用いるsCTLA−4の機能的遮断を使用して、例えば以下のように抗原特異的免疫反応を高めることができる:
・免疫原性腫瘍に対する免疫反応の増強。
・抗腫瘍ワクチン剤の増強−特定の抗腫瘍免疫反応を生じさせるよう設計されたワクチンと併用されて特定の免疫反応を増強するためのアジュバント。
・ワクチン接種を用いて又は用いずに、細菌、ウイルス及び寄生虫を含む病原体に対する免疫反応の増強。
・感染後ワクチン接種−感染後に抗ウイルス免疫反応を増強するため。
【0095】
下記の通り、抗原の不在下で、免疫系の増強又は刺激が穏やかであるか又は存在しない(図4中の抗体の存在又は不在下における「0」μg/mLの抗原と比較して)という意味で、抗原特異的免疫反応の増強又は刺激は選択的であり得る。
【0096】
当業者は、本明細書の開示に照らして、sCTLA−4作用の遮断を用いて特異的免疫反応を高めるために有利な効果を与えることができる多くの適応又は疾患があるということを認識する。
【0097】
非限定的な例として、癌又は他の増殖性疾患の治療では、免疫原性腫瘍は、例えば、黒色腫、腎癌、リンパ腫、繊維肉腫、結腸癌、前立腺及び卵巣癌において標的とされる場合がある(50〜55)。
【0098】
感染症では、sCTLA4の遮断は、HIV(35、36)、線虫及びリーシュマニア属感染症(32、33)、また肺炎球菌莢膜多糖(34)に対する有効な免疫反応の増強において有用性を有する場合がある。
【0099】
他の免疫増強部分(例えば、GM−CSF、インターロイキン(IL−)2、又は特定の病原体由来の任意の免疫原性物質を含む他の特定のワクチン)と組み合わせて本発明の抗体分子を使用することができると認識される。
【0100】
本発明に従って、提供される組成物を個体に投与してもよい。投与は、好ましくは、「治療上有効量」で行われ、これは、患者に効果を示すのに十分な量である。このような効果は、少なくとも1つの症状を少なくとも改善することであり得る。投与される実際の量、並びに投与速度及び投与の時間的経過は、治療されるものの性質及び重症度に依存する。治療の指示、例えば、投薬量などに関する決定は、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内である。抗体の適切な用量は、当技術分野において周知である;Ledermann J.A.ら(1991年) Int.J.Cancer 47:659−664;Bagshawe K.D.ら(1991年) Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915−922を参照されたい。
【0101】
正確な用量は、抗体が診断用であるか治療用であるか、治療される領域の大きさ及び位置、抗体の正確な性質(例えば、抗体全体、断片又はダイアボディ)、及び任意の検出可能な標識又は抗体に結合する他の分子の性質を含む、多くの要因に依存する。典型的な抗体用量は、0.5mg〜1.0gであり、これをボーラスとして静脈内投与してもよい。投与の他のモードとしては、類似の合計累積量を得るための数時間にわたる静脈注射を含む。これは、成人患者の単回治療用の用量であり、これは小児及び幼児用に比例的に調節することができ、また、分子量に比例して他の抗体フォーマットに合わせて調節することもできる。治療は、医師の裁量で1日1回、週2回、週1回、又は月1回の間隔で繰り返してもよい。
【0102】
投与の更なるモードは、プレコーティング又は他の方法による留置装置への組込を使用し、そのために適切な実験によって最適な量の抗体を決定する。
【0103】
投与の更なるモードは、血漿のsCTLA−4を枯渇させることであり、これは、次いで、(例えばプラスマフェレーシスを介して)患者自身の血漿を交換してもよい。
【0104】
投与の更なるモードは、プレコーティング又は他の方法による留置装置への組込を使用し、そのために適切な実験によって最適な量の抗体を決定する。
【0105】
本発明の抗体分子は、通常、医薬組成物の形で投与され、それは抗体分子に加えて少なくとも1つの成分を含んでもよい。
【0106】
したがって、本発明に係る医薬組成物、及び本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分に加えて、薬学的に許容しうる賦形剤、担体、バッファ、安定剤、又は当業者に周知の他の物質を含んでもよい。このような物質は、無毒でなければならず、且つ活性成分の有効性に干渉してはならない。担体又は他の物質の正確な性質は、投与経路に依存し、それは、経口、又は例えば静脈内等への注入であってもよい。
【0107】
経口投与用医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末又は液体の形態であってもよい。錠剤は、ゼラチン又は佐剤などの固体の担体を含んでもよい。液体医薬組成物は、一般的に、水、石油、動物又は植物油、鉱油又は合成油などの液体担体を含む。生理食塩液、デキストロース又は他の糖溶液、又は、エチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコールを含んでもよい。
【0108】
静脈内注射、又は罹患部位における注入については、活性成分は、発熱物質を含まず、且つ適切なpH、等張性及び安定を有する、非経口的に許容しうる水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注入、リンゲル液注入、乳酸加リンゲル液注入などの等張性ビヒクルを使用して、好適な溶液をよく調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、バッファ、酸化防止剤及び/又は他の添加剤を含んでもよい。
【0109】
組成物は、単独で投与してもよく、又は治療される状態に依存して同時に若しくは順次他の治療と組み合わせてもよい。他の治療としては、非ステロイド系抗炎症薬(例えばアスピリン、イブプロフェン又はケトプロフェン)等の鎮痛薬、あるいはモルヒネ、又は抗催吐薬等のアヘン製剤を好適な用量投与することを含み得る。
【0110】
本発明の抗体分子は、完全長細胞表面CTLA−4及びsCTLA−4の代替アイソフォームの両方に関係する個々の制御的機能の細かい分析において有用性を有する。
【0111】
例えば、身体、又は細胞若しくは組織におけるsCTLA4の濃度又は存在を決定するための検出方法において本発明に係る抗体分子を使用してもよい。
【0112】
本発明は、本明細書において提供されるような抗体分子のsCTLA−4への結合を引起すか又は可能にすることを含む方法を提供する。上述のように、このような結合は、例えば、抗体分子又は抗体分子をコードする核酸の投与後、インビボで生じる場合もあり、あるいは、ELISA、ウェスタンブロッティング、免疫細胞化学、免疫沈澱反応、アフィニティークロマトグラフィー、フローサイトメトリー等において、インビトロで生じる場合もある。
【0113】
抗体分子がsCTLA−4に結合する量を決定することができる。定量は、試験サンプルにおけるsCTLA−4の量と関係している場合があり、それは診断対象、例えば、高い又は低い血清濃度のsCTLA−4に関連する疾患又は適応であり得る。このような方法は、インビトロで、例えば、関連する個体から既に得られているサンプルに対して実施してもよい。
【0114】
現在、いくつかの自己免疫疾患、例えば、自己免疫甲状腺疾患、強皮症、活性全身性エリテマトーデスを含む疾患の患者において高濃度のsCTLA−4が検出される場合があると幾つかの科学文献に報告されている(42〜48)。報告によれば、喘息患者においても可溶性CTLA−4が検出された(49)。したがって、sCTLA−4に選択的な抗体分子の使用は、これらの疾患又は適応のいずれか、又は高血清濃度又は低血清濃度のsCTLA−4に関連している任意の他のものの調査において、そして、必要に応じて、診断又は評価において有用性を有し得る。
【0115】
任意の適切な手段によって、サンプルに対する抗体の反応性を判定することができる。放射免疫定量法(RIA)は、1つの可能性である。放射性標識されたsCTLA−4を標識されていないsCTLA−4(試験サンプル)と混合し、抗体に結合させる。結合したsCTLA−4を、結合していないsCTLA−4から物理的に分離し、抗体に結合している放射性sCTLA−4の量を決定する。試験サンプル中に存在するsCTLA−4が多いほど、抗体に結合する放射性sCTLA−4が少ないであろう。sCTLA−4又はレポーター分子に結合する類似体を使用して、非放射性sCTLA−4との競合結合アッセイを使用してもよい。リポーター分子は、スペクトルで単離される吸収又は放射特性を備えた蛍光色素、リン光体又はレーザ色素であってもよい。適切な蛍光色素としては、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン及びテキサスレッドが挙げられる。好適な色原体色素としては、ジアミノベンジジンが挙げられる。
【0116】
他のリポーターとしては、有色、磁気、又は常磁性であるラテックスビーズ等の巨大分子のコロイド粒子又は微粒子物質、及び視覚的に観察されるか、電子的に検出されるか、又は他の方法で記録される検出可能なシグナルを直接又は間接的に生じさせることができる生物学的又は化学的活性剤が挙げられる。例えば、これら分子は、顕色又は変色させるか、又は電気的性質の変化を引起す反応を触媒する酵素であってもよい。エネルギー状態間の電子移動が特徴的なスペクトルの吸収又は放射を生じさせるように、それらは分子的に興奮性であってもよい。それらは、バイオセンサーと共に使用される化学実体を含んでもよい。ビオチン/アビジン又はビオチン/ストレプトアビジン及びアルカリホスファターゼ検出系を使用してもよい。
【0117】
サンプル(正常及び試験)における関連する抗体の結合の定量的絶対又は相対データを得るために個々の抗体−リポーターコンジュゲートによって生じるシグナルを使用してもよい。
【0118】
また、本発明は、競合アッセイにおけるsCTLA−4濃度を測定するための上記抗体分子の使用、即ち、競合アッセイにおいて本発明によって提供される抗体分子を使用することにより、サンプル中のsCTLA−4レベルを測定する方法を提供する。これは、結合しているsCTLA−4を結合していないsCTLA−4から物理的に分離することが必要ではない場合であり得る。結合時に物理的又は光学的変化が生じるようにリポーター分子を抗体分子に結合させることが1つの可能性である。リポーター分子は、直接又は間接的に、検出可能なシグナル、好ましくは測定可能なシグナルを生じさせることができる。リポーター分子の結合は、例えば、ペプチド結合又は非共有結合を介する、直接又は間接的共有結合であってもよい。ペプチド結合を介する結合は、抗体及びリポーター分子をコードする遺伝子融合物の組み換え発現の結果である場合もある。
【0119】
また、本発明は、例えば、バイオセンサシステムにおいて本発明に係る抗体分子を使用することにより、sCTLA−4レベルを直接測定することを提供する。
【0120】
また、本発明に係る抗体分子は、様々な文脈における研究ツールとしての有用性を有する。非限定的な例として、それらを使用して、サンプルにおけるsCTLA−4の相対量を測定することができる。前記分子を使用して、多くの技術を利用して、細胞、血清、血漿又は細胞培養上清におけるsCTLA−4の存在を検出することができる。蛍光標識(例えばフィコエリトリン)にコンジュゲートしたとき、分子は、フローサイトメトリー又は蛍光顕微鏡によって細胞、例えば、T細胞中のsCTLA−4を検出することができる。ELISAを使用して、血清を含む流体におけるsCTLA−4の存在を検出することができる。また、前記抗体分子を使用して、アフィニティークロマトグラフィーを用いて流体からsCTLA−4を吸着させ、精製することができる。更に、活性化因子の存在下で、精製末梢血単核細胞又は精製細胞サブセット(例えば、T細胞)にそれを添加することにより、インビトロにおけるsCTLA−4の機能を調査するためにそれらを使用することができる。
【0121】
これらの用途のいずれかにおいて結合を判定する方法は、それ自体本発明の特徴ではなく、当業者は、嗜好及び一般知識に従って適切な方法を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】モノクローナル抗−sCTLA−4抗体であるJMW−3B3の可変軽鎖フレームワーク及び相補性決定領域にアノテーションをつけたヌクレオチド及びアミノ酸配列である。
【図2】モノクローナル抗−sCTLA−4抗体であるJMW−3B3の可変重鎖フレームワーク及び相補性決定領域にアノテーションをつけたヌクレオチド及びアミノ酸配列。
【図3】既存の抗体は、CTLA−4の主形態全て−リンパ球、例えばCD4T細胞の表面上のCTLA−4及び天然可溶性CTLA−4の両方−に結合する。JMW−3B3は、可溶型のみが有するタンパク質配列を標的として天然可溶型ヒトCTLA−4のみに結合する。時に、CTLA−4の人工の組み換え型(CTLA4−Ig)が、文献中で可溶性CTLA−4と呼ばれることもあることに留意すべきである。JMW−3B3は、いずれの形態にも結合しない。
【図4a】ヒト可溶性CTLA−4に特異的なモノクローナル抗体であるJMW−3B3は、抗原特異的免疫反応を増強する。JMW−3B3の存在下又は不在下で、37℃、5%CO2にて5日間、漸増量のヒト結核菌(PPD)の精製タンパク質誘導体と共に末梢血単核細胞(1ウェル当り100万、1mLの培養培地)をインキュベートした。グラフは、抗体の添加が、免疫細胞増殖を増強し(上図)、且つエフェクターサイトカインであるインターフェロン−γの産生を増加させることを示す。
【図4b】抗−sCTLA−4モノクローナル抗体であるJMW−3B3による抗原特異的免疫反応の増強。抗−sCTLA−4 mAbであるJMW−3B3又はIgG1アイソタイプ対照の存在下で、0又は5μg mL−1のPPDリコール抗原のいずれかによってPBMCを刺激したときのIFN−γ及び細胞増殖の差を実証する6つの別々の実験から得られたデータ。
【図5】全特異的抗−CTLA−4抗体によるCTLA−4の検出と可溶性CTLA−4選択的抗体JMW−3B3とを比較するELISA。一般的な全特異的抗CTLA−4抗体を用いて、11人の健常ボランティアドナーの血清中に存在するCTLA−4を捕捉した。リン酸塩緩衝食塩水中の2%のスキムミルク製品でプレートをブロッキングした。ビオチン化全特異的抗−CTLA−4抗体又はビオチン化sCTLA−4選択的抗体であるJMW−3B3のいずれかを用いてCTLA−4の存在を検出した。次いで、ストレプトアビジンとコンジュゲート化しているアルカリホスファターゼを用いて各場合において結合しているビオチン化抗体の存在を検出した。共通のホスファターゼ基質を用いてプレートを顕色させて、405nmのフィルタを備えた分光光度計を使用して色の変化を検出した。
【図6】抗−sCTLA−4モノクローナル抗体であるJMW−3B3による、腫瘍に関連する癌胎児抗原(CEA)特異的免疫反応の増強。抗−sCTLA−4 mAbであるJMW−3B3又はIgG1アイソタイプ対照(無し)の存在下で0又は10μg mL−1のCEA抗原のいずれかを用いてPBMCを刺激した。
【図7】抗−sCTLA−4であるJMW−3B3は、血清及び培養液上清において、真の天然可溶性CTLA−4と細胞外膜結合型CTLA−4(mCTLA−4)とを識別する。mCTLA−4の細胞外部分はエキソン2にコードされ、sCTLA−4、mCTLA−4及びCTLA−4の組み換え可溶型であるCTLA4−Igにおいて同一である。JMW−3B3はsCTLA−4特有のC末端領域に対して産生されるので、それは、細胞外CTLA−4ドメインと交差反応しない。CTLA−4の細胞外ドメインに特異的な、2つのビオチン化全特異的抗CTLA−4検出mAbs(クローンAS−33及び14D3)を、典型的なサンドイッチELISAにおいて、CTLA4をJMW−3B3と結合させる能力について比較した。全特異的抗−CTLA−4 mAb(クローンBNI3)を捕捉抗体として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0123】
用語
抗体分子
用語「抗体分子」は、本明細書で使用するとき、公知の抗原に結合する分子又は分子の活性断片、特に、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、免疫特異的に抗原と結合する結合部位を含む分子を指すと理解される。本発明に係る免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の種類(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA及びIgY)又はクラス(IgGI、lgG2、lgG3、lgG4、IgAI及びlgA2)又はサブクラスであってもよい。
【0124】
抗体分子は、天然であってもよく、部分的に又は全体的に合成されてもよい。
【0125】
本発明の範囲内になるように意図される抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラの単鎖、二重特異的又は二重有効的、サル化、ヒト及びヒト化抗体に加えて、その活性断片を含む。公知抗原と結合する分子の活性断片(抗原結合ドメインを含む)の例は、Fab、F(ab’)、scFv、Fv及びFab免疫グロブリン発現ライブラリの生成物、並びに抗体及び断片のいずれかのエピトープ結合断片に加えて、dAb、Fd;ダイアボディ等も含む。
【0126】
結合断片の例は、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるFAb断片;(ii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVL及びVHのドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward,E.S.ら,Nature 341,544−546(1989年));(v)単離CDR領域;(vi)F(ab’)2断片、2つの結合したFab断片を含む二価断片;(vii)、VHドメイン及びVLドメインが、2つのドメインを結合させて抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによって結合される単鎖Fv分子(scFv)(Birdら,Science,242,423−426,1988年;Hustonら,PNAS USA,85,5879−5883,1988年);(viii)二重特異的単鎖Fv二量体(国際出願PCT/US92/09965号)、及び(ix)遺伝子融合によって構築される多価又は多重特異的断片である「ダイアボディ」(国際公開第94/13804号;P.Holligerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6444−6448,1993年)。VH及びVLのドメインを結合させるジスルフィド架橋の組込によって、Fv、scFv又はダイアボディ分子を安定させることができる(Y.Reiterら,Nature Biotech,14,1239−1245,1996年)。CH3ドメインに結合したscFvを含むミニボディを作製してもよい(S.Huら,Cancer Res.,56,3055−3061,1996年)。
【0127】
二重特異性抗体を使用する場合、これらは従来の二重特異性抗体であってもよく、例えば、化学的に若しくはハイブリッドハイブリドーマから調製する等の様々な方法で製造することができ(Holliger,P.及びWinter G.Current Opinion Biotechnol.4,446−449(1993年))又は上述の二重特異的抗体断片のいずれかであってもよい。可変ドメインのみを用いて、Fc領域を用いずにダイアボディ及びscFvを構築して、抗イディオタイプの反応の作用を潜在的に弱めることができる。
【0128】
容易に構築し、且つ大腸菌で発現させることができるので、二重特異的ダイアボディは、二重特異的抗体全体とは対照的に、特に有用であり得る。適切な結合特異性のダイアボディ(及び抗体断片などの他の多くのポリペプチド)は、ライブラリからファージディスプレー(国際公開第94/13804号)を使用して容易に選択することができる。例えば、ダイアボディの一方の腕をsCTLA−4に対する特異性について一定に保つ場合、他の腕を変化させ、適切な特異性の抗体を選択するライブラリを作製することができる。二重特異的抗体全体は、knobs−into−holes操作によって作製することができる(J.B.B.Ridgewayら,Protein Eng.,9,616−621,1996年)。
【0129】
モノクローナル及び他の抗体をとり、組換えDNA技術のテクニックを使用して、オリジナル抗体の特異性を保持する他の抗体又はキメラ分子を生成することが可能である。このような技術は、様々な免疫グロブリンの定常領域、又は定常領域及びフレームワーク領域に、抗体の免疫グロブリン可変領域又は相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを導入することを含んでもよい。例えば、欧州特許出願公開EP−A−184187号、英国特許出願公開第2188638A号又は欧州特許出願公開EP−A−239400号を参照されたい。ハイブリドーマ又は抗体を産生する他の細胞は、産生される抗体の結合特異性を変化させても、変化させなくてもよい遺伝子突然変異又は他の変更に供してもよい。
【0130】
抗体の活性断片を単離するための一般的技術の更なる説明については、例えば、Khaw,B.A.ら,J.Nucl.Med.23:1011−1019(1982年);Rousseauxら,Methods Enzymology,121:663−69,Academic Press,1986年を参照されたい。
【0131】
抗原結合ドメイン
本明細書で使用される場合、これは、特異的に結合し、抗原の一部又はすべてに対して相補的な領域を含む抗体分子の一部について記載する。抗原が大きい場合、抗体は、抗原の特定部分にのみ結合する場合があり、この部分は、エピトープと呼ばれる。
【0132】
この文脈における「特異的結合」は、ファンデルワールス力又は他の非特異的タンパク質:タンパク質相互作用からのみ生じる非特異的結合とは対照的に、抗原結合ドメインとその結合パートナーとの高次構造間の特定の相互作用から生じる結合に関すると理解される。
【0133】
CDR
用語「CDR」は、抗体の超可変領域を指す。用語「超可変領域」、「HVR」又は「HV」は、本明細書において使用するとき、配列が超可変である及び/又は構造上規定されているループを形成する抗体の可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は6つの超可変領域を含む;3つはVH(H1、H2、H3)に3つはVL(L1、L2、L3)に存在する。多くの超可変領域の描写が使用されており、本明細書に包含される。カバットの相補性決定領域は、配列の可変性に基づいており、最も一般的に用いられる(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991年))。
【0134】
本発明のCDRを有する構造は、一般に、再配置された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる天然VH及びVL抗体可変ドメインのCDRに相当する箇所にCDRが位置する、抗体重鎖若しくは軽鎖配列、又はこれらの実質的な部分である。
【0135】
本発明において使用される可変ドメインは、任意の生殖細胞系列又は再配置されたヒト可変ドメインから得てもよく、公知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づく合成可変ドメインであってもよい。本発明のCDR配列(例えばCDR3)を、組換えDNA技術を使用して、CDR(例えばCDR3)が欠失している可変ドメインのレパートリに導入してもよい。
【0136】
更なる選択肢は、1つ以上の選択されたVH及び/又はVL遺伝子のランダム変異導入法を使用して、本発明のCDR由来配列を有する新規VH又はVLを生成して、可変ドメイン全体に突然変異を生じさせることである。このような技術は、エラープローンPCRを用いてGramら(1992年,Proc.Natl.Acad.Sci,USA,89:3576−3580)によって記載されている。
【0137】
ヒト化抗体
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分は、1つ(又はそれ以上の)ヒト免疫グロブリンに由来する改変抗体の1種を指す。更に、結合能を保存するためにフレームワーク支持残基を変化させてもよい。「ヒト化抗体」を得る方法は、当業者に周知である。(例えば、Queenら,Proc.Natl.Acad Sci USA,86:10029−10032(1989年),Hodgsonら,Bio/Technology,9:421(1991年)を参照されたい)。
【0138】
また、「ヒト化抗体」は、例えば、ウサギなどの大動物における親和性成熟されたヒト様ポリクローナル抗体の産生を可能にする新しい遺伝子工学アプローチによって得ることもできる(例えば、米国特許第7,129,084号を参照されたい)。
【0139】
モノクローナル抗体
用語「モノクローナル抗体」は、当技術分野においてよく認識されており、単一のクローンから研究所で大量生産され、且つ唯1つの抗原を認識する抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的に、通常短命である抗体産生B細胞を、癌細胞(時に「不死」細胞と呼ばれる)などの急成長する細胞に融合させることにより産生される。得られるハイブリッド細胞、即ち、ハイブリドーマは、急速に増殖して、大量の抗体を生成するクローンを産生する。本発明の目的のために、「モノクローナル抗体」は、まだ十分な単クローン性に達していない母クローンによって産生される抗体も含むと理解される。
【0140】
機能的に等価な抗体
本発明の範囲内の「機能的に等価な抗体」とは、少なくとも1つの主な機能的性質、例えば、sCTLA−4に対する結合特異性が挙げられるが、これらに限定されない、本明細書に記載される機能的性質をJMW−3B3と実質的に共有する抗体を指す。
【0141】
免疫原及び抗原
「免疫原」は、適応免疫反応を誘導することができる任意の物質であると定義され、一方、「抗原」は、適応免疫系の細胞によって(免疫反応の観点で)認識され得る任意の物質である。
【0142】
含む
これは、「包含する」、即ち、1つ以上の特徴又は構成要素の存在を許容するという意味で一般的に用いられる。
【0143】
単離
これは、本発明の抗体分子、又はこのような抗体分子をコードする核酸が、一般に本発明に従うという状態を指す。メンバー及び核酸は、天然環境、又はインビトロ若しくはインビボで実施される組換えDNA技術によって調製されるとき、調製される環境(例えば、細胞培養物)中で見出される他のポリペプチド又は核酸等の自然界で関連している物質を含まないか、実質的に含まない。メンバー及び核酸を希釈剤又は佐剤と共に製剤化してもよく、更に実際的な目的のために単離してもよい―例えば、メンバーは、通常、免疫アッセイで使用するためのマイクロタイタープレートをコーティングするために用いられる場合、ゼラチン又は他の担体と混合される、或いは、診断又は治療で用いるとき、薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と混合される。抗体分子は、天然又は異種の真核細胞系(例えばCHO、NSO(ECACC 85110503)細胞)のいずれかによって糖鎖形成してもよく、又は糖鎖形成しなくてもよい(例えば、原核細胞における発現により産生される場合)。
【0144】
変異体配列
「記載されるように実質的に」とは、関連する本発明のCDR又はVH若しくはVLドメインが、配列が本明細書に記載される特定の領域と同一であるか、又は非常に類似していることを意味する。「非常に類似している」とは、CDR及び/又はVH又はVLドメインにおいて1〜5、好ましくは1〜4、例えば、1〜3又は1若しくは2又は3若しくは4つのアミノ酸置換が行われてもよいと考えられる。
【0145】
2つの配列間の「相同性」は、配列同一性によって決定される。互いと比較される2つの配列の長さが異なる場合、配列同一性は、好ましくは、長い方の配列のヌクレオチド残基と同一であるより短い方の配列のヌクレオチド残基の割合に関する。配列同一性は、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive Madison,Wis.53711)などのコンピュータプログラムを使用して従来通り決定することができる。Bestfitは、2つの配列間で最も高い配列同一性を有するセグメントを見つけるために、Smith及びWaterman,Advances in Applied Mathematics 2(1981年),482−489の局所相同性アルゴリズムを利用する。Bestfit又は特定の配列アラインメントプログラムを用いて、特定の配列が、本発明のレファレンス配列と例えば95%の同一性を有するかどうかを判定するとき、同一性の割合がレファレンス配列全体に対して計算され、且つレファレンス配列中のヌクレオチドの総数の5%以下の相同性ギャップが許容されるように、パラメータを調整することが好ましい。Bestfitを使用する場合、所謂任意パラメータが、それらのプリセット(「デフォルト」)値に残っていることが好ましい。所与の配列と本発明の上記配列との間の比較に出現する偏差は、例えば、付加、欠失、置換、挿入、又は組換えによって引き起こされる場合がある。また、このような配列比較は、好ましくは、プログラム「fasta20u66」(バージョン2.0u66、1998年9月、William R.Pearson and the University of Virginiaによる;またW.R.Pearson(1990年),Methods in Enzymology 183,63−98の添付例及びhttp://workbench.sdsc.edu/を参照されたい)を用いて実行される。この目的のために、「デフォルト」パラメータ設定を使用してもよい。
【0146】
本明細書で使用するとき、「保存的変化」は、ネイティブなタンパク質と比較したとき、それぞれ、突然変異体ポリペプチドの三次構造に最低限の変化を生じさせるか、又は突然変異体ポリペプチドの抗原決定基において最低限の変化を生じさせる、実質的に高次構造的又は抗原的に中立である変化を指す。本発明の抗体及び抗体断片に言及する場合、保存的変化は、抗体を対象エピトープに結合させなくすることのないアミノ酸置換を意味する。当業者は、高次構造的且つ抗原的に中立である高確率を維持しながら、どのアミノ酸置換を行い得るかを予測することができる。このような指針は、例えば、Berzofsky,(1985)Science 229:932−940及びBowieら(1990年)Science 247:1306−1310に提供されている。高次構造的及び抗原的中立性を維持する可能性に影響を与えると考えられる要因としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(a)疎水性残基がタンパク質の内部に位置する可能性が高いので、疎水性アミノ酸の置換は抗原性に影響を与える可能性が低い;(b)置換アミノ酸がネイティブなアミノ酸に構造上類似しているので、生理化学的に類似したアミノ酸の置換は高次構造に影響を与える可能性が低い;及び(c)進化的に保存されている配列の変化は、アミノ酸配列が機能的重要性を有する可能性があることを示唆しているので、このような保存は、高次構造に悪影響を及ぼす可能性がある。当業者は、顕微鏡補体固定試験(例えば、Wassermanら(1961年)J.Immunol.87:290−295;Levineら(1967年)Meth.Enzymol.11:928−936を参照されたい)及び高次構造依存性モノクローナル抗体を用いる結合試験を通じて(例えば、Lewisら(1983年)Biochem.22:948−954を参照されたい)等であるが、これらに限定されない周知のアッセイを使用して、タンパク質の高次構造の変化を評価することができる。
【0147】
このような当技術分野において公知である上記技術の全てが、本発明の一部を形成する訳ではない。当業者は、このような技術を使用して、当技術分野における常法を用いて本発明の抗体分子を提供することができる。
【0148】
便宜上、本明細書には任意の副題が含まれるが、いかなる方法でも本開示を限定すると解釈するべきではない。
【0149】
更に以下の非限定的な図及び実施例を参照して本発明を記載する。当業者は、これらに照らして本発明の他の態様を思いつくであろう。
【0150】
当業者は、本発明を実施するためにそれを使用してもよいので、本明細書に引用される全ての参照文献の開示は、相互参照によって本明細書に具体的に組み込まれるものとする。
【0151】
配列
配列番号1は、JMW−3B3 VLをコードするヌクレオチド配列である。
配列番号2は、JMW−3B3 VLのアミノ酸配列である。
配列番号3は、JMW−3B3 VHをコードするヌクレオチド配列である。
配列番号4は、JMW−3B3 VHのアミノ酸配列である。
配列番号5は、VHアミノ酸配列(配列番号4)内のJMW−3B3 VH CDR1である。
配列番号6は、VHアミノ酸配列(配列番号4)内のJMW−3B3 VH CDR2である。
配列番号7は、VHアミノ酸配列(配列番号4)内のJMW−3B3 VH CDR3である。
配列番号8は、VLアミノ酸配列(配列番号2)内のJMW−3B3 VL CDR1である。
配列番号9は、VLアミノ酸配列(配列番号2)内のJMW−3B3 VL CDR2である。
配列番号10は、VLアミノ酸配列(配列番号2)内のJMW−3B3 VL CDR3である。
配列番号11は、sCTLA4のC末端タンパク質配列(A116−M137)である。
【0152】
図1及び2に上記の配列をすべて示す。矢印で、抗原結合部位を作製する超可変性相補性決定領域(CDR)を示す。
【実施例】
【0153】
実験
JMW−3B3は、ヒトsCTLA−4に特異的なマウスIgG1λ mAbである(図1及び2を参照)。
【0154】
図3は、JMW−3B3 mAbが現在の全特異的抗−CTLA−4抗体とどのように異なるのかを専門用語を用いずに例証する。
【0155】
JMW−3B3 mAbは、sCTLA−4のC末端領域内に存在するエピトープに対して増加し、それを認識した。
【0156】
Balb/cマウスを、キャリアタンパク質であるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコンジュゲート化しているヒトsCTLA−4のc−末端を表すペプチドで免疫した。マウスを、3週間間隔で皮下に2度免疫した。最初の免疫は、完全フロインドアジュバントのエマルション中に懸濁させたペプチド−KLH(1mg/mL)を含んでいた。次の免疫は、同じペプチド−KLH濃度であるが、不完全フロインドアジュバントの懸濁液で適用した。屠殺の1週間前に、無菌生理食塩水中のペプチド−KLHをマウスに腹腔内注入した。広く利用可能な標準プロトコルを使用して、脾臓のB細胞に由来するハイブリドーマの調製、選択及び維持を行った。不死化細胞株の融合パートナーは、Health Protection Agency Culture Collection,Salisbury,UK (ECACC)製のSP2/0−Ag14であった。研究所で開発されたペプチドELISAを使用して、推定上の抗−sCTLA−4抗体を産生するハイブリドーマの検出を行った。ヒト可溶性CTLA−4のC末端配列を表すペプチドを、37℃で一晩水中50μg/mLにてGreiner 3912可撓性96ウェルELISAプレート上にコーティングした。この期間中にペプチド溶液を完全に蒸発させ、次いで、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)で2度プレートを洗浄し、36℃で1時間PBS中の2%Marvelでブロッキングした。アルカリホスファターゼにコンジュゲート化している抗マウスIgG Fc特異的試薬で検出する前に、プレート上でハイブリドーマ細胞培養物(約100の活発に成長しているハイブリドーマ)からサンプリングされた上清をインキュベートした。ホスファターゼ基質でプレートを顕色させ、405nmにおける吸収度の増加によって陽性ウェルを検出した。sCTLA−4ペプチドについて陽性のハイブリドーマを液体窒素下で保存した。典型的な限界希釈プロトコルを使用して、ハイブリドーマJMW−3B3を2度クローニングし、血清から精製されたsCTLA−4を使用して、ネイティブなsCTLA−4分子に結合する能力を試験した。
【0157】
正常なドナー末梢血単核細胞(PBMC)の細胞培養物への抗体の添加は、抗原特異的免疫反応を増強する。特に、抗原刺激がない状態における抗体の刺激作用は、穏やか〜存在しない。図4(a)は、JMW−3B3の刺激活性の例を示す。健康なドナーに由来するPBMCを、漸増量のヒト結核菌(PPD)のリコール抗原の精製タンパク質誘導体の量の存在下で、且つ10μg/mLのJMW−3B3の存在下又は不在下で、インビトロにおいてインキュベートした。JMW−3B3の存在下で、PPD特異的免疫反応は、細胞増殖の増加及びエフェクターサイトカインであるインターフェロン−γの産生の両方の点で増強される。図4(b)は、PPDを使用した更なる調査の結果を示す。
【0158】
興味深いことに、免疫反応の増強は抗原の存在に依存していた。事実、sCTLA−4の抗体遮断は、免疫系に対して非常に選択的な正の効果を有していた。この増強を実証する実験を少なくとも4回繰り返したところ、同じ結論が得られた。
【0159】
図6は、JMW−3B3及び対照の存在下における、CEAに対する免疫反応の増強を示す。
【0160】
別の実験では、11人の正常なドナーに由来する血清をsCTLA−4の存在について試験した。JMW−3B3を一般に用いられている全特異的抗ヒトCTLA−4抗体と比較した、捕捉ELISA技術を使用した(図5)。この場合、2つの陽性サンプルは両方とも各抗体によって同定されたが、全特異的抗−CTLA−4抗体は更に3つの陽性サンプルを同定した。これらは、sCTLA−4エピトープを有していないので、分解されたsCTLA−4又は表面膜から切断されたCTLA−4のいずれかである可能性がある。これは、機能的なsCTLA−4の同定におけるJMW−3B3抗体の選択的な性質を実証し;これは、図7にも実証されている。
【0161】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ球の表面上におけるCTLA−4に対する結合を本質的に示さない、sCTLA−4に特異的に結合する抗体分子であって、前記抗体の存在下で免疫原又は抗原投与に対する抗原特異的免疫反応を選択的に高める方法で使用するための抗体分子。
【請求項2】
アミノ酸配列AKEKKPSYNRGLCENAPNRARM(配列番号11)内のsCTLA−4エピトープに結合する請求項1に記載の抗体分子。
【請求項3】
リンパ球の表面上におけるCTLA−4に対する結合を本質的に示さず、sCTLA−4に特異的に結合する、及び/又はアミノ酸配列AKEKKPSYNRGLCENAPNRARM(配列番号11)内のsCTLA−4エピトープに結合する、モノクローナル抗体若しくは機能的に等価な抗体、又はいずれかの機能的な部分である抗体分子。
【請求項4】
(i)配列番号4に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むVHドメイン、又は配列番号5、6、及び7から選択されるポリペプチド配列を有する重鎖CDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つを含むその機能的部分、及び/又は
(ii)配列番号2に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は配列番号8、9、及び10から選択されるポリペプチド配列を有する軽鎖CDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つを含むその機能的部分、
を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項5】
(i)JMW−3B3 VHドメイン(配列番号4)の変異体若しくは配列番号7、5、及び6から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDRの変異体を含む変異体抗体のVHドメイン;及び/又は
(ii)JMW−3B3 VLドメイン(配列番号4)の変異体若しくは配列番号8、9、及び10から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDRの変異体を含む変異体抗体のVLドメイン、を含み、
いずれの場合も、変異体配列が、VH若しくはVLドメイン、又はCDRと比較して、20未満の変化、約15未満の変化、約10未満の変化、又は約5、4、3、2若しくは1未満のアミノ酸配列の変化を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項6】
(i)JMW−3B3 VHドメイン(配列番号4)並びに配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3、及び場合により、配列番号5及び6から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のVH CDRを含むVHドメイン、からなる群より選択される抗体VHドメイン、及び/又は
(ii)JMW−3B3 VLドメイン(配列番号2)並びに配列番号8、9、及び10から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のVL CDRを含むVLドメインからなる群より選択される抗体VLドメイン、を含む抗体分子。
【請求項7】
JMW−3B3 VHドメイン(配列番号4)を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項8】
JMW−3B3 VLドメイン(配列番号2)を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項9】
JMW−3B3 VHドメイン(配列番号4)及びJMW−3B3 VLドメイン(配列番号2)を含む抗体のsCTLA−4結合ドメインとsCTLA−4に対する結合について競合する請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項10】
抗原特異的Tリンパ球の細胞応答を高めることができる、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項11】
モノクローナル抗体JMW−3B3若しくは機能的に等価な抗体又はいずれかの機能的部分である、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項12】
抗体断片又は抗原結合ドメインを含むか、抗体断片又は抗原結合ドメインからなるか、或いは抗体断片又は抗原結合ドメインから本質的になり、且つFab、scFv、Fv、F(ab’)から選択される請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項13】
抗体定常領域を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項14】
抗体全体である請求項13に記載の抗体分子。
【請求項15】
ヒト化抗体を含む請求項14に記載の抗体分子。
【請求項16】
抗原に結合する能力に加えて、更なる機能特性を提供する更なるアミノ酸を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項17】
配列番号4に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号5、6、及び7から選択されるポリペプチド配列を有する重鎖CDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つを含む機能的部分を含むVHドメイン。
【請求項18】
配列番号2に示される配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列、又は配列番号8、9、及び10から選択されるポリペプチド配列を有する軽鎖CDRのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つを含む機能的部分を含むVLドメイン。
【請求項19】
配列番号5〜10から選択されるアミノ酸配列を含むCDR。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の抗体分子又は抗体VH若しくはVLドメイン又はCDRをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。
【請求項21】
請求項20に記載の核酸で形質転換された宿主細胞。
【請求項22】
抗体分子又は抗体VH若しくはVLドメイン又はCDRを産生する方法であって、前記抗体分子又は抗体VH若しくはVLドメインを産生する条件下で請求項21に記載の宿主細胞を培養することを含む方法。
【請求項23】
前記抗体分子又は抗体VH若しくはVL可変ドメインを単離及び/又は精製することを更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体分子又は抗体VH若しくはVL可変ドメインを少なくとも1つの追加成分を含む組成物に製剤化することを更に含む請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
リンパ球の表面上におけるCTLA−4に対する結合を本質的に示さない、sCTLA−4に特異的に結合する抗体分子を得る方法であって、
(i)JMW−3B3のVHドメイン(配列番号4)のアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、置換、又は挿入を介して、各々がJMW−3B3のVHドメインのアミノ酸配列変異体である1つ以上のVHドメインを提供する工程と、
(ii)任意で、前記のように提供される1つ以上のVHドメインアミノ酸配列変異体を1つ以上のVLドメインと組み合わせて、1つ以上のVH/VLの組み合わせを提供する工程と;及び/又は
(iii)JMW−3B3のVLドメイン(配列番号2)のアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、置換、又は挿入を介して、JMW−3B3のVLドメインのアミノ酸配列変異体であるVLドメインを提供する工程と、
(iv)前記のように提供される1つ以上のVLドメインアミノ酸配列変異体を1つ以上のVHドメインと組み合わせて、1つ以上のVH/VLドメインの組み合わせを提供する工程と;
(v)任意で、前記VHドメインのアミノ酸配列変異体又はVH/VLの組み合わせを試験して、リンパ球の表面上のCTLA−4に対する結合を本質的に示さない、sCTLA−4に特異的に結合する抗体分子を同定する工程とを含む方法。
【請求項26】
リンパ球の表面上におけるCTLA−4に対する結合を本質的に示さない、sCTLA−4に特異的に結合する抗体分子を得る方法であって、
(i)CDR3が置換されているか又はCDR3コード領域が欠失している1つ以上のVHドメインをコードする出発核酸を提供して、VHドメインをコードする生成物核酸を産生するために、ドナー核酸が出発核酸中のCDR3領域に挿入されるように、前記出発核酸と配列番号7のVH CDR3アミノ酸配列をコードするドナー核酸とを組み合わせる工程;又は
(ii)CDR3が置換されているか又はCDR3コード領域が欠失している1つ以上のVLドメインをコードする出発核酸を提供して、VLドメインをコードする生成物核酸を産生するために、ドナー核酸が出発核酸中のCDR3領域に挿入されるように、前記出発核酸と配列番号10のVL CDR3アミノ酸配列をコードするドナー核酸とを組み合わせる工程と;を含み
いずれの場合も
(iii)VHドメインをコードする前記生成物核酸の核酸を発現させ、任意で、前記のように提供されるVHドメインを1つ以上のVLドメインと組み合わせて、VH/VLの組み合わせを提供し、及び/又はVLドメインをコードする前記生成物核酸の核酸を発現させ、前記のように提供されるVLドメインを1つ以上のVHドメインと組み合わせて、VH/VLの組み合わせを提供する工程と;
(iv)リンパ球の表面上におけるCTLA−4に対する結合を本質的に示さない、sCTLA−4に特異的に結合するVHドメイン又はVH/VLの組み合わせを含む抗体分子を選択する工程と、
(v)前記抗体分子及び/又はsCTLA−4に結合する抗体分子をコードする核酸を回収する工程とを含む方法。
【請求項27】
抗体分子がVHドメイン及びVLドメインを含む抗体断片である、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
抗体断片がscFv抗体分子である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗体断片がFab抗体分子である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子を、sCTLA−4又はsCTLA−4のc−末端断片と接触させることを含む方法。
【請求項31】
請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子を被験体に投与することを含む、被験体においてインビボのsCTLA−4の作用と選択的に拮抗させる方法。
【請求項32】
被験体において免疫原又は抗原投与に対する抗原特異的免疫反応を高める方法であって、
(i)請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子を被験体に投与する工程と
(ii)請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子に血漿を曝露して、次いで、前記血漿を被験体に提供する工程とを含む方法。
【請求項33】
請求項31又は32に記載の方法において使用するための、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子。
【請求項34】
抗原特異的免疫反応を特徴とする疾患又は障害の治療又は予防のための医薬の製造における、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子の使用であって、前記抗体分子が前記免疫反応を高める使用。
【請求項35】
免疫反応が、免疫原又は抗原投与に対するT細胞応答である、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法、抗体、又は使用。
【請求項36】
免疫反応が、免疫原の腫瘍;ワクチン;病原体、又はこれらのうちのいずれかに由来するタンパク質免疫原又は抗原に対する、請求項32から35のいずれか一項に記載の方法、抗体、又は使用。
【請求項37】
抗体分子が、感染後の免疫反応を増強するために感染後ワクチン接種において用いられる、請求項36に記載の方法、抗体、又は使用。
【請求項38】
治療有効量の、請求項1から16若しくは33のいずれか一項に記載の抗体分子又は請求項22から29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる抗体分子と、任意で、薬学的に許容しうる担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を更に含む、治療、予防、又は診断用組成物。
【請求項39】
抗体分子がアジュバントとして存在し、前記組成物が、任意で抗原又は免疫原である更なる活性成分を含む、請求項38に記載の治療、予防、又は診断用組成物。
【請求項40】
個体から得られるサンプル中のsCTLA−4を検出するため、又は個体におけるsCTLA−4濃度の乱れと関連する疾患を診断するための請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−518425(P2012−518425A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551521(P2011−551521)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000351
【国際公開番号】WO2010/097597
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(501306999)ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・アバディーン (6)
【Fターム(参考)】