説明

可溶性インターフェロンα−受容体およびその調製法

【課題】本発明により、天然に存在するmRNAからえられる可溶性インターフェロンα−受容体1型および2型ならびにそれらをコードするDNA分子を提供する。
【解決手段】哺乳動物の可溶性、膜非結合性型のインターフェロンα−受容体をコードする単離されたDNA分子、前記受容体またはその類似体、それらの調製法、それらを含有する組成物ならびに薬剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な型のインターフェロンα−受容体(以下、IFNα−受容体またはIFNARともいう)をコードするDNA分子、前記受容体またはその類似体、それらの調製法およびそれらを含む組成物ならびに診断および治療に用いる組成物および薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロンはサイトカインのファミリーに属し、標的細胞表面に存在する特異的な形質膜受容体を介して標的細胞に対して特徴的に作用する細胞分泌タンパク質である。これら受容体の一般的な性質は、細胞の外膜に受容体をつなぎ止める膜貫通(TM)ドメインを形成している疎水性アミノ酸の内部配列が存在することである(バザン、ジェー・エフ(Bazan, J.F.)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87巻、6934〜6938頁(1990年))。ヒトタイプIインターフェロン受容体(IFNα−受容体(IFNAR)タンパク質と表される)は、そのcDNAをクローニングすることにより特性が明らかにされた(ウゼ、ジー(Uze, G.)およびグレッサー、アイ(Gresser, I.)、セル(Cell)60巻、225〜234頁(1990年))。このcDNAは436のアミノ酸のN−末端細胞外(EC)ドメインと100のアミノ酸のC−末端細胞内(IC)ドメインとを分ける21アミノ酸長の疎水性膜貫通領域を有するIFNARタンパク質をコードする(図1a参照)。ECドメインはリガンドの結合に関与していることが示されている(ベノイト、ピー(Benoit, P.)ら、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J. Immunol.)150巻、707〜716頁(1993年);ノビック、ディー(Novick, D.)ら、フェブス・レターズ(FEBS Letters)314巻、445〜448頁(1992年))。
【0003】
可溶性で膜非結合型の受容体の存在が認められている(フェルナンデス−ボトラン、アール(Fernandez -Botran, R.) 、ファセブ・ジャーナル(FASEB Journal) 5巻、2567〜2574頁(1991年))。このような受容体は細胞外ドメインと膜貫通領域との間で起こるタンパク質分解性切断によりしばしば形成され、それによる結果として切除された(truncated)受容体の脱離が生じる(ノファー、ワイ(Nophar, Y.)ら、エンボジャーナル(EMBO J.)9巻、3269〜3278頁(1990年);ムルバーグ、ジェー(Mullberg, J.)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(Eur. J. Immunol.)23巻、473〜480頁(1993年))。さらに細胞はまた、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを欠いたサイトカイン受容体の他の型を合成していることも見出されたが、これはタンパク質分解性切断の結果ではなく受容体遺伝子転写物の特異な(differential)プロセシングのために生じるものである(ラインズ、エム・エー(Raines,M.A.) ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー、88巻、8203〜8207頁(1991年);ルスト、ジェー・エー(Lust, J.A.)ら、サイトカイン(Cytokine)4巻、96〜100頁(1992年))。これらの非膜貫通型すなわち「可溶性」型は、C−末端における新規なアミノ酸配列により特徴づけられ、それによりおそらくは別個の機能を有する別個のタンパク質となる。これまでに非膜貫通型すなわち「可溶性」IFNα−受容体は記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明において、受容体遺伝子の転写物の特異なプロセシングにより産生される膜非結合型(non-membranal)のIFNα−受容体が細胞に存在することが予測せぬことに見出された。したがって本発明は、ウゼ(前出)によりクローン化されたIFNα−受容体とは異なるアミノ酸配列を有する新規なIFNα−受容体タンパク質を提供することを目的とする。これらの受容体は、細胞の非膜画分(non-membranal compartment)におけるIFNα−受容体に特異的なモノクローナル抗体によって認識される。これら可溶性IFN受容体は、リガンド結合について細胞膜受容体と競合することにより、さもなければ細胞内でIFNが媒介する機能を担うことによりヒト細胞のIFNに対する応答を調節するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体をコードする単離されたDNA分子、および原核細胞または真核細胞宿主での発現によるポリペプチド産物をコードする単離されたDNA分子であって、該産物が哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体の一次構造コンフォーメーションのすべてまたは一部を有しかつ哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体の生物学的活性を有するものであるDNA分子に関する。
【0006】
前記DNA分子は、好ましくはa)哺乳動物の天然インターフェロンα−受容体遺伝子のコード領域に由来するヌクレオチド配列を有するcDNAクローン、
b)前記a)のクローンとハイブリダイズすることができ、生物学的に活性な可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体をコードするDNA分子ならびに
c)遺伝コードの結果前記a)およびb)に定義されるDNA分子に対して縮重を有し、生物学的に活性な可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体をコードするDNA分子
からなる群より選ばれる。
【0007】
また前記DNA分子は好ましくは、配列番号1で示されるスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体1型のアミノ酸残基1〜434の配列のすべてまたは一部と実質的に同一なアミノ酸配列をコードする前記DNA分子、および配列番号2で示されるスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体2型のアミノ酸残基1〜496の配列のすべてまたは一部と実質的に同一なアミノ酸配列をコードする前記DNA分子である。
【0008】
さらに本発明は前記DNA分子を含んでなる組換え発現ベクターに関する。
【0009】
本発明はまた、前記ベクターを含んでなる宿主細胞を培養することからなる、哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体またはその類似体の調製法に関する。
【0010】
さらに本発明は哺乳動物の可溶性、膜非結合型の生物学的に活性型であるインターフェロンα−受容体、そのムテイン体、融合タンパク質、塩、機能性誘導体または活性画分に関する。
【0011】
前記インターフェロンα−受容体、そのムテイン体、融合タンパク質、塩、機能性誘導体または活性画分において、インターフェロンα受容体は好ましくはヒトが起源であり、約55キロダルトンの分子量、および配列番号1に示されるアミノ酸残基1〜434の配列のすべてまたは一部と約80%より大きく類似するアミノ酸配列を有するスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体1型であり、もしくは約95キロダルトンの分子量、および配列番号2に示されるアミノ酸残基1〜496の配列のすべてまたは一部と約80%より大きく類似するアミノ酸配列を有するスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体2型である。
【0012】
また本発明は希釈剤、担体および/または賦形剤ならびに有効成分として均質で生物学的に活性な前記の型のインターフェロンα−受容体、そのムテイン体、融合タンパク質、塩、機能性誘導体または活性画分を含んでなる組成物に関する。
【0013】
前記組成物は好ましくは、細胞または組織においてインターフェロン−βおよび/またはインターフェロン−αのサブタイプの活性を阻害、変更または修飾するために用いられ、有効成分として前記インターフェロンα−受容体1型、そのムテイン体、融合タンパク質、塩、機能性誘導体または活性画分を含有するか、あるいは有効成分として前記インターフェロンα−受容体2型、そのムテイン体、融合タンパク質、塩、機能性誘導体または活性画分を含有し、好ましくは生体内でまたは生体外でインターフェロン−αまたはインターフェロン−βのサブタイプの種類を質的および/または量的に診断判定(diagnostic determination)するために用いられる。
【0014】
本発明はさらに、前記組成物および薬学的に許容しうる希釈剤、担体および/または賦形剤から処方された薬剤であって生体内でまたは生体外でインターフェロン−αまたはインターフェロン−βのサブタイプの活性を阻害、変更または修飾するための薬剤に関する。
【0015】
前記薬剤は好ましくは、大量のインターフェロン−αおよび/またはインターフェロン−βが与えられた結果または内在性に過剰のインターフェロン−αおよび/またはインターフェロン−βが産生された結果もたらされる、インターフェロン−αおよび/またはインターフェロン−βの過剰状態を治療するために用いられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、天然に存在するmRNAからえられる可溶性インターフェロンα−受容体1型および2型ならびにそれらをコードするDNA分子を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、択一的スプライシング(alternative splicing)機構によってヒト細胞において合成されることにより特徴づけられる、新規な型のヒトIFNα−受容体のmRNAおよびタンパク質に関する。新規な型のIFNα−受容体のcDNAに対して確立された配列により、対応するmRNAが膜貫通領域を欠いたタンパク質を特定する新規なポリペプチド配列をコードすることが示唆された。このような膜非結合型IFNARの存在がヒト細胞の可溶性細胞質画分内に示された。前記タンパク質は細胞から細胞外の空間へも分泌されうるが、他の可溶性受容体の型、すなわちタンパク質分解性切断によりその細胞外ドメインを遊離する膜結合型の受容体に由来するものとは区別される。
【0018】
サイトカイン活性の調節剤(regulators)としての可溶性受容体の潜在的な機能が報告されている(フェルナンデス−ボトラン、1991年、前出)。細胞が2つの膜非結合型すなわち可溶性型のIFNα−受容体をコードするmRNAを産生する機構が存在することは、その2つの型がそれぞれ細胞に対する何らかの機能を有することを示唆している。これらの型は膜につなぎ留められず、細胞外に分泌されうるかまたはサイトゾル(可溶性細胞画分)内に見出されうる。細胞内−細胞質ドメインが膜貫通(TM)ドメインなしに直接続いている、リガンドが結合する細胞外(EC)ドメインを含む1つの型(図1c)は、たとえば細胞内部でサイトカインの結合により発生するようなシグナルトランスダクションにおいて機能することがなお可能であろう。ECドメインにS(可溶性)−ドメインが続き膜貫通ドメインおよび細胞内−細胞質ドメインの両方を欠く他の型(図1b)は、シグナルトランスダクションにおいて機能しないであろう。IFNARのECドメイン(残基22〜427)に、IFN結合活性が含まれることが知られている(ベノイト、ピーら、(1993年)、ノビック、ディーら(1992年)、いずれも前出、参照)。したがって、本発明の細胞mRNAにおいてコードされる可溶性IFNAR型は、IFNと結合して細胞表面上のIFN結合活性について競合しIFN拮抗剤として作用するか、または多種多様のIFNサブタイプの活性を他の経路で調節することができるであろう。細胞内で合成されて、これらのタンパク質はIFNへの生物学的応答に関与する他の細胞性タンパク質とも相互作用することもできる。このようなことは、正常の膜結合受容体の細胞形質膜の外側でタンパク質分解性切断されることにより産生された可溶性IFNα−受容体のばあいにはないであろう。
【0019】
本発明の新規な可溶性型のIFNARは、細胞、組織および生物体においてIFN−αおよび/またはIFN−βのサブタイプの活性を阻害、変更または修飾するために適用されうる。IFNは、抗ウイルス、抗増殖および免疫調節機能を有する(バロン、エス(Baron, S.)ら(編)、インターフェロン(Interferon);プリンシプルズ・アンド・メディカル・アプリケーションズ(Principles and Medical Applications)、ザ・ユニバーシティ・オブ・テキサス・メディカル・ブランチ・アット・ガルベストン(The University of Texas Medical Branch at Galveston)、(1992年))。IFNはウイルス性疾患(たとえばパピロマトーゼ(papillomatoses)、肝炎など)、悪性疾患(たとえば白血病、ホルモン依存性癌など)および免疫学的機能不全(たとえば多発性硬化症)を処置するために臨床的に用いられる。IFNのこれらの有益な効果は、本発明の型のIFNα−受容体などの異なる型のIFNα−受容体によって自然に変えられうる。他方、IFNの過剰は有害でありえ、ある自己免疫疾患に、(移植組織拒絶および造血系欠陥(hematopoietic deficiences)に)関わっている(前出のバロン、エス)ら(編)、インターフェロン;プリンシプルズ・アンド・メディカル・アプリケーションズ参照)。このような状態においては、IFNの作用の阻害剤が有益でありうる。さらに、細胞はIFN−αおよび/またはIFN−βのサブタイプへの応答において異なることがありえ(ローゼンブラム、エム、ジー(Rosenblum, M.G.)ら、ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.)10巻、141〜151頁(1990年))、IFNサブタイプに対する細胞の応答が、細胞で合成された可溶性IFNAR型のいくつかによって変えられる。本発明の新規なIFNARのcDNAの単離および同定によって、細胞で合成される天然の可溶性IFNα−受容体型の組換えDNA技術による製造が可能となり、またトランスフェクトされた細胞における過剰発現によりまたは細胞培養物への添加によりそれらの機能を研究することが可能となるであろう。
【0020】
本発明の可溶性IFNAR型は、IFN−αおよび/またはIFN−βサブタイプの活性を阻害、変更または修飾するための医薬組成物(薬剤)を調製するのに用いることができうる。このような医薬組成物は、たとえば前記したような、治療において大量のIFNが与えられた結果もしくはIFNが内在的に異常に高く産生された結果として患者が過剰のIFNを有するような種々の障害(disorders)の治療のために用いられることができうる。前記医薬組成物は既知のいかなる方法によって調製されてよく、その方法において、有効成分である可溶性IFNARが薬学的に許容しうる希釈剤、担体または賦形剤と混合される。前記医薬組成物の実際の投与量および投与の態様は、専門の実務者により決定されるであろう。
【0021】
本発明の可溶性IFNARは、たとえば生体内でのまたは生体外での診断分析においてIFN−αおよびIFN−βのサブタイプの種類を定性的におよび/または定量的に決定するための、診断目的用の組成物を調製するために用いられうる。これらの組成物において可溶性IFNARは、たとえば放射ラベル、蛍光ラベル、酵素結合、抗体結合などの確立されたラベリング法のいかなるものによってラベルされてもよい。前記組成物の調製ならびに前記組成物の診断分析における適用は、すでに確立されているいかなる方法によってもよい。
【0022】
また、本発明の可溶性IFNARはIFN−αおよび/またはIFN−βのサブタイプの精製のためのアフィニティークロマトグラフィー法においても適用しうる。このような適用においては、たとえば化学的交差結合(chemical cross-linking)などの標準法のいずれかを用いて、既知のアフィニティークロマトグラフィー支持マトリックスのいずれかに可溶性IFNARが付けられるとよい。
【0023】
本明細書で用いられる「ムテイン体」の語は、えられる産物の活性を大いに変えることなく、天然の可溶性IFNARの1または複数のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基により置換されたかもしくは欠失した、または可溶性IFNARの天然の配列に1または複数のアミノ酸残基が加えられた、可溶性IFNARタンパク質の類似体をいう。これらムテイン体は既知の合成技術によりおよび/または部位特異的変異誘発技術によって、もしくはそれに好適ないかなる他の既知の技術によっても調製されうる。
【0024】
「融合タンパク質」の語は、たとえば体液中での滞留時間が長い他のタンパク質と融合された本発明の可溶性IFNARを含んでなるポリペプチドまたはそのムテイン体をいう。可溶性IFNARはこのように他のタンパク質、ポリペプチドなど、たとえば免疫グロブリンまたはその断片と融合されうる。
【0025】
本明細書における「塩」の語は、可溶性IFNARタンパク質、そのムテイン体および融合タンパク質のカルボキシル基の両方の塩ならびにアミノ基の酸付加塩をいう。カルボキシル基の塩は当該技術分野で知られている手段で形成されてもよく、無機塩、たとえばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄または亜鉛塩など、ならびにたとえばトリエタノールアミン、アルギニンまたはリジン、ピペリジン、プロカインなどのアミンなどと形成された有機塩基との塩が含まれる。酸付加塩には、たとえば塩酸または硫酸などの鉱酸との塩ならびにたとえば酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩が含まれる。
【0026】
本明細書に用いられる「機能性誘導体」の語は、可溶性IFNARならびにその融合タンパク質およびムテイン体の誘導体をカバーし、残基またはN−もしくはC−末端基の側鎖として生じる官能基から当該技術分野において知られている手段によって調製されるとよく、またそれらが薬学的に許容しうるままである限り、すなわちタンパク質の活性を損わずそれを含む組成物に毒性を付与しない限り、本発明に包含される。これら誘導体は、たとえば抗原部位を遮蔽し、体液中での可溶性IFNARの滞留を遅延させうるポリエチレングリコール側鎖を含んでいてもよい。他の誘導体としてはたとえばカルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第一級もしくは第二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分(たとえばアルカノイル基または炭素環式アロイル基)とで形成されたアミノ酸残基のフリーのアミノ基のN−アシル誘導体またはアシル部分とで形成されたフリーの水酸基(たとえばセリンまたはスレオニン残基のフリーの水酸基)のO−アシル誘導体が含まれる。
【0027】
可溶性IFNAR、その融合タンパク質およびそのムテイン体の「活性画分」として、本発明はタンパク質分子単独またはそれに結合した分子またはそれに連結した残基(たとえば糖もしくはホスフェート残基)を含めたもののポリペプチド鎖のいかなる断片または前駆体も、あるいはタンパク質分子または糖残基の自己凝集物をもカバーする。ただし前記画分は可溶性IFNAR、その融合タンパク質およびそのムテイン体と同様の生物学的活性および/または医薬活性を有するものである。
【0028】
本発明にしたがう可溶性IFNARタンパク質、その融合産物、断片およびムテイン体の組換え製造法を以下に説明する。
【0029】
後述の実施例5(a)の部分において、可溶性IFNAR1型および2型の遺伝情報を担うSV−40由来の発現ベクター(たとえば、pSVL)の特定の調製法を記載する。前記ベクターはCOS−7宿主細胞に導入された(トランスフェクションされた)ときに組換えIFNAR1型および2型の発現が成功する。標準的な組換えDNA技術を用いて、以下のように他のベクター(およびそれでトランスフェクトされた宿主細胞)は組換え可溶性IFNAR融合タンパク質、その断片およびムテイン体の製造のために生産されうる。
【0030】
本発明の単離されたcDNAを、終止コドンおよびポリアデニレーション部位が可溶性IFNARの最後の必須コドンの後に挿入されるように、適切なオリゴヌクレオチドを用いて部位特異的変異誘発に供する。ついで、この構築物を当該技術分野においてよく知られている技術によってふさわしく構築された発現ベクターに挿入する(マニアチスら、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク、1982年)。合成DNAリンカーまたは平滑末端化(blunt-ended) 連結技術を用いることを含むホモポリマーテイリング(homopolymer tailing) または制限結合(restriction linking)によって、2本鎖cDNAをプラスミドベクターに連結させる。DNA分子を連結させるためにDNAリガーゼを用い、アルカリホスファターゼを用いてDNA鎖を処置することにより望ましくない接合(joining)を回避する。
【0031】
可溶性IFNARおよび、たとえばIgG1重鎖の定常部とからなる融合タンパク質の製造は、以下のように行なう。コード配列の直後に特有な制限部位を導入するように、適切なオリゴヌクレオチドを用いて可溶性IFNARのDNAを部位特異的変異誘発に供する。IgG1重鎖の定常部の遺伝情報を担うプラスミド、たとえばpRKCO42Fc1(バイルン・アール・エーら(Byrn R.A.)ら、ネイチャー(Nature)、344巻、667〜670頁(1990年))を同様の部位特異的変異誘発に供し、融合タンパク質がイン・フェーズ(in-phase)に翻訳されうるようにIgG1重鎖のAsp216にできる限り近接して前記と同じ特有な制限部位を導入する。前記の特有な制限部位で消化することにより、5´非翻訳配列および可溶性IFNARをコードする配列からなる2本鎖DNA断片を調製する。変異させたpRKCD42Fc1を同様に消化し、プラスミドおよびIgG1配列を含む大きな断片をつくる。ついで2つの断片を連結させ、N−末端可溶性IFNARおよびIgG1重鎖の約227のC−末端アミノ酸(ヒンジ領域ならびにCH2およびCH3ドメイン)からなるポリペプチド前駆体をコードする新しいプラスミドをつくる。融合タンパク質をコードするDNAを適切な制限酵素を用いた消化によりプラスミドから単離し、ついで効率のよい発現ベクターに挿入する。
【0032】
可溶性IFNAR、そのムテイン体または融合タンパク質を発現することができるために、発現ベクターはまた、遺伝子発現およびタンパク質の産生を可能とするような方法で所望のタンパク質をコードするDNAに結合させた転写および翻訳調節情報を含む特異的なヌクレオチド配列を含む。まず、遺伝子が転写されるためには、RNAポリメラーゼにより認識されうる、そしてそのポリメラーゼが結合しかくして転写プロセスが開始されるプロモーターが前記遺伝子の前になければならない。用いられる種々のこのようなプロモーターがあり、異なる効率で働く(強いおよび弱いプロモーター)。それらは原核細胞と真核細胞とで異なる。
【0033】
本発明において用いられうるプロモーターは、たとえばバクテリオファージラムダのintプロモーター、pBR322のβ−ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーター、およびpPR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCATプロモーターなどの構成性のものでも、またはバクテリオファージラムダの主たる右および左プロモーター(PLおよびPR)、大腸菌のtrprecAlacZlacIompFおよびgalまたはtrp−lacハイブリッドプロモーターなどを含む原核細胞性プロモーターなど(グリック、ビー・アール(Glick, B.R.)、ジェー・インド・ミクロバイオル(J.Ind. Microbiol.)1巻、277〜282頁(1987年)の誘導可能なプロモーターのいずれでもよい。
【0034】
原核細胞における高レベルの遺伝子発現を達成するために、大量のmRNAをつくるように強いプロモーターを用いることに加えて、mRNAが効率良く翻訳されることを確実にするためにリボソーム結合部位も用いることが必要である。1つの例は、概ね開始コドンに位置し、16S RNAの3´−末端配列に相補的なシャイン−ダルガーノ配列(SD配列)である。
【0035】
真核細胞宿主に対しては、宿主の性質に応じて異なる転写および翻訳調節配列を用いることができる。それらはアデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルスなどのウイルスソースから由来し、調節シグナルが高レベルに発現する特定の遺伝子に関係するものであることができる。例としてはヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーターなどがあげられる。転写開始調節シグナルは、抑制および活性化を可能としその結果遺伝子の発現を変えうるものを選択することができる。
【0036】
本発明の可溶性IFNAR、その断片もしくはムテイン体または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなるDNA分子ならびに作動可能に結合された転写および翻訳調節シグナルを、宿主細胞の染色体の中へと所望の遺伝子配列を組込むことができるベクター内に挿入する。細胞の染色体の中に導入されたDNAが安定に組込まれた細胞を選択することができるように、発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能とする1または複数のマーカーが用いられる。マーカーは、栄養要求性の宿主に栄養を供給するものでも、たとえば抗生物質、銅などの重金属などのような殺細胞物質への抵抗性(biocide resistance)を提供するものであってもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、発現すべきDNA遺伝子配列に直接結合させることもまたは同じ細胞にコトランスフェクションにより導入することもできる。至適な合成のため、さらなるエレメントも要しうる。これらエレメントは転写プロモーター、エンハンサー、および終止シグナルのみならず、スプライスシグナルも含みうる。このようなエレメントを組込んだcDNA発現ベクターには、たとえばオカヤマ、エイチ(Okayama, H.)(1983年)により記載されたもの(モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. Cell. Biol)3巻、280頁)が含まれる。
【0037】
好ましい実施態様において、導入されたDNA分子はレシピエント宿主での自律的な複製が可能なプラスミドまたはウイルスベクターの中に組込まれる。特定のプラスミドまたはウイルスベクターを選択する際に重要な因子は以下のとおり:ベクターを含むレシピエント細胞が認識され前記ベクターを含まないレシピエント細胞から選択されるのが容易であること、特定の宿主において所望されるベクターのコピー数、ならびに異なる種の宿主細胞間でベクターが「シャトル」(“shuttle”)しうることが望ましいかどうか、である。
【0038】
好ましい原核細胞ベクターには、たとえばpBR322、ColE1、pSC101、pACYC184などの大腸菌において複製可能なプラスミド(マニアチスら、前掲参照)、pC194、pC221、pT127などのバシラス(Baccillus)プラスミド(グリクザン、ティー(Gryczan, T.)、「ザ・モレキュラー・バイオロジー・オブ・ザ・バシリ」(“The Molecular Biology of the Bacilli”)、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、307〜329頁(1982年)参照)、pIJ101を含むストレプトマイセス(Streptomyces)プラスミド(ケンダール、ケー・ジェー(Kendall, K.J.)ら、ジャーナル・オブ・バクテリオジー(J.Bacteriol.)169巻、4177〜4183頁(1987年))、φC31などのストレプトマイセス・バクテリオファージ(チャター、ケーエフ(Chater, KF)ら、「シックス・インターナショナル・シンポジウム・オン・アクチノマイセタールス・バイオロジー」(“Sixth International Symposium on Actinomycetales Biology”)、アカデミアイ・カイドー(Akademiai Kaido) 、ブダペスト、ハンガリー、45〜54頁(1986年)参照)、ならびにシュードモナス・プラスミド(ジョン、ジェー・エフ(John, J.F.)ら、レェブ、インフェクト、ディス(Rev. Infect. Dis.)8巻、693〜704頁およびイザキ、ケー(Izaki, K.)ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Jpn. J. Bacteriol.)33巻、729〜742頁(1978年))が含まれる。
【0039】
好ましい真核細胞プラスミドには、BPV、ワクシニア(vaccinia)、SV40、2−ミクロンサークルなど、またはそれらの誘導体が含まれる。このようなプラスミドは当該技術分野においてよく知られている(ボットシュタイン、ディー(Botstein, D.)ら、マイアミ・ウイント・シンプ(Miami Wint. Symp.)19巻、265〜274頁(1982年)、ブローチ、ジェーアール(Broach, JR.)「ザ・モレキュラー・バイオロジー・オブ・ザ・イースト・サッカロマイセス:ライフ・サイクル・アンド・インヘリタンス(The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces:Life Cycle and Inheritance)」中、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、445〜470頁(1981年);ブローチ、ジェー・アール、セル28巻、203〜204頁(1982年);ボロン、ディー・ピー(Bollon, D.P.)ら、ジェー・クリニク・ヘマトル・オンコル(J. Clin. Hematol. Oncol.)10巻、39〜48頁(1980年);マニアチス、ティー、「セル・バイオロジー・ア・コンプリヘンシブ・トリティセ(Cell Biology:“A Comprehensive Treatise”)」中3巻、ジーン・エクスプレッション(Gene Expression)、アカデミック・プレス、ニューヨーク州、563〜608頁(1980年))。
【0040】
ベクターすなわちDNA配列を含む構築物がいったん発現用に調製されれば、発現ベクターをたとえば形質転換、トランスフェクション、リポフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクションなどの種々の好適な手段のいかなるものによっても適切な宿主細胞の中に導入することができる。
【0041】
本発明において用いられる宿主細胞は、原核細胞でも真核細胞でもよい。好ましい原核細胞宿主には、大腸菌、バシラス、ストレプトマイセス、シュードモナス、サルモネラ、セラチア(Serratia)などが含まれる。もっとも好ましい原核細胞宿主は大腸菌である。とくに重大な細菌性宿主には、大腸菌K12株294(ATCC 31446)、大腸菌X1776(ATCC 31537)、大腸菌W3110(F-、ラムダ-、原栄養性(prototropic)、(ATCC 27325))、およびサルモネラ ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)またはセラチア ナルセシェンズ(Serratia narcescens)などの他の腸内細菌ならびに種々のシュードモナス種が含まれる。このような条件のもとでは発現されるタンパク質はグリコシル化されないであろう。原核細胞宿主はレプリコンおよび発現プラスミド内の調節配列に適合可能でなければならない。
【0042】
好ましい真核細胞宿主は、たとえばヒト、サル、マウスおよびチャイニーズハムスター子宮(CHO)細胞などの哺乳動物細胞である。なぜならそれら細胞は正しい部位でのグリコシル化のみならず正しい折り畳み、正しいジスルフィド結合形成を含むタンパク質分子への翻訳後の修飾を提供するからである。酵母細胞および昆虫細胞もまた高いマンノースグリコシル化を含む翻訳後のペプチド修飾を行なうことができる。酵母および昆虫細胞において所望のタンパク質を産生させるために利用されうる強いプロモーター配列ならびにプラスミドの多数のコピー数を利用する、多くの組換えDNAストラテジーが存在する。酵母細胞はクローン化された哺乳動物遺伝子産物上のリーダー配列を認識し、リーダー配列をもつペプチドを分泌することができる。
【0043】
ベクターを導入したのち、宿主細胞はベクターを含む細胞の成長について選択を行なう選択培地中で選択される。クローン化された遺伝子配列の発現の結果、可溶性IFNAR、その融合タンパク質、ムテイン体または断片が産生される。発現されたタンパク質はついで単離し、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、電気泳動などを含む通例の手法のいずれかによって、またはカラム内に入れたゲルマトリックス上に固定化された抗−可溶性IFNARモノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製される。可溶性IFNARを含む粗調製物をカラムにとおし、ここで可溶性IFNARが特異的な抗体によりカラムに結合され、一方不純物はカラムを通過する。洗浄ののちたとえばpH11またはpH2などの高pHまたは低pHにてゲルからタンパク質を溶出させる。
【0044】
本発明を以下の実施例および図面によりさらに詳細に説明するが本発明はもとよりこれら実施例に限定されるものではない。とくに示さない限り、実施例に記載された方法は標準のよく確立された方法であって遺伝子工学において広く用いられるものであることは注意されるべきである。したがって、それら方法が充分に詳説された種々の報告(publications)が本明細書において参照され、それによって本明細書に組込まれる。さらに製造業者に関する詳細が提供されているばあい、関連する方法は製造業者のプロトコルにしたがうものであると理解されるべきである。
【実施例1】
【0045】
複数のIFNα−受容体遺伝子転写物
ヒトミエローマ細胞U266Sは成長阻害および(2´−5´)Aシンセターゼの誘導についてIFN−αおよびIFN−βに対する感受性がある。U266S細胞を、前記IFNにより成長が阻害されないU266R変異体と比較した。グアニジンチオシアネート法(チャーウィン・ジェー・ジェー(Chirgwin J. J.)ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、18巻、5294〜5300頁(1979年))により総RNAを調製した。IFNARのcDNAのヌクレオチド1729〜1749に相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチドをプライマーとして用い(このプライマーは図1aの膜貫通IFNARのcDNAのコーディングフレームの端部に近接しているものである)逆転写酵素によりU266SおよびU266R細胞のRNAからcDNAを製造した。図1に、欠失によりつくり出された新しいジャンクションの位置とともに終止コドンの位置を示した。ついでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、確立された方法(エーリッヒ・エイチ・エー(Ehrich H. A.)、編者、ピー・シー・アール・テクノロジー(PCR Technology)、ストックトン・プレス(Stockton Press)、ニューヨーク、(1989年))にしたがい、前記cDNA産物のDNA断片を増幅した。膜貫通IFNARのcDNAの以下のヌクレオチド(番号づけについては図2aを参照)に対応する、センス/アンチセンスプライマーの3種のペアを用いた:
・PCR反応A:1342〜1361/1498〜1515
・PCR反応B:1331〜1342/1733〜1752
・PCR反応C:1522〜1542/1729〜1749。
【0046】
図2に、PCR反応に用いたプライマーの位置、ならびに欠失および新しいジャンクションの位置を示した。
【0047】
反応Bにおいて用いたセンスおよびアンチセンスプライマーは、それぞれEcoRIおよびBamHIサイトを含むテイルを有した。これらの制限酵素で消化したのち、えられる産物は予想されるより10bp長いものであった。アガロースゲルでの電気泳動に続きエチジウムブロマイド染色によって分析したPCR産物を図3に示す。図3の各レーンのサンプルは以下のとおりである。
【0048】
レーン1および2:図2に記載のプライマー2の近傍のプライマーとプライマー3を用いた前記反応Aの産物
レーン3および4:図2に記載のプライマー2と5を用いた前記反応Bの産物
(この産物に矢印を付した)
レーン5および6:図2に記載のプライマー4とプライマー5の近傍のプライマーを用いた前記反応Cの産物
反応Aにおいて、U266S細胞からのRNAを用いたばあい、予想された173bpの産物が観察され(レーン1)、一方U266R細胞からのRNAを用いたばあい産物は観察されなかった(レーン2)。この結果によりU266R細胞のIFN受容体の転写産物はヌクレオチド1342と1515とのあいだの領域に何らかの欠失があり、その欠失のためプライマーのうちの1つがPCR反応の開始を妨げることが示唆された。
【0049】
反応BにおいてU266S細胞からのRNAで、予想された420bpのサイズの産物(図2のプライマー2および5で限定されるように)が観察された。加えて、サイズが260bpであると見積もられる新しいDNAのバンドが見出された(レーン3)。U266R細胞のRNAでは、小さい方の産物は観察されたが大きい方のバンドはなかった(レーン4)。この結果によりU266S細胞およびU266R細胞の両方においておよそ160bp欠失した転写産物の存在が明らかになった。
【0050】
反応CにおいてU266S細胞およびU266R細胞のRNAの両方に同じ産物が観察され、図2のプライマー4およびプライマー5の近傍のあいだの領域では修飾がなされていないことが示唆された。
【0051】
反応AおよびBにおいて用いられたプライマーの位置を調べることにより、観察された欠失がIFNARのcDNAの膜貫通領域に影響することが示唆された(図2参照)。
【実施例2】
【0052】
スプライス欠失されたIFNα−受容体1型
IFNARの新規な型のcDNAのヌクレオチド配列を決定するために、実施例1における反応Bと同様のPCR反応をU266S細胞からのRNAを用いて行なった。用いたプライマー(図2のプライマー2および5)は、プライマー1331〜1342に対しEcoRI制限サイト(図4)およびプライマー1733〜1752に対しBamHIサイトを含むテイルを有した。PCR反応ののち、産物をEcoRIおよびBamHIとインキュベートし、アガロースゲル電気泳動により分離した。260bpの小さい産物をゲルから切り出し、EcoRIおよびBamHIで切断しておいたブルースクリプト(Bluescript)ベクターKS+(ストラタジーン・クローニング・システム(Stratagene Cloning System)社、(ラジョラ(Lajolla) 、カリフォルニア、製)に連結した(ligated)。連結されたプラスミドを、コンピテント大腸菌(E.Coli)細胞中へトランスフェクトし、トランスフェクトされたコロニーを単離しプラスミドDNAを調製した。260bpのDNAが存在することをEcoRIおよびBamHIで切断することによって証明した。切断しなかったプラスミドDNAをブルースクリプトベクター(ストラタジーン・クローニング・システム社製、前出)のT3プライマーからダイデオキシヌクレオチド法により配列決定した。アンチセンスプライマー1601〜1619から相補的なストランドを配列決定した。図4にその小さいPCR産物に対してえられた配列を膜貫通IFNARcDNAの配列と比較して示す。図4において、番号が付された各ブロックの1列目に部分的な膜貫通型IFNα−受容体のcDNAを示し、そのプライマー部分に下線を、膜貫通ドメインの配列の上に線を付した。スプライス欠失された1型のcDNAに特有な7のC−末端残基を形成するクレーム番号が付された各ブロックの2列目においてフレームシフトが示される。エキソンの境界はすでに報告されている(ルトホーラ・ジー(Lutfalla, G.)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)267巻、2802〜2809頁(1992年))ように示している。図4中、膜貫通型IFNARのcDNA番号づけにしたがって配列を比較した。ヌクレオチド1362から1518まで(157bp)の欠失が観察され、膜貫通領域が完全に除去されていた(図2参照)。
【0053】
U266R細胞のRNAを用いてえられたPCR産物(図3、レーン4参照)を同様にブルースクリプトベクターにおいてクローニングし、ついで配列決定した。えられたプラスミドよりU266S細胞の小さいPCR産物のばあいと同じ配列がもたらされた。
【0054】
えられた新規の配列から、膜貫通領域を含むエキソンX全体がスプライスされて除かれ、エキソンIXの最後の4つのコドンもまた失われていることが示唆された。この択一的スプライシングにより、細胞外ドメインのコドン427(Glu)の後でフレームシフトが起こりかつ、7のアミノ酸(Asn−Ile−Ser−Leu−Asn−Ser−His)をもつ(図5参照)、すでに知られていたIFNARタンパク質においては見出されなかった切除されたタンパク質が予測された。この新規な型のIFNα−受容体をスプライス欠失された1型と表し、これは新しいSドメインに端部が欠失したECドメインが続くことで特徴づけられる。
【0055】
U266S細胞のRNAを用いてえられた大きいPCR産物(図3、レーン3の420bp)は、図4に示すように膜貫通IFNARcDNAの膜貫通領域および通常のエキソンX/エキソンXI境界を含むことが証明された。
【実施例3】
【0056】
スプライス欠失されたIFNα−受容体2型
二重の欠失をともなうIFNARのもう1つの型が発見された。このスプライス欠失された2型は、IFNARcDNAのヌクレオチド1270〜1290に対応する、さらに上流のプライマーを用いて行なわれたPCR反応において検出された(図6におけるプライマー1)。EcoRIサイトを含む5′テイルをもつこのセンスプライマーは、BamHIサイトをもつ1733〜1752のアンチセンスプライマーとともに用いた(図6におけるプライマー5)。U266R細胞のRNAを用いてえられたPCR産物をEcoRIおよびBamHIで消化し、アガロースゲル上で電気泳動し、およそ300bpで観察されるDNAバンドをゲルから切り出した。実施例2におけると同様にブルースクリプトベクターにてクローニングしたのち、プラスミドDNAを配列決定した。えられた配列(図7)により再度、膜貫通領域の欠失が示唆された。図7は、既知の膜貫通型IFNARのcDNA(番号が付された各ブロックの1列目)と、択一的にスプライスされた、本発明の短くなったIC´ドメインをもつ可溶性IFNAR2型のcDNA(番号が付された各ブロックの2列目)のヌクレオチド配列の一部を、膜貫通型IFNARのcDNAの番号づけにしたがって比較した図である。3列目に短くなったIC´ドメインをもつ可溶性IFNAR2型のアミノ酸配列を示す。空所は欠失された配列を示す。番号づけは膜貫通型IFNARのcDNAにしたがう。プライマーの位置には下線を付し、膜貫通型ドメインの配列の上に線を付す。図4におけると同様にエキソンの境界を示す。膜貫通IFNARのcDNAと比較して認められうるように、このスプライス欠失された2型はエキソンIXにおける1318から1341まで(24bp)のヌクレオチドならびに1360から1518まで(159bp、すなわちエキソンIXの端部およびエキソンXのすべて)のヌクレオチドにおいて2つのイン・フェーズの欠失を有していた。
【0057】
図6に、既知の膜貫通型IFNARのcDNA(a)と比べて短くなったIC´ドメインを有する可溶性IFNARのcDNA(b)を示す。PCR反応に用いられたプライマーの位置ならびに欠失および新しいジャンクションを示す。この新規なIFNARcDNAによりコードされるタンパク質において、膜貫通型の残基413(Glu)の次の8コドンが細胞外ドメインから失われており、6アミノ酸(依然としてエキソンIX内の422〜427残基)で続き、さらにTyr−481からの細胞質内ドメインに53アミノ酸(膜貫通領域を含む)の欠失が続いている。予測されたICドメインは、膜貫通型における100アミノ酸に代わって77アミノ酸長である。
【0058】
このスプライス欠失されたIFNα−受容体2型のアミノ酸配列を図10(本発明の短くなったIC´ドメインをもつ2カ所欠失された可溶性IFNAR2型のアミノ酸配列を示す。2つの欠失の間で保持されている、システインを含む6アミノ酸長の細胞外領域に下線を付す。)に切除された1型(図9、スプライス欠失された可溶性IFNAR1型のアミノ酸配列を示し、新規のS−ドメインには下線を付す)、および膜貫通型(図8、既知の膜貫通型IFNARのアミノ酸配列を示し、その膜貫通ドメインには下線を付す)と比較して示す。2型において2つの欠失の間に見出だされる6アミノ酸(図10における下線部)が1つのシステインを含むことは注目に値する。膜貫通型およびスプライス欠失された1型の細胞外ドメインに見出される8システイン残基がそのシステインによって2型においても保存(conserve)される。
【0059】
本発明の新規の型のIFNα−受容体はそれぞれ434ならびに496アミノ酸からなるが、一方膜貫通型(図8)は557アミノ酸からなる。2つの新規の型は図1のbおよびcに示されている。
【実施例4】
【0060】
膜非結合型IFNα−受容体タンパク質
IFNARcDNAの新規の型によりコードされるタンパク質をU266R細胞において調べた。このU266R細胞はIFNARの膜貫通型に対するRNA転写産物を含まず択一的にスプライス欠失された型に対するRNA転写産物のみを含む。この目的のために組換え膜貫通型IFNARタンパク質に対する種々のモノクローナル抗体(McAB)を用いてイムノブロットを行なった。示した結果は2つの抗体すなわちMcAB#1すなわち64G12(ベノイトら、1993年、前出)、ならびにMcAB#2すなわち21.4(ノビックら、1992年、前出)を用いてえられた。前記U266細胞からの総タンパク質は10mM CHAPS界面活性剤(3−{(3−コラミド−プロピル)−ジメチル−アンモニオ}−1−プロパン−スルフォネート)を含む緩衝液で抽出し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルにおける電気泳動(SDS−PAGE)に付し、ニトロセルロ−ス上にブロットし、さらに前記McABと反応させ、引続きラベルされたヤギ抗マウス−イムノグロブリン抗体と反応させた。タンパク質の細胞内局在を決定するため細胞を低張性ショックにより溶解し細胞のサイトゾル画分(可溶性細胞質画分)を、報告されたように(チェバス、ジェー(Chebath J.)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー262巻、3852〜3857頁(1987年))調製された膜画分と比較した。比較の目的で、U266S細胞もまた溶解し、サイトゾルならびに膜画分を前記の方法で単離した。
【0061】
図11aにMcAB#1およびMcAB#2と反応させたU266R細胞およびU266S細胞からの総CHAPS抽出タンパク質のウェスタンイムノブロットの結果を示す。左側の上部の矢印は110Kdの膜貫通型IFNARを示し、左側の下部の矢印は55Kdのタンパク質を示す。右側の矢印は95Kdのタンパク質を示す。
【0062】
図11bにはMcAB#1およびMcAB#2と反応させたU266R細胞およびU266S細胞からの総CHAPS抽出タンパク質(TOT)、可溶性細胞質画分(CYT)タンパク質、細胞膜(MEM)タンパク質のウェスタンイムノブロットの結果を示す。左側の上部の矢印は110Kdの膜貫通型IFNARを示す。右側の矢印は95Kdの細胞質画分タンパク質を示す。U266RおよびU266S細胞タンパク質抽出物の比較によりU266SにおいてMcAB#1により認識される約110KdのIFNα−受容体タンパク質はU266R細胞ではまったく存在しないことが示された(図11a,レーン1、2)。このタンパク質は、膜貫通型IFNARmRNAの産物と予測されるように膜結合型(図11b、レーン3)であった。加えて、McAB#1は約55Kdのタンパク質を認識した。このタンパク質はU266R細胞に存在し(図11a,レーン1、2)、したがってU266R細胞に見出される膜貫通領域を欠いたスプライス欠失されたmRNAの産物であると思われた。事実、55Kdタンパク質は膜に存在しないが、U266S細胞およびU266R細胞の両方のサイトゾルにのみ検出された(図11b、レーン2〜5)。
【0063】
同様のイムノブロットで、McAB#2はおよそ95Kdタンパク質のところに移動しU266S細胞およびU266R細胞の両方に存在する、他の型のIFNα−受容体を認識した(図11a、レーン3、4)。この95Kdタンパク質はサイトゾル内に明瞭に多く存在し、膜には存在しなかった(図11b、レーン6〜10)。この約95Kdのタンパク質をまずMcAB#2により免疫沈降して濃縮したばあいにイムノブロット上でMcAB#1によっても認識されることが証明された。このことによりこのサイトゾルのタンパク質はMcAB#1に対する方がMcAB#2に対するより低い親和性を有する型のIFNα−受容体であることが示された。95Kdのタンパク質がスプライス欠失されたIFNARのmRNAの産物であることは、それがU266SおよびU266R細胞の両方に存在することならびに膜結合タンパク質でないという事実により支持された。
【0064】
IFNARタンパク質の異なる型が前記のIFNARに対するMcABにより認識されうるという事実は、一方で異なる型が密接に関連している、すなわち配列の同一性を有していることを示し、さらに他方で受容体タンパク質に異型(heterogeneity)が存在することを示唆する。95Kdのサイトゾル型は実施例3に記載されたスプライス欠失された2型のcDNAの産物でありうる。このタンパク質は細胞質内でU266R細胞のIFNに対する残余の応答(residual response)において機能しうる。細胞のIFNに対する初期の応答は、IFNで活性化される多くの遺伝子のIFN反応性(responsive)エンハンサーに結合する転写因子ISGF3およびIRF−1の活性化である。(レビー、ディー・イー(Levy, D. E.)ら、ジーンズ・デブ(Genes Dev.)3巻、1362〜1371頁(1989年);ハラダ、エイチ(Harada, H.)、セル、58巻、729〜739頁(1987年))。IFNがU266S細胞におけると同様にU266R細胞においてもIRF−1を活性化することが観察された(アブラモビッチ・シー(Abramvich C.)、ピーエイチ・ディー・シーシス(Ph. D. Thesis)、ワイズマン・インスティテュート・オブ・サイエンス(Weizmann Institute of Science)(1993年))。IFNに対するこの応答は、U266R細胞中のスプライス欠失されたIFNARcDNAの産物により媒介されうる。対照的にISGF3はU266S細胞においてのみ誘導され、膜結合型IFNARタンパク質を必要とすることが示唆される。
【0065】
55Kdのタンパク質は実施例2に記載の切除されてスプライス欠失された1型の産物であるかもしれない。このより短い切除された型は細胞から分泌されるかもしれず、IFN結合の競合的阻害剤として働きうる。
【実施例5】
【0066】
可溶性IFNARタンパク質、その融合タンパク質、断片およびムテイン体の組換えによる製造
(a)可溶性IFNARタンパク質、1型および2型の組換えによる製造
前記実施例1〜4で述べたように、膜貫通領域を欠いたIFNARタンパク質の新規の型、1型および2型をコードする特異にスプライスされたmRNAの2つの型が存在する。組換えDNA技術の標準法を用いて(たとえばマニアチスら、前出;サンブルーク(Sambrook)ら、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク(1989年))、それらmRNAからcDNA分子をつくり、引続き単離した。これらcDNAは可溶性IFNARタンパク質の1型および2型をコードする。
【0067】
可溶性IFNARタンパク質の1型および2型をコードする単離されたcDNAを、前記した標準法によりpSVE3またはpSVL構築物を提供するためにそれぞれ初期SV40プロモーターまたは後期SV40プロモーターをもつ発現ベクター内へと導入した。
【0068】
2つの可溶性IFNARの型の発現を、pSVL構築物でCOS−7細胞(サル腎細胞)にトランスフェクトすることにより実証した。これら発現実験の結果から、1型および2型タンパク質の異なる構造が大いにタンパク質産物の挙動に影響することが明らかになった。IFNARタンパク質の427アミノ酸に7アミノ酸末端テールがつき、膜貫通および細胞内ドメインを欠く1型は、COS−7細胞培養の培地中に効率的に分泌されていることが見出された。これに対して膜貫通ドメインの欠失を有するが細胞内ドメインのほとんどすべてを保持している2型は、細胞内にとどまっていることが見出された。これら発現実験の結果を図12aおよびbに示す。
【0069】
図12aにCOS−7細胞の培養培地からえられたサンプルで行なった、免疫染色されたウェスタンブロットの結果を示す。この分析において可溶性IFNAR1型タンパク質の遺伝情報を担うpSVLベクターにより形質転換されたCOS−7細胞を、標準培養培地中で成育させ、細胞により分泌された種々のタンパク質を含む培養培地のサンプルをとった。ついでこれらのサンプルを標準のSDS−PAGEによって分離し、そののちこのようにして分離されたタンパク質を標準ウェスタンブロット法によってニトロセルロースフィルター上にブロットした。つぎにそのウェスタンブロットをモノクローナル抗体、McAB#1(McAB64G12、実施例4参照)を用いて染色した。各SDS−PAGEゲルに対して、したがって各ウェスタンブロットについて以下のサンプルを分析した。
【0070】
(i)1型IFNARの遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞から分泌された、ゲルに付す前に200倍に濃縮した培養培地12μlから調製されたタンパク質(図12aにおけるサンプル「pSVLSαR1型」)
(ii)陰性コントロールとなる、pSVLベクターのみ(すなわち1型の配列を含まない)で形質転換されたCOS−7細胞から分泌された、ゲルに付す前に200倍に濃縮した培養培地12μlから調製されたタンパク質、(図12aにおけるサンプル「pSVL」)
(iii)1型IFNARの遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞から分泌された、ゲルに付す前に200倍に濃縮した培養培地8μlから調製されたタンパク質(図12aにおけるサンプル「pSVLSαR1型」)
(iv)陰性コントロールとなる、pSVLベクターのみ(すなわち1型の配列を含まない)で形質転換されたCOS−7細胞から分泌された、ゲルに付す前に200倍に濃縮した培養培地8μlから調製されたタンパク質(図12aにおけるサンプル「pSVL」)
(v)ブロットのMcAB#1を用いた免疫染色について陽性コントロールとなり、またIFNARに対する分子量スタンダードとなる、細胞表面結合性IFN受容体およびその可溶性型を産生しているダウディ(DAUDI)細胞(ヒト バーキット(Burkitt) リンパ腫細胞、ATCC CCL 213)から抽出したタンパク質(図12aにおけるサンプル「DAUDI」)、ならびに
(vi)放射ラベルした分子量マーカータンパク質(図12aにおける最も右側のサンプル)。
【0071】
このように図12aのウェスタンブロットの結果から、可溶性IFNARタンパク質1型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換したCOS−7細胞がこのタンパク質を首尾よく発現し分泌しうることが明らかであり、分泌されたタンパク質は予測されたように約73Kdの分子量を有していた。
【0072】
図12bにIFNAR1型および2型のタンパク質の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からえられたサンプルについて行なったウェスタンブロットの結果を示す。この分析において形質転換されたCOS−7細胞からえたサンプルは以下のとおりであった:
培養培地サンプル、すなわち細胞により分泌されたタンパク質を含むサンプル;
細胞膜サンプル、すなわち細胞により産生され膜内に取込まれたタンパク質;
サイトゾルサンプル、すなわち細胞により産生され細胞の細胞内画分(サイトゾル)に存在するタンパク質;ならびに
核サンプル、すなわち細胞により産生され核または核膜に結合しているタンパク質。これらサンプルのすべての調製は前記実施例4に記載されている。また核サンプルは、トライトンX−100を用いた核サンプルの洗浄の工程をも含む標準法により細胞抽出サンプル(膜およびサイトゾルを分離し単離したサンプル)からえたことは注目されるべきである。つぎに前記サンプルすべてをSDS−PAGEの標準法により分離しさらに標準のウェスタンブロットを行なった。ウェスタンブロットはついで前記したようにMcAB#1を用いて免疫染色し、図12bに示されるブロットをえた。図12bにおけるサンプルは以下のとおりである:
レーン1:IFNAR配列を含まないpSVLベクターのみを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの培養培地、陰性コントロール;
レーン2:IFNAR1型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの培養培地;
レーン3:IFNAR2型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの培養培地;
レーン4:IFNAR配列を含まないpSVLベクターのみを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの膜、陰性コントロール;
レーン5:IFNAR2型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの膜;
レーン6:IFNAR配列を含まないpSVLベクターのみを用いて形質転換されたCOS−7細胞からのサイトゾル、陰性コントロール;
レーン7:IFNAR2型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からのサイトゾル;
レーン8:IFNAR配列を含まないpSVLベクターのみを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの核、陰性コントロール;ならびに
レーン9:IFNAR2型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いて形質転換されたCOS−7細胞からの核。
【0073】
したがって図12bより可溶性IFNAR1型(約73Kd)が首尾よく発現され、形質転換されたCOS−7細胞培養培地内へと分泌されていることが明らかであり、一方可溶性IFNAR2型タンパク質はCOS−7細胞で首尾よく発現されているものの、培地中には分泌されておらず(おそらくゴルジ膜に存在)さらに細胞核により多く結合していることが明らかである。可溶性IFNAR2型は可溶性IFNAR1型より大きく、およそ80および100Kdの2つの成分(components)として示される。1型および2型のcDNA産物がこのように異なる局在性を示すことにより、細胞で産生されたこれらの可溶性受容体が別個の機能を有するという知見が支持される。たとえば実施例4に明示されるように、膜貫通型IFNARタンパク質を欠くU266R細胞はISGF3の活性化能は喪失しているがIRF−1の活性化によりなお応答することができる。このように可溶性1型および2型タンパク質により演じられる役割は、シグナルトランスダクションを含めてさらに解明されよう。
【0074】
1型タンパク質の遺伝情報を担うpSVLベクターにより形質転換(すなわち前記ベクターを用いてトランスフェクト)されたCOS−7細胞のさらなる実験においてこれら細胞で産生される1型タンパク質はIFNに結合できることが示された。すなわち組換えにより産生されたタンパク質はそのIFN結合活性を保持していた。この実験においては、放射ラベルされたIFN−α−2(ジンザイム(Genzyme)社製)を可溶性IFNAR1型に対するcDNAを用いてトランスフェクトされたCOS−7細胞からの濃縮培地と反応させた。交差結合(cross-linking) ののち、IFN−αに対する抗体およびIFNARに対する抗体(McAB#2=McAB21.4、実施例4参照)を用いて免疫沈降を行なった。この分析ではヒトU266R細胞(膜貫通型IFNARを欠く、IFNAR1型のmRNAを含む細胞、実施例4参照)から分泌されたタンパク質もまたコントロールサンプルとして調べた。この分析の結果を図13に示す。図13は前記したように免疫沈降され交差結合されたサンプルを分離したSDS−PAGEゲルの結果を示す。図13に示すサンプルは以下のとおりである:
レーン1:可溶性IFNAR1型の遺伝情報を担うpSVLベクターを用いてトランスフェクトされたCOS−7細胞からの培養培地、抗IFN−α−2 モノクロナール抗体を用いて免疫沈降しついで[125I]−IFNα−2で交差結合させたもの;
レーン2:レーン1と同じサンプルで、ラベルされていない(コールドの)IFN−α−2(×50)存在下で交差結合させたもの;
レーン3:レーン1と同じサンプルで、McAB#2を用いて免疫沈降を行ないコールドのIFN−α−2(×50)存在下で交差結合させたもの;
レーン4:レーン1と同じサンプルで、McAB#2を用いて免疫沈降を行なったもの;
レーン5:IFNAR配列を含まないpSVLベクターのみを用いてトランスフェクトされたCOS−7細胞からの培養培地、抗IFN−α−2 モノクロナール抗体を用いて免疫沈降をおこなったもの、陰性コントロール;
レーン6:レーン5と同じサンプルで、McAB#2を用いて免疫沈降を行なったもの、陰性コントロール;
レーン7:U266R細胞からの培養培地、McAB#2を用いて免疫沈降を行ないラベルした[125I]−IFN−α−2を用いてコールドのIFNα−2(×50)存在下にて交差結合させたもの;ならびに
レーン8:レーン7と同じサンプルで、ラベルされたIFN−α−2のみで交差結合させたもの(レーン「M」はゲルに流した分子量スタンダードを示す)。
【0075】
図13に示されるように、組換えにより産生された可溶性IFNAR1型へのIFNの結合が首尾よく起こっていることが明らかであり(レーン1および4)、組換え可溶性IFNAR1型のIFN−結合活性が立証される。さらに、U266R細胞はこれら細胞に存在する対応するmRNAによりコードされるIFNAR1型を分泌することができることが明らかであり(レーン8)、少なくともこれらの細胞においては膜結合型受容体の切断から可溶性受容体が生じるのではなくむしろ、特異的にスプライスされたmRNA(実施例4)から生じることが確認された。さらにMcAB#2は可溶性IFNARタンパク質を免疫沈降させることができるが、細胞表面膜から界面活性剤によって抽出された膜結合型受容体については沈降させえない(実施例4参照)。
【0076】
可溶性IFNAR1型がIFNに結合する能力について、COS−7細胞が分泌した産物をダウディ細胞に添加しついでそれに対するヨウ素化したIFN−αの結合を測定することにより、CHO細胞における可溶性IFNARの発現のための可溶性IFNARの遺伝情報を担う発現ベクターの調製も同様に、定量的な実験を含めて予備的に実験を行なっている(結果は本明細書には示さない)。
【0077】
(b)可溶性IFNARタンパク質、その融合産物、断片およびムテイン体の組換え製造法
前記(a)の部分において、可溶性IFNAR1型および2型の遺伝情報を担うSV−40由来の発現ベクター(たとえば、pSVL)の特定の調製法が記載されている。前記ベクターはCOS−7宿主細胞に導入された(トランスフェクションされた)ときに組換えIFNAR1型および2型の発現が成功した。標準的な組換えDNA技術を用いて、以下のように他のベクター(およびそれでトランスフェクトされた宿主細胞)は組換え可溶性IFNAR融合タンパク質、その断片およびムテイン体の製造のために生産されうる。
【0078】
本発明の単離されたcDNAを、終止コドンおよびポリアデニレーション部位が可溶性IFNARの最後の必須コドンの後に挿入されるように、適切なオリゴヌクレオチドを用いて部位特異的変異誘発に供した。ついで、この構築物を当該技術分野においてよく知られている技術によってふさわしく構築された発現ベクターに挿入した(マニアチスら、前出)。合成DNAリンカーまたは平滑末端化連結技術を用いることを含むホモポリマーテイリングまたは制限結合によって、2本鎖cDNAをプラスミドベクターに連結させた。DNA分子を連結させるためにDNAリガーゼを用い、アルカリホスファターゼを用いてDNA鎖を処置することにより望ましくない接合を回避した。
【0079】
可溶性IFNARおよび、たとえばIgG1重鎖の定常部とからなる融合タンパク質の製造は、以下のように行なった。コード配列の直後に特有な制限部位を導入するように、適切なオリゴヌクレオチドを用いて可溶性IFNARのDNAを部位特異的変異誘発に供した。IgG1重鎖の定常部の遺伝情報を担うプラスミド、たとえばpRKCO42Fc1(バイルン・アール・エーら、ネイチャー、344巻、667〜670頁(1990年))を同様の部位特異的変異誘発に供し、融合タンパク質がイン・フェーズに翻訳されうるようにIgG1重鎖のAsp216にできる限り近接して前記と同じ特有な制限部位を導入した。前記の特有な制限部位で消化することにより、5´非翻訳配列および可溶性IFNARをコードする配列からなる2本鎖DNA断片を調製した。変異させたpRKCD42Fc1を同様に消化し、プラスミドおよびIgG1配列を含む大きな断片をつくった。ついで2つの断片を連結させ、N−末端可溶性IFNARおよびIgG1重鎖の約227のC−末端アミノ酸(ヒンジ領域ならびにCH2およびCH3ドメイン)からなるポリペプチド前駆体をコードする新しいプラスミドをつくった。融合タンパク質をコードするDNAを適切な制限酵素を用いた消化によりプラスミドから単離し、ついで、遺伝子発現およびタンパク質の産生を可能とするような方法で所望のタンパク質をコードするDNAに結合させた転写および翻訳調節情報を含む特異的なヌクレオチド配列を含む効率のよい発現ベクターに挿入した。
【0080】
遺伝子が転写されるために、RNAポリメラーゼにより認識されうる、そしてそのポリメラーゼが結合しかくして転写プロセスが開始されるプロモーターを前記遺伝子の前に挿入した。
【0081】
細胞の染色体の中に導入されたDNAが安定に組込まれた細胞を選択することができるように、発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能とする1または複数のマーカーを用いた。マーカーは、栄養要求性の宿主に栄養を供給するものでも、たとえば抗生物質、銅などの重金属などのような殺細胞物質への抵抗性を提供するものであってもよい。
【0082】
前記ベクターはレシピエント宿主での自律的な複製が可能である。
【0083】
前記発現ベクターを形質転換、トランスフェクション、リポフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクションなどの好適な手段によって適切な宿主細胞の中に導入した。
【0084】
前記ベクターを導入したのち、宿主細胞はベクターを含む細胞の成長について選択を行なう選択培地中で選択した。クローン化された遺伝子配列の発現の結果、可溶性IFNAR、その融合タンパク質、ムテイン体または断片が産生された。発現されたタンパク質はついで単離し、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、電気泳動などを含む通例の手法のいずれかによって、またはカラム内に入れたゲルマトリックス上に固定化された抗−可溶性IFNARモノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。すなわち、可溶性IFNARを含む粗調製物をカラムにとおし、ここで可溶性IFNARが特異的な抗体によりカラムに結合され、一方不純物はカラムを通過した。洗浄ののち約pH11または約pH2にてゲルからタンパク質を溶出することにより前記タンパク質を製造した。
【0085】
[配列の表示]
配列番号:1
配列の長さ:434
配列の型:アミノ酸
起源:ホモサピエンス
配列
Met Met Val Val Leu Leu Gly Ala Thr Thr Leu Val Leu Val Ala
5 10 15
Val Gly Pro Trp Val Leu Ser Ala Ala Ala Gly Gly Lys Asn Leu
20 25 30
Lys Ser Pro Gln Lys Val Glu Val Asp Ile Ile Asp Asp Asn Phe
35 40 45
Ile Leu Arg Trp Asn Arg Ser Asp Glu Ser Val Gly Asn Val Thr
50 55 60
Phe Ser Phe Asp Tyr Gln Lys Thr Gly Met Asp Asn Trp Ile Lys
65 70 75
Leu Ser Gly Cys Gln Asn Ile Thr Ser Thr Lys Cys Asn Phe Ser
80 85 90
Ser Leu Lys Leu Asn Val Tyr Glu Glu Ile Lys Leu Arg Ile Arg
95 100 105
Ala Glu Lys Glu Asn Thr Ser Ser Trp Tyr Glu Val Asp Ser Phe
110 115 120
Thr Pro Phe Arg Lys Ala Gln Ile Gly Pro Pro Glu Val His Leu
125 130 135
Glu Ala Glu Asp Lys Ala Ile Val Ile His Ile Ser Pro Gly Thr
140 145 150
Lys Asp Ser Val Met Trp Ala Leu Asp Gly Leu Ser Phe Thr Tyr
155 160 165
Ser Leu Leu Ile Trp Lys Asn Ser Ser Gly Val Glu Glu Arg Ile
170 175 180
Glu Asn Ile Tyr Ser Arg His Lys Ile Tyr Lys Leu Ser Pro Glu
185 190 195
Thr Thr Tyr Cys Leu Lys Val Lys Ala Ala Leu Leu Thr Ser Trp
200 205 210
Lys Ile Gly Val Tyr Ser Pro Val His Cys Ile Lys Thr Thr Val
215 220 225
Glu Asn Glu Leu Pro Pro Pro Glu Asn Ile Glu Val Ser Val Gln
230 235 240
Asn Gln Asn Tyr Val Leu Lys Trp Asp Tyr Thr Tyr Ala Asn Met
245 250 255
Thr Phe Gln Val Gln Trp Leu His Ala Phe Leu Lys Arg Asn Pro
260 265 270
Gly Asn His Leu Tyr Lys Trp Lys Gln Ile Pro Asp Cys Glu Asn
275 280 285
Val Lys Thr Thr Gln Cys Val Phe Pro Gln Asn Val Phe Gln Lys
290 295 300
Gly Ile Tyr Leu Leu Arg Val Gln Ala Ser Asp Gly Asn Asn Thr
305 310 315
Ser Phe Trp Ser Glu Glu Ile Lys Phe Asp Thr Glu Ile Gln Ala
320 325 330
Phe Leu Leu Pro Pro Val Phe Asn Ile Arg Ser Leu Ser Asp Ser
335 340 345
Phe His Ile Tyr Ile Gly Ala Pro Lys Gln Ser Gly Asn Thr Pro
350 355 360
Val Ile Gln Asp Tyr Pro Leu Ile Tyr Glu Ile Ile Phe Trp Glu
365 370 375
Asn Thr Ser Asn Ala Glu Arg Lys Ile Ile Glu Lys Lys Thr Asp
380 385 390
Val Thr Val Pro Asn Leu Lys Pro Leu Thr Val Tyr Cys Val Lys
395 400 405
Ala Arg Ala His Thr Met Asp Glu Lys Leu Asn Lys Ser Ser Val
410 415 420
Phe Ser Asp Ala Val Cys Glu Asn Ile Ser Leu Asn Ser His
425 430
【0086】
配列番号:2
配列の長さ:496
配列の型:アミノ酸
起源:ホモサピエンス
配列
Met Met Val Val Leu Leu Gly Ala Thr Thr Leu Val Leu Val Ala
5 10 15
Val Gly Pro Trp Val Leu Ser Ala Ala Ala Gly Gly Lys Asn Leu
20 25 30
Lys Ser Pro Gln Lys Val Glu Val Asp Ile Ile Asp Asp Asn Phe
35 40 45
Ile Leu Arg Trp Asn Arg Ser Asp Glu Ser Val Gly Asn Val Thr
50 55 60
Phe Ser Phe Asp Tyr Gln Lys Thr Gly Met Asp Asn Trp Ile Lys
65 70 75
Leu Ser Gly Cys Gln Asn Ile Thr Ser Thr Lys Cys Asn Phe Ser
80 85 90
Ser Leu Lys Leu Asn Val Tyr Glu Glu Ile Lys Leu Arg Ile Arg
95 100 105
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110 115 120
Thr Pro Phe Arg Lys Ala Gln Ile Gly Pro Pro Glu Val His Leu
125 130 135
Glu Ala Glu Asp Lys Ala Ile Val Ile His Ile Ser Pro Gly Thr
140 145 150
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155 160 165
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170 175 180
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185 190 195
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200 205 210
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215 220 225
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230 235 240
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245 250 255
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260 265 270
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275 280 285
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290 295 300
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305 310 315
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320 325 330
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335 340 345
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350 355 360
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365 370 375
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380 385 390
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395 400 405
Ala Arg Ala His Thr Met Asp Glu Ser Asp Ala Val Cys Glu Tyr
410 415 420
Phe Ser Glu Gln Pro Leu Lys Asn Leu Leu Leu Ser Thr Ser Glu
425 430 435
Glu Gln Ile Glu Lys Cys Phe Ile Ile Glu Asn Ile Ser Thr Ile
440 445 450
Ala Thr Val Glu Glu Thr Asn Gln Thr Asp Glu Asp His Lys Lys
455 460 465
Tyr Ser Ser Gln Thr Ser Gln Asp Ser Gly Asn Tyr Ser Asn Glu
470 475 480
Asp Glu Ser Glu Ser Lys Thr Ser Glu Glu Leu Gln Gln Asp Phe
485 490 495
Val
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】a)既知の膜貫通型IFNAR、b)本発明の新規な可溶性(S)−ドメインをもつ切除された型のIFNARおよびc)本発明の短くなったIC´ドメインをもつ2カ所欠失された型のIFNARのための、実施例1に記載のcDNAの概略説明図である。
【図2】実施例1および2に記載のa)既知の膜貫通IFNAR1型のcDNAと、b)本発明の新規なS−ドメインをもつ可溶性IFNAR1型のcDNAを比較した概略説明図である。
【図3】実施例1および2に記載のU266R細胞およびU266S細胞からのPCR産物のサイズを分析した、エチジウムブロマイド染色されたアガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図4】既知の膜貫通IFNARのcDNAと、本発明の新規なS−ドメインをもつ可溶性IFNARのcDNAのヌクレオチド配列の一部を比較した図である。
【図5】本発明の新規なIFNAR1型のcDNAに対するアミノ酸配列を部分的に示す図である。
【図6】実施例3に記載のa)既知の膜貫通型IFNARのcDNAと、b)本発明の短くなったIC´ドメインをもつ可溶性IFNAR2型のcDNAを比較した概略説明図である。
【図7】既知の膜貫通IFNARのcDNAと、択一的にスプライスされた、本発明の短くなったIC´ドメインをもつ可溶性IFNAR2型のcDNAのヌクレオチド配列の一部を比較した図である。
【図8】既知の膜貫通型IFNARのアミノ酸配列を示す図である。
【図9】実施例3に記載のスプライス欠失された可溶性IFNAR1型のアミノ酸配列を示す図である。
【図10】実施例3に記載の短くなったIC´ドメインをもつ2カ所欠失された可溶性IFNAR2型のアミノ酸配列を示す図である。
【図11】a)実施例4に記載の、McAB#1およびMcAB#2と反応させたU266R細胞およびU266S細胞からの総抽出タンパク質のウェスタンイムノブロットの結果を示す図である。b)実施例4に記載の、McAB#1およびMcAB#2と反応させたU266R細胞およびU266S細胞からの総抽出タンパク質、可溶性細胞質画分タンパク質、細胞膜タンパク質のウェスタンイムノブロットの結果を示す図である。
【図12】a)実施例5(a)に記載の、トランスフェクトされたCOS−7細胞から分泌された組換えにより製造された可溶性IFNARタンパク質のウェスタンブロットの結果を示す図である。b)実施例5(a)に記載の、トランスフェクトされたCOS−7細胞から分泌された、ならびに細胞膜、細胞内画分(サイトゾル)および細胞核に結合した、組換えにより製造された可溶性のIFNARタンパク質のウェスタンブロットの結果を示す図である。
【図13】実施例5(a)に記載の組換えにより製造された可溶性IFNAR1型と放射ラベルされたIFNとの交差結合し、免疫沈降された産物を分離したSDS−PAGEの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2で示されるスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体2型のアミノ酸配列を有する哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体をコードするDNA配列。
【請求項2】
請求項1記載のDNA配列を含んでなる組換え発現ベクター。
【請求項3】
請求項2記載のベクターを含んでなる宿主細胞を培養することからなる、哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体の調製法。
【請求項4】
配列番号2に示されるスプライス欠失されたインターフェロンα−受容体2型のアミノ配列を有する哺乳動物の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体、またはその塩もしくは機能性誘導体。
【請求項5】
ヒトが起源である請求項4記載のインターフェロンα−受容体。
【請求項6】
約95キロダルトンの分子量を有するスプライス欠失された請求項4記載の哺乳類の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体。
【請求項7】
請求項4記載の哺乳類の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体を含有する、インターフェロン−βおよび/またはインターフェロン−αのサブタイプの活性の阻害剤。
【請求項8】
請求項4記載の哺乳類の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体を含有する、インターフェロン−βおよび/またはインターフェロン−αのサブタイプの活性を変更する薬剤。
【請求項9】
請求項4記載の哺乳類の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体を含有するインターフェロン−βおよび/またはインターフェロン−αのサブタイプの活性を修飾する薬剤。
【請求項10】
請求項4記載の哺乳類の可溶性、膜非結合型のインターフェロンα−受容体を含有する、生体内でまたは生体外でインターフェロン−αまたはインターフェロン−βのサブタイプの種類を質的および/または量的に診断判定するための薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−97593(P2007−97593A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305759(P2006−305759)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【分割の表示】特願2004−354550(P2004−354550)の分割
【原出願日】平成6年10月24日(1994.10.24)
【出願人】(591091353)イエダ リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】YEDA RESEARCH AND DEVELOPMENT COMPANY LIMITED
【Fターム(参考)】