説明

可溶性部分を有する電気活性物質および有益薬剤

【課題】電気活性物質および有益薬剤を適宜のエレクトロクロミック媒体に操業的に望ましい濃度で組込みすることに関連する損失および/または複雑化を矯正する可溶性部分を有する電気活性物質および/または有益薬剤を提供する。
【解決手段】前面および後面を有する基体、前面および後面を有する第二基体ならびにチャンバー、結合封止部材を有する導電物質が塗布されていてもよい基体、カソード電気活性物質で少なくとも1種の溶媒、アノード電気活性物質、任意の有益薬剤含む、エレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体であり、前記カソード電気活性物質、アノード電気活性物質および/または有益薬剤の少なくとも1つは、可溶性部分のない同じ物質に比較して結合物質もしくは薬剤の溶解度を増大させる働きをする可溶性部分と結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般にエレクトロクロミックデバイスに使用される電気活性物質および有益薬剤(beneficial agent)に関し、特に可溶性部分と関連付けられた電気活性物質および/または有益薬剤に関し、その可溶性部分は、そのような可溶性部分のない同じ物質と比較して関連付けられた物質もしくは薬剤の溶解度を増大させる働きをする。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
エレクトロクロミックデバイスは、数年前から当業界では既知である。さらに、種々の電気活性物質および/または有益薬剤に関連する実験も、探求されてきた。エレクトロクロミック鏡および窓などの装置におけるそのような電気活性物質および/または有益薬剤の利用が確認されている一方、これらの物質および薬剤の多くの溶解度特性は、商業的用途については大いに問題があるままである;特に特定のデバイスが極度の気候変化に日常的に曝露されるところではそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記物質および薬剤を適宜のエレクトロクロミック媒体に操業的に望ましい濃度で組込みすることに関連する前記損失および/または複雑化を矯正する可溶性部分を有する電気活性物質および/または有益薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
本発明は、エレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体に向けられる:当該媒体は(a)少なくとも1種の溶媒;(b)カソード電気活性物質;(c)アノード電気活性物質;を含み、(d)前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は、エレクトロクロミックであり;そして(e)前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は可溶性部分と関連付けられており、当該可溶性部分は可溶性部分のない同じ物質に比較して関連付けられたカソードおよびアノード電気活性物質の一方もしくは両方の溶解度を増大させる働きをする。
【0005】
本発明は、またエレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体にも向けられる:当該デバイスは(a)少なくとも1種の溶媒;(b)カソード電気活性物質;(c)アノード電気活性物質;(e)有益薬剤;を含み、(d)前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は、エレクトロクロミックであり;そして前記有益薬剤は、可溶性部分のない同じ物質に比較して有益薬剤の溶解度を増大させる働きをする可溶性部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図面の図1は、本発明により作成されたエレクトロクロミックデバイスの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
図面を、特に図1を参照すると、エレクトロクロミックデバイス100の断面模式図が示され、それは一般に前面112Aおよび後面112Bを有する第一基体112、前面114Aおよび後面114Bを有する第二基体114、ならびにエレクトロクロミック媒体124を含むチャンバー116を含む。エレクトロクロミックデバイス100が、説明の目的のみで、鏡、窓、ディスプレーデバイス、コントラスト強化フィルターなどを含んでもよいことは理解されよう。さらに、図1はエレクトロクロミックデバイス100の模式図にすぎないことも理解されよう。そういうわけで、構成部品のいくつかは、図を明瞭にするために実物大からゆがめられている。実際、多数の他のエレクトロクロミックデバイス形態が、その内容すべてが本明細書に取り込まれる“Electrochromic Rearview Mirror Incorporating A Third Surface Metal Reflector”と題する米国特許第5,818,625号(以下、'625特許という)に開示されるものを含んで、使用に企図される。
【0008】
第一基体112を、例えば、ボロシリケートガラス、ソーダ石灰ガラス、フロートガラス、天然および合成ポリマー樹脂、もしくはニュージャージー州サミットのTiconaから市販されているTopas(登録商標)を含むプラスチックなど、電磁スペクトルの可視領域で透明もしくは実質的に透明ないくつかの物質のいずれか1つから作成してもよい。第一基体112は、好ましくはおよそ0.5mm〜およそ12.7mmの範囲の厚さを有するガラスシートから作成される。もちろん、基体の厚さは、エレクトロクロミックデバイスの特定の用途に大いに依存する。特定の基体材料が説明の目的のみで開示されるが、多数の他の基体材料も、材料が少なくとも実質的に透明で、かつ意図される用途の状態で有効な操作を可能とする適切な物理的性質を発揮する限り、使用に企図される。実際、本発明によるエレクトロクロミックデバイスは、正常な操業の間、極度の温度、さらに太陽から主に発散する実質的な紫外線に曝露され得る。
【0009】
第二基体114は、第一基体112のそれに類似する材料から作成できる。しかし、エレクトロクロミックデバイスが鏡であるなら、実質的に透明な要件は、必要ではない。そういうわけで、第二基体114は、代替的に、ポリマー、金属、ガラス、セラミックもしくは他の類似する物質を含んでもよい。第二基体114は、好ましくはおよそ0.5mm〜およそ12.7mmの範囲の厚さを有するガラスシートから作成される。第一および第二基体112と114がそれぞれガラスシートから作成されるなら、ついで、導電物質(118および120)層で塗布することに先立ってもしくはそれに続いて、ガラスを任意に熱もしくは化学的手段により焼戻し(temper)、あるいは強化できる。
【0010】
導電物質118の1つ以上の層が、第一基体の後面112Bと関連付けられる。これらの層は、エレクトロクロミックデバイスに電極として働く。導電物質118は、望ましくは下記のような材料である:(a)電磁スペクトルの可視領域で実質的に透明である;(b)第一基体112にほどよく結合する;(c)封止材料と関連付けられたときにこの結合を維持する;(d)一般にエレクトロクロミックデバイスもしくは雰囲気内に含まれる物質に耐蝕性である;そして最小の拡散もしくは正反射率、ならびに十分な電導度を示す。導電物質118を、弗素ドープ錫酸化物(FTO)、例えば、オハイオ州トレドのLibby Owens‐Ford‐Co.から市販されているTECガラス、インジウムドープ錫酸化物(ITO)、ドープ亜鉛酸化物もしくは他の当業界で既知の材料から作成することが企図される。
【0011】
導電物質120は、好ましくは第二基体114の前面114Aと関連付けられ、封止部材122により導電物質118に作動的に結合する。図1でわかるように、いったん結合すると、封止部材122ならびに導電物質118および120の並べて置かれた部分は、チャンバー116の内部周辺配置を定める働きをする。
【0012】
導電物質120は、エレクトロクロミックデバイスの意図される用途により変化し得る。例えば、エレクトロクロミックデバイスが鏡である場合、材料は、導電物質118に類似する透明導電性コーティングを含んでもよい(この場合、反射体は、第二基体114の後面114Bと関連付けられる)。代替的に、導電物質120は、上記'625特許の教示による反射材料の層を含んでもよい。この場合、導電物質120は、第二基体114の前面114Aと関連付けられる。この型の反射体の典型的なコーティングには、クロム、ロジウム、ルテニウム、銀、銀合金およびこれらの積重ね層が含まれる。
【0013】
封止部材122は、エレクトロクロミック媒体124がチャンバーから不注意で漏れないように、導電物質118および120に接着結合して、次に、部材116を封止できるいかなる材料も含み得る。図1のダッシュラインに示されるように、封止部材がそれぞれの基体の後面112Bおよび前面114Aに伸びることも企図される。そのような実施態様においては、導電物質118および120の層を、封止部材122が配置されるところで部分的に除去してもよい。導電物質118および120がそれぞれの基体と関連付けられていない場合、封止部材122は、好ましくはガラスによく結合している。封止部材122を、例えば、その内容すべてが本明細書に取り込まれる米国特許第4,297,401号、第4,418,102号、第4,695,490号、第5,596,023号、第5,596,024号、第4,297,401号、および“Improved Seal For Electrochromic Devices”と題する米国特許出願出願番号09/158,423号に開示されるものを含むいくつかの材料のいずれか1種から作成することができる。
【0014】
エレクトロクロミック媒体124が図1に示されるが、それは一般にアノード電気活性および/またはエレクトロクロミック物質、カソード電気活性および/またはエレクトロクロミック物質、1種以上の溶媒および1種以上の任意の有益薬剤を含む。本発明によれば、上記媒体物質もしくは薬剤の1つ以上は可溶性部分と関連付けられており、当該可溶性部分は可溶性部分のない同じ物質に比較して関連付けられた物質もしくは薬剤の溶解度を増大させる働きをする。下で詳細に検討するように、そのような可溶性部分は、関連装置で、特に特定の装置が、エレクトロクロミック窓および鏡の場合普通そうであるが、極度の気候変化に一般に曝露される場合、物質もしくは薬剤の相溶性を大きく強化できる。エレクトロクロミック媒体124が、“Improved Electrochromic System for Producing a Preselected Color”と題する米国特許第6,020,987号に開示される形状を含むいくつかの異なるものの1つに形作ることができることが理解されよう。「エレクトロクロミック」という語は、その通常の意味にもかかわらず、本明細書においては、特定の電位差に曝露されたときに1つ以上の波長でその吸光係数に変化を有する物質と定義される。「電気活性」という語は、その通常の意味にもかかわらず、本明細書においては、特定の電位差に曝露されたときにその酸化状態で変性を受ける物質と定義される。
【0015】
本開示のために、本明細書で下に開示されるエレクトロクロミック媒体は、その内容すべてが本明細書に取り込まれる“Electrochromic Layer and Devices Comprising Same”と題する米国特許第5,928,572号に開示されるような溶液相およびゲル化媒体を含むいくつかの媒体型のいずれか1種を含み得る。
【0016】
本発明に開示される電気活性および/またはエレクトロクロミック物質、ならびに有益薬剤は、“Electrochromic System”と題する国際出願出願番号PCT/EP97/00499の教示に従ってブリッジングユニットにより組合せもしくは結合され得ることは理解されよう。
【0017】
さらに、本発明に開示される電気活性および/またはエレクトロクロミック物質、ならびに有益薬剤も、その内容すべてが本明細書に取り込まれる“Electrochromic Polymeric Solid Films,Manufacturing Electrochromic Devices Using Such Solid Films,And Processes For Making Such Solid Films and Devices”と題する米国特許第5,910,854号の教示に従ってゼラチン状媒体に「結束(tied)」され得ることも理解されよう。さらに、ハイブリッド媒体も、同様に使用に企図される。ハイブリッド媒体において、カソードもしくはアノード物質の1つを(固体形状で)、それぞれの導電物質もしくは半導体に適用できる。例えば、酸化タングステン(WO3)もしくはポリアニリンを、従来の導電物質の表面に適用できる。さらに、他の物質中、多くのビオロゲンをTiO2の上に適用できる。
【0018】
カソード電気活性/エレクトロクロミック物質は、例えば、メチルビオロゲンテトラフルオロボレートもしくはオクチルビオロゲンテトラフルオロボレート、ならびにポリマービオロゲンなどのビピリジニル系ビオロゲンを含み得る。上記物質の調製もしくは市販源は、当業界で周知である。特定のカソード物質が、説明の目的のみで与えられたが、多くの他の従来のカソード物質も同様に使用に企図され、それに限定はされないが、その内容すべてが本明細書に取り込まれる米国特許第4,902,108号および“Electrochromic Materials with Enhanced Ultraviolet Stability”と題する米国出願出願番号09/366,115に開示されるものを含む。実際、カソード物質に対する唯一の企図される限定は、装置100のエレクトロクロミック性能に悪影響を及ぼすべきではないということである。さらに、カソード物質が、それに限定はされないが、酸化タングステンを含む固体遷移金属酸化物を含み得ることも企図される。
【0019】
アノード電気活性および/またはエレクトロクロミック物質は、メタロセン、置換メタロセン、フェロセン、置換フェロセン、置換フェロセニル塩、アジン、フェナジン、置換フェナジン、フェノチアジン、置換フェノチアジン、トリフェノアジン、トリフェノジチアジン、トリフェノジオキサジン、キノザリノフェナジン、カルバゾールおよびフェニレンジアミンを含むいくつかの物質のいずれか1種を含み得る。アノード物質の例には、ジ‐t‐ブチル‐ジエチルフェロセン、(6‐(テトラ‐t‐ブチルフェロセニル)ヘキシル)トリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、(3‐(テトラ‐t‐ブチルフェロセニル)プロピル)トリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、5,10‐ジメチルフェナジンおよび3,7,10‐トリメチルフェノチアジンが含まれ得る。
【0020】
アノード物質の追加例には、下記化学式により表されるものが含まれる:
【0021】
【化1】

【0022】
式中R1〜R10は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状もしくは枝分れアルキル基を含み、かつR1〜R10の少なくとも1つは、第二/可溶性部分と結合している。特定のアノード物質が、説明の目的のみで開示されたが、いくつかのアノード物質のいずれか1種も、その特定のアノード物質が、本明細書に定義されるように適切な「電気活性」および/または「エレクトロクロミック」特質を示す限り、同様に使用に企図される。上記アノード物質もしくはその前駆体のいくつかは、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich Chemical Co.などの一般的な商業的化学薬品販売者から入手可能である。
【0023】
本発明によれば、可溶性部分は1種以上の電気活性物質および/または1種以上の有益薬剤(下記参照)と関連付けることができ、当該部分はそのような可溶性部分のない同じ物質に比較して関連付けられたもしくは薬剤の溶解度を増大させる働きをする。そのような増大した溶解度は、例えば、多くの安定した電気活性物質および有益薬剤が、普通の市販される適宜の溶媒中で、特に低温で、問題の溶解度(例、曇り、沈殿、相分離など)を示すので、非常に望ましい。本開示のために、可溶性部分は、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホニット、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、アルコール、ラクトン、イミド、ならびにこれらの混合物を含み得る。
【0024】
例えば、可溶性部分は、下記化学式の1つ以上により表すことができる:
【0025】
【化2】









【0026】
式中R11〜R32は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;Arは、フェニルを含むアリール成分であり;mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そしてXは電気活性物質もしくは有益薬剤と関連付けられ、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【0027】
図示はされていないが、可溶性部分の多くが、群IおよびII金属陽イオン、遷移金属陽イオン、アンモニウム陽イオンもしくは他の類似の陽イオンを含む陽イオン、あるいはハロゲン化物、ペルクロレート、トリフルオロメタンスルホネートを含むスルホネート、ビス‐トリフルオロメタンスルホンアミド、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェートもしくは他の類似の陰イオンを含む陰イオンなど、均合対イオンと関連付けられることが理解されよう。
【0028】
代替的に、可溶性部分は、下記化学式で表すことができる:
Y−R33
式中Yは、電気活性物質および/または有益薬剤と結合し、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そしてR33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【0029】
特定の可溶性部分を、本明細書で開示したが、非電気活性(およそ−1.2V〜およそ1.2V対Ag/AgClの外でレドックス反応を受けるもの;溶媒崩壊をはばむのに好ましい有用な範囲)、カソード活性、フェナジンもしくはフェノチアジン、UV安定化および「溶媒クローン」部分を含むいくつかの他の可溶性部分のいずれか1種が使用に企図されることが理解されよう。「溶媒クローン」部分という語は、本明細書においては、特定の溶媒の官能成分に類似する部分と定義される。実際、可溶性部分についての唯一企図される限定は、それが可溶性部分のない電気活性物質もしくは有益薬剤の溶解度に比較して、関連付けた溶媒における関連付けた電気活性物質もしくは有益薬剤の溶解度増大を容易にしなければならないということである。上記可溶性部分の多くが、Aldrich Chemical Co.を含む商業的化学薬品販売者から入手可能である有機成分を含むことは理解されよう。
【0030】
説明の目的のみで、アノードおよびカソード電気活性物質の濃度は、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲であり、より好ましくはおよそ5mM〜およそ500mMの範囲である。アノードおよびカソード物質の特定の濃度を与えたが、所望の濃度はエレクトロクロミック媒体124を含むチャンバーの幾何学的形状により大きく変化し得ることは理解されよう。
【0031】
本開示の目的で、エレクトロクロミック媒体の溶媒は、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートを含むカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む多くの一般の市販される物質の1種以上を含み得る。説明の目的のみで、エレクトロクロミック媒体と関連付けられるものとして特定の溶媒を開示したが、本開示を有する当業者に既知の多くの他の溶媒も、使用に企図される。実際、非液体もしくはポリマー型エレクトロクロミック媒体が、本発明による使用に好適であることは理解されよう。
【0032】
さらに、エレクトロクロミック媒体は、光吸収剤および/またはブロッカー、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、増粘剤を含む粘度調整剤、および/または色彩付与剤、ならびにこれらの混合物を含む可溶性部分と関連付けられ得る1種以上の有益薬剤も含み得る。好適な光安定剤には、2、3挙げると、下記のものが含まれる:ニューヨーク州パーシパニーのBASFより登録商標Uvinul N‐35の下で、またニューヨーク州フラッシングのAceto Corp.により登録商標Viosorb910の下で市販されている物質エチル‐2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリレート;BASFより登録商標Uvinul N‐539の下で市販されている物質(2‐エチルヘキシル)‐2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリレート;Ciba‐Geigy Corp.により登録商標Tinuvin Pの下で市販されている物質2‐(2’‐ヒドロキシ‐4’‐メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;従来の加水分解それに続く従来のエステル化により、Ciba‐Geigy Corp.により市販されているTinuvin 213から調製された物質3‐[3‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐5‐(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]プロピオン酸ペンチルエステル(以下、“Tinuvin PE”);American Cyanamidから登録商標Syasorb UV 9の下で市販されている物質2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン;およびSandoz Color&Chemicalsから登録商標Sanduvor VSUの下で市販されている物質2‐エチル‐2’‐エトキシアラニリド。増粘剤には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリカルボネートが含まれ、両方とも、他の化学薬品供給者中、Aldrich Chemical Co.から市販されている。さらに、エレクトロクロミック媒体の安定度は、その内容すべてが本明細書に取り込まれる“Color Stabilized Electrochromic Devices”と題する米国出願出願番号09/377,455の教示により強化できる。
【0033】
構成部分として上記可溶化物質もしくは薬剤を有するエレクトロクロミックデバイスは、種々の用途に用いることができ、それにおいては、正常の操作で、透過もしくは反射光を調節でき、その技術は、当業界で周知である。そのようなデバイスには、車用バックミラー;ビルディング、家もしくは車の外部用窓;チューブ状光フィルターを含むビルディング用天窓;オフィスもしくは部屋間仕切の窓;ディスプレー装置;ディスプレー用コントラスト強化フィルター;写真装置および光センサー用光フィルター;ならびに粉末電池、一次および二次電気化学電池用指示器が含まれる。
【0034】
本発明のエレクトロクロミック媒体は、多くの異なる電気活性および/またはエレクトロクロミック物質を利用する。物質もしくはそれに関連する誘導体が当業界で周知でなければ、調製および/または市販源を本明細書に与える。特に断りがない限り、出発試薬は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich Chemical Co.および他の一般の化学薬品供給者から市販されていることは理解されよう。さらに、下記のものを含む従来の化学省略形が、適切なときに用いられることも理解されよう:グラム(g);ミリリットル(ml);モル(mol);ミリモル(mmol);モルの(M);ミリモルの(mM);1平方インチにつきのポンド(psi);および時間(h)。
【0035】
本発明の支持のため、いくつかの実験を実施したが、それにおいて、可溶性部分と結合した電気活性物質および有益薬剤の溶解度特性を、そのような可溶性部分のない類似の物質および薬剤と比較した。下記の表は、下の実験で利用された多くの物質および薬剤を与える。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
フェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートの合成
N‐メチル‐4,4’‐ジピリジルヘキサフルオロホスフェート6.32g(20mmol)を、100mlのアセトニトリルに溶解し、その後、9.21g(30mmol)の3‐ブロモ‐1‐フェロセニルプロパンを添加し、混合物を加熱して一晩中還流させた。3‐ブロモ‐1‐フェロセニルプロパンを、適宜の誘導出発試薬を用いて、'455出願に開示されるような6‐ブロモ‐1‐(テトラ‐t‐ブチル)フェロセニルへキサンに類似する方法で調製した。溶液をおよそ40時間還流させ、その後黄色の固体を空気中フリットの上に集めた。溶液を一晩中の加熱に戻し、より黄色の物質を集めた。4.41g(35%)の全量を集め、ジエチルエーテル(Et2O)で洗浄し、空気中で乾燥させることにより乾燥させた。この固体(3.0g、4.8mmol)を水に溶解し、NaBF4(溶解前は8.77g)のろ過水溶液を添加して赤クレー色の沈殿物を与えた。物質を集め、アセトンに再溶解し、NaBF4(5.0g)の別のろ過水溶液を添加した。沈殿が始まるまで、アセトンを回転蒸発により徐々に除去し、その時点で混合物を加熱して溶解し、ついで徐々に冷却して結晶化した。固体を、空気中ガラスフリットの上に集め、Et2Oで洗浄して2.29g(83%)のフェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートを与えた。
【0039】
ビス‐フェロセンヘキシルビオロゲンテトラフルオロボレートの合成
ビス‐フェロセンヘキシルビオロゲンテトラフルオロボレートを、17.26g(49.4mmol)の6‐ブロモ‐1‐フェロセニルヘキサンおよび2.5g(16.0mmol)の4,4’‐ジピリジンを用いて、フェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートと類似の方法で調製し、7.71g(56%)のビス‐フェロセンヘキシルビオロゲンテトラフルオロボレートを得た。6‐ブロモ‐1‐フェロセニルへキサンを、適宜の誘導出発試薬を用いて、'455出願に開示されるような6‐ブロモ‐1‐(テトラ‐t‐ブチル)フェロセニルへキサンに類似する方法で調製した。
【0040】
フェロセンプロピル‐p‐シアノフェニルビオロゲンテトラフルオロボレートの合成
フェロセンプロピル‐p‐シアノフェニルビオロゲンテトラフルオロボレートを、10.71g(34.9mmol)の3‐ブロモ‐1‐フェロセニルプロパン、4.01g(11.6mmol)のN‐p‐シアノフェニル‐4,4’‐ジピリジルテトラフルオロボレート(下の合成を参照)を用いて、フェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートに類似する方法で調製して、1.87g(24%)のフェロセンプロピル‐p‐シアノフェニルビオロゲンテトラフルオロボレートを褐色の結晶性固体として与えた。
【0041】
N‐p‐シアノフェニル‐4,4’‐ジピリジルテトラフルオロボレートの合成
85.9g(550mmol)の4,4’‐ジピリジルおよび112.2g(553.9mmol)の1‐クロロ‐2,4‐ジニトロベンゼンを500mlのアセトニトリルに溶解して、溶液を室温でおよそ48時間攪拌した。固体を空気中フリットの上に集め、アセトニトリルで洗浄し、真空内で乾燥させて73.2g(37%)のN‐2,4‐ジニトロフェニル‐4,4’‐ジピリジルクロリドを与えた。40.0g(11.5mmol)のジニトロ錯体および39.52g(334.5mmol)のp‐シアノアニリンを、200mlのジメチルホルムアミドおよび375mlの水の混合物に窒素パージ下で溶解し、溶液を還流で一晩中加熱した。溶液を冷却し、容積を200mLに減少させ、800mlのアセトンを添加して、N‐p‐シアノフェニル‐4,4’‐ジピリジルクロリドを淡褐色の固体として沈殿させた。上澄み液からの物質のさらなる回収は、減圧下溶媒容積減少により容易になった。物質を最小量の水に溶解し、アセトンを再び添加して物質を白色固体として沈殿させた。10gのNaBF4をおよそ100mlの水に溶解し、溶液をろ過した。白色固体を最小量の水に溶解して、BF4溶液を添加し、結果として得られる白色固体をろ過により集めて真空内で乾燥させて13.44g(35%)のN‐p‐シアノフェニル‐4,4’‐ジピリジルテトラフルオロボレートを白色固体として与えた。
【0042】
テトラ‐t‐ブチル‐フェロセンヘキシルメチルビオロゲンヘキサフルオロホスフェートの合成
テトラ‐t‐ブチル‐フェロセンヘキシルメチルビオロゲンヘキサフルオロホスフェートを、5.26g(9.2mmol)の6‐ブロモ‐1‐テトラ‐t‐ブチルフェロセニルへキサン、1.45g(4.59mmol)のN‐メチル‐4,4’‐ジピリジルヘキサフルオロホスフェートおよび陰イオン交換物質として働く2.00gのヘキサフルオロホスフェートカリウムを用いて、フェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートに類似する方法で調製して、0.82g(19%)のテトラ‐t‐ブチル‐フェロセンヘキシルメチルビオロゲンヘキサフルオロホスフェートを緑色がかった固体として与えた。
【0043】
テトラ‐t‐ブチル‐フェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートの合成
10.19g(19.17mmol)の3‐ブロモ‐1‐テトラ‐t‐ブチルフェロセニルプロパンおよび12.5g(80mmol)の4,4’‐ジピリジンを100mlのアセトニトリルに溶解し、加熱して2日間還流させた。3‐ブロモ‐1‐テトラ‐t‐ブチルフェロセニルプロパンを、適宜の誘導出発試薬を用いて、'455出願に開示されるような6‐ブロモ‐1‐(テトラ‐t‐ブチル)フェロセニルへキサンに類似する方法で調製した。冷却後、溶媒を回転蒸発により除去し、Et2Oを添加し、混合物をろ過して4.56g(35%)の褐色固体を与えた。褐色固体4.0g(5.82mmol)を50mlのアセトニトリルに懸濁し、ついで、加熱しておよそ5時間還流させる前に1.24ml(20mmol)のMelを添加した。溶液を室温に冷却し、沈殿物を空気中ガラスフリットの上に集めた。固体をEt2Oで洗浄し、フリットの上で乾燥させた。沈殿物を1:1メタノール(MeOH):水(H2O)に溶解し、NaBF4(10g)のろ過水溶液を攪拌しながら添加して黄金色の沈殿物を与え、それを再び空気中ガラスフリットの上に集めた。固体をアセトンに再溶解し、別のNaBF4(10g)ろ過水溶液を添加し、沈殿が始まるまでアセトンを回転蒸発により徐々に除去した。ついで、懸濁液を加熱して溶解し、溶液を徐々に冷却して結晶化した。固体を集め、Et2Oで洗浄し、空気中で乾燥させて2.45g(53%)のテトラ‐t‐ブチルフェロセンプロピルメチルビオロゲンテトラフルオロボレートを褐色をおびた黄金色の固体として与えた。
【0044】
オクタメチルフェロセンの合成
25.00g(204.6mmol)の1,2,4,5‐テトラメチル‐シクロペンタ‐1,3‐ジエン(HMe4Cp)を反応器に装填し、窒素正圧下およそ200mlのへキサンに溶解した。溶液を氷浴でおよそ0℃に冷却し、ついで、84ml(210mmol)の2.5M n‐ブチルリチウムをシリンジにより反応器に装填した。次に、反応混合物を一晩中攪拌しながら室温まで加温した。別の器で、およそ100mlのテトラヒドロフラン(THF)中1.95g(35mmol)のFeを、窒素パージし、ついで、0℃に冷却した。11.56g(70mmol)のFeCl3を、3つに等しく分けてFe/THF混合物に装填し、ついで、混合物を加熱して窒素雰囲気下およそ2時間還流させた。ついで、FeCl2‐2THFを室温に冷却し、カニューレによりLiMe4Cp懸濁液に移した。完全な混合物を加熱して、2時間還流させた。冷却後、反応をおよそ300mlの水および少量の亜鉛粉末の添加により急冷させた。反応混合物を分液漏斗に装填し、それにより有機層を単離し、集めた。水性層をEt2Oで抽出した。次に、有機層を結合し、飽和ブライン溶液で洗浄し、MgSO4の上で乾燥させ、ろ過した。ついで、溶媒を回転蒸発により除去してオレンジ色の固体を与え、それをMeOHで洗浄し、真空フリットの上に集めた。追加生成物を、MeOH溶液の容量を減少させてフリーザー中で一晩中冷却することにより回収した。全収率は、およそ22gのオクタメチルフェロセンだった。
【0045】
ジ(メチルペンタノエート)オクタメチルフェロセンの合成
上で調製されたオクタメチルフェロセン5.00g(16.8mmol)を反応器に装填し、窒素正圧下およそ100mlのジクロロエタン(C24Cl2)に溶解した。4.48ml(32.4mmol)のメチル‐5‐クロロ‐5‐オキソバレレートおよび6.7g(50mmol)のAlCl3を反応器に装填し、ついで、反応混合物をおよそ24時間攪拌した。次に、およそ100mlの水およびおよそ2gの亜鉛粉末を反応器に装填した。ついで、反応混合物を追加の2時間攪拌し、ついで、およそ300mlのEt2Oを混合物に添加した。有機層を分液漏斗により分離し、続いて、飽和ブライン溶液で洗浄し、MgSO4の上で乾燥させた。溶液をMgSO4からデカントし、溶媒を回転蒸発により除去して赤色油状物を生成した。油状物をヘキサンで洗浄し、ヘキサンから結晶化した。およそ5gの中間生成物を単離した。次に、3.00g(5.41mmol)の中間生成物を、窒素パージ下およそ100mlの酢酸に懸濁した。ついで、0.05gのPtO2・H2Oを反応器に装填し、水素ガスをおよそ40psiの圧力で反応器に導入した。全試薬を装填した後、反応器をおよそ2日間攪拌(振とう)し、その後、さらに0.1gの白金触媒を添加し、水素圧力をリセットした。再び、攪拌を追加の1日間実施した。最後に、粗生成物を、短路シリカゲルカラムを用いて最終生成物単離を得たことを除いて、上記慣用の有機物仕上げ法を用いて単離した。2.58gのジ(メチルペンタノエート)オクタメチルフェロセンを得た。
【0046】
Tinuvin PAの合成
6.40kgのCiba‐Geigy製Tinuvin213を、10リットルのメタノールおよび2.5リットルの10N水酸化ナトリウムの溶液中で5時間還流させて、ベンゾトリアゾールのプロパン酸ナトリウム塩への加水分解を完了した。塩を濃塩酸で中和してプロパン酸を得、メタノール蒸留後、熱トルエン中に抽出した。トルエン溶液を室温に冷却し、沈殿した遊離酸をろ過し、エタノールですすぎ、乾燥させた。
【0047】
33.9gのプロパン酸を、窒素雰囲気下200mlのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液に、室温で、3.8gのリチウムアルミニウム水素化物を徐々に添加し、2時間攪拌した。2時間後、別の3.8gのリチウムアルミニウム水素化物を添加し、反応スラリーを16時間還流させ、その後、ゆっくりとエタノール、ついで水を添加して反応を停止した。ついで、溶液を臭化水素酸で中和し、テトラヒドロフランを蒸留した。還元生成物であるプロパノール誘導体は、油状物として沈殿し、水性上澄み液をデカントして除いた。
【0048】
200mlの48%臭化水素酸を上記で得られた油状残留物に添加し、48時間還流させた。室温に冷却した後、200mlの水を徐々に添加し、プロピル臭化物誘導体が溶液から沈殿した。水性上澄み液を捨てた。プロピル臭化物誘導体を、600mlのアセトニトリルから26.6gの白色固体に再結晶化した。
【0049】
この白色固体を、100mlのアセトニトリルおよび100mlのトリエチルアミンを含む溶液に還流させた。24時間後、四級化反応は完了し、室温に冷却後、トリエチルアンモニウム塩が沈殿した。それをろ過し、アセトンで洗浄し、白色固体を残した。ついで、この固体を100ミリモルのテトラフルオロボレートナトリウムを含む100mlのメタノールおよび300mlの水の溶液に1時間還流させた。冷却して、メタセシス生成物である白色結晶性トリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート塩をろ過し、水で洗浄した。ついで、それを乾燥させて、16.0gの所望の3‐トリエチルアンモニウムプロピルTinuvin類似体(Tinuvin PA)を与え、その構造を下記に示す。
【0050】
5,10‐ビス‐2‐(トリエチルアンモニウム)エチルフェナジンテトラフルオロボレートの合成
18.0gのフェナジン、50.0gの2‐ブロモエタノール、26.1gのナトリウムジチオン化物、21.2gの粉末化炭酸ナトリウム、6.2gの塩化メチルトリブチルアンモニウム、200mlのアセトニトリルおよび10mlの水を1リットル三つ口丸底フラスコに装填すると、それはスラリーを発生させた。スラリーを攪拌し、窒素ガスシール下48時間還流させ、その時点で反応は完了した。還流反応混合物に、400mlの水を追加漏斗により30分間かけて添加した。ついで、反応を室温に冷却し、生成物をブフナー漏斗上に単離し、100mlの水で洗浄した。ついで、5,10‐ビス‐2‐(ヒドロキシエチル)フェナジンを、真空下70℃で一晩中乾燥させた。この中間体の乾燥重量は、92.6%収率で25.0gだった。
【0051】
中間体を1リットル三つ口丸底フラスコに装填し、200mlのピリジンに溶解した。溶液を0℃に冷却し、その後、ポット温度を20℃以下に保持しながら、15mlのメタンスルホニルクロリドを30分間かけて滴下添加した。溶液を2時間攪拌し、ついで、別の10mlのメタンスルホニルクロリドを0℃溶液に滴下添加した。反応溶液を室温に温め、追加の2時間攪拌した。反応を停止し、生成物は、400mlの水の滴下添加により沈殿した。5,10‐ビス‐エチルメシレートフェナジンをブフナー漏斗上にろ過し、大量の水で洗浄してピリジンを除去した。それを真空炉中に置いて80℃で一晩中乾燥させた。この中間体の乾燥重量は、25.4gで64.4%収率だった。
【0052】
最終工程は、メシレート中間体のトリエチルアミンによる四級化だった。メシレート中間体を、250mlのアセトニトリルおよび40mlのトリエチルアミンとともに500ml丸底フラスコに添加した。このスラリーを、不活性雰囲気下還流温度に14日間加熱した。室温に冷却後、200mlのアセトンおよび酢酸エチルの1:1混合物を、反応溶液に添加した。3日間の結晶化後、生成物をブフナー漏斗上でろ過し、100mlのアセトンで洗浄した。
【0053】
ビス‐トリエチルアンモニウムフェナジンのジメシレート塩を、500mlの熱水中で溶解し、それに50mlの40%テトラフルオロボレートナトリウム水溶液を添加した。メタセシス生成物が油状物として沈殿し、ついで、それを400mlのメタノールおよび200mlの水の溶液から結晶化した。ついで、最終生成物を暗色結晶性固体として単離した。
【0054】
トリエチル‐(4‐{2‐[(3‐メチル‐3H‐ベンゾチアゾール‐2‐イリデン)‐ヒドラゾノ]‐ベンゾチアゾール‐3‐イル}‐ブチル)‐アンモニウムテトラフルオロボレートの合成
2‐(メチルチオ)ベンゾチアゾール(45.2g、0.24モル)、1,4‐ジブロモブタン(150ml、5当量)、沃化カリウム(0.5g)およびトルエン(80ml)を加熱して、16時間還流させた。ついで、反応混合物を室温に冷却し、ろ過した。ジメチルスルフェート(36ml)をろ液に添加し、それを50℃で3時間加熱して、結果として得られたチオンを再アルキル化した。次に、混合物を室温に冷却し、それにおいて生成物をろ過し、トルエン(100ml)で洗浄した。固体を150mlのアセトン中で再びスラリー化し、ろ過して51g(43%収率)の中間生成物ベンゾチアゾリウム塩を与えた。
【0055】
窒素雰囲気下、ベンゾチアゾリウム塩(10g、0.023モル)、3‐メチル‐2‐ベンゾチアゾリウムヒドラゾン塩酸塩(4.5g、0.02モル)およびアセトニトリル(75ml)を、10分間攪拌した。トリエチルアミン(15ml)を30分間かけて滴下添加した。反応混合物を16時間攪拌した。追加の16mlのトリエチルアミンを添加し、2日間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、ろ過した。ろ液をストリッピングし油状物を得た。カラムクロマトグラフィーを実施して残留ブロモアジンを除去した。ついで、ブロミド塩を熱メタノールに溶解し、ついで35mlの2M テトラフルオロボレートナトリウム塩を添加することにより、ブロモ塩をテトラフルオロボレート塩に変換した。ついで、混合物を室温に冷却し、ろ過し、冷アセトニトリルで洗浄して、0.5gの生成物、すなわち、トリエチル‐(4‐{2‐[(3‐メチル‐3H‐ベンゾチアゾール‐2‐イリデン)‐ヒドラゾノ]‐ベンゾチアゾール‐3‐イル}‐ブチル)‐アンモニウムテトラフルオロボレートを与えた。
【0056】
5‐フェニル‐10‐(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)‐5,10‐ジヒドロフェナジンの合成
9.0gのフェナジンを、250mlフラスコ内で100mlのジエチルエーテルに溶解した。溶液をアルゴンでパージし、常時アルゴン雰囲気下に保持した。溶液に、シクロヘキサン中40mlの1.8M フェニルリチウムを気密シリンジで15分間かけて添加した。この混合物を1時間攪拌し、ついで7.4gの2‐クロロエチルピペリジンを添加した。ついで、25mlの乾燥THFを、15分間かけて滴下添加し、結果として得られるスラリーを、室温で攪拌した。室温で24時間攪拌した後、反応物を加熱し、さらに24時間還流させた。反応混合物を、アルコールの添加により急冷し、ついで、エチルアセテートおよび水とともに分液漏斗に移した。有機層を水で洗浄し、ついで濃縮しい油状物を得た。油を熱エタノール中に取り上げ、冷却した。結晶化生成物をろ過し、冷エタノールで洗浄し、37.4%収率で6.9gの所望の生成物に乾燥させた。
【0057】
1‐メチル‐1‐[2‐(10‐フェニル‐10H‐フェナジン‐5‐イル)‐エチル]‐ピペリジニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
上記のようにして調製された2.1gの5‐フェニル‐10‐(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)‐5,10‐ジヒドロフェナジンを、2.0mlのイオドメタンおよび50mlのアセトニトリルとともに100mlフラスコに添加した。この溶液を24時間還流させ、冷却し、四級化塩をろ過した。沃化物塩を、500mlの水および250mlのエタノールのホット溶液に取り上げた。それに、20mlの1M アンモニウムヘキサフルオロホスフェート溶液を添加した。冷却後、誘導フェナジンの沈殿ヘキサフルオロホスフェート塩をろ過し、水で洗浄し、ついで定量収率のために乾燥させた。
【0058】
上記アノード物質/薬剤に関連する構造を明瞭にするために、かつそれらの名称に関連する不明瞭をなくすために、その化学構造を下に与える:
【0059】
【化3】



【0060】
【化4】





【0061】
【化5】



【0062】
【化6】



【0063】
【化7】

【0064】
【化8】



【0065】
【化9】





【0066】
下記実験のそれぞれにおいて、電気活性物質/有益薬剤を、適宜の溶媒中に既知濃度で溶解し、そのUV‐VISスペクトルを記録し、ついで、その吸光係数を測定した。(吸光係数は、用いられた溶媒に依存しないとみなされたことに注目されたい。)次に、同物質の飽和溶液を溶媒中で調製し、必要に応じてろ過し、必要に応じて稀釈し、そのUV‐VISスペクトルを再び記録した。先に測定した吸光係数を用いて、選択溶媒中飽和での濃度を、慣用の分析的技術を用いて計算した。分析的精密度および正確さを確実にするために、実験の間実質的な注意が払われたが、絶対値からの重要でない偏差は、周囲温度および/または大気圧における小さな変化によると理解し得ることを注目されたい。それにもかかわらず、本発明により調製された物質がしばしば溶解度に実質的な増加を示したのだから、そのような重要でない温度および/または圧力偏差の物質の溶解度特性に及ぼす影響は、取るに足りない。
【0067】
【表3】

【0068】
この実験において、フェロセンは、可溶性部分のない電気活性物質を含み、電気活性物質の残りは、一つ以上の可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、フェロセンに比較しておよそ2倍よりも大きく増大した溶解度を示した。
【0069】
【表4】

【0070】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、テトラ‐t‐ブチルフェロセンを含み、電気活性物質の残りは、一種以上の可溶性部分を含んだ。再び、この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、テトラ‐t‐ブチルフェロセンに比較して1オーダーよりも大きく増大した溶解度を示した。
【0071】
【表5】

【0072】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、オクタメチルフェロセンを含み、エレクトロクロミック物質の残りは、1種以上の可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、オクタメチルフェロセンに比較して1オーダーよりも大きく増大した溶解度を示した。
【0073】
【表6】

【0074】
この実験において、可溶性部分のない有益薬剤は、Tinuvin Pを含み、Tinuvin PAは、可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む有益薬剤は、Tinuvin Pに比較しておよそ3倍よりも大きく増大した溶解度を示した。
【0075】
【表7】

【0076】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、5,10‐ジヒドロ‐5,10‐ジメチルフェナジンを含み、5,10‐ビス‐2‐(トリエチルアンモニウム)エチルフェナジン[BF42は、可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、5,10‐ジヒドロ‐5,10‐ジメチルフェナジンに比較しておよそ2倍増大した溶解度を示した。
【0077】
【表8】

【0078】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、N,N’‐ビス‐(3‐エチル‐3H‐ベンゾチアゾール‐2‐イリデン)‐ヒドラジンを含み、トリエチル‐(4‐{2‐[(3‐メチル‐3H‐ベンゾチアゾール‐2‐イリデン)‐ヒドラゾノ]‐ベンゾチアゾール‐3‐イル}‐ブチル)‐アンモニウムBF4は、可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、N,N’‐ビス‐(3‐エチル‐3H‐ベンゾチアゾール‐2‐イリデン)‐ヒドラジンに比較してほとんど4倍増大した溶解度を示した。
【0079】
【表9】

【0080】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、2,5,7,10‐テトラメチル‐5,10‐ジヒドロフェナジンを含み、2,7‐ジメチル‐5,10‐ビス‐2‐(トリエチルアンモニウム)エチルフェナジン[BF42は、可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、2,5,7,10‐テトラメチル‐5,10‐ジヒドロフェナジンに比較しておよそ4.5倍増大した溶解度を示した。
【0081】
【表10】

【0082】
この実験において、可溶性部分のない電気活性物質は、5‐フェニル‐10‐(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)‐5,10‐ジヒドロフェナジンを含み、1‐メチル‐1‐[2‐(10‐フェニル‐10H‐フェナジン‐5‐イル)‐エチル]‐ピペリジニウムヘキサフルオロホスフェートは、可溶性部分を含んだ。この実験において集めたデータからわかるように、可溶性部分を含む電気活性物質は、5‐フェニル‐10‐(2‐ピペリジン‐1‐イル‐エチル)‐5,10‐ジヒドロフェナジンに比較しておよそ100倍増大した溶解度を示した。
【0083】
要約すると、実験番号1〜8は、実際、問題の溶解度特性を示す電気活性物質/有益薬剤が、本発明に従って可溶性部分と結合すると特定の溶媒中に望ましく溶解性となり得ることを立証する。そのような溶解度における増大は、低温が実質的に関連する電気活性物質/有益薬剤の溶解度特性に悪影響を及ぼすので、極度の気候条件に日常的に曝露されるエレクトロクロミックデバイスに特に有用であり得る。
【0084】
本発明をいくつかの好ましい実施態様により本明細書で詳細に説明したが、それにおける多くの改変および変化は、当業者により実施され得る。したがって、特許請求の範囲によってのみ限定されるもので、本明細書に示される実施態様を説明する詳細および手段によってではないことが、我々の意図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体であって、当該媒体が
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソード電気活性物質;
‐アノード電気活性物質;を含み、
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方はエレクトロクロミックであり;そして
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は可溶性部分と関連付けられ、当該可溶性部分は可溶性部分のない同じ物質に比較して関連付けられたカソードおよびアノード電気活性物質の一方もしくは両方の溶解度を増大させる働きをする。
【請求項2】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホナイト、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項3】
前記可溶性部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体:
【化1】





‐式中R11〜R31は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方と関連付けられ、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項4】
前記可溶性部分が、下記化学式により表される、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体:
Y−R33
‐式中Yは、前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項5】
前記可溶性部分が、追加のアノード電気活性物質、追加のカソード活性物質およびこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項6】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項5に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項7】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項8】
前記可溶性部分が、非電気活性物質を含む、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項9】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項10】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項11】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項12】
エレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体であって、当該媒体が
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソード電気活性物質;
‐アノード電気活性物質;
‐有益薬剤;を含み
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は、エレクトロクロミックであり;そして
前記有益薬剤は、可溶性部分のない同じ物質に比較して有益薬剤の溶解度を増大させる働きをする可溶性部分を含む。
【請求項13】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホナイト、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項14】
前記可溶性部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体:
【化2】







‐式中R11〜R31は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記有益薬剤と関連付けられる基であり、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項15】
前記可溶性部分が、下記化学式により表される、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体:
Y−R33
‐式中Yは、前記有益薬剤と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項16】
前記可溶性部分が、追加のアノード電気活性物質、追加の有益薬剤およびこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項1に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項17】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項16に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項18】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項19】
前記可溶性部分が、非電気活性物質を含む、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項21】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項12に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項22】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項21に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項23】
下記の要素を含むエレクトロクロミックデバイス:
‐導電物質と関連付けられた少なくとも1種の実質的に透明な基体;および
‐下記の要素を含むエレクトロクロミック媒体:
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソード電気活性物質;
‐アノード電気活性物質;
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は、エレクトロクロミックである;そして
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は可溶性部分と関連付けられ、当該可溶性部分可溶性部分は可溶性部分のない同じ物質に比較して関連付けられたカソードおよびアノード電気活性物質の一方もしくは両方の溶解度を増大させる働きをする。
【請求項24】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホニット、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項25】
前記可溶性部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス:
【化3】







‐式中R11〜R31は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方と関連付けられ、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項26】
前記可溶性部分が、下記化学式により表される、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス:
Y−R33
‐式中Yは、前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項27】
前記可溶性部分が、追加のアノード電気活性物質、追加のカソード活性物質およびこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項28】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項27に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項29】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項30】
前記可溶性部分が、非電気活性物質を含む、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項31】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項32】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項33】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項32に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項34】
第一実質的透明基体および第二基体を含む、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項35】
デバイスが、エレクトロクロミック窓である、請求項34に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項36】
前記第二基体が反射性物質でめっきされている、請求項34に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項37】
前記反射性物質が、クロム、ルテニウム、ロジウム、銀、同物質の合金およびこれらの積重ね層を含む群から選ばれる、請求項36に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項38】
デバイスが、エレクトロクロミック鏡である、請求項37に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項39】
下記の要素を含むエレクトロクロミックデバイス:
‐導電物質と関連づけされた少なくとも1種の実質的に透明な基体;および
‐下記の要素を含むエレクトロクロミック媒体:
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソード電気活性物質;
‐アノード電気活性物質;
‐有益薬剤;を含み
前記カソードおよびアノード電気活性物質の少なくとも一方は、エレクトロクロミックであり;そして
前記有益薬剤は、可溶性部分のない同じ物質に比較して有益薬剤の溶解度を増大させる働きをする少なくとも1種の成分を有する可溶性部分を含む。
【請求項40】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホナイト、アンモニウム成分、カーボネートを含むカルボニル、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミド、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項41】
前記可溶性部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス:
【化4】







‐式中R11〜R31は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記有益薬剤と関連付けられるものであり、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項42】
前記可溶性部分が、下記化学式により表される、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス:
Y−R33
‐式中Yは、前記有益薬剤と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項43】
前記可溶性部分が、追加のアノード電気活性物質、追加の有益薬剤およびこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項44】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項43に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項45】
前記カソードおよびアノード電気活性物質が、結合されている、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項46】
前記可溶性部分が、非電気活性物質を含む、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項47】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項48】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項49】
前記カソードおよびアノードエレクトロクロミック物質の少なくとも一方の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項48に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項50】
実質的に透明な第一基体、および第二基体を含む、請求項39に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項51】
デバイスが、エレクトロクロミック窓である、請求項50に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項52】
前記第二基体が、反射物質でめっきされている、請求項50に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項53】
前記反射物質が、クロム、ロジウム、ルテニウム、銀、同物質の合金およびこれらの積重ね層を含む群から選ばれる、請求項52に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項54】
デバイスが、エレクトロクロミック鏡である、請求項53に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項55】
エレクトロクロミックデバイスに使用されるエレクトロクロミック媒体であって、当該媒体が:
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソードエレクトロクロミック物質;
‐アノードエレクトロクロミック物質:を含み、当該アノードエレクトロクロミック物質が
‐メタロセンもしくは置換メタロセンを含む第一部分;および
‐少なくとも1種の成分を含む第二部分であって、第二部分が含まれていない第一部分に比較して少なくとも1種の溶媒中の第一部分の溶解度を増大させる働きをする第二部分を含む。
【請求項56】
前記第一部分が、フェロセン、置換フェロセンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項57】
前記第一部分が、下記化学式により表される、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体:
【化5】

式中R1〜R10は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状もしくは枝分れアルキル基を含み、かつR1〜R10の少なくとも1つは、第二部分と結合している。
【請求項58】
1〜R10が、同じもしくは異なり、R1〜R10の少なくとも3つが、およそ1〜およそ40の炭素原子を含む直線状もしくは枝分れアルキル基を含み、かつR1〜R10の残りが、Hを含む、請求項57に記載のエレクトロクロミック媒体
【請求項59】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホナイト、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項60】
前記第二部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体:
【化6】







‐式中R11〜R32は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記第一部分と関連付けられ、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項61】
前記第二部分が、下記化学式により表される、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体:
Y−R33
‐式中Yは、前記第一部分と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項62】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項63】
前記アノードエレクトロクロミック物質の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項55に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項64】
前記アノードエレクトロクロミック物質の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項63に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項65】
下記の要素を含むエレクトロクロミックデバイス:
‐少なくとも1つの実質的に透明な基体;および
‐エレクトロクロミック媒体:を含み、当該エレクトロクロミック媒体が
‐少なくとも1種の溶媒;
‐カソードエレクトロクロミック物質;および
‐アノードエレクトロクロミック物質:を含み、当該アノードエレクトロクロミック物質が
‐メタロセンもしくは置換メタロセンを含む第一部分;および
‐少なくとも1種の成分を含む第二部分であって、第二部分を含有しない第一部分に比較して少なくとも1種の溶媒における第一部分の溶解度を増大させる働きをする第二部分を含む。
【請求項66】
前記第一部分が、フェロセン、置換フェロセンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項67】
前記第一部分が、下記化学式により表される、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス:
【化7】

式中R1〜R10は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状もしくは枝分れアルキル基を含み、かつR1〜R10の少なくとも1つは、第二部分関連付けられている。
【請求項68】
1〜R10が、同じもしくは異なり、R1〜R10の少なくとも3つが、およそ1〜およそ40の炭素原子を含む直線状もしくは枝分れアルキル基を含み、かつR1〜R10の残りが、Hを含む、請求項67に記載のエレクトロクロミックデバイス
【請求項69】
前記可溶性部分が、ニトリル、ニトロ成分、スルホキシド、スルホネート、スルホネートエステル、カルボキシレート、ホスホニウム成分、ホスホネート、ホスホナイト、アンモニウム成分、カーボネート、カルバメート、ケトン、エステルおよびアミドを含むカルボニル、ポリエーテルを含むエーテル、第三アミンを含むアミン、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる、請求項65に記載のエレクトロクロミック媒体。
【請求項70】
前記第二部分が、下記化学式の少なくとも1つにより表される、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス:
【化8】







‐式中R11〜R32は、同じもしくは異なり、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含み;
‐Arは、フェニルを含むアリール成分であり;
‐mは、およそ1〜およそ5の範囲の整数であり;
‐nは、およそ1〜およそ20の範囲の整数であり;そして
‐Xは前記第一部分と関連付けられ、そしてXは直接結合、およそ1〜およそ40の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、エーテルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれる。
【請求項71】
前記第二部分が、下記化学式により表される、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス:
Y−R33
‐式中Yは、前記第一部分と関連付けられ、同物質の溶解度を増大させる働きをし、かつおよそ1〜およそ40の炭素原子を含むアリール、アルカリル、アラルキルもしくはポリエーテル鎖、およそ1〜およそ40の珪素原子を含むシリルもしくはシロキシル鎖、ならびにこれらの混合物を含む群から選ばれ;そして
‐R33は、H、あるいはおよそ1〜およそ10の炭素原子を含む直線状または枝分れアルキル、アリール、アルカリルもしくはアラルキル基を含む。
【請求項72】
前記少なくとも1種の溶媒が、3‐メチルスルホラン、スルホラン、グルタロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラグリムを含むポリエーテル、エトキシエタノールを含むアルコール、3‐ヒドロキシプロピオニトリル、2‐メチルグルタロニトリルを含むニトリル、2‐アセチルブチロラクトン、シクロペンタノンを含むケトン、β‐プロピオラクトン、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを含む環状エステル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびこれらの均質混合物を含む群から選ばれる、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項73】
前記アノードエレクトロクロミック物質の濃度が、およそ1mM〜およそ1000mMの範囲である、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項74】
前記アノードエレクトロクロミック物質の濃度が、およそ5mM〜およそ500mMの範囲である、請求項73に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項75】
実質的に透明な第一基体、および第二基体を含む、請求項65に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項76】
デバイスが、エレクトロクロミック窓である、請求項75に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項77】
前記第二基体が反射物質でめっきされている、請求項75に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項78】
前記反射物質が、クロム、ロジウム、ルテニウム、銀、同物質の合金およびこれらの積重ね堆積層を含む群から選ばれる、請求項77に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項79】
デバイスが、エレクトロクロミック鏡である、請求項78に記載のエレクトロクロミックデバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2012−185506(P2012−185506A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98833(P2012−98833)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2010−276983(P2010−276983)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(500115826)ジェンテックス コーポレイション (46)
【Fターム(参考)】