説明

可燃性液体の火災を消火する方法および消火性組成物

【課題】 大掛かりな準備が要らず、簡単な操作で且つ短時間で比重の小さい可燃性液体の火災をも消火する方法およびそのことが可能な消火性組成物を提供する。
【解決手段】 有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤および水からなる消火性組成物を用いて、炎焼する可燃性液体の表面および/または内部で該有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により生成する炭酸ガスを発泡させ可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を消火する方法;特に、可燃性液体に有機カルボン酸を投入した後、アルカリ炭酸塩を投入するか、または可燃性液体にアルカリ炭酸塩を投入した後、有機カルボン酸を投入する方法であって、有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の少なくとも一方を水溶液とし、該水溶液に界面活性剤を混合することを特徴とする可燃性液体の火災を消火する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性液体の火災を消火する方法および消火性組成物に関し、特に可燃性液体の表面および/または内部で炭酸ガスの泡を発生させその泡を安定化させて可燃性液体の火災を消火する方法および消火性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
石油コンビナートにおける石油タンクなどに収納されている原油及び石油精製製品(ナフサ・ガソリン・灯油・軽油、トルエン、キシレンなど)に火災が発生した場合には、泡消火剤が適用されているが、我が国の消防法による規制では、原油等の屋外タンクで液表面積40m2 以上(直径7.1m以上)またはタンク高さが6m以上のものには、固定の蛋白泡消火設備を設けることが義務付けられている。しかし、泡消火設備は完全自動化が困難であるため、人為的な火災発見・ポンプ起動・弁操作が必要となり、しかも送液配管が数百mに及ぶこともあり、起動から泡放出までに数分を要し、さらに火災発見が遅れたりすると、初期消火が間に合わずに全面火災に拡大する場合があり、このような場合には泡消火設備でも消火は極めて困難になってしまう。
【0003】
このような石油精製製品などの火災の消火方法の改良として無機化合物の中空粒子を可燃性液体の表面に散布して火の勢いを弱めて泡または粉末消火剤を噴射して消火する方法(特許文献1)、界面活性剤、熱分解して炭酸ガスを発生する炭酸塩、水を含有する消火性組成物を用いて可燃性液体の火災を消火する方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29125号公報
【特許文献2】特開平11−414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の無機化合物の中空粒子を用いて可燃性液体の炎の勢いを弱めるためには可燃性液体のほとんど全表面を無機化合物の中空粒子で覆わなければならず、そのため可燃性液体が大きな表面をもつ場合には比重の軽い無機化合物の中空粒子を大量に投入する必要があると同時に、泡消火剤が炎焼場所に届きにくいということもあり、時間、手間およびコストがかかるという問題があり、可燃性液体が大表面をもつ場合の火災においても、大掛かりな準備が要らず比較的簡単で短時間で消火できる方法が望まれている。特許文献2の消火性組成物は、天ぷら油などの比重の比較的大きい可燃性液体の場合には有効であるが、灯油、ガソリンなどの比較的比重の小さい可燃性液体に用いると、組成物の成分が沈んでしまい十分な消火効果が発揮できないという問題がある。
本発明の目的は、大掛かりな準備が要らず、簡単な操作で且つ短時間で比重の小さい可燃性液体の火災をも消火する方法、およびそのことが可能な消火性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明らは鋭意検討した結果、可燃性液体の表面および/または内部で炭酸ガスを発泡させ、その泡を安定化させて可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を短時間で消火することができることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち請求項1の発明は、有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤および水からなる消火性組成物を用いて、炎焼する可燃性液体の表面および/または内部で該有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により生成する炭酸ガスを発泡させ可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を消火する方法である。
【0008】
請求項1の発明によれば、可燃性液体の表面および/または内部で有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により生成する炭酸ガスの泡が界面活性剤により安定化されるので、炎焼する可燃性液体の表面を泡で覆うことができ、可燃性液体の火災を消火することができる。また、炎の上からでなく炎の発生面である可燃性液体の表面で発生した泡は炎の影響を受けることが少ないので可燃性液体の表面上を短時間で広がる。また、可燃性液体の内部、特に底部で生成した泡は、浮上し、その後から続いて浮上する泡に押されて炎の発生面である可燃性液体の表面を炎の影響を受けずに短時間で走るように広がり可燃性液体の全体を覆うことができ、短時間で火災を消火することができる。泡の高さも低く少ない泡で消火できるので効率的である。好ましくは内部で泡を発生させる方法であり、内部で泡を発生させると表面で泡を発生させるより泡の広がりが早くその分早い消火が可能となる。また操作も簡単である。
【0009】
本発明の方法は、炎の外から泡を吹きかけるのではなく炎の発生面またはその下で泡を発生させるので、火災現場付近に泡が飛ぶこともない。また、消火後の泡は消泡剤で消すことができるので、周囲の汚れが非常に少ない。
また、消火に使用する成分は安全性が高く家庭においても使用できる。
【0010】
ここで、可燃性液体とは、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油、トルエン、キシレンなどの石油精製製品やてんぷら油などの動植物油類など非水溶性可燃性液体や、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、アセトン、トリエチルアミンなどの水溶性可燃性液体が挙げられる。好ましくは非水溶性可燃性液体である。非水溶性可燃性液体の火災の場合は本発明の方法の効果が顕著に発揮される。しかし、水溶性可燃性液体の火災の場合でも、上記の成分は内部で接触し反応し発泡することができ、本発明の効果を奏するので本発明の方法が適用できる。
【0011】
請求項2の発明は、可燃性液体に有機カルボン酸を投入した後、アルカリ炭酸塩を投入するか、または可燃性液体にアルカリ炭酸塩を投入した後、有機カルボン酸を投入して、可燃性液体の内部で両者を混合し、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応で発生する泡を浮上させ可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を消火する方法であって、有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の少なくとも一方を水溶液とし、該水溶液に界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1記載の可燃性液体の火災を消火する方法である。
【0012】
請求項2の発明によれば、可燃性液体の内部で有機カルボン酸と炭酸塩とが反応して炭酸ガスを発生し、界面活性剤によりその泡が安定化されて泡が浮上し、その後から続いて浮上する泡に押されて可燃性液体の表面を覆うことができ、火災を消火することができる。炎の発生面である可燃性液体の表面の下から泡が浮上するので炎の影響を受けず可燃性液体の表面を走るように短時間で広がり可燃性液体の全体を覆うことができ、短時間で火災を消火することができる。非水溶性可燃性液体の場合、有機カルボン酸と炭酸塩とが通常底部の水溶液中で反応して炭酸ガスを発生するが、水溶性可燃性液体の場合は有機カルボン酸と炭酸塩とは底まで到達せずに内部で接触し反応して泡を発生しやすい。これは可燃性液体の水溶性の程度によって異なる。したがって、有機カルボン酸と炭酸塩(具体的にはこれらの原液、粉末、造粒物、スラリーまたは水溶液)を入れるという簡単な操作で消火ができる。また、泡の高さも低く少ない泡で消火でき効率的である。
現場周辺の汚れが少ない消火方法であり、安全性の高い成分を使用するので家庭内でも用いることができる。
【0013】
請求項3の発明は、比重が0.7以下であって有機カルボン酸の水溶液を含浸した多孔質無機素材を炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、アルカリ炭酸塩を該多孔質無機素材に振りかけるか、比重が0.7以下であってアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材を炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、有機カルボン酸を該多孔質無機素材に振りかけて、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により発生する炭酸ガスの泡で可燃性液体の表面を覆って可燃性液体の火災を消火する方法であって、該水溶液に界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1記載の可燃性液体の火災を消火する方法である。
【0014】
請求項3の発明によれば、比重が0.7以下であって有機カルボン酸の水溶液を含浸した多孔質無機素材を、炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、アルカリ炭酸塩(具体的には粉末、造粒物、スラリーもしくはその水溶液)を該多孔質無機素材に振りかけるか、比重が0.7以下であってアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材を、炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、有機カルボン酸(具体的には原液、粉末、造粒物、スラリーもしくは水溶液)を該多孔質無機素材に振りかけると、多孔質無機素材の表面で炭酸ガスの泡が発生し、界面活性剤によりその泡が安定化され、泡が可燃性液体の表面を覆い消火することができる。また、含水した多孔質無機素材を可燃性液体の表面に浮かせると炎の勢いが弱まるので、そこで炭酸ガスの泡を発生させると炎の影響を受けずに容易に表面を覆い、消火することができる。
【0015】
請求項4の発明は、前記界面活性剤が脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物および/または脂肪族アルコール硫酸エステル塩である請求項1〜3のいずれか1項記載の可燃性液体の火災を消火する方法である。
【0016】
請求項4の発明によれば、界面活性剤が脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物および/または脂肪族アルコール硫酸エステル塩であるので、炭酸ガスの泡が可燃性液体の内部および表面で非常に安定化され、炎によって容易には破壊されず広く広がることができ可燃性液体の火災を消火できる。
【0017】
請求項5の発明は、有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤および水からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の可燃性液体の火災を消火する方法に使用される消火性組成物である。
【0018】
請求項5の発明によれば、上記の通り火災現場において有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤、および水を可燃性液体の表面または内部で混合接触するようにすれば、反応して泡を発生し界面活性剤で泡が安定化され可燃性液体の表面を泡で覆い消火することができる。また、炎の上からでなく炎の発生面である可燃性液体の表面で発生した泡は炎の影響を受けることが少ないので可燃性液体の表面上を短時間で広がり、また可燃性液体の内部、特に底部で生成した泡は浮上し、その後から続いて浮上する泡に押されて炎の発生面である可燃性液体の表面を炎の影響を受けずに短時間で走るように広がり可燃性液体の全体を覆うことができ、火災を消火することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の消火方法は下記の効果を奏する。
(1)可燃性液体の表面および/または内部で生じた炭酸ガスの泡が界面活性剤により安定化するので、炎焼する可燃性液体の表面を泡で覆って消火することができる。
(2)火災現場の炎の発生面で泡を発生するか下から泡が出てくるので、泡が炎の影響を受けにくい。そのため泡が短時間で可燃性液体の表面を覆って消火することができる。泡の高さも低く少ない泡で消火でき効率的である。
(3)火災現場の炎の外から泡を吹きかけるのではなく炎の発生面またはその下で泡を発生させるので、火災現場付近に泡が飛ぶこともない。また、残った泡は消泡剤で消すことができるので、周囲の汚れが非常に少ない。
(4)消火に使用する成分は安全性が高く家庭においても使用できる。
(5)簡単な操作で消火ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の態様における消火方法の概念的説明図(断面図)である。 (a)炎中に有機カルボン酸の水溶液を最初に投入している状態を示す。 (b)炎中にアルカリ炭酸塩の水溶液を後から投入している状態を示す。 (c)泡が発生して浮上している状態を示す。 (d)泡が可燃性液体の1/3程度を消火している状態を示す。 (e)泡が可燃性液体の全表面を消火している状態を示す。
【図2】本発明の第二の態様における消火方法の概念的説明図(断面図)である。 (a)可燃性液体の表面の約70%程度を多孔質無機素材で覆っている状態を示す。 (b)アルカリ炭酸塩の粉末を多孔質無機素材に振りかけて泡が発生し多孔質無機素材部分の火が消え、泡がさらに広がっている状態を示す。 (c)泡が可燃性液体の全表面を消火している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一の態様は、可燃性液体の内部で有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により生ずる炭酸ガスの泡を浮上させて可燃性液体の表面を泡で覆って消火する方法である。
有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤、水のそれぞれまたはこれらの二つ以上の混合物の比重を可燃性液体の比重より大きくなるように構成すれば、これらの成分は可燃性液体の中に沈む。そして、可燃性液体の底部の水溶液中でこれらが接触すると有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩とが反応して炭酸ガスが発生し泡となる。この泡が界面活性剤によって安定化され、可燃性液体の表面に浮上し、続いて生じる泡に押されて可燃性液体の表面を広がる。界面活性剤で安定化された泡は炎が発生する面の下から表面に浮上するので、炎の影響を受けにくく表面を広がることができ、短時間で消火することができる。
【0022】
本発明で用いられる有機カルボン酸は水溶液中でアルカリ炭酸塩と反応するので水溶性の大きいカルボン酸が好ましい。具体的には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの炭素数1〜4の1価カルボン酸;シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸などの炭素数2〜6の2価カルボン酸;クエン酸などの炭素数1〜8の3価またはそれ以上のカルボン酸などが挙げられる。これらの内で好ましいのは、比較的臭気が少なく水溶性の大きいカルボン酸であり、特に好ましいのは人体に安全性の大きいシュウ酸、乳酸、クエン酸である。
【0023】
本発明におけるアルカリ炭酸塩とは、アルカリ炭酸水素塩および/または狭義のアルカリ炭酸塩(以下、狭義の炭酸塩をいう場合は特に狭義の炭酸塩という)である。これらの内、ナトリウム、カリウムの炭酸水素塩、狭義の炭酸塩が好ましく、より好ましくは炭酸水素塩であり、特に好ましくは炭酸水素ナトリウムである。またセスキ炭酸塩も好ましく使用できる。
【0024】
有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩とは水溶液中で下記式の様に反応して炭酸ガスを発生し、その水溶液はアルカリ性となる。上が炭酸水素ナトリウム、下が炭酸ナトリウムについてである。水がないと反応は生じるが遅いので実用化に不利である。
NaHCO + RCOOH → RCOONa+HO + CO
NaCO + 2RCOOH → 2RCOONa+HO + CO
【0025】
有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩の配合比は、モル比で好ましくは1:(0.5〜2)であり、特に好ましくは1:(0.8〜1.5)である。また、アルカリ炭酸塩は可燃性液体の表面の温度が高いと熱により分解して炭酸ガスを発生する。この場合には、炭酸塩を過剰に用いるのが好ましい。炭酸水素塩と炭酸塩を併用する場合の両者の混合比率は限定がなく使用状況によって決定される。
【0026】
本発明における有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩が投入される形態としては、原液、粉末、造粒物、スラリーまたは水溶液などが挙げられる。好ましいのは反応が早く生じる水溶液である。また、水溶液中で徐々に分解する炭酸水素ナトリウムなどは粉体、造粒物として投入するか使用直前に水溶液として用いるのが好ましい。すなわち、水溶液にするのは投入前であっても投入後に水溶液となってもよい。
【0027】
本発明における水溶液とは有機カルボン酸や炭酸塩が完全に溶解したものでも、未溶解物を含む分散液、たとえば、スラリー液であってもよい。有機カルボン酸の水溶液中の濃度は、好ましくは重量で10〜80%であり、より好ましくは20〜50%である。炭酸塩の水溶液中の濃度は、好ましくは重量で2〜80%であり、より好ましくは5〜50%である。
【0028】
界面活性剤としては炭酸ガスの泡を安定化できれば限定はなく、たとえば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、具体的にはたとえば、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(重合度=20)など]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)など]、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸エチレングリコールなど]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタンラウリン酸(モノ/ジ)エステルなど]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミドなど]、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル(ポリオキシエチレン(重合度=20)ノニルフェニルエーテルなど)、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル[ラウリルジメチルアミンオキシドなど]などが挙げられる。
【0029】
アニオン系界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸またはその塩[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなど]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミンなど]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなど]、その他[スルホコハク酸ポリオキシエチレン(重合度=1〜100)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウムなど]などが挙げられる。
【0030】
カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなど]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩など]などが挙げられる。
【0031】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなど]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど]が挙げられる。
【0032】
これらの界面活性剤の1種または2種以上が使用出来る。これらの内でノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が好ましく、特に好ましくは脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、脂肪族アルコール硫酸エステル塩、およびこれらの混合物である。界面活性剤は上記の少なくとも一方の水溶液に配合される。アニオン系界面活性剤を用いる場合は、炭酸塩の水溶液に配合するのが好ましい。これらの界面活性剤の配合量としては、可燃性液体に投入する水溶液、特に最初に投入する両水溶液の合計量に対して好ましくは2〜20重量%であり、特に好ましくは5〜10重量%である。2〜20重量%の範囲内であると発生した泡の安定性が良好である。
【0033】
また、フッ素化脂肪族基を有する、アニオン系または両性親水基含有界面活性剤(含フッ素系界面活性剤)を含有すると、水溶液に使用したときの泡の強度がさらに向上するので、より好ましい。
【0034】
本発明における組成物には前記界面活性剤成分および共重合体に加えて必要により各種添加剤を加えることが出来る。添加剤として上記の他の付加的泡安定剤、凝固点降下剤、防錆材、pH調整剤等が挙げられる。付加的泡安定剤は、主に発泡倍率を調整するために添加され、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等がある。凝固点降下剤としては、グリコール、プロピレングリコール、セロソルブ類、カルビトール類、低級アルコール、尿素などがある。
【0035】
有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤を上記の範囲で配合する。これらの材料と水が可燃性液体の表面または内部で混合できる状態になれば材料の組み合わせは特に限定はない。これらを水に投入して通常の混合機を用いれば簡単に溶解物、分散物、スラリーを製造することができるし、粉末はそのまま投入すればよい。造粒物はアルカリ炭酸塩を造粒したものであって、比重が可燃性液体の比重より大きく、水に溶解しやすいか、水により容易に崩壊するものであるのが好ましい。比重が可燃性液体の比重より大きければ可燃性液体に投入すればすぐに沈むので、比重が好ましくは1以上になるように作成する。造粒物が水に溶解しやすいか、水により容易に崩壊するものであれば、有機カルボン酸の水溶液に混ざれば直ちにアルカリ炭酸塩が水に溶解し有機カルボン酸と反応することができる。造粒の方法は従来の方法が適用できる。粉末、造粒物の形状、大きさは限定しない。また、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩の両方を含めて造粒物とし、造粒物と水を別々に投入して可燃性液体の内部で接触させてもよい。この場合には界面活性剤は造粒物と水のどちらに入れておいてもよい。
【0036】
上記のように、粉末、造粒物、スラリーもしくは水溶液の内、炭酸ガスの泡発生、消火速度の面からは水溶液が好ましい。アルカリ炭酸水素塩の水溶液を用いる場合は、保存中少しずつ水で分解して炭酸ガスが発生するので、使用直前に水溶液を作成するのが好ましい。長期に保存する場合には、粉末または造粒物の使用が好ましい。この場合にも湿気に触れないようにして保存するのが好ましい。
これらの投入量は火災の大きさによって決められるが、多いほど発生する泡の量が多いので好ましい。これらの物質は最初に投入する他、随時投入することを否定するものではない。
また、可燃性液体に酸またはアルカリを投入した際、それらが可燃性液体の底に到達するまでの時間、および両者が反応して発生する炭酸ガスの気泡が上昇して可燃性液体の表面に到達するまでの時間は可燃性液体の深さによって異なる。上記の粉末、造粒物、スラリーもしくは水溶液の内、水溶液が可燃性液体の底に早く到達し、反応も早いので好ましい。
【0037】
本発明の第二の態様は、比重が0.7以下であって有機カルボン酸の水溶液を含浸した多孔質無機素材を、炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、アルカリ炭酸塩の粉末、スラリー、もしくは水溶液を該多孔質無機素材に振りかけるか、比重が0.7以下であってアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材を、炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、有機カルボン酸の原液、粉末、造粒物、スラリーもしくは水溶液を該多孔質無機素材に振りかけて、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩の反応で発生する炭酸ガスの泡で可燃性液体の表面を覆って可燃性液体の火災を消火する方法である。
ここで用いる有機カルボン酸、炭酸塩、界面活性剤の材料、およびこれらの用いられる形態、配合物は第一の態様で用いられるものと同じものが使用できる。
【0038】
比重が0.7以下であって有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材における多孔質無機素材は、比重が0.2〜0.6の範囲内の無機素材が好ましく用いられる。原油及び石油精製製品は比重が0.75〜0.95であり、水溶性可燃性液体のメタノール、エタノール、ジエチルエーテル、アセトン、トリエチルアミンなども0.7〜0.8であり、比重が0.2〜0.6の多孔質無機素材の含水後の比重が0.7以下になるように有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸すれば、上記の可燃性液体に浮いて、これらの可燃性液体の表面に断熱層を形成することができるので、これらが投入された部分は炎の勢いを弱めることができる。
【0039】
また、石油火災の場合、油面は800℃程度であるが炎は1300℃前後に達するので、多孔質無機素材は1300℃〜1600℃程度の耐熱性があるのが好ましい。これであれば炎の中に投入されても溶けることなく、次々と投入されることによって断熱効果により炎の温度も低下し、可燃性液体の表面に形成された断熱層が破壊されることはない。
【0040】
このような多孔質物質としては、具体的には、その材質がシリカ、アルミナ、ガラス、セラミックスなどを好ましく挙げることができ、形態としては、ろ紙状、フィルタ状、布状、薄板状、微小中空球体、ブロック状などが挙げられる。
【0041】
無機多孔質の大きさは特に限定はないが、外径は好ましくは1mm〜50mm、より好ましくは4mm〜30mmである。色々の径のものを用いると隙間無く詰まり断熱層を形成すると共に空気を遮断するので特に好ましい。多孔質物質の孔径は0.1μm〜1mmが好ましい。0.1μm以上の孔径の多孔質物質は入手しやすく、また1mm以下のものは有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した場合の取り扱いが容易である。
【0042】
比重が0.7以下であって可燃性液体の表面に投入する有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材の量は、多く投入する程炎の勢いを弱くすることができるので消火には有利になるが、好ましくは可燃性液体の表面積の30%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは100%を覆うのがよい。その後、アルカリ炭酸塩の粉末、スラリーもしくは水溶液(または有機カルボン酸の原液、粉末、造粒物、スラリーもしくは水溶液)を該多孔質無機素材に振りかければ炭酸ガスが発泡して可燃性液体の表面を泡で覆うことができる。さらに泡の上に有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩を交互に振り掛ければ表面で炭酸ガスが続いて発泡して消火に繋がる。
【0043】
また、これらの成分を容器に入れた後、火災の炎中に投入してその容器が速やかに溶融または破裂などによって破壊して、成分が容器から外に出て混合するという方法を用いて火災を消火してもよい。
【0044】
この容器に要求される性質としては、(1)平常時、すなわち火災に備えて待機している間、周囲の空間に存在する可燃性液体や水分とこれらの消火性成分を遮断する密閉性を有すること、(2)容器は貯蔵されている可燃性液体と接触するから、これらの液体に浸漬して溶解、膨潤、変形などの変化を起こさないこと、(3)上記の成分が容器から出て混合して炭酸ガスの泡が発生することが求められ、周囲の温度が所定温度以上に達した場合速やかに溶融もしくは破裂などによって容器の破壊が生じることなどが必要がある。
【0045】
容器の材質は、以上の機能を考慮して耐水性、耐油性を有していることが望まれる。また、容器が破壊される温度は、貯蔵されている可燃性液体の燃焼温度よりも低くする必要があるが、火災発生時により速やかに破壊されることを考慮すれば、より低い温度で破壊する材料を使用することが好ましい。
このように、貯蔵する可燃性液体の燃焼温度によって異なるが、通常100℃以上、300℃以下の融点を有する材料を容器に使用すればよい。
【0046】
また、ASTM D635に規定される水平方向の燃焼速度が毎分2.0cm以上である材質が望ましい。この燃焼速度は材質の燃えやすさを示す指標である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロイドから選ばれる材質を挙げることが出来る。
容器の大きさ、容器に入れる成分の量は特に限定はなく、場合に応じて決められる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態につき、図を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
図1は、本発明の第一の態様における消火方法の概念的説明図(断面図)である。図1の(a)ではトレイ8に灯油などの可燃性液体1が高さの8割程度入っており、炎焼している。そのトレイ8の上部側面から炎2の中に有機カルボン酸の水溶液3を投入している状態を示している。この図では水溶液3は可燃性液体1のトレイ8の内側の壁をつたって下に落ちている。(b)では、トレイ8の底部に最初に入れた水溶液3が溜まっており、さらにトレイ8の同じ箇所からアルカリ炭酸塩と界面活性剤の混合水溶液4を投入している。水溶液4は(a)と同様に可燃性液体1のトレイ8の内側の壁をつたって下に落ちている。(c)では水溶液3、4が自然に混合されて泡5が発生して可燃性液体1の内部を浮上し始めている状態を示す。(d)では、その泡5が一層発生して可燃性液体1の表面の約1/3を泡5が覆い、その覆われた部分が消火されていることを示す。(e)ではさらに泡5が可燃性液体1の表面の全面を覆い完全に消火されている状態を示している。
【0049】
図2は、本発明の第二の態様における消火方法の概念的説明図(断面図)である。図2の(a)では可燃性液体1がトレイ8にその高さの8割程度入っており、炎焼している。可燃性液体1の表面の約70%を有機カルボン酸の水溶液3を含浸した多孔質無機素材6で覆い、その覆われた部分では炎の勢いが弱まっている。そこにアルカリ炭酸塩の粉末7を振りかけている状態を示す。(b)ではそこから泡5が発生し多孔質無機素材6のない部分にまで広がると同時に泡5で覆われた部分は消火されている。(c)ではさらに泡5が広がり可燃性液体1の表面の全部を覆い完全に消火されている状態を示している。
【0050】
以下に本発明をさらに具体的に説明する。
(製造例1:クエン酸水溶液の製造)
1Lのビーカーにクエン酸の粉末160gを入れた後、水道水640mlを入れ、5分間攪拌すると完全に溶解して濃度20重量%のクエン酸の水溶液Aを得た。
【0051】
(製造例2:酒石酸水溶液の製造)
製造例1において、クエン酸に替えて酒石酸を用いる他は製造例1と同様にして濃度20重量%の酒石酸の水溶液Bを得た。
【0052】
(製造例3:炭酸水素ナトリウム水溶液の製造)
1Lのビーカーに炭酸水素ナトリウムの粉末50gを入れた後、水道水800mlを入れ10分間攪拌した。その後ラウリルアルコールエチレンオキサイド8モル付加物7gとラウリルアルコール硫酸エステル塩(濃度:20重量%)40gを加えて1分間攪拌して界面活性剤の固形分約1.7重量%、炭酸水素ナトリウム5.6重量%の入った炭酸塩の水溶液Cを得た。
【0053】
(製造例4:狭義の炭酸ナトリウム水溶液の製造)
製造例3において、炭酸水素ナトリウムに替えて狭義の炭酸ナトリウムを用いる他は製造例3と同様にして界面活性剤の固形分1.7重量%、炭酸ナトリウム5.6重量%の入った炭酸塩の水溶液Dを得た。
【0054】
(製造例5:狭義の炭酸ナトリウムスラリーの製造)
製造例3において、炭酸水素ナトリウムの粉末50gに替えて狭義の炭酸ナトリウム300gを、水道水800mlに替えて300gを用いること以外は製造例3と同様にして界面活性剤23.2%(固形分)、炭酸ナトリウム46.4%の入ったスラリーである炭酸塩の水溶液Eを得た。
【0055】
(製造例6:炭酸水素ナトリウムの造粒物の製造)
炭酸水素ナトリウムの粉末50gに、ラウリルアルコールエチレンオキサイド8モル付加物10gヒドロキシプロピルセルロース4gを加えて、よく混合した後、加圧して直径1cmの円形状で厚さ2mmの錠剤を複数個できるだけ多く作成して、炭酸塩の造粒物Fを得た。
【0056】
(実施例1)
20Lのステンレスビーカー(内径270mm、高さ365mm)に15Lの灯油を入れ、着火した後炎となって燃え上がるまで数分間待った。水溶液A 500mlを一気に投入した後、続いて同じ箇所から水溶液C 500mlを一気に投入した。1〜2秒後に水溶液を投入した箇所から泡が浮上して数秒で広がり消火した。泡の高さは2〜3cmであった。
【0057】
(実施例2)
実施例1において、水溶液Aを入れた後水溶液Cを入れる方法に替えて、水溶液Cを入れた後水溶液Aを入れた以外は実施例1と同様にして実施したが、同じように数秒で泡が広がり消火した。泡の高さは2〜3cmであった。
【0058】
(実施例3)
実施例1において水溶液Aに替えて水溶液B,水溶液C500mlに替えて水溶液D400gを用いる以外は実施例1と同様にして消火を行った。実施例1に比較して泡の発生がやや遅れたが泡が浮上して数秒で泡が表面を覆い消火した。泡の高さは1〜2cmであった。
【0059】
(実施例4)
実施例1において、水溶液C500mlに替えてスラリーE400gを用いる以外は実施例1と同様にして消火を行った。実施例1に比較して泡の発生がやや遅れたが泡が浮上して数秒で泡が表面を覆い消火した。泡の高さは1〜2cmであった。
【0060】
(実施例5)
実施例1において、水溶液C500mlに替えて造粒物F50gを用いる以外は実施例1と同様にして消火を行った。実施例1に比較して泡の発生がやや遅れたが泡が浮上して約10秒で泡が表面を覆い消火した。泡の高さは1〜2cmであった。
【0061】
(実施例6)
実施例1において、着火した後多孔質無機素材としてリサイクルガラス製防犯防草石(発泡品、アイリスオーヤマ社製)に水溶液Aを充分含浸させたものを投入し約70%を覆ったところその部分の炎の勢いは弱まった。この含水した多孔質無機素材の比重は約0.70であった。その上から炭酸水素ナトリウムの粉末20gを振りかけると多孔質無機素材の表面に即座に泡が発生して広がり泡は全面を覆い消火した。泡の高さは2〜4cmであった。
【0062】
(実施例7)
80cm×60cmで深さ20cmのトレイに灯油をほぼ一杯に満たし着火した。数分間おいて炎の勢いがかなり強くなった後、トレイの片隅から水溶液A500mlを投入し続いてその箇所から水溶液C500mlを投入した。1〜2秒後に泡が浮上して表面を広がり見る間にほとんど全面を覆った。しかし、水溶液を投入したのとは反対側の隅に炎がわずかに弱く残っていたが、その個所に両方の水溶液A、Cを100mlずつ加えて発泡させ消火した。泡の高さは2〜3cmであった。
【符号の説明】
【0063】
1 可燃性液体
2 炎
3 有機カルボン酸の水溶液
4 アルカリ炭酸塩、界面活性剤の混合水溶液
5 泡
6 多孔質無機素材
7 アルカリ炭酸塩の粉末
8 トレイ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤および水からなる消火性組成物を用いて、炎焼する可燃性液体の表面および/または内部で該有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により生成する炭酸ガスを発泡させ可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を消火する方法。
【請求項2】
可燃性液体に有機カルボン酸を投入した後、アルカリ炭酸塩を投入するか、または可燃性液体にアルカリ炭酸塩を投入した後、有機カルボン酸を投入して、可燃性液体の内部で両者を混合し、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応で発生する泡を浮上させ可燃性液体の表面を泡で覆って可燃性液体の火災を消火する方法であって、有機カルボン酸またはアルカリ炭酸塩の少なくとも一方を水溶液とし、該水溶液に界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1記載の可燃性液体の火災を消火する方法。
【請求項3】
比重が0.7以下であって有機カルボン酸の水溶液を含浸した多孔質無機素材を炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、アルカリ炭酸塩を該多孔質無機素材に振りかけるか、比重が0.7以下であってアルカリ炭酸塩の水溶液を含浸した多孔質無機素材を炎焼する可燃性液体の表面に浮かせた後、有機カルボン酸を該多孔質無機素材に振りかけて、有機カルボン酸とアルカリ炭酸塩との反応により発生する炭酸ガスの泡で可燃性液体の表面を覆って可燃性液体の火災を消火する方法であって、該水溶液に界面活性剤を混合することを特徴とする請求項1記載の可燃性液体の火災を消火する方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物および/または脂肪族アルコール硫酸エステル塩である請求項1〜3のいずれか1項記載の可燃性液体の火災を消火する方法。
【請求項5】
有機カルボン酸、アルカリ炭酸塩、界面活性剤および水からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の可燃性液体の火災を消火する方法に使用される消火性組成物。


【図1】
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【図2】
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