可視光通信装置、可視光通信システム及び可視光通信方法
【課題】LED灯の点灯状態が時間的に変動する場合でも、確実に可視光データの送受信を可能にすることが求められる。
【解決手段】本実施形態によれば、可視光通信装置は、発光部と、検知部と、送信制御部とを備えた構成である。発光部は、発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる。検知部は、前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する。送信制御部は、前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する。
【解決手段】本実施形態によれば、可視光通信装置は、発光部と、検知部と、送信制御部とを備えた構成である。発光部は、発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる。検知部は、前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する。送信制御部は、前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可視光を利用してデータの送受信を行なう可視光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可視光を変調、復調してデータの送受信を行なう可視光通信装置の開発が推進されている。可視光通信装置の受信装置には、ビデオカメラなどの画像センサを利用して、送信された可視光からデータを抽出する受信装置がある。
【0003】
このような画像センサを利用する可視光受信方式では、可視光送信装置側で可視光の発光源としてLED(発光ダイオード)の照明灯(以下、LED灯と表記する場合がある)などが使用される場合に、連続して一定の強度で点灯する直流点灯方式のLED灯が有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−245231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像センサを利用する可視光受信方式おいて、連続して一定の強度でLED灯を点灯しない場合には、LED灯の点灯状態が時間的に変動するため、受光した可視光からデータを確実に抽出できないことがある。具体的には、交流電源を整流後に平滑化処理を実行しない駆動制御でLED灯を点灯する場合や、PWM(パルス幅変調)方式の光量調整を行なう調光制御を行なう場合などである。
【0006】
そこで、LED灯の点灯状態が時間的に変動する場合でも、確実に可視光データの送受信を可能にすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、可視光通信装置は、発光手段と、検知手段と、送信制御手段とを備えた構成である。発光手段は、発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる。検知手段は、前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する。送信制御手段は、前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に関する可視光通信システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】実施形態に関する可視光送信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図3】実施形態に関する可視光送信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】実施形態に関する可視光通信データのフォーマットを説明するための図。
【図5】実施形態に関する送信制御装置の構成を説明するためのブロック図。
【図6】実施形態に関する可視光受信装置の構成を説明するためのブロック図。
【図7】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図9】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図10】実施形態に関する可視光送受信動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[可視光通信装置の構成]
図1は、本実施形態に関する可視光通信(送受信)システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の可視光通信システムは、可視光100を発光してデータを送信する可視光送信装置と、可視光100を受光してデータを受信する可視光受信装置20とからなる。
【0012】
可視光送信装置は、可視光100を発光する発光源としてLED灯10、LED灯10を支持する支持部材11、及び送信制御装置12を有する。LED灯10は、例えば調光機能を有する照明灯である。送信制御装置12は、LED灯10を制御して送信データを可視光100に重畳させて送信する。LED灯10は、例えば道路に設置されている道路灯などである。
【0013】
一方、可視光受信装置20は、ビデオカメラ23によりLED灯10から発光される可視光100を受光し、可視光100に重畳された送信データ(変調された送信データ)を復調する受信処理を行なう。ビデオカメラ23は、CCDやCMOSなどの画像センサが組み込まれており、LED灯10を含む撮影対象の画像データを出力する。
【0014】
可視光受信装置20は大別して、コントローラ21及びメモリ22から構成されている。コントローラ21は、画像処理用ソフトウェアを実行するコンピュータ又は専用ハードウェアである。メモリ22は、後述する画像メモリや画像処理用ソフトウェアを格納するメモリである。可視光受信装置20は、例えば道路を走行する車両に搭載されており、可視光通信により配信される道路交通情報などを受信する。
【0015】
(可視光送信装置の構成)
図5は、本実施形態の可視光送信装置の送信制御装置12の構成を説明するためのブロック図である。送信制御装置12は、整流部13と、コンパレータ15と、ディレー(delay)部16と、バッファメモリ17と、エンコーダ18と、LED制御部19とを有する。
【0016】
整流部13は、交流電源14の電源出力を平滑化なしに整流し、コンパレータ15及びLED制御部19に供給する。即ち、図2に示すように、整流部13は、電源出力値である電流レベル(I)が変動する電源出力波形120をコンパレータ15及びLED制御部19に供給する。なお、本実施形態では、電源出力値として電流レベル(I)を想定するが、当然ながら電圧レベルでもよい。
【0017】
コンパレータ15は、整流部13の電源出力値である電流レベルIと予め設定された基準レベル(基準設定値)RLとを比較し、整流部13からの電流レベルIが基準レベルRLを超えたタイミングで検知信号を出力する。ディレー部16は、コンパレータ15からの検知信号の立ち上がりから一定時間経過後に、エンコーダ18にスタート信号160を出力する。
【0018】
エンコーダ18は、スタート信号160に応じてバッファメモリ17に格納された送信データから、電源出力波形120の1回のオン期間中に重畳できるデータを読み込み、変調後にLED制御部19に出力する。LED制御部19は、整流部13から供給される電源出力波形120に変調されたデータ180を重畳し、LED灯10に供給して駆動制御する(図3を参照)。
【0019】
(可視光受信装置の構成)
図6は、本実施形態の可視光受信装置20の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
可視光受信装置20は、画像入力制御部24と、画像メモリ25と、注目領域設定部26と、画像出力制御部27と、輝度値算出部28と、背景輝度算出部29と、輝度差分算出部30と、ビット列デコーダ31とを有する。
【0021】
画像入力制御部24は、ビデオカメラの画像センサ23から出力される映像を入力し、画像データに変換してフレーム順に画像メモリ25に格納する。ここで、画像センサ23は、画像出力制御27の制御により、注目領域設定部26で指定される領域の映像を出力する。
【0022】
輝度値算出部28は、画像メモリ25から画像データを順に読み取り、可視光信号(データが重畳された可視光)の強度の時間的変化を算出する。具体的には、輝度値算出部28は、画像メモリ25から読み出した画像データの注目領域の輝度値を算出し、その算出結果である輝度値の変動を算出する。この輝度値データは、画像センサ23により入力されたフレーム順の時系列データである。
【0023】
背景輝度算出部29は、背景輝度算出部28により算出された可視光信号の強度時間変化からデータの重畳分を除いた背景輝度変動を算出する。輝度差分算出部30は、可視光信号の強度時間変化と背景輝度時間変化との差分を算出し、可視光通信データ(可視光に重畳された送信データ)を抽出する。ビット列デコーダ31は、抽出された可視光通信データをデコードし、送信データのデータビット列を復元する。
【0024】
(可視光送受信動作)
図10のフローチャートを参照して、本実施形態の可視光送受信動作を説明する。
【0025】
本実施形態の可視光送信装置では、図1に示すように、送信制御装置12は、LED灯10を制御してLED灯10から発光される可視光100に送信データを重畳した可視光通信データを送信する。ここで、LED灯10は、図2に示すように、整流部13から電源出力値である電流レベル(I)が変動する電源出力が供給される。即ち、LED灯10に流れる電流は時間的に変化し、電流値が大きい期間と、電流値が小さい又はゼロの期間からなる。このようなLED灯10の制御は、例えば、照明の点灯と消灯を時間的に制御するような調光制御の場合などがある。
【0026】
図4は、可視光通信データのフォーマットの一例を示す図である。図4(A)に示すように、LED灯10の点灯状態で、フレーム単位の送信データが重畳される。図4(B)に示すように、フレーム構成は、スタートエリア(SOF)にはプリアンブル部(PRE)及びデータサイズ部(D-SIZE)が含まれる。ペイロード(Payload)には送信データの本体が含まれる。送信データは、図4(C)に示すように、例えば2ビット単位の符号が横軸である時間軸方向のパルス列に変調される。
【0027】
以上のようなLED灯10の点灯状態において、送信制御装置12は、整流部13の電源出力値である電流レベルIを検知する(ステップS1)。即ち、コンパレータ15は、整流部13の電流レベルIと基準レベルRLとを比較し、整流部13からの電流レベルIが基準レベルRLを超えたタイミングで検知信号を出力する。この検知信号は、電流レベルIがLED灯10の点灯に有効なレベルに立ち上がるタイミングを示す信号である。換言すれば、検知信号は、整流部13からの電源出力のパルス波形の立ち上がりのタイミングを示す信号である。
【0028】
ディレー部16は、コンパレータ15からの検知信号の立ち上がりから一定時間経過後に、エンコーダ18にスタート信号160を出力する(ステップS2)。エンコーダ18は、スタート信号160に応じてバッファメモリ17に格納された送信データから、電源出力波形120の1回のオン期間(LED灯10の点灯期間)中に重畳できるデータを読み込む(ステップS3)。ここで、バッファメモリ17には、図示しないサーバからネットワークにより配信される道路交通情報などの送信データが格納される。
【0029】
エンコーダ18は、送信データを所定の符号データ180にエンコード(変調)してLED制御部19に出力する(ステップS4)。LED制御部19は、図3に示すように、整流部13から供給される電源出力波形120において、基準レベルRLを超える電流レベルの期間に、変調されたデータ130を重畳するようにLED灯10を駆動制御する(ステップS5)。
【0030】
一方、本実施形態の可視光受信側では、図1に示すように、可視光送信側のLED灯10から発光される可視光100を受光し、可視光通信データを受信する。ここで、ビデオカメラ23及び可視光受信装置20は、例えば道路上を走行する車両に搭載されている。
【0031】
可視光受信装置20では、画像入力制御部24は、ビデオカメラの画像センサ23から出力される映像を入力する(ステップS11)。ここで、画像センサ23は、画像出力制御27の制御により、設定されたフレームレートと注目領域設定部26で指定される領域(出力範囲)の映像を出力する。即ち、画像センサ23は、可視光送信側のLED灯10を含む範囲の映像を出力する。
【0032】
画像入力制御部24は、入力された映像を画像データに変換してフレーム順に画像メモリ25に格納する(ステップS12)。次に、輝度値算出部28は、画像メモリ25から画像データを順に読み取り、輝度値の変動から輝度値が所定値を超える期間の輝度値データを算出する(ステップS13)。即ち、輝度値算出部28は、図7に示すように、変調データ130が重畳された可視光信号の強度の時間的変化から所定の強度を示す期間の輝度値データを算出する。この輝度値データは、画像センサ23により入力されたフレーム順の時系列データである。
【0033】
さらに、背景輝度算出部29は、図8に示すように、背景輝度算出部28により算出された可視光信号の強度時間変化からデータの重畳分を除いた背景輝度変動120を算出する(ステップS14)。輝度差分算出部30は、可視光信号の強度時間変化と背景輝度時間変化との差分を算出し、図9に示すように、可視光通信データ140(可視光に重畳された送信データ)を抽出する(ステップS15)。ビット列デコーダ31は、抽出された可視光通信データ140をデコードし、送信データのデータビット列を復元する(ステップS16)。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、可視光送信装置は、LED灯10の電源出力値(電流値)の変動を検知し、電流値が基準値を超える点灯に有効な期間で送信データを重畳した可視光通信データを送信する。従って、LED灯10が例えば調光機能を有する照明灯であり、電源電流値が時間的に変化し、有効な点灯期間が連続的でない場合でも、可視光100に送信データを重畳して送信することが可能となる。
【0035】
具体的には、LED灯10を例えば道路に設置されている道路灯として使用する場合に、LED灯10から非連続的に発光する可視光100を利用して、道路交通情報などの送信データを重畳して配信することが可能となる。
【0036】
一方、可視光受信装置は、画像センサ23によりに入力する映像から、LED灯10からの可視光の輝度変動を検知することで、輝度値が一定以上の期間で可視光通信データ130から送信データ140を抽出することができる。可視光受信装置は、この送信データ140をデコードすることにより、LED灯10から配信される例えば道路交通情報などの送信データを受信することができる。
【0037】
具体的には、道路上を走行する車両は、ビデオカメラ23及び可視光受信装置20を搭載することにより、道路灯であるLED灯10から非連続的に発光する可視光100を受光することにより、例えば道路交通情報などの送信データを受信することができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10…LED灯、11…支持部材、12…送信制御装置、
13…整流部、14…交流電源、15…コンパレータ、16…ディレー(delay)部、
17…バッファメモリ、18…エンコーダ、19…LED制御部、
20…可視光受信装置、21…コントローラ、22…メモリ、
23…ビデオカメラ、24…画像入力制御部、25…画像メモリ、
26…注目領域設定部、27…画像出力制御部、28…輝度値算出部
29…背景輝度算出部、30…輝度差分算出部、31…ビット列デコーダ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可視光を利用してデータの送受信を行なう可視光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可視光を変調、復調してデータの送受信を行なう可視光通信装置の開発が推進されている。可視光通信装置の受信装置には、ビデオカメラなどの画像センサを利用して、送信された可視光からデータを抽出する受信装置がある。
【0003】
このような画像センサを利用する可視光受信方式では、可視光送信装置側で可視光の発光源としてLED(発光ダイオード)の照明灯(以下、LED灯と表記する場合がある)などが使用される場合に、連続して一定の強度で点灯する直流点灯方式のLED灯が有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−245231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像センサを利用する可視光受信方式おいて、連続して一定の強度でLED灯を点灯しない場合には、LED灯の点灯状態が時間的に変動するため、受光した可視光からデータを確実に抽出できないことがある。具体的には、交流電源を整流後に平滑化処理を実行しない駆動制御でLED灯を点灯する場合や、PWM(パルス幅変調)方式の光量調整を行なう調光制御を行なう場合などである。
【0006】
そこで、LED灯の点灯状態が時間的に変動する場合でも、確実に可視光データの送受信を可能にすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、可視光通信装置は、発光手段と、検知手段と、送信制御手段とを備えた構成である。発光手段は、発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる。検知手段は、前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する。送信制御手段は、前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に関する可視光通信システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】実施形態に関する可視光送信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図3】実施形態に関する可視光送信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】実施形態に関する可視光通信データのフォーマットを説明するための図。
【図5】実施形態に関する送信制御装置の構成を説明するためのブロック図。
【図6】実施形態に関する可視光受信装置の構成を説明するためのブロック図。
【図7】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図9】実施形態に関する可視光受信装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図10】実施形態に関する可視光送受信動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[可視光通信装置の構成]
図1は、本実施形態に関する可視光通信(送受信)システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の可視光通信システムは、可視光100を発光してデータを送信する可視光送信装置と、可視光100を受光してデータを受信する可視光受信装置20とからなる。
【0012】
可視光送信装置は、可視光100を発光する発光源としてLED灯10、LED灯10を支持する支持部材11、及び送信制御装置12を有する。LED灯10は、例えば調光機能を有する照明灯である。送信制御装置12は、LED灯10を制御して送信データを可視光100に重畳させて送信する。LED灯10は、例えば道路に設置されている道路灯などである。
【0013】
一方、可視光受信装置20は、ビデオカメラ23によりLED灯10から発光される可視光100を受光し、可視光100に重畳された送信データ(変調された送信データ)を復調する受信処理を行なう。ビデオカメラ23は、CCDやCMOSなどの画像センサが組み込まれており、LED灯10を含む撮影対象の画像データを出力する。
【0014】
可視光受信装置20は大別して、コントローラ21及びメモリ22から構成されている。コントローラ21は、画像処理用ソフトウェアを実行するコンピュータ又は専用ハードウェアである。メモリ22は、後述する画像メモリや画像処理用ソフトウェアを格納するメモリである。可視光受信装置20は、例えば道路を走行する車両に搭載されており、可視光通信により配信される道路交通情報などを受信する。
【0015】
(可視光送信装置の構成)
図5は、本実施形態の可視光送信装置の送信制御装置12の構成を説明するためのブロック図である。送信制御装置12は、整流部13と、コンパレータ15と、ディレー(delay)部16と、バッファメモリ17と、エンコーダ18と、LED制御部19とを有する。
【0016】
整流部13は、交流電源14の電源出力を平滑化なしに整流し、コンパレータ15及びLED制御部19に供給する。即ち、図2に示すように、整流部13は、電源出力値である電流レベル(I)が変動する電源出力波形120をコンパレータ15及びLED制御部19に供給する。なお、本実施形態では、電源出力値として電流レベル(I)を想定するが、当然ながら電圧レベルでもよい。
【0017】
コンパレータ15は、整流部13の電源出力値である電流レベルIと予め設定された基準レベル(基準設定値)RLとを比較し、整流部13からの電流レベルIが基準レベルRLを超えたタイミングで検知信号を出力する。ディレー部16は、コンパレータ15からの検知信号の立ち上がりから一定時間経過後に、エンコーダ18にスタート信号160を出力する。
【0018】
エンコーダ18は、スタート信号160に応じてバッファメモリ17に格納された送信データから、電源出力波形120の1回のオン期間中に重畳できるデータを読み込み、変調後にLED制御部19に出力する。LED制御部19は、整流部13から供給される電源出力波形120に変調されたデータ180を重畳し、LED灯10に供給して駆動制御する(図3を参照)。
【0019】
(可視光受信装置の構成)
図6は、本実施形態の可視光受信装置20の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
可視光受信装置20は、画像入力制御部24と、画像メモリ25と、注目領域設定部26と、画像出力制御部27と、輝度値算出部28と、背景輝度算出部29と、輝度差分算出部30と、ビット列デコーダ31とを有する。
【0021】
画像入力制御部24は、ビデオカメラの画像センサ23から出力される映像を入力し、画像データに変換してフレーム順に画像メモリ25に格納する。ここで、画像センサ23は、画像出力制御27の制御により、注目領域設定部26で指定される領域の映像を出力する。
【0022】
輝度値算出部28は、画像メモリ25から画像データを順に読み取り、可視光信号(データが重畳された可視光)の強度の時間的変化を算出する。具体的には、輝度値算出部28は、画像メモリ25から読み出した画像データの注目領域の輝度値を算出し、その算出結果である輝度値の変動を算出する。この輝度値データは、画像センサ23により入力されたフレーム順の時系列データである。
【0023】
背景輝度算出部29は、背景輝度算出部28により算出された可視光信号の強度時間変化からデータの重畳分を除いた背景輝度変動を算出する。輝度差分算出部30は、可視光信号の強度時間変化と背景輝度時間変化との差分を算出し、可視光通信データ(可視光に重畳された送信データ)を抽出する。ビット列デコーダ31は、抽出された可視光通信データをデコードし、送信データのデータビット列を復元する。
【0024】
(可視光送受信動作)
図10のフローチャートを参照して、本実施形態の可視光送受信動作を説明する。
【0025】
本実施形態の可視光送信装置では、図1に示すように、送信制御装置12は、LED灯10を制御してLED灯10から発光される可視光100に送信データを重畳した可視光通信データを送信する。ここで、LED灯10は、図2に示すように、整流部13から電源出力値である電流レベル(I)が変動する電源出力が供給される。即ち、LED灯10に流れる電流は時間的に変化し、電流値が大きい期間と、電流値が小さい又はゼロの期間からなる。このようなLED灯10の制御は、例えば、照明の点灯と消灯を時間的に制御するような調光制御の場合などがある。
【0026】
図4は、可視光通信データのフォーマットの一例を示す図である。図4(A)に示すように、LED灯10の点灯状態で、フレーム単位の送信データが重畳される。図4(B)に示すように、フレーム構成は、スタートエリア(SOF)にはプリアンブル部(PRE)及びデータサイズ部(D-SIZE)が含まれる。ペイロード(Payload)には送信データの本体が含まれる。送信データは、図4(C)に示すように、例えば2ビット単位の符号が横軸である時間軸方向のパルス列に変調される。
【0027】
以上のようなLED灯10の点灯状態において、送信制御装置12は、整流部13の電源出力値である電流レベルIを検知する(ステップS1)。即ち、コンパレータ15は、整流部13の電流レベルIと基準レベルRLとを比較し、整流部13からの電流レベルIが基準レベルRLを超えたタイミングで検知信号を出力する。この検知信号は、電流レベルIがLED灯10の点灯に有効なレベルに立ち上がるタイミングを示す信号である。換言すれば、検知信号は、整流部13からの電源出力のパルス波形の立ち上がりのタイミングを示す信号である。
【0028】
ディレー部16は、コンパレータ15からの検知信号の立ち上がりから一定時間経過後に、エンコーダ18にスタート信号160を出力する(ステップS2)。エンコーダ18は、スタート信号160に応じてバッファメモリ17に格納された送信データから、電源出力波形120の1回のオン期間(LED灯10の点灯期間)中に重畳できるデータを読み込む(ステップS3)。ここで、バッファメモリ17には、図示しないサーバからネットワークにより配信される道路交通情報などの送信データが格納される。
【0029】
エンコーダ18は、送信データを所定の符号データ180にエンコード(変調)してLED制御部19に出力する(ステップS4)。LED制御部19は、図3に示すように、整流部13から供給される電源出力波形120において、基準レベルRLを超える電流レベルの期間に、変調されたデータ130を重畳するようにLED灯10を駆動制御する(ステップS5)。
【0030】
一方、本実施形態の可視光受信側では、図1に示すように、可視光送信側のLED灯10から発光される可視光100を受光し、可視光通信データを受信する。ここで、ビデオカメラ23及び可視光受信装置20は、例えば道路上を走行する車両に搭載されている。
【0031】
可視光受信装置20では、画像入力制御部24は、ビデオカメラの画像センサ23から出力される映像を入力する(ステップS11)。ここで、画像センサ23は、画像出力制御27の制御により、設定されたフレームレートと注目領域設定部26で指定される領域(出力範囲)の映像を出力する。即ち、画像センサ23は、可視光送信側のLED灯10を含む範囲の映像を出力する。
【0032】
画像入力制御部24は、入力された映像を画像データに変換してフレーム順に画像メモリ25に格納する(ステップS12)。次に、輝度値算出部28は、画像メモリ25から画像データを順に読み取り、輝度値の変動から輝度値が所定値を超える期間の輝度値データを算出する(ステップS13)。即ち、輝度値算出部28は、図7に示すように、変調データ130が重畳された可視光信号の強度の時間的変化から所定の強度を示す期間の輝度値データを算出する。この輝度値データは、画像センサ23により入力されたフレーム順の時系列データである。
【0033】
さらに、背景輝度算出部29は、図8に示すように、背景輝度算出部28により算出された可視光信号の強度時間変化からデータの重畳分を除いた背景輝度変動120を算出する(ステップS14)。輝度差分算出部30は、可視光信号の強度時間変化と背景輝度時間変化との差分を算出し、図9に示すように、可視光通信データ140(可視光に重畳された送信データ)を抽出する(ステップS15)。ビット列デコーダ31は、抽出された可視光通信データ140をデコードし、送信データのデータビット列を復元する(ステップS16)。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、可視光送信装置は、LED灯10の電源出力値(電流値)の変動を検知し、電流値が基準値を超える点灯に有効な期間で送信データを重畳した可視光通信データを送信する。従って、LED灯10が例えば調光機能を有する照明灯であり、電源電流値が時間的に変化し、有効な点灯期間が連続的でない場合でも、可視光100に送信データを重畳して送信することが可能となる。
【0035】
具体的には、LED灯10を例えば道路に設置されている道路灯として使用する場合に、LED灯10から非連続的に発光する可視光100を利用して、道路交通情報などの送信データを重畳して配信することが可能となる。
【0036】
一方、可視光受信装置は、画像センサ23によりに入力する映像から、LED灯10からの可視光の輝度変動を検知することで、輝度値が一定以上の期間で可視光通信データ130から送信データ140を抽出することができる。可視光受信装置は、この送信データ140をデコードすることにより、LED灯10から配信される例えば道路交通情報などの送信データを受信することができる。
【0037】
具体的には、道路上を走行する車両は、ビデオカメラ23及び可視光受信装置20を搭載することにより、道路灯であるLED灯10から非連続的に発光する可視光100を受光することにより、例えば道路交通情報などの送信データを受信することができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10…LED灯、11…支持部材、12…送信制御装置、
13…整流部、14…交流電源、15…コンパレータ、16…ディレー(delay)部、
17…バッファメモリ、18…エンコーダ、19…LED制御部、
20…可視光受信装置、21…コントローラ、22…メモリ、
23…ビデオカメラ、24…画像入力制御部、25…画像メモリ、
26…注目領域設定部、27…画像出力制御部、28…輝度値算出部
29…背景輝度算出部、30…輝度差分算出部、31…ビット列デコーダ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる発光手段と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する検知手段と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する送信制御手段と
を具備したことを特徴とする可視光通信装置。
【請求項2】
前記検知手段は、
前記電源出力値と基準設定値とを比較し、当該電源出力値が基準設定値を超える時点から所定の遅延時間後のタイミングを検知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可視光通信装置。
【請求項3】
前記送信制御手段は、
前記タイミングに応じて前記送信データを変調する変調手段と、
前記変調手段により変調された送信データを前記可視光に重畳させる制御手段と
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記電源出力である所定レベルのパルス波形の立ち上がりを前記タイミングとして検知するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記電源出力値として電流値又は電圧値のいずれかを使用するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項6】
前記発光手段は、
前記発光源としてLEDを使用し、
前記電源出力レベルの時間的変化に応じて前記LEDの点灯を制御する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項7】
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する輝度値算出手段と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出するデータ検出手段と
を具備したことを特徴とする可視光通信装置。
【請求項8】
前記データ検出手段は、
前記輝度値データに基づいて、前記可視光の輝度値変動において輝度値が所定値以上の可視光信号と背景信号との差分を算出する輝度差分手段と、
前記輝度差分手段により算出される輝度差分値に基づいて、前記可視光に重畳されたデータを抽出して復調する手段と
を含むことを特徴とする請求項7に記載の可視光通信装置。
【請求項9】
可視光を利用してデータの送信を行なう可視光送信装置と当該データの受信を行なう可視光受信装置とからなる可視光通信システムであって、
前記可視光送信装置は、
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる発光手段と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する検知手段と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する送信制御手段とを有し、
前記可視光受信装置は、
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する輝度値算出手段と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出するデータ検出手段とを有する構成であることを特徴とする可視光通信システム。
【請求項10】
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる処理と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する処理と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する処理と
を実行する可視光通信方法。
【請求項11】
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する処理と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する処理と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出する処理と
を実行する可視光通信方法。
【請求項1】
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる発光手段と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する検知手段と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する送信制御手段と
を具備したことを特徴とする可視光通信装置。
【請求項2】
前記検知手段は、
前記電源出力値と基準設定値とを比較し、当該電源出力値が基準設定値を超える時点から所定の遅延時間後のタイミングを検知するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可視光通信装置。
【請求項3】
前記送信制御手段は、
前記タイミングに応じて前記送信データを変調する変調手段と、
前記変調手段により変調された送信データを前記可視光に重畳させる制御手段と
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記電源出力である所定レベルのパルス波形の立ち上がりを前記タイミングとして検知するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記電源出力値として電流値又は電圧値のいずれかを使用するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項6】
前記発光手段は、
前記発光源としてLEDを使用し、
前記電源出力レベルの時間的変化に応じて前記LEDの点灯を制御する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可視光通信装置。
【請求項7】
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する輝度値算出手段と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出するデータ検出手段と
を具備したことを特徴とする可視光通信装置。
【請求項8】
前記データ検出手段は、
前記輝度値データに基づいて、前記可視光の輝度値変動において輝度値が所定値以上の可視光信号と背景信号との差分を算出する輝度差分手段と、
前記輝度差分手段により算出される輝度差分値に基づいて、前記可視光に重畳されたデータを抽出して復調する手段と
を含むことを特徴とする請求項7に記載の可視光通信装置。
【請求項9】
可視光を利用してデータの送信を行なう可視光送信装置と当該データの受信を行なう可視光受信装置とからなる可視光通信システムであって、
前記可視光送信装置は、
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる発光手段と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する検知手段と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する送信制御手段とを有し、
前記可視光受信装置は、
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する輝度値算出手段と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出するデータ検出手段とを有する構成であることを特徴とする可視光通信システム。
【請求項10】
発光源から電源出力値の時間的変化に応じた可視光を発光させる処理と、
前記電源出力値が基準設定値を超えるタイミングを検知する処理と、
前記タイミングに応じて前記可視光に送信データを重畳して送信する処理と
を実行する可視光通信方法。
【請求項11】
発光源から発光される可視光を受光して画像データに変換し、当該発光源を含む画像データを入力する処理と、
前記画像データから輝度値の時間的変化を示す輝度値データを算出する処理と、
前記輝度値データに基づいて前記可視光に重畳されたデータを検出する処理と
を実行する可視光通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−191498(P2012−191498A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54337(P2011−54337)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]