説明

可逆性多色感熱記録媒体

【課題】発色・消色感度が高く、画像の均一性に優れた可逆性多色感熱記録媒体の提供。
【解決手段】支持体10上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性多色感熱記録媒体1において、該記録層11,12,13中に特定波長領域の光を吸収して発熱する光熱変換材料を含有し、さらに粒子径10nm以上100nm以下の酸化亜鉛微粒子を含有することを特徴とする可逆性多色感熱記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性多色感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性多色感熱記録媒体におよびこれを用いた記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。しかし、これら実用化されている従来の記録媒体は環境問題上、リサイクルや使用量の減量化などの見直しが迫られているが、不可逆的な発色であるため、一度記録した画像を消去して繰り返し使用することはできないし、新しい情報は画像が記録されていない部分に追記されるぐらいで記録可能な部分の面積は限られている。そのため、記録する情報量を減らしたり、記録エリアがなくなった時点でカードを作り直したりしているのが実状である。そこで、近年盛んに論じられているゴミ問題や森林破壊問題を背景に、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ところで、これらの要求から様々な可逆性感熱記録媒体が提案されてきた。例えば、透明・白濁という物理的変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録媒体が開示されている(特許文献1、2参照)。また、新たに化学的変化を利用した染料タイプの可逆性感熱記録媒体も提案されている。具体的には、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組合せを用いるもの(例えば、特許文献3参照)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(例えば、特許文献4参照)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(例えば、特許文献5、6、7参照)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの(例えば、特許文献8参照)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(例えば、特許文献9、10参照)などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特許文献11において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている(例えば、特許文献12、13参照)。
【0005】
しかし、このような材料を用いた記録媒体では、消色速度が遅く書き替えに時間がかかる、消色が不十分である、あるいは発色画像の熱安定性が低いなどの問題を有していた。
そこで、さらに本発明者らは特許文献14に記載のフェノール化合物を用いることで、発色と消色のコントラストが高く、高速消去が可能であり、画像部の発色安定性に優れる記録媒体を提案した。このフェノール化合物を用いた記録媒体は、ホットスタンプやヒートローラー、セラミックヒータなどの加熱部材による消去が可能であり実用性に優れるものであった。
【0006】
また、一方で記録媒体の使用方法の多様化に伴い、近年カラー化の要望が高まってきた。特許文献15や特許文献16には、特定の波長の赤外線吸収染料を用いて、色調の異なる複数の可逆性記録層を積層した記録媒体を用いてレーザー記録を行う方法や、発色色調毎に記録層面を分割した記録媒体を用いてレーザー記録を行う方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では記録および消去の感度が十分でなかったり、均一でないと言った問題を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−107584号公報
【特許文献2】特開平4−78573号公報
【特許文献3】特開昭60−193691号公報
【特許文献4】特開昭61−237684号公報
【特許文献5】特開昭62−138556号公報
【特許文献6】特開昭62−138568号公報
【特許文献7】特開昭62−140881号公報
【特許文献8】特開昭63−173684号公報
【特許文献9】特開平2−188293号公報
【特許文献10】特開平2−188294号公報
【特許文献11】特開平5−124360号公報
【特許文献12】特開平6−210954号公報
【特許文献13】特開平10−95175号公報
【特許文献14】特開平10−67177号公報
【特許文献15】特開2003−266941号公報
【特許文献16】特開2003−266942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は発色・消色感度が高く、画像の均一性に優れた可逆性多色感熱記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題はレーザー照射によって発生した熱が記録層内に拡散する速度が遅いことによって、温度分布幅が大きくなり、均一な加熱状態にならないことが問題であると考え、とくに記録層内部の熱伝導を向上させて層内を均一にさせることで、改善を検討した。
熱伝導を向上させるための種々の材料を検討した結果、とくに、酸化亜鉛微粒子を記録層中に含有させることによって、発色・消色感度、画像の均一性が著しく改善できることが判った。
すなわち、本発明は、以下に記載する通りの可逆性多色感熱記録媒体及び該可逆性多色記録媒体の記録方法である。
【0010】
(1)支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性多色感熱記録媒体において、該記録層中に特定波長領域の光を吸収して発熱する光熱変換材料を含有し、さらに粒子径10nm以上100nm以下の酸化亜鉛微粒子を含有することを特徴とする可逆性多色感熱記録媒体。
(2)支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性多色感熱記録媒体において、該記録層中に粒子径10nm以上100nm以下の酸化亜鉛微粒子を含有し、さらに、該記録層に隣接して特定波長領域の光を吸収して発熱する光熱変換材料を含有してなる光熱変換層が形成されていることを特徴とする可逆性多色感熱記録媒体。
(3)上記の支持体上にそれぞれ発色色調のことなる複数の記録層が積層されていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の可逆性多色感熱記録媒体
(4)上記の複数設けられた記録層の間に断熱層を有している事を特徴とする前記(3)に記載の可逆性多色感熱記録媒体。
(5)電子受容性化合物が下記一般式(1)で示される炭素数8以上の飽和脂肪族基を有するフェノール化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の可逆性多色感熱記録媒体。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、X及びXは直接結合手または−NH−,−CO−,−O−,−SO−,−S−よりなる群から選ばれる2価の基を示す。ただし、X及びXは同時に直接結合手であることはない。Rは炭素数1から22の2価の炭化水素基を表し、Rは炭素数8から30の炭化水素基を表す。また、pは0から4の整数を表しpが2から4の時繰り返されるRおよびXは同一でも、異なっていても良い。また、pが0のとき、Xは直接結合手ではない。さらに、qは1から3の整数を表す。)
(6)前記(1)乃至(5)に記載の可逆性多色記録媒体を用いて、加熱処理によって記録層を発色状態にした後、画像情報に応じて選択された波長領域の光を照射して上記発色状態にある記録層を加熱し、選択的に消色する事によって画像の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録媒体の記録方法。
(7)前記(1)〜(5)に記載の可逆性多色記録媒体を用いて、加熱処理によって記録層を消色状態にした後、画像情報に応じて選択された波長領域の光を照射して上記消色状態にある記録層を加熱し、選択的に発色する事によって画像の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録媒体の記録方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の可逆性多色感熱記録媒体は、選択された特定の波長の光を照射することで、任意の場所に可逆的に発色および消色を行うことができ、さらに、書き替えの際にも光の照射によって消去可能で、発色・消色特性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の詳細について以下説明する。
本発明の感熱記録媒体は感熱記録層中に酸化亜鉛を含有している。酸化亜鉛は、記録層中に用いられているロイコ染料や顕色剤、ポリマーといった有機物や、この種の記録材料に添加されるシリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤に比べて熱伝導度が高いものであり、記録層への添加によって層内の熱伝導が良好となって加熱温度ムラの低減が期待される。しかしながら、従来公知の酸化亜鉛を記録層中に添加した場合には、粒子径が数ミクロン程度と粗大であるために酸化亜鉛を記録層内に均一に添加することが困難となり、記録層内の酸化亜鉛粒子の分布によって温度分布のムラが発生して消去不良を起こしたり、酸化亜鉛粒子による光散乱によって記録層の発色濃度を低下させてしまったり、記録層自体が着色する原因となってしまう。
【0015】
そこで、本発明においては酸化亜鉛粒子として、粒子径10〜100nmの酸化亜鉛微粒子を用いる。この酸化亜鉛微粒子は可視領域で実質的に透明となり、上記のような画像濃度の低下への悪影響がなくなる。さらに、粒子が微細化されることによって記録層内に均一に添加することが可能となり、層内の温度分布が均一になる。
また、一方で粒子径が10nm未満の場合には凝集しやすくなるため安定な分散が難しくなるという問題がある。そこで、本発明においては酸化亜鉛微粒子としては粒子径10nm〜100nmのもの用いられ、より好ましくは10nm〜70nmのものが用いられる。
【0016】
本発明において用いられる酸化亜鉛微粒子の添加量は、記録層中の2〜50体積%が好ましく、2体積%よりも少ない場合には消去性向上の効果が見られず、また、50体積%よりも多い場合には記録層の強度が低下するなどの問題が起きる。
【0017】
以下に、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明の可逆性多色記録媒体は、以下の例に限定されるものではない。
図1に本発明の第1の例における可逆性多色感熱記録媒体を示す。この可逆性多色感熱記録媒体1は、支持体10上に、第1の記録層11、第2の記録層12、および第3の記録層13が、それぞれ断熱層14,15を介して積層されており、最上層に保護層16が形成された構成を有している。
【0018】
支持体10としては、この種の記録材料に使用される従来公知の材料を使用することができ、例えば白色ポリエステルフィルムなどが好ましく用いられる。
第1〜第3の記録層11〜13は、酸化亜鉛微粒子、ロイコ染料、可逆性の顕色剤化合物、樹脂および光熱変換材料を含有しており、この光熱変換材料は各記録層毎にそれぞれ異なる波長の光を吸収して発熱しうる材料が用いられる。また、記録層内には発色の安定性や消色速度向上のため、発色消色制御剤などを添加してもよい。
さらに、第1、第2、第3の記録層中に用いるロイコ染料は必要に応じた発色色調の材料を用いることができ、3原色を用いることで、フルカラー化も可能である。なお、各記録層中のロイコ染料は単独であっても混合されたものでもよい。
【0019】
本発明で用いられるロイコ染料としては、この種の可逆性感熱記録媒体に一般的に用いられる化合物を1種または2種以上を用いることができ、例えば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。これらの化合物の例としては、特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−230680号公報などに記載のロイコ染料がある。
また、本発明において顕色剤としては、下記一般式(1)で示される炭素数8以上の脂肪族基を有するフェノール化合物が特に好ましく用いられる。
【0020】
【化1】

【0021】
式中、X及びXは直接結合手または−NH−,−CO−,−O−,−SO−,−S−よりなる群から選ばれる2価の基を示す。ただし、X及びXは同時に直接結合手であることはない。Rは炭素数1から22の2価の炭化水素基を表し、Rは炭素数8から30の炭化水素基を表す。また、pは0から4の整数を表しpが2から4の時繰り返されるRおよびXは同一でも、異なっていても良い。また、pが0のとき、Xは直接結合手ではない。さらに、qは1から3の整数を表す。
【0022】
具体的には、RおよびRは置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、これらは脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。また脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。なお、Rは直接結合手でも良い。
またRの炭素が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることがより好ましい。X及びXは直接結合手またはヘテロ原子を含む2価の基を示し、好ましくは下記表1に示される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。その具体例としては、下記表2に示されるものが挙げられる。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
本発明におけるフェノール化合物の具体的な例を下記に化学式で示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、フェノール化合物は単独または混合して用いることもできる。
【0026】
【化2−1】

【0027】
【化2−2】

【0028】
上記化学式中のr,sは前記のRおよびRの炭素数を満足する整数を表す。
また、これらの他にもたとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報、特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報、特開平11−99749号などに記載の顕色剤を用いることができる。
【0029】
以下に上記の記録層の発色・消色について説明する。
この記録層は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この基本的な発色・消色現象を説明する。
【0030】
図3はこの記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度Tでロイコ染料と顕色剤が溶融混合し、発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度Tで消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0031】
本発明の記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図3に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0032】
また、記録層中に用いられる樹脂としては架橋状態にある樹脂が好ましく用いられ、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0033】
更に、本発明において好ましくは、特に発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が好ましく用いられる。水酸基価としては70(KOHmg /g )以上であることが好ましく、特に好ましくは90(KOHmg /g )以上である。また、硬化剤としては、従来公知のイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。その中でもイソシアネート系硬化剤が好ましく用いられる。また、これらの架橋性樹脂以外にも従来公知の熱可塑性樹脂も用いることができ、その例としては、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。
【0034】
また、第1〜第3の記録層11〜13に含有される光熱変換材料としては可視波長域に吸収がない光吸収色素が好ましく用いられ、フタロシアニン系染料やシアニン系染料、金属錯体染料、ジインモニウム系染料等が好ましく用いられる。また、記録層11、12、13に用いられる光吸収色素は、それぞれ異なる波長域に吸収を持つものであって、図1に記載の可逆性多色感熱記録媒体においては、第1の記録層11が波長λ1の光を、第2の記録層12が波長λ2の光を、第3の記録層13が波長λ3の光をそれぞれ吸収して発熱する光熱変換材料を含有しているものとする。
【0035】
本発明の記録層は従来公知の方法で形成することができ、例えば、上記の酸化亜鉛微粒子、ロイコ染料、顕色剤を溶剤を用いて樹脂中に溶解または分散させて、支持体上に塗布・乾燥させて設ければよい。この際、記録層の膜厚としては、発色濃度に十分な膜厚であれば良いが、4〜20μm程度が好ましい。
【0036】
次に、本発明においては、発色色調の混色を防ぐため、各記録層の間に断熱層を設けることが好ましい。この断熱層は下側にある記録層を遮蔽しないために透明な層が好ましく、その例としては、上記の記録層中に用いられた熱硬化性の樹脂や熱可塑性の樹脂が用いられる。この断熱層の厚みは、層を構成する材料の熱伝導度によって必要とされる厚みが異なるが、3〜50μm程度が好ましい。
保護層16は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、膜厚は1〜10μm程度が好ましい。
【0037】
次に、本発明の可逆性多色感熱記録媒体の第2の例について説明する。図2に示した可逆性多色感熱記録媒体2は、記録層と光熱変換材料が含有された光熱変換層とを隣接させて別個に設けたものである。なお、隣接位置は記録層の上面でも下面でもよいが、2つの記録層と同時に隣接するとそれぞれの発色色調が混食するため、少なくとも一方の記録層との間には断熱層を設けることが好ましい。
【0038】
図2中の第1,第2,第3の記録層21,22,23は、酸化亜鉛微粒子、ロイコ染料、顕色剤を樹脂と共に設けてなるものであって、それぞれ用いられる化合物としては上記の第1の例と同様なものが用いられる。
第1、第2、第3の光熱変換層26,27,28はそれぞれ異なる波長の光(λ1、λ2、λ3)を吸収して発熱する光熱変換材料が含有されているものである。これらの光熱変換材料が樹脂中に溶解または分散された状態で光熱変換層を形成している。この光熱変換層26,27,28の厚みは1〜10μ程度が好ましい。
上記の第1および第2の例の構成の他にも、例えば、第1、第2、第3の記録層を2層にわけ、その中間にそれぞれに対応する光熱変換層を設けるなどの構成も挙げられる。
【0039】
次に、本発明の記録媒体の記録方法について説明する。
上記に示した記録媒体の任意の場所に波長と出力を選択した光を半導体レーザーなどによって照射する。
第1の方法として、例えば、図1に示した記録媒体の第1の記録層の記録には、第1の記録層に含有した光熱変換材料の吸収波長λに対応した光を照射し、光熱変換材料を記録層の発色温度域まで発熱させることにより画像の記録を行う。
第2、第3の記録層も同様にして、それぞれの光熱変換材料の吸収波長λ、λに対応した光を照射することによってそれぞれの記録層に画像の記録を行う。
なお、この際に記録層を記録温度よりも低い温度に予め裏面などから加熱することによって、より低エネルギーでの記録が可能となる。
上記の3つの記録層の画像の組合せによってフルカラー記録も可能である。
画像の消去の際には、記録の場合よりもやや弱いエネルギーの光をそれぞれの記録層に照射し、記録層の温度を消色温度域に加熱することで、行うことができる。この他にも、セラミックヒーターやヒートローラーなどによってそれぞれの共通の消色温度領域に加熱して全面を一括して消去することもできる。
このとき、記録層全体を消色温度領域に均一に加熱する必要があり、本発明の酸化亜鉛微粒子を含有した記録層は熱伝導性が高いため、素早く均一に各記録層の全体を加熱することができる。
【0040】
第2の方法としては、全面を発色した後にそれぞれの記録層を消去して行う方法がある。
記録媒体全体を発色温度以上に加熱したヒートローラーなどで加熱し、急冷して全面を発色させた後に、それぞれの記録層に対応した波長の光を照射し、消色温度領域まで加熱することで、任意の場所の任意の記録層を消去して画像を記録する方法である。
上記のような方法を繰り返し行うことで、繰り返し画像の記録および消去が可能となる。
また、本発明においては、上記の材料の他の可逆性感熱記録媒体にも適用でき、例えば、特開平8−197853号公報に記載の材料を用いた記録媒体でもよい。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の可逆性多色感熱記録媒体の具体的な実施例、および比較例を挙げて説明するが本発明の可逆性多色記録媒体は以下に示す例に限定されるものではない。
また、部は重量部を表す。
【0042】
〔実施例1〕
支持体10上に第1の記録層11、断熱層14、第2の記録層12、および保護層16が順次積層された、いわゆる2層の可逆性記録層を有する記録媒体を以下のようにして作製した。
[第1の記録層の作製]
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア 4部
フタロシアニン系赤外吸収色素 0.04部
(山本化成製、YKR−3070、吸収波長ピーク830nm)
アクリルポリオール樹脂 12部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 70部
【0043】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に酸化亜鉛微粒子分散液(住友大阪セメント社製 ZS−303 固形分濃度30% 粒子径30nm)10部、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン(発色色調:赤)1.5部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部を順次加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、厚さ188μmの白PETにワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの第1の記録層11を設けた。
【0044】
[断熱層の作製]
アクリルポリオール樹脂(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)12部と日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部をメチルエチルケトン(MEK)40部で希釈した後、上記によって作製した記録層11上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃1時間加熱して、膜厚15μmの断熱層14を作製した。
【0045】
[第2の記録層の作製]
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア 4部
シアニン系赤外吸収色素 0.02部
(日本化薬製、CY−10、吸収波長ピーク781nm)
アクリルポリオール樹脂 12部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 70部
【0046】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に酸化亜鉛微粒子分散液(住友大阪セメント社製 ZS−303 固形分濃度30% 粒子径30nm)10部、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド(発色色調:青)1.5部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部を順次加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、上記によって作製した断熱層14上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの第2の記録層12を設けた。
【0047】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマーの40%溶液(日本触媒社製UV-G300) 10部
イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートHX) 1.4部
シリコーン系アクリル樹脂(東亞合成社製GS-1015) 0.5部
メチルエチルケトン 10部
以上の組成物を良く撹拌し、保護層塗布液を調整した。
上記組成の保護層塗布液を上記記録層12上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、厚さ約3.5μmの保護層を設け本発明の可逆性多色感熱記録媒体を作製した。
【0048】
以上のように作製した可逆性多色感熱記録媒体の任意の場所に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、記録層11の光熱変換材料が発熱し、赤色の発色画像が記録された。ついで、他の任意の場所に785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、記録層12の光熱変換層が発熱し、青色の画像が記録された。また、これらの照射を同一の場所に行ったところ、混色した紫色の画像が記録された。
【0049】
次に、記録層11の記録部分に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、記録層11の光熱変換材料が消色温度域まで発熱し、赤色の記録画像が消去された。また、記録層12に対しても同様に、記録部分に対して785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、青色の画像が消去された。さらに、混色に発色した部分もそれぞれ前記の2条件の照射によって消去することができた。
以上の画像記録および消去をくり返し実施しても、記録媒体の損傷や、画像濃度の変化などは見られなかった。
【0050】
[実施例2]
支持体20上に第1の光熱変換層26、第1の記録層21、断熱層24、第2の光熱変換層27、第2の記録層22、保護層29が順次積層された、いわゆる2層の可逆性記録層を有する記録媒体を作製するものとする。
【0051】
[第1の光熱変換層の作製]
フタロシアニン系赤外吸収色素 0.04部
(山本化成製、YKR−3070、吸収波長ピーク830nm)
アクリルポリオール樹脂 5部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 30部
【0052】
上記組成物を十分に溶解した。その後日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)1部を順次加え、良く攪拌し塗布液を調製した。
上記組成の塗布液を、厚さ188μmの白PETにワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃1時間加熱して、膜厚約4.0μmの第1の光熱変換層26を設けた。
【0053】
[第1の記録層の作製]
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア 4部
アクリルポリオール樹脂 12部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 70部
【0054】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に酸化亜鉛微粒子分散液(住友大阪セメント社製 ZS−303 固形分濃度30% 粒子径30nm)10部、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン(発色色調:赤)1.5部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部を順次加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、上記によって作製した光熱変換層26上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの第1の記録層21を設けた。
【0055】
[断熱層の作製]
アクリルポリオール樹脂(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)12部と日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部をメチルエチルケトン(MEK)40部で希釈した後、上記によって作製した記録層21上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃1時間加熱して、膜厚15μmの断熱層24を作製した。
【0056】
[第2の光熱変換層の作製]
シアニン系赤外吸収色素 0.02部
(日本化薬製、CY−10、吸収波長ピーク781nm)
アクリルポリオール樹脂 5部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 30部
【0057】
上記組成物を十分に溶解した。その後日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)1部を順次加え、良く攪拌し塗布液を調製した。
上記組成の塗布液を、上記によって作製した断熱層24上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃1時間加熱して、膜厚約4.0μmの第2の光熱変換層26を設けた。
【0058】
[第2の記録層の作製]
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−オクタデシルウレア 4部
アクリルポリオール樹脂 12部
(三菱レイヨン社製LR503 固形分濃度50%溶液)
テトラヒドロフラン(THF) 70部
【0059】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に酸化亜鉛微粒子分散液(住友大阪セメント社製 ZS−303 固形分濃度30% 粒子径30nm)10部、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド(発色色調:青)1.5部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2.5部を順次加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、上記によって作製した断熱層26上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの第2の記録層22を設けた。
【0060】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマーの40%溶液(日本触媒社製UV-G300) 10部
イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートHX) 1.4部
シリコーン系アクリル樹脂(東亞合成社製GS-1015) 0.5部
メチルエチルケトン 10部
以上の組成物を良く撹拌し、保護層塗布液を調整した。
上記組成の保護層塗布液を上記記録層22上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、厚さ約3.5μmの保護層を設け本発明の可逆性多色感熱記録媒体を作製した。
【0061】
以上のように作製した可逆性多色感熱記録媒体の任意の場所に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、光熱変換層26の光熱変換材料が発熱し、赤色の発色画像が記録された。ついで、他の任意の場所に785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、光熱変換層27の光熱変換層が発熱し、青色の画像が記録された。また、これらの照射を同一の場所に行ったところ、混色した紫色の画像が記録された。
【0062】
次に、記録層21の記録部分に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、光熱変換層26の光熱変換材料が消色温度域まで発熱し、赤色の記録画像が消去された。また、記録層22に対しても同様に、記録部分に対して785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、青色の画像が消去された。さらに、混色に発色した部分もそれぞれ前記の2条件の照射によって消去することができた。
以上の画像記録および消去をくり返し実施しても、記録媒体の損傷や、画像濃度の変化などは見られなかった。
【0063】
〔実施例3〕
実施例1で作製した可逆性多色感熱記録媒体に200℃に加熱したセラミックヒータを接触させた後、金属ローラーを接触させて全面を急冷して、記録媒体全面が紫色に発色した記録媒体を得た。
次いで、任意の場所に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径150μmで照射したところ、記録層11の光熱変換材料が発熱して消色温度領域まで加熱されて赤色が消色し青色の画像が記録された。ついで、他の任意の場所に785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いて5cm/secの速度で照射したところ、記録層12の光熱変換材料が発熱し、青色が消色して赤色の画像が記録された。また、これらの照射を同一の場所に行ったところ、赤色、青色共に消色して、支持体の白色が露出した。
【0064】
〔比較例1〕
実施例1で用いた酸化亜鉛微粒子分散液を用いなかった他は、実施例1と同様にして作製した可逆性多色感熱記録媒体の任意の場所に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、記録層11の光熱変換材料が発熱し、赤色の発色画像が記録された。ついで、他の任意の場所に785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約20μmで照射したところ、記録層12の光熱変換層が発熱し、青色の画像が記録された。また、これらの照射を同一の場所に行ったところ、混色した紫色の画像が記録された。
【0065】
次に、記録層11の記録部分に波長830nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、記録層11の光熱変換材料が消色温度域まで発熱し、赤色の記録画像が消去されたが、消去の状態は均一でなく部分的に赤色の画像が残っていた。また、記録層12に対しても同様に、記録部分に対して785nm、パワー30mWの半導体レーザーを用いてスポット径約150μmで照射したところ、青色の画像が消去されたが、消去の状態は均一でなく部分的に青色の画像が残っていた。さらに、混色に発色した部分もそれぞれ前記の2条件の照射によって消去を行ったところ、部分的に赤色と青色の消去残りが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の可逆性多色感熱記録媒体は、発色・消色感度が高く、画像の均一性に優れているので、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙またはプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の可逆性多色感熱記録媒体の第1の構成例を示す図である。
【図2】本発明の可逆性多色感熱記録媒体の第2の構成例を示す図である。
【図3】本発明に用いられる可逆性感熱発色組成物の発色・消色特性を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10,20 支持体
11,21 第1の記録層
12,22 第2の記録層
13,23 第3の記録層
14,15,24,25 断熱層
16,29 保護層
26 第1の光熱変換層
27 第2の光熱変換層
28 第3の光熱変換層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性多色感熱記録媒体において、該記録層中に特定波長領域の光を吸収して発熱する光熱変換材料を含有し、さらに粒子径10nm以上100nm以下の酸化亜鉛微粒子を含有することを特徴とする可逆性多色感熱記録媒体。
【請求項2】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/又は加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性多色感熱記録媒体において、該記録層中に粒子径10nm以上100nm以下の酸化亜鉛微粒子を含有し、さらに、該記録層に隣接して特定波長領域の光を吸収して発熱する光熱変換材料を含有してなる光熱変換層が形成されていることを特徴とする可逆性多色感熱記録媒体。
【請求項3】
上記の支持体上にそれぞれ発色色調の異なる複数の記録層が積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可逆性多色感熱記録媒体。
【請求項4】
上記の複数設けられた記録層の間に断熱層を有している事を特徴とする請求項3に記載の可逆性多色感熱記録媒体。
【請求項5】
電子受容性化合物が下記一般式(1)で示される炭素数8以上の飽和脂肪族基を有するフェノール化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性多色感熱記録媒体。
【化1】

(式中、X及びXは直接結合手または−NH−,−CO−,−O−,−SO−,−S−よりなる群から選ばれる2価の基を示す。ただし、X及びXは同時に直接結合手であることはない。Rは炭素数1から22の2価の炭化水素基を表し、Rは炭素数8から30の炭化水素基を表す。また、pは0から4の整数を表しpが2から4の時繰り返されるRおよびXは同一でも、異なっていても良い。また、pが0のとき、Xは直接結合手ではない。さらに、qは1から3の整数を表す。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の可逆性多色記録媒体を用いて、加熱処理によって記録層を発色状態にした後、画像情報に応じて選択された波長領域の光を照射して上記発色状態にある記録層を加熱し、選択的に消色する事によって画像の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録媒体の記録方法。
【請求項7】
請求項1乃至5に記載の可逆性多色記録媒体を用いて、加熱処理によって記録層を消色状態にした後、画像情報に応じて選択された波長領域の光を照射して上記消色状態にある記録層を加熱し、選択的に発色する事によって画像の記録を行うことを特徴とする可逆性多色記録媒体の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−98735(P2007−98735A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290635(P2005−290635)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】