説明

可逆性感熱記録媒体、情報記録部を有する部材、可逆性感熱記録ラベル及びこれらの画像処理方法

【課題】 高い発色性を有し、さらに高速消去性に優れ、かつ低温低湿環境下による高速消色性に対応できる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録層を含む情報記録部を有するカード等の部材、可逆性感熱記録ラベル、及びこれらの画像処理方法を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、前記電子受容性化合物として下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】


(式中、nは8以上の整数を示し、mはnの1/3よりも大きい整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用し、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体、該可逆性感熱記録層を設けた情報記録部を有する部材、ラベル及びこれらに画像の形成−消去を行なう画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。しかし、これら実用化されている従来の記録媒体は環境問題上、リサイクルや使用量の減量化などの見直しが迫られているが、不可逆的な発色であるため、一度記録した画像を消去して繰り返し使用することはできないし、新しい情報は画像が記録されていない部分に追記されるぐらいで記録可能な部分の面積は限られている。そのため、記録する情報量を減らしたり、記録エリアがなくなった時点でカードを作り直しているのが実状である。そこで、近年盛んに論じられているゴミ問題や森林破壊問題を背景に、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ところで、これらの要求から様々な可逆性感熱記録媒体が提案されてきた。例えば、透明・白濁という物理的変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録媒体が開示されている(特許文献1及び2参照)。また、新たに化学的変化を利用した染料タイプの可逆性感熱記録媒体も提案されている。具体的には、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組み合わせを用いるもの(特許文献3参照)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(特許文献4参照)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(特許文献5〜7参照)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの(特許文献8参照)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(特許文献9及び10参照)などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特許文献11において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている(特許文献12参照)。
【0005】
また、前記一般式(1)で示されるようなフェノール化合物で尿素結合(−NHCONH−)とジアシルヒドラジド結合(−CONHNHCO−)を有する化合物が提案されている(特許文献13又は14参照)。この中に、前記一般式(1)におけるmで示されるアルキレン鎖長が4、nで示されるアルキル鎖長を17とするフェノール化合物を用いた記録媒体が例示されているが、この記録媒体は消色性が良好なものの、発色濃度が低いという問題を有しており、実用レベルにはなっていない。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−107584号公報
【特許文献2】特開平4−78573号公報
【特許文献3】特開昭60−193691号公報
【特許文献4】特開昭61−237684号公報
【特許文献5】特開昭62−138556号公報
【特許文献6】特開昭62−138568号公報
【特許文献7】特開昭62−140881号公報
【特許文献8】特開昭63−173684号公報
【特許文献9】特開平2−188293号公報
【特許文献10】特開平2−188294号公報
【特許文献11】特開平5−124360号公報
【特許文献12】特開平6−210954号公報
【特許文献13】特開平10−95175号公報
【特許文献14】特開平10−67726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、高い発色性を有し、さらに高速消去性に優れる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、低温低湿環境下における高速消色性に対応できる可逆性感熱記録媒体を提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、上記可逆性感熱記録層を含む情報記録部を有するカード等の部材、可逆性感熱記録ラベル、及びこれらの画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として、特定の結合を含有するフェノール化合物で特定の炭化水素の鎖長バランスを有するフェノール化合物を用いることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の上記課題は、本発明の下記(1)〜(9)によって解決される。
(1)「支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、前記電子受容性化合物として下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体;
【0010】
【化1】

(式中、nは8以上の整数を示し、mはnの1/3よりも大きい整数を示す。)」
(2)「前記一般式(1)で表わされるフェノール化合物において、nが10以上であるフェノール化合物を用いたことを特徴とする前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体。」
(3)「前記可逆性感熱記録層中に架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体。」
(4)「情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層からなるものであることを特徴とする情報記録部を有する部材。」
(5)「前記情報記録部を有する部材がカード、ディスク、ディスクカートリッジまたはテープカセットのいずれかであることを特徴とする前記第(4)項に記載の情報記録部を有する部材。」
(6)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の、可逆性感熱記録層を形成した面とは反対の面に、接着剤又は接着層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。」
(7)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、前記第(4)項又は第(5)項に記載の情報記録部を有する部材、又は前記第(6)項に記載の可逆性感熱記録ラベルにおいて、その可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。」
(8)「サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする前記第(7)項に記載の画像処理方法。」
(9)「サーマルヘッドまたはセラミックヒーターを用いて画像を消去することを特徴とする前記第(7)項に記載の画像処理方法。」
【発明の効果】
【0011】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記特定のフェノール化合物を顕色剤として用いた可逆性感熱記録層を有することから、高速消去性に優れるとともに、繰り返し耐久性にも優れるものであり、さらに、低温低湿下での高速消去性に優れるものである。
また、本発明は、上記可逆性感熱記録層を含む情報記録部を有するカード等の部材、可逆性感熱記録ラベルを提供することができ、さらにこれらの画像処理法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で用いられる顕色剤のフェノール化合物は新規化合物であり、その好ましいフェノール化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
本発明の前記一般式(1)で表わされるフェノール化合物は、新規化合物であり、次に示す方法などにより製造することができる。
【0018】
【化6】


【0019】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。本発明に用いられる発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色・消色現象を説明する。
図1はこの記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度Tで発色が起こりロイコ染料と顕色剤とが溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度Tで消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0020】
本発明の可逆性感熱記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0021】
本発明で用いるフェノール系顕色剤が発色性に優れる理由は明らかではないが、長鎖アルキル基をもつ顕色剤はロイコ染料との加熱溶融時の相溶性が比較的悪いため、染料との発色状態を作りにくくなる傾向があるが、会合性のジアシルヒドラジン基を炭化水素鎖の適切な場所に配置することにより、加熱溶融時のロイコ染料との相溶性が向上して、発色性が良好になると考えられる。一方、低温低湿での消去性が良い理由は、消去は顕色剤分子の結晶化によってロイコ染料との分離して起きるため、低温低湿環境といった条件でも顕色剤分子が動きやすいことが重要であり、末端の長鎖アルキル鎖長が8以上、好ましくは10以上であることにより、動きやすくなるため低温低湿環境での消去性に優れると考えられる。
【0022】
本発明の発色画像の形成は、サーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度または結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組み合わせにより変化する。
このように感熱記録層は加熱温度および/または加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この感熱記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。
【0023】
本発明において用いられるロイコ染料としては、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる全ての化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0024】
本発明において用いられるロイコ染料の具体例としては、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド等が挙げられる。
【0025】
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化するが、概ねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し好ましくない。また、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0026】
本発明の感熱記録層には、必要に応じて塗布特性や消色性、画像安定性等の発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、発色消色制御剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。消色促進剤として好ましくは、ヘテロ原子を含む2価の基と炭素数8以上のアルキル鎖を有する化合物であったり、N,N′−2置換基のアミド基を有する化合物であったりするが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0027】
本発明の感熱記録層に用いられる樹脂(バインダー樹脂)としては、従来公知の樹脂が広く用いられるが、中でも繰り返し耐久性の点から架橋可能な樹脂が好ましく用いられ、例えば水酸基を有した樹脂をイソシアネート系架橋剤で硬化した樹脂などが特に好ましく用いられる。
【0028】
本発明で用いられる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエンのようなオレフィン系ポリマー;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(イソボルニルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシブチルアクリレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(sec−ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソボルニルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシブチルメタクリレート)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの共重合体のようなアクリル系ポリマー;ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(4−メトキシスチレン)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体のようなスチレン系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)のようなビニル系ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンのようなフッソ系ポリマー;ニトロセルロース、セルロ−スアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロースのようなセルロース系ポリマー;ポリテトラヒドロフラン;イソブチレンー無水マレイン酸共重合体;ポリイソブチルエーテル;;ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリ(2,6−ジメチル−p−フエニレンオキサイド)、ポリイミドポリアミドイミド、ポリエーテルイミドのようなエンジニアリングプラスチックス;ポリウレタン;ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩のような水溶性ポリマー;天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムのようなゴム系ポリマーなどが挙げられ、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0029】
また、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などを架橋剤とともに用いることも好ましい。紫外線吸収構造を有するポリマーを単独、または上記の樹脂を必要に応じて2種以上併用することもできる。
【0030】
感熱記録層中の発色成分と樹脂の重量割合は、発色成分1に対して0.1から10が好ましく、これより少ないと感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下し好ましくない。
【0031】
感熱記録層の形成には、顕色剤、発色剤、種々の添加剤、バインダー樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散または溶解させて調製した塗液を用いる。
塗液調製はペイントシェイカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。また、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷または除冷によって析出させても良い。
【0032】
感熱記録層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
感熱記録層の層厚は、通常5〜15μmである。
【0033】
感熱記録層上に保護層を形成しても良く、また、感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による感熱記録層の変質防止、保護層に含まれる材料が感熱記録層へ移行する、あるいは、感熱記録層に含まれる材料が保護層へ移行することを防止する目的で、両者の間に中間層を設けても良い。中間層に用いられる樹脂は、前記の感熱記録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
【0034】
中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法等は上記感熱記録層で用いられる公知の方法を用いることができる。
【0035】
また、本発明に用いられる保護層の樹脂は、前記の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子硬化樹脂などが用いられる。
保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0036】
記録層、中間層、保護層にフィラー、滑剤などを添加しても良い。
また、耐光性改良のため、中間層または保護層中に紫外線吸収剤を用いてもよい。紫外線吸収剤としては紫外線吸収構造を有するポリマー、有機低分子紫外線吸収剤、無機微粒子などが用いられる。
【0037】
本発明において、感熱記録層、中間層、保護層等の形成における乾燥・硬化方法は、塗布・乾燥後、必要に応じて硬化処理を行なう。高温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、また比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。
【0038】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、感熱記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、好ましくは60〜150μmで、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。
【0039】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、上述した可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の感熱層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたものである。この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0040】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
次に、情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部として上述の可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層からなる部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、可逆性感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記録部を有する部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
これら(1)、(2)、(3)場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば情報記憶部の設定位置は、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と可逆性感熱記録層との間でも、あるいは可逆性感熱記録層上の一部に設けることもできる。
この情報記録部を有する部材として用いられるものは、特に限定されないが、一般的にはカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットがある。
【0042】
これらの例として次のようなものを挙げることができる。
ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等、この可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0043】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
【0044】
前記(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる。こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、IC カードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0045】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM 等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0046】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
【0047】
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを、剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0048】
本発明は、さらに、上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法を提供する。
画像の形成には、サーマルヘッド、レーザ等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等やサーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。セラミックヒータの設定温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましい。
【0049】
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。オーバーライト方式では、形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【実施例】
【0050】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中、部又は%とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
【0051】
(顕色剤のフェノール化合物の合成)
合成例1
N’−(デカノイルアミノ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン−1,6−ジアミドの合成
【0052】
【化7】

先ず、5−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ペンタン酸ヒドラジドの合成を次のようにして行なった。
攪拌機を付けた500mlのフラスコ内にp−アミノフェノール16.4g、アジピン酸モノエチル26.1g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物25.2g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド21.2g及びテトラヒドロフラン(THF)320gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、メタノールから再結晶し白色固体27gを得た。攪拌機を付けた100mlのフラスコ内に、この白色固体26.5g、ヒドラジン一水和物50gを仕込み10時間加熱還流した。反応終了後、結晶物を濾取し水洗、乾燥後、IPAから再結晶し、5−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ペンタン酸ヒドラジド15gを得た。
次に攪拌機を付けた500mlのフラスコ内に、上記5−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ペンタン酸ヒドラジド12.6g、デカン酸8.6g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物8.4g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド7.1g及びTHF250gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、IPAから再結晶し、前記構造式で表わされる目的物12gを得た。融点は245℃である。
元素分析(C2235として(MW:405.5))
【0053】
【表1】

赤外吸収スペクトルで1657cm−1に第二アミド基のC=O伸縮振動、1599cm−1にジアシルヒドラジン基のC=Oの伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0054】
合成例2
N’−(デカノイルアミノ)−N−(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン−1,12−ジアミドの合成
【0055】
【化8】

先ず、11−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ウンデカン酸の合成を次のようにして行なった。
攪拌機を付けた1000mlのフラスコ内にp−アミノフェノール10.9g、ドデカン二酸モノエチル25.8g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物16.8g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド14.1g及びテトラヒドロフラン(THF)450gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、IPAから再結晶した。この結晶を水酸化ナトリウム16.0gを溶解させた90%エタノール水溶液600mlでケン化分解後、36%塩酸で酸性とし、結晶物を濾取し水洗、乾燥後、IPAから再結晶し、11−[N−(デカノイルアミノ)カルバモイル]ウンデカン酸20gを得た。
次に攪拌機を付けた500mlのフラスコ内に、上記11−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ウンデカン酸16.1g、カプリン酸ヒドラジド9.3g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物8.4g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド7.1g及びTHF250gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、IPAから再結晶し、前記構造式で表わされる目的物15gを得た。融点は211℃である。
元素分析(C2847として(MW:489.7))
【0056】
【表2】

赤外吸収スペクトルで1656cm−1に第二アミド基のC=O伸縮振動、1598cm−1にジアシルヒドラジン基のC=Oの伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0057】
合成例3
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−(オクタデカノイルアミノ)ドデカン−1,12−ジアミドの合成
【0058】
【化9】

先ず、11−[N−(オクタデカノイルアミノ)カルバモイル]ウンデカン酸の合成を次のようにして行なった。
攪拌機を付けた1000mlのフラスコ内にステアリン酸ヒドラジド29.9g、ドデカン二酸モノエチル25.8g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物16.8g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド14.1g及びテトラヒドロフラン(THF)600gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、IPAから再結晶した。この結晶を水酸化ナトリウム16.0gを溶解させた90%エタノール水溶液600mlでケン化分解後、36%塩酸で酸性とし、結晶物を濾取し水洗、乾燥後、IPAから再結晶し、11−[N−(オクタデカノイルアミノ)カルバモイル]ウンデカン酸30gを得た。
次に攪拌機を付けた500mlのフラスコ内に、上記11−[N−(オクタデカノイルアミノ)カルバモイル]ウンデカン酸25.5g、p−アミノフェノール5.5g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物8.4g、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド7.1g及びTHF350gを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、結晶物を濾取し、IPAから再結晶し、前記構造式で表わされる目的物20gを得た。融点は204℃である。
元素分析(C3663として(MW:601.9))
【0059】
【表3】

赤外吸収スペクトルで1657cm−1に第二アミド基のC=O伸縮振動、1601cm−1にジアシルヒドラジン基のC=Oの伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0060】
実施例1
[感熱記録層の作成]
2−アニリノ−3−メチル−6ジエチルアミノフルオラン 2部
下記の構造式で表わされる顕色剤 8部
【化10】


アクリルポリオール樹脂の15%テトラヒドロフラン(THF)溶液
150部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)20部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の感熱記録層塗布液を、厚さ100μの白PETフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの記録層を設けた。
【0061】
[保護層の作成]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7ー157) 15部
酢酸エチル 85部
上記組成物を、よく溶解攪拌し保護層塗布液を調製した。上記組成の保護層塗布液を、上記感熱記録層上にワイヤーバーを用いて塗工し90℃1分で乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0062】
実施例2
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0063】
【化11】

【0064】
実施例3
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0065】
【化12】

【0066】
比較例1
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0067】
【化13】

【0068】
比較例2
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0069】
【化14】

【0070】
比較例3
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0071】
【化15】

【0072】
各実施例及び比較例で作製した可逆性感熱記録媒体について、下記の試験を評価した。評価結果を表4に示す。
(試験1)発色/消色試験
作製した記録媒体を八製作所製感熱印字装置を用い、パルス幅2msecで電圧20Vの条件で印字試験を行ない、記録媒体を発色させ発色画像を得た。発色濃度マクベス濃度計RD914にて測定した。
次に、上記の発色画像上にパルス幅2msecで電圧7〜15V(0.5V刻み)でエネルギーを印加し、最も消色した濃度を測定した。以上の結果を表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
比較例4
実施例1の記録層中に用いた顕色剤の代わりに下記の構造式で表わされる顕色剤を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0075】
【化16】

【0076】
(試験2)環境試験
実施例3及び比較例4で作成した記録媒体を、5℃30%の低温低湿環境で、パナソニックコミニュケーションズ製カードプリンターR3000を用いて発色画像を形成した後、同一の環境でプリンターのパルス幅を変えて消去を行ない、消色濃度を評価した。以上の濃度を同様に測定した。評価結果を表5に示す。
【0077】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性(発色・消色現象)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、前記電子受容性化合物として下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】

(式中、nは8以上の整数を示し、mはnの1/3よりも大きい整数を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表わされるフェノール化合物において、nが10以上であるフェノール化合物を用いたことを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
前記可逆性感熱記録層中に架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層からなるものであることを特徴とする情報記録部を有する部材。
【請求項5】
前記情報記録部を有する部材がカード、ディスク、ディスクカートリッジまたはテープカセットのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の情報記録部を有する部材。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の、可逆性感熱記録層を形成した面とは反対の面に、接着剤又は接着層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、請求項4又は5に記載の情報記録部を有する部材、又は請求項6に記載の可逆性感熱記録ラベルにおいて、その可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
サーマルヘッドまたはセラミックヒーターを用いて画像を消去することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。



【図1】
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【公開番号】特開2006−76120(P2006−76120A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262286(P2004−262286)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】