説明

可逆性感熱記録材料

【課題】高温環境下でも経時的に安定な画像を保持し、発色性および消色性に優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】支持体上に通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該可逆性感熱記録層が、一般式(1)で表される可逆性顕色剤を含有すると共に、一般式(2)で表される直鎖状アミン化合物を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを制御することにより色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録材料に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一時的な画像の形成が行え、不要となった時にはその画像の消去ができるようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。可逆性感熱記録材料としては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性を有する顕色剤(以下、可逆性顕色剤とも言う)を用いた感熱記録材料(例えば特許文献1、2参照)、塩化ビニル−酢酸ビニル等の樹脂中に高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱記録材料、屈折率の異なるポリマーを2種以上混合した感熱記録材料等が知られている。
【0003】
通常無色ないし淡色の染料前駆体と可逆性顕色剤から構成される可逆性感熱記録材料において、可逆性顕色剤として有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸、没食子酸アルキルエステル、アスコルビン酸誘導体などの化合物が例示されている(例えば特許文献3参照)。しかし、この記録媒体では発色濃度が低く、消色が不完全という2つの問題を同時に解決することができず、高温環境下での画像保存性においても実用上満足すべきものにない。
【0004】
一方、可逆性顕色剤として長鎖アルキル基を有するフェノール化合物が有効であること
が見出され、実用性の高い可逆性感熱記録材料として提案されている(例えば、特許文献
4参照)。このような記録材料によれば、高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能であり、ICカードや磁気カード等の媒体において、カード内の情報を可視化する目的で広く使われるようになってきた。こうした可逆性感熱記録材料に特定の消去促進剤を添加することにより、高速消去特性が得られることが提案されているが、消去性、高温環境下での画像保存性が不十分等の問題を有している(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
また、可逆性感熱記録材料に消色調節剤としてアミン化合物、アミド化合物、アンモニウム化合物、イミド化合物、ホスホニウム化合物、カルボン酸ヒドラジド化合物、あるいはスルホニウム化合物を含有することにより消去性が良好な可逆性感熱記録材料が得られる(例えば、特許文献6、7参照)が、こうした可逆性感熱記録材料においても、依然として高温環境下での画像保存性は不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−210954号公報
【特許文献2】特開2000−263946号公報
【特許文献3】特開平5−124360号公報
【特許文献4】特開2005−1127号公報
【特許文献5】特開2000−313171号公報
【特許文献6】特開2000−263945号公報
【特許文献7】特開2001−162941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、高温環境下でも経時的に安定な画像を保持し、発色性および消色性に優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく可逆性感熱記録材料の感熱記録層の構成について検討した結果、下記の発明により上記の課題が解決されることを見出した。
【0009】
支持体上に通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該可逆性感熱記録層が、下記一般式(1)で表される可逆性顕色剤を含有すると共に、下記一般式(2)で表される直鎖状アミン化合物を含有する可逆性感熱記録材料。
【0010】
【化1】

【0011】
一般式(1)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基を、Xはアミド基または尿素基を表す。
【0012】
【化2】

【0013】
一般式(2)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基を、RおよびRは水素原子またはメチル基を表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、高温環境下でも経時的に安定な画像を保持し、発色性および消色性に優れた可逆性感熱記録材料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の可逆性感熱記録材料について詳細に説明する。本発明の可逆性感熱記録材料は、支持体の少なくとも片面に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる上記一般式(1)で表される可逆性顕色剤とを含有してなる感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、上記一般式(2)で表される直鎖状アミン化合物を含有することを特徴とする。上記一般式(1)と(2)で表される化合物を併せて用いると、高温環境下に保存した場合の画像部の耐熱保存性が良好な可逆性感熱記録材料を得ることができる。
【0016】
本発明の可逆性感熱記録材料において、可逆性顕色剤は、その構造の中に比較的長鎖の炭化水素基を持つため、染料前駆体との相溶性が低く、常温では互いにほとんど溶け合わないと考えられる。また、加熱溶融状態のように染料前駆体と可逆性顕色剤が自由に運動できる状態では、染料前駆体と可逆性顕色剤は互いにある割合で溶け合い、発色状態となる。発色している溶融状態の混合物をゆっくり冷却すると、降温するに従い可逆性顕色剤と染料前駆体は互いに溶け合わなくなり相分離し、消色する。一方、急速に冷却を行うと、相分離する前に固化するため、発色状態が安定に保持される。
【0017】
本発明に係わる一般式(2)の化合物(直鎖状アミン化合物)は、可逆性顕色剤内の直鎖状アルキル基同士の相互作用すなわち結晶化を阻害し、高温環境下においても発色状態が安定に保持されると考えられる。
【0018】
本発明の可逆性感熱記録材料は可逆性感熱記録層に可逆性顕色剤として一般式(1)で表されるフェノール化合物を含有する。
【0019】
【化3】

【0020】
一般式(1)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基を表す。好ましくは22〜24である。22より少ないと消色性が悪化する。32より多いと画像部の耐熱保存性が十分ではなく高温環境下での使用が制限され、温風消去時の消去速度が遅くなる。Xはアミド基(−CONH−、−NHCO−)または尿素基(−NHCONH−)を表す。
【0021】
以下に、一般式(1)で表される可逆性顕色剤の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]イコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ヘンイコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ドコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]トリコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]テトラコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ペンタコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ヘキサコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ヘプタコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]オクタコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ノナコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]トリアコンタンアミド。
【0023】
N−イコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ヘンイコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−トリコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−テトラコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ペンタコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ヘキサコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ヘプタコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−オクタコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ノナコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−トリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド。
【0024】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−イコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘンイコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ドコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−トリコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−テトラコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ペンタコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘキサコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘプタコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−オクタコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ノナコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−トリアコンチル尿素。
【0025】
以下に、一般式(1)で表される可逆性顕色剤の合成例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
(合成例)
<可逆性顕色剤;N−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド>
3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2.5g、ベヘニルアミン6.6g、1−ヒドロキシベントトリアゾール0.4g、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド2.3g、テトラヒドロフラン300mlを反応容器内に仕込み、1時間加熱環流した。反応液を室温まで冷却後、析出した結晶を濾別し、メタノールで洗浄した。メタノールを用いて再結晶することにより化合物を得た。収量7.8gであった。融点は107℃であった。
【0027】
本発明に係わる可逆性顕色剤の使用量は、染料前駆体に対して5〜5000質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜3000質量%である。
【0028】
本発明の可逆性感熱記録材料は可逆性感熱記録層に一般式(2)で表される化合物を含有する。
【0029】
【化4】

【0030】
一般式(2)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基である。好ましくは22から24である。20より少ないと耐熱保存性が十分ではなく高温環境下での使用が制限される。32より多いと消去時の消去速度が遅くなる。RおよびRは水素原子またはメチル基を表し、RおよびRは同じであっても異なっていても良い。
【0031】
また、可逆性顕色剤と一般式(2)で表される化合物のアルキル鎖長バランスも重要となる。可逆性顕色剤のアルキル鎖の方が長ければ、消色性が向上し、一般式(2)で表される化合物のアルキル鎖の方が長ければ、画像部の耐熱保存性が向上する。両者のアルキル鎖の炭素数差は0〜8以内であることが好ましく、より好ましくは0〜4以内、さらに好ましくは0〜2以内である。この範囲外だと、耐熱保存性と消色性の均衡性が保持できなくなる場合がある。
【0032】
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、ペンタコシルアミン、ヘキサコシルアミン、ヘプタコシルアミン、オクタコシルアミン、ノナコシルアミン、トリアコンチルアミン、イコシルメチルアミン、ヘンイコシルメチルアミン、ドコシルメチルアミン、トリコシルメチルアミン、テトラコシルメチルアミン、ペンタコシルメチルアミン、ヘキサコシルメチルアミン、ヘプタコシルメチルアミン、オクタコシルメチルアミン、ノナコシルメチルアミン、トリアコンチルメチルアミン、イコシルジメチルアミン、ヘンイコシルジメチルアミン、ドコシルジメチルアミン、トリコシルジメチルアミン、テトラコシルジメチルアミン、ペンタコシルジメチルアミン、ヘキサコシルジメチルアミン、ヘプタコシルジメチルアミン、オクタコシルジメチルアミン、ノナコシルジメチルアミン、トリアコンチルジメチルアミン等が挙げられる。
【0034】
本発明に係わる画像部の一般式(2)で表される化合物は、1種で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。可逆性顕色剤に対する使用量は0.001〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。0.001質量%より少ないと画像部の耐熱保存性が十分ではなく高温環境下での使用が制限される場合がある。20質量%より多いと発色濃度の低下、消色不良の問題が発生し、さらに貼り合わせカードを製造するための熱プレス実施時に、融点以上の温度で処理した場合に外観に問題が発生する場合がある。
【0035】
本発明に係わる一般式(2)で表される化合物は、可逆性顕色剤の原料であり、可逆性顕色剤合成時に残留するため、顕色剤合成時に洗浄、再結晶化せずに残存させておくのも良い。この場合、本発明の一般式(2)で表される化合物の残存率は、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法、NMR法等で測定することができる。
【0036】
本発明の可逆性感熱記録材料は、消去性を向上させる目的で消去促進剤を添加することが好ましい。以下に好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
1,1−ジメチル−4−ドデシルセミカルバジド、1,1−ジメチル−4−オクタデシルセミカルバジド、1,1−ジエチル−4−イコシルセミカルバジド、1,1−ジプロピル−4−テトラコシルセミカルバジド、1,1−ジエチル−4−ノナコシルセミカルバジド、1−メチル−1−プロピル−4−ヘキサトリアコンチルセミカルバジド。
【0038】
N−(1−ピロリジニル)−N′−ドデシル尿素、N−〔1−(3−メチル)イミダゾリオ〕−N′−テトラデシル尿素、N−(1−ピラゾリル)−N′−オクタデシル尿素、N−(3−チアゾリジニオ)−N′−オクタデシル尿素、N−(1−ピロリル)−N′−イコシル尿素、N−(1−イミダゾリル)−N′−テトラコシル尿素、N−(1−ピロリジニル)−N′−ノナコシル尿素、N−(1−ピロリル)−N′−ヘキサトリアコンチル尿素。
【0039】
N−(1−ピペリジル)−N′−ドデシル尿素、N−(1−ピペリジル)−N′−テトラデシル尿素、N−〔1−(2,6−ジメチル)ピペリジル〕−N′−ペンタデシル尿素、N−(4−モルホリニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−モルホリニル)−N′−イコシル尿素、N−〔4−(2,6−ジメチル)モルホリニル〕−N′−テトラコシル尿素、N−(4−チオモルホリニル)−N′−ヘキサコシル尿素、N−〔1−(4−メチル)ピペラジニル〕−N′−ノナコシル尿素、N−〔1−(4−メチル)ピペラジニル〕−N′−トリアコンチル尿素、N−(1−ピペラジニル)−N′−ヘキサトリアコンチル尿素、N−(1−(4−メチル)ピペラジニル)−N′−オクタデシル尿素。
【0040】
本発明に係る消去促進剤の使用量は、染料前駆体に対して0.05〜1000質量%、好ましくは0.05〜500質量%、より好ましくは0.1〜200質量%である。染料前駆体に対して消去促進剤が少なすぎると消去性(消去促進性)が悪化しやすく、逆に消去促進剤が多すぎると希釈効果により発色濃度が低下しやすい。
【0041】
さらに、本発明の可逆性感熱記録材料が含有する通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコ染料等が好適に挙げられる。ロイコ染料としては、フルオラン化合物、アザフタリド化合物を好適に用いることができる。以下、染料前駆体の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−アミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−イソアミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン。
【0043】
2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(m−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トルイジノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン。
【0044】
2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(ジ−n−プロピルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン。
【0045】
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−[4−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フェニル]−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド。
【0046】
3−(p−トルイジノ)−2−メチル−8−ジプロピルアミノフルオラン、3−(p−トルイジノ)−2−メチル−8−ピロリジノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ビス(p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン。
【0047】
2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−n−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジ−n−プロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジ−n−プロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン。
【0048】
2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン。
【0049】
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン。
【0050】
0
これらの染料前駆体は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良く、他の色調に発色する染料前駆体を混合することにより調色も行うことができる。また、異なる色調に発色する層を積層したり、平面上に並べたりすることによって、多色可逆性感熱記録材料、フルカラー可逆性感熱記録材料とすることもできる。染料前駆体は、マイクロカプセル化、樹脂被覆化、樹脂との複合粒子化等の処理がなされていても良い。
【0051】
本発明に係わる支持体としては、紙、不織布・織布・編物等の布帛、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、合成紙、金属板、金属箔、ガラス、石英ガラス、シリコン樹脂、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等、あるいはこれらを組み合わせた複合体を目的に応じて任意に用いることができる。本発明に用いることができるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、アクリル(系)樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。力学的強度、平滑性、耐水性、耐溶剤性、耐熱性の点でポリエステルフィルムが好ましい。これらの合成樹脂材料は単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0052】
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリキシリレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のフィルムが挙げられる。好ましいポリエステルフィルムとしては、強靱性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、透明性、電気絶縁性に優れるPETフィルムまたはPENフィルムが挙げられる。
【0053】
支持体は、不透明、半透明あるいは透明のいずれであっても良い。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中または表面に含有させても良い。支持体上に可逆性感熱記録層等の塗層を設ける場合の親和性が低い時には、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理等により支持体表面に対して改質処理を施しても良い。本発明に係わる支持体としては、形状、構造、大きさ等については、特に制限はない。形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられる。構造としては、単層構造でも積層構造でも良く、大きさとしては、可逆性感熱記録材料の用途に応じて適宜選択することができる。
【0054】
本発明に係わる支持体の厚みは、可逆性感熱記録材料の用途に応じて適宜選択することができるが、10〜2000μmが好ましく、20〜1000μmがより好ましい。
【0055】
本発明に係わる可逆性感熱記録層は、支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも染料前駆体、可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層塗液を塗工・製膜することによって形成される。染料前駆体、可逆性顕色剤を可逆性感熱記録層塗液に含有させるための方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し、均一化した後に冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いても良い。
【0056】
溶媒または分散媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、スチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が使用できる。
【0057】
可逆性感熱記録層の強度を向上させる等の目的で、可逆性感熱記録層にバインダー樹脂を添加することも可能である。バインダー樹脂の具体例としては、澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸3元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらのバインダー樹脂の役割は、可逆性感熱記録層中に含まれている各素材が画像記録や画像消去の熱印加によって、片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。従って、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。耐熱性、耐水性、接着性が要求される場合、硬化性樹脂は特に好ましい。
【0058】
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を適用する場合は架橋剤を含む液を塗工、製膜した後に熱により架橋させて用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびポリオール樹脂等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール化合物をイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂であることが好ましい。
【0059】
電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂に用いられるオリゴマー・モノマーとしては、種類も多く優れた放射線硬化特性を有するアクリル系オリゴマー・モノマーの他、ポリエン−チオール系オリゴマー・モノマー、光カチオン重合型エポキシオリゴマー・モノマー等が挙げられる。アクリル系モノマーは単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
【0060】
アクリル系オリゴマー・モノマーの例としては、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート等が挙げられる。
【0061】
本発明に係わる可逆性感熱記録層において、好ましいバインダー樹脂であるポリオール化合物とイソシアネート化合物との架橋により形成されるバインダー樹脂について説明する。ポリオール化合物としては、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキドポリオール、カプロラクタンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。
【0062】
ポリ(メタ)アクリルポリオールとは、アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらのエステルの共重合体であって、水酸基を含むものをいい、水酸基を含む共重合成分としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール等が用いられる。アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらのエステル以外の共重合成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリルアミド、メタアクリルアミドおよびその誘導体、酢酸ビニル、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0063】
また、ポリエステルポリオールとは、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物のうち水酸基を有するものをいい、これらに使用される多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多塩基酸、シュウ酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルこはく酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、ダイマ酸等の脂肪族多塩基酸があり、これらの多塩基酸から得られる酸無水物も同様に用いられる。
【0064】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジアセトングリコール、ヘキサントリオール等の低分子量ポリオールの他、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の高分子量ポリオールも用いられる。これらから得られるポリエステルポリオールの他、ヒドロキシカルボン酸、もしくはその環状ラクトンの縮合物もしくは開環重合、例えばポリブチロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリオールや、前記多塩基酸と多価アルコールに加え高級脂肪酸の3種を縮合して得られるアルキドポリオール等がある。ポリエーテルポリオールとは、主鎖がエーテル結合からなる高分子であって、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリチレングリコールの他これらの分岐状エステル等がある。
【0065】
ポリエーテルポリオールとしては、上記多価アルコールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。シリコーンポリオールとしては、分子中にシロキサン結合を有し、かつ末端が水酸基を有するシリコーンオイル類等が挙げられる。
【0066】
その他にも、水酸基含有のフルオロオレフィンのようなフッ素含有ポリオール、ポリオール水酸基末端のポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリウレタン等が利用できる。さらには、低分子量のポリオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサジオール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の脂肪族、脂環族、芳香族多価アルコールもしくは多価フェノールまたはこれらの縮合物を反応性希釈剤として用いられる。
【0067】
本発明に係わるポリオール化合物としては、添加物分散性、塗工性、接着性、耐熱性および皮膜強度等の総合評価から、カプロラクタンポリオールおよびポリエステルポリオールが好ましい。本発明に係るポリオール化合物は単独で1種、またはポリオール部分やそれ以外の部分構造の異なる、もしくは分子量等の異なる他の1種以上のポリオール化合物と併用しても良い。
【0068】
本発明に係わるイソシアネート化合物としては、公知のものが使用できる。例えば、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、水添XDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族もしくは脂環族ジイソシアネートおよびこれらの誘導体であるポリオール付加物、ビュレット体3量体である3官能以上のポリイソシアネートの他、イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマーが挙げられる。本発明においては、イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネートやトルエンイソシアネートを用いると発色濃度の向上により好ましく、さらには、地肌の白色度の高いキシリレンジイソシアネート(三井化学製タケネートD−110N等)を使用するとより好ましい。
【0069】
本発明に係わるイソシアネート化合物は、1種以上のポリオール化合物に対して、単独で1種または2種以上のイソシアネートと併用しても良い。イソシアネート化合物およびポリオール化合物を共に複数種用いる場合は、その組み合わせは任意で良い。
【0070】
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の混合物は、それぞれが液状の場合はそのままの混合物で用いても良いが、さらにポリイソシアネート化合物と非反応性の溶剤で希釈して使用することもできる。使用できる溶剤としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を溶解し、かつ染料前駆体や可逆性顕色剤を分散・溶解させるものが好ましい。具体的には、染料前駆体および可逆性顕色剤を可逆性感熱記録層塗液に含有させるための方法で例示した溶剤が使用できる。中でも、ポリイソシアネート化合物と反応性のある活性水素を有しない有機溶媒を用いることが好ましい。また、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の架橋反応は、反応温度30〜160℃、反応時間1分〜120時間で行えば良い。なお、反応温度が低い場合は長時間を要し、高温では短時間で済むことは言うまでもない。
【0071】
本発明に係わる可逆性感熱記録層におけるバインダー樹脂の使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する該バインダー樹脂の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下する場合がある。逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度の低下、層の変形、発色濃度の低下が起きる場合がある。可逆性感熱記録層における該バインダー樹脂の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下が特に好ましい。
【0072】
可逆性感熱記録層塗液には、必要に応じて、塗工性の向上あるいは記録特性の向上を目的に、レベリング剤、分散剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、消色調整剤、酸化防止剤、老化防止剤、フィラー、顔料、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色染顔料、蛍光増白剤、熱可融性物質、防腐剤等を可逆性感熱記録層に含有させることができる。さらに、必要に応じて、可逆性感熱記録層の消色調節剤として熱可融性物質を加えることができる。
【0073】
可逆性感熱記録層に硬化性樹脂が含有されている場合、加熱、紫外線照射、電子線照射を行う。紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプ等が挙げられる。光源の波長は、光重合開始剤および光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。紫外線照射の出力や搬送速度は、紫外線硬化性樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じて決定される。
【0074】
可逆性感熱記録層の消色性を向上させる目的で添加される消色調整剤としては、60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができる。
【0075】
可逆性感熱記録層の老化を防止する目的で添加される老化防止剤としては、p,p′−ジアミノジフェニルメタン、アルドール−α−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン化合物、安息香酸エステル類等が挙げられる。その他、o−フェニレンチオ尿素、2−アミノベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルチオカルバミン酸ニッケル、酸化亜鉛、パラフィン等が挙げられる。また、これらの老化防止剤構造を有するモノマーを重合の一成分として含むポリマーや、ポリマー主鎖に老化防止剤構造をグラフト化したものも用いることができる。2種類以上の老化防止剤を組み合わせて用いることもできる。
【0076】
可逆性感熱記録層に添加することができる顔料等としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、およびゼオライト、シリカ、カオリン、焼成カオリン、タルク等の粘土類を含む無機系顔料、澱粉、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が使用可能である。また、滑剤としてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩等を使用することができる。
【0077】
本発明に係る可逆性感熱記録層の膜厚は、その組成と所望の発色濃度により決定されるものであり、具体的には、0.5〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。
【0078】
繰り返し使用時の耐久性を高める目的で、可逆性感熱記録層の上に保護層を設けることが好ましい。保護層は、単層でも、2層または3層以上の複数の層から構成されていても良い。保護層は、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含有していることが好ましく、特に電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、可逆性感熱記録層で使用可能なバインダー樹脂として例示した樹脂が使用できる。また、さらに耐久性を高める、あるいは光沢度を調整する目的で顔料を配合したり、滑剤として高級脂肪酸金属塩等を配合したりしても良い。顔料、高級脂肪酸金属塩としては、可逆性感熱記録層で例示した化合物が使用可能である。
【0079】
保護層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。膜厚が10μmを超えると効果が飽和するばかりか、可逆性感熱記録層の感度が低下しやすい。膜厚が0.1μmより小さいと予期した塗層強度が得られにくく、塗層に傷が入りやすくなる。
【0080】
本発明において、画像保存性向上等を目的に可逆性感熱記録層と保護層の間に中間層を設けたり、発色感度向上等を目的に支持体と可逆性感熱記録層の間にアンダーコート層を設けたり、光反射層や空気層を設けても良い。中間層には紫外線吸収剤を含有しても良い。また、支持体の片面のみに可逆性感熱記録層を設ける場合、もう一方の面にバックコート層を設けても良い。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等を挙げることができる。アンダーコート層には中空粒子を含有しても良い。これらの層は、単層でも、2層以上の複数の層から構成されていても良い。また、これらの層は熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含有していることが好ましい。
【0081】
本発明において、支持体上に設けられた保護層、中間層、アンダーコート層等には、必要に応じて、レベリング剤、分散剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、フィラー、着色染顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、pH調節剤、消泡剤、顔料、滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0082】
本発明の可逆性感熱記録材料には、オフセット印刷、グラビア印刷等の印刷;インクジェット記録層、熱転写受像層、昇華型熱転写受像層等の印字記録層を設けても良い。これらの印刷、印字記録層は、可逆性感熱記録層と積層して設けても良いし、可逆性感熱記録層と同一面の一部に設けても良い。また、可逆性感熱記録層を設けた面と反対側の面の一部または全面に設けても良い。印字記録層上に部分的にまたは全面的に硬化性樹脂を主成分とするオーバープリントニス(OPニス)層等を設けても良い。
【0083】
本発明の可逆性感熱記録材料において、可逆性感熱記録層中、他の層、可逆性感熱記録層が設けられている面や反対側の面等に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料が含まれていても良い。また、支持体を複層とし、その間にICチップを挟んでも良い。また、帯電防止を目的として帯電防止層を片面または両面に設けることもできる。本発明の可逆性感熱記録材料は、粘着層等を介して、または支持体として熱融着性樹脂を用いて、他の媒体へ貼り付けることもできる。
【0084】
可逆性感熱記録材料の層間にICチップを封入する場合は、例えば、プラスチックフィルムの層間または紙基材とプラスチックフィルムの層間に封入することができる。好ましくは、可逆性感熱記録層から離れた層間に封入することが印字品質の点で好ましい。非接触のICチップを封入する場合は、アンテナと共に封入することができる。封入する際の圧力によりICチップが破損することを防ぐ目的で、クッション層を設けることができる。クッション層の厚みとしては、10μmに満たないとクッション性が不十分であるため10μm以上が好ましい。また、ICチップとアンテナとの接合部に負荷がかかるため、クッション層の面積はICチップとアンテナ接合部を十分覆い隠せる大きさが好ましい。クッション層は、片面もしくは両面に設けることができる。両面にクッション層を設けることがより好ましい。クッション層としては、熱可塑性の樹脂が好ましく。発泡樹脂であれば、よりクッション性が良いため、ICチップの破損を防ぐことができる。
【0085】
本発明における各層を支持体上に積層し、可逆性感熱記録材料を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアロールおよびトランスファロールコーター、ロールコーター、コンマコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、スライドコーター、ダイコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、紫外線照射または電子線照射により、さらには加熱等によるエージング等により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗布、印刷することができる。
【0086】
本発明の可逆性感熱記録材料において、発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消去を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロック等を押し当てるなどして急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却するため、発色状態を保持させることができる。一方、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーター、およびタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱されるために熱源を除いても冷却する速度が遅いため消色状態になる。従って、同じ加熱温度、同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0087】
加熱に使用するレーザーとしては、半導体レーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。半導体レーザー、YAGレーザーよる加熱を効率よく行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、例えば白金、チタン、ケイ素、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属または半金属の層、インモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物、ポリメチン化合物等の光熱変換色素が挙げられ、可逆性感熱記録層に分散状態または分子状態で含有することができる。好ましい光熱変換色素としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性、紫外光に対する耐光性の点でフタロシアニン化合物および金属錯体化合物が挙げられ、特にフタロシアニン化合物が好ましい。可逆性感熱記録層に近接して光熱変換層を設ける場合は、銅薄膜やITO等の金属膜による光熱変換層を用いることもできる。
【0088】
フタロシアニン化合物の例としては、ナフタロシアニン化合物、無金属フタロシアニン化合物、鉄フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、ニッケルフタロシアニン化合物、バナジルフタロシアニン化合物、塩化インジウムフタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物等が好ましく、より好ましくは、バナジルフタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物である。本発明に用いられるフタロシアニン化合物は吸収波長の調節、溶媒への溶解度の向上、耐光性の改良等の目的で、芳香環に置換基を有しても良い。置換基としては、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミド基、アミノ基、アルキルエステル基、アリールエステル基、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。芳香環に置換基が二つ以上ある場合に、それらは同一であっても異なっていても良く、また置換基同士が結合して環を形成しても良い。
【0089】
光熱変換色素の使用量は、使用する光源の発振波長における吸光度が0.2以上になるように設定することが好ましい。この量より少ないと十分な発熱が得られず、記録感度が低下する。一方、光熱変換色素は可視部にも若干の吸収を有しており、使用量が多すぎるとコントラストの低下をもたらす。400nmから700nmの平均透過率が60%以上確保できるよう、光熱変換色素の使用量の上限を設定することが好ましい。光熱変換色素は、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0090】
光熱変換色素は、ロイコ染料と可逆性顕色剤を含有する層に対して、同一の層か隣接する層の少なくとも一方に含有されることが好ましく、同一の層に含有されることが良好な感度を得る上でより好ましい。
【実施例】
【0091】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量基準である。
【0092】
(実施例1)
(A)可逆性感熱記録層塗液の調製
染料前駆体として、3−(p−トルイジノ)−2−メチル−8−ジプロピルアミノフルオラン50部、3−(p−トルイジノ)−2−メチル−8−ピロリジノフルオラン50部、可逆性顕色剤として、N−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部、消去促進剤としてN−(1−(4−メチル)ピペラジニル)−N′−オクタデシル尿素10部、一般式(2)で表される化合物としてドコシルアミン0.3部、カプロラクタンポリオール(ダイセル工業(株)製、商品名:PLACCEL303、有効成分:100質量%)120部、メチルエチルケトン3000部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間分散し、分散液を得た。こうして得た分散液に、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)450部を加えて十分に混合し、可逆性感熱記録層用塗液を調製した。
【0093】
(B)可逆性感熱記録層塗液の塗工
(A)で得た可逆性感熱記録層塗液を、厚さ125μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、乾燥後の膜厚が8μmとなるように塗工した後、95℃で1分間乾燥した後、さらに50℃で48時間加熱処理して硬化させ、可逆性感熱記録層を形成した。
【0094】
(C)中間層塗液の調製
紫外線吸収剤として2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]50部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分70質量%)100部、メチルエチルケトン800部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間分散し、分散液を得た。こうして得た分散液に、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分75質量%)140部、メチルエチルケトン50部を加えて十分に混合し、中間層塗液を調製した。
【0095】
(D)中間層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(C)で得た中間層塗液を乾燥後の膜厚が1μmになるように塗工し、95℃で1分間乾燥した後、さらに50℃で48時間加熱処理して硬化させ、中間層を設けた。
【0096】
(E)保護層塗液の調製
ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(DIC(株)製、商品名:ユニディック17−813、有効成分:80質量%)12.5部、湿式法シリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア350)2.0部、酢酸ブチル10部を混合した。こうして得られた混合液をビーズミルで処理し、保護層塗液を調製した。
【0097】
(F)保護層塗液の塗工
(D)で作製した塗工シートの中間層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥後の膜厚が2μmになるように塗工し、95℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例1の可逆性感熱記録材料を得た。
【0098】
(実施例2)
実施例1(A)で、ドコシルアミンの部数を0.03部にした以外は実施例1と同様にして、実施例2の可逆性感熱記録材料を得た。
【0099】
(実施例3)
実施例1(A)で、ドコシルアミンの部数を3部にした以外は実施例1と同様にして、実施例3の可逆性感熱記録材料を得た。
【0100】
(実施例4)
実施例1(A)で、ドコシルアミンの部数を0.015部にした以外は実施例1と同様にして、実施例4の可逆性感熱記録材料を得た。
【0101】
(実施例5)
実施例1(A)で、ドコシルアミンの部数を6部にした以外は実施例1と同様にして、実施例5の可逆性感熱記録材料を得た。
【0102】
(実施例6)
実施例1(A)で、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−テトラコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の可逆性感熱記録材料を得た。
【0103】
(実施例7)
実施例1(A)で、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−ヘキサコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例7の可逆性感熱記録材料を得た。
【0104】
(実施例8)
実施例1(A)で、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−トリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例8の可逆性感熱記録材料を得た。
【0105】
(実施例9)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、テトラコシルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例9の可逆性感熱記録材料を得た。
【0106】
(実施例10)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、ヘキサコシルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例10の可逆性感熱記録材料を得た。
【0107】
(実施例11)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、トリアコンチルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例11の可逆性感熱記録材料を得た。
【0108】
(実施例12)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、ドコシルメチルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例12の可逆性感熱記録材料を得た。
【0109】
(実施例13)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、ドコシルジメチルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例13の可逆性感熱記録材料を得た。
【0110】
(実施例14)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、テトラコシルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−テトラコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例14の可逆性感熱記録材料を得た。
【0111】
(実施例15)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、トリアコンチルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−トリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例15の可逆性感熱記録材料を得た。
【0112】
(比較例1)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、オクタデシルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の可逆性感熱記録材料を得た。
【0113】
(比較例2)
実施例1(A)で、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−オクタデシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の可逆性感熱記録材料を得た。
【0114】
(比較例3)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、オクタデシルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−オクタデシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3の可逆性感熱記録材料を得た。
【0115】
(比較例4)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、トリアコンチルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−テトラトリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]アセトアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4の可逆性感熱記録材料を得た。
【0116】
(比較例5)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、テトラトリアコンチルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−トリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]アセトアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5の可逆性感熱記録材料を得た。
【0117】
(比較例6)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、テトラトリアコンチルアミン0.3部を用い、可逆性顕色剤としてN−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド300部を用いる代わりに、N−テトラトリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]アセトアミド300部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例6の可逆性感熱記録材料を得た。
【0118】
(比較例7)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、ジイソプロピルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例7の可逆性感熱記録材料を得た。
【0119】
(比較例8)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、シクロヘキシルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例8の可逆性感熱記録材料を得た。
【0120】
(比較例9)
実施例1(A)で、ドコシルアミン0.3部を用いる代わりに、ジベンジルアミン0.3部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例9の可逆性感熱記録材料を得た。
【0121】
(比較例10)
実施例1(A)で、ドコシルアミンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例10の可逆性感熱記録材料を得た。
【0122】
(試験1)発色性
発色性の評価方法については、上記実施例1〜15および比較例1〜10にて得られた可逆性感熱記録材料を、感熱発色試験装置(大倉電機製TH−PMG、印字ヘッド:TDK−BHC4215SS)にて、印字エネルギー0.36mj/dotの条件で印字を行った。マクベス濃度計RD−19Iを用いて、発色濃度を測定した。発色濃度が1.0以上であれば実使用において問題ないレベルである。発色濃度を以下の基準で評価した。
【0123】
発色濃度
◎:1.2以上
○:1.0以上1.2未満
×:1.0未満
【0124】
(試験2)消色性
消色性の評価方法については、上記試験1にて得られた可逆性感熱記録材料を、80℃に設定した恒温乾燥機に入れ、消去を行った。マクベス濃度計RD−19Iを用いて、地肌および消去後の画像部の濃度を測定し、消え残り濃度(消去後の画像部濃度と地肌濃度の差)を算出した。消え残り濃度が0.02以下であれば実使用において問題ないレベルである。消え残り濃度を以下の基準で評価した。
【0125】
消え残り濃度が0.02以下になるまでにかかる時間
◎:5分未満
○:5分以上15分未満
△:15分以上30分未満
×:30分以上
【0126】
(試験3)耐熱保存性試験
上記試験1にて得られた画像を50℃に設定した恒温乾燥機に24時間保存後、試験1と同様にして発色部の濃度を測定し、下記数式(1)により画像残存率を計算した。画像残存率が70%以上であれば実使用において問題ないレベルである。画像部の耐熱保存性を以下の基準で評価した。
【0127】
画像残存率
◎:80%以上
○:70%以上80%未満
△:60%以上70%未満
×:60%未満
【0128】
数式(1) A=(C/B)×100
A:画像残存率(%)
B:試験前の発色濃度
C:試験後の発色濃度
【0129】
試験1〜試験3の結果を表1に示す。
【0130】
【表1】

【0131】
以上の結果から明らかなように、可逆性感熱記録層内の可逆性顕色剤の直鎖状アルキル基の炭素数が20〜32であること、可逆性感熱記録層内に直鎖状アルキル基の炭素数が20〜32であるアミン化合物を添加することで高温環境下でも経時的に安定な画像を保持可能であり、発色性および消色性に優れた可逆性感熱記録材料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該可逆性感熱記録層が、下記一般式(1)で表される可逆性顕色剤を含有すると共に、下記一般式(2)で表される直鎖状アミン化合物を含有する可逆性感熱記録材料。
【化1】

一般式(1)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基を、Xはアミド基または尿素基を表す。
【化2】

一般式(2)において、Rは炭素数20〜32の直鎖状の炭化水素基を、RおよびRは水素原子またはメチル基を表す。

【公開番号】特開2012−125966(P2012−125966A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277982(P2010−277982)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】