説明

台車搬送設備

【課題】作業者が移動台車を押引操作するときの複数の移動用車輪の向きを設定方向に適確に揃えることができ、作業者が移動台車を設定方向に押引操作し易い台車搬送設備を提供する。
【解決手段】台車搬送手段5を、複数の移動用車輪8が移動面から浮上させた状態で載置台7を支持して移動面より上方側の第2搬送位置に位置する移動台車1を複数の移動用車輪8が移動面に接触する移動面上の第3搬送位置に下降搬送自在に構成し、第3搬送位置に位置する移動台車1に対して当接して移動台車1を設定方向に向けて移動操作する台車移動手段19と、台車移動手段19にて移動台車1を移動操作するときに設定方向に沿って移動台車1を当接案内する左右一対の移動用案内体17とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品支持用の載置台の下方に横軸心周りに回転自在に支持された複数の移動用車輪が備えられて前記移動用車輪の転動により移動面上を移動自在な移動台車を搬送自在な台車搬送手段が設けられ、前記移動台車には、前記複数の移動用車輪の少なくとも一部が、前記横軸心から水平方向に離れて位置する縦軸心を中心に旋回自在に備えられ、前記台車搬送手段が、前記複数の移動用車輪が前記移動面から浮上させた状態で前記載置台を支持して前記移動台車を第1搬送位置から前記移動面より上方側の第2搬送位置まで搬送自在で、且つ、前記第2搬送位置に位置する前記移動台車を前記複数の移動用車輪が前記移動面に接触する前記移動面上の第3搬送位置に下降搬送自在に構成され、前記移動台車が、前記第3搬送位置において押引操作により前記移動面上を設定方向に移動自在に構成されている台車搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる台車搬送設備は、作業者が押引操作できない又は押引操作し難い位置の移動台車を作業者が押引操作し易い位置に搬送するために用いられるものである。
説明を加えると、例えば収納棚に収納されている移動台車がスタッカークレーンにて搬出位置に取り出された場合では、その搬出位置の移動台車を作業者が押引操作するときに移動台車や作業者がスタッカークレーンと接触する可能性があり、作業者が移動台車を押引操作し難いものである。かかる台車搬送設備は、このような位置の移動台車を作業者が押引操作し易い位置に搬送するために用いられるものである。
【0003】
このような台車搬送設備では、従来では、スタッカークレーンにて移動台車が搬出される搬出位置を第1搬送位置とし、第1搬送位置の移動台車を設定方向に沿って第2搬送位置に水平搬送した後、第2搬送位置の移動台車を作業者が押引操作し易い第3搬送位置に下降搬送するように台車搬送手段が構成されていた。そして、台車搬送手段にて移動台車を第1搬送位置から第2搬送位置に水平搬送するときに複数の移動用車輪に摺接して複数の旋回自在な移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きに揃える弾性摺接材が設けられていた(例えば、特許文献1参照。)。ちなみに、特許文献1においては、複数の移動用車輪におけるすべてが移動台車に縦軸心周りに旋回自在に備えられている。
【0004】
つまり、従来では、台車搬送手段にて移動台車を第1搬送位置から第2搬送位置に水平搬送するときに弾性摺接材によって複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きに揃え、このように複数の移動用車輪の向きが揃えられた状態で移動台車を第3設定位置に下降搬送するように構成されていた。このように、第3搬送位置において作業者が移動台車を押引操作する前に予め複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きに揃えておくことにより、第3設定位置において作業者が移動台車を押引操作する際に、複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きに揃うときに生じる移動用車輪と移動面との間のすべり摩擦が生じ難い。よって、作業者が移動台車を設定方向に押引操作するときの操作力は小さくて済み、作業負担が軽減されるようにされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−182454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の台車搬送設備では、複数の移動用車輪の向きが揃えられたときは複数の移動用車輪は移動面から浮上しており、複数の移動用車輪の向きが揃えられた後に移動台車を複数の移動用車輪が移動面に接触する移動面上の第3設定位置に下降搬送するように構成されている。よって、複数の移動用車輪の向きを揃えてから第3搬送位置に搬送するまでの間に、移動面から浮上している複数の移動用車輪の向きが搬送の振動等によって設定方向に沿う向きから変わってしまう可能性がある。従って、作業者が移動台車を押引操作するときの複数の移動用車輪の向きが乱れている場合があり、その結果、作業者が移動台車を設定方向に押引操作し難い場合があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、作業者が移動台車を押引操作するときの複数の移動用車輪の向きを設定方向に適確に揃えることができ、作業者が移動台車を設定方向に押引操作し易い台車搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる台車搬送設備は、物品支持用の載置台の下方に横軸心周りに回転自在に支持された複数の移動用車輪が備えられて前記移動用車輪の転動により移動面上を移動自在な移動台車を搬送自在な台車搬送手段が設けられ、前記移動台車には、前記複数の移動用車輪の少なくとも一部が、前記横軸心から水平方向に離れて位置する縦軸心を中心に旋回自在に備えられ、前記台車搬送手段が、前記複数の移動用車輪が前記移動面から浮上させた状態で前記載置台を支持して前記移動台車を第1搬送位置から前記移動面より上方側の第2搬送位置まで搬送自在で、且つ、前記第2搬送位置に位置する前記移動台車を前記複数の移動用車輪が前記移動面に接触する前記移動面上の第3搬送位置に下降搬送自在に構成され、前記移動台車が、前記第3搬送位置において押引操作により前記移動面上を設定方向に移動自在に構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記第3搬送位置に位置する前記移動台車に対して当接又は係合して前記移動台車を前記設定方向に向けて移動操作する台車移動手段と、前記台車移動手段にて前記移動台車を移動操作するときに前記設定方向に沿って前記移動台車を当接案内する左右一対の移動用案内体とが設けられている点にある。
【0009】
すなわち、台車搬送手段により、第1搬送位置の移動台車を複数の移動用車輪が移動面から浮上させた状態で第2搬送位置まで搬送された後、その第2搬送位置に位置する移動台車を移動面に複数の移動用車輪が接触するように第3搬送位置に下降搬送される。そして、台車移動手段により、第3搬送位置に位置する移動台車を設定方向に向けて移動操作することによって、移動台車は左右一対の移動用案内体にて当接案内されながら設定方向に沿って移動し、この移動台車の移動に伴って移動面に当接する複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きに揃えられる。このように台車移動手段にて移動操作されて複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きに揃えられた移動台車を、作業者が押引操作して移動面上を設定方向に移動させることにより、作業者は小さな操作力で移動台車を押引操作することができる。
【0010】
そして、移動台車が第3搬送位置に位置して複数の移動用車輪が床面上に接触した状態で、台車移動手段にて移動台車が移動操作され、複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きに揃えられるため、台車移動手段にて複数の移動用車輪の向きを揃えられた移動台車は、台車搬送手段にて移動台車を搬送することなく、そのまま作業者にて押引操作されることになるので、台車移動手段にて複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きに揃えられてから作業者が移動台車を押引操作するまでの間に、複数の移動用車輪の向きが設定方向に沿う向きから変わらないようにできる。よって、作業者が移動台車を押引操作するときの複数の移動用車輪の向きを揃えることができ、その結果、作業者が移動台車を設定方向に押引操作し易いものとなる。
【0011】
従って、作業者が移動台車を押引操作するときに複数の移動用車輪の向きを設定方向に適確に揃えておくことができ、作業者が移動台車を設定方向に押引操作し易い台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0012】
本発明にかかる台車搬送設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記移動台車が、前記載置台の周縁部から立設されて前記載置台上に形成される物品収納空間の横側方を覆う周壁部を備えて構成され、前記台車移動手段が、前記載置台への押圧操作により前記移動台車を移動操作するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、例えば荷崩れ防止用として、載置台の周縁部から立設されて物品収納空間の横側方を覆う周壁部が備えられている場合、移動台車の背が高くなり重心の位置が高くなるが、このように背が高く且つ重心の位置が高い移動台車において低位置の載置台を台車移動手段にて押圧操作して移動操作することで、台車移動手段にて移動台車を移動操作するときに移動台車を転倒させ難いものとなる。
【0014】
従って、台車移動手段にて移動台車を移動操作するときに移動台車を転倒させ難い台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0015】
本発明にかかる台車搬送設備の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記左右一対の移動用案内体が、前記移動台車の横幅より設定間隔だけ幅広な移動用間隔で設けられている点にある。
【0016】
すなわち、左右一対の移動用案内体が、移動台車の横幅より設定間隔だけ幅広な移動用間隔で設けられているため、台車移動手段にて移動台車を移動操作するときに移動台車の設定方向に対する傾きや横幅方向への位置ずれを許容した状態で、左右一対の移動用案内体にて移動台車が設定方向に当接案内される。よって、移動台車が設定方向に対して傾くことや横幅方向に位置ずれすることで複数の移動用車輪と移動面との間のすべり摩擦が小さな状態で複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きに揃えることができ、複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きにスムーズに揃えることができる。
【0017】
従って、複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きにスムーズに揃えることができる台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0018】
本発明にかかる台車搬送設備の第4特徴構成は、第3特徴構成において、前記台車搬送手段が、前記移動台車を前記第1搬送位置から前記第2搬送位置に前記設定方向に水平搬送するように構成され、前記台車搬送手段にて前記移動台車を前記第2搬送位置に水平搬送するときに前記移動台車の横幅より幅広で且つ前記移動用間隔より幅狭な搬送用間隔で前記移動台車を前記設定方向に沿って当接案内する左右一対の搬送用案内体が設けられ、前記左右一対の搬送用案内体が、前記台車搬送手段にて前記第2搬送位置まで水平搬送される前記移動台車を前記搬送用間隔にて当接案内する搬送用案内状態と、前記台車移動手段にて前記第3搬送位置から移動操作される前記移動台車を前記移動用間隔にて当接案内する移動用案内状態とに切り換え自在に構成され、前記左右一対の移動用案内体が、前記移動用案内状態における前記左右一対の搬送用案内体にて構成されている点にある。
【0019】
すなわち、台車搬送手段にて移動台車を水平搬送するときは、左右一対の搬送用案内体を比較的間隔の狭い搬送用案内状態に切り換えることで、その搬送用案内状態に切り換えられた左右一対の搬送用案内体にて移動台車が設定方向に沿って当接案内されるため、移動台車の搬送方向に対する傾きや横幅方向への位置ずれを適確に規制しながら移動台車を設定方向に沿って水平搬送することができる。
また、台車移動手段にて移動台車を移動操作するときは、左右一対の搬送用案内体を比較的間隔の広い移動用案内状態に切り換えることで、その移動用案内状態に切り換えられた左右一対の搬送用案内体にて移動台車が設定方向に沿って当接案内されるため、移動台車の搬送方向に対する傾きや横幅方向への位置ずれを許容して複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きにスムーズに揃えることができる。
そして、移動用案内状態における左右一対の搬送用案内体にて左右一対の移動用案内体が構成され、左右一対の搬送用案内体が左右一対の移動用案内体を兼用することにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
従って、台車搬送手段にて移動台車を水平搬送するときに移動台車の搬送方向に対する傾きや横幅方向への位置ずれを適確に規制しながら、台車移動手段にて移動台車を移動操作するときに複数の移動用車輪の向きを設定方向に沿う向きにスムーズに揃えることができる構成を、簡素な構成とすることができる台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0021】
本発明にかかる台車搬送設備の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記台車搬送手段が、前記載置台における横幅方向の両端部を支持した状態で前記移動台車を水平搬送する左右一対のコンベアと、前記左右一対の搬送用案内体と、前記左右一対の搬送用案内体及び前記左右一対のコンベアを支持する支持体と、前記支持体を昇降移動させる昇降装置とを備えて構成され、前記昇降装置が、前記左右一対のコンベアを前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台を支持する搬送用高さと前記第3搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台の下方に離間して位置する退避用高さとに亘って昇降させるべく前記支持体を昇降移動させるように構成され、前記左右一対の搬送用案内体が、前記搬送用間隔で設けられた左右一対の搬送用案内部と、前記移動用間隔で設けられた左右一対の移動用案内部とを備えて構成され、前記左右一対の移動用案内部が、前記左右一対のコンベアが前記退避用高さに位置する状態において前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台と同じ高さに位置させるべく、前記左右一対のコンベアより上方に位置する状態で前記支持体に支持され、前記左右一対の搬送用案内部が、前記左右一対のコンベアが前記搬送用高さに位置する状態において前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台と同じ高さに位置し且つ前記左右一対のコンベアが前記移動用高さに位置する状態において前記第3搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台より下方に位置させるべく、前記左右一対のコンベアより上方で且つ前記左右一対の移動用案内体より下方に位置する状態で前記支持体に支持されている点にある。
【0022】
すなわち、左右一対のコンベアが搬送用高さに位置している状態では、台車搬送手段にて移動台車を第1搬送位置から第2搬送位置に水平搬送することができ、左右一対のコンベアに支持された移動台車が第2搬送位置に位置する状態において、左右一対のコンベアを搬送用高さから退避用高さに昇降移動させることにより、移動台車を第2搬送位置から第3搬送位置に下降搬送することができる。そして、左右一対のコンベアが退避用高さに位置している状態では、第3搬送位置に位置する移動台車の載置台の下方に左右一対のコンベアが離間して位置するため、第3搬送位置において台車移動手段にて移動台車を設定方向に沿って移動操作することができる。
【0023】
左右一対のコンベアの搬送用高さや退避用高さへの昇降移動は、昇降装置にて支持体を昇降移動させることにより行われ、この支持体の昇降移動に伴って、左右一対の搬送用案内体が搬送用案内状態や移動用案内状態に切り換えられる。
つまり、左右一対のコンベアを搬送用高さに位置させるに伴って、左右一対の搬送用案内部が第2搬送位置に位置する移動台車の載置台と同じ高さに位置して、台車搬送手段にて水平搬送される移動台車を左右一対の搬送用案内部にて搬送用間隔で当接案内する搬送用案内状態に切り換えられる。
また、左右一対のコンベアを退避用高さに位置させるに伴って、左右一対の移動用案内部が第3搬送位置に位置する移動台車の載置台と同じ高さに位置し、且つ、左右一対の移動用案内部が第3搬送位置に位置する移動台車の載置台より下方に位置して、台車移動手段にて移動操作される移動台車を左右一対の移動用案内部にて移動用間隔で当接案内する移動用案内状態に切り換えられる。
【0024】
よって、左右一対のコンベアを搬送用高さに昇降移動させるに伴って左右一対の搬送用案内体を搬送用案内状態に切り換えることができ、左右一対のコンベアを退避用高さに昇降移動させるに伴って左右一対の搬送用案内体を移動用案内状体に切り換えることができるため、左右一対の搬送用案内を搬送用案内状態と移動用案内状態とに容易に切り換えることができる。また、左右一対のコンベアを昇降移動させる昇降装置にて左右一対の搬送用案内体を搬送用案内状態と移動用案内状態とに切り換えることができ、左右一対の搬送用案内体を搬送用案内状態と移動用案内状態とに切り換える手段を別途備える必要がないため、左右一対の搬送用案内体を搬送用案内状態と移動用案内状態とに切り換える構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
従って、左右一対の搬送用案内体を搬送用案内状態と移動用案内状態とに簡素な構成で容易に切り換えることができる台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0026】
本発明にかかる台車搬送設備の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記第3搬送位置の前記設定方向の下流側に前記左右一対の移動用案内体と連なる状態で左右一対の補助案内体が設けられ、前記左右一対の補助案内体が、前記設定方向の中間部において前記移動用間隔より狭い間隔となる状態で設けられ、且つ、前記中間部から前記設定方向の上流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる形状に形成されている点にある。
【0027】
すなわち、第3搬送位置において台車移動手段にて移動台車を移動操作したときに移動台車が搬送方向に対して傾いた場合や横幅方向に位置ずれした場合でも、作業者が押引操作して移動台車を設定方向に移動させるときに、左右一対の補助案内体、特にそれにおける設定方向の中間部から設定方向の上流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる形状の部分において移動台車を当接案内することにより、移動台車の搬送方向に対する傾きや横幅方向の位置ずれを修正することができる。
【0028】
従って、台車移動手段にて移動操作された移動台車を作業者が押引操作するときに、移動台車の搬送方向の傾きや横幅方向の位置ずれを修正することができる台車搬送設備を提供することができるに至った。
【0029】
本発明にかかる台車搬送設備の第7特徴構成は、第6特徴構成において、前記台車搬送手段が、前記第3搬送位置から前記第2搬送位置に上昇搬送し且つ前記第2搬送位置から前記第1搬送位置に搬送するように構成され、前記左右一対の補助案内体が、前記中間部から前記設定方向の下流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる形状に形成されている点にある。
【0030】
すなわち、台車搬送手段は、第3搬送位置に位置する移動台車を第2搬送位置に上昇搬送させた後、第1搬送位置に搬送することができるので、作業者の押引操作により移動台車を第3搬送位置に移動させることで、その移動台車を台車搬送手段にて第1搬送位置に搬送することができる。よって、第1搬送位置が、作業者が移動台車を押引操作し難い位置であったとしても、台車搬送手段にて移動台車を第1搬送位置に搬送することができる。
【0031】
そして、作業者の押引操作により移動台車を第3搬送位置に移動させる際に、移動台車が設定方向に対して傾いている場合や横幅方向に位置ずれている場合でも、作業者が押引操作して移動台車を第3搬送位置に移動させるときに、左右一対の補助案内体、特にそれにおける設定方向の中間部から設定方向の下流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる部分において移動台車を当接案内することにより、移動台車の搬送方向に対する傾きや横幅方向の位置ずれを修正することができる。
【0032】
従って、作業者が台車搬送手段にて移動台車を第1搬送位置に搬送させようとして移動台車を押引操作して第3搬送位置に移動させるときに、移動台車の搬送方向の傾きや横幅方向の位置ずれを修正することができる台車搬送設備を提供することができるに至った。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】台車搬送設備の平面図
【図2】台車搬送設備の側面図
【図3】昇降搬送コンベアが搬送用高さに位置する台車搬送手段の図
【図4】昇降搬送コンベアが退避用高さに位置する台車搬送手段の図
【図5】昇降搬送コンベアが中間用高さに位置する台車搬送手段の図
【図6】台車移動手段の平面作用図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る台車搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、台車搬送設備には、移動台車1を収納する収納部2aを縦横に複数並べて備えた収納棚2と、収納棚2の収納部2aと収納棚2の横側方に位置する移動面Fより上方の搬出入用位置P0との間で移動台車1を搬送自在なスタッカークレーン3と、移動台車1を搬出入用位置P0とその直下に位置する棚側搬送用位置(第1搬送位置に相当)P1との間で昇降搬送自在な昇降支持台4(図1参照)と、移動台車1を棚側搬送用位置P1と移動面F上の移動用位置(第3搬送位置に相当)P3との間で搬送自在な台車搬送手段5とを備えて構成されている。
ちなみに、収納棚2及びスタッカークレーン3は、1階の床面上に設置されており、昇降支持台4は、2階の床面と略同高さに設置された架台6上に設置され、台車搬送手段5は、2階の床面上から架台6上に亘って設置されている。尚、移動面Fは2階の床面に相当する。
【0035】
そして、収納棚2から移動台車1を搬出する場合は、収納棚2の収納部2aに位置する移動台車1がスタッカークレーン3にて搬出入用位置P0に搬送された後、昇降支持台4にて棚側搬送用位置P1に下降搬送される。その後、棚側搬送用位置P1に位置する移動台車1は、台車搬送手段5にて、作業側搬送用位置(第2搬送位置に相当)P2まで水平搬送された後に移動用位置P3に下降搬送される。この移動用位置P3に搬送された移動台車1は、作業者にて押引操作されて移動面F上を他の箇所まで移動される。
【0036】
また、収納棚2に移動台車1を搬入する場合は、作業者により押引操作されて移動用位置P3に移動された移動台車1が台車搬送手段5にて作業側搬送用位置P2に上昇搬送された後に棚側搬送用位置P1まで水平搬送される。その後、棚側搬送用位置P1に位置する移動台車1は昇降支持台4にて搬出入用位置P0に上昇搬送された後、スタッカークレーン3にて収納棚2の収納部2aに搬送される。
【0037】
〔移動台車〕
図3に示すように、移動台車1は、平面視矩形状で且つ板状の物品支持用の載置台7と、その載置台7の下方に横軸心X周りに回転自在に支持された複数の移動用車輪8と、載置台7の周縁部から立設されて載置台7上に形成される物品収納空間Sの横側方を覆う格子状の周壁部9とを備えて構成されている。
【0038】
そして、図6に示すように、移動用車輪8は、載置台7における下面の4隅に取り付け支持されており、複数の移動用車輪8として4輪備えられている。このように複数の移動用車輪8を備えた移動台車1は、移動用車輪8の転動により移動面F上を移動自在に構成されており、移動用位置P3において押引操作により移動面F上を設定方向に沿って移動自在とされている。尚、設定方向は、台車搬送手段5にて移動台車1を棚側搬送用位置P1から作業側搬送用位置P2に水平搬送する搬送方向と同じ方向である。
【0039】
複数の移動用車輪8の夫々は、載置台7の周縁から間隔を隔てた箇所に取り付け支持されている。そして、複数の移動用車輪8の夫々は、前側又は後側のうちの近接する側の周縁との間隔より、右側又は左側のうちの近接する側の周縁との間隔が大きくなるように載置台7に支持されている。
【0040】
複数の移動用車輪8の全てが、横軸心Xから水平方向に離れて位置する縦軸心Yを中心に旋回自在に備えられており、移動台車1を移動面F上にて移動させるに伴って複数の移送用車輪8の全てが移動台車1を移動させる方向に向くように構成されている。
【0041】
〔台車搬送手段〕
図1及び図2に示すように、台車搬送手段5には、棚側搬送用位置P1と作業側搬送用位置P2との間で移動台車1を水平搬送する左右一対のコンベア11と、左右一対のコンベア11にて移動台車1を水平搬送するときに搬送方向に沿って移動台車1を当接案内する左右一対の搬送用案内体12と、左右一対の搬送用案内体12及び左右一対のコンベア11を支持する支持体13(図3等参照)と、支持体13を昇降移動させる昇降装置14とを備えて構成されている。
【0042】
左右一対のコンベア11は、架台6上において移動台車1を水平搬送する左右一対の固定搬送コンベア15と、移動面F上において移動台車1を水平搬送する左右一対の昇降搬送コンベア16とで構成されている。これら左右一対の固定搬送コンベア15と左右一対の昇降搬送コンベア16とは、互いに移動台車1を受け渡し可能にコンベア11の搬送方向に沿って並設されている。
【0043】
図3に示すように、左右一対の昇降搬送コンベア16は、複数の移動用車輪8を移動面Fから浮上させた状態で載置台7を下方から載置支持して搬送台車1を水平搬送するように構成されている。
説明を加えると、左右一対の昇降搬送コンベア16は、横幅方向に並ぶ一対の移動用車輪8の間隔より広く且つ載置台7の横幅より狭い間隔で、横幅方向に並設されている。そして、載置台7における複数の移動用車輪8を取り付け支持している箇所よりも横幅方向外方側の箇所を左右一対の昇降搬送コンベア16にて載置支持することにより、複数の移動用車輪8が左右一対の昇降搬送コンベア16の間に位置して、複数の移動用車輪8が移動面Fから浮上した状態となる。左右一対の昇降搬送コンベア16は、このように移動台車1を載置支持した状態で搬送作動させることにより、複数の移動用車輪8を移動面Fから浮上させた状態で搬送台車1を水平搬送するように構成されている。
尚、左右一対の固定搬送コンベア15は、左右一対の昇降搬送コンベア16と同様に構成されているので説明は省略する。
【0044】
左右一対の固定搬送コンベア15と左右一対の昇降搬送コンベア16とのうち、支持体13は左右一対の昇降搬送コンベア16のみを支持しており、固定搬送コンベア15は架台6上に立設された支持枠にて支持されている。つまり、昇降装置14にて支持体13を昇降移動させることにより左右一対のコンベア11における左右一対の昇降搬送コンベア16を昇降移動させるように構成されている。
【0045】
図3に示すように、昇降装置14は、支持体13を昇降移動させることにより、左右一対の昇降搬送コンベア16を作業側搬送用位置P2に位置する移動台車1の載置台7を支持する搬送用高さH1と移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7の下方に離間して位置する退避用高さH3とに亘って昇降させるように構成されている。そして、図2に仮想線で示すように、搬送用高さH1に昇降移動された左右一対の昇降搬送コンベア16は、左右一対の固定搬送コンベア15と同じ高さに位置しており、左右一対の固定搬送コンベア15との間で移動台車1を受渡可能となっている。
【0046】
つまり、台車搬送手段5は、左右一対の昇降搬送コンベア16を搬送用高さH1に上昇移動させた状態で左右一対の固定搬送コンベア15及び左右一対の昇降搬送コンベア16を搬送作動させることにより、移動台車1を棚側搬送用位置P1から作業側搬送用位置P2まで水平搬送することができ、且つ、移動台車1を作業側搬送用位置P2から棚側搬送用位置P1まで水平搬送することができるように構成されている。
また、台車搬送手段5は、図3及び図4(a)に示すように、昇降装置14にて左右一対の昇降搬送コンベア16を搬送用高さH1と退避用高さH3とに亘って昇降移動させることにより、移動台車1を作業側搬送用位置P2から移動用位置P3まで下降搬送することができ、且つ、移動台車1を移動用位置P3から作業側搬送用位置P2まで上昇搬送することができるように構成されている。
【0047】
〔搬送用案内体〕
図3に示すように、左右一対の搬送用案内体12の夫々は、下部の搬送用案内部12aが上部の移動用案内部12bよりも横幅方向内方側に突出する2段の階段状に形成されている。そして、左右一対の搬送用案内体12は、左右一対の移動用案内部12bの間隔が移動台車1の設定方向に対する数度の傾きを許容するように移動台車1の載置台7の横幅より設定間隔だけ幅広な移動用間隔G1となるように設けられており、左右一対の搬送用案内部12aの間隔が移動台車1の載置台7の横幅より幅広で且つ移動用間隔G1より幅狭な搬送用間隔G2となるように形成されている。ちなみに、左右一対の昇降搬送コンベア16は、左右一対の搬送用案内部12aよりも幅狭に設けられており、左右一対の搬送用案内部12aの案内面よりも内方側に突出する状態で設けられている。
【0048】
このように左右一対の搬送用案内体12は、搬送用間隔G2で設けられた左右一対の搬送用案内部12aと、移動用間隔G1で設けられた左右一対の移動用案内部12bとを備えて構成されている。そして、左右一対の搬送用案内体12を、左右一対のコンベア11より上方に位置する状態で支持体13に支持することにより、左右一対の移動用案内部12bが、左右一対のコンベア11より上方に位置する状態で支持体13に支持され、左右一対の搬送用案内部12aが、左右一対のコンベア11より上方で且つ左右一対の移動用案内部12bより下方に位置する状態で支持体13に支持されている。また、昇降装置14にて支持体13を昇降させて左右一対の昇降搬送コンベア16を昇降移動させるに伴って、左右一対の搬送用案内体12(左右一対の搬送用案内部12a及び左右一対の移動用案内部12b)も昇降移動するように構成されている。
【0049】
左右一対の搬送用案内部12aと左右一対の昇降搬送コンベア16との上下方向の間隔が、移動台車1の載置台7の上下方向の厚みより小さくなるように、左右一対の搬送用案内体12が左右一対の昇降搬送コンベア16の上方に近接させた状態で支持体13に支持されている。つまり、左右一対の昇降搬送コンベア16が搬送用高さH1に位置して移動台車1が作業側搬送用位置P2に位置している状態においては、左右一対の搬送用案内部12aが作業側搬送用位置P2に位置する移動台車1の載置台7と同じ高さに位置しており、左右一対の昇降搬送コンベア16にて水平搬送される移動台車1を左右一対の搬送用案内部12aにて搬送用間隔G2で当接案内することができるように構成されている。
【0050】
図4(a)に示すように、左右一対の昇降搬送コンベア16を退避用高さH3に昇降移動させた状態において、左右一対の搬送用案内部12aが移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7より下方に位置し、左右一対の移動用案内部12bが移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7と同じ高さに位置するように、退避用高さH3が設定されている。つまり、左右一対の昇降搬送コンベア16が退避用高さH3に位置している状態においては、後述する台車移動手段19による移動操作や作業者の押引操作により移動台車1を移動面F上で設定方向に移動させる際に、移動台車1を左右一対の移動用案内部12bにて移動用間隔G1で当接案内することができるように構成されている。
【0051】
図5(a)に示すように、左右一対の昇降搬送コンベア16を搬送用高さH1と退避用高さH3との中間に位置する中間用高さH2に昇降移動させた状態において、昇降搬送コンベア16は移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7の下方に離間して位置するものの、左右一対の搬送用案内部12aが移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7と同じ高さに位置するように、中間用高さH2が設定されている。つまり、左右一対の昇降搬送コンベア16が中間用高さH2に位置している状態においては、作業者の押引操作により移動台車1を移動面F上で設定方向とは反対方向に移動させる際に、移動台車1を左右一対の搬送用案内部12aにて搬送用間隔G2で当接案内することができるように構成されている。
【0052】
要するに、左右一対の搬送用案内体12は、図3に示すように、昇降装置14にて左右一対の昇降搬送コンベア16を搬送用高さH1に昇降移動させるに伴って、左右一対の昇降搬送コンベア16にて水平搬送される移動台車1を搬送用間隔G2で当接案内する搬送用案内状態に切り換えられ、図4(a)に示すように、昇降装置14にて左右一対の昇降搬送コンベア16を退避用高さH3に昇降移動させるに伴って、作業者による押引操作や台車移動手段19の移動操作により移動面F上を移動される移動台車1を移動用間隔G1で当接案内する搬出時移動用案内状態(移動用案内状態に相当)に切り換えられ、図5(a)に示すように、昇降装置14にて左右一対の昇降搬送コンベア16を中間用高さH2に昇降移動させるに伴って、作業者の押引操作により移動面F上を移動される移動台車1を搬送用間隔G2で当接案内する搬入時移動用案内状態に切り換えられるように構成されている。このように左右一対の搬送用案内体12は、搬送用案内状態と搬出時移動用案内状態と搬入時移動用案内状態とに切り換え自在に構成されている。
【0053】
台車搬送設備には、移動用位置P3に位置する移動台車1に対して当接して移動台車1を設定方向に向けて移動操作する台車移動手段19と、移動用位置P3の設定方向の下流側(台車搬送手段5にて移動台車1を棚側搬送用位置P1から作業側搬送用位置P2に水平搬送する搬送方向の下流側)に左右一対の搬送用案内体12の移動用案内部12bと連なる状態で左右一対の補助案内体20とが設けられている。次に、これら台車移動手段19及び左右一対の補助案内体20とについて説明する。
【0054】
〔台車移動手段〕
台車移動手段19は、移動用位置P3の設定方向の上流側(台車搬送手段5にて移動台車1を棚側搬送用位置P1から作業側搬送用位置P2に水平搬送する搬送方向の上流側)の移動面F上に設けられており、設定方向の下流側に搬送方向に沿って突出移動自在な突出移動部19aを備えて構成されている。
【0055】
突出移動部19aは、移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7と同じ高さに位置するように設けられており、基準位置(図6(a)参照)から突出位置(図6(b)参照)に突出移動することにより、移動用位置P3に位置する移動台車1の載置台7を押圧移動させるように構成されている。つまり、台車移動手段19は、載置台7への押圧操作により移動台車1を移動操作するように構成されている。尚、台車移動手段19は、移動台車1として、移動用車輪8の径が100mm、横軸心Xが縦軸心Yに対して水平方向に40mmずれているものが用いられている場合において、基準位置から突出位置へ300mm程度突出移動するように構成されている。
【0056】
突出移動部19aにおける移動台車1に当接する当接面は、移動台車1における横幅方向に並ぶ一対の移動用車輪8の間隔よりも幅広な平坦面に形成されており、移動台車1を押圧操作したときに、移動台車1を適切に搬送方向に移動操作できるように構成されている。ちなみに、作業側搬送用位置P2は、作業側搬送用位置P2に位置する移動台車1の複数の移動用車輪8が突出移動部19aより上方に位置するように設定されている。
【0057】
このように移動用位置P3に搬送された移動台車1を台車移動手段19にて設定方向に押圧操作することにより、図6(a)に示すように、台車搬送手段5にて移動用位置P3に搬送したときに複数の移動用車輪8の向きが揃っていない場合でも、図6(b)に示すように、複数の移動用車輪8の向きを揃えることができる。そして、このように複数の移動用車輪8の向きが設定方向に揃えられた移動台車1は、作業者にて設定方向に押引操作され他の箇所に移動させるときに小さな操作力で移動させることができる。
【0058】
図4に示すように、移動用位置P3に搬送された移動台車1を台車移動手段19にて設定方向に押圧操作されるときは、左右一対の昇降搬送コンベア16は退避用高さH3に位置している。よって、台車移動手段19にて移動台車1を設定方向に移動操作するときは、比較的幅広な搬出時移動用案内状態の左右一対の搬送用案内体12にて設定方向に移動台車1が当接案内されるため、移動台車1が搬送方向に対して傾くことや横幅方向に位置ずれすることが許容されている。これにより、複数の移動用車輪8と移動面Fとの間のすべり摩擦が小さな状態で複数の移動用車輪8の向きを設定方向に沿う向きに揃えることができ、複数の移動用車輪8の向きを設定方向に沿う向きにスムーズに揃えることができる。
【0059】
また、図5に示すように、台車移動手段19は、作業者の押引操作にて他の箇所から移動用位置P3に設定方向とは反対方向に移動操作する際には、移動規制手段として機能する。すなわち、突出移動部19aを基準位置に引退させておくことにより、移動台車1が移動用位置P3より設定方向の下流側に移動しないように移動台車1を受け止めることができる。このように、台車移動手段19は、移動台車1が移動用位置P3より設定方向の下流側への移動を規制する移動規制手段としての機能も備えられている。
【0060】
そして、移動台車1が他の箇所から移動用位置P3に移動操作するときに、左右一対の昇降搬送コンベア16を中間用高さH2に位置させておくことによって、作業者の押引操作にて移動台車1を設定方向とは反対方向に移動操作して移動用位置P3に移動するときは、比較的幅狭な搬入時移動用案内状態の左右一対の搬送用案内体12にて設定方向とは反対方向に移動台車1が当接案内されるため、移動台車1が搬送方向に対して傾くことや横幅方向に位置ずれすることを適確に規制することができる。
【0061】
搬出時移動用案内状態における左右一対の搬送用案内体12は、台車移動手段19にて移動用位置P3から移動操作される移動台車1及びその後作業者にて押引操作される移動台車1を移動用間隔G1にて当接案内するように構成されており、移動台車1の横幅より設定間隔だけ幅広な移動用間隔G1で設けられて、台車移動手段19にて移動台車1を移動操作するときに設定方向に沿って移動台車1を当接案内する左右一対の移動用案内体17は、この搬出時移動用案内状態における左右一対の搬送用案内体12にて構成されている。
【0062】
〔補助案内体〕
図4〜図6に示すように、左右一対の補助案内体20は、設定方向の中間部20aにおいて移動用間隔G1より狭い搬送用間隔G2となる状態で設けられている。そして、中間部20aから設定方向の上流側の端部20bに向けて漸次幅広となる先細り形状に形成され、中間部20aから設定方向の下流側の端部20cに向けても漸次幅広となる先細り形状に形成されている。よって、作業者が押引操作して移動台車1を移動用位置P3から他の箇所に移動させるときや他の箇所から移動用位置P3に移動させるときに、左右一対の補助案内体20にて移動台車1を当接案内することにより、移動台車1の搬送方向に対する傾きや横幅方向の位置ずれを修正することができる。ちなみに、左右一対の補助案内体20は、その設定方向の上流側の端部20b同士及び設定方向の下流側の端部20c同士の間隔が移動用間隔G1より広い間隔となる形状に形成されている。
【0063】
移動台車1を棚側搬送用位置P1から他の箇所に移動搬送する場合について説明する。
棚側搬送用位置P1に位置する移動台車1は、左右一対の固定搬送コンベア15及び昇降搬送コンベア16の搬送作動により作業側搬送位置P2に水平搬送された後、昇降搬送コンベア16を搬送用高さH1から退避用高さH3に昇降移動させて移動用位置P3に下降搬送される。そして、移動用位置P3に位置する移動台車1は、台車移動手段19にて設定方向に移動操作された後、作業者の押引操作により他の箇所に移動される。
この台車移動手段19にて移動台車1を設定方向に移動操作するときや、その後に作業者が移動台車1を設定方向に押引操作するときは、左右一対の昇降搬送コンベア16を退避用高さH3に昇降移動させた状態であり、左右一対の搬送用案内体12が搬出時移動用案内状態であるため、左右一対の移動用案内体12にて移動台車1の傾きや位置ずれを許容しながら当接案内してスムーズに移動台車1を移動させることができる。この移動台車1の傾きや位置ずれは、作業者にて押引操作する際に左右一対の搬送用案内体12の後に左右一対の補助案内体20にて接当案内されるときに修正される。
【0064】
移動台車1を棚側搬送用位置P1に移動搬送する場合について説明する。
作業者にて設定方向とは反対方向に移動台車1を押引操作して移動台車1が移動用位置P3に移動される。そして、移動用位置P3に位置する移動台車1は、昇降搬送コンベア16を中間用高さH2から搬送用高さH1に昇降移動させて作業側搬送用位置P2に上昇搬送された後、左右一対の固定搬送コンベア15及び昇降搬送コンベア16の搬送作動により棚側搬送位置P1に水平搬送される。
そして、作業者が移動台車1を押引操作して移動用位置P3に移動させるときは、左右一対の昇降搬送コンベア16が中間用高さH2に昇降移動され、左右一対の搬送用案内体12が搬入時移動用案内状態に切り換えられているため、左右一対の補助案内体20にて接当案内されるときに移動台車1の傾きや位置ずれを修正させ、その後、左右一対の搬送用案内体12にて接当案内することで、移動台車1の傾きや位置ずれを規制した状態で移動台車1を移動用位置P3に移動させることができる。つまり、搬入時移動用案内状態に切り換えられた左右一対の搬送用案内体12は比較的間隔が狭く移動台車1を間に入れ難いが、先立って左右一対の補助案内体20にて移動台車1の傾きや位置ずれを修正するように接当案内することで、左右一対の搬送用案内体12の間に移動台車1を入れ易いものとなる。また、搬入時移動用案内状態の左右一対の搬送用案内体12にて移動台車1を当接案内することで、移動台車1は移動用位置P3に適正な姿勢で位置することになるから、台車搬送装置5にて搬送されるときの移動台車1の姿勢が良好なものとなる。
【0065】
[本発明に係る台車搬送設備の別実施形態]
(1) 上記実施形態では、複数の移動用車輪8のうちの全ての移動用車輪8を縦軸心Yを中心に旋回自在に構成したが、複数の移動用車輪8のうちの一部の移動用車輪8を縦軸心Yを中心に旋回自在に構成し、残る移動用車輪8を旋回不能に構成してもよい。
具体的には、例えば、上記実施形態のように移動用車輪8を4輪設けた場合において、移動台車1の前側に位置する横幅方向に並ぶ左右一対の移動用車輪8を縦軸心Yを中心に旋回自在に構成し、移動台車1の後側に位置する横幅方向に並ぶ一対の移動用車輪8を旋回不能に構成してもよい。
【0066】
(2) 上記実施形態では、台車移動手段19を、第3搬送位置P3に位置する移動台車1に対して押圧操作して移動台車1を設定方向に向けて移動操作するように構成したが、台車移動手段19を、第3搬送位置P3に位置する移動台車1に対して引き操作して移動台車1を設定方向に向けて移動操作するように構成してもよい。
【0067】
(3) 上記実施形態では、台車移動手段19を、載置台7への押圧操作により移動台車1を移動操作するように構成したが、台車移動手段19を、周壁部9への押圧操作により移動台車1を移動操作するように構成してもよい。尚、台車移動手段19を、載置台7への押圧操作により移動台車1を移動操作するように構成する場合、移動台車1として周壁部9を備えない移動台車1を用いてもよい。
【0068】
(4) 上記実施形態では、台車搬送手段5を、移動台車1を第1搬送位置P1から第2搬送位置P2に設定方向に水平搬送するように構成したが、台車搬送手段5を、移動台車1を第1搬送位置から第2搬送位置に下降搬送するように構成してもよい。
【0069】
(5) 上記実施形態では、左右一対の移動用案内体17を、左右一対の搬送用案内体12における左右一対の移動用案内部12bにて構成したが、左右一対の移動用案内体17を搬送用案内状態で設け、左右一対の移動用案内体17を移動用案内状態で別途設けてもよい。ちなみに、この場合、左右一対の搬送用案内12に左右一対の移動用案内部12bを備える必要はない。
【0070】
(6) 上記実施形態では、昇降装置14にて左右一対のコンベア11とともに左右一対の搬送用案内体12を昇降移動させて、左右一対のコンベア11を搬送用高さH1や退避用高さH3に昇降移動させるに伴って左右一対の搬送用案内体12を移動用案内状態や搬送用案内状態に切り換えるように構成したが、昇降装置14とは別に左右一対の搬送用案内体12を昇降移動させる装置を備え、左右一対の搬送用案内体12を、左右一対のコンベア11とは別に昇降移動させて移動用案内状態や搬送用案内状態に切り換えるように構成してもよい。
【0071】
(7) 上記実施形態では、左右一対の搬送用案内体12を、階段状に形成して昇降移動させることにより移動用案内状態と搬送用案内状態とに切り換えるように構成したが、左右一対の搬送用案内体12を、横幅方向に互いに遠近移動させることにより移動用案内状態と搬送用案内状態とに切り換えるように構成してもよい。
【0072】
(8) 上記実施形態では、左右一対の補助案内体20の夫々を先細り形状に形成することで、左右一対の補助案内体20の夫々を中間部20aから端部20b,20cに向けて漸次幅広となる形状に形成したが、左右一対の補助案内体20の夫々を平面視で外方側に屈曲する形状に形成することで、左右一対の補助案内体20の夫々を中間部20aから端部20b,20cに向けて漸次幅広となる形状に形成してもよい。また、左右一対の補助案内体20は設けなくてもよい。
【0073】
(9) 上記実施形態では、台車移動手段19を、突出移動部19aが基準位置から突出位置へ300mm程度突出移動するように構成したが、この突出移動部19aの突出移動量は、移動台車1の複数の移動用車輪8の向きが揃う量であればよく、移動用車輪8の径の大きさや材質、移動面Fの状態等に応じて適宜変更可能である。
【0074】
(10) 上記実施形態では、移動面Fを平坦面に形成したが、第3搬送位置より設定方向の下流側に傾斜面を形成する等、移動面Fを起伏させた面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 移動台車
5 台車搬送手段
7 載置台
8 移動用車輪
9 周壁部
11 コンベア
12 搬送用案内体
13 支持体
14 昇降装置
17 移動用案内体
19 台車移動手段
20 補助案内体
20a 中間部
20b 上流側の端部
20c 下流側の端部
F 移動面
G1 移動用間隔
G2 搬送用間隔
H1 搬送用高さ
H3 退避用高さ
P1 第1搬送位置
P2 第2搬送位置
P3 第3搬送位置
S 物品収納空間
X 横軸心
Y 縦軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品支持用の載置台の下方に横軸心周りに回転自在に支持された複数の移動用車輪が備えられて前記移動用車輪の転動により移動面上を移動自在な移動台車を搬送自在な台車搬送手段が設けられ、
前記移動台車には、前記複数の移動用車輪の少なくとも一部が、前記横軸心から水平方向に離れて位置する縦軸心を中心に旋回自在に備えられ、
前記台車搬送手段が、前記複数の移動用車輪が前記移動面から浮上させた状態で前記載置台を支持して前記移動台車を第1搬送位置から前記移動面より上方側の第2搬送位置まで搬送自在で、且つ、前記第2搬送位置に位置する前記移動台車を前記複数の移動用車輪が前記移動面に接触する前記移動面上の第3搬送位置に下降搬送自在に構成され、
前記移動台車が、前記第3搬送位置において押引操作により前記移動面上を設定方向に移動自在に構成されている台車搬送設備であって、
前記第3搬送位置に位置する前記移動台車に対して当接又は係合して前記移動台車を前記設定方向に向けて移動操作する台車移動手段と、
前記台車移動手段にて前記移動台車を移動操作するときに前記設定方向に沿って前記移動台車を当接案内する左右一対の移動用案内体とが設けられている台車搬送設備。
【請求項2】
前記移動台車が、前記載置台の周縁部から立設されて前記載置台上に形成される物品収納空間の横側方を覆う周壁部を備えて構成され、
前記台車移動手段が、前記載置台への押圧操作により前記移動台車を移動操作するように構成されている請求項1記載の台車搬送設備。
【請求項3】
前記左右一対の移動用案内体が、前記移動台車の横幅より設定間隔だけ幅広な移動用間隔で設けられている請求項1又は2記載の台車搬送設備。
【請求項4】
前記台車搬送手段が、前記移動台車を前記第1搬送位置から前記第2搬送位置に前記設定方向に水平搬送するように構成され、
前記台車搬送手段にて前記移動台車を前記第2搬送位置に水平搬送するときに前記移動台車の横幅より幅広で且つ前記移動用間隔より幅狭な搬送用間隔で前記移動台車を前記設定方向に沿って当接案内する左右一対の搬送用案内体が設けられ、
前記左右一対の搬送用案内体が、前記台車搬送手段にて前記第2搬送位置まで水平搬送される前記移動台車を前記搬送用間隔にて当接案内する搬送用案内状態と、前記台車移動手段にて前記第3搬送位置から移動操作される前記移動台車を前記移動用間隔にて当接案内する移動用案内状態とに切り換え自在に構成され、
前記左右一対の移動用案内体が、前記移動用案内状態における前記左右一対の搬送用案内体にて構成されている請求項3記載の台車搬送設備。
【請求項5】
前記台車搬送手段が、前記載置台における横幅方向の両端部を支持した状態で前記移動台車を水平搬送する左右一対のコンベアと、前記左右一対の搬送用案内体と、前記左右一対の搬送用案内体及び前記左右一対のコンベアを支持する支持体と、前記支持体を昇降移動させる昇降装置とを備えて構成され、
前記昇降装置が、前記左右一対のコンベアを前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台を支持する搬送用高さと前記第3搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台の下方に離間して位置する退避用高さとに亘って昇降させるべく前記支持体を昇降移動させるように構成され、
前記左右一対の搬送用案内体が、前記搬送用間隔で設けられた左右一対の搬送用案内部と、前記移動用間隔で設けられた左右一対の移動用案内部とを備えて構成され、
前記左右一対の移動用案内部が、前記左右一対のコンベアが前記退避用高さに位置する状態において前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台と同じ高さに位置させるべく、前記左右一対のコンベアより上方に位置する状態で前記支持体に支持され、
前記左右一対の搬送用案内部が、前記左右一対のコンベアが前記搬送用高さに位置する状態において前記第2搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台と同じ高さに位置し且つ前記左右一対のコンベアが前記移動用高さに位置する状態において前記第3搬送位置に位置する前記移動台車の前記載置台より下方に位置させるべく、前記左右一対のコンベアより上方で且つ前記左右一対の移動用案内体より下方に位置する状態で前記支持体に支持されている請求項4記載の台車搬送設備。
【請求項6】
前記第3搬送位置の前記設定方向の下流側に前記左右一対の移動用案内体と連なる状態で左右一対の補助案内体が設けられ、
前記左右一対の補助案内体が、前記設定方向の中間部において前記移動用間隔より狭い間隔となる状態で設けられ、且つ、前記中間部から前記設定方向の上流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる形状に形成されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の台車搬送設備。
【請求項7】
前記台車搬送手段が、前記第3搬送位置から前記第2搬送位置に上昇搬送し且つ前記第2搬送位置から前記第1搬送位置に搬送するように構成され、
前記左右一対の補助案内体が、前記中間部から前記設定方向の下流側の端部に向けて漸次間隔が幅広となる形状に形成されている請求項6記載の台車搬送設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−32048(P2011−32048A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180558(P2009−180558)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】