説明

合成樹脂製容器

【課題】容器胴部の周方向に沿って巻き付けて巻きラベルを装着する際に、巻きラベルにシワが生じてしまうなどの外観不良を抑止することができる合成樹脂製容器を提供する。
【解決手段】胴部4の巻きラベルが装着される部位Lの高さ方向ほぼ中央を含む所定の範囲において、胴部4の周長が、巻きラベルが装着される部位Lの高さ方向ほぼ中央に向かって短くなっていくようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器胴部に帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いてプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品を内容物とする飲料用容器として知られている。
【0003】
また、この種の容器は、内容物が充填密封されるとともに、内容物を表示する種々のラベルが装着されて市場に供されており、そのようなラベルの一つとして、帯状に切り揃えられたラベルを容器の胴部に巻き付けて装着する、いわゆる、巻きラベルと称されるものが知られている(特許文献1参照)。そして、そのような巻きラベルを容器に装着するには、例えば、始端側と終端側とに接着剤が塗布された巻きラベルを吸着ドラムに吸引保持し、自転しながら搬送されてくる容器の周面に巻きラベルの始端を押し当てて接着し、容器の自転により吸着ドラムから巻き取るようにしながら容器の周方向に沿って巻き付け、巻きラベルの終端を容器の周面に押し当てて接着することによって装着することができる(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−22662号公報
【特許文献2】特開2002−104349号公報
【特許文献3】特開2008−37439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者が鋭意検討を重ねたところ、上記したようにして巻きラベルを装着するにあたっては、容器のわずかな形状の変化が、装着されたラベルの外観の良否に影響を及ぼしているという知見を得るに至った。
【0006】
すなわち、それ自身が伸縮して容器形状に追随するストレッチラベルやシュリンクラベルとは異なり、巻きラベルの多くは、それ自身の伸縮を伴わずに容器に巻き付けられていく。このため、容器に巻き付けられていく際に容器形状に追随できない巻きラベルにシワが生じてしまうことが危惧される。特に、内容物を高温で充填(ホットパック)した場合には、容器胴部の高さ方向ほぼ中央がラグビーボール状に膨張するように変形してしまう傾向があり、この場合、ラベル中央付近に張力が集中した状態で巻き付けられるため、ラベルの上端側、下端側にシワや位置ずれが発生したり、中央付近の終端側でシワが発生したりすることがある。近年、この種の容器の軽量化、薄肉化に伴って、そのような変形が生じやすくなっているが、このような容器形状の変化が、容器に装着された巻きラベルにシワなどの外観不良を生じる原因になっていることに本発明者は着目した。
【0007】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、容器胴部の周方向に沿って巻き付けて巻きラベルを装着する際に、巻きラベルにシワが生じてしまうなどの外観不良を抑止することができる合成樹脂製容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部及び底部を備え、前記胴部に帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器であって、巻きラベルが装着される範囲において、前記胴部の周長が、巻きラベルが装着される範囲の高さ方向ほぼ中央に向かって短くなっていく構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器胴部の周方向に沿って巻きラベルを巻き付けて装着する際に、巻きラベルにシワが生じてしまうのを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る合成樹脂製容器の実施形態の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
【0012】
本実施形態において、容器1は、例えば、公知の射出成形や圧縮成形などにより製造された、熱可塑性樹脂からなる有底筒状のプリフォームを二軸延伸ブロー成形するなどして、図示するような、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えた所定の容器形状に成形される。
【0013】
容器1を成形するのに使用する熱可塑性樹脂としては、延伸ブロー成形が可能であれば、任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリ乳酸又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル,これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用することができる。
【0014】
図示する例において、口部2は、円筒状とされ、このような口部2の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのねじ山が、蓋体取り付け手段として設けられている。これにより、内容物を充填した後に、蓋体を口部2に取り付けることによって、容器1内を密封できるようになっている。
【0015】
また、肩部3は、口部2と胴部4との間に位置し、口部2の直下から拡径しながら胴部4に連続するように形成されている。胴部4は、容器1の高さ方向の大半を占める部分であり、特に図示しないが、高さ方向に直交する横断面が、角部を丸めた方形となるようにしている。これにより、容器1は、角型ボトル状の容器形状とされている。そして、このような胴部4には、容器1に充填密封される内容物を表示するための巻きラベルが装着される。
なお、胴部4の側面には、減圧吸収パネルや補強リブなど、必要に応じて適宜凹凸形状をもうけることができる。また、本発明において、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向をいうものとする。
【0016】
帯状に切り揃えられた当該巻きラベルが装着される範囲を図1に符号Lで示すが、本実施形態にあっては、巻きラベルが装着される範囲Lにおいて、胴部4の周長が、巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向ほぼ中央に向かって短くなっていくようにしている。
ここで、胴部4の周長は、巻き尺のような測定器具を用いて、胴部4の周囲を高さ方向に直交する方向に沿って測定したときの長さをいうものとし、胴部4の側面に形成された凹凸形状を忠実になぞって測定された長さではない。
【0017】
そして、このときの巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向ほぼ中央における周長は、内容物を充填密封して胴部4に巻きラベルを装着する際に、胴部4が膨張するように変形しても、膨張した胴部4の最大周長を超えないように適宜調整するものとする。このためには、内容物が充填密封される前の状態において、巻きラベルが装着される範囲Lの上端側における胴部4の周長と、下端側における胴部4の周長とが等しくなるとともに、巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向ほぼ中央の周長を、当該上端側又は下端側における胴部4の周長の95.0〜99.9%とするのが好ましく、より好ましくは99.0〜99.9%である。
また、内容物を充填密封した際に胴部4が膨らんでしまっても、そのときの胴部4の最大周長が、巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向の上端側及び下端側の胴部4の周長に対して+2.5%程度までとなるように適宜調整するのが好ましく、より好ましくは+1%以内、特に好ましくは当該上端側及び/又は下端側の胴部4の周長を越えないようにする。充填密封前の胴部の周長を上記の範囲とすれば、充填時の変形の調整が容易になる。
【0018】
このようにすることで、内容物を充填密封して胴部4に巻きラベルを装着する際に、胴部4が膨張するように変形しても、巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向ほぼ中央における胴部4の側面が、容器内方に凸となるように湾曲しているため、胴部4の側面に巻きラベルを巻き付けていく際に、巻きラベルの幅方向中央に対して巻きラベルの両端縁が引っ張られるようになり、これによって、巻きラベルにシワが生じないようにすることができる。
ただし、巻きラベルが装着される範囲Lの高さ方向ほぼ中央の周長が、前述した範囲から外れて短くなり過ぎてしまうと、ラベルがだぶつき、却ってシワが発生しやすくなってしまう傾向にある。
【0019】
また、図1に示す例では、巻きラベルが装着される部位Lの高さ方向ほぼ中央を径方向に絞り込むようにしてウェスト部40を設けており、このウェスト部40によって、上胴部4aと下胴部4bとに分けられている。このようなウェスト部40は、容器1の高さ方向ほぼ中央付近の剛性を高めるために胴部4の周方向に沿って設けられる。
このような態様にあっては、ウェスト部40を跨いで巻きラベルを装着するにあたり、上胴部4aとウェスト部40との境界における周長を、巻きラベルが装着される範囲Lの上端側における胴部4の周長の95.0〜99.9%、より好ましくは99.0〜99.9%とし、下胴部4bとウェスト部40との境界における周長を、巻きラベルが装着される範囲Lの下端側における胴部4の周長の95.0〜99.9%、より好ましくは99.0〜99.9%とし、これによって、胴部4の周長が、巻きラベルが装着される部位Lの高さ方向ほぼ中央に向かって短くなっていくようにするのが好ましい。
【0020】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0021】
例えば、前述した実施形態では、胴部4の高さ方向に直交する横断面を方形として角形ボトル状の容器としているが、当該横断面を円形状として、容器1を丸型ボトル状の容器形状とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のような本発明に係る合成樹脂製容器は、巻きラベルが装着される種々の合成樹脂製容器に適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
4a 上胴部
4b 下胴部
40 ウェスト部
5 底部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部及び底部を備え、前記胴部に帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器であって、
巻きラベルが装着される範囲において、前記胴部の周長が、巻きラベルが装着される範囲の高さ方向ほぼ中央に向かって短くなっていくことを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
巻きラベルが装着される範囲の上端側における前記胴部の周長と、下端側における前記胴部の周長とが等しくなるとともに、
巻きラベルが装着される範囲の高さ方向ほぼ中央の周長を、前記上端側又は前記下端側における前記胴部の周長の95.0〜99.9%とした請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記胴部が、巻きラベルが装着される部位の高さ方向ほぼ中央を径方向に絞り込むようにして設けられたウェスト部によって、上胴部と下胴部とに分けられており、
前記ウェスト部を跨いで巻きラベルを装着するにあたり、
前記上胴部と前記ウェスト部との境界における周長が、巻きラベルが装着される範囲の上端側における前記胴部の周長の95.0〜99.9%であり、前記下胴部と前記ウェスト部との境界における周長が、巻きラベルが装着される範囲の下端側における前記胴部の周長の95.0〜99.9%である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
内容物を充填密封して前記胴部に巻きラベルを装着する際に、前記胴部が膨張するように変形したときの最大周長が、巻きラベルが装着される範囲の高さ方向上端側における前記胴部の周長、及び/又は下端側における前記胴部の周長を超えない請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。


【図1】
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【公開番号】特開2011−255934(P2011−255934A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132647(P2010−132647)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】