説明

合流式下水道用内副管装置

【構成】 合流式下水道用内副管装置10は、上部開口の漏斗状に形成される下水受部12およびその下端に形成される立管部14を含む。下水受部12は、マンホール100に接続される流入管104の管底110を基準として取り付けられ、その上端20は、マンホール中心側がマンホール壁面側より所定寸法下がる高低差を有する。この高低差の所定寸法は、晴天時の下水が合流式下水道用内副管装置10内に全量流入する範囲内で、下水受部12のマンホール中心側の上端20を最大限下げるように設定される。これによって、下水の流量および流速が増す雨天時には、下水は、合流式下水道用内副管装置10の管壁にほとんど衝突することなく、合流式下水道用内副管装置10を超えてマンホール100内に直接流入するようになる。
【効果】 マンホール底面の浸食や損傷を抑制しながらも、雨天時の下水の負荷による合流式下水道用内副管装置の破損を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は合流式下水道用内副管装置に関し、特にたとえば、合流式下水道のマンホールの内壁面に取り付けられる、合流式下水道用内副管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の合流式下水道用内副管装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の技術は、マンホールの内壁面に取り付けられる上部開口の内副管用継手(合流式下水道用内副管装置)に関し、流入管に対向する壁面を、流入管の管底部より上の部分においてなくしたことを特徴としている。特許文献1の技術によれば、流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていないことによって、流入管の中を直接目視することができ、合流式下水道用内副管装置を外すことなく流入管の点検や掃除を行えるので、下水管路の維持管理を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−100410号公報 [E03F 5/02]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
合流式の下水道においては、雨天時には、生活排水などに加えて雨水も下水管路に合流するため、下水の流量および流速が増す。このため、流入管から合流式下水道用内副管装置に下水が流入する際には、下水が勢いよく合流式下水道用内副管装置の管壁に衝突してしまうので、特許文献1の技術などの従来の合流式下水道用内副管装置では、雨天時の下水の衝突による負荷によって破損してしまう恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、合流式下水道用内副管装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、雨天時の下水の負荷による破損を防止できる、合流式下水道用内副管装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、マンホールの内壁面に取り付けられる合流式下水道用内副管装置であって、上部開口の漏斗状に形成され、マンホールに接続される流入管の管底を基準として取り付けられる下水受部、および下水受部の下端に形成される立管部を備え、下水受部の上端は、マンホール中心側がマンホール壁面側より所定寸法下がる高低差を有する、合流式下水道用内副管装置である。
【0009】
第1の発明では、合流式下水道用内副管装置(10)は、下水受部(12)および立管部(14)を備え、マンホール(100)の内壁面(102)に取り付けられて、マンホール底面(108)の摩耗や損傷、および下水の飛散を防ぐ。下水受部は、上部開口の漏斗状に形成され、下水受部の上端(20)は、マンホール中心側がマンホール壁面側より所定寸法下がる高低差を有する。この下水受部は、マンホールに接続される流入管(104)の管底(110)を基準として取り付けられる。つまり、合流式下水道用内副管装置をマンホールに取り付ける際には、下水受部の上端が流入管の管底に接するように取り付けられる。これにより、下水受部のマンホール中心側の上端は、流入管の管底より所定寸法下がる状態となる。
【0010】
下水受部の上端に形成される高低差の所定寸法は、たとえば、晴天時の下水の全量が合流式下水道用内副管装置内に流入する範囲内で、下水受部のマンホール中心側の上端を最大限下げるように設定される。このように下水受部のマンホール中心側の上端を下げることによって、下水の流量および流速が増す雨天時には、下水は、合流式下水道用内副管装置の管壁にほとんど衝突することなく、合流式下水道用内副管装置を超えてマンホール内に直接流入するようになる。
【0011】
第1の発明によれば、通常水量である晴天時には、下水の全量を合流式下水道用内副管装置内に流入させ、下水の勢いが増す雨天時には、マンホール内に下水を直接流入させるので、マンホール底面の浸食や損傷を抑制しながらも、雨天時の下水の負荷による合流式下水道用内副管装置の破損を防止できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、下水受部のマンホール中心側上端の高さ位置は、晴天時の計画最大流量の下水が、実質的に全て下水受部内に流入する最低位の高さ位置に設定される。
【0013】
第2の発明では、下水受部(12)の上端(20)に形成される高低差の所定寸法は、晴天時の計画最大流量の下水が、合流式下水道用内副管装置(10)内に全量流入する範囲内で、下水受部のマンホール(100)中心側の上端を最大限下げるように設定される。晴天時における計画最大流量の下水全量を合流式下水道用内副管装置に流入できるように、下水受部のマンホール中心側の上端の高さ位置を設定することによって、晴天時の下水を確実に合流式下水道用内副管装置に流入できる。
【0014】
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、下水受部の上端は、マンホール中心側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
【0015】
第3の発明では、下水受部(12)の上端(20)に形成される高低差は、傾斜面によって形成される。これによって、第1の発明と同様の作用効果を奏する。
【0016】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明に従属し、下水受部の上端は、マンホール中心側が下がる段差面を有する。
【0017】
第4の発明では、下水受部(12)の上端(20)に形成される高低差は、段差面によって形成される。これによって、第1の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、下水受部の上端に所定寸法の高低差を形成することによって、下水受部のマンホール中心側の上端を流入管の管底より所定寸法下げるようにし、通常水量である晴天時には、下水の全量を合流式下水道用内副管装置内に流入させ、下水の勢いが増す雨天時には、合流式下水道用内副管装置を飛び越えてマンホール内に下水を直接流入させるようにした。したがって、マンホール底面の浸食や損傷を抑制しながらも、雨天時の下水の負荷による合流式下水道用内副管装置の破損を防止できる。
【0019】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例である合流式下水道用内副管装置をマンホール内に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【図2】図1の合流式下水道用内副管装置を示す正面図である。
【図3】図1の合流式下水道用内副管装置を示す側面図である。
【図4】図1の合流式下水道用内副管装置を示す平面図である。
【図5】図1の合流式下水道用内副管装置をマンホール内に取り付けた状態を示す部分拡大正面図である。
【図6】図1の合流式下水道用内副管装置をマンホール内に取り付けた状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】晴天時において、図1の合流式下水道用内副管装置内に通常量の下水が流入する様子を模式的に示す図解図である。
【図8】晴天時において、図1の合流式下水道用内副管装置内に計画最大流量の下水が流入する様子を模式的に示す図解図である。
【図9】雨天時において、図1の合流式下水道用内副管装置内を下水が飛び越える様子を模式的に示す図解図である。
【図10】この発明の他の実施例である合流式下水道用内副管装置を示す(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施例である合流式下水道用内副管装置を示す(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、この発明の一実施例である合流式下水道用内副管装置(以下、単に「内副管装置」という。)10は、合流式下水道のマンホール100の内壁面102に取り付けられ、流入管104から流入する下水を受けて流出管106に導くことにより、マンホール100の底面108の摩耗や損傷、および下水の飛散を防ぐ。
【0022】
図2−4に示すように、内副管装置10は、下水受部12および立管部14を備え、FRP(繊維強化プラスチック)を含む硬質塩化ビニル等の合成樹脂、ステンレス鋼等の金属、およびレジンコンクリート等によって形成される。内副管装置10を製造する際には、FRP成形および射出成形などによって、その全体を一体成形してもよいし、下水受部12および立管部14などの部分ごとに成形して、接着接合などで接続するようにしてもよい。
【0023】
下水受部12は、流入管104から流入する下水を受け入れる受枠となる部分である。下水受部12は、上端20から下端22に向かって徐々に縮径する上部開口の漏斗状に形成され、第1管壁16および第2管壁18を含む。マンホール100壁面側に配置される第1管壁16は、マンホール100の管壁の曲率と同程度の曲率で湾曲し、第1管壁16の外面は、マンホール100の内壁面102に沿うように形成される。また、第1管壁16の両側端を断面U字状に結ぶように、第2管壁18が形成される。この第1管壁16および第2管壁18によって、下水受部12は、上方からの平面視において、幅方向に長く奥行き方向に短い略楕円形状に形成される。
【0024】
また、下水受部12の上端20は、マンホール100中心側に向かって下り勾配となる傾斜面となっている。つまり、下水受部12の上端20は、マンホール100中心側がマンホール100壁面側より所定寸法下がる高低差を有している。なお、第1管壁16の上端中央部は、内副管装置10をマンホール100に取り付ける際に、流入管104の管底110に接するように取り付けられる位置決め部となる。
【0025】
下水受部12の下端22には、立管部14が形成される。立管部14は、直管状の内副管112を接続する部分であり、鉛直方向に延びる短円筒状に形成される。この立管部14は、差口構造を有していてもよいし、受口構造を有していてもよい。
【0026】
また、下水受部12の両側部には、取付部24が形成される。取付部24は、マンホール100に内副管装置10を固定するための部分であり、第1管壁16の両側端から同じ曲率で延びる湾曲板状に形成される。さらに、下水受部12の第1管壁16および取付部24の外面には、パッキン材26が貼りつけられる。パッキン材26としては、EPDM製の樹脂発泡体(たとえば、三和化工株式会社製の「オプシーラー」)等を用いることができる。また、取付部24およびパッキン材26には、複数(この実施例では、左右に2つずつ)の貫通孔28が形成される。ただし、下水受部12の第1管壁16の上部に貫通孔28を形成するようにしてもよい。
【0027】
内副管装置10の大きさは、流入管104やマンホール100の大きさに応じて適宜設定される。この実施例では、内副管装置10に汎用性を持たせ、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化を図るために、管径の異なる複数の流入管104に対して、共通する内副管装置10を使用できるようにしている。
【0028】
たとえば、内径が250−600mmの流入管104に対しては、最も内径が大きい流入管104、つまり内径が600mmの流入管104を流れる下水の水面幅などに基づいて設計した内副管装置10を使用する。この場合、下水受部12の上端20の幅方向の長さは、たとえば450mmであり、下水受部12の上端20の奥行き方向の長さは、たとえば250mmであり、立管部14の内径は、たとえば200mmである。また、たとえば、内径が700−1000mmの流入管104に対しては、内径が1000mmの流入管104を流れる下水の水面幅などに基づいて設計した内副管装置10を使用する。この場合、下水受部12の上端20の幅方向の長さは、たとえば750mmであり、下水受部12の上端20の奥行き方向の長さは、たとえば300mmであり、立管部14の内径は、たとえば250mmである。
【0029】
また、下水受部12の上端20に形成される高低差は、後述するように、下水受部12のマンホール100中心側の上端20を、流入管104の管底110より所定寸法下げるためのものである。この高低差の所定寸法は、流入管104を流れる下水の流量および流速、ならびに下水受部12の上端20の奥行き方向の長さなどを考慮して設定され、晴天時の下水が内副管装置10内に全量流入する範囲内で、下水受部12のマンホール100中心側の上端20を最大限下げるように設定される。たとえば、下水受部12の上端20の奥行き方向の長さが250mmである内副管装置10の場合、下水受部12の上端20に形成される高低差の所定寸法は、4cmである。また、たとえば、下水受部12の上端20の奥行き方向の長さが300mmである内副管装置10の場合、下水受部12の上端20に形成される高低差の所定寸法は、3cmである。
【0030】
つまり、この実施例では、流入管104からマンホール100内に流入する全ての下水を内副管装置10が受け入れなければならないという考えを転換し、通常水量である晴天時には、下水の全量を内副管装置10内に流入させるが、下水の勢い(流量および流速)が増す雨天時には、内副管装置10を飛び越えて、マンホール100内に下水をできるだけ直接流入させるようにしている。
【0031】
下水受部12の上端20に形成される高低差の所定寸法の導出方法の一例を以下に説明する。先ず、この導出方法の前提として、晴天時の下水量としては、晴天時の計画最大流量である管渠満管流量の20分の1の流量を採用した。これは、小台処理区岩淵処理分区(排水区域面積:319.27ヘクタール)の流量表を精査した結果判明した、晴天時の下水量は、管渠満管流量の20分の1以下であるという事実に基づくものであり、晴天時における最大流量の下水全量を内副管装置10に流入できれば、それ以下の流量の下水は確実に内副管装置10に流入できるからである。また、管渠の満管時の流速Vmaxには、3.0m/秒を採用した。これは、下水道施設計画・設計指針と解説において、流速は、計画水量に対して最少0.8m/秒、最大3.0m/秒と定められる一方で、設計時の管渠断面は、計画下水量の計画時間最大汚水量と計画雨水量とで決定されるからである。
【0032】
また、下水の流速、すなわち下水が流入管104の管底110を飛び出す速度をVとすると、下水がt秒間で内副管装置10の奥行き方向に移動する距離Xは、X=Vtである。さらに、重力加速度をgとすると、下水が流入管104の管底110を飛び出して自由落下により落下する距離Hは、H=1/2gt=1/2g(X/Vである。また、マニング公式による円形管の水理特性曲線から、流量比が5%(流量が満管流量の20分の1)のとき、流速比は52%であり、水深比は15%である。
【0033】
ここで、たとえば、流入管104の内径が600mmであって、内副管装置10の下水受部12の奥行き方向の長さが250mmである場合を考える。内副管装置10の下水受部12のマンホール100中心側の位置、つまり流入管104の管端から奥行き方向に0.25m離れた位置において、下水が自由落下により落下する距離Hは、H=1/2×9.8×(0.25/(3.0×0.52))=0.125m≒13cmである。また、下水は流入管104の管底110を飛び出しても拡散することなく移動すると仮定すると、下水の水深Sは、S=60×0.15=9cmである。つまり、下水の上面は、流入管104の管端から奥行き方向に0.25m離れた位置においては、流入管104の管底110より鉛直方向に4cm下がった位置に位置する。これより、内副管装置10の下水受部12のマンホール100中心側の上端20を、流入管104の管底110より4cm下げるようにしても、晴天時の下水は内副管装置10内に全量流入する。したがって、晴天時の下水が内副管装置10内に全量流入する範囲内で最大限下げるように設定される、下水受部12の上端20に形成される高低差は、4cmとなる。
【0034】
また、たとえば、流入管104の内径が1000mmであって、内副管装置10の下水受部12の奥行き方向の長さが300mmである場合を考える。内副管装置10の下水受部12のマンホール100中心側の位置、つまり流入管104の管端から奥行き方向に0.3m離れた位置において、下水が自由落下により落下する距離Hは、H=1/2×9.8×(0.3/(3.0×0.52))=0.181m≒18cmである。また、下水の水深Sは、S=100×0.15=15cmである。つまり、下水の上面は、流入管104の管端から奥行き方向に0.3m離れた位置においては、流入管104の管底110より鉛直方向に3cm下がった位置に位置するので、上記と同様に考えて、下水受部12の上端20に形成される高低差は、3cmとなる。
【0035】
図1、図5および図6を参照して、内副管装置10をマンホール100に設置する設置方法を以下に説明する。内副管装置10をマンホール100に取り付ける際には、流入管104の管底110を基準として取り付ける。具体的には、下水受部12の第1管壁16の外面をマンホール100の内壁面102に沿わせながら、第1管壁16の上端中央部が、流入管104の管底110に接するように(面一となるように)位置決めする。そして、取付部24および下水受部12に形成した貫通孔28にアンカーボルト114を挿通し、アンカーボルト114を締め付けることにより、内副管装置10をマンホール100の内壁面102に固定する。このとき、マンホール100の内壁面102と下水受部12および取付部24の外面とによってパッキン材26が圧着されて、この部分の止水性が保持される。また、下水受部12の第1管壁16の上端中央部が流入管104の管底110に接するように、内副管装置10をマンホール100に取り付けることによって、下水受部12の第2管壁18の上端中央部、つまり下水受部12のマンホール100中心側の上端20は、流入管104の管底110より所定寸法下がる。
【0036】
内副管装置10の取付作業が終わると、続いて、内副管装置10に内副管112,116を接続して、下水を流出管106へと導く下水管路を形成する。たとえば、内副管装置10の立管部14に直管状の内副管112を接合し、直管状の内副管112にエルボ状の内副管116を接合してから、固定金具118によって直管状の内副管112をマンホール100の内壁面102に固定する。
【0037】
このように内副管装置10を取り付けたマンホール100においては、晴天時に、流入管104から通常水量の下水が流れてくると、図7に示すように、下水は下水受部12の上部開口から内副管装置10内に流入する。そして、漏斗状に形成される下水受部12内を滑らかに流れ、直管状およびエルボ状の内副管112,116を通って、流出管106から流出する。また、晴天時の計画最大流量の下水が流れてきても、図8に示すように、実質的に全ての下水が、下水受部12の上部開口から内副管装置10内に流入する。これにより、流入管104から流入した下水がマンホール100の底面108に打ちつけられることによる、マンホール100の底面108の浸食や損傷を抑制できる。また、内副管装置10によって下水の飛散を防止できるので、晴天時にマンホール100内で維持管理などを行う作業者の作業性を向上させることができる。
【0038】
一方、雨天時には、下水の流量および流速が増すので、図9に示すように、下水は流入管104から勢いよく飛び出す。下水受部12のマンホール100中心側の上端20が所定寸法下げられているため、内副管装置10内には、多くとも晴天時の計画最大流量の下水が流入するだけであり、下水の大部分は、内副管装置10を飛び超えてマンホール100内に直接流入する。つまり、雨天時の下水は、内副管装置10の管壁(下水受枠12の第2管壁18)にあまり衝突しない。これにより、雨天時の下水の負荷による内副管装置10の破損を防止できる。
【0039】
この実施例によれば、下水受部12の上端20に所定寸法の高低差を形成することによって、下水受部12のマンホール100中心側の上端20を流入管104の管底110より所定寸法下げるようにし、通常水量である晴天時には、下水の全量を内副管装置10に流入させ、水の勢いが増す雨天時には、内副管装置10を飛び越えてマンホール100内に下水を直接流入させるようにした。したがって、マンホール100の底面108の浸食や損傷を抑制しながらも、雨天時の下水の負荷による内副管装置10の破損を防止できる。
【0040】
また、下水受部12の上端20に所定寸法の高低差を形成することによって、下水受部12の第1管壁16の上端中央部が流入管104の管底110に接するように内副管装置10を取り付けるだけで、下水受部12のマンホール100中心側の上端20を流入管104の管底110より所定寸法下げるようにすることができる。たとえば、下水受部12の上端20に所定寸法の高低差を形成せずに、内副管装置10自体を流入管104の管底110から所定寸法下げて取り付けることを考えると、マンホール100内は狭隘なので、そのような場所で正確に所定寸法を計測して内副管装置10を設置することは困難である。また、内副管装置10を流入管104の管底110より所定寸法下げて設置する内副管装置10の設置方法を、作業者に周知徹底することも困難であるので、設置の態様によって内副管装置10の取付効果にばらつきが生じてしまう恐れがある。しかし、この実施例によれば、上述のように内副管装置10の位置決めを簡単に行うことができるので、内副管装置10の設置態様および設置効果のばらつきをなくすことができる。
【0041】
さらに、下水受部12を上部開口の漏斗状に形成し、下水受部12のマンホール100中心側の上端20をマンホール100壁面側の上端20より下げるように形成したので、作業者は、内副管装置10内および流入管104内を直接に見ながら、内副管装置10および流入管104の掃除や点検などを行うことができる。したがって、内副管装置10および流入管104の維持管理を容易に行うことができる。
【0042】
なお、上述の実施例では、傾斜面によって下水受部12の上端20に高低差を設けたが、これに限定されない。たとえば、図10に示す他の実施例のように、上端20に段差面を形成することによって高低差を設けることもできる。この際、上端20に段差を設ける位置は、図10に示すように第1管壁16と第2管壁18との接続位置であってもよいし、第1管壁16または第2管壁18であってもよい。ただし、第2管壁18の上端に段差を設ける場合には、雨天時の下水が通過できるだけの幅間隔を開けるようにする必要がある。
【0043】
また、第2管壁18の上端全長に亘る傾斜面を形成することにも限定されず、図11に示すように、第2管壁18の上端の一部に傾斜面を形成することもできる。さらに、下水受部12の上端20に形成する傾斜面は、第1管壁16の上端に形成することもできるし、第1管壁16および第2管壁18の上端に亘るように形成することもできる。また、傾斜面と段差面とを組み合わせて下水受部12の上端20に高低差を設けることもできる。
【0044】
また、上述の各実施例では、下水受部12は、平面視で幅方向に長く奥行き方向に短い略楕円形状に形成した。しかし、これに限定されず、下水受部12は、平面視で円形状であってもよいし、方形状であってもよい。
【0045】
なお、上述した内副管装置10の寸法を規定する具体的数値は、あくまでも一例であり、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 …合流式下水道用内副管装置
12 …下水受部
14 …立管部
20 …下水受部の上端
24 …取付部
100 …マンホール
104 …流入管
110 …流入管の管底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの内壁面に取り付けられる合流式下水道用内副管装置であって、
上部開口の漏斗状に形成され、前記マンホールに接続される流入管の管底を基準として取り付けられる下水受部、および
前記下水受部の下端に形成される立管部を備え、
前記下水受部の上端は、前記マンホール中心側が前記マンホール壁面側より所定寸法下がる高低差を有する、合流式下水道用内副管装置。
【請求項2】
前記下水受部のマンホール中心側上端の高さ位置は、晴天時の計画最大流量の下水が、実質的に全て前記下水受部内に流入する最低位の高さ位置に設定される、請求項1記載の合流式下水道用内副管装置。
【請求項3】
前記下水受部の上端は、前記マンホール中心側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する、請求項1または2記載の合流式下水道用内副管装置。
【請求項4】
前記下水受部の上端は、前記マンホール中心側が下がる段差面を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の合流式下水道用内副管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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