説明

合理的に設計された抗体

生物学的に活性なペプチドと置換されたまたは融合された少なくとも2つのCDR領域を有する抗体またはそれらのフラグメントが記載される。このような抗体またはそれらのフラグメントを含有する組成物は、治療様相および診断様相において有用である。2つの相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部に相当するアミノ酸残基がペプチド模倣物と置換されている領域を含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、該ペプチド模倣物が、EPO模倣物およびTPO模倣物からなる群から選択される、免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国出願番号10/006,593の一部継続出願であり、米国出願番号10/006,593は、2001年12月5日に出願されており、これは、米国暫定特許出願番号60/251,448(2000年12月5日出願)、および米国暫定特許出願番号60/288,889(2001年5月4日出願)、および米国暫定特許出願番号60/294,068(2001年5月29日出願)に対して優先権を主張している。これらの3つの暫定出願の開示内容は、この参照によって、その全体が本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、診断試薬および治療試薬としての抗体分子および生物学的活性ペプチドに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
抗体は、Bリンパ球によって生成され、感染に対して防御する。抗体は、数百万物の形態で生成され、これら形態は、各々、異なるアミノ酸配列を有する。抗体分子は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖で構成される。酵素パパインによって消化される場合、2つの同一のFabフラグメントが、1つのFcフラグメントと一緒に生成される。酵素ペプシンで消化される場合、1つのF(ab’)フラグメントが生成される。軽鎖および重鎖は、定常領域および可変領域からなる。可変領域内に、抗原結合部位を形成する超可変領域(aka相補性決定領域(CDR))がある。可変領域の残りの部分は、フレームワーク領域と称される。
【0004】
重要な生物学的機能(例えば、レセプター結合、活性化、および酵素活性)は、しばしば、より大きなタンパク質分子の不連続の領域(これは、限定された数のアミノ酸残基を含む)に起因し得る。結合、活性化、または酵素活性を示すペプチドがまた、アミノ酸残基のランダム連結により生成されたペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって発見された。これらのペプチドは、同様の生物学的活性を示す、より大きなタンパク質中のアミノ酸の線状の配置に対応していなくてもよく、これは、不連続ペプチドエピトープまたはミモトープと称される。特定のペプチド模倣物が記載されており、クローニングされている。例えば、以下を参照のこと:米国特許番号6,083,913(トロンボポイエチン(TPO)模倣物)、米国特許番号5,835,382(エリスロポイエチン(EPO)模倣物)、米国特許番号5,830,851(EPO模倣物)およびWrightonら,Science,(1996)273:458−63。ペプチドエピトープおよびミモトープは、それらの小さなサイズに起因して、おそらく、治療試薬としての使用のために、大きなタンパク質分子よりも有利である。しかし、治療薬としてこれらのペプチドを用いる結果は、しばしば、満足いくものではないことがある。治療試薬としてのペプチドの使用に対する1つの欠点は、通常、それらがインビボで不安定である(すなわち、血清からのそれらのクリアランス速度が、かなり迅速であり得る)ことである。さらに、より大きな分子に融合される場合、ペプチドの活性(治療薬またはそれ以外)を推定することが困難である。なぜなら、コンフォメーションの変化および他の分子力が、ペプチドの活性に干渉し得るか、または完全に打ち消し得るからである。抗体のCDR領域に特定のポリペプチドを導入する試みがなされている。例えば、PCT出願 WO 94/18221を参照のこと。しかし、前に言及したように、周囲アミノ酸によって引き起こされ得るコンフォメーションの変化に起因して、活性ポリペプチドの生物学的活性は消失され得るか、または打ち消され得る。従って、本明細書中における目的は、診断試薬および治療試薬としての使用のための生物学的に活性なペプチドを含む、合理的に設計された抗体またはそのフラグメントを提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本明細書中に、生物学的に活性なペプチドの活性を模倣する生物学的に活性な組換え抗体およびそれらのフラグメント、このような抗体を作製する方法、ならびに治療および診断におけるそれらの使用のための方法が提供される。これらの抗体およびそれらのフラグメントは、単離されたペプチドの不利点のいくつかを受けない。なぜなら、抗体は、天然には、血清半減期が長く、そしてそれらの標的の結合において特異性が高いからである。驚くべきことに、抗体分子中に、組み合わされた標的ペプチドの周囲の特定アミノ酸を組み込むこが、ペプチドの生物学的活性を実際に増大させることが見出された。
【0006】
免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントは、関心のあるペプチドを、抗体分子の相補性決定領域(CDR)に挿入している。抗体分子は、ペプチドの提示のための足場として働き、ペプチドに増強された安定性を付与する。必要に応じて、ペプチドは、CDR領域のアミノ酸の全てを置換するか、または既存のCDRに付加されることもあり、それにより、本来の抗原特異性が破壊される。ここで、このCDR領域は、2つの受け入れられているスキームのいずれかによって定義される(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunologics Interest,5th ed(1991),NIH Publication 91−3242およびChothiaら.J.Mol.Bio(1992)(227)776−98を参照のこと)。さらに、ペプチドに隣接し、かつ抗体フレームワークにおいて最適なペプチド提示のスクリーニングを可能にするさらなるアミノ酸が、ランダムに導入され得る。驚くべきことに、特定の場合では、ペプチドに隣接するプロリンが、生物学的活性の増大を提供することが見出された。
【0007】
特定の実施形態では、免疫分子またはフラグメントは、1つの相補性決定領域(CDR)に相当するアミノ酸残基を、生物学的に活性な造血性ペプチドまたは血小板形成性(thrombopoietic)ペプチドを構成するアミノ酸残基と置換している。別の特定の実施形態では、少なくとも2つの相補性決定領域(CDR)に相当するアミノ酸残基が、各々が、このような生物学的に活性なペプチドを構成するアミノ酸残基によって置換される。1つの免疫グロブリン分子またはそのフラグメントにおいて、1つ以上の相補性決定領域が、ペプチドと置換され得る;例えば、重鎖のCDR3、軽鎖のCDR3、重鎖および軽鎖の両方のCDR3、重鎖のCDR2およびCDR3、または軽鎖のCDR2およびCDR3。置換されるCDR領域の他の組み合わせもまた可能であり、これには、CDR1の置換が含まれる。さらに、CDRの置換の代わりに、なお、元の抗原特異性を破壊しながらも、アミノ酸残基を実際に置換することなく、ペプチドをネイティブCDRに付加し得る。
【0008】
従って、1つの局面では、プロリンをそのカルボキシ末端に付加して、プロリン伸長した生物学的に活性なペプチドを形成することにより、活性が増強された生物学的に活性なペプチドが提供され、この生物学的に活性なペプチドは、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントにおける少なくとも1つのCDR領域の少なくとも一部を置換するかまたはこれに付加するために使用される。別の局面では、少なくとも1つのネイティブCDR領域に対する置換物として、TPO模倣物ペプチドまたはEPO模倣物ペプチドのいずれかを有する、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントが提供される。この局面では、TPO模倣物ペプチドまたはEPO模倣物ペプチドは、必要に応じて、本明細書中に記載のように、プロリン伸長され得る。
【0009】
さらなる特定の実施形態では、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントは、Fab、ScFv、重鎖可変領域、軽鎖、または全IgG分子である。免疫グロブリン分子またはそのフラグメントはまた二量体化ドメインを有し得、これにより、1つのみのCDRをペプチドと置換された免疫グロブリン分子が、二量体化すること、従って、活性化のために二量体化を必要とするレセプターを活性化させることができる。
【0010】
特定の実施形態では、生物学的に活性なペプチドは、線状ペプチドエピトープまたは不連続ペプチドエピトープであり得る。さらに、生物学的に活性なペプチドは、CDR領域に代わるように置換される場合、プロリンに加えて、ペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシル末端に直近の1つ、2つ、またはそれ以上のさらなる隣接アミノ酸残基を有し得、これらアミノ酸残基は、ペプチドと免疫グロブリンフレームワーク領域残基との間に(すなわち、CDRと、隣接するフレームワークとの間の接合があった場所に位置する。隣接アミノ酸残基は、代表的には、活性ペプチド中に存在しない。好ましい隣接アミノ酸残基が既知である場合、隣接アミノ酸残基は、それらの特定のアミノ酸残基を表示するコドンによってコードされる。しかし、複数のアミノ酸残基を表示するコドン(例えば、NNK、NNY、NNR、NNSなど)を最初に使用することにより、単に隣接残基が互いに異なるペプチドのコレクションが生成される。隣接アミノ酸残基は、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントにおけるペプチドの提示を決定し得、従って、ペプチドによって示される結合および/または生物学的活性に影響し得る。隣接アミノ酸のこのランダムコレクションは、抗体フレームワーク中にペプチド配列を提示する最良の状況の選択を可能にし、この状況により、標的分子への特異的結合および最適な生物学的活性の明示を生じる。共通ペプチドを有するが異なる隣接アミノ酸残基を有する免疫グロブリンのライブラリーのスクリーニングが、当業者によって公知であり、そして本明細書中に記載されるような結合アッセイ、増殖アッセイ、および活性化アッセイを用いて実施され得る。
【0011】
CDRを構成するアミノ酸残基を置換するペプチドは、標的分子に特異的に結合し、かつ抗体フレームワーク中への組み込みによってその有用性が変更され得る任意のペプチドであり得る。このペプチドはまた、比活性(例えば、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性、酵素活性など)を示し得る。特定の実施形態では、ペプチドは、細胞表面レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニストである。例えば、細胞表面レセプターは、サイトカイン、増殖因子、または増殖インヒビターに対するものであり得る。
【0012】
特に有用な実施形態では、CDRの少なくとも一部をペプチドと置換することにより、アゴニストとして作用する抗体が提供される。CDRの少なくとも一部を置換するために使用されるペプチドは、それ自体、アゴニスト特性を有し得る。あるいは、ペプチドは((レセプターに特異的に結合するけれども)アゴニスト活性を示さないものであり得る。むしろ、アゴニスト活性は、ペプチドがCDRの少なくとも一部に対して置換され、従って、操作された抗体中に存在する場合にのみ示され得る。このような実施形態では、ペプチドに隣接するプロリンの存在または不在は、決定的ではないが、いくつかの場合では、好ましいものであり得る。
【0013】
従って、1つの局面では、本開示は、1つ以上のCDRで挿入された、またはその少なくとも一部の代わりに挿入された少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドを含むように操作された抗体フレームワークを含むアゴニスト抗体を提供する。生物学的に活性なペプチドは、抗体フレームワークへの挿入前に、アゴニスト活性を示しても示さなくてもよい。特定の実施形態では、抗体フレームワークは、互いと二量体化し得る2つのペプチドを含むように操作される。
【0014】
なお別の局面では、本開示は、相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部に相当するアミノ酸残基が生物学的に活性なペプチドと置換されている領域を含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、それにより、該免疫グロブリン分子またはそのフラグメントがアゴニスト活性を示す、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを提供する。生物学的に活性なペプチドは、抗体フレームワークへの挿入前に、アゴニスト活性を示しても示さなくてもよい。特に有用な実施形態では、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントは、c−mplアゴニスト活性を示す。
【0015】
なお別の局面では、本開示は、相補性決定領域(CDR)に挿入された生物学的に活性なペプチドを含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、それにより、該免疫グロブリン分子またはそのフラグメントがアゴニスト活性を示す、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを提供する。
【0016】
なお別の局面では、本開示は、相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部に相当するアミノ酸残基が生物学的に活性なペプチドと置換されている領域を含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、それにより、該免疫グロブリン分子またはそのフラグメントがc−mplアゴニスト活性を示す、免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを提供する。
【0017】
さらなる特定の実施形態では、CDRのアミノ酸を置換するペプチドは、アゴニストTPO模倣物ペプチドである。1つのこのようなアゴニストペプチドは、少なくとも配列
【0018】
【化1】

(配列番号1)を有する。TPOアゴニスト模倣物ペプチドについて、他の配列は可能であり、これらは、当業者によって公知であり、そして本明細書中に記載されるような結合アッセイ、増殖アッセイ、および活性化アッセイを用いて見出され得る。アゴニストTPO模倣物ペプチドは、CDR領域中に位置した場合、ペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端に、免疫グロブリンフレームワーク残基に共有結合されるようになる1つ以上のさらなるアミノ酸残基を有し得る。1つのこのようなTPO模倣物ペプチドは、さらなるプロリン残基をカルボキシル末端に付加している;
【0019】
【化2】

(配列番号2)。他の免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントは、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および49のアミノ酸配列を含むTPO模倣物ペプチドによって置換されたCDR領域を有する(図5を参照のこと)。
【0020】
CDRのアミノ酸残基を置換し得る別の生物学的に活性なペプチドは、アゴニストEPO模倣物ペプチドである。1つのこのようなEPOアゴニストペプチドは、そのアミノ酸配列として、
【0021】
【化3】

(配列番号3)を有する。EPOアゴニスト模倣物ペプチドについて、他のアミノ酸配列は可能であり、これらは、当業者によって公知であり、そして本明細書中に記載されるような結合アッセイ、増殖アッセイ、および活性化アッセイを用いて見出され得る。アゴニストEPO模倣物ペプチドもまた、CDR領域中に位置した場合、ペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端に、免疫グロブリンフレームワーク残基に共有結合されるようになる1つ以上のさらなるアミノ酸残基を有し得る。従って、特定の実施形態では、本明細書中に提供されるのは、CDR領域をTPOまたはEPO模倣物ペプチドと置換している免疫グロブリン分子(IgG)またはフラグメント(例えば、Fab、scFv、重鎖または軽鎖)である。例えば、TPOペプチドは、少なくとも配列
【0022】
【化4】

(配列番号1)を含み得、そして、必要に応じて、即下流の位置に、さらなるプロリンをさらに有し得る。EPO模倣物は、少なくとも、配列
【0023】
【化5】

(配列番号3)を包含する。同様に、それは、必要に応じて、即下流の位置に、さらなるプロリンを有し得る。
【0024】
本開示に従って、任意の免疫グロブリン分子(抗体)またはそのフラグメントが、おそらく、フレームワークを提供し得、そしてCDRをペプチドと置換し得る。治療用途またはインビボでの診断用途のために、抗体はヒト起源であるか、またはヒト化されることが好ましい(例えば、抗破傷風トキソイド免疫グロブリン)。さらに、ペプチドに結合されるさらなる隣接アミノ酸の存在とは独立して、またはその存在と共に、免疫グロブリンの他の領域(他のCDR領域(1つまたは複数)および/またはフレームワーク領域)中の1つ以上のアミノ酸残基が、免疫グロブリン分子の背景においてペプチドによって示される結合、活性、および/または発現を改変するように変更され得る。
【0025】
生物学的に活性な組換え抗体および/またはそれらのフラグメントの構築後、このような組換え体は、抗体の生物学的活性を変更するように配列中の1つ以上の点に変異を導入するために、当該分野で公知のランダム化方法に供され得ることが企図される。ランダム化方法(例えば、本明細書中に開示された方法)を用いるこのような変異の生成後、得られた組換え体は、結合アッセイ、増殖アッセイ、発現アッセイ、および活性化アッセイを用いて、活性についてアッセイされ得る。
【0026】
さらに、1つ以上のCDR領域のアミノ酸を生物学的に活性なペプチドによって置換している免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントをコードする核酸分子が提供される。これらの核酸分子は、発現ベクター中に存在し得、このベクターは、これらの分子の発現のために組換え宿主細胞中に導入(トランスフェクト)され得る。また、生物学的に活性なペプチドを含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを生成する方法が提供され、この方法は、細胞内に含まれる核酸が発現されるような条件下で、組換え宿主細胞を培養する工程を包含する。
【0027】
また、CDRに相当するアミノ酸残基をTPOまたはEPO模倣物ペプチドを構成するアミノ酸残基と置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントと、薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物が提供される。
【0028】
さらに、複数のCDRの置換に適したさらなる隣接残基を有するEPO模倣物ペプチドが提供される。また、これらのペプチドをコードする核酸分子が提供される。
【0029】
さらに、アゴニスト活性を示すように免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを操作する方法であって、ここで生物学的に活性なペプチドが、軽鎖および/または重鎖の1つ以上のCDR領域の少なくとも一部を置換する、方法が、提供される。この方法は、生物学的に活性なペプチドをコードする核酸分子を、免疫グロブリン重鎖または軽鎖をコードする核酸分子の少なくともCDR領域の代わりに挿入する工程あるいは当該分子をネイティブCDR配列に付加する工程と、次いで免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメインをその相補性可変領域ドメインと共にコードする核酸分子を、2つのドメインが会合するように、発現させる工程とを包含する。
【0030】
さらに、生物学的に活性なTPOまたはEPOペプチドの活性(特性)を示すように免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントを操作する方法であって、ここで生物学的に活性なペプチドが、軽鎖および/または重鎖の1つ以上のCDR領域を置換する、方法が、提供される。この方法は、生物学的に活性なペプチドをコードする核酸分子を、免疫グロブリン重鎖または軽鎖をコードする核酸分子のCDR領域の少なくとも一部の代わりに挿入する工程、あるいは当該分子をネイティブCDR配列に付加する工程と;免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメインをその相補性可変領域ドメインと共にコードする核酸分子を、2つの鎖が会合するように、発現させる工程とを包含する。
【0031】
別の局面では、この開示は、ポリペプチド中で、予め選択された薬剤を結合し得る結合部位を生成するための方法を提供し、この方法は、当該結合部位を規定するアミノ酸残基配列をコードするヌクレオチド配列を、免疫グロブリン重鎖または軽鎖遺伝子を構成する核酸のCDR領域に、免疫グロブリン遺伝子のCDR領域を増幅することにより導入する工程を包含し、この導入されたヌクレオチド配列は、式−X−Y−Xを有し、ここでXは、各位置で同じであるかまたは異なり、そしてランダム化トリヌクレオチドを表し、aとbとの合計は4以下であり、そしてYは、当該結合部位の最小認識ドメインをコードするヌクレオチド配列である。特に有用な実施形態では、増幅は、オーバーラップPCRを用いて達成されるが、しかし、例えば、WO94/18221(この開示内容は、参考として本明細書中に援用される)に開示された方法のような任意の公知の増幅技術が用いられ得る。
【0032】
なお別の局面では、この開示は、所望の活性についてスクリーニングされ得るモノクローナル抗体のライブラリーの作出のための方法を提供する。ライブラリーを作製するこれらの方法は、生物学的に活性なペプチドをコードする核酸分子を、免疫グロブリン重鎖または軽鎖をコードする核酸分子の1つ以上のCDR領域中に、またはその少なくとも一部の代わりに挿入する工程、挿入された核酸分子のいずれかの側に一対のランダム化トリヌクレオチドまでを提供する工程、およびモノクローナル抗体のライブラリーを発現させる工程を包含する。特に有用な実施形態では、一対のランダム化トリヌクレオチドが、挿入された核酸分子の両側に提供される。このようにして生成されたモノクローナル抗体のライブラリーは、次いで、所望の活性についてスクリーニングされ得る。
【0033】
特定の実施形態では、抗体またはそれらのフラグメントが、アミノ末端およびカルボキシル末端に、ペプチドに隣接する異なるアミノ酸を有し、そこで、ペプチドが抗体足場に結合されるようになる。これは、ペプチドの提示において異なり得る抗体分子またはそれらのフラグメントの集団を生じる。集団は、ペプチドの生物学的活性を示す抗体についてスクリーニングされる。好ましい実施形態では、ペプチドに即隣接するアミノ酸は、プロリンである。
【0034】
生物学的に活性なペプチドの活性が、標的分子を活性化することである場合、これは、2つの標的分子(例えば、造血性スーパーファミリー中のレセプター)の二量体化を必要とし得る。二量体化が生じる場合、2つのペプチドが、その各々が標的分子を結合し、次いでこれら2つの結合された標的分子が適切に会合し得るように位置されなければならない。これは、2つのペプチドを同じ抗体またはそのフラグメント上に存在させることにより、または各々が1つのペプチドを含む2つの抗体分子を一緒に結合するようにすることにより、成し遂げられ得る。従って、例えば、1つのペプチドが、CDRの少なくとも一部に挿入され得るか、またはその代わりに置換され得、次いで免疫グロブリンまたはF(ab’)フラグメントとして発現され得る。別の例として、2つのペプチドが、1つ以上のCDRの少なくとも一部に挿入され得るか、またはその代わりに置換され得、次いで任意の抗体または抗体フラグメントとして発現され得る。
【0035】
抗体またはそれらのフラグメントのスクリーニングは、ペプチドが特異的に結合する表面分子を有する細胞でのパンニングによって成し遂げられ得る。精製標的分子またはそれらのフラグメントを用いる固相結合もまた、使用され得る。結合はまた、標識された標的分子を用いて溶液中で実施され得る。さらに、抗体またはそれらのフラグメントが、ペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト活性について生物学的アッセイの使用によりスクリーニングされ得る。
【0036】
また、異なる免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントのライブラリーであって、ここで相補性決定領域(CDR)に相当するアミノ酸残基が、アミノ末端またはカルボキシル末端に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を有する生物学的に活性なペプチドを構成するアミノ酸残基と置換されており、そして当該免疫グロブリン分子またはそれらのフラグメントが、ペプチドのさらなるアミノ酸残基によって異なる、ライブラリーが提供される。
【0037】
特定の実施形態では、生物学的に活性なペプチドは、TPO模倣物またはEPO模倣物である。ライブラリーの抗体は、ファージ上に提示される。
【0038】
さらに、細胞の増殖、分化、または成長を刺激する方法が提供され、この方法は、1つ以上のCDRを、細胞表面上のレセプターに結合する生物学的に活性なペプチドと置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントの有効量と、細胞を接触させる工程を包含する。特定の実施形態では、生物学的に活性なペプチドは、TPO模倣物またはEPO模倣物である。
【0039】
他の特定の実施形態では、巨核球系細胞の増殖、分化、または成長を刺激する方法が提供され、この方法は、1つ以上のCDRをTPO模倣物ペプチドと置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントの有効量と、巨核球系細胞を接触させる工程による。また、血小板生成を増大させる方法が提供され、この方法は、1つ以上のCDRを、TPO模倣物ペプチドと置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントの有効量と、巨核球系細胞を接触させる工程を包含する。また、患者において巨核球系細胞を刺激および/または血小板生成を増大する方法が提供され、ここでは、1つ以上のCDRをTPO模倣物ペプチドと置換している免疫グロブリンまたはそのフラグメントの有効量が、その必要のある患者に投与される。また、免疫グロブリン分子と巨核球系細胞とは、インビトロで接触され得、そして得られた細胞が患者に導入され得る。さらに、少なくとも1つのTPO模倣物ペプチドをその中に組み込んだ抗体またはそのフラグメントが、血小板を提供する意図のある被験体に投与され得、このようにして、このような血小板のより多くのげっ歯類供給源を提供するように、血小板を生成するドナーの能力を増大させる。
【0040】
また、本明細書中に、造血性細胞の増殖、分化、または成長を刺激する方法が提供され、この方法は、1つ以上のCDRをEPO模倣物ペプチドと置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントの有効量と、当該細胞を接触させる工程を包含する。
【0041】
また、本明細書中で、ホモ二量体レセプタータンパク質を活性化する方法が具体化され、この方法は、二量体化されているレセプターを特異的に結合する生物学的に活性なペプチドとCDR領域を置換している免疫グロブリン分子またはそのフラグメントと、当該レセプターを接触させることによる。さらなる実施形態では、レセプターは、トロンボポイエチンレセプターである。
【0042】
(詳細な説明)
本明細書中で使用される「免疫グロブリン」は、完全免疫グロブリン分子、または全免疫グロブリン分子の免疫活性部分を含む分子をいい、Fab、F(ab3)2、scFv、Fv、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。免疫グロブリンおよび抗体との用語は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0043】
有用な特性を示す任意のペプチドが、抗体フレームワークにおける挿入に適している。ペプチドの活性および用途としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:レセプターの結合、膜結合表面分子の結合、リガンドの結合、酵素または構造タンパク質の結合、レセプターの活性化または阻害、標的化薬物送達、または任意の酵素活性。免疫グロブリン分子の背景で提示された場合にそれらに付与される増強された安定性から、その有用性が増大され得るペプチドが、通常、選択される。本明細書中で使用される「生物学的活性」は、生物系における活性を有する分子に付随した任意の活性を含むことが理解されるべきであり、このような活性としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:タンパク質−タンパク質相互作用により引き起こされる刺激または阻害活性、ならびにタンパク質−タンパク質複合体の安定性を含むこのような相互作用を取り囲む速度論。本明細書中における「生物学的活性」の増強または増大は、全活性の増大または全活性の任意成分の増大を含むことが意味される。ペプチドは、抗体フレームワークへの挿入前に1つの生物学的活性(例えば、単に標的への結合、のような)を示し得、そして抗体フレームワークへの挿入後に異なるまたは増強された生物学的活性(例えば、アゴニスト活性、のような)を示し得ることが理解されるべきである。
【0044】
免疫グロブリンの背景で提示されることによって利益を有し得る多くのペプチドが、同定されており、そして当業者に公知である(例えば、EPO模倣物ペプチドおよびTPO模倣物ペプチド)。他の例は、リガンド誘導性ホモ二量体化によって活性化されるレセプターに結合するペプチド(G−CSF活性、GHR活性、およびプロラクチン活性を示す活性フラグメントを含む)(WhittyおよびBorysenko,Chem Biol.,(1999)Apr 6(4):R107−18に記載されるような)を含み;適切なペプチドの他の例は、CDループからの神経増殖因子模倣物(Zaccaroら,Med.Chem.(2000)43(19);3530−40らに記載されるような); IL−2模倣物(Eckenbergら,J.Immunol.(2000)165(8):4312−8に記載されるような);グルカゴン様ペプチド−1(Evansら,Drugs R.D.(1999)2(2):75−94に記載されるような);テトラペプチドI(D−リジン−L−アスパラギニル−L−プロリル−L−チロシン)(これは、マイトジェン活性化B細胞増殖を刺激する)(Gagnonら,Vaccine(2000)18(18):1886−92に記載されるような)を含む。レセプターアンタゴニスト活性を示すペプチドもまた企図される。例えば、HIV治療のためのCXCR4のアンタゴニストとしてのvMIP−IIのN末端ペプチド(Luoら,Biochemistry(2000)39(44):13545−50に記載されるような);抗血栓治療のためのトロンビンレセプターのアンタゴニストペプチドリガンド(AFLARAA)(Pakalaら,Thromb.Res.(2000)100(1):89−96に記載されるような); 麻酔薬に対する耐薬性を減少させるためのペプチドCGRPレセプターアンタゴニストCGRP(8−37)(Powellら,Br.J.Pharmacol.(2000)131(5):875−84に記載されるような);漏斗隆起路ペプチド(tuberoinfundibular peptide)(7−39)として知られる副甲状腺ホルモン(PTH)−1レセプターアンタゴニスト(Hoareら,J.Pharmacol.Exp.Ther.(2000)295(2):761−70に記載されるような);オピオイド増殖因子(Zagonら,Int.J.Oncol.(2000)17(5):1053−61に記載されるような);高アフィニティーI型インターロイキン1レセプターアンタゴニスト(Yanofskyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.93,pp.7381−7386,July 1996およびVigersら,J.Biol.Chem.,Vol 275,No 47,36927−36933頁,2000に開示されるような);および酸性線維芽細胞増殖因子結合ペプチド(Fanら,IUBMB Life(2000)49(6)545−48に記載されるような)を含む。ペプチドはまた、当業者に周知の方法を用いて発見され得る。特定の生物学的機能に関与するタンパク質の領域を同定するために、そのタンパク質を構成する、より短いペプチドフラグメントを調べることにより、原因となる線状ペプチドエピトープを明らかにし得る。あるいは、ランダムペプチドのライブラリーを調べることにより、天然タンパク質の活性を模倣する最適な線状エピトープまたは不連続エピトープを表すペプチドが、発見され得る。選択のための1つの方法は、ペプチドファージディスプレイと呼ばれる。このアプローチにおいて、ペプチドがバクテリオファージ粒子の表面上に提示されるように、ランダムペプチドエピトープライブラリーが生成される。これらのペプチドのコレクションまたはライブラリーは、次いで、特定の固定化標的タンパク質に結合し得るものについて調べられ得る(Pasqualini,R.ら,j.Cell Biol.,130,1995,1189−1196;Wrighton,N.C.ら,Science,273,1996,458−463頁;Cwirla,S.E.ら,Science,276,1997,1696−1699頁;Koivunenら,J.Biol,Chem.,268,1993,20205−20210頁;Koivunenら,BiolTechnol.,13,1995,265−270頁;Healyら,Biochem.,34,1995,3948−3955頁;Pasqualiniら,J.Cell Biol.,130,1995,1189−1196頁)。細胞表面ディスプレイおよびリボソームディスプレイを含む、代替のペプチド選択システムもまた、可能である。
【0045】
この記載に従って使用されるペプチド模倣物は、一般には、CDR領域を構成するアミノ酸残基の数より少ないか、または等しいが、より長いこともあり得る。
【0046】
任意の抗体が、足場配列として働き得るが、しかし、代表的には、ヒト抗体が、ヒト治療薬が最終的な目的の1つであるので選択される。ヒトまたはヒト化抗体は、ヒト患者において不利な免疫応答を引き起こす可能性がより少ない。ペプチドの挿入のためのフレームワークとして働く抗体を選択する際の主要な基準は、抗体の1つ以上のCDRをペプチドと置換することが、抗原特異性を変化しなければならないことである。抗体は、完全抗体またはFab、scFvもしくはF(ab’)フラグメントまたはそれらの部分であり得る。
あるいは、抗体のライブラリーは、1つ以上の重鎖CDRおよび/または軽鎖CDRを所望のペプチドと置換させているものであり得る。得られたライブラリーは、次いで、所望の活性を有する抗体を同定するためにスクリーニングされ得る。抗体ライブラリーを生成するために、置換されたペプチド内のランダム化もまた提供され得ることが理解されるべきである。
【0047】
有用な抗体は、抗破傷風トキソイド(TT)Fabである。これはヒト抗体であり、そしてHCDR3の改変が、抗体の抗原特異性を変更するのに十分であるからである(Barbasら,J.Am.Chem.Soc.,116,1994,2161−2162頁およびBarbasら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,1995,2529−2533頁)。
【0048】
抗体のCDR(1つまたは複数)をペプチド配列と置換するように、選択したペプチドのDNA配列を抗体中にグラフト化することは、当業者に公知の組換えDNA技術を用いて実施される。
【0049】
CDR領域の代わりに生物学的活性を有する所望のペプチドをグラフト化するために使用され得る方法の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:PCRオーバーラップ、制限酵素部位クローニング、部位特異的変異誘発、および完全合成手段。オーバーラップPCRを包含する技術の説明については、例えば、本明細書中の実施例1を参照のこと。部位特異的変異誘発は、いくつかの方法で成し遂げられ得る。1つは、dut/ung Kunkel変異誘発に基づく(Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1985)vol.82,pp.488−92)。この方法論に基づくMuta−Gene in Vitro Mutagenesisキットは、BioRadから入手可能である(cat.#170−3581または170−3580)。PCR増幅ベースのいくつかの変異誘発アプローチもまた、市販によって入手可能である(例えば、StratageneのQuickChange Site−Directed Mutagenesis KitおよびExSite PCR−based Site−Directed Mutagenesis Kit)。別の非PCR方法は、PromegaからGeneEditor in vitro Site−Directed Mutagenesis Systemとして入手可能である。完全合成手段もまた周知であり、そして例えば、Dengら,Methods Mol.Biol.(1995)51:329−42;Kutemelerら,Biotechniques,(1994)17(2):242−246;Shiら,PCR Methods Appl.,(1993)3(1):46−53ならびにKnuppikら.,J.Mol.Biol.,(2000)11:296(1):571−86(その各々は本明細書中に参考として援用される)に記載される。さらに、少なくとも1つのCDR配列の全てまたは一部を置換するために使用される上記方法は、本来のCDR配列を置換することなく、少なくとも1つのネイティブCDR配列中にまたはそれに隣接して、所望のペプチドをグラフト化するために使用され得る。このようにして、CDR/生物学的活性ペプチド模倣物融合構築物が、形成される。
【0050】
生物学的に活性なペプチドのカルボキシル末端および/またはアミノ末端に、隣接配列が付加され得ることが企図される。隣接配列は、生物学的活性に必要なコンフォメーションをより容易にとらせるように、グラフト化ペプチドにおける構造拘束を減少するために有用であり得る。好ましい実施形態では、プロリンを含む隣接領域が、生物学的に活性なペプチドのカルボキシ末端に共有結合されて、プロリン伸長された生物学的に活性なペプチドを作出する。
【0051】
1つの実施形態では、隣接領域は、最良配列を決定するために、ペプチドグラフトの各側で2つのアミノ酸位置をランダム化することにより生成され得る。このようにして、複数の種々の配列を有するメンバーを有するライブラリーが生成され得る。得られた構築物は、次いで、例えば、パンニング技術によって、以下に記載するように、生物学的活性について試験される。特定位置でランダムなアミノ酸を有する組換えタンパク質が生成され得る。これは、コードするDNAを改変することにより成し遂げられ得る。特定のアミノ酸のコドン位置にランダム化を導入する場合、20の全てのアミノ酸をカバーし、かつコードされる停止コドンの数を最小限にするために、好ましいデオキシリボヌクレオチド「ドーピングストラテジー(doping strategy)」は、(NNK)である。従って、Nは、A、C、G、またはTであり得(名目上、等モル)、Kは、GまたはTであり(名目上、等モル)、そしてxは、代表的には、約5、6、7、または8以上までであり、それにより、モノペプチド、ジペプチド、トリペプチド、クァドラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、およびオクタペプチドまたはそれより大きなペプチドのライブラリーを生じる。三番目の位置はまた、GまたはCであり得、これは、「S」と称される。従って、NNKまたはNNSは、(i)全てのアミノ酸をコードし、(ii)1つのみの停止コドンをコードし、そして(iii)6:1から3:1までにコドン偏りの範囲を減少する。NNKモチーフから生じる32の可能なコドンが存在する:12アミノ酸の各々に付き1つ、5アミノ酸の各々に付き2つ、3アミノ酸の各々に付き3つ、そして3つの停止コドンのうちの1つのみ。他の代替には、以下が含まれるが、これらに限定されない:
(NNN)(これは、全ての可能なアミノ酸および全ての停止を提供する);
(NNY)は、全ての停止を排除し、そしてなお20アミノ酸のうち14をカバーする;
(NNR)は、20アミノ酸のうち14をカバーする;および
(NNS)は、20の全てのアミノ酸およびたった1つの停止をカバーする。
【0052】
コドン中の三番目のヌクレオチド位置は、公知の縮重混合物のいずれかを用いて慣用操作され得る。しかし、NNK、NNN、NNY、NNR、NNSのグループは、最も一般的に使用されるドーピングストラテジーおよび本明細書中で使用されるストラテジーをカバーする。
【0053】
このプロセスの間に作出される操作抗体のコレクションは、本質的に以下に記載されるように、例えば、ファージディスプレイ抗体として、ペプチドの特性を示ものについて調べられ得る(Barbas,C.F.,III、Kang,A.S.,Lerner R.A.,およびBenkovic,S.J.,Assembly of combinatorial antibody libraries on phage surfaces:the gene III site,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,1991,7978−7982頁(参考として本明細書中に援用される))。この技術は、組換え抗体(完全抗体、Fab、F(ab’)、またはscFvとして)を繊維状バクテリオファージの表面上に発現させる。その同じファージが、その中に、その特異的抗体をコードする遺伝子を有する。
【0054】
配列中にランダム化を導入するための任意の他の公知の方法が本明細書中で使用され得ることが企図される。例えば、誤りがちなPCR(error prone PCR)は、核酸配列中にランダム変異を導入し得る(例えば、Hawkinsら,J.Mol.Biol,(1992)226(3):889−96を参照のこと)。簡潔には、PCRは、複製忠実度を妥協する条件下で実施され、従って、当業者が完遂するにつれて配列中にランダム変異を導入する。このようなランダム変異体の生成後、それらは、ファージディスプレイフォーマットに配され得、パンニングされ得、そして従って、活性について評価され得る。同様に、遺伝子のランダム変異を提供することが知られる特定の細菌(例えば、Epicurian Coti(登録商標)XL1−Red Competent細胞(Stratagen,La Jolla,CA.から市販されている)が、ランダム変異体を提供するように使用され得、次いで、本開示に従って生物学的活性についてスクリーニングされる。
【0055】
抗体の全生物学的活性を変化させるために、抗体またはそれらのフラグメントへの活性ペプチドの組み込み後に、ヌクレオチド配列中の任意の点でランダム化が導入され得ることもまた、企図される。このようにして、ペプチドの配列内に変異をもたらすことによってペプチド模倣物の生物学的活性において変化が生じられ得るだけでなく、周囲足場において変異が組み込まれ、得られた構築物は、生物学的活性または発現における変化についてアッセイされる。確かに、このようなランダム化から生じる複数の構築物のレパートリーを有するライブラリーが生成され、そしてアッセイされ得ることが企図される。
【0056】
単鎖ライブラリーが、本開示に従って利用され得る。なぜなら、結合ドメイン全体が、1つのポリペプチド上に含まれるからである。軽鎖可変領域は、重鎖可変領域とは、リンカー領域によって分離されている。短いリンカー(<11アミノ酸)の使用は、1つのScFvのVが別のScFv分子のVと会合する(およびその反対)二量体複合体に好ましく、これらの分子は、ディアボディ(diabodies)と呼ばれる(Kortt,A.A.,Malky,R.L.,Caldwell,J.B.,Gruen,L.C.,Ivanci,N.,Lawrence,M.G.ら、Eur.J.Biochem.221:151−157,1994)。これは、単量体ScFvの折り畳みが11アミノ酸未満のリンカーによって損なわれるからである(Alfthan,K.,Takkinen,K.,Sizman,D.,Soderlund,H.,およびTeeri,T.T.Protein−Eng.8:725−731,1995)。より長いリンカー(>11アミノ酸)は、単鎖抗原結合ドメインへの単量体ScFvの折り畳みに好ましく、これにより、二量体の形成を避ける。
【0057】
1つの有用なファージディスプレイベクターは、pRL4であり、これはまた、pComb 3Xとしても公知である(図1を参照のこと)。このベクターは、パッケージングされたファージミド粒子の表面上のキメラ発現産物の提示を可能にする。pRL4は、pComb3Hの改変バージョンである(Barbas,C.F.IIIおよびBurton,D.R.1994.Monoclonal Antibodies from Combinatorial Libraries.Cold Spring Harbor Laboratory Course Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.;Burton,D.R.;Barbas,C.F.III.Advances in Immunology 57:191−280,1994;Lang,I.M.,Chuang,T.L.,Barbas,C.F.3rd,Schleef,R.R.J.Biol.Chem.271:30126−30135,1996;RaderおよびBarbas,Phage Display,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2000))。以下に記載するように、pRL4の設計は、ファージ表面上における、および可溶性形態でのscFv抗原結合ドメインの二量体化を可能にする。プラスミドが、supE細菌宿主(例えば、ER2537(F’Sup E,New England Biolabs,Beverly,MA))に形質転換される場合、アンバー変異は、その時の約50パーセントを抑制される。このように、発現されたscFvの半分は、繊維状ファージ遺伝子IIIタンパク質(アミノ酸230−406)と融合され、そして他の半分が、遺伝子IIIのちょうど前で終結され、可溶性scFvを生成する。scFv−pIII融合物および可溶性scFv産物はともに、Omp Aシグナル配列を有し、そしてペリプラズムに輸送され、そこでは、それらが二量体scFv複合体(ディアボディと呼ばれる)を形成し得る(Kortt,A.A.,Malby,R.L.,Caldwell,J.B.,Gruen,L.C.,Ivanci,N.,Lawrence,M.C.ら、Eur.J.Biochem.221:151−157,1994)。ディアボディは、1つのscFvのVが第二のscFv−pIIIのVと対合して、二価抗体フラグメントを生じるように折り畳まれることが期待される。非sup E宿主(例えば、TOP10F’(InVitrogen,Carlsbad,CA),)では、アンバー停止コドンが認識されて、可溶性scFvディアボディを生じる。
【0058】
pRL4における最終単鎖発現構築物においては、単鎖抗体フラグメントが、E.coli lacZプロモーター、リボソーム結合部位、およびomp Aリーダー配列の下流にクローニングされる。これらのエレメントは、サプレッサー株ER2537で発現された場合、IPTGによる発現の誘導およびomp Aリーダー配列を介する細胞からの分泌を可能にする。単鎖フラグメントは、繊維状ファージ遺伝子III(gIII)配列(アミノ酸230−406)とインフレームに融合される。gIIIタンパク質産物pIIIは、感染性に必要なマイナーコートタンパク質である。IPTGによるプロモーター誘導に際して、単鎖抗体−pIII融合物が合成され、そして細菌周辺腔に輸送される。周辺腔では、scFv−遺伝子III融合タンパク質が膜中に挿入される。ヘルパーファージによる重感染に際して、これらのフラグメントは、pIII−抗体フラグメントとしてファージの表面上で細胞から排出される。ファージミドの表面上の融合のために使用される他の可能なタンパク質には、繊維状コートタンパク質pVIIIおよび他のコートタンパク質が含まれる。
【0059】
ネイティブ抗原結合部位を維持するFabフラグメントライブラリーは、アフィニティーが維持されることを確実にするために有用である。
【0060】
pRL4中の最終ハイブリッドFab発現構築物では、軽鎖と重鎖とが、単一のSfilフラグメントとしてクローニングされる。このように、軽鎖フラグメントは、E.coli lacZプロモーター、リボソーム結合部位、およびomp Aリーダー配列の下流にクローニングされる。これらのエレメントは、IPTGによる発現の誘導およびomp A リーダー配列を介する細胞からの分泌を可能にする。軽鎖フラグメントの後に、停止コドン、第二のリボソーム結合部位、E.coli pel Bリーダー配列、および重鎖が続く。ハイブリッド重鎖遺伝子は、繊維状ファージ遺伝子III(gIII)配列(アミノ酸230−406)とインフレームに融合される。アンバー停止コドンは、融合接合部に存在する。sup E細菌宿主(例えば、ER2357(New England Biolabs,Beverly,MA))では、アンバー変異は抑制される。プロモーター誘導の際に、1つの多シストロン性メッセージが転写され、そして2つのポリペプチド、軽鎖および重鎖−遺伝子III融合タンパク質として翻訳される。合成後、これらポリペプチドは、リーダー配列によって導かれるように、細菌周辺腔に輸送される。周辺腔では、重鎖−pIII融合タンパク質が膜中に挿入され、そして軽鎖と重鎖とが、ジスルフィド結合による共有結合で会合されて、抗原結合部位を形成する。ヒト定常領域CH1およびC配列は、システインを含み、これらは、重鎖と軽鎖との間にジスルフィド結合を形成する。ヘルパーファージによる重感染に際して、これらのフラグメントは、Fab−cpIII融合物としてファージの表面上で細胞から排出される。非sup E宿主(例えば、TOP10F’(Invitrogen,Carlsbad,CA))では、アンバー停止コドンが認識され、可溶性Fabフラグメントを生じる。使用されるpRL4ファージディスプレイシステムの重要な特徴は、精製His 6タグ、重鎖の後ろのHAエピトープタグ、ならびに抑制性アンバー停止コドン(重鎖とファージ遺伝子IIIとの間に位置する)を含む。HAタグは、HA.11抗体(Babco,Berkeley,CA)および12CA5抗体(Roche Molecular Biochemical,Indianapolis,Ind.)によって認識される。His6タグは、ニッケル−キレートクロマトグラフ(Qiagen,Valencia,CA)による抗体フラグメントのアフィニティー精製を可能にする。アンバー停止は、停止が抑制された場合の融合Fab−cpIII産物(ファージコートにおける取り込み用)から、非サプレッサー細菌宿主において作製される可溶性Fabへの迅速な変換を可能にする。
【0061】
選択は、ライブラリーから、ペプチド標的分子に特異的に結合し、かつ生物学的活性を示す最良候補物を単離することを包含する。
【0062】
表面上で抗体フラグメントを発現するファージは、ライブラリーの全てのメンバーが標的分子に結合するようにされ得るように生成および濃縮され得る。標的分子は、マイクロタイター皿、全細胞、全細胞の膜上に固定化され得るか、溶液中に存在し得る。非特異的Ab−ファージは洗い流され、そして結合ファージ粒子が抗原から放出される(しばしば低pHの使用により)。回収されたAbファージは感染性であり、そして細菌宿主中で増幅され得る。代表的には、この種の選択は、多数ラウンドで実施される。個々の抗体フラグメントクローンは、次いで、標的分子を特異的に認識するものの同定のために、可溶性FabまたはscFvとして分析され得る。
【0063】
任意の選択ストラテジーの前に、初期ライブラリーが宿主細胞(例えば、ER2537)中にエレクトロポレートされる。ライブラリー培養物は、対数期まで増殖され、そしてヘルパーファージ(例えば、VCSM13、市販のヘルパーファージ(Stratagene,La Jolla,CA))で重感染される。重感染は、プラスミドをファージミド粒子にパッケージングするのに必要とされる残りのファージ成分を提供する。あるいは、ヘルパーファージの使用のないファージディスプレイが利用され得る。終夜増殖後、培養物上清(supernate)中のファージミドが、ポリエチレングリコール(PEG)で沈殿される。PEG沈殿ファージが、非特異的結合剤から特異的結合抗体を精製するために、パンニング(固相細胞表面、インターナリゼーション、および膜)、FACS選別、または磁気選別において使用される。
【0064】
細胞ベースパンニングでは、抗体ファージライブラリーが、標的細胞とインキュベートされ、そして非接着ファージが、多数回の洗浄によって除去される。代表的なパンニングプロトコルは、以下の通りである:
1.ファージ粒子をPBS+1%BSAまたは10%FBS+4%粉乳+NaNでブロックする(インターナライズされた抗体がアッセイされる場合を除く)。
【0065】
2.ブロックされたファージに標的細胞を添加する(およそ5×10細胞)。
【0066】
3.混合し、そして4℃または37℃でゆっくりと旋回する。
【0067】
4.1ml氷冷PBS/1%BSA/NaNまたは室温PBS/1%BSA/NaNで細胞を2回洗浄する。
【0068】
5.細胞に結合された特異的抗体ファージを、低pHによって(例えば、76mMクエン酸ph 2.5(PBS中)を用いて)、室温で5〜10分間溶出し得る。
【0069】
6.溶出ファージを1M Tris−HCI pH 7.4で中和する。
【0070】
7.中和後、抗体ファージを、ER2537細菌を感染し、次ラウンドのパンニングのために終夜増殖の間で増殖するために使用し得る。
【0071】
一般に、各ライブラリーにおいて、3〜4ラウンドのパンニングが実施される。市販の二次抗体(ヒツジ抗M13抗体−HRP)を用いるファージELISAまたは市販のHA.11抗体(Babco,Berkeley,CA)(PRL4配列から各抗体に組み込まれたHAタグを認識する)を用いる可溶性抗体ELISAが、各ラウンドのパンニング後に実施されて、非結合剤に対する結合抗体の富化の評価を可能にし得る。最終ラウンドのパンニング後、抗体ファージは、寒天プレートからシングルコロニーとして釣り上げられ得、モノクローナル抗体−ファージとして増殖されえ、そして特異的結合剤の同定のためにELISAによってスクリーニングされ得る。FACS分析もまた利用され得る。詳細には、抗体ファージをTop10F’細菌に感染し、そしてシングルコロニーについてプレートする。シングルコロニーを寒天プレートから釣り上げ、増殖し、そしてIPTGを用いて誘導する。可溶性抗体を、特異的結合剤の同定のために、ELISAによってスクリーニングする。スクリーニングは、生存細胞、インタクトな穏やかに固定された標的細胞、または組換えタンパク質(1つまたは複数)に対してなされ得る。
【0072】
全細胞パンニングのための方法が、以前に記載されている(Siegel,D.L.,Chang,T.Y.,Russell,S.L.,およびBunya,V.Y.1997.J.Immunol.Methods 206:73−85(本明細書中に参考として援用される))。適用され得る他の選択技術は、蛍光活性化細胞選別(FACs)を含む。ライブラリーを用いる選択のための代替法には、リボソームディスプレイおよび標識抗原に対するプラークハイブリダイゼーションが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
高アフィニティー抗体結合剤を単離するパンニングの後、アゴニスト抗体の機能的スクリーンのためのバイオアッセイが実施され得る。二量体化は、しばしば、多くのレセプターの活性化に不可欠であり、従って、バイオアッセイは、二量体化の促進を介してレセプターを刺激するアゴニスト抗体に集中する。以前に記載されるように、リンカー設計において、単鎖多価がアプローチされている。Fabフラグメント多価は、多数の方法でアプローチされ得る。文献における多数の近年の報告は、ファージディスプレイに適用可能な二量体抗体フラグメント形成の成功を示している(DeKruif,J.,およびLogtenberg,T.1996.J.Biol.Chem.271:7630−7634,Pack,P.,およびPluckthun,A.1992.Biochemistry 31:1579−1584,ならびにHolliger,P.,およびWinter,G.1993.Current Opin.Biotech.4:446−449)。二価Fabは、少なくとも2つの方法で作出され得る。1つのアプローチでは、二量体化は、pRL4への二量体化ドメインの付加により達成され、pRL8を形成する(図6A−C、7および8を参照のこと)。Fabフラグメントの多価を得るために、これらのベクターにおいて利用され得る多数の二量体化ドメイン(lexA、Znフィンガー、fos、junなど)が存在する。二量体化ドメインは、以下から選択されるが、これらに限定されない:jun(DeKruif,J.およびLogtenberg,T.J.Biol.Chem.271:7630−7634,1996;Kostelny,S.A.,Cole,M.S.,およびTso,J.Y.J.Immunol.148:1547−1553,1992)、LexA二量体化領域(Kim,B.およびLittle,J.W.Science 255:203−206,1992),酵母GCN4二量体化ドメイン(van Heeckeren,W.J.,Sellers,J.W.,Struhl,K.Nucleic Acids Res.20:3721−3724,1992)、バクテリオファージMu由来Ginインバルターゼ(Spaeny−Dekking,L.,Schlicher,E.,Franken,K.,van de Putte,P.,Goosen,N.J.Bacteriol.34:1779−1786,1995)、E.coli NTRCタンパク質二量体化ドメイン(Klose,K.E.,North,A.K.,Stedman,K.M.,Kustu,S.J.Mol.Biol.241:233−245,1994)、およびHSV−1 ICP4二量体化ドメイン(Gallinari,P.,Wiebauer,K.,Nardi,M.C.,Jiricny,J.J.Virol.68:3809−3820,1994)(これらの全てが参考として援用される)。また、thermus生物由来の高温二量体ドメインが利用され得る(MacBeath,G.,Kast,P.,Hilvert,D.,Biochemistry 37:100062−73,1998ならびにMacBeath,G.,Kast,P.,Hilvert,D.,Science 279:1958−61,1998)。これらは、分子に組み込まれた場合に二量体化が生じることを可能にする機能的ドメインである。さらに、二量体化は、全IgGベクター、または二量体化ドメイン(例えば、CH3二量体化ドメイン)の使用によって細胞中で達成され得る。当業者は、これらの二量体化ドメインおよび他の二量体化ドメイン、およびタンパク質を二量体化するそれらの使用について精通している。
【0074】
少なくとも2つの結合部位を含む抗体構築物を生成するために利用され得るさらなる方法が公知である。これらのアプローチの各々によって作出される抗体または抗体フラグメントは、哺乳動物細胞において生成される全IgGについて以下の実施例1において記載するように、アゴニスト抗体活性を試験するために利用され得る。これらの方法は、Fabの化学二量体化、FabのPEG化、Fab’2の生成、細菌細胞における全IgGの生成、およびディアボディ(scFv)の使用を含む。重要なことに、アゴニスト活性の分析のために生成された抗体形態のいずれもが、最終治療製品として使用され得る。
【0075】
化学二量体化はまた、種々の化学架橋試薬を用いて達成され得る。例えば、SMCC(スクシンイミジルトランス−4(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキレート)(Molecular Probes(Eugene,Oregon)から、Cat#S−1534)。この試薬は、抗体中の一級アミノ基を改変する。室温で抗体をSMCCとインキュベートした後、この反応物は、PD−10カラムに流される。このマレイミド誘導体化Fabは、TCEP[(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、ヒドロクロライド):Molecular Probes Cat#T−2556]で処理されてチオール基がSHに還元された第二のFabまたは別のバッチの同じFabのいずれかに、添加され得る。還元反応は、15分間、暗所で実施される。マレイミドFabとチオール還元Fabとの結合体化は、1:1比で生じる。ダイマーは、セファデックス200ゲル濾過カラムにこの反応物を通すことにより単離される。当業者に公知の他の化学リンカーは、二量体化のために使用され得る。ヒンジ領域に1つ余分なシステイン残基を有するように操作されたFab’の生成が、例えば、以下に記載されている:米国特許5,677,425およびCarterら,BioTechnology,Vol 10,Feb.1992,163−167頁(これらの開示内容は、本明細書によって、参考として援用される)。そのチオール部位は、ポリエチレングリコール(PEG)のような部分への結合体化のために使用され得る。PEG化技術は、公知である。例えば、Koumenisら,Int.J.Pharm.(2000)198(1):83−95(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。これは、PEGカップリングを用いて2つのFab’分子を一緒に連結することを可能にする。
【0076】
Fab’2を細菌生成するための技術は、さらなるシステインを含むFdの一部として、ヒトIgGヒンジ領域、および必要に応じて CH2の一部をクローニングすることを包含し、そして例えば、Betterら,PNAS USA(1993)90(2):457−61(本明細書中に参考として援用される)に記載される。Fdヒンジ上のさらなるチオール基が、相互作用し得、そして2つのFab’分子を二量体化させ得、Fab’2を作出する。Fab’2は、細菌細胞から直接的に精製され得る。さらに、細菌から二量体化されなかったFab’が単離され得、そしてFab’2に化学的に変換され得る。
【0077】
先に記載したように、抗体の可変領域は、単鎖としてクローニングされ得、ここでは、可変軽鎖(VL)が、リンカー領域によって可変重鎖(VH)に連結される。そのリンカー領域が短い場合(例えば、5〜7アミノ酸)、scFvの折り畳みは、1つのscFvのVLが第二のscFvのVHと対合する2つのscFvの会合に好ましい。このように、2つの抗原結合部位が、ディアボディ上に提示される。
【0078】
2つの結合部位を含む抗体構築物は、アゴニスト活性を試験するために、かつ/または最終治療製品として使用されるために、これらの方法のいずれもを用いて生成され得る。
【0079】
Fabライブラリーのパンニングまたは選別工程後、パンニングされた分子のライブラリーは、Sac IおよびSpe Iで制限消化され、そしてpRL8中にクローニングされる。FACS選別またはパンニング後、個々にまたはまとめてpRL8ベクターにサブクローニングすることにより、バイオアッセイにおける分析のために、二量体可溶性結合Fabの発現が可能になる。pRL8において、抗体フラグメントは、周辺腔に輸送され、そしてそこで二量体を形成する。このアプローチの利点は、高アフィニティーFabに好都合である、単量体Fabフラグメントのパンニングを許容することである。
【0080】
別のアプローチは、二次抗体を使用する。pRL4は、市販のHA.11抗体(Babco,Berkeley,CA)により認識されるヘマグルチニンデカペプチドタグを有する。バイオアッセイにおいて試験される、FACS選別またはパンニングにおいて同定されたFabが、バイオアッセイへの添加の前にHA.11とプレインキュベートされる。これは、二量体化を促進する。
【0081】
一旦、scFvまたはFabの結合がパンニングまたは別の選択方法によって同定されれば、個々のクローン(各々が、ファージ表面上に独特の二量体化抗体フラグメントを発現する)が、標的細胞に対する増殖、分化、活性化、または生存の効果について試験される。さらに、可溶性二量体化抗体は、バイオアッセイにおいて調べられ得る。
【0082】
(TPO様活性についてのスクリーニングのための生物学的アッセイ)
1.コロニー形成アッセイ−骨髄由来の巨核球系細胞コロニー(Megacult C Kit(Stem Cell Technologies Inc.,Vancouver BC,Canadaから))。
【0083】
2.増殖アッセイ−Ba/F3細胞の増殖(Cwirlaら、1997,Science,Vol.276 1696−1699頁)。Ba/F3−mpl細胞株を、IL−3依存性マウスリンパ芽(lymphobiastoid)細胞株Ba/F3に全cMplレセプターをコードするcDNAを導入することにより、樹立した(F.de Sauvageら,Nature,369:533(1994))。種々の濃度の抗体またはTPOに応じたBa/F3−mpl細胞の増殖の刺激を、以前に記載されるように(F.de Sauvageら,前出)、H−チミジンの取り込みの量によって測定した。
【0084】
3.リン酸化アッセイ−JAK2のリン酸化(Drachmanら,J.Biol.Chem.,(1999),Vol.274,13480−13484頁)。
【0085】
4.転写ベースアッセイ−全長cMplレセプターをc−Fosプロモータールシフェラーゼレポーター構築物で一過的に共トランスフェクトする。24時間後トランスフェクションは、24時間、0.5% FCS中で細胞を飢餓させる。細胞を刺激し、6時間後に採取し、そしてルシフェラーゼ読み取りを行う(実施例1、生物学的アッセイの節もまた参照のこと)。
【0086】
(EPO様活性についてのスクリーニングのための生物学的アッセイ)
1.メチルセルロースにおける骨髄エリスロイド(erthroid)コロニー形成(Wrightonら.,Science,1996,Vol.273、458−463頁)。
【0087】
2.TF−1細胞(ヒト赤白血病細胞株)増殖。TF−1細胞は、Epo−Rの全長型および短縮型の両方を発現する。(J.Cell Physiol.,1989,Vol 140,323−334頁)。
【0088】
3.EPOレセプターは、JAK2キナーゼに直接連結して、チロシンリン酸化を誘導する。Epoは、TF−1細胞においてcFosを誘導する。c−Fos転写活性化。(Witthuhnら,Cell,(1993),Vol.74,227−236頁)。
【0089】
多数のバイオアッセイが、高スループットスクリーニングにおいて使用され得る。当業者は、これらおよび他の適切なバイオアッセイに精通している。いくつかの非放射性アッセイが開発されており、これらアッセイでは、DNA合成または酵素活性のいずれかが分析され得る。例えば、Mosmann(Mossman,T.1983.J.Immunol.Methods 65:55−57(本明細書中に参考として援用される))により記載のアッセイに基づくMTT細胞増殖アッセイ(Promega Corporation,Madison,WI)が使用され得る。このプロトコルは、迅速かつ容易である。このアッセイでは、生存細胞において、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性により、MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾル−2−イル]−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロマイド)、テトラゾリウム塩、が、ブルーホルマザン産物に変換される。デヒドロゲナーゼ含有量、および従って生じた発色産物の量は、細胞数に比例する。発色産物は、570nmでELISAプレートリーダーにおいて検出可能である。アッセイは、96ウェルマイクロタイタープレートにおいてまとめて、三連で実施される。簡潔には、標的細胞を、96ウェルプレート中で培養培地中に100μlアリコートでプレーティングする。種々の濃度の抗体の添加後、細胞を、十分に加湿された雰囲気中で37℃および5%COで48〜72時間、インキュベートする。MTTを各ウェルに添加し、そしてELISAプレートリーダーを介して増殖をモニタリングする。
【0090】
例えば、TF−1細胞を用いる増殖アッセイにおいて、抗体を発現するファージミドを含む細菌細胞を、哺乳動物細胞培地および細菌培地の混合物である培地(TF−1細胞の場合:RPMI 2.7/SB 0.3/Carb 100ug/ml)1ml中に、96ウェル深ウェルプレートにおいて、37℃で一晩、増殖させる。TF−1細胞は、多様なサイトカインに応答するヒト骨髄赤白血病細胞株である(Kitamura,T.,Tange,T.,Terasawa,T.,Chiba,S.,Kuwaki,T.,Miyagawa,K.,Piao,Y.F.,Miyazono,K.,Urabe,A.,Takaku,F.,Cell Physiol.140:323−334,1989;Kitamura,T.,Tojo,A.,Kuwaki,T.,Chiba,S.,Miyazono,K.,Urabe,A.,Takaku,F.,8lood 73:375− 380,1989;Kitamura,T.,Takaku,F.,Miyajima,A.,Int.Immunol.3:571−577,1991)。後日、終夜培養物を、新鮮なトレーに1/10で二次培養し、そして37℃で2時間、配する。37℃で4時間のIPTGでの誘導後、プレートを、室温で15分間2000rpmで遠心分離する。50ulの各培養上清を、滅菌96ウェルアッセイプレートに対して96ウェルフィルタートレー(Millipore)において濾過する。哺乳動物細胞を事前洗浄して増殖因子を除去し、そして1×10細胞/mlの濃度で再懸濁する。50ul細胞を各ウェルに添加する。アッセイプレートを37℃/5% COインキュベーター中で72時間インキュベートする。72時間目で、ウェルあたり40ul培地/MTS/PMSを添加することにより、トレーを発色させる。MTSは、MTTの改善型のより可溶性のバージョンである。両アッセイとも、テトラゾリウム塩の細胞変換に基づく。MTS増殖アッセイキット(カタログ番号G5421)は、Promega,Inc.(Madison,WI)から購入され得る。プレートを37℃/COインキュベーターで維持し、マイクロプレートリーダーを用いて、1時間、4時間、8時間で、OD490で読み取る。
【0091】
サイトカインの活性は、しばしば相乗的である。次いで、正確なシグナルを送る2つの異なるレセプターへのリガンド結合によって、または、リガンド/レセプターの相互作用が第二のサイトカインに応答するように細胞を感作するプライミング効果を介して、相乗性が現れ得る。さらに、系統発生において早期に作用するサイトカインは、発生経路のより襲い段階で作用するサイトカインよりも頻繁に相乗的である。従って、相乗性を調べるために、最適以下の濃度の増殖因子が、これらのバイオアッセイにおいて使用され得る。最適以下濃度のための条件は、各アッセイについて決定される。これは、増殖因子(個々または混合物として)の系列希釈をアッセイに添加し、そしてそれより低いと単一因子が混合物に比較して応答を促進しないレベルおよびそれより低いと混合物がバイオ圧制において応答を促進しないレベルを決定することによってなされる。骨髄間質細胞もまた、相乗応答において役割を果たし得る他の必要な因子を提供するために、バイオアッセイにおいて添加され得る。
【0092】
さらに、細胞増殖は、DNA合成をモニタリングすることによって調べられ得る。5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)取り込み(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)を調べる非放射性比色アッセイは、マイクロタイタープレート形式で実施され得る。ここで、細胞は、96ウェルプレート中で培養され、そしてBrdUおよび最適以下の濃度のサイトカインとインキュベートされる。BrdUの量は、ペルオキシダーゼ標識抗BrdU抗体での標識後、決定される。最終結果は、405nmでELISAプレートリーダーによって分析される。
【0093】
増殖の指標としてDNA合成速度を測定する放射性細胞分裂促進アッセイ(RainesおよびRoss,Methods of Enzymol.109:749−773,1985)もまた、使用され得る。これらのアッセイでは、標的細胞における[H]−チミジンの取り込みの速度の変化が調べられる。また、これらのアッセイは、多くの抗体フラグメントの同時かつ迅速なスクリーニングを許容する。それらは、多くの異なる細胞の増殖に対する刺激効果および阻害効果を評価する便利な方法として、広く使用されている。細胞は、それらが指数増殖速度に達するまで、懸濁液中に培養する。次いで、細胞を、それらを培養した培地を洗い流して、新鮮な培地中に再プレーティングする。細胞を、約1〜2×10細胞/mlの濃度で100μlの総容量で96ウェルプレートにアリコートに分ける。ファージ上清、可溶性二量体化FabまたはScFv抗体の希釈液を添加し、そして細胞を、37℃の温度で、ガス供給COインキュベーター中で18〜48時間、インキュベートする。インキュベーション後、[H]チミジン(937kBq)を各ウェルに添加し、さらに4時間インキュベートする。次いで、細胞をインキュベーターから取り出し、ベンチトップ型マイクロプレートシンチレーションカウンター(例えば、Packard Top Count NXT Instrument(Packard,Meriden,CT))で直接、計数する。あるいは、細胞を、Millipore細胞採取器(Millipore,Bedford,MA)または同様の装置においてGF/Cフィルターに連続的に移し得る。次いで、フィルター上に保持された酸不溶性物質と関連した放射性を決定する。市販の増殖因子の希釈液を、陽性コントロールウェルに適用する。陰性コントロールは、同様に処理した挿入物を含有していないプラスミドまたは無関係な抗体を有する細胞からの上清を含む。試験下の標準およびファージ上清の希釈液の相対増殖促進活性を比較して、サンプル中の増殖促進活性を定量する。
【0094】
活性化は、セカンドメッセンジャーをアッセイすることにより、または転写読み出しアッセイによって、試験され得る。
【0095】
生存は、例えば、トンネルアッセイ(tunnel assays)のようなアッセイを用いてアポトーシスをモニタリングすることによって、または当業者に公知の他の方法によって、アッセイされ得る。
細胞シグナル伝達、キナーゼおよびホスファターゼの活性、ならびに最終的にはアゴニスト活性の結果としての細胞活性を分析するための他の有用なアッセイは、セカンドメッセンジャー(例えば、cAMP、Ca++、ジアシルグリセロール(DAG)、およびイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3))の生成の測定を包含する。高スループットスクリーニングアッセイにおける細胞内カルシウム濃度、細胞内pH、および膜ポテンシャルにおけるスパイクの測定は、FLIPR Fluormetric Imaging Plate Reader System(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)のような装置を用いて実施され得る。セカンドメッセンジャー濃度の検査について、多数の蛍光プローブが入手可能である(Molecular Probes,Eugene OR)。セカンドメッセンジャーの濃度の測定はまた、単一細胞レベルでなされ得る(DeBernardi,M.A.およびBrooker,G.Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:4577−4582,1996)。さらに、他のシグナリング事象(例えば、リン酸化、アポトーシス、または特定遺伝子のRNAもしくはタンパク質のレベル)を調べるアッセイは有用である。例えば、ほとんどのサイトカインは、酵素PI 3−Kを活性化することが示されている(Silvennoinen,O.,Ihle,J.N.Signaling by the Hematopoietic Cytokine Receptors,R.G.Landes company,Austin,TX 1996に概説)。さらに、チロシンキナーゼのJakファミリーは、サイトカインレセプターシグナリングについて中心的なメディエーターであることが示されている(Ihle,J.N.,Witthuhn,B.A.,Quelle,F.W.Annu.Rev.Immunol.13:369−398,1995)。さらに、いくつかの他のチロシンキナーゼ(例えば、Srcファミリーのメンバー)は、特定のサイトカインの刺激に応じて活性化される。RNAもしくはタンパク質の場合、例えば、c−Junおよびc−Fosが、サイトカイン刺激に際して迅速かつ一過的にアップレギュレートされ、一方、c−Myc誘導は、より緩慢である。これらのタンパク質は、G1遷移および増殖に必要とされる(Silvennoinen,O.,Ihle,J.N.Signaling by Hematopoietic Cytokine Receptors,R.G.Landes Company,Austin,TX 1996に概説)。これらの転写物の増加を検出する高スループットスクリーンは、利用され得る。
【0096】
転写読み出しアッセイにおいては、増殖因子または増殖因子模倣物(アゴニストまたは阻害抗体)への細胞の露出後に、特定遺伝子の転写における変化が観察される。例えば、myc読み出しアッセイでは、IL−3依存性FDCP−ミックス細胞株のような細胞を、8時間、IL−3増殖因子の飢餓状態に置き、その後、増殖因子模倣物またはネイティブ増殖因子に対して、37℃で2時間露出させる。この時点で、細胞を採取し、そしてRNAを単離し、そしてmyc遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実施する。RT−PCR反応物を、PCR産物の定量のために水平アガロースゲルにおいて電気泳動する。この場合、単一遺伝子の発現がモニタリングされる。
【0097】
あるいは、遺伝子の発現の変化についてのアッセイが、CHIP技術を用いてモニタリングされ得るが、アゴニスト抗体が、高いプローブ感受性および動態範囲の条件下で同定され得る。このように、10,000以上までが、発現の変化について分析され得る。モニタリングされ得る所望の遺伝子は、とりわけ、c− myc、c−jun、NF−κBを含み得る。これらの遺伝子は、種々のシグナル伝達経路の下流にあり、そしてそれらの発現は、細胞分裂促進応答の際に変化するはずである。市販のCHIP(Affymetrix,Santa Clara,CA)の1つのタイプでは、所望の試験遺伝子由来のオリゴヌクレオチドが、ガラス表面上にプリントアウトされ得る。標的細胞を試験アゴニスト抗体に対して露出させる。RNAを、試験アゴニスト抗体に対して露出された細胞から単離し、cDNAに複製し、そしてビオチンの存在下でインビトロ転写させる。インビトロ転写されビオチン化されたmRNAのハイブリダイゼーションが、アレイにおいてプローブとして使用される。次いで、チップを走査して、試験アゴニスト抗体への露出に際して転写の増大を示す遺伝子を決定する。CHIP技術の別のバージョン(Incyte,Palo Alto,CA)においては、DNAの量が、ガラス上で標準化され、従って、競合ハイブリダイゼーションを設定する。RNAを、アゴニストへの露出の前および後に、細胞から単離する。各サンプルからcDNAを作製し、それにより1つのcDNA反応物は、1つのレベルを取り込ませ(例えば、Cy−3)、そして他方のcDNA集団は、異なるレベルを取り込ませる(例えば、Cy−5)。シグナルを検出し、そしてデュアルレーザー走査において比較して、画像を採集する。
【0098】
視覚アッセイもまた、使用され得る(例えば、伝統的メチルセルロースコロニー形成アッセイ(Stem Cell Technologies,Vancouver BC,Canada))。これらのアッセイにおいて、コロニー増殖、および形態学的変化が、光学顕微鏡によってスコア付けされる。半固体寒天培養またはメチルセルロースにおける増殖または分化効果についての視覚検査は、適切な細胞株を用いて実施され得る。Williams Hematology 5(編者E.Butler,M.A.Lichtman,B.S.Coller L T.J.Kipps),McGraw−Hill,Inc.,pp L22−L26,1995)。メチルセルロースの添加により、単一の始原細胞のクローン子孫が一緒にとどまることが可能になり、そしてこれは、別個のコロニーを認識し、そして数え上げることを容易にする。基本メチルセルロース培地に、コロニー刺激因子補充物を除いて、全ての必要成分(例えば、Iscove’s MDM、BSA、(−メルカプトエタノール、L−グルタミン)を添加し、そして試験抗体(ファージ上清、可溶性抗体)を添加して、それらが増殖因子の代わりとなり得るかどうかを観察する。メチルセルロース培養中の細胞を、空気中5% COの37℃加湿雰囲気中で、抗体の添加後、10〜12日間インキュベートする。10〜12日のインキュベーション後、倒立顕微鏡を用いて、コロニーを計数する。さらに8〜10日後、再度、コロニーを計数する。抗体を含有する培地と増殖因子を有するおよび有しないコントロールとの間で、比較を行う。さらに、メチルセルロースからコロニーを釣り上げ得、そして個々の細胞を、Wright染料での染色によって細胞学的に調べ得る(Atlas of Hematological Cytology,F.G.J.HayhoeおよびR.J.Flemans,Wiley−InterScience 1970を参照のこと)。
【0099】
BIACORE表面プラズモン共鳴システム(Pharmacia Biosensor)を用いて測定した会合速度定数および解離速度定数から、抗体フラグメントのレセプター結合アフィニティーが算定され得る(Lfas & Johnson,1990)。バイオセンサーチップは、供給者(Pharmacia Biosensor)の指示書に従って、N−エチル−N”’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロライド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いたgD−mplレセプターの共有結合カップリングについて活性化される。gD−mplを、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)にバッファー交換し、そして約30μg/mLに希釈する。約400応答単位(RU)の共役タンパク質に達するように、アリコート(5μL)を流速1μL/分で注入する。最後に、1Mエタノールアミンをブロッキング剤として注入する。速度論測定のために、抗体の1.5系列希釈を、20μL/分の流速を用いて25℃でPBS/Tween緩衝液(0.05% Tween−20(リン酸緩衝生理食塩水中))中に注入する。SPR測定値からの平衡解離定数Kをkoff/konとして算定する。標準偏差(konに対してson、およびkoffに対してsoff)は、代表的には、4つより多くのタンパク質濃度(kon)または7つより多くのタンパク質濃度(koff)を用いた測定値から得られる。解離データは簡易なAB−>A+Bモデルに適合されて、koff+/−s.d.(測定値の標準偏差)を得る。各解離曲線に対して偽一次速度定数(Pseudo−first order rate constant)(ks)を算定し、そしてタンパク質濃度の関数としてプロットし、kon+/−s.e.(適合の標準誤差)を得る。
【0100】
全IgGへの抗体クローンの変換のために、軽鎖および重鎖(またはそれらのフラグメント)の両方のコード領域が、細菌ベクターから哺乳動物ベクター(1つまたは複数)に別々にクローニングされ得る。同じプラスミド中に軽鎖および重鎖の両方のカセットをクローニングする単一ベクター系(例えば、pDR1またはその誘導体)が、使用され得る。あるいは、重鎖と軽鎖とが別々のプラスミドによって生成される二重発現ベクターが使用され得る。哺乳動物シグナル配列は、最終ベクター(1つまたは複数)中にすでに存在しているか、または軽鎖および重鎖DNA挿入片の5’末端に付加されるかのいずれかの必要がある。これは、適切な哺乳動物リーダー配列を含むシャトルベクター(1つまたは複数)へのこれら鎖の初期移入によって成し遂げられ得る。制限酵素消化後、軽鎖領域および重鎖領域(またはそれらのフラグメント)が、IgG1についての残りの定常領域がイントロンありまたはイントロンなしのいずれかで提供されている最終ベクター(1つまたは複数)中に導入される。イントロンが使用されるいくつかの場合、pRL4から軽鎖および重鎖の可変領域を増幅するPCRのためのプライマー設計は、適切なスプライシングおよび哺乳動物細胞における抗体の産生を得るために、エキソンスプライシングドナー部位を含むことを必要とし得る。
【0101】
いずれのベクター発現系(単一プラスミドまたは二重プラスミド)を用いても、抗体重鎖および軽鎖の生成は、哺乳動物細胞において作動するプロモーター(例えば、CMVプロモーター、SV40プロモーター、またはIgGプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない)によって駆動され得る。さらに、ベクター(1つまたは複数)は、細菌における増殖についての選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、クロラムフェニコール耐性、カナマイシン耐性、またはゼオシン耐性が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。哺乳動物細胞のための選択マーカー(例えば、DHFR耐性、GS耐性、gpt耐性、ネオマイシン耐性、またはハイグロマイシン耐性)もまた、IgGベクター(1つまたは複数)中に存在し得るか、または共トランスフェクションにより別のプラスミドで提供され得る。
【0102】
当業者は、公知の技術を用いて、他の生物(例えば、酵母、哺乳動物、昆虫、および植物)において抗体を合成し得る(Carlson,J.R.およびWeissman,I.L.,Mol.Cell.Biol.,8:2647−2650,1988;Trill,J.J.,Shatzman,A.R.,Ganguly,S.Curr.Opin.Biotechnol.6:553−560,1995;Hiatt,A.,Cafferkey,R.Bowdish,K.Nature 342:76−78,1989)。
【0103】
前に述べたように、本明細書中の開示に従って作製された抗体は、小ペプチドまたはペプチド模倣物(本明細書中に記載のTPO模倣物)の活性に対して増大された半減期(活性持続期間)を提供する。別の局面では、抗体の血清半減期は、PEG化される誘導体を作製することによって、それ自体延長され得る。例えば、Leeら,Bioconjug.Chem(1999)10(6):973−81(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。例えば、本明細書中に記載のTPO模倣物抗体の別の利点は、通常TPO処理が、患者においてTPO中和抗体の生成を生じ得ることであり、この抗体は、患者の天然に存在するTPOの活性に干渉する。本TPO模倣物抗体は、有害な免疫応答がネイティブTPOに対して生じる可能性を実質的に低減させる。なぜなら、これは、異なるアミノ酸配列を有するからである。
【0104】
請求項によって包含される分子は、診断において使用され得るが、この診断では、抗体またはそれらのフラグメントが検出マーカーに結合体化されるか、または検出マーカーに結合体化された二次抗体と共に一次抗体として使用される。検出マーカーは、放射性標識および非放射性標識を含み、そして当業者に周知である。一般の非放射性標識には、検出酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)および蛍光分子が含まれる。蛍光分子は、ある波長で光を吸収し、別の波長で光を放射し、従って、例えば、蛍光顕微鏡により可視化が可能になる。分光光度計、蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダー、およびフロー選別装置は、周知であり、そしてしばしば、蛍光染料に共有結合にてカップリングさせることにより蛍光を発するようになる特定分子を検出するために使用される。蛍光色素(例えば、緑色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質の赤色シフト変異体、アミノクマリン酢酸(AMCA)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(tetramethylchodamine isothiocyanate)(TRITC)、テキサスレッド、Cy3.0、およびCy5.0)は、有用標識の例である。
【0105】
これら分子は、蛍光マーカーが使用される場合、蛍光活性化細胞選別(FACS)のような細胞単離ストラテジーにおいて使用され得る。蛍光活性化細胞選別では、蛍光分子でタグ化された細胞が、フローサイトメーター(例えば、Becton−Dickinson(San Jose,California)FACS IVサイトメーターまたは等価の装置)において電子工学的に選別される。蛍光分子は、特異的細胞表面抗原を認識する抗体である。抗体は、蛍光マーカー(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE))に結合体化される。
【0106】
磁気選別もまた可能である。磁気選別手順では、抗体が、磁気マイクロビーズに直接または間接的に連結される。細胞を、細胞表面分子(例えば、増殖、分化、活性化、または生存に関与するレセプター)を認識する抗体で予備コーティングする。この抗体を、ペプチドを提示する一次抗体(例えば、各抗体に操作されたHA分子タグ)に結合する二次免疫グロブリンと結合体化された磁気ビーズに付着させる。次いで、この細胞を、磁気で取り出す。磁気選別は、ポジティブ選択(関心のある細胞が抗体および従って磁石によって結合される)またはネガティブ選択(所望されない細胞が磁石上で単離される)であり得る。
【0107】
あるいは、放射性標識抗体が、診断目的のために使用され得る。
【0108】
本明細書中で開示された抗体およびそれらのフラグメントは、種々の臨床関連細胞型の増幅のために有用である。処置は、インビボまたはエキソビボであり得る。例えば、アゴニスト抗体は、所与の系統(1つまたは複数)の細胞が正常数未満で患者に存在する、疾患、障害、または例えば、造血の抑制に関連した処置によって引き起こされる細胞集団における欠陥を被る患者を処置するために有用である。以下は、本明細書中に開示された生物学的に活性なペプチドを含む抗体で処置され得る状態の単なるいくつかの例を表すのみであって、当業者は、このような処置で利点を得る他の疾患および状態を同定し得る。例えば、HIV感染患者、化学療法を受けている患者、骨髄移植患者、幹細胞移植患者、および骨髄増殖性障害罹患患者は、特定の造血系統において正常以下のレベルを示す。
【0109】
血小板減少症は、化学療法、骨髄移植、または慢性疾患(例えば、特発性血小板減少症(ITP))の結果であり得、これらは全て低血小板レベルを生じる。本TPO模倣物抗体は、このような患者を処置するために使用され得る。
【0110】
腎透析を受けている患者は、しばしば、正常以下レベルの赤血球を伴う処置関連貧血を被る。再生不良性貧血では、骨髄抑制が、汎血球減少を引き起こし得るか、または赤血球、白血球、または血小板にのみ影響し得る。開示された抗体は、特定の細胞集団(例えば、造血細胞)における欠陥によって特徴付けられる、これらおよび他の疾患および障害のための治療剤の最大の武器を増大させる。
【0111】
本願発明によって包含される分子はまた、細胞のエキソビボ増殖および分化のために使用され得る。これは、遺伝子治療目的(例えば、伝統的なウイルスベクターアプローチ)、および自己骨髄移植に有用である。
【0112】
さらに、本開示に従う特定の抗体は、放射線免疫療法のために放射性標識され得るか、または毒素に結合体化されて、このような毒素を特定の細胞型に送達し、それらの細胞の殺傷を生じさせ得る。
【0113】
造血細胞の増殖、分化、および成熟を刺激し得る生物学的に活性なc−mplアゴニスト抗体は、血小板の生成不良、捕捉(sequestration)、または破壊増大に起因して血小板減少症を罹患する患者において巨核球系細胞形成(megakaryocytopoietic)または血栓形成活性を刺激するために、滅菌薬剤調製または処方において使用され得る。血小板減少症関連骨髄低形成(例えば、化学療法または骨髄移植後の再生不良性貧血)は、開示された抗体で有効に処置され得る。ならびに、播種性血管内凝固症候群(DIC)、免疫血小板減少症(HIV誘発性ITPおよび非HIV誘発性ITPを含む)、慢性特発性血小板減少症、先天性血小板減少症、脊髄異形成、および血栓性血小板減少症のような障害も同様である。
【0114】
TPO模倣物ペプチドを含む本明細書中に開示された生物学的に活性なc−mplアゴニスト抗体は、トロンボポイエチン(TPO)と同じようにして、かつ同じ適応症のために用いられ得る。トロンボポイエチン(TPO)は、巨核球系細胞形成および血小板生成を刺激する。これらの抗体は、ネイティブTPOまたはPEG化TPOよりも長い半減期を有することが期待され、従って、より長い半減期が示される適応症において使用される。
【0115】
TPO模倣物の活性を決定するために有用なアッセイの例は、リバウンド血小板増多症アッセイであり、これは、マウスに、ヤギ抗マウス血小板血清を単回注射で投与して、急性血小板減少症を誘発する(0日目)ことを包含する。5日目および6日目に、マウスに試験サンプルを注射する。8日目に、血小板計数を決定する(血小板への35S取り込み)。
【0116】
本明細書におけるEPO模倣物抗体は、天然に存在するEPOに類似した様式で造血を刺激する。このような治療は、赤血球生成が妥協される状態(例えば、慢性腎不全におけるような)を処置する際に有用である。EPO模倣物抗体の生物学的活性は、インビトロまたはインビボでのアッセイを用いて決定され得る。
【0117】
1つのインビトロアッセイは、Krystal,G.,Exp.Hematol.11:649−660(1983)の手順に従って、無傷マウス脾細胞における赤血球形成に対するエリスロポイエチン模倣物抗体の効果を測定する。EPO模倣物抗体の種々の実施形態を例えば、インビトロまたはインビボで活性についてスクリーニングするために、EPO模倣物抗体は、赤血球形成またはレセプター結合の程度について評価され得る。生物学的活性を決定するための試験は、当業者に周知である。例えば、エリスロポイエチンの生物学的活性は、例えば、米国特許番号5,614,184および米国特許番号5,580,853(本明細書中に参考として援用される)において記載されるように測定され得る。
【0118】
抗体投与の経路は、公知の方法(例えば、静脈内、腹腔内、大脳内、筋内、皮下、眼内、動脈内、髄腔内、吸入または病巣内経路による注射または注入、局部、または徐放システムによる(以下に記載するような))に従う。抗体は、好ましくは、注入またはボーラス注射によって連続的に投与される。局所様式でまたは全身様式で抗体を投与し得る。
【0119】
本発明の抗体は、薬学的に受容可能なキャリアとの混合物中に調製され得る。本出願の化合物の処方および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版において見出され得る。この治療組成物は、静脈内または鼻もしくは肺を通して、好ましくは、液体または粉末エアロゾル(凍結乾燥した)として、投与され得る。組成物はまた、所望されるように、非経口投与または皮下投与され得る。全身投与される場合、治療組成物は、滅菌で、発熱物質を含まず、そしてpH、等張性、および安定性に関して期限を有する非経口で受容可能な溶液中にあるべきである。これらの条件は、当業者に公知である。
【0120】
簡潔には、本発明の化合物の投薬処方物は、所望の純度を有する化合物を生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または安定剤と混合することにより、貯蔵または投与のために調製される。このような物質は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、そして以下を含み得る:緩衝液(例えば、TRIS HCl、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および他の有機酸塩);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸);低分子量(約10残基未満)ペプチド(例えば、ポリアルギニン)、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニン);単糖類、二糖類、および他の糖質(セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば、ナトリウム)および/または非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN、PLURONICS、またはポリエチレングリコール)。
【0121】
インビボ投与のために使用される場合、抗体処方物は、滅菌でなければならず、そして従来の薬学的実務に従って処方され得る。これは、凍結乾燥および再構成の前または後に滅菌濾過膜を通して濾過することによって、容易に成し遂げられる。抗体は、通常、凍結乾燥形態で、または溶液中に貯蔵される。他のビヒクル(例えば、天然に存在する植物油(例えば、ゴマ油、落花生油、または綿実油)または合成脂肪ビヒクル(例えば、オレイン酸エチルなど))は、所望され得る。緩衝液、防腐剤、抗酸化剤などが、受け入れられている薬学的実務に従って取り込まれ得る。
【0122】
使用に適した薬学的組成物は、1つ以上の合理的に設計された抗体が、それらの意図された目的を達成するために有効な量で含まれる組成物を含む。より詳細には、治療有効量は、疾患の症状を防止、緩和、もしくは改善するか、または処置されている被験体の生存を延長するのに有効な抗体量を意味する。治療有効量の決定は、特に、本明細書中に提供された詳細な開示内容を考慮して、当業者の能力の十分に範囲内である。治療有効投薬量は、インビトロの方法およびインビボの方法を用いることにより決定され得る。
【0123】
治療に用いられるべき抗体有効量は、例えば、治療目的、投与経路、および患者の状態に依存する。さらに、主治医は、薬物の作用を改変することが知られる種々の要因を考慮する。このような要因には、疾患の重度およびタイプ、体重、性別、食事内容、投与時間および経路、他の医療措置、ならびに他の関連臨床要因が含まれる。従って、治療専門家にとっては、最適な治療効果を得るために必要とされるように、投薬量を力価測定し、そして投与経路を改変することが必要である。代表的には、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量が到達されるまで抗体を投与する。この治療の進行は、従来のアッセイによって容易にモニタリングされる。
【0124】
ペプチドを含有する任意の抗体について、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に概算され得る。例えば、用量は、細胞培養において決定されたようなEC50(例えば、細胞増殖または分化を促進または阻害する試験分子の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて処方され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。
【0125】
本明細書中に記載の抗体分子の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定され得る(例えば、LD50(集団の50%に対して致死である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)を決定するために)。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、そしてそれは、LD50とED50との間の比として表され得る。高い治療指数を示す分子が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量範囲を処方する際に用いられ得る。このような分子の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く示さないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。正確な処方、投与経路、および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。(例えば、Finglら,1975,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0126】
投薬量および投薬間隔は、細胞増殖または分化を促進または阻害するために十分な抗体の血漿レベル、または最小有効濃度(MEC)を提供するために、個々に調整され得る。
【0127】
MECは、各抗体について種々であるが、記載されたアッセイを用いてインビトロデータから概算され得る。MECを達成するのに必要な投薬量は、個々の特徴および投与経路に依存する。しかし、HPLCアッセイまたはバイオアッセイは、血漿濃度を決定するために使用され得る。
【0128】
投薬間隔もまた、MEC値を用いて決定され得る。抗体分子は、その時間の10〜90%の間、好ましくは、30〜90%間、そして最も好ましくは、50〜90%間、MECを上回る血漿レベルを維持する処方計画を用いて投与されるべきである。
【0129】
局所投与または選択摂取の場合、抗体の有効局所濃度は、血漿濃度に関連するものでなくてもよい。
【0130】
代表的な一日投薬量は、上記の要因に依存して、1μ/kgから100mg/kg以上までの範囲にあり得る。代表的には、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量が到達されるまで分子を投与する。この治療の進行は、従来のアッセイによって容易にモニタリングされる。
【0131】
疾患のタイプおよび重度に依存して、約0.001mg/kg〜約(abut)1000mg/kg、より好ましくは約0.01mg〜100mg/kg、より好ましくは、約0.010〜20mg/kgのアゴニスト抗体が、例えば、1回以上の別個の投与によっても、または連続注入によっても、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。状態に依存して、数日間またはそれ以上長くにわたる繰り返し投与のために、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるか、患者の状態において所望の改善が達成されるまで、繰り返される。しかし、他の投薬計画もまた有用であり得る。
【0132】
(実施例)
以下の実施例は、例証の目的のためにのみ含まれ、本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0133】
(実施例1)
(ヒト抗体フレームワーク中にグラフト化したTPO模倣物配列のライブラリー構築)
アゴニストTPO模倣物ペプチド
【0134】
【化6】

(配列番号1)を、抗破傷風トキソイド(TT)Fab重鎖CDR3(HCDR3)中にグラフト化し、全HCDR3配列
【0135】
【化7】

(配列番号4)を置換する。図2Aは、用いたヒト破傷風トキソイド抗体の配列を示す。2つのグラフト化アプローチを用いた。第一のアプローチでは、アゴニストペプチドを、H−CDR3領域に挿入し、それぞれの側に2つのグリシンを隣接した。これは、必要とされるコンフォメーションをより容易にとることができるように、グラフト化ペプチドにおける構造拘束を減少させるためであった。第二のアプローチでは、ペプチドグラフトの各側における2つのアミノ酸位置を、ペプチドの最良の提示が達成され得るようにランダム化した(図3)。これらの2つのアプローチを、抗体足場にアゴニストペプチドを適切に提示し、それにより、抗体に対してその活性を付与するために、ペプチド単独で十分であるか、または特定の残基が必要であるかを決定するために用いた。
【0136】
図4は、ライブラリー構築プロセスを概要する。簡潔には、抗破傷風トキソイドFabを2つのフラグメントとして増幅した。フラグメントAを、順方向プライマープライマー
【0137】
【化8】

(配列番号5)(これは、軽鎖のOmp Aリーダーにアニーリングする)を、後方向プライマー
【0138】
【化9】

(配列番号6)(これは、重鎖フレームワーク領域(FR)3の末端でアニーリングする)と合わせて用いて増幅した。逆方向プライマーは、新規CDR3をコードするテイルを含有した。フラグメントBを、順方向プライマー
【0139】
【化10】

(配列番号7)(これは、FR4でアニーリングする)および逆方向プライマーSeq−G3Rev
【0140】
【化11】

(配列番号8)(これは、重鎖停止シグナルの下流のプラスミドの遺伝子III領域においてアニーリングする)を用いて生成した。TPOCDR3−Fプライマーもまた、新規CDR3領域をコードする塩基のテイルを有した。以下のPCRプログラムにおいて、TAQ DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)を用いた:94℃で30秒、次いで30サイクル(94℃で15秒、55℃で15秒、および72℃で90秒)、続いて72℃で10分間の伸長期間、および4℃での維持。フラグメントをPCRにより生成し、そしてゲル精製した後、それらを、オーバーラップ伸長PCRのために組み合わせた。新規なCDR3プライマーでコードされたこれら領域は、相補的であり、そして23塩基の重複を提供した。プライマーN−OmpおよびSeqG3RevをオーバーラップPCRプロトコルにおいて使用し、全Fab DNA産物を生成した。以下のPCRプログラムにおいて、Taq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)を用いた:94℃で30秒、次いで20サイクル(94℃で30秒、56℃で30秒、および72℃で3分15秒)、続いて72℃で15分間の伸長期間、続いて4℃での維持。Fab産物のゲル精製後、Sfi 1消化を50℃で5時間実施した。挿入物をSfi 1消化pRL4ベクターに一晩連結させた。連結産物をエタノール沈殿させ、HO中に再懸濁し、そして次いでコンピテントER2537細菌(サプレッサー株、New England Biolabs)中にエレクトロポレートした。5mlのSOC中で1時間振盪した後、等容量のSBを添加した。カルベニシリンを20ug/mlに添加し、そして培養物を、37℃で1時間、続いて50ug/mlカルベニシリン中で37℃で1時間振盪した。ライブラリー培養物を、100mlの新鮮SB、50ug/mlカルベニシリン、および1012 VCS M13ヘルパーファージを含むフラスコ中に移した。37℃で2時間後、カナマイシンを添加し、ヘルパーファージに感染した細菌を選択した。翌日、終夜培養物を遠心沈殿させ、そして上清中のファージを4%PEG/0.5M NaCIを用いて氷上で沈殿させた。ファージを遠心沈殿させた後、ペレットを1%BSA/PBS中に再懸濁させ、濾過し、そしてPBSに対して透析した。ライブラリーファージを4℃で貯蔵した。
【0141】
非ランダム連結ペプチドを含有するFabの構築を、プライマーTPOCDR3−BおよびTPOCDR3−Fを代替の特異的プライマーと取り替えることにより、上記のようにして実施した。
【0142】
【化12】

(配列番号25)グラフト化抗体について、用いたプライマーは、TPOCDR3g−B
【0143】
【化13】

(配列番号9)およびTPOCDR3g−F
【0144】
【化14】

(配列番号10)であった。
【0145】
【化15】

(配列番号29)グラフト化抗体について、用いたプライマーは、TPO−CDR3−ggB
【0146】
【化16】

(配列番号11)およびTPOCDR3g−F
【0147】
【化17】

(配列番号12)であった。
【0148】
(TPO模倣物ペプチド重鎖CDR3ライブラリーの選択)
最適なペプチドディスプレイについて選択するために、ヒト血小板においてパンニングを実施した。血小板は、それらの表面上に一細胞あたり約1800のTPOレセプターを発現するので(cMplレセプター)、これは、良好な細胞標的であった。さらに、血小板は、地方の血液銀行から容易に入手可能である。血液銀行から得た1mlの濃縮され、indateされたヒト血小板に、50ulの新鮮に調製したFab−ファージを0.1% NaNを有する15ml円錐チューブ中に添加した。チューブを室温で1〜2時間混合した。代表的には、10mlの50%ヒト血清(残存する血小板を取り除いた)+50%{1MDM/10% FBS/0.1% アジド/2mM EDTA}をファージ/細胞に添加した。血小板を、室温で5分間、5500×gでペレット化した。上清を排出し、そしてペレットを約500ulの洗浄液の下で20分間静置した。血小板を、非常に穏やかに再懸濁し、そして次いで10mlの25%ヒト血清(残存する血小板を取り除いた)+75%{IMDM/10%FBS/0.1% アジド/2mM EDTA}をファージ/細胞に添加した。血小板の遠心分離、ペレット静置、および再懸濁を繰り返した。3ラウンドおよび4ラウンド目のパンニングでは、第三の洗浄を実施した。洗浄したファージ/細胞をエッペンドルフ(eppindorf)チューブに移し、そして5200×gで遠心した。ファージを、酸溶出緩衝液(0.1M HCl、1mg/ml BSA、およびグリシン(pH 2.2まで))を用いて室温で10分、血小板から溶出した。血小板を最大速度でペレット化し、そして溶出したファージを50ml円錐チューブに移し、2M Tris塩基を用いて中和した。次いで、ファージを、新鮮なER2537細菌に、室温で15分間感染させ、上記のようにして一晩増幅させた。血小板パンニングを4ラウンド実施した。
【0149】
4ラウンド目のパンニングの後、非サプレッサー細菌株TOP10F’(Invitrogen,Carlsbad,CA)において可溶性タンパク質として発現された3つのFabクローンのプールを、ラット高アフィニティー抗HA、続いて抗Rat−FITC(Sigma,St.Louis,Missouri)と共にFabのHAエピトープタグを利用することにより、血小板への結合について、Facsによって試験した。25ulのindateされた濃縮ヒト血小板(PBS/5mM EDTA/2% FBSで1回洗浄された)を、100ulの細菌上清(3つのプールされたFabクローンからの60ulの細菌上清を、4℃で15分間、40ulの5%Milk/PSSと予備インキュベートした)と、室温で20〜30分間、インキュベートした。1mlのFACS緩衝液(PBS/2%FBS/5mM EDTA)を添加し、そして細胞を、5分間、5200xgで遠心沈殿した。ペレット化した細胞を、50ulの1:10希釈(PBS/1% BSA/0.1% NaN中)した2°抗HA抗体[ラットIgG抗HA高アフィニティークローン3F10(Roche Molecular Biochemicals)]中に再懸濁し、添加した。室温で30分後、細胞を、上記のように1ml FACS緩衝液で洗浄した。遠心分離後、細胞を100ulの1:160希釈(PBS/1% BSA/0.1% NaN中)した3°抗ラットIgG−FITC抗体(Sigma)中に再懸濁し、そして室温で20分、暗所でインキュベートした。細胞を1mlのFACS緩衝液で洗浄し、次いで、透析のために、200ulのFACS緩衝液中に再懸濁した。陽性コントロールとして、市販のヒツジ抗IIb/IIIa Ab、続いて抗ヒツジFITCを使用した。Fabの多くのプールは、Facsによって血小板への結合について明らかに陽性であった。次いで、追跡Facs分析を実施し、血小板に結合された個々のクローンを同定した。
【0150】
(結合活性による個々の候補の試験)
いくつかのFabを、細菌上清として、その結合特異性が保持されるかどうかを決定するために、本来の抗原破傷風トキソイドに対する反応性について試験した。抗体足場抗TT Fabは、その抗原TTに結合するが、BSAには結合しない。しかし、4つのTPO模倣物ペプチドグラフト化Fabクローンは、TTにもBSAにも有意な結合を示さなかった。以前の実験において見られたように、抗TT Fab HCDR3の置換は、抗体の特異性を変化させるのに十分であった。
【0151】
Fabの結合能力をさらに調べるために、Facs分析を、CMK細胞、巨核球系細胞細胞株(German Collection of Microorganisms and Cell Culturesから入手)(これもまた、cMplレセプターを発現する)において実施した。次いで、CMK細胞を結合したFabクローンを分析し、血小板およびCMK細胞結合がcMplレセプターを介して生じていることを確証した。その実験のために、293 EBNA細胞を、RT−PCRによりTf−1細胞からクローニングしておいたcMpl−Rを用いて、またはこれを用いずにトランスフェクトした。1×10のトランスフェクトされた細胞を、各Fabクローン(上記のように予備ブロックされた)からの細菌上清と、室温で20〜30分間、インキュベートした。細胞を、5分間、2000rpmで遠心沈殿した。ペレット化された細胞を、90ulのFACS緩衝液(PBS/2% FBS/1mM EDTA)中に再懸濁し、次いで10ulの2°抗HA抗体[ラットIgG抗HA高アフィニティークローン3F10(Boehringer Mannheim Biochemicals)を最終1:10希釈に添加した。室温で20分後、細胞を1mlのFACS緩衝液で洗浄した。遠心分離後、細胞を100ulの1:50希釈(PBS/1% BSA/0.1% NaN中)した3°抗ラットIgG−PE抗体(Research Diagnostics Incorporated,RDI)中に再懸濁し、そして室温で20分、暗所においてインキュベートした。細胞を1mlのFACS緩衝液で洗浄し、次いで、透析のために、200ulのFACS緩衝液中に再懸濁した。パンニングの間に選択されたFabは、cMpl−Rでトランスフェクトされた細胞に対して強い結合を示したが、cMpl−Rを欠く、コントロールベクタートランスフェクト細胞に対しては示さなかった。このことは、細胞表面結合が、cMplレセプターを通して特異的に生じていたことを示している。抗TT Fabは、コントロールベクターでトランスフェクトした293細胞にもcMpl−Rでトランスフェクトした293細胞にも結合しない。しかし、FabクローンX1cは、コントロール(非cMplレセプター)トランスフェクト細胞の3%結合から、cMpl−Rを発現する細胞の95%結合へのシフトを示す。
【0152】
(配列による個々の候補の試験)
cMplレセプターに特異的に結合されたFabクローンの配列分析(図5を参照のこと)は、下流連結部位での好ましいアミノ酸の選択を明らかにした。DNA配列データを分析した。アミノ酸配列およびDNA配列は以下の通りである:
【0153】
【表1】

強い結合を示した全てのクローンは、14アミノ酸のTPO模倣物ペプチドのちょうど下流にプロリンを含むことが見出された。下流リンカー位置におけるプロリンのパンニングによる選択は、グラフト化TPO模倣物ペプチドに改善された結合特徴を付与する、驚くべきアミノ酸選択の決定を表す。弱い結合物は、TPO模倣物ペプチドをなお含んだが、このプロリンを含まなかった。クローンX7aがこのペプチドにおいてサイレントな変異を有したこと(GCGからGCA、ペプチド中の11位でAlaを保持する)、およびクローンX2cが、このペプチドにおいて、ペプチドの11位でAlaの代わりにThrに変更する変異を有したことに留意されるべきである。
【0154】
(生物学的アッセイ)
クローンを、c−Fosプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼ活性を測定する転写ベースのアッセイを用いて、アゴニスト活性について試験した。cMplレセプターの二量体化は、Jakを活性化し、これは、MAPキナーゼ経路を刺激する。このように、cFosプロモーターを介してMAPキナーゼにより刺激されたルシフェラーゼ生成および活性をアッセイすることにより、活性化が測定され得る。cMplレセプターの二量体化が活性化のために必要とされるので、全IgGまたは二量体化Fabフラグメント(レセプターを二量体化し得る)のいずれかが、cMplレセプター活性を刺激するために使用され得る。細菌において生成されたFabを、12CA5抗HA抗体を利用してHAタグを介して二量体化した。12CA5の量を増大させながら細菌Fabに添加して、Fabクローンを二量体化させ、それらが順に二量体化し、そしてcMplレセプターを活性化させた。アゴニスト活性の測定のために、12CA5と混合したFab含有細菌上清(2ml)を、コントロールベクターまたはcMplレセプターのいずれかおよびFosプロモーター/ルシフェラーゼレポーター構築物で共トランスフェクトしておいたNIH3T3細胞に適用した。3T3細胞の共トランスフェクションは、NIH 3T3細胞を6cm皿当たり3×10細胞でプレーティングし、そして次いで翌日にトランスフェクトすることにより、実施した。NIH 3T3細胞を、エフェクチン(Effectine)リポフェクチン試薬(Qiagen)を用いてトランスフェクトしたが、各プレートを、0.1ug pEGFP(トランスフェクション効率を測定するトレーサー)、0.2ugのFosプロモーター/ルシフェラーゼ構築物および0.7ugの空コントロールベクターまたはcMplレセプター発現プラスミドを用いてトランスフェクトした。3T3細胞を0.5%血清中にトランスフェクションの24時間後に配置し、そしてこの低血清培地中でさらに24時間インキュベートし、Fosプロモーターのバックグラウンド活性化を減少させた。次いで、抗体上清を、これらの細胞に6時間適用した。細胞を採取し、そしてルシフェラーゼアッセイを50ugの細胞溶解物を用いて実施した。cMplレセプター発現のない場合、抗体によって活性化は刺激されなかった。しかし、cMplレセプター共トランスフェクト3T3細胞において、アゴニスト活性が観察された。このことにより、本発明者らは、観察されたアゴニスト活性が、cMplレセプターおよび抗体とのその相互作用を通してのものであったことを実証した。データは以下の通りである:
【0155】
【表2】

cMplレセプターの活性化は、抗HA 12CA5により二量体化された細菌生成Fabよりもむしろ哺乳動物細胞の一過性または安定トランスフェクションから生成された全IgG(本明細書中に記載のようにFabから変換された)を用いて、同様に試験され得る。実験的一過性トランスフェクションは、本質的には本明細書中に記載のように実施され得る。トランスフェクションのために、各試験サンプルについて、2×10細胞(例えば、293 EBNA)を6cm皿中にプレーティングする。翌日、各プレートを、エフェクチン試薬(Qiagen)を用いて、2.5ugの全DNA(2ug 軽鎖および重鎖プラスミド(1つまたは複数)の全体、0.25ugのpAdVAntage(Promega,Madison,Wisconsin)、および0.25ugのpEGFP)でトランスフェクトする。293細胞を0.5%血清中にトランスフェクションの24時間後に配置し、そしてこの低血清培地中でさらに24時間インキュベートし、全IgGを得る。この培地中では、残余増殖因子は、コントロール実験において見られるように、レセプターを刺激するにおいて、無視できる程度である。24時間後、上清を採集し、そして5分間、3000rpmで遠心して残余細胞を除去する。全IgGのアゴニスト活性の測定のために、3mlの馴化293細胞上清を上記のようにNIH3T3細胞に適用する。
【0156】
(実施例2)
(ヒト抗体フレームワーク中にグラフト化されたTPO模倣物配列を含むさらなるライブラリー)
抗体フレームワークにおいて2つのアゴニストペプチドを一緒に連結することに対する別のアプローチは、単一Fabフラグメント内の1つより多くの位置においてアゴニストペプチドを挿入することである。そうするために、ヒト抗体フレームワーク中にグラフト化されたTPO模倣物ペプチドを含有するさらなるライブラリーを構築した。軽鎖のCDR1、CDR2もしくはCDR3、または重鎖のCDR2の背景において適切に提示されるペプチドの選択後、結合配列を、例えば、以下の表1に列挙するように、単一Fab分子に組み合わせ、そして増強された活性について分析した。
【0157】
【表3】

4つのさらなるライブラリーを構築した。これらは、重鎖CDR2ならびに軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を、NNKドーピングストラテジーを用いて、2つのランダムアミノ酸によって隣接されるTPO模倣物ペプチドと別々に置換するものであった。これらライブラリーの生成は、重鎖CDR3 TPOペプチドライブラリーについて記載したものと、ライブラリーを形成するように改変される鎖(重鎖または軽鎖)のみをPCRによって増幅し、そして挿入片として使用したことを除いて同様であった。PCRを、Expand High Fidelity PCR System(Roche)(これは、TaqポリメラーゼおよびPwoポリメラーゼの混合物を含む)を用いて実施した。第一ラウンドのPCRを、以下のプログラムを用いて実施した:94℃で30秒、次いで30サイクル(94℃で15秒、56℃で30秒、および72℃で2分)、続いて72℃で10分の伸長、および4℃での保持。オーバーラップPCRを、上記のプログラムを用いてプライマーなしで10サイクル、実施し、全DNA鋳型をポリメラーゼによって生成させた。次いで、同じ増幅プログラムを20サイクル、プライマーをPCR反応チューブに添加した。
【0158】
HCDR2ライブラリーについて、フラグメントAを、順方向プライマーリードVH
【0159】
【化18】

(配列番号13)(これは、重鎖の前に位置するpelBリーダーでアニーリングする)、および逆方向プライマーHR2 CMPL ANTI
【0160】
【化19】

(配列番号51)(これは、重鎖FR2の末端でアニーリングする)を用いて作出した。この逆方向プライマーは、新規CDR2をコードするテイルを含んだ。フラグメントBを、順方向プライマーHR2 cMpl CODE
【0161】
【化20】

(配列番号14)(これは、重鎖のFR3でアニーリングする)および逆方向プライマーN−dp
【0162】
【化21】

(配列番号15)(これは、重鎖定常領域の下流のプラスミドのHAエピトープタグ領域においてアニーリングする)を用いて作出した。HR2cMpl CODEプライマーもまた、新規CDR2領域をコードする塩基のテイルを有した。フラグメントをPCRによって生成し、そしてゲル精製した後、それらを、オーバーラップ伸長PCRのために合わせた。これら新規CDR2プライマーでコードされた領域は相補的であり、そして24塩基の重複を提供した。プライマーリードVHおよびN−dpを、オーバーラップPCRプロトコルにおいて使用し、全重鎖DNA産物を生成した。重鎖産物のゲル精製後、XhoI/Spe I消化を37℃で3時間実施した。挿入片をゲル精製し、そして次いで、抗TT軽鎖を含むXhoI/SpeI消化pRL4ベクターに連結した。Fab−ファージライブラリーの生成について上述したように、連結産物を沈殿させ、そしてER2537細菌にエレクトロポレートした。
【0163】
軽鎖CDR3ライブラリーを、順方向プライマーN−ompおよび逆方向プライマーLR3 cMpl ANTI
【0164】
【化22】

(配列番号16)のフラグメントAについてのプライマー、ならびに順方向プライマーLR3cMpl CODE
【0165】
【化23】

(配列番号17)および逆方向プライマーリードB
【0166】
【化24】

(配列番号18)のフラグメントBについてのプライマーを用いて、同様に作製した。プライマーリードBは、VHの前に位置するpelBリーダー配列にアニーリングした。LR3 cMpl ANTI逆方向プライマーおよびLR3 cMpl CODE順方向プライマーはそれぞれ、抗TT軽鎖のFR3およびFR4にアニーリングした。LR3cMplの両プライマーは共に、新規CDR3ペプチドライブラリーをコードするヌクレオチドのテイルを含み、これは、フラグメントAおよびフラグメントBの融合PCRのための24塩基対重複領域を提供する。軽鎖PCR産物の精製後、SacI/XbaI消化を37℃で3時間実施した。次いで、軽鎖フラグメントを、抗TT重鎖を含むSacI/XbaI消化pRL4に、室温で一晩、連結した。Fab−ファージライブラリーの生成について上述したように、連結産物を沈殿させ、そして、ER2537細菌にエレクトロポレートした。
【0167】
軽鎖CDR2ライブラリーの構築を、LR3 cMplプライマーの代わりに、特異的プライマーLR2 cMpl ANTI
【0168】
【化25】

(配列番号19)(これは、軽鎖FR2の末端でアニーリングする)およびプライマーLR2 cMpl CODE
【0169】
【化26】

(配列番号20)(これは、軽鎖FR3の開始部でアニーリングする)を用いたことを除いて、軽鎖CDR3ライブラリーについて上述したようにして実施した。
【0170】
軽鎖CDR1ライブラリーの構築もまた、LR3 cMplプライマーの代わりに特異的プライマーTPOLR1CODE
【0171】
【化27】

(配列番号58)(これは、軽鎖FR2の開始部でアニーリングする)およびプライマーTPOLR1ANTI
【0172】
【化28】

(配列番号59)(これは、軽鎖FR1の末端にアニーリングする)を用いたことを除いて、軽鎖CDR3ライブラリーについて前に記載のようにして実施した。
【0173】
これら3つのさらなるライブラリー(これらは、重鎖CDR2ならびに軽鎖CDR2およびCDR3を、NNKドーピングストラテジーを用いて、2つのランダムアミノ酸によって隣接されるTPO模倣物ペプチドと別々に置換する)を、重鎖CDR3置換ライブラリーについて実施例1において前に記載したように、血小板において別々にパンニングした。前に記載したように、血小板およびcMplレセプタートランスフェクト293細胞において、4ラウンドのパンニングを実施し、そしてFACSによってクローンをスクリーニングした。これらのスクリーニングから、2つの陽性クローンを得た。これらのクローンは、重鎖CDR2中にTPO模倣物ペプチドを有した。重鎖CDR3クローンを用いる場合と異なり、どちらの重鎖CDR2クローンも、下流位置にプロリンを有さなかった。代わりに、両方とも、上流位置にチロシンを含むことが見出された(図9を参照のこと−クローンHC−CDR2 No.24およびNo.39)。
【0174】
ライブラリー(LCDR1を含む)を別々に、パンニングの間に血小板の代わりにcMplレセプタートランスフェクト293細胞を用いるもう一方のパンニング実験に供した。それら293細胞は、高効率で再現可能にトランスフェクトし、そしてそれらの表面上に非常に高いレベルの機能的cMplレセプターを発現することが観察された。従って、これらの細胞は、パンニングにおける使用のために良好な細胞標的であった。これらの実験のために、異なる293細胞プレート群を、一列において4日間、別々にかつ連続してトランスフェクトした。次いで、各プレート群を、4つの別個のラウンドのパンニングのために連続して用いた。各ラウンドの細胞の採取およびパンニングは、トランスフェクションの2日後に行った。採取のために、細胞を、細胞解離緩衝液を用いてプレートから取り出し、5分間、1500rpmで遠心沈殿し、そして10% FCS、0.1%アジ化ナトリウム、および5mM EDTAを補充したIMDM中に1×10細胞/ml(LC−CDR1については3×10)の濃度で再懸濁した。ラウンド1のパンニングにおいて、各ライブラリーからの3×1011のファージを、2mlの細胞(LC−CDR1については6×10および他の全てについては2×10細胞)に別々に適用し、そして室温で2時間、15ml円錐チューブ中で旋回した。細胞を、10mlのIMDM/10% FCS/0.1% アジ化ナトリウム/5mM EDTA緩衝液を用いて2回洗浄した。ファージを、実施例1において前に記載したように、酸中で溶出し、そして増幅した。ラウンド2では、4×10細胞(LC−CDR1については6×10)を2mlの緩衝液中で使用し、そして増幅されたラウンド1溶出ファージからの3×1011ファージを、パンニングされなかったライブラリーからの3×1011ファージと合わせ、そしてこれらを細胞に添加した。洗浄、溶出、および増幅は、ラウンド1と同様に進行させた。ラウンド3では、4×10細胞(LC−CDR1については6×10)を2mlの緩衝液中で使用し、そして増幅されたラウンド2溶出ファージからの3×1011ファージを使用した。細胞を、溶出前に3回洗浄した。ラウンド4では、4×10細胞(LC−CDR1については6×10)を、再度、2mlの緩衝液中で使用し、そして増幅されたラウンド3溶出および増幅ファージからの3×1011ファージを使用した。再度、細胞を、溶出前に3回洗浄した。前に記載したように、cMplレセプタートランスフェクト293細胞において、FACSにより、少なくとも30の個々のクローンをスクリーニングした。重鎖CDR2ライブラリーから12の陽性クローンを得、そして軽鎖CDR2ライブラリーから25の陽性クローンを得、そして軽鎖CDR1ライブラリーから14の陽性クローンを得た。クローンを、DNA配列によってさらに分析した。陽性クローンについて選択された隣接アミノ酸残基を、添付の図9中に示す。軽鎖CDR2グラフト化Fabが、TPO模倣物ペプチドの上流にプロリン(Pro)に対して強い選択を有することに留意すると興味深い。
【0175】
(実施例3)
図9からのTPO模倣物ペプチドグラフト化Fabクローンの組み合わせを生成した。このように、単一抗体は、単一の軽鎖または重鎖内にTPO模倣物ペプチドの複数コピーを含み得る。あるいは、重鎖および軽鎖の両方が、単一Fab内に複数コピーを与えるペプチドグラフトを含み得る。同じCDRライブラリーから選択された陽性クローンをプールした。1つのTPO模倣物ペプチド含有CDRのプールを、別ののプールと合わせることにより、新規ライブラリーを構築した。TPO模倣物ペプチドの1つが軽鎖にあり、そして他方が重鎖にある組み合わせを、プールされたプラスミドDNA、および重鎖に隣接する独特制限部位(XhoI−SpeI)および軽鎖に隣接する独特制限部位(SacI−XbaI)を用いて単なるクローニング技術を用いて作製する。例えば、H−CDR3ペプチドグラフト化重鎖についてのプラスミドDNAを組み合わせ、そしてXhoIおよびSpeIにより消化した。精製された重鎖挿入片を、L−CDR2グラフトを含むXhoI/SpeI消化プラスミドに連結した。得られたライブラリーは、CDR3ペプチドグラフトを有する重鎖およびCDR2ペプチドグラフトを有する軽鎖を含んだ。2つのペプチド含有CDRの対合のために、クローンのプールを用いることよりもむしろ、個々のクローンがまた組み合わされ得ることが理解されるべきである。例えば、TPO模倣物ペプチドの複数コピーを有するFabを作出するために、CDR3ペプチドグラフトを有する単一の重鎖クローンをいくつかの個々の軽鎖CDR1クローンと対合させた。
【0176】
2つのTPO模倣物ペプチドが所与の重鎖内で組み合わされる組み合わせを、オーバーラップPCRを用いて実施し、クローニングのためにフラグメントを生成した。CDR2とCDR3との間を結合する2つのオーバーラッププライマーと、隣接プライマー(例えば、軽鎖由来の「N omp」および「リードB」プライマーならびに重鎖について「リードVH」および「Ndp」プライマー)とを使用した。例えば、H−CDR2とH−CDR3とを合わせるために、第一のPCRを、鋳型としてH−CDR2プールしたプラスミドDNAを用いて、リードVH(重鎖pelBリーダーシグナルでベクターにおいてアニーリングするプライマー)および逆方向プライマー(FR3でアニーリングする)を用いて、実施した。そのプライマーの配列は、
【0177】
【化29】

(配列番号63)であった。別の反応において、H−CDR3グラフトを含むプールしたプラスミドは、FR3にアニーリングする順方向プライマー(これは、上記FR3逆方向プライマーに対して相補的である)と、N−dp(これは、エピトープタグ配列でベクターにおいてアニーリングする)と共にPCRを受けた。そのプライマーの配列は、
【0178】
【化30】

(配列番号64)であった。この第一PCRの産物を精製し、次いでオーバーラップPCR反応において合わせた。ここで、これら2つのフラグメントの融合は、相補的なFR2配列を通して生じた。全重鎖産物を、XhoI/SpeIにより、抗破傷風トキソイド軽鎖を含むプラスミドにクローニングした。全てにおいて、TPO模倣物ペプチドの複数コピーを有する5つのクラスのFabを、以下の表2中に詳述するように作出した。
【0179】
【表4】

各組み合わせライブラリー由来の20のクローンと、H−CDR3とL−CDR1との4つの個々のクローンとを、前に記載のように、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて生物学的活性について試験した。図10および11を参照のこと。両実験において、陰性コントロールは、誘導されなかった細胞、無関係Fab(抗破傷風トキソイド)で処理した細胞、cMplレセプターを弱くでしか結合しないFabクローンで処理した細胞、およびX4bおよび/またはX1c Fab(cMplレセプターを結合するが、1つの結合ドメインしか持たず、そのためレセプターを活性化し得ない)で処理した細胞を含み得る。陽性コントロールは、TPOの添加であった。全ての残存するサンプルは、新たに形成された組み合わせライブラリー由来であった。観察され得るように、いくつかのクローンは、Fabとして有意な活性を有する。このことは、単一Fab分子への複数のTPO模倣物ペプチドの組み込みが、2つのレセプターを結合し得、そしてレセプター活性化を引き起こし得ることを示している。
【0180】
実際、Fab 59を用いて、得られたアゴニスト活性は、ネイティブTPO活性と同程度に高いものであり得る。2つのTPO模倣物ペプチド(図9において同定されたHC CDR3サンプルx4cおよびLC CDR2サンプル19)とHis6タグとを含むクローン59を、ニッケルカラムクロマトグラフィーを用いてFPLCによって細菌ペリプラズム調製物から部分的に精製した。このFabの活性を測定したところ、既知濃度のTPOに直接比較したルシフェラーゼ活性のcMpl−R特異的誘導によって概算されるように、TPOの活性におおよそ等価であることが見い出された(図12を参照のこと)。Fab 59抗体濃度を決定するために、定量的ウェスタンブロットを実施した。
【0181】
これらのFab(または種々の他の2つのCDR組み合わせ)は、治療製品として使用され得る。あるいは、これらのクローンは、活性が維持される限り治療剤としての使用のために、フレームワーク生殖系列配列に変換され得る(コドン最適化と共に、または用いずにのいずれかで)。
【0182】
(実施例4)
FabクローンX4bにおけるTPO模倣物ペプチドグラフトを、別の抗体フレームワーク5G1.1の重鎖CDR3に移植した。5G1.1の構築は、米国出願番号08/487,283(本明細書中に参考として援用される)中に記載されている。配列を、ネイティブCDR3を
【0183】
【化31】

(配列番号65)と置換するような様式で、5G1.1にクローニングした。アミノ酸に翻訳されたペプチドグラフトは、
【0184】
【化32】

(配列番号66)である。5G1+ペプチドは、全IgG抗体として生成された(図13Aおよび13Bを参照のこと)。
【0185】
精製5G1.1+ペプチド抗体ならびに親5G1.1を、FACS分析によって、cMplレセプターに結合するそれらの能力について分析した。レセプターを発現する293細胞およびレセプターを発現しない293細胞への結合を比較した。図14を参照のこと。FACS染色を、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)のPE結合体化F(ab’)2フラグメントを用いて検出を行ったことを除いて、本質的に本明細書中に前に記載したように実施した。3°のみの抗破傷風トキソイド無関係FabおよびFab X1a(これは、cMplレセプターに弱く結合する)の陰性コントロールは全て、非常にわずかな染色を示した。しかし、Fab X1cおよびX4bの結合は、5G1.1+ペプチドと同様の強い染色を示した。これらのクローンのいずれもが、レセプターを発現しない細胞への結合を示さなかった。このことは、細胞染色が、cMplレセプターの特異的認識を通して生じていることを示している。TPO模倣物ペプチドを有さない親5G1.1は、試験した細胞のいずれに対しても染色を示さなかった。
【0186】
ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、5G1.1+ペプチド全IgGがcMplレセプターを活性化する能力を決定した(図15を参照のこと)。本明細書中に示した結果は、全IgGの立体配置が、活性化のためにこれら2つのcMplレセプターを生産的に一緒にする能力において構造制限を引き起こすことを示している。重鎖CDR3位置にTPO模倣物ペプチドを含む5G1.1全IgG構築物の活性は、弱く活性化するのみであり、等価な活性を刺激するためには、TPOに比較して約100〜200倍高いモル濃度が必要であった。結合実験を用いて前に観察されたように、ペプチドを含有する5G1.1による活性化は、cMpl−Rが細胞表面に発現された場合にのみ観察された。ペプチドを含まない親5G1.1を用いると、レセプター特異的結合も活性も観察されなかった。これらの結果は、TPO模倣物ペプチドおよび選択されたアミノ酸が隣接する配列の結合および活性は、限定されないか、または破傷風トキソイド抗体フレームワークに特異的であるが、他の抗体フレームワークに適用され得ることを実証している。従って、パンニングの間に選択された隣接アミノ酸配列は、所与のCDR位置内でのTPO模倣物ペプチドの提示に対して特異的であるが、抗体フレームワークのアミノ酸配列に対しては特異的ではない。
【0187】
(実施例5)
(ヒト抗体フレームワーク中にグラフト化されたEPO模倣物配列のライブラリー構築)
アゴニストEPO模倣物ペプチド
【0188】
【化33】

(配列番号3)(Wrightonら1996においてEMP2と称される)を、抗破傷風トキソイドFab重鎖および軽鎖CDR3領域中に別々にグラフト化し、
【0189】
【化34】

(配列番号71)として2つの抗体ライブラリーを作出した。NNKドーピングストラテジーを用いて、ランダム化された位置を生成した。TPO模倣物ペプチドと同様に、EPO模倣物ペプチドに隣接する2つのアミノ酸を、ペプチドの最適な提示について選択するためにランダム化した。さらに、システイン残基(これらは、本来の環状ペプチドにおいてジスルフィド架橋を形成した)をランダム化した。これは、CDRが既にループ構造を形成し、そのためペプチドを拘束するためにジスルフィド架橋が必要でなくなったためだけでなく、これらシステインが実際に、抗体の正常なジスルフィド結合を破壊し得るため、行った。
【0190】
抗TT抗体重鎖のCDR3を、EPOペプチドライブラリーグラフトによって完全に置換した。ライブラリーの生成は、本質的にTPO重鎖CDR2ライブラリーについて記載した通りであった。HCDR3ライブラリーについて、2つの代替プライマーを使用した:逆方向プライマーHR3 EPO ANTI
【0191】
【化35】

(配列番号21)(これは、重鎖FR3の末端でアニーリングする)および順方向プライマーHR3 EPO CODE
【0192】
【化36】

(配列番号22)(これは、重鎖のFR4でアニーリングする)。
【0193】
軽鎖CDR3 EPOペプチドライブラリーを、以下のプライマーを用いて、本質的に軽鎖CDR3 TPOペプチドライブラリーについて上述した通りに構築した:逆方向プライマーLR3 EPO ANTI
【0194】
【化37】

(配列番号23)(これは、軽鎖FR3の末端でアニーリングする)および順方向プライマーLR3 EPO CODE
【0195】
【化38】

(配列番号24)(これは、軽鎖のFR4にアニーリングする)。
【0196】
(EPO模倣物ペプチド重鎖CDR3ライブラリーおよび軽鎖CDR3ライブラリーの選択)
ペプチド提示についての選択を、可溶性EPOレセプターにおける固相パンニングによって実施した。この方法において、1ugの精製ヒトEPO可溶性R(hEPO−sR(R&D Systems,Minneapolis,MN cat#307−ER−050から))を4℃で一晩、マイクロタイター皿上で固定化した。遊離hEPO−sRを洗い流した後、プレートを、37℃で1時間、1%BSA/PBSでブロックした。上記のように調製したファージをウェルに添加し、そして37℃で2時間インキュベートした。洗浄は、1回の洗浄当たり室温で5分間、PBS/0.5% Tween 20を用いて実施した。第一のパンニングラウンドにおいて1回、第二のパンニングラウンドにおいて5回、第三のパンニングラウンド10回、および第四のパンニングラウンドにおいて10回の洗浄を実施した。洗浄工程が終わった後、結合されたFab−ファージを、30ulの溶出緩衝液で、室温で10分間、溶出した。次いで、溶出されたファージを、実施例1に記載のように、中和し、そして増幅した。
【0197】
(実施例6)
ライブラリーを、ヒトκ遺伝子フラグメント(この場合、軽鎖のCDR2)のコレクションにTPO模倣物ペプチドおよび前に選択された隣接アミノ酸
【0198】
【化39】

(配列番号61)を挿入することによって生成した。複数のヒト末梢血リンパ球(PBL)ドナー由来のヒトκ軽鎖のストックは、前に生成されており、そしてpBluescript II SK+にクローニングされている。これらの構築物を、抗体遺伝子フラグメントの供給源として供した。
【0199】
(抗体遺伝子バンク)
ヒトPBL由来全RNAをTRI Reagent(Molecular Research Center,Cincinnati,OH)を用いて単離し、続いてキット指示書に従って、Oligotex mRNA purification System(QIAGEN,Valencia,CA)を用いてmRNA精製した。第一鎖cDNAを、改変オリゴdTプライマーと共にSuperScript RTase II cDNA Synthesis Kit(Life Technologies,Rockville,Maryland)を用いて作製した。このプライマーの配列は、
【0200】
【化40】

(配列番号62)であった。サンプルを、キットの指示書に従って、PCR purification Kit spin column(QIAGEN,Valencia,CA)によってクリーンアップした。軽鎖産物を、逆方向「NotI」プライマーおよび順方向プライマー(これは、第一鎖cDNA上のκ鎖のフレームワーク1(FR1)位置でアニーリングした)を用いて増幅した。「NotI」プライマーは、改変オリゴdTプライマーの5’末端に同一である配列を有した
【0201】
【化41】

(配列番号72)。κFR1プライマーのセットは以下の通りであった:
【0202】
【化42−1】

【0203】
【化42−2】

代表的な増幅反応は、2μlのcDNA反応物、dNTP、「NotI」逆方向プライマー、XVB順方向プライマーの1つ、Opti−prime緩衝液#5(Stratagene,La Jolla,CA)、およびExpand High Fidelityポリメラーゼ混合物(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)を含んだ。サンプルを2分間、94℃に加熱し、次いで、10サイクル(94℃で15秒、56℃で30秒、および72℃で1分)、続いて20サイクル(94℃で15秒、56℃で30秒、および72℃で(1分+5秒/サイクル)に供した。これらのサイクルの後に、72℃(7分)で伸長インキュベーションを行い、その後4℃で保持した。産物をエタノール沈殿し、そして次いでゲル精製した。約850bpのフラグメントを単離し、そして次いでXbaIおよびSacIで消化した。得られたκ産物を、同様にXbaIおよびSacIで消化しておいたpBluescript II SK+に連結した。連結産物を、Top10F’(Invitrogen,Carlsbad,CA)にエレクトロポレートし、そして一晩増殖させた。この細菌ペレットを使用して、QIAGENのMAXIprep DNA単離キットを用いてκライブラリーDNAを単離した。
【0204】
(TPO模倣物ペプチドを有するフレームワークライブラリーの構築)
TPO軽鎖フレームワークライブラリーの構築のために、4人の異なる患者由来の等量の4つのκ軽鎖ライブラリーを、PCR反応のための出発鋳型(反応につき全体で25ng)として使用した。TPO模倣物ペプチドおよび選択した隣接アミノ酸を、オーバーラップPCRにより軽鎖に組み込んだ。第一のPCRラウンドにおいて、逆方向プライマー(VK ANTIプライマー)のセット(これらは、κ軽鎖FR2に結合した)を、順方向T7 seq−Fプライマー
【0205】
【化43】

(配列番号86)と別々に組み合わせて、軽鎖のN末端片およびLC CDR2位置内のTPO模倣物ペプチドの一部を合成した。第二のセットの順方向プライマー(VK CODEプライマー)(これらは、FR3に結合した)を、T3逆方向プライマー
【0206】
【化44】

(配列番号87)と別々に組み合わせ、LC CDR2位置内のTPO模倣物ペプチドの残りおよび軽鎖のC末端側半分をPCRにより合成した。プライマー組み合わせの各対毎に、別個の反応を二連で実施した。
【0207】
【化45−1】

【0208】
【化45−2】

【0209】
【化45−3】

第一のPCRラウンドからのフラグメントをゲル精製した。次いで、それらの精製フラグメントを、オーバーラップPCR反応において、抗体ファミリー特異的様式で組み合わせて、全長鎖を生成した。各ファミリーについての反応を、各反応において軽鎖のN末端片およびC末端片の両方を40ngで用いて、三連で実施した。これら反応を、T3およびT7 Seq−Fプライマーを添加する前に10サイクル実施し、続いてプライマー添加後にさらに25サイクル実施した。全長LC融合PCR産物をゲル精製し、SacIおよびXbaIで消化し、そして次いで再度ゲル精製した。次いで、軽鎖挿入片を適切なファージディスプレイベクターに連結した。このベクターは、同様にXbaIおよびSacIで消化し、ゲル精製しておいた。使用したpRL5−κベクターは、LCフラグメントと適合する制限部位を有し、そしてネイティブSacI部位からC末端のCysまでの残りのκ定常領域を含んだ。さらに、抗破傷風トキソイド重鎖を、Fab生成のためにXhoIおよびSpeIによってベクターに挿入した。
【0210】
連結混合物を、XL−1 Blue細菌(Stratagene,La Jolla CA)に、エレクトロポレーションによって形質転換し、そして増幅した。ライブラリーを、前に記載したのと同様にして、cMpl−Rでトランスフェクトした293 EBNA細胞において4ラウンドパンニングした。パンニングの間に得られたクローンを、前に記載したように、cMpl−Rを用いて、または用いずにトランスフェクトした293 EBNA細胞において、FACs分析によって、結合についてスクリーニングした。cMpl−Rを特異的に結合した多数のクローンを得た。Bst N1での消化により得られた軽鎖のDNAフィンガープリンティングは、クローンが、5つの異なる群に分割され得ることを示した。これらのクローンのうち8つの部分配列決定が、少なくとも2つの異なるκ軽鎖ファミリーからのフレームワークがパンニングの間に選択された(VK1およびVK3)ことを示した。初期試験において、軽鎖フレームワーククローンのうち3つをX4bの重鎖と組み合わせて、2つのTPO模倣物ペプチドを有するFabを作出した。これらのクローンは、前に記載されるように、ルシフェラーゼアッセイにおいてcMpl−Rの活性化を誘導した。1つのこのようなクローン429/X4bの細菌上清を用いる活性化のレベル(図16を参照のこと)は、既知濃度のTPOに対して活性を比較し、そして定量的ウェスタンブロットを用いて上清中の抗体の濃度を決定することにより概算されるように、TPOを用いて観察されたよりも約10〜20倍低かった。さらなるクローンが、より大きな活性を有するクローンを同定するために、同様にしてスクリーニングされ得る。
【0211】
これらのFab(または種々の他のLC、HCまたは鎖内CDR組み合わせ)は治療製品として使用され得る。あるいは、これらのクローンは、活性が維持される限り治療剤としての使用のために、フレームワーク生殖系列配列に変換され得る(コドン最適化と共に、または用いずにのいずれかで)。
【0212】
(ファージディスプレイベクターpAX131およびpRL5の改変)
pAX131におけるNotI部位を、クレノウポリメラーゼを用いてNotIでベクターを消化してNotIオーバーハングをフィルインして、そして次いでこのベクターを再連結することにより、除去した。図17を参照のこと。EcoRIおよびXbaIでpAX131を消化することにより、さらなる改変を行った。このような消化により取り出されたエレメントを置換した挿入片を、以下の変更を有するオーバーラップオリゴヌクレオチドを用いて生成した:SacI部位の新規XbaI部位への変換(以下のプライマー配列中の一重下線)、本来のXbaI部位からNotI部位への変換(以下のプライマー配列中の二重下線)、およびベクターのXbaI消化生成オーバーハングと適合するSpeIオーバーハングを有する挿入片の末端化。EcoRI/XbaI切断ベクターへのEcoRI/SpeI挿入片の連結は、SpeI/XbaIハイブリッドを生じた。このハイブリッドは、もはやその部位でSpeIまたはXbaIのいずれでも切断されない。使用したオリゴの配列は、以下の通りであった:「EcoSpe」
【0213】
【化46】

(配列番号107)、および「SpeEco」
【0214】
【化47】

(配列番号108)。
【0215】
作出された中間体ベクターは、pAX131Xba/Notであった。ヒトκ定常領域をXbaI部位とNotI部位との間に挿入し、pAX131−κを生成した(図18を参照のこと)。上流XbaI部位を導入したプライマー、および下流位置にTAA停止コドン続いてNotI部位を導入したプライマーを用いて、ヒトκ定常領域をヒトcDNAからPCR増幅した。用いたプライマーは、CKXbaI
【0216】
【化48】

(配列番号109)およびCKNotI
【0217】
【化49】

(配列番号110)であった。
【0218】
pAX131−κに組み込まれた軽鎖クローニング改変物を、EcoRIからXhoIまでのフラグメントを移動させることによりpRL5ベクター(上記のようにそのNotI部位が除去されるように改変された)にシャトル挿入した。図19および20を参照のこと。このベクターをpRL5−κと称した。(図21A〜Iを参照のこと)。
【0219】
(実施例7)
(コアH−CDR2ライブラリー)
さらなるHC CDR2ライブラリーを構築した。このライブラリーでは、各側に1つのランダムアミノ酸が隣接したTPO模倣物ペプチドのコア配列
【0220】
【化50】

(配列番号112)を重鎖に挿入し、CDR2
【0221】
【化51】

(配列番号113)を部分的に置換した。重鎖部分CDR2置換ライブラリーの構築もまた、前に記載のHR2 cMplプライマーの代わりに特異的プライマー8HCR2anti0
【0222】
【化52】

(配列番号114)(これは、重鎖FR2の末端でアニーリングする)およびプライマー8HCR2code
【0223】
【化53】

(配列番号115)(これは、重鎖FR3の開始部でアニーリングする)を用いたことを除いて、重鎖CDR2ライブラリーについて前に記載したようにして実施した。重鎖部分CDR2置換ライブラリーを、前に記載のようにcMpl−Rでトランスフェクトした293 EBNA細胞において4ラウンドパンニングした。これらのクローンはいまや、前に記載したように、FACS分析によって、陽性結合クローンについてスクリーニングされ得る。
【0224】
(実施例8)
個々のクローンを、重鎖CDR3クローンX4b(図5および9を参照のこと)を重鎖CDR2クローン19(図9を参照のこと)と組み合わせて、2つのTPO模倣物ペプチドを有する新規Fabクローンを作出することにより作出した。このクローンを、コドン最適化および生殖系列配列への変換によって、さらに改変した。この新規クローン(116と名付けた(図22))を、95%均質性にまで精製した。次いで、前に記載したように、ルシフェラーゼベースのアッセイを用いて、この精製116 Fabの比活性を試験した。精製116の比活性は、TPOより約30倍低いことが見出された(図23)。
【0225】
(実施例9)
第三の重鎖CDR2ライブラリーを構築した。これは、破傷風トキソイド(TT)重鎖CDR2の一部を、各側に2つのランダムアミノ酸によって隣接されたTPO模倣物ペプチドと置換している。
【0226】
コンピューターモデリングは、本来のTT HC CDR2の4アミノ酸を保持することが、重鎖の安定性および折り畳みに対して有益であることを示した。詳細には、TT重鎖CDR2の最初の3つのアミノ酸(GLY−ILE−PHE)および重鎖CDR2の最後のアミノ酸(GLY)。従って、最終産物は、これら本来の4アミノ酸を、最初の3つの本来のアミノ酸と最後の本来のアミノ酸との間に位置したTPO模倣物ペプチドおよびランダム隣接アミノ酸と共に含む:
【0227】
【化54】

(配列番号119)。
【0228】
重鎖部分CDR2置換ライブラリーの構築もまた、前に記載のHR2 cMplプライマーの代わりに特異的プライマーHCR2+ANTI
【0229】
【化55】

(配列番号120)(これは、重鎖FR2の末端でアニーリングする)およびプライマーHCR2+CODE
【0230】
【化56】

(配列番号121)(これは、重鎖FR3の開始部にアニーリングする)を用いたことを除いて、前の2つの重鎖CDR2ライブラリーについて記載したようにして実施した。重鎖部分CDR2置換ライブラリーを、前に記載のように、cMpl−Rでトランスフェクトした293 EBNA細胞において4ラウンドパンニングした。強い結合特徴を有する多数のクローンを得、そして配列決定した(図24)。
【0231】
パンニングからのラウンド4プールのクローンは、第二のTPO模倣物ペプチドの挿入のための出発点として使用される。例えば、このライブラリーは、サブクローニングによって、重鎖CDR3にTPO模倣物ペプチドを含むクローンX4bと組み合わされて、2つのTPO模倣物ペプチド(重鎖CDR2中に1つおよび重鎖CDR3中に1つ)を含むクローンを作出する。これらの新規クローンは、TPO模倣物活性についてスクリーニングされる。さらに、この第二のペプチドは、軽鎖CDR1、CDR2もしくはCDR3、または重鎖CDR1中に配置され得る。
【0232】
本明細書中に開示された実施形態に対して種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきでなく、好ましい実施形態の単なる例示であると解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付した請求項の範囲および精神内の他の改変を想起する。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、ベクターpRL4の模式図である。
【図2A】図2AおよびBは、ヒト破傷風トキソイド抗体フレームワークの軽鎖および重鎖のそれぞれの配列を示す。
【図2B】図2AおよびBは、ヒト破傷風トキソイド抗体フレームワークの軽鎖および重鎖のそれぞれの配列を示す。
【図3】図3は、破傷風トキソイドフレームワーク抗体の重鎖CDR3領域へのTPO模倣物ペプチドAF12505のグラフト化を示すダイアグラムである。XXは、隣接するランダムアミノ酸を表す。
【図4】図4は、重鎖CDR3領域にクローニングされたペプチドの構築のダイアグラムである。
【図5】図5は、異なるランダム隣接残基を有するTPO模倣物ペプチドAF1205をコードするクローンのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を表す。
【図6A】図6A〜Cは、プラスミドpRL8の核酸配列を示す(配列番号60)。pRL8は、pRL4の改変バージョンである(pRL4はまた、pComb 3Xとしても知られる)。pRL4を、フレキシブルなリンカー(マウスκヒンジ領域)続いてJunロイシンジッパードメインを含むように、SpeI制限部位と近隣のSfiI制限部位との間で改変した(下線によって示す)。
【図6B】図6A〜Cは、プラスミドpRL8の核酸配列を示す(配列番号60)。pRL8は、pRL4の改変バージョンである(pRL4はまた、pComb 3Xとしても知られる)。pRL4を、フレキシブルなリンカー(マウスκヒンジ領域)続いてJunロイシンジッパードメインを含むように、SpeI制限部位と近隣のSfiI制限部位との間で改変した(下線によって示す)。
【図6C】図6A〜Cは、プラスミドpRL8の核酸配列を示す(配列番号60)。pRL8は、pRL4の改変バージョンである(pRL4はまた、pComb 3Xとしても知られる)。pRL4を、フレキシブルなリンカー(マウスκヒンジ領域)続いてJunロイシンジッパードメインを含むように、SpeI制限部位と近隣のSfiI制限部位との間で改変した(下線によって示す)。
【図7】図7は、プラスミドpRL8の一部の模式図である。
【図8】図8は、プラスミドpRL8の一部の核酸配列(配列番号52)を、特定の示された核酸配列に対応するアミノ酸配列(配列番号53)と共に示す。
【図9】図9は、本明細書中における特定のTPO陽性クローンの配列を示すチャートである。
【図10】図10は、2つのTPO模倣物ペプチドを含む特定のFabクローンの活性を示す棒グラフである。
【図11】図11は、2または3つのTPO模倣物ペプチドを含む特定のFabクローンの活性を示す棒グラフである。
【図12】図12は、ルシフェラーゼ活性の誘導により反映されるように、クローン59の活性をグラフで示す。
【図13A】図13Aは、5G1.1−TPO重鎖のアミノ酸配列および核酸配列を示す(それぞれ配列番号67および68)。
【図13B】図13Bは、5G1.1軽鎖のアミノ酸配列および核酸配列を示す(それぞれ配列番号69および70)。
【図14】図14は、親5G1.1抗体に比較した精製5G1.1+TPO模倣物ペプチドのcMplレセプター結合のFACS分析を示す棒グラフである。
【図15】図15は、cMpl−Rを含まないコントロールベクターでトランスフェクトした細胞およびcMpl−Rを含むベクターでトランスフェクトした細胞と関連した、TPO模倣物ペプチドを含む5G1.1抗体の比較活性を示す棒グラフである。
【図16】図16は、クローン429/Xb4の配列を示す(配列番号116)。
【図17】図17は、ベクターpRL5−κを作製するための初期工程を示すフローチャートである。
【図18】図18は、ベクターpRL5−κを作製するためのさらなる工程を示すフローチャートである。
【図19】図19は、ベクターpRL5のマップである。
【図20】図20は、ベクターpRL5−κの模式図である。
【図21A】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21B】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21C】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21D】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21E】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21F】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21G】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21H】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図21I】図21A〜Iは、ベクターpRL5−κの核酸配列を示す。
【図22】図22は、クローン116の重鎖および軽鎖についてのアミノ酸配列を示す。
【図23】図23は、クローン116の活性を示す。
【図24】図24は、本開示内容の代替の実施形態に従う重鎖クローンの配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部に相当するアミノ酸残基がペプチド模倣物と置換されている領域を含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、該ペプチド模倣物が、EPO模倣物およびTPO模倣物からなる群から選択される、免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項2】
前記ペプチド模倣物の少なくとも1つの末端に共有結合された少なくとも1つのアミノ酸を含む少なくとも1つの隣接配列をさらに含む、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項3】
前記少なくとも1つの隣接配列が、前記ペプチド模倣物に共有結合されているプロリンを有する隣接配列を含む、請求項2に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項4】
前記免疫グロブリン分子フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、およびScFvフラグメントからなる群から選択される、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項5】
前記免疫グロブリン分子が全IgG分子である、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項6】
前記2つのCDRが両方とも、重鎖上に位置する、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項7】
前記CDRが重鎖のCDR3と重鎖のCDR2とである、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項8】
前記TPO模倣物が配列番号1を含む、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項9】
重鎖CDR3およびCDR2がペプチドと置換されており、かつ該重鎖が配列番号125の可変領域を含む、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項10】
前記免疫グロブリン分子またはそのフラグメントがヒトである、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項11】
前記免疫グロブリン分子またはそのフラグメントが抗破傷風トキソイドである、請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項12】
請求項1に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメントをコードする核酸。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項14】
請求項13に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項15】
免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを生成する方法であって、請求項14に記載の宿主細胞を、該免疫グロブリンまたはそのフラグメントの発現に適した条件下で培養する工程を包含する、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の免疫グロブリンまたはそのフラグメントと薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物。
【請求項17】
相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部に相当するアミノ酸残基がペプチド模倣物と置換されている領域を含む免疫グロブリン分子またはそのフラグメントであって、該領域が、配列番号126(ここで各位置のXは、任意のアミノ酸を表す)を含む、免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項18】
前記免疫グロブリン分子またはそのフラグメントがヒトである、請求項17に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項19】
前記免疫グロブリン分子またはそのフラグメントが抗破傷風トキソイドである、請求項17に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメント。
【請求項20】
請求項17に記載の免疫グロブリン分子またはそのフラグメントをコードする核酸。
【請求項22】
請求項20に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項23】
請求項22に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項24】
免疫グロブリン分子またはそのフラグメントを生成する方法であって、請求項23に記載の宿主細胞を、該免疫グロブリンまたはそのフラグメントの発現に適した条件下で培養する工程を包含する、方法。
【請求項25】
請求項17に記載の免疫グロブリンまたはそのフラグメントと薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図21F】
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【図21G】
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【図21H】
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【図21I】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2006−518585(P2006−518585A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557221(P2004−557221)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036894
【国際公開番号】WO2004/050017
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503102674)アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】