説明

吊り下げ展示用包装箱

【課題】視覚伝達情報を表示するための充分な表示面積を有すると共に、コスト面に於いて小ロット生産に対応する吊り下げ展示用包装箱を提供する。
【解決手段】展開状態に於いて1枚のシートから成り、連接する前面パネル(1)と背面パネル(2)を中央部折罫(23)から折り曲げ、貼着し形成される収納部(28)の両側に左平板部(3)と右平板部(4)を有することにより、収納する商品の大きさに準じることなく必要充分な視覚伝達情報を表示するスペースを設けることができると共に、収納部(28)の形成から商品充填後の蓋面の形成に至るまで金型や機械設備を必要としないことからコスト面で小ロットの商品に対応できる構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚のシートから形成される吊り下げ展示用包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の吊り下げ展示用包装箱は商品の収納部となる直方体の頭頂部に吊り下げ孔を有した吊り下げ片を連接した構造で、収納部前面の大きさは収納される商品の大きさに準じて決定されるのが一般的である。
(例えば、特許文献1参照)
【0003】
吊り下げ展示用包装箱の収納部前面には収納された商品に関する視覚伝達情報(企業名、ロゴマーク、商品名、型番、写真、イラスト、使用方法、効果、等)が表記され、消費者への情報提供や購買意欲への訴求が行われる。
また、収納部前面に覗き孔を設け、収納された商品自体を可視化することもある。
【0004】
吊り下げ展示用包装箱には前記(0002)に示した形態以外に、板状の台紙にプラスチック樹脂で成型したカバーを貼り合わせた構造のブリスターパックも頻繁に使用される。
(例えば、特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】特開2001−97447号公報
【特許文献2】特開2000−344271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収納される小品の大きさに準じて収納部の大きさが決定される従来の吊り下げ用包装箱は、収納される商品が小さい場合、収納部も自ずと小さくなり収納部前面に於いて消費者に対し訴求したい視覚伝達情報の表示面積が足りず、視覚伝達情報の表示サイズを小さくするか、或いは必要最低限の視覚伝達情報以外を割愛することにより対処している。更に、包装箱全体の大きさが小さいことから、万引きなどの店頭での被害の可能性も高くなる。
【0007】
また、ブリスターパックはプラスチック樹脂のカバーを成型するために商品固有の専用金型を必要とすると共に、商品を収納し、台紙とプラスチック樹脂のカバーを貼り合わせる際に熱圧着するための機械設備を必要とすることから、小ロット商品に対しては包装コストが嵩む包装仕様である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、記述の課題を解決した1枚のシートから構成される吊り下げ展示用包装箱を提供するものである。
【0009】
本発明は、展開状態に於いて中央部折罫を介し連接した前面パネルと背面パネルによる1枚のシートから構成され、吊下げ孔を備え、左平板部、右平板部、底板を連接した前面パネルと、吊下げ孔を備え底板を連接した背面パネルとを中央部折罫を介して折り曲げ、左平板部と左平板部糊代、右平板部と右平板部糊代、各々を貼着した後に、中心部折罫、左平板部折罫、右平板部折罫各々に於いて直角に折り曲げることにより収納部を形成した後に底面を形成し、収納部に商品を充填した後に蓋面を形成した、上部に吊り下げ孔、中央部に収納部とその両側に左平板部、右平板部を有したことを特徴とする吊り下げ展示用包装箱である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、収納部の両側に左右平板部を有することにより、商品の大きさに準じることなく必要充分な視覚伝達情報を表示するスペースを設けることができる吊り下げ展示用包装箱である。
【0011】
本発明は、収納部の形成、及び商品充填後の蓋面の形成に機械設備を必要とせず、作業者の人手により包装を完了することができる吊り下げ展示用包装箱である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態として一実施例を図1〜図10に基づいて説明する。
【0013】
図1は吊り下げ展示用包装箱の展開状態を示し、本図により各部位の名称を記す。図2、3、4、5、6、7、8に組み立て、形成、商品の充填、閉蓋の順序を示す。
【0014】
以下に組み立て方法を説明する。図1の前面パネル(1)と背面パネル(2)を図2に示すように中央部折罫(23)を介して折り曲げ、左平板部(3)の裏面と左平板部糊代(11)の裏面、右平板部(4)の裏面と右平板部糊代(12)の裏面、各々を貼着し図3に示すように平板状態にした後、左平板部折罫(5)、右平板部折罫(6)、前面パネル上の中心部折罫(24)、背面パネル上の中心部折罫(25)を図4に示すように各々、直角に折り曲げることにより、収納部(28)を形成する。
【0015】
図5は斜線で示された底面が形成された図で、背面パネル(2)に連接する底板(9),(10)と前面パネル(1)に連接する底板(7),(8)を順に罫線から折り曲げ、組み合わせることにより完成し、この状態で図6に示すように背面に形成された開口部(29)から商品の充填が可能になる。
【0016】
商品を充填後に図7に示すように内蓋(15)を折罫(17)を介して折り曲げた後、外蓋(16)をミシン目(18)を介して折り曲げると共に、折罫(17)上に設けられた差込口(21)に外蓋(16)に連接する差込片(20)を差し込むことにより、図8に示すように蓋面を形成する。
【実施例】
【0017】
図9は、全体の前面側斜視を示し、商品の収納部(28)とその両側に左平板部(3)、右平板部(4)を備えると共に、収納部前面に覗き孔(26)を有し、上部に前面パネル(1)、背面パネル(2)に共通する吊り下げ孔(27)を設けた構成である。
【0018】
図10は、全体の背面斜視を示し、商品は半円形の切り取り片(19)を押し込み、ミシン目(18)を切断することにより内蓋(15)と外蓋(16)が共に開き、取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の吊り下げ展示用包装箱は以下の効果を提供できる。
◆展開形状が1枚のシートから構成されることにより、最低限の包装資材点数となり管理が容易である。
◆商品収納部の両側に平板部を備えることにより、商品の大きさに左右されること無く、消費者に対し訴求したい視覚伝達情報を印刷できる面積を確保した。
◆商品収納部の両側に平板部を備えることにより、小さな商品に対しても収納物の保持性を確保したまま、必要な大きさの包装サイズを得られることから、万引きなどの店頭被害防止効果が得られる。
◆ブリスターパックのように専用金型で成型したプラスチックカバーを用いず、収納部と封面の形成に熱圧着するための設備機器を必要としないので、作業者の手のみによる包装作業が可能なことから小ロットでも金型代や包装ラインの経費負担を軽減できる。
◆切り取り片とミシン目で開封する構造としたことにより、商品の取り出しが容易にできる。
◆1枚のシートから構成されることにより、単一素材の包装となり、使用済み後の分別が不要となり、リサイクルが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】展開した吊り下げ展示用包装箱を示した。
【図2】図1から始まる折り曲げと貼着の開始状態を示した。
【図3】図2の状態に続く貼着後の平板状態を示した。
【図4】図3の状態に続く収納部の形成状態を示した。
【図5】図4の状態に続く収納部底面の形成状態を示した。
【図6】商品の充填可能状態を示した。
【図7】商品充填後に内蓋を閉じた状態を示した。
【図8】図7の状態に続く外蓋の閉蓋と蓋面の形成状態を示した。
【図9】図8の状態に続く閉蓋が完了した吊り下げ展示用包装箱の全体前面側斜視を示した。
【図10】商品を取り出すため切り取り片から開封した状態の吊り下げ展示用包装箱の全体背面斜視を示した。
【符号の説明】
【0021】
1 前面パネル
2 背面パネル
3 左平板部
4 右平板部
5 左平板部折罫
6 右平板部折罫
7,8,9,10 底板
11 左平板部糊代
12 右平板部糊代
13 左平板部糊代折罫
14 右平板部糊代折罫
15 内蓋
16 外蓋
17 内蓋折罫
18 ミシン目
19 切り取り片
20 差込片
21 差込口
22 差込片折罫
23 中央部折罫
24,25 中心部折罫
26 覗き孔
27 吊り下げ孔
28 収納部
29 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態に於いて連接した前面パネル(1)と背面パネル(2)による1枚のシートから構成され、吊下げ孔(27)を備え、左平板部(3)、右平板部(4)、底板(7),(8)を連接した前面パネル(1)と、吊下げ孔(27)と底板(9),(10)を連接した背面パネル(2)とを中央部折罫(23)を介して折り曲げ、左平板部(3)と左平板部糊代(11)、右平板部(4)と右平板部糊代(12)、各々を貼着した後に、中心部折罫(24),(25)、左平板部折罫(5)とそれに平行して接する左平板部糊代折罫(13)、右平板部折罫(6)とそれに平行して接する右平板部糊代折罫(14)各々に於いて直角に折り曲げることにより収納部(28)を形成した後に底面を形成し、収納部(28)に商品を充填した後に蓋面を形成する、上部に吊り下げ孔、中央部に収納部(28)とその両側に左平板部(3)、右平板部(4)を有したことを特徴とする吊り下げ展示用包装箱。
【請求項2】
展開状態に於いて1枚のシートからなり、収納部(28)の背面側に於いて内蓋(15)、外蓋(16)により形成された蓋面に、開口を容易にするミシン目(18)と切り取り片(19)を有することを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ展示用包装箱。
【請求項3】
収納部(28)の前面側に収納した商品が見えるように覗き孔(26)を有することを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ展示用包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−248992(P2009−248992A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97758(P2008−97758)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(591260661)河原紙器株式会社 (6)
【Fターム(参考)】