説明

吊り下げ搬送装置

【課題】搬送レールへの粉塵浸入と搬送レール内の摩耗粉を抑制するとともに、清掃用ブラシの清掃効率を最大限に発揮して掃除用ブラシを簡便に交換し、曲線搬送も可能な吊り下げ搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送レール内の左右一対の軌道面111、111にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシ140、140が、上下一対のリンクプレート124、124を構成する下側プレート124の側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシ140を保持するウィングアーム151とこのウィングアーム151の基端から搬送レールの誘導スリット113を介してL型断面を呈するように垂下露出させて左右一対で合体可能な合体支持プレート152とを備えた左右一対の取り付けブラケット150、150により搬送レール内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられている吊り下げ搬送装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車工場などにおいて自動車ボディを直線搬送ばかりでなく曲線搬送することが可能な吊り下げ搬送装置に係わり、さらに詳しくは、搬送ラインに沿って敷設された搬送レール内に発生する摩耗粉などを清掃用ブラシで除去できるようにした吊り下げ搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送装置として、上面長手方向にスリットを有するとともに下面適所に掃除口を有する角型パイプレール内に、回転可能な2個の縦ローラが設けられているリンクプレートと回転可能な1個の横ローラが設けられているリンクプレートが連結されている無端状チェーンが内装され、この無端状チェーンに複数のハンガーと複数の掃除用ブラシとが設けられたオーバーヘッドトロリーコンベヤがある(特許文献1を参照)。
【特許文献1】実開昭52−27083号公報(第1頁、第2図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような特許文献1に開示されている従来のオーバーヘッドトロリーコンベヤは、掃除用ブラシがリンクプレートに連結固定されて角型パイプレール内に挿入されているため、長期の使用により摩耗した掃除用ブラシのみを新しい掃除用ブラシに交換する作業が困難であり、また、無端状チェーンを取り外して摩耗した掃除用ブラシのみを新しい掃除用ブラシに交換する場合には、無端状チェーンを張架しているテークアップ装置を緩めて角型パイプレール内から無端状チェーンを引き出さなければならないという大掛かりな作業を強いられるという問題があった。
【0004】
そして、従来のオーバーヘッドトロリーコンベヤは、上面長手方向にスリットを有する角型パイプレールから搬送物を吊り下げるハンガーが突出しているため、縦ローラに偏荷重が負荷されて摩耗が生じ易く、摩耗粉が発生し易いという問題があった。
【0005】
さらに、従来のオーバーヘッドトロリーコンベヤは、角型パイプレールの下面適所に掃除口を有しているため、掃除用ブラシが下面適所の掃除口に至るまで摩耗粉をリアルタイムに清掃除去できず、その結果、角型パイプレール内の摩耗粉が長期稼働によって掃除用ブラシにこびりつき、摩耗粉などの清掃効果が次第に薄れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、上述したような従来技術の問題点を解消するものであって、搬送レールへの粉塵浸入と搬送レール内の摩耗粉を抑制するとともに、清掃用ブラシの清掃効率を最大限に発揮して掃除用ブラシを簡便に交換し、曲線搬送も可能な吊り下げ搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、搬送ラインに沿って敷設した中空状矩形断面を有する搬送レールと、該搬送レール内の左右一対の軌道面をそれぞれ走行する走行ローラを軸支した左右一対のリンクプレートと前記搬送レール内の両側壁に沿って走行するガイドローラを軸支した上下一対のリンクプレートとが交互に順次連結されている駆動チェーンと、該駆動チェーンに取り付けられて搬送レールの底部に開口する誘導スリットを介した下方位置でワークを吊り下げ支持するハンガーと、前記左右一対の軌道面にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシとで構成される吊り下げ搬送装置であって、前記左右一対の清掃用ブラシが、前記上下一対のリンクプレートを構成する下側プレートの側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシを保持するウィングアームと該ウィングアームの基端から搬送レールの誘導スリットを介して逆L型断面を呈するように垂下露出させて左右一対で合体可能な合体支持プレートとを備えた左右一対の取り付けブラケットにより前記搬送レール内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられていることにより、上述した課題を解決している。
【0008】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記左右一対の清掃用ブラシが前記走行ローラの走行方向に向かって相互に拡開するV字状に配置されていることにより、上述した課題をさらに解決している。
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記左右一対の取り付けブラケットが前記ガイドローラのローラ径で投影される範囲内に配置されていることにより、上述した課題をさらに解決している。
【0010】
本請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記取り付けブラケットのウィングアームが前記清掃用ブラシのレール幅方向位置を位置決めするブラシ装着溝を備えていることにより、上述した課題をさらに解決している。
【0011】
本請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記取り付けブラケットの合体支持プレートが前記清掃用ブラシによる清掃粉を受け留める清掃粉収容バケットを垂下自在に支持していることにより、上述した課題をさらに解決している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吊り下げ搬送装置は、上述したような構成を備えたことによって、以下のような以下のような格別の作用効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る発明の吊り下げ搬送装置は、搬送ラインに沿って敷設した中空状矩形断面を有する搬送レールと、この搬送レール内の左右一対の軌道面をそれぞれ走行する走行ローラを軸支した左右一対のリンクプレートと前記搬送レール内の両側壁に沿って走行するガイドローラを軸支した上下一対のリンクプレートとが交互に順次連結されている駆動チェーンと、この駆動チェーンに取り付けられて搬送レールの底部に開口する誘導スリットを介した下方位置でワークを吊り下げ支持するハンガーと、左右一対の軌道面にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシとで構成されることによって、搬送レールの誘導スリットを介して駆動チェーンから垂下されるハンガーに支持されるワークの荷重が左右一対の走行ローラに偏ることなく均等に負荷されるため、搬送レールと走行ローラとの間に生じがちな摩耗粉を抑制でき、また、ハンガーを搬送レールから吊り下げる誘導スリットが搬送レールの底部に開口しているため、搬送レールの上方から浸入しがちな搬送時の粉塵を完全に遮断でき、しかも、ワークを吊り下げ支持するハンガーが搬送レールの誘導スリットのみを介して下方に垂下されているため、例えば、自動車ボディの塗装工程などにおいて直線搬送ばかりでなく曲線搬送を達成でき、搬送ラインを自由に設計できる。
【0013】
そして、左右一対の清掃用ブラシが、前記上下一対のリンクプレートを構成する下側プレートの側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシを保持するウィングアームと該ウィングアームの基端から搬送レールの誘導スリットを介して逆L型断面を呈するように垂下露出させて左右一対で合体可能な合体支持プレートとを備えた左右一対の取り付けブラケットにより搬送レール内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられていることによって、左右一対で合体された取り付けブラケットを相互に分離して搬送レールの誘導スリットから逆L型断面のブラケット形状を利用して90度回転させることにより清掃用ブラシを保持するウィングアームを取り出すことが可能であるため、摩耗した掃除用ブラシを交換保守する際に、駆動チェーンを張架しているテークアップ装置を緩めることなく、取り出された取り付けブラケットのウィングアームに保持している摩耗した掃除用ブラシのみを簡便に交換することができる。
【0014】
また、本請求項2に係る発明の吊り下げ搬送装置によれば、上述した請求項1の発明が奏する効果に加えて、左右一対の清掃用ブラシが走行ローラの走行方向に向かって相互に拡開するV字状に配置されていることにより、駆動チェーンに牽引される左右一対の清掃用ブラシが搬送レール内に発生した摩耗粉などの清掃粉を搬送レールの中央に位置する誘導スリット側へ掻き寄せるため、摩耗粉などの清掃粉を搬送レール内の軌道面から確実に排出することができる。
【0015】
本請求項3に係る発明の吊り下げ搬送装置によれば、上述した請求項1または請求項2の発明が奏する効果に加えて、左右一対の取り付けブラケットがガイドローラのローラ径で投影される範囲内に配置されていることにより、左右一対の取り付けブラケットが搬送レール内の両側壁に対して直に摺接しないため、左右一対の取り付けブラケットと搬送レールとの摺接に起因する摩耗粉を完全に阻止することができる。
【0016】
本請求項4に係る発明の吊り下げ搬送装置によれば、上述した請求項1ないし請求項3のいずれか1項の発明が奏する効果に加えて、取り付けブラケットのウィングアームが清掃用ブラシのレール幅方向位置を位置決めするブラシ装着溝を備えていることにより、このブラシ装着溝に沿って清掃用ブラシを搬送レール内の最適位置に取り付け配置可能となるため、清掃用ブラシの清掃効率を最大限に発揮することができる。
【0017】
本請求項5に係る発明の吊り下げ搬送装置によれば、上述した請求項1ないし請求項4のいずれか1項の発明が奏する効果に加えて、取り付けブラケットの合体支持プレートが清掃用ブラシによる清掃粉を受け留める清掃粉収容バケットを垂下自在に支持していることにより、搬送レール内から掃き落とされた清掃粉が直ちに清掃粉収容バケットに受け留められるため、搬送レール内で発生した清掃粉による搬送レールの下方域への拡散汚染を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、搬送ラインに沿って敷設した中空状矩形断面を有する搬送レールと、この搬送レール内の左右一対の軌道面をそれぞれ走行する走行ローラを軸支した左右一対のリンクプレートと搬送レール内の両側壁に沿って走行するガイドローラを軸支した上下一対のリンクプレートとが交互に順次連結されている駆動チェーンと、この駆動チェーンに取り付けられて搬送レールの底部に開口する誘導スリットを介した下方位置でワークを吊り下げ支持するハンガーと、左右一対の軌道面にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシとで構成される吊り下げ搬送装置であって、左右一対の清掃用ブラシが、上下一対のリンクプレートを構成する下側プレートの側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシを保持するウィングアームと該ウィングアームの基端から搬送レールの誘導スリットを介してL型断面を呈するように垂下露出させて左右一対で合体可能な合体支持プレートとを備えた左右一対の取り付けブラケットにより搬送レール内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられて、搬送レールへの粉塵浸入と搬送レール内の摩耗粉を抑制するとともに、清掃用ブラシの清掃効率を最大限に発揮して掃除用ブラシを簡便に交換し、曲線搬送も可能なものであれば、その具体的態様は如何なるものであっても差し支えない。
【0019】
たとえば、本発明の吊り下げ搬送装置に用いる清掃用ブラシの具体的な配置形態については、搬送レールにおいてレール幅方向に亙って一直線状に配置する形態、あるいは、搬送レールにおいて走行ローラの走行方向に向かって相互に拡開するV字状に配置する形態のいずれであっても良いが、後者の場合には、駆動チェーンに牽引される左右一対の清掃用ブラシが搬送レール内に発生した摩耗粉などの清掃粉を搬送レールの中央に位置する誘導スリット側へ掻き寄せて搬送レール内の軌道面から確実に排出できるので、より好ましい。
【実施例】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例である吊り下げ搬送装置100を説明する。ここで、図1乃至図7は、本発明の一実施例である吊り下げ搬送装置100に関するものであって、図1は、本実施例である吊り下げ搬送装置の使用態様図であり、図2は、図1における水平搬送領域の拡大図であり、図3は、本実施例である吊り下げ搬送装置の要部を拡大した斜視図であり、図4は、図3に示す吊り下げ搬送装置の断面図であり、図5は、図4の矢印Y−Y方向から見た断面図であり、図6は、図5の矢印X1−X1から見た断面図であり、図7は、図5の矢印X2−X2から見た断面図である。
【0021】
まず、本実施例の吊り下げ搬送装置100は、図1に示すように、例えば、自動車ボディ塗装乾燥工程などにおいて直線搬送ばかりでなく水平曲がりや垂直曲がりの曲線搬送の搬送ラインに適用されて、自動車ボディなどのワークWを搬送するものである。
【0022】
すなわち、本実施例の吊り下げ搬送装置100は、図1に示すように、垂直曲がりの曲線搬送と水平な直線搬送とを含む搬送ラインに沿って敷設された中空状矩形断面を有する搬送レール110を備えているとともに、図2乃至図5に示すように、この搬送レール110内の左右一対の軌道面111、111をそれぞれ走行する走行ローラ121、121を軸支した左右一対のリンクプレート122、122と搬送レール110内の両側壁112、112に沿って走行するガイドローラ123を軸支した上下一対のリンクプレート124、124とが交互に順次連結された駆動チェーン120とを備えている。
なお、図2および図4に示す符号125は、左右一対のリンクプレート122、122と上下一対のリンクプレート124、124とを上下左右に回動自在に連結するための連結ジョイントピンである、
【0023】
そして、この駆動チェーン120には、図2乃至図3に示すように、搬送レール110の底部に開口する一条の誘導スリット113を介した下方位置でワークWを吊り下げ支持するハンガー130と、左右一対の軌道面111、111にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシ140、140とが取り付けられている。
なお、本実施例の場合、清掃用ブラシ140は、搬送レール110内における摺接状態での清掃動作を考慮して優れた耐摩耗性、耐久性などを発揮する金属製のワイヤブラシを採用している。
【0024】
ここで、前述したワークWを吊り下げ支持するハンガー130は、図2で示すように、駆動チェーン120の走行ローラ121、121とともに左右一対のリンクプレート122、122に取り付けられた前後一対の取り付けアタッチメント131、131と、これらの取り付けアタッチメント131、131に連結された連結アーム132と、この連結アーム132から下方へ垂設された係止ブラケット133から構成されている。
さらに、このような係止ブラケット133には、係止ピン133aが水平方向に突設され、ワークWを吊り下げた移載ユニットUが垂直曲がりの曲線搬送であっても垂下状態で着脱自在に係止されるように構成されている。
【0025】
このようにして、本実施例の吊り下げ搬送装置100では、ワークWの荷重が搬送レール110の誘導スリット113を介して駆動チェーン120から垂下されるハンガー130に支持された状態で左右一対の走行ローラ121、121に偏ることなく均等に負荷され、搬送レール110と走行ローラ121、121との間に生じがちな摩耗粉を抑制している。
そして、ハンガー130を搬送レール110から吊り下げる誘導スリット113が搬送レール110の底部に開口させて、搬送レール110の上方から浸入しがちな搬送時の粉塵を完全に遮断している。
しかも、ワークWを吊り下げ支持するハンガー130が搬送レール110の誘導スリット113のみを介して下方に垂下されているため、例えば、自動車ボディの塗装工程などにおいて直線搬送ばかりでなく曲線搬送を達成し、搬送ラインの自由な設計が可能になっている。
【0026】
そこで、本実施例の吊り下げ搬送装置100が最も特徴とする清掃用ブラシ140の取り付け形態について、以下に詳しく説明する。
まず、左右一対の清掃用ブラシ140、140は、前述したように搬送レール110の左右一対の軌道面111、111にそれぞれ摺接するものであって、図3乃至図7に示すように、左右一対の取り付けブラケット150、150によって搬送レール110内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられている。
そして、左右一対の取り付けブラケット150、150は、上下一対のリンクプレート124、124を構成する下側プレート124の側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシ140を保持するウィングアーム151とこのウィングアーム151の基端から搬送レール110の誘導スリット113を介して逆L型断面を呈するように垂下露出させ合体支持プレート152とをそれぞれ備えている。
すなわち、前述したウィングアーム151は、図5乃至図7に示すように、下側プレート124の側縁を沿って当接する掴持プレート151aと清掃用ブラシ140を保持するアーム151bとで構成され、これら掴持プレート151aとアーム151bとの間で下側プレート124の側縁に対して掴持状態で係合するように構成されている。
なお、図4乃至図6に示す符号123aは、ガイドローラ123を回動自在に転動走行させるように軸支するためのベアリング軸であり、図6乃至図7に示す仮想線は、ガイドローラ123を投影した線である。
【0027】
これにより、摩耗した掃除用ブラシ140を交換保守する際には、左右一対で合体された取り付けブラケット150、150がボルトナットからなる前後一対の合体手段153を合体支持プレート152、152からそれぞれ取り除くことにより相互に分離された後、この分離された取り付けブラケット150のウィングアーム151を搬送レール110の誘導スリット113から逆L型断面のブラケット形状を利用して90度回転させることにより順次取り出し、この取り出された取り付けブラケット150のウィングアーム151に保持されている清掃用ブラシ140を交換するようになっている。
【0028】
また、左右一対の清掃用ブラシ140、140は、図6乃至図7に示すように、取り付けブラケット150のウィングアーム151に保持され、左右一対の走行ローラ121、121の走行方向に向かって相互に拡開するV字状に配置されている。
これにより、駆動チェーン120に牽引される左右一対の清掃用ブラシ140、140が、搬送レール110内に発生した摩耗粉などの清掃粉を搬送レール110の中央に位置する誘導スリット113側へ掻き寄せるため、摩耗粉などの清掃粉を搬送レール110内の左右一対の軌道面111、111から確実に排出している。
【0029】
さらに、左右一対の取り付けブラケット150、150は、図6乃至図7において仮想線で示すように、ガイドローラ123のローラ径で投影される範囲内に配置されている。
これにより、左右一対の取り付けブラケット150、150が、搬送レール110内の両側壁112、112に対して必然的に離間されて直に摺接せず、左右一対の取り付けブラケット150、150と搬送レール110との摺接に起因する摩耗粉を完全に阻止している。
【0030】
また、取り付けブラケット150のウィングアーム151は、図6乃至図7に示すように、清掃用ブラシ140のレール幅方向位置を位置決めするブラシ装着溝151cを備え、このブラシ装着溝151c内の最適位置に清掃用ブラシ140を図示しないビスとビス穴を利用して3カ所で固定している。
これにより、このブラシ装着溝151cに沿って清掃用ブラシ140を搬送レール110内の最適位置に配置可能となるため、清掃用ブラシ140の清掃効率を最大限に発揮するようになっている。
【0031】
加えて、取り付けブラケット150の合体支持プレート152は、図4乃至図5に示すように、清掃用ブラシ140による清掃粉を受け留める清掃粉収容バケット160を垂下自在に支持している。
これにより、搬送レール110内から掃き落とされた清掃粉が直ちに清掃粉収容バケット160に受け留められ、搬送レール110内で発生した清掃粉による搬送レール110の下方域への拡散汚染を回避している。
なお、図4乃至図5に示す符号161は、たとえ、垂直曲がりの曲線搬送であっても清掃粉収容バケット160が真っすぐに吊り下げられて清掃粉が確実に収容されるように、取り付けブラケット150の合体支持プレート152に清掃粉収容バケット160を垂下状態で支持するためのボルトナットからなる支持手段であり、符号162は、合体支持プレート152に接続するための接続ブラケットであり、符号163は、接続ブラケット162に固着した清掃粉収容トレーである。
【0032】
このようにして得られた本実施例の吊り下げ搬送装置100は、左右一対の清掃用ブラシ140、140がウィングアーム151と合体支持プレート152とで逆L型断面を呈する左右一対の取り付けブラケット150、150により搬送レール110内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられていることによって、左右一対の取り付けブラケット150、150と搬送レール110との摺接に起因する摩耗粉を完全に阻止することができるとともに、搬送レール110内に発生した摩耗粉などの清掃粉を搬送レール110の誘導スリット113側へ掻き寄せて確実に排出することができ、掃除用ブラシ140を簡便に交換し、曲線搬送も可能になる。
さらに、清掃用ブラシ140がブラシ装着溝151cに沿って搬送レール110内の最適位置に配置可能となり、その清掃効率を最大限に発揮することができ、また、搬送レール110内から掃き落とされた清掃粉が直ちに清掃粉収容バケット160に受け留められて搬送レール110の下方域への拡散汚染を回避することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例である吊り下げ搬送装置の使用態様図。
【図2】図1における水平搬送領域の拡大図。
【図3】本発明の一実施例である吊り下げ搬送装置の要部を拡大した斜視図。
【図4】図3に示す吊り下げ搬送装置の断面図。
【図5】図4の矢印Y−Y方向から見た断面図。
【図6】図5の矢印X1−X1から見た断面図。
【図7】図5の矢印X2−X2から見た断面図。
【符号の説明】
【0034】
100 ・・・ 吊り下げ搬送装置
110 ・・・ 搬送レール
111 ・・・ 軌道面
112 ・・・ 側壁
113 ・・・ 誘導スリット
120 ・・・ 駆動チェーン
121 ・・・ 走行ローラ
122 ・・・ リンクプレート
123 ・・・ ガイドローラ
123a・・・ ベアリング軸
124 ・・・ リンクプレート
125 ・・・ 連結ジョイントピン
130 ・・・ ハンガー
131 ・・・ 取り付けアタッチメント
132 ・・・ 連結アーム
133 ・・・ 係止ブラケット
133a・・・ 係止ピン
140 ・・・ 掃除用ブラシ
150 ・・・ 取り付けブラケット
151 ・・・ ウィングアーム
151a・・・ 掴持プレート
151b・・・ アーム
151c・・・ ブラシ装着溝
152 ・・・ 合体支持プレート
153 ・・・ 合体手段
160 ・・・ 清掃粉収容バケット
161 ・・・ 支持手段
162 ・・・ 接続ブラケット
163 ・・・ 清掃粉収容トレー
W ・・・ ワーク
U ・・・ 移載ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインに沿って敷設した中空状矩形断面を有する搬送レールと、該搬送レール内の左右一対の軌道面をそれぞれ走行する走行ローラを軸支した左右一対のリンクプレートと前記搬送レール内の両側壁に沿って走行するガイドローラを軸支した上下一対のリンクプレートとが交互に順次連結されている駆動チェーンと、該駆動チェーンに取り付けられて搬送レールの底部に開口する誘導スリットを介した下方位置でワークを吊り下げ支持するハンガーと、前記左右一対の軌道面にそれぞれ摺接する左右一対の清掃用ブラシとで構成される吊り下げ搬送装置であって、
前記左右一対の清掃用ブラシが、前記上下一対のリンクプレートを構成する下側プレートの側縁に掴持状態で係合して清掃用ブラシを保持するウィングアームと該ウィングアームの基端から搬送レールの誘導スリットを介して逆L型断面を呈するように垂下露出させて左右一対で合体可能な合体支持プレートとを備えた左右一対の取り付けブラケットにより前記搬送レール内へ着脱自在にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする吊り下げ搬送装置。
【請求項2】
前記左右一対の清掃用ブラシが、前記走行ローラの走行方向に向かって相互に拡開するV字状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載された吊り下げ搬送装置。
【請求項3】
前記左右一対の取り付けブラケットが、前記ガイドローラのローラ径で投影される範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された吊り下げ搬送装置。
【請求項4】
前記取り付けブラケットのウィングアームが、前記清掃用ブラシのレール幅方向位置を位置決めするブラシ装着溝を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載された吊り下げ搬送装置。
【請求項5】
前記取り付けブラケットの合体支持プレートが、前記清掃用ブラシによる清掃粉を受け留める清掃粉収容バケットを垂下自在に支持していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された吊り下げ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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