説明

吊下げ式個装箱

【課題】
本発明は、簡易な構成でフック穴の破損を防止できるようにする。
【解決手段】
本発明は、内部に収納空間を有する箱構成部10と、当該箱構成部10の上部又は下部において当該箱構成部10の前面板10A及び背面板10Bを貫通するよう設けられた2個の吊下げ用フック穴3、4と、当該2個の吊下げ用フック穴3、4を貫通する同一直線上でかつ収納空間内に配置されたシート状の第2の補強板部27に設けられる補強用フック穴29とを設けることにより、2個の吊下げ用フック穴3、4に加えて補強用フック穴29を吊下げフックに係止させることができるので、外観上の美観を損なうことなく2個の吊下げ用フック穴3、4を補強することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下げ式個装箱に関し、例えば小型の電子機器やアクセサリー部品等を収納した状態で店頭に吊り下げて陳列するための吊下げ式包装ケースに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吊下げ式包装ケースとしては、ダンボール紙等で作成された箱の内部収納空間に例えばヘッドホンが収納された状態で陳列棚に吊下げられる用い方が一般的であり、その陳列棚の吊下げフックに吊下げ用フック穴を引っ掛け、その状態で吊下げ式包装ケース自体が前方又は後方に傾くことがないように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9-328163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでかかる構成の吊下げ式包装ケースにおいては、陳列棚に吊下げられた状態では内部収納空間に収納された電子機器等による重みや、ユーザによる吊下げフックからの取り外し操作時の負荷によって吊下げ用フック穴が拡げられ、最悪のときには破れてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成でフック穴の破損を防止し得る高強度の吊下げ式個装箱を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明の吊下げ式個装箱においては、内部に収納空間を有する箱部と、当該箱部の上部又は下部において当該箱部の前面側及び背面側を貫通するよう設けられた2個の吊下げ用フック穴と、当該2個の吊下げ用フック穴を貫通する同一直線上でかつ収納空間内に配置されたシート状の片部に設けられる補強用フック穴とを設けるようにする。
【0006】
これにより、箱部の前面側及び背面側を貫通するよう設けられた2個の吊下げ用フック穴に加えて、当該2個の吊下げ用フック穴を貫通する同一直線上でかつ収納空間内に配置されたシート状の片部に設けられている補強用フック穴を吊下げフックに係止させることができるので、外観上の美観を損なうことなく収納空間内の補強用フック穴によって2個の吊下げ用フック穴を補強することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、箱部の前面側及び背面側を貫通するよう設けられた2個の吊下げ用フック穴に加えて、当該2個の吊下げ用フック穴を貫通する同一直線上でかつ収納空間内に配置されたシート状の片部に設けられている補強用フック穴を吊下げフックに係止させることができるので、外観上の美観を損なうことなく収納空間内の補強用フック穴によって2個の吊下げ用フック穴を補強することができ、かくして簡易な構成でフック穴の破損を防止し得る高強度の吊下げ式個装箱を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)吊下げ式包装ケースの概観構成
図1において、1は全体として本発明の吊下げ式個装箱としての吊下げ式包装ケースを示し、内部収納空間が設けられた略直方体形状の箱2における前面板10Aの上部に対して、店頭の陳列棚にある吊下げフック(図示せず)に通して引っ掛けるための吊下げ用フック穴3が形成されていると共に、箱2における背面部10Bの上部に対しても当該吊下げ用フック穴3と同一形状及び同一サイズでなる吊下げ用フック穴4(破線で示す)が形成されている。
【0010】
これにより吊下げ式包装ケース1では、箱2の前面板10Aに形成された吊下げ用フック穴3及び背面板10Bに形成された吊下げ用フック穴4を陳列棚の吊下げフックが貫通し得るようになされており、陳列棚の吊下げフックに貫通された状態で係止されたとき、当該吊下げ式包装ケース1が吊下げ用フック穴3及び4の2点で支持されることになるため、箱2自体が内部収納空間に収納された収納物の自重によっても傾くことがなくほぼ垂直状態を保つようになされている。
【0011】
(2)箱の構成及びその機能
図2に示すように吊下げ式包装ケース1は、箱構成部10が組み立てられることにより箱2(図1)の内部収納空間を形成し、その内部収納空間を蓋構成部11によって閉塞するようになされている。
【0012】
また吊下げ式包装ケース1は、箱構成部10及び蓋構成部11が一体化された一部品により構成されているのが特徴であって、部品点数を増やすことなく簡素化されていると共にユーザが容易に組み立て得るようになされている。
【0013】
箱構成部10は、シート状の板紙でなる前面板10A、背面板10B、当該前面板10Aと背面板10Bとの間を繋ぐ側面板10C及び側面板10Dが折り目11A〜11Dによって区分けされた構成を有し、前面板10A及び背面板10Bの上部所定位置には上述の吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4が形成されている。
【0014】
ここで吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4は、その形状が略二等辺三角形状でなり、三角形の頂点部分には僅かに丸みが施され、当該吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4に対して陳列棚の吊下げフックが係合されたとき、当該吊下げフックと吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4とを面接触させることにより破損し難くするよう考慮されている。
【0015】
前面板10Aは、組み立て時に側面板10Dと貼り合わせられる糊代片12Aと、組み立て時に側面板10Cの底面片13Aと貼り合わせられる糊代部分12Bがその一部に設けられた底面部12Cとによって構成されている。
【0016】
背面板10Bは、組み立て時に前面板10Aの底面片12Cと共に内部収納空間の底部を形成すると共に側面板10Dの底面片15Aと貼り合わせられる糊代部分14Bがその一部に設けられた底面部14Cと、当該背面板10Bの上部で一体化された蓋構成部11とによって構成されている。
【0017】
側面板10C及び10Dは、その上方に舌部13B及び15Bが設けられており、これにより箱構成部10の内部収納空間を蓋構成部11により蓋として閉塞したとき、当該舌部13B及び15Bを介して閉塞状態を維持し易くしている。
【0018】
すなわち図3に示すように、舌部13B及び15Bは、側面板10C及び側面板10Dからテーパー状に段々と細くなった形状に伸び、その付け根部分17及び18だけが僅かに段差を形成するようになされており、当該付け根部分17及び18によって内部収納空間を閉塞する蓋との引っ掛かりを作り、閉塞状態を維持するようになされている。
【0019】
蓋構成部11(図2)は、箱構成部10の背面板10Bと折り目21を介して接続された第1の補強板部22が設けられており、当該折り目21を介して第1の補強板部22が折り曲げられたとき、箱構成部10の背面板10Bと対面した状態になるよう位置付けられる。
【0020】
この第1の補強板部22には、箱構成部10の背面板10Bに設けられている吊下げ用フック穴4と対向した位置に、吊下げ用フック穴4よりも一回り大きな穴サイズで当該吊下げ用フック穴4と相似形でなる第1の補強用フック穴23が形成されており、第1の補強板部22と背面部10Bとが対面したときに陳列棚の吊下げフック(図示せず)を吊下げ用フック穴4及び第1の補強用フック穴23に対して挿通させ得るようになされている。
【0021】
ここで、第1の補強用フック穴23が吊下げ用フック穴4よりも一回り大きなサイズで形成されているのは、陳列棚の吊下げフックを吊下げ用フック穴4から挿通させる際、吊下げ式包装ケース1の内部収納空間内に隠れている第1の補強用フック穴23に対しても特別な注意をユーザに払わせることなく当該吊下げフックを容易に挿通させ得るためであり、これにより使い勝手の向上が図られている。
【0022】
この第1の補強板部22には、折り目24を介して仕切板部25が接続され、当該仕切板部25が折り目26を介して第2の補強板部27と接続されている。すなわち仕切板部25は、折り目24及び折り目26を介して第1の補強板部22及び第2の補強板部27との間で凹状に折り曲げられることにより、図1に示したように吊下げ式包装ケース1の内部収納空間を閉塞する仕切り板として機能するようになされている。
【0023】
第2の補強板部27は、第1の補強板部22と同一幅であるが折り目26から折り目28までの距離が当該第1の補強板部22における折り目21から折り目24までの距離よりも長く、かつ第1の補強用フック穴23よりも一回り大きな穴サイズでかつ相似形でなる第2の補強用フック穴29が形成されている。
【0024】
この第2の補強板部27は、図4に示すように、折り目26及び折り目28で折り曲げられた際、当該折り目26が内部収納空間で箱構成部10の前面板10A(図示せず)に接触するほど近接し、折り目28が第1の補強板部22の折り目21に接触するほど近接する。
【0025】
これにより第2の補強板部27は、吊下げ式包装ケース1の内部収納空間であって仕切板部25の上方空間に対して斜めに位置付けられるため、結果的に仕切板部25を押し付けて当該仕切板部25が上方に浮き上がるのを防止し得るようになされている。
【0026】
このとき第2の補強板部27は、第2の補強用フック穴29が第1の補強用フック穴23よりも一回り大きなサイズに形成されているため、当該第2の補強板部27が斜めに配置された場合であっても、第1の補強用フック穴23における穴サイズと第2の補強用フック穴29における穴サイズとがほぼ同じ大きさにみえ、第1の補強用フック穴23及び第2の補強用フック穴29とが同一直線上に並んだときに陳列棚の吊下げフックを第1の補強用フック穴23及び第2の補強用フック穴29に対して容易に貫通させ易くしている。
【0027】
第2の補強板部27(図2)には折り目28を介して天板部30が接続されており、当該天板部30には折り目31を介して蓋構成部11全体の先端に位置する差込舌片21が接続されている。この差込舌片21は、蓋構成部11が蓋として機能するときに吊下げ式包装ケース1の内部収納空間に差し込まれる部分となる。
【0028】
天板部30は、折り目28及び折り目31を介して折り曲げられ、図4に示したように差込舌片21が吊下げ式包装ケース1の内部収納空間に差し込まれたとき、当該天板部30が吊下げ式包装ケース1の内部収納空間を閉塞する蓋として機能する。
【0029】
また天板部30は、折り目28及び折り目31に沿って両側から僅かな切込み33〜36が設けられており、これにより差込舌片21が吊下げ式包装ケース1の内部収納空間に差し込まれたとき、当該天板部30の切込み33〜36と側面板10C及び10Dの舌部13B及び15Bにおける付け根部分17及び18(図3)とが係合して当該天板部30の浮き上がりを防止するようになされている。
【0030】
差込舌片21は、吊下げ式包装ケース1の内部収納空間に差し込まれたとき、箱構成部10の前面板10Aに設けられた吊下げ用フック穴3と対向する位置に第3の補強用フック穴39が設けられており、当該吊下げ用フック穴3及び第3の補強用フック穴39に対して陳列棚の吊下げフック(図示せず)を直線的に挿通させ得るようになされている。
【0031】
従って吊下げ式包装ケース1では、図5に示すように箱構成部10及び蓋構成部11が組み立てられた結果形成される内部収納空間に対し、蓋構成部11の天板部30によって蓋をした状態で、吊下げ用フック穴4、第1の補強用フック穴23、第2の補強用フック穴29、第3の補強用フック穴39及び吊下げ用フック穴3が一直線上に並ぶことになる。
【0032】
これにより吊下げ式包装ケース1では、吊下げ用フック穴4、第1の補強用フック穴23、第2の補強用フック穴29、第3の補強用フック穴39及び吊下げ用フック穴3に対して陳列棚の吊下げフックを直線的に貫通させ得るようになされている。
【0033】
(3)吊下げ用フックの構成
ところで、図6(A)及び(B)に示すように陳列棚の吊下げフックには2種類存在し、通常の1本タイプの吊下げフック40Aと、2本タイプの吊下げフック40Bとに分かれている。
【0034】
1本タイプの吊下げフック40Aでは、その先端が僅かに上方向を向いた金属性棒状部材でなり、その先端部分が上方向を向いているため吊下げ式包装ケース1が吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4に係合されたときに当該吊下げフック40Aから滑り落ちることを防止し得るようになされている。
【0035】
また2本タイプの吊下げフック40Bでは、2本の金属性棒状部材がその先端で接続された一体構成でなり、1本タイプの吊下げフック40Aと同様に先端部分が上方向を向いているため吊下げ式包装ケース1が吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4に係合されたときに当該吊下げフック40Aから滑り落ちることを防止し得るようになされている。
【0036】
(4)吊下げフックとの係止状態
図7(A)に示すように1本タイプの吊下げ用フック40Aは、吊下げ式包装ケース1の吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック4に係止されたとき、略二等辺三角形状の頂点部分と吊下げ用フック40Aとが面接触されるため、点接触する場合よりも吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4の破損可能性を低減させ得るようになされている。
【0037】
また図7(B)に示すように2本タイプの吊下げ用フック40Bは、吊下げ式包装ケース1の吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック4に係止されたとき、略二等辺三角形状の底辺部分の両側2点で吊下げ用フック40Bが係合し、吊下げ式包装ケース1の自重を2点で支持すると共に左右方向への動きを抑制し、安定した状態で吊下げ式包装ケース1を保持し得るようになされている。
【0038】
このように吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4は、1本タイプの吊下げ用フック40A及び2本タイプの吊下げ用フック40Bの何れについても対応することができる形状に選定されている。
【0039】
従って、当該吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4と相似形でなる第1の補強用フック穴23、第2の補強用フック穴29及び第3の補強用フック穴39についても、当該吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4と同様に、1本タイプの吊下げ用フック40A及び2本タイプの吊下げ用フック40Bの何れについても対応し得るようになされている。
【0040】
(5)組立状態
(5−1)第1の組立状態
図8に示すように吊下げ式包装ケース1では、箱構成部10を各折り目11A〜11Dで折り曲げ、糊代片12Aと側面板10Dとを貼り付け、底面部12Cと底面部14Cとを噛み合わせた状態でその糊代部分12B及び14Bと側面板10C及び側面板10Dの底面片13A及び15Aとを貼り合わせることにより第1の組み立て状態を形成する。
【0041】
この場合の吊下げ式包装ケース1では、箱構成部10によって内部収納空間を形成することは出来たものの、蓋構成部11が未だ組み立てられておらず、内部収納空間が閉塞されていない状態である。
【0042】
(5−2)第2の組立状態
図9に示すように吊下げ式包装ケース1は、蓋構成部11の折り目21、折り目24及び折り目26を折り曲げて仕切板部25を吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック4の下方に位置させることにより第2の組立状態を形成し、これにより吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4から内部収納空間にゴミ等の異物が混入することを仕切板部25により防止し得るようになされている。
【0043】
特に吊下げ式包装ケース1は、内部収納空間に対する異物混入防止の仕切板部25の各辺が当該内部収納空間を形成する箱構成部10の前面板10A、背面板10B、側面板10C及び側面板10Dに対して当接することになるため、箱2を潰れ難くして全体の強度を上げ得るようになされている。
【0044】
因みに吊下げ式包装ケース1では、内部収納空間に収納した電子機器やアクセサリー部品に関連した所定のパーツや乾電池等を仕切板部25の上方空間に置くこともできるので、箱2によってもたらされる内部収納空間を有効に活用し得るようになされている。
【0045】
このとき吊下げ式包装ケース1は、第2の補強板部27が仕切板部25の上方空間で斜めに配置されて箱構成部10の前面板10Aにおける吊下げ用フック穴3と、当該第2の補強板部27における第2の補強用フック穴29と、第1の補強板部22における第1の補強用フック穴23と、背面部10Bの吊下げ用フック穴4とが一直線上に並ぶことになる。
【0046】
(5−3)第3の組立状態
図10に示すように吊下げ式包装ケース1は、第2の補強板部27が仕切板部25の上方空間で斜めに配置された状態で、側面板10C及び側面板10Dの舌部13B及び15Bが内側に折り曲げられ、差込舌片32が前面板10Aと舌部13B及び15Bとの間に差し込まれることにより、天板部30が最終的な蓋として機能する。
【0047】
このとき吊下げ式包装ケース1は、前面板10Aの吊下げ用フック穴3、差込舌片32における第3の補強用フック穴39、第2の補強板部27における第2の補強用フック穴29、第1の補強板部22における第1の補強用フック穴23及び背面部10Bにおける吊下げ用フック4が一直線上に並び、吊下げフック40A又は40B(図6)を直線的かつ容易に貫通させ得るようになされている。
【0048】
(6)動作及び効果
以上の構成において、吊下げ式包装ケース1では、箱構成部10及び蓋構成部11を組み立てることにより前面板10Aの吊下げ用フック穴3、差込舌片32における第3の補強用フック穴39、第2の補強板部27における第2の補強用フック穴29、第1の補強板部22における第1の補強用フック穴23及び背面部10Bにおける吊下げ用フック40を同一直線上に並べることができるので、吊下げ用フック40A又は40Bを挿通させる際、ユーザに特別な注意を払わせること必要がなく、当該吊下げ用フック40A又は40Bに対して簡単に係止させることができる。
【0049】
このとき吊下げ式包装ケース1では、吊下げ用フック穴3、第3の補強用フック穴39、第2の補強用フック穴29、第1の補強用フック穴23及び吊下げ用フック穴4によって吊下げフック40A又は40Bを5点で支持することができるので、従来の吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4だけによる2点指示と比較して格段に強度を上げることができる。
【0050】
また吊下げ式包装ケース1では、合計5個のフック穴のうち吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4が最も穴サイズが小さく、第1の補強用フック穴23及び第3の補強用フック穴39が吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4よりも僅かに穴サイズが大きく、さらに第2の補強用フック穴29が第1の補強用フック穴23及び第3の補強用フック穴39よりも穴サイズが大きく形成されている。
【0051】
このため吊下げ式包装ケース1では、最初の段階では最も外側に位置する吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4の2点支持により吊下げフック40A又は40Bに係止されているが、仮に吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4だけでは支えきれなくなると、次の段階ではその一つ内側に位置する第1の補強用フック穴23及び第3の補強用フック穴39を加えた4点支持により吊下げフック40A又は40Bに係止され、それでも支えきれなくなると、最後の段階では最内側に位置する第2の補強用フック孔29をも加えた5点支持により吊下げフック40A又は40Bに係止される。
【0052】
すなわち吊下げ式包装ケース1では、最初の段階で2点支持、次の段階では4点支持、そして最後の段階では5点支持するように3段階に分けて吊下げフック40A又は40Bに係止されることになるため、最も外側に位置する吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4だけの2点だけで終始支持する従来品とは異なり、当該吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4に対する破損を最小限に食い止めることができる。
【0053】
さらに吊下げ式包装ケース1は、吊下げ用フック穴3、第3の補強用フック穴39、第2の補強用フック穴29、第1の補強用フック穴23及び吊下げ用フック穴4が全て同一直線上に設けられているため、吊下げフック40A又は40Bに係止されたとき、内部収納空間に収納された内容物の自重によって前後いずれの方向に対しても傾かずに吊下げ式であることをユーザにイメージさせることがないうえ、箱2の表面側に施された絵柄等をユーザに目視確認させ易い状態で提示することができる。
【0054】
特に、吊下げ式包装ケース1では陳列棚に吊下げられたとき、前後方向に傾かずデザイン性が損なわれることがないため、箱2に対して自由なデザインを施すことができるようになる。
【0055】
さらに吊下げ式包装ケース1では、箱2に対して吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4が直接設けられているため、陳列棚に吊下げて展示する際、従来品のように吊下げ用フック穴部分を箱の内部収納空間から取り出す等の手間が不要で煩雑な操作をユーザに強いることがない。
【0056】
さらに吊下げ式包装ケース1では、吊下げ用フック穴部分だけ箱2から突出している従来品のときには当該吊下げ用フック穴部分が出荷時に破損することがあったが、箱2に対して吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4が直接設けられ、箱2から突出する部分が存在しないので無用な破損を未然に防止することもできる。
【0057】
以上の構成によれば、吊下げ式包装ケース1では吊下げフック40A又は40Bに係止された吊下げ時、内部収納空間に収納された収納物の自重やユーザの取り扱いによって吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4が容易に破損することのないよう高強度化することができる。
【0058】
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、蓋構成部11と箱構成部10とが一体化された箱2からなる吊下げ式包装ケース1を形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、蓋構成部11と箱構成部10とが別部品となる2点以上の複数部品の集合によって吊下げ式包装ケース1を形成するようにしても良い。
【0059】
また上述の実施の形態においては、シート状の板紙でなる箱構成部10を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等からなる箱構成部10や、その他種々の素材からなる箱構成部10を用いるようにしても良く、要は折り曲げて組み立てることが可能な素材であれば良い。
【0060】
さらに上述の実施の形態においては、仕切板部25の上方空間を斜めに位置する第2の補強板部27が1枚だけ設けられ、その第2の補強板部27に対して第2の補強用フック穴29を設けることにより吊下げ式包装ケース1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図11に示すように、第2の補強板部27の前後に重ねるように第3の補強板部51及び第4の補強板部52を設け、当該第3の補強板部51における第4の補強用フック穴53及び第4の補強板部52における第5の補強用フック穴54を設けることにより吊下げ式包装ケース100を構成するようにしても良い。
【0061】
この場合の吊下げ式包装ケース100では、吊下げ用フック穴3、第3の補強用フック穴39、第4の補強用フック穴53、第2の補強用フック穴29、第5の補強用フック穴54、第1の補強用フック穴23及び吊下げ用フック穴4による最大7点で支持することができるので一段と高強度化することができる。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、仕切板部25の上方空間を斜めに位置する第2の補強板部27が設けられ、その第2の補強板部27に対して第2の補強用フック穴29を設けることにより吊下げ式包装ケース1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図12に示すように、第2の補強板部27の代わりに前面板10A及び背面板10Bと同様に垂設された状態の第2の補強板部61を設け、当該第2の補強板部61に対して第1の補強用フック穴23及び第3の補強用フック穴39と同一若しくは僅かに大きな穴サイズでなる第2の補強用フック穴62を設けるようにしても良い。
【0063】
さらに上述の実施の形態においては、仕切板部25の上方空間を斜めに位置する第2の補強板部27が設けられ、その第2の補強板部27に対して第2の補強用フック穴29を設けることにより吊下げ式包装ケース1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図13に示すように、第2の補強板部27の代わりにL字状に形成された第2の補強板部71を背面板10Bと一体に設け、当該第2の補強板部71に対して第1の補強用フック穴23及び第3の補強用フック穴39と同一若しくは僅かに大きな穴サイズでなる第2の補強用フック穴72を設けるようにしても良い。
【0064】
さらに上述の実施の形態においては、吊下げフック40A又は40Bに引っ掛けて展示するため、箱構成部10の前面板10A及び背面板10Bにおける上部の所定位置に吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図14に示すように、前面板10A及び背面板10Bにおける下部の所定位置に吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4を設けることにより吊下げ用フック40Bに係止させるようにしても良い。
【0065】
さらに上述の実施の形態においては、箱部として略直方体形状の箱2を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、立方体形状、円筒形状等のその他種々の形状の箱を用いるようにしても良い。
【0066】
さらに上述の実施の形態においては、箱部としての箱2、2個の吊下げ用フック穴としての吊下げ用フック穴3及び吊下げ用フック穴4、補強用フック穴としての第2の補強用フック穴29によって吊下げ式個装箱としての吊下げ式包装ケース1を形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の形状、サイズ及び構造でなる箱部、吊下げ用フック穴及び補強用フック穴によって吊下げ式個装箱を形成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の吊下げ式個装箱は、例えば小型の電子機器やアクセサリー部品等以外の文房具、化粧品等のその他種々の内容物を収納した状態で店頭に吊り下げて陳列する吊下げ式包装ケースに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】吊下げ式包装ケースの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】箱の組立て前状態を示す略線図である。
【図3】舌部の構成を示す略線図である。
【図4】蓋構成部の組立状態を示す略線図である。
【図5】各フック穴の位置関係を示す略線的断面図である。
【図6】吊下げ用フックの構造を示す略線図である。
【図7】吊下げ用フックの係止状態を示す略線的断面図である。
【図8】第1の組立状態を示す略線的斜視図である。
【図9】第2の組立状態を示す略線的斜視図である。
【図10】第3の組立状態を示す略線的斜視図である。
【図11】他の実施の形態における吊下げ式包装ケースの断面構造(1)を示す略線的断面図である。
【図12】他の実施の形態における吊下げ式包装ケースの断面構造(2)を示す略線的断面図である。
【図13】他の実施の形態における吊下げ式包装ケースの断面構造(3)を示す略線的断面図である。
【図14】他の実施の形態における吊下げ式包装ケースを示す略線的断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1……吊下げ式包装ケース1、2……箱、3、4……吊下げ用フック穴、10……箱構成部、11……蓋構成部、22……第1の補強板部、23……第1の補強用フック穴、、25……仕切板部、27……第2の補強板部、29……第2の補強用フック穴、30……天板部、32……差込舌片、33〜36……切込み、39……第3の補強用フック穴40A、40B……吊下げフック、51……第3の補強板部、52……第4の補強板部、53……第4の補強用フック穴、61……第2の補強板部、62……第2の補強用フック穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間を有する箱部と、
上記箱部の上部又は下部において当該箱部の前面側及び背面側を貫通するよう設けられた2個の吊下げ用フック穴と、
上記2個の吊下げ用フック穴を貫通する同一直線上でかつ上記収納空間内に配置されたシート状の片部に設けられる補強用フック穴と
を具えることを特徴とする吊下げ式個装箱。
【請求項2】
上記補強用フック穴は、上記2個の吊下げ用フック穴よりも全体として僅かに大きく形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の吊下げ式個装箱。
【請求項3】
上記蓋部は、上記収納空間を閉塞する際、当該収納空間に差し込まれる当該蓋部の先端部分を構成する差込舌片の所定位置に、上記吊下げ用フック穴に対応した上記補強用フック穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の吊下げ式個装箱。
【請求項4】
上記片部は、上記収納空間を開閉するための蓋部と一体形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の吊下げ式個装箱。
【請求項5】
上記蓋部には、上記2個の吊下げ用フック穴から上記収納空間に異物が入ることを防止するため、当該収納空間を閉塞するための仕切板部が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の吊下げ式個装箱。
【請求項6】
上記蓋部は、上記箱部の上記背面側と一体形成され、当該蓋部の全体が上記収納空間から浮き上がるのを防止するため、当該蓋部の周囲には上記箱部の上端に設けられた舌部と係合するための切欠き部が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の吊下げ式個装箱。
【請求項7】
上記箱部は、シースルーパッケージでなる
ことを特徴とする請求項1に記載の吊下げ式個装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−8540(P2007−8540A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192876(P2005−192876)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】