説明

同時適用の改善された安定性

少なくとも1種類の防シミ剤と、少なくとも1種類の防汚剤と、少なくとも1種類の同時適用向上剤との安定混合物を含む組成物であって、前記向上剤が、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち少なくとも1つを含む組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、防汚剤および防シミ剤による、繊維状基材の同時処理のための組成物および方法に関する。本発明は、特に、防汚剤および防シミ剤の非親和性の混合物によって、安定した有効な二重目的組成物を形成することのできる化学向上剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン、カチオンまたは非イオン分散フッ素化ポリマーエマルジョンの形態で入手可能なフルオロポリマーは、カーペット、ラグおよびテキスタイル等の繊維状基材の防汚剤として一般的に用いられている。かかる防汚剤は、処理済み基材に撥水および撥油性、ならびに防汚性を与えることにより作用する。食物や飲料のシミ等酸性染料のシミに対する抵抗性は、加水分解無水マレイン酸コポリマー、メタクリル酸のコポリマーおよびそのエステル、またはスルホン化フェノール樹脂およびそのブレンドの溶液により与えられる。食物や飲料のシミの一例としては、飲料に一般的に用いられている酸性染料のシミFD&Cレッド40番が挙げられる。
【0003】
防汚剤および防シミ剤は、処理浴中の希釈水性混合溶液から繊維状基材へ同時に適用できるのが望ましい。カチオン分散防汚剤および防シミ剤を含有する同時適用混合物も望ましい。さらに、製造場所に配送するために、濃縮防汚剤と濃縮防シミ剤を含有する濃縮単一パッケージ製品が望ましい。しかしながら、防シミ剤と防汚剤とのかかる混合物は、元々不相溶性である。
【0004】
ペイエ(Payet)らによる米国特許公報(特許文献1)には、マグネシウム塩等の二価の金属塩を用いて、処理浴中のフルオロケミカル撥油剤および撥水剤と防シミ樹脂を安定化させることが開示されている。しかしながら、パチフィチ(Pacifici)による米国特許公報(特許文献2)に記されているとおり、ペイエ(Payet)による単一ステップのプロセスは、主に、撥水性と撥油性の効率の不一致と、そのためにカーペット業界基準に適合しないという理由から、商業的に許容されているものではない。不一致は、フルオロケミカル防汚硬化プロセス、フルオロケミカル分子の熱再配向を妨げる防シミの傾向から生じるものである。パチフィチ(Pacifici)は、単一浴プロセスにおいて、フルオロケミカル合体防止剤として、ナフタレンスルホン化塩を代用した。パチフィチ(Pacifici)は、防シミ剤と組合せて、カチオン分散フルオロケミカル系撥性エマルジョン(防汚剤として)を用いてはいない。
【0005】
安定した単一の適用浴を用いて、水性希釈剤中の防シミ剤および防汚剤を適用できる新規な「同時適用向上剤」が必要とされている。また、カチオン分散防汚剤を含む単一浴組成物も必要とされている。さらに、直接ミリングでき、適用または連続処理プロセスに複数回の成分添加の必要性をなくす、防シミ剤および防汚剤の安定な濃縮混合物が必要とされている。
【0006】
従って、別々の浴または連続添加(「タンデム」)プロセスによってのみこれまでなされてきた防汚性および防シミ性のための工業性能基準に適合する混合防汚剤および防シミ剤を含む組成物の入った単一浴も依然として望まれている。単一浴だと、労働、時間および機器資源を大幅に節約できるからである。本発明は、防汚剤および防シミ剤を、カーペットやその他の繊維状基材に同時に適用するための単一同時適用組成物および単一浴プロセス方法を提供するものである。
【0007】
可溶同時適用向上剤なしでは、防汚剤および防シミ剤のいかなる組合せも単一浴では相溶しない。本発明の同時適用向上剤は、防汚剤及び防シミ剤の組合せについての同時適用安定性の問題を解決して、その各成分が、適用される基材に優れた性能特性を付与するものである。かかる防シミ剤および防汚剤の組合せは、これまで、カーペットやその他の繊維状基材に同時適用できなかった。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,875,901号明細書
【特許文献2】米国特許第6,616,856号明細書
【特許文献3】米国特許第6,790,905号明細書
【特許文献4】米国特許第5,414,111号明細書
【特許文献5】米国特許第5,851,595号明細書
【特許文献6】米国特許第6,613,862号明細書
【特許文献7】米国特許第4,883,839号明細書
【特許文献8】米国特許第4,948,650号明細書
【特許文献9】米国特許第5,032,136号明細書
【特許文献10】米国特許第5,654,068号明細書
【特許文献11】米国特許第4,833,009号明細書
【特許文献12】米国特許第5,096,747号明細書
【特許文献13】米国特許第5,460,887号明細書
【特許文献14】欧州特許第797699号明細書
【特許文献15】米国特許第5,712,348号明細書
【特許文献16】米国特許第6,238,792号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1種類の防シミ剤と、少なくとも1種類の防汚剤と、少なくとも1種類の同時適用向上剤との安定混合物を含む組成物であって、前記向上剤が、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち少なくとも1つを含む。
【0010】
本発明は、基材を単一媒体と接触させることを含む防シミ性および防汚性を基材に提供する方法をさらに含み、単一媒体が、少なくとも1種類の防シミ剤と、少なくとも1種類の防汚剤と、少なくとも1種類の同時適用向上剤との安定混合物を含有し、前記向上剤が、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち少なくとも1つを含む。
【0011】
本発明は、単一媒体から組成物が適用された基材をさらに含み、組成物が、少なくとも1種類の防シミ剤と、少なくとも1種類の防汚剤と、少なくとも1種類の同時適用向上剤との安定混合物を含み、前記向上剤が、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち少なくとも1つを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書では、商品名および登録商標は、大文字で示してある。
【0013】
本明細書で用いる「防シミ」という用語は、基材に適用して、食物や飲料汚れ等の酸染料によるシミによるシミを減じる組成物を含む防シミ剤のことを意味する。本明細書で用いる「防汚剤」という用語は、基材に適用すると、汚れを減じ、撥水性を与える組成物を含む防汚剤のことを意味する。
【0014】
「同時適用向上剤」という用語は、本発明の組成物中で、防シミ剤および防汚剤と混合して、安定混合物を提供する添加剤を意味するのに本明細書では用いられる。
【0015】
本発明は、(a)少なくとも1種類の防汚剤と、(b)少なくとも1種類の防シミ剤と、(c)少なくとも1つの同時適用向上剤とを含む安定混合物を含む。同時適用向上剤は、塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、イミドまたはラクタムのうち少なくとも1つを含む。安定混合物は、溶液、分散剤、溶液及び分散剤の組合せの形態である。
【0016】
本発明の安定混合物に用いるのに好適な同時適用向上剤は、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち1つまたは複数を含む。
【0017】
好適なアミドは、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ならびに、ギ酸、C1〜C6アルカンおよびC1〜C6のアルカン二酸の環状アミドを含む。ホルムアミド、カプロラクタム、マロンアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、スクシンアミド、スクシンイミド、マロンイミドおよびその他の同様のアミドが例示される。上記に規定したアミドを含む各同時適用向上剤の典型的な分子量は約200グラム/モル未満であり、水溶性で、強酸でも強塩基でもない。
【0018】
同時適用向上剤が塩のときは、塩は、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、塩化物、ポリリン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、酒石酸塩、フタル酸塩、モノおよびジアルキルリン酸塩からなる群より選択されるアニオンと組合せたカチオンである。好適なアリール塩は、約6〜約10個の炭素原子を含有し、任意選択的に、アルキル置換基を有するスルホン化芳香族化合物である。好ましいアリールスルホン酸塩としては、アリールスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸カリウム、トルエンスルホン酸ナトリウムおよびキシレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。アリールスルホン酸塩は、遊離スルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、またはそれらのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩として添加される。ペイエ(Payet)による米国特許公報(特許文献1)に開示された硫酸マグネシウムのような二価の金属塩は、同時適用向上剤としては無効である。
【0019】
好ましい同時適用向上剤は、スルホン酸アリール、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、カプロラクタム、マロンアミド、マロンイミド、スクシンアミドまたはスクシンイミドを含む。より好ましい同時適用向上剤は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸三ナトリウム、アリールスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸カリウム、リン酸ナトリウムおよびトルエンスルホン酸を含む。好ましくは、同時適用向上剤は、水溶性である。
【0020】
本発明の組成物に用いるのに好適な防汚剤は、市販されており、フッ素化ポリウレタン、フッ素化アクリレートを含有するポリマー若しくはコポリマー、又はフッ素化メタクリレートを含有するポリマー若しくはコポリマーを含む。好ましい防汚剤は、式Rf(CH2n−(式中、Rfは、約2〜約20個の炭素原子を有する直鎖または分枝のパーフルオロアルキルである)(nは1〜約20の整数である)のパーフルオロアルキル基またはこれらの混合物を含有し、パーフルオロアルキルは、任意選択的に、少なくとも1つの酸素原子により中断されている。nが約4〜約10のパーフルオロアルキル基が好ましい。ポリマーフルオロケミカル防汚剤は、アニオン、カチオンまたは非イオン分散されている。カーペット、ラグおよびテキスタイル等の繊維状基材に適用されるフルオロケミカル防汚剤は、これらに限られるものではないが、本願特許出願人、3M、ダイキン、クラリアントおよびアサヒから市販されている。市販の防汚剤、当該技術分野で公知のその他の防汚剤、およびこれらの組合せが、本発明に用いるのに好適である。
【0021】
好ましい防汚剤の一例を挙げると、カチオン分散され、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献3)に権利請求されたとおりに調製されたポリマーフルオロケミカル防汚剤である。この防汚剤を含む本発明の組成物にとって好ましい同時適用向上剤は、硫酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ウレアおよびこれらに限られるものではないが、硫酸ナトリウムとウレアまたは酢酸ナトリウムとウレアをはじめとするこれらの組合せである。追加の好ましい防汚剤は、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献4)の実施例8に従って調製された、アニオン分散フッ素化ポリウレタン防汚剤である。
【0022】
市販の防シミ剤、当該技術分野で公知のその他の防シミ剤またはこれらの組合せが、本発明において用いるのに好適である。これらは、スルホン化フェノール樹脂または濃縮物、部分スルホン化ノボラック樹脂、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステルのポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸とオレフィンまたはビニルエーテルの加水分解コポリマー、加水分解エチレン性不飽和芳香族/無水マレイン酸コポリマーおよびこれらの混合物を含む。参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献5)および米国特許公報(特許文献6)に開示されているものが例示される。
【0023】
これらの好ましい部類の防シミ剤としては、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)のとおりに調製された、加水分解無水マレイン酸コポリマー、スルホン化フェノール樹脂および界面活性剤の混合物の分散液が具体的に例示される。特に、加水分解エチレン性不飽和芳香族/無水マレイン酸コポリマー、あるいはオレフィンまたはビニルエーテルと、無水マレイン酸の加水分解コポリマーとの混合物が好ましい。同じく好ましいのは、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献10)に開示された加水分解無水マレイン酸コポリマー、スルホン化フェノール樹脂、加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーの部分塩と界面活性剤の水溶液の混合物、ならびに、加水分解無水マレイン酸コポリマーとスルホン化フェノール樹脂との混合物、または加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーとスルホン化フェノール樹脂との混合物の分散液である。
【0024】
他に好ましい防シミ剤は、米国特許公報(特許文献11)に開示され、そのとおりに調製したスルホン化フェノールホルムアルデヒド濃縮生成物の分散液である。ここで用いるのに好適なその他の防シミ剤は、1)米国特許公報(特許文献12)に開示された加水分解ビニル芳香族−無水マレイン酸コポリマーおよび加水分解スチレン無水マレイン酸コポリマー、2)加水分解スチレン/無水マレイン酸コポリマーを含む米国特許公報(特許文献13)に記載されたもの、3)米国特許公報(特許文献1)および(特許文献14)に開示されたような部分スルホン化ノボラック樹脂、4)フッ素化チオエーテルエンド−キャップを有するマレイン酸コポリマーを含む米国特許公報(特許文献15)に開示されたもの、5)マレイン酸ターポリマーを含む米国特許公報(特許文献16)に開示されたもの、および6)これらの組合せを含む。上記に挙げたいくつかの特許のそれぞれが、参照により本明細書に援用される。
【0025】
本発明の組成物において、同時適用向上剤の防シミ剤および防汚剤の組合せに対する比率は、100%固体重量基準で、約1:4〜約1:52、好ましくは、100%固体重量基準で、約1:6〜約1:40、より好ましくは、100%固体重量基準で、約1:8〜約1:32である。
【0026】
その他の表面効果処理剤を、本発明の安定な組成物と同時に、または連続して、繊維状基材に適用してもよい。かかる追加の成分は、ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔軟性、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防臭、抗菌性および日焼け防止および同様の効果等の表面効果を与える化合物または組成物を含む。1種類または複数のかかる処理剤または仕上げ剤を、本発明の組成物と組合せて、繊維状基材に適用することができる。かかる処理剤または仕上げ剤と共に一般的に用いられるその他の添加剤、例えば、界面活性剤、金属イオン封鎖剤、レベリング剤、pH調整剤、架橋剤、ブロックトイソシアネート、炭化水素増量剤、湿潤剤、およびワックス増量剤または当業者に知られたその他の添加剤を存在させてもよい。好適な界面活性剤は、アニオン、カチオン、非イオンおよび両性のものを含む。
【0027】
本発明は、上述した防シミ剤、防汚剤および同時適用向上剤を含む安定混合物を含有する単一媒体と基材を接触させる工程を含む、防シミ性および防汚性を繊維状基材に提供する方法をさらに含む。繊維状基材は、適用装置を通過し、防シミ剤および防汚剤が、本発明の組成物を含有する浴等の単一の適用媒体から吸尽され、布帛上に付着する。本発明は、防シミ剤と、防汚剤と同時適用向上剤との混合物を、任意選択的に、その他の添加剤と共に、浴またはその他の処理媒体で用いることを含む。組成物は、吸尽、例えば、ベック(Beck)またはウインチ(Winch)法等のプロセスで、または、当該技術分野で公知のその他の従来の適用方法を用いて、繊維状基材に適用される。これらに限られるものではないが、フレックス(Flex)−ニップ、パッド、スプレーまたは発泡適用等の連続法が含まれる。適用の連続法には、本発明の組成物の適用後の蒸気処理を含めることができる。
【0028】
本発明の成分は、別個に、あるいは浴、その他の処理または接触媒体にプレミックスとして添加される。好ましい添加順は、塩(水に予め溶解したもの)、続いて、防シミ剤および防汚剤、次にpH調節剤である。同時適用向上剤溶液を添加する前に、防シミ剤を防汚剤と混合してはならない、またはその逆もしてはならない。任意選択的に、上述した通り、pHを調整する化学薬品(例えば、硫酸ウレアまたはその他の酸)、金属イオン封鎖剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、追加の界面活性剤、レベリング剤等のその他の従来の添加剤を組成物または処理媒体に添加してもよい。
【0029】
従来の浴条件を、接触媒体に用いることができる。例えば、吸尽適用については、約5分〜約30分、好ましくは約20分の適用時間を用いる。浴対繊維重量比は、約40:1〜約2:1である。浴pHは、約1〜約9、好ましくは約1.5〜約5.0、より好ましくは約1.8〜約3.0である。浴温度は、約160°F〜約200°F(約71℃〜約93℃)、好ましくは約190°F(約88℃)である。低pHおよび高温によって、吸尽効率が改善するが、これより極端な条件であると、機器に悪影響を及ぼす恐れがある。これらの条件は、操作および保守コストと釣り合う。本発明の組成物を基材に適用した後、繊維状基材を、従来通り濯ぎ、乾燥する。
【0030】
基材への適用のために接触媒体中に存在する同時適用向上剤の量は、約0.05g/L〜約2g/L、好ましくは約0.1g/L〜約1.7g/L、より好ましくは、約0.2g/L〜約1.5g/Lである。基材と接触する混合物(本発明の組成物)の量は、繊維の重量を基準にして、約0.1〜約5パーセント、好ましくは、繊維の重量を基準にして、約0.3〜約4%、より好ましくは、繊維の重量を基準にして、約0.5〜約3%である。
【0031】
本発明は、上に開示した本発明の組成物による処理した基材をさらに含む。大半の任意の繊維状基材が、本発明の組成物および方法により処理に好適である。かかる基材としては、繊維、ヤーン、布帛、布帛ブレンド、テキスタイル、カーペット、ラグ、不織布、皮および紙が挙げられる。「繊維」という用語には、紡糸前後の、様々な組成および形態の繊維およびヤーン、ならびに着色繊維および着色ヤーンが含まれる。「布帛」とは、綿、レーヨン、絹、羊毛、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ナイロンおよび「ノーメックス(NOMEX)」および「ケブラー(KEVLAR)」等のアラミドから構成された天然または合成布帛、またはこれらのブレンドを意味する。「布帛ブレンド」とは、2つ以上の異なる繊維でできた布帛のことを意味する。典型的に、これらのブレンドは、少なくとも1つの天然繊維と、少なくとも1つの合繊繊維の組合せであるが、2つ以上の天然繊維および/または2つ以上の合成繊維をブレンドすることもできる。カーペットは、例えば、綿、羊毛、絹、ナイロン、アクリル、芳香族ポリアミド、ポリエステル、ジュート、サイザルおよびその他のセルロースで作製することができる。
【0032】
本発明の組成物および方法は、単一の安定な同時適用組成物により、単一の適用工程で、繊維状基材に、防シミ性および防汚性を与えるのに有用である。処理した基材は、酸染料のシミや汚れに対して、長期間、良好な抵抗性を維持する。本発明の組成物は、多くの使用状況において消費者に利益を与えるカーペット、テキスタイルおよび布帛等の様々な繊維状基材に有用である。本発明の同時適用向上剤は、防シミ剤と防汚剤の組合せについて同時適用の安定性の問題を解決して、優れた性能属性を与える。
【0033】
(材料および試験方法)
以下の材料および試験方法を、後述する実施例で用いた。
【0034】
防汚剤1は、米国特許公報(特許文献3)に従って調製される本願特許出願人により入手可能なカチオン分散フッ素化ポリウレタン防汚剤である。
【0035】
防汚剤2は、米国特許公報(特許文献4)の実施例8に従って調製される本願特許出願人により入手可能なアニオン分散フッ素化ポリウレタン防汚剤である。
【0036】
防汚剤3は、米国特許公報(特許文献3)に従って調製される本願特許出願人により入手可能なカチオン分散フッ素化ポリウレタン防汚剤である。
【0037】
防シミ剤1は、米国特許公報(特許文献10)に従って調製した、加水分解無水マレイン酸コポリマーまたはターポリマーと、スルホン化フェノール樹脂と、加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーの部分ナトリウム塩の水溶液とのブレンドである。
【0038】
防シミ剤2は、米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に従って調製される本願特許出願人より市販されている、加水分解無水マレイン酸コポリマーまたはターポリマーとスルホン化フェノール樹脂とのブレンドである。
【0039】
防シミ剤3は、米国特許公報(特許文献10)に従って調製される本願特許出願人より市販されている、加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーの部分ナトリウム塩の水溶液と、スルホン化フェノール樹脂とのブレンドである。
【0040】
防シミ剤4は、スルホン化フェノール樹脂と、加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーの部分ナトリウム塩の水溶液とのブレンドである。
【0041】
防シミ剤5は、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)の3Mのポリ(メタクリル酸)ベースの3Mの製品であるFX−668Fである。
【0042】
防シミ剤6は、スルホン化フェノール樹脂と、加水分解無水マレイン酸コポリマーまたはターポリマーとのブレンドである。
【0043】
カーペット基材は、実施例で説明する。
【0044】
(試験方法1−チェリークールエイド(Cherry KOOL−AID)シミ試験方法)
チェリークールエイド(Cherry KOOL−AID)(クールエイド(KOOL−AID)は、ニューヨーク州、ホワイトプレインのクラフトゼネラルフーズ社(Kraft General Foods,Inc.,White Plains NY)の登録商標である)汚シミ試験を15cm×15cmのカーペット試料で実施した。酸性染料防シミ性をアメリカ繊維化学技術染色技術協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)方法175、「防シミ性:パイルフロアカバーリング(Stain Resistance:Pile Floor Coverings)」に基づく手順を用いて評価した。砂糖入りチェリークールエイド(Cherry KOOL−AID)と500mLの水を混合することにより、汚染溶液を調製した。試験するカーペット試料を、平坦な非吸収性表面に置いて、直径2インチ(5cm)の中空プラスチックシリンダを、カーペット試料上に密着させて置いた。クールエイド(KOOL−AID)汚染溶液(20mL)を、カーペット試料に予め置いておいたシリンダに注いだ。カーペットにシミを穏やかに作用させる。シリンダを取り除き、シミの付いたカーペット試料を24時間静置させた。濯ぐ水が透明になるまで、カーペットを冷水道水で少なくとも10分間完全に濯いだ。カーペット試料を引き出し、24時間、非吸収性表面で空気乾燥した。この手順により得られたクールエイド(KOOL−AID)のシミを、AATCC試験方法175の目視シミ格付け基準(AATCCレッド40シミ基準(Red 40 Stain Scale))によるか、またはデルタE色差の測定を用いるかのいずれかにより格付けした。番号を付けた着色フィルムとして同じ退色のクールエイド(KOOL−AID)のシミにより、AATCCレッド40シミ基準(Red 40 Stain Scale)(試験方法175番)を用いることにより、目視格付け10(完全なシミ除去)〜1(最大または変化のないシミ)が得られた。
【0045】
(試験方法2−撥水性)
AATCC試験方法193に従って、撥水性を試験した。大きな値は、撥水性が増したことを示している。
【0046】
(試験方法3−撥油性)
AATCC試験方法118に従って、撥油性を測定した。大きな値は、撥油性が増したことを示している。
【0047】
(試験方法4−混合物安定性)
防シミ性、防汚性および同時適用向上剤の全混合物を、各実施例および比較例で示した貯蔵期間後の目視の観察により、安定(すなわち、処方が均一な混合物のままである)であるか不安定(すなわち、処方が均一な混合物でない)であるかを判断した。
【実施例】
【0048】
実施例は数字で、比較例は文字で示してある。各実施例および比較例における防シミ剤、同時適用向上剤および防汚剤の量は合計で100%である。
【0049】
(実施例1〜5)
50%の防シミ剤1からなる混合物、25%の表1に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤1を物理的に混合することにより、実施例1〜5の濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表1に示す。
【0050】
(比較例A)
66.7%の防シミ剤1からなる混合物および33.3%の防汚剤1を、同時適用向上剤なしで、物理的に混合することにより、比較例Aの濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表1に示す。
【0051】
(比較例BおよびC)
50%の防シミ剤1、25%の表1に挙げた10%塩溶液および25%の防汚剤1を、物理的に混合することにより、比較例BおよびCの濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
表1に示すとおり、防シミ剤1と、防汚剤1と、それぞれ、キシレンスルホン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび四ホウ酸ナトリウムの10%溶液としての同時適用向上剤との濃縮混合物である実施例1〜5は、安定であった。防シミ剤1および防汚剤1を含有し、同時適用向上剤を含有しない比較例Aは、安定でなかった。防シミ剤1、10%の硫酸マグネシウム溶液および防汚剤1を含有する比較例Bは、安定でなかった。防シミ剤1、10%の2−ナフタレンスルホン酸溶液および防汚剤1を含有する比較例Cは、安定でなかった。
【0054】
(実施例6)
50%の防シミ剤4、25%の表2に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤1を物理的に混合することにより、実施例6の濃縮混合物を調製した。1日および21日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表2に示す。
【0055】
(比較例D)
66.7%の防シミ剤4および33.3%の防汚剤1を、同時適用向上剤なしで、物理的に混合することにより、比較例Dの濃縮混合物を調製した。1日および21日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表2に示す。
【0056】
(比較例E)
50%の防シミ剤4、25%の硫酸マグネシウムの10%溶液および25%の防汚剤1を物理的に混合することにより、比較例Eの濃縮混合物を調製した。1日および21日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
表2に示すとおり、防シミ剤4、リン酸三ナトリウムの10%溶液を含有する同時適用向上剤および防汚剤1の濃縮混合物である実施例6は、安定であった。防シミ剤4および防汚剤1を含有し、同時適用向上剤を含有しない比較例Dは、安定でなかった。防シミ剤4、10%硫酸マグネシウム溶液および防汚剤1を含有する比較例Eは、安定でなかった。
【0059】
(実施例7)
60%の防シミ剤4、20%の表3に挙げた10%同時適用向上剤溶液および20%の防汚剤1を物理的に混合することにより、実施例7の濃縮混合物を調製した。1日および20日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表3に示す。
【0060】
組成物をカーペットに適用し、連続適用をシミュレートした。この適用に用いたカーペットは、45oz/yd2(1.53kg/m2)のベージュのナイロン6,6住宅用カットパイルカーペットであった。各カーペットを水で飽和してから、カーペット試料に残る水の重量が乾燥カーペット重量の約20%〜約40%になるまで、カーペットの水の大部分を機械的手段(スピン乾燥や真空抽出による等)により、除去した。
【0061】
濃縮混合物の1部を、83部の水で希釈して、適用浴を調製した。30%二硫酸ナトリウム溶液を用いて、適用浴のpHを2.0に調整した。適用を500%の湿絞り率で行って、組成物の繊維重量で0.9%(100%固体基準で)分配した。混合物を、濡れたカーペット試料に、均一に適用し、基材が完全に飽和するまで、カーペットへと手で作用させた。カーペット試料を、パイル側を上にして、電子レンジで使用できるプラスチックトレイの底の単層に置いた。蒸気が蓄積するのを防ぐための穴の開いた通気口のある蓋を、プラスチックトレイの上に置いた。
【0062】
温度が195°F(91℃)に達するまで、カーペットを出力レベル10で、電子レンジにかけ、195°F(91℃)に2分間保持した。温度プローブの付いた家庭用電子レンジオーブン(ニューヨーク州、スケネタクディーのゼネラルエレクトリック(General Electric,Schenectady NY)より入手可能なゼネラルエレクトリック(General Electric)型番JVM1660)を用いて温度をモニターした。カーペットを水で完全に濯いだ。カーペットに残る水の重量が、乾燥カーペット重量の約20%〜40%になるまで、カーペットの水の大部分を、抽出器を備えたスピン乾燥により、除去した。この後、180°F(82℃)でのオーブン乾燥を20分、次に、280°F(138℃)でのオーブン硬化を3〜4分間行った。カーペット試料を完全に冷却し、試験前に室内環境と平衡させた。
【0063】
カーペット試料の防シミ性を試験方法1(24時間クールエイド(KOOL−AID)汚染試験)により試験した。撥水性および撥油性を、試験方法2および3(AATCC試験方法193および118)により評価した。シミおよび撥性の結果を表3に示す。
【0064】
(比較例F)
比較例Fは、実施例7を調製するのに用いたのと同じ基材の未処理のカーペットであった。カーペット試料の防シミ性を、試験方法1により試験した。撥水性および撥油性を、試験方法2および3により評価した。シミおよび撥性の結果を表3に示す。
【0065】
【表3】

【0066】
表3に示すとおり、防シミ剤4と、リン酸一ナトリウムの10%塩溶液としての同時適用向上剤と、防汚剤1との濃縮混合物である実施例7は、安定であり、組成物は、防シミ性および撥性という性能上の利点をカーペットに与えた。
【0067】
(実施例8)
60%の防シミ剤4、20%の表4に挙げた10%塩溶液を含有する同時適用向上剤および20%の防汚剤1を物理的に混合することにより、実施例8の濃縮混合物を調製した。1日および20日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表4に示す。濃縮混合物の1部を、49部の水で希釈して、適用浴を調製した。オートアシッド(Autoacid)A−10(ジョージア州、ローマのピーチステートラボラトリーズ(Peach State Laboratories,Rome GA))により適用浴のpHを2.0に調整した。この適用に用いたカーペットは、明るいブルーのナイロン6,6住宅用カットパイルカーペットであった。吸尽法により、25:1の浴対繊維比で、組成物をカーペットに適用した。組成物は、繊維の重量の1.0%(100%固体基準で)となる量でカーペットに適用した。適用浴およびカーペットを190°F(88℃)の温度とし、20分間保持した。そして、試料を濯ぎ、遠心分離にかけた。カーペットを280°F(138℃)で3分間オーブン硬化した。カーペット試料の防シミ性を、試験方法1を用いて試験した。撥性は、試験方法2および3により評価した。結果を表4に示す。
【0068】
(比較例G)
比較例Gは、実施例8を調製するのに用いたのと同じ基材の未処理のカーペットであった。撥水性および撥油性を、試験方法2および3により評価した。結果を表4に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
表4に示すとおり、防シミ剤4と、リン酸一ナトリウムの10%塩溶液を含有する同時適用向上剤溶液と、防汚剤1との濃縮混合物は、安定であり、組成物は、防シミ性および撥性という性能上の利点をカーペットに与えた。
【0071】
(実施例9〜23)
50%の防シミ剤1、25%の表5に挙げた塩溶液を含有する10%同時適用向上剤および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例9〜23の濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表5に示す。
【0072】
(比較例H)
67.7%の防シミ剤1および33.3%の防汚剤2を、同時適用向上剤なしで、物理的に混合することにより、比較例Hの濃縮混合物を調製し、3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表5に示す。
【0073】
(比較例IおよびJ)
50%の防シミ剤1、25%の表1に挙げた10%塩または酸溶液、および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、比較例IおよびJの濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
表5に示すとおり、防シミ剤1と、防汚剤2と、それぞれ、硫酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、ウレア、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、L−酒石酸二カリウム、L−酒石酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、フタル酸二カリウムおよび四ホウ酸ナトリウムの10%塩溶液を含有する同時適用向上剤との濃縮混合物は、安定であった。防シミ剤1、防汚剤2を含有し、同時適用向上剤を含有しない比較例Hは、安定でなかった。防シミ剤1、硫酸マグネシウムの10%塩溶液および防汚剤2を含有する比較例Iは、安定でなかった。防シミ剤1、2−ナフタレンスルホン酸の10%溶液および防汚剤2を含有する比較例Jは、安定でなかった。
【0076】
(実施例24)
50%の防シミ剤1、25%の表6に挙げた10%同時適用向上剤および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例24の濃縮混合物を調製した。1日および20日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表6に示す。濃縮混合物の1部を、49部の水で希釈して、適用浴を調製した。オートアシッド(Autoacid)A−10により適用浴のpHを2.0に調整した。この適用に用いたカーペットは、明るいブルーのナイロン6,6住宅用カットパイルカーペットであった。吸尽法により、25:1の浴対繊維比で、組成物をカーペットに適用した。組成物は、繊維の重量の1.3%(100%固体基準で)となる量でカーペットに適用した。適用浴およびカーペットを190°F(88℃)の温度とし、20分間保持した。そして、試料を濯ぎ、遠心分離にかけた。カーペットを280°F(138℃)で3分間オーブン硬化した。カーペット試料の防シミ性を、試験方法1を用いて試験した。撥性は、試験方法2および3により評価した。結果を表6に示す。
【0077】
(比較例K1)
比較例K1は、実施例24を調製するのに用いたのと同じ基材の未処理のカーペットであった。試験方法1、2および3を用いて試験した。結果を表6に示す。
【0078】
【表6】

【0079】
表6に示すとおり、防シミ剤1と、p−トルエンスルホン酸の10%同時適用向上剤溶液と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であり、組成物は、防シミ性および撥性という性能上の利点をカーペットに与えた。
【0080】
(実施例25)
50%の防シミ剤4、25%の表7に挙げた同時適用向上剤を含有する10%溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例25の濃縮混合物を調製した。1日および20日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表7に示す。濃縮混合物の1部を、49部の水で希釈して、適用浴を調製した。オートアシッド(Autoacid)A−10により適用浴のpHを2.0に調整した。この適用に用いたカーペットは、明るいブルーのナイロン6,6住宅用カットパイルカーペットであった。アヒバ(Ahiba)吸尽法により、25:1の浴対繊維比で、組成物をカーペットに適用した。組成物は、繊維の重量の1.2%(100%固体基準で)となる量でカーペットに適用した。適用浴およびカーペットを190°F(88℃)の温度とし、20分間保持した。そして、試料を濯ぎ、遠心分離にかけた。カーペットを280°F(138℃)で3分間オーブン硬化した。カーペット試料の防シミ性を試験方法1を用いて試験した。撥性は、試験方法2および3により評価した。結果を表7に示す。
【0081】
(比較例K2)
比較例K2は、実施例25を調製するのに用いたのと同じ基材の未処理のカーペットであった。試験方法1、2および3を用いて試験した。結果を表7に示す。
【0082】
(比較例L)
50%の防シミ剤4、23%の硫酸マグネシウムの10%塩溶液および25%の防汚剤2を、物理的に混合することにより、比較例Lの濃縮混合物を調製した。1日および20日での混合物の安定性を、試験方法4を用いて観察した。結果を表7に示す。
【0083】
【表7】

【0084】
表7に示すとおり、防シミ剤4と、p−トルエンスルホン酸を含有する10%同時適用向上剤と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であり、組成物は、防シミ性および撥性という性能上の利点をカーペットに与えた。比較例Lは、不安定であった。
【0085】
(実施例26)
50%の防シミ剤3、25%の表8に挙げた10%同時適用向上剤および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例26の濃縮混合物を調製した。1日および20日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表8に示す。濃縮混合物の1部を、49部の水で希釈して、適用浴を調製した。オートアシッド(Autoacid)A−10により適用浴のpHを2.0に調整した。この適用に用いたカーペットは、明るいブルーのナイロン6,6住宅用カットパイルカーペットであった。アヒバ(Ahiba)吸尽法により、25:1の浴対繊維比で、組成物をカーペットに適用した。組成物は、繊維の重量の1.3%(100%固体基準で)となる量でカーペットに適用した。適用浴およびカーペットを190°F(88℃)の温度とし、20分間保持した。そして、試料を濯ぎ、遠心分離にかけた。カーペットを280°F(138℃)で3分間オーブン硬化した。
【0086】
カーペット試料の防シミ性を、試験方法1を用いて試験した。撥性は、試験方法2および3により評価した。結果を表8に示す。
【0087】
(比較例K3)
比較例K3は、実施例26を調製するのに用いたのと同じ基材の未処理のカーペットであった。
【0088】
【表8】

【0089】
表8に示すとおり、防シミ剤3と、p−トルエンスルホン酸の10%塩溶液と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であり、組成物は、防シミ性および撥水性という性能上の利点をカーペットに与えた。
【0090】
(実施例27〜36)
50%の防シミ剤2、25%の表9に挙げた同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例27〜36の濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表9に示す。
【0091】
(実施例37〜41)
50%の防シミ剤2、25%の表9に挙げた硫酸ナトリウムを含有する様々な濃度の同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例37〜41の濃縮混合物を調製した。3日および9日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表9に示す。
【0092】
【表9】

【0093】
表9に示すとおり、防シミ剤2と、防汚剤2と、それぞれ、硫酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、ウレア、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、L−酒石酸二カリウム、L−酒石酸二ナトリウム、ホルムアミド、マロンアミド、スクシンイミドおよびカプロラクタムの10%同時適用向上剤との濃縮混合物は、安定であった。実施例37〜41は、異なるレベルの塩濃度の安定性を示すものである。
【0094】
(実施例42〜45)
50%の防シミ剤2、25%の表10に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例42〜45の濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表10に示す。
【0095】
(比較例M)
66.7%の防シミ剤2および33.3%の防汚剤2を、同時適用向上剤なしで、物理的に混合することにより、比較例Mの濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表10に示す。
【0096】
【表10】

【0097】
表10に示すとおり、防シミ剤2と、ホルムアミド、スクシンイミド、マロンアミドおよびカプロラクタムの10%溶液を含有する同時適用向上剤と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であった。防シミ剤2および防汚剤2を含有し、同時適用向上剤を含有しない比較例Mは、安定でなかった。
【0098】
(実施例46〜59)
50%の防シミ剤3、25%の表11に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例46〜59の濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表11に示す。
【0099】
(比較例N)
67.7%の防シミ剤3および33.3%の防汚剤2を、同時適用向上剤なしで、物理的に混合することにより、比較例Nの濃縮混合物を調製した。3日および5日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表11に示す。
【0100】
【表11】

【0101】
表11に示すとおり、防シミ剤3と、防汚剤2と、それぞれ、硫酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸ナトリウム、ウレア、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、L−酒石酸二カリウム、L−酒石酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、パラ−トルエンスルホン酸ナトリウム、フタル酸二カリウムおよびフタル酸を含有する10%同時適用向上剤溶液との濃縮混合物は、安定であった。防シミ剤3、防汚剤2を含有し、同時適用向上剤を含有しない比較例Nは、安定でなかった。
【0102】
(実施例60〜62)
50%の防シミ剤4、25%の表12に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例60〜62の濃縮混合物を調製した。1日および12日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表12に示す。
【0103】
【表12】

【0104】
表12に示すとおり、防シミ剤4と、ホルムアミド、スクシンイミドおよびマロンアミドの10%同時適用向上剤溶液と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であった。
【0105】
(実施例63および64)
50%の防シミ剤5、25%の表13に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例63および64の濃縮混合物を調製した。1日および6日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表13に示す。
【0106】
【表13】

【0107】
表13に示すとおり、防シミ剤5と、硫酸ナトリウムおよびp−トルエンスルホン酸の10%同時適用向上剤溶液と、防汚剤2との濃縮混合物は、安定であった。
【0108】
(実施例65〜67)
50%の防シミ剤6、25%の表14に挙げた10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤2を物理的に混合することにより、実施例65〜67の濃縮混合物を調製した。1日および12日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表14に示す。
【0109】
【表14】

【0110】
表14に示すとおり、防シミ剤2と、ホルムアミド、スクシンイミドおよびマロンアミドの10%同時適用向上剤溶液と、防汚剤6との濃縮混合物は、安定であった。
【0111】
(実施例68〜72)
50%の防シミ剤1、2または4、12.5%の表15に挙げたそれぞれ2つの10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤1または2を物理的に混合することにより、実施例68〜72の濃縮混合物を調製した。1日および4日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表15に示す。実施例68〜72の同時適用向上剤は、表15に挙げた2つの同時適用向上剤溶液の等量の組合せであった。
【0112】
【表15】

【0113】
表15に示すとおり、実施例68〜72の濃縮混合物は、安定であった。
【0114】
(実施例73〜77)
50%の防シミ剤1、2または4、12.5%の表16に挙げたそれぞれ2つの10%同時適用向上剤溶液および25%の防汚剤1または2を物理的に混合することにより、実施例73〜77の濃縮混合物を調製した。1日および4日後の混合物の安定性を観察した(試験方法4)。安定性の結果を表16に示す。実施例73〜77の同時適用向上剤は、表16に挙げた2つの同時適用向上剤溶液の等量の組合せであった。
【0115】
【表16】

【0116】
表16に示すとおり、実施例73〜77の濃縮混合物は、安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の防シミ剤と、少なくとも1種類の防汚剤と、少なくとも1種類の同時適用向上剤との安定混合物を含む組成物であって、前記向上剤が、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、ウレア、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6のアルカン二酸のアミド、C2〜C6のアルカン二酸のジアミド、C2〜C6のアルカン二酸の環状イミド、C3〜C6のラクタムまたはこれらの組合せのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記同時適用向上剤が、アリールスルホネート、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、カプロラクタム、マロンアミド、マロンイミド、スクシンアミドまたはスクシンイミドであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記同時適用向上剤が塩であり、前記塩は、アニオンと組合せたカチオンであり、前記アニオンが、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、塩化物、ポリリン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、酒石酸塩、フタル酸塩、モノおよびジアルキルリン酸塩からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記同時適用向上剤が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、アリールスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムまたはトルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記防シミ剤が、スルホン化フェノール樹脂または縮合物、部分スルホン化ノボラック樹脂、アクリル酸、メタクリル酸またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸とオレフィンまたはビニルエーテルとの加水分解コポリマー、加水分解エチレン性不飽和芳香族/無水マレイン酸コポリマーおよびこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記防シミ剤が、加水分解無水マレイン酸コポリマーとスルホン化フェノール樹脂との混合物、または加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーとスルホン化フェノール樹脂との混合物であることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記防汚剤が、フッ素化ポリウレタン、フッ素化アクリレートを含有するポリマー若しくはコポリマー、又はフッ素化メタクリレートを含有するポリマー若しくはコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記防汚剤が、式Rf(CH2)n−(式中、Rfは直鎖または分枝のパーフルオロアルキルであり、nは1〜約20の整数である)のパーフルオロアルキル基またはこの混合物を含有し、前記パーフルオロアルキルが、少なくとも1つの酸素原子により任意選択的に中断されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記同時適用向上剤の防汚剤及び防シミ剤の組合せに対する比率が、100%固体重量基準で約1:4〜約1:52であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
a)ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔軟性、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防臭、抗菌性および日焼け防止からなる群より選択される表面効果を与える化合物または組成物、b)界面活性剤、金属イオン封鎖剤、レベリング剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックトイソシアネート、炭化水素増量剤およびワックス増量剤またはc)これらの組合せをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
基材に防シミ性および防汚性を提供する方法であって、前記基材を、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含み、存在する同時適用向上剤の量が、約0.05g/L〜約2g/Lであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物が適用されたことを特徴とする基材。

【公表番号】特表2010−513725(P2010−513725A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547318(P2008−547318)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/047568
【国際公開番号】WO2007/075340
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】